JPH07165108A - キャスタ可変式サスペンションのキャスタ角制御装置 - Google Patents

キャスタ可変式サスペンションのキャスタ角制御装置

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Publication number
JPH07165108A
JPH07165108A JP31713993A JP31713993A JPH07165108A JP H07165108 A JPH07165108 A JP H07165108A JP 31713993 A JP31713993 A JP 31713993A JP 31713993 A JP31713993 A JP 31713993A JP H07165108 A JPH07165108 A JP H07165108A
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JP
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caster
caster angle
vehicle
angle
suspension
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Application number
JP31713993A
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English (en)
Inventor
Toshiyasu Mito
利泰 三戸
Masahiro Tomiyama
雅弘 富山
Katsuyuki Sakakura
克之 坂倉
Hiroshi Kobayashi
弘 小林
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はキャスタ可変式サスペンションのキ
ャスタ角制御装置に関し、車高変化に対応して所望のキ
ャスタ角に設定する。 【構成】 アクチュエータ50により駆動されて車輪の
キャスタ角を調整自在に構成されたキャスタ調整機構1
と、アクチュエータ50の位置を検出するストロークセ
ンサ509と、車速と操舵角とに応じた所定のキャスタ
角に対応するアクチュエータ50の目標位置を演算する
演算部521と、ストロークセンサ509による検出結
果と演算部521による演算結果とに基づいてアクチュ
エータ50を駆動しキャスタ角を所定の値に制御するド
ライバ523及び電磁切換弁516と、車高Hを検出す
る車高センサ524を具備し、演算部521によって車
高センサ524による検出結果Hと車速Vと操舵角δと
に基づいてアクチュエータ50の目標位置Xを演算する
構成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車等の車両のキャス
タ角制御装置に係り、特にキャスタ可変式サスペンショ
ンのキャスタ角制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両用のキャスタ可変式サス
ペンションのキャスタ角制御装置の一つとして、例えば
特開平4−87884号公報(発明の名称「車両用キャ
スタ角制御装置」)に開示されたものが知られている。
【0003】この車両用キャスタ角制御装置は、サスペ
ンションの構成要素を駆動することによりキャスタ角を
調整しうるキャスタ角調整機構と、走行状態に最適のキ
ャスタ角を設定するキャスタ角設定手段と、車両のキャ
スタ角がキャスタ角設定手段で設定されたキャスタ角を
とるようにキャスタ角調整機構を制御する制御手段とを
そなえ、キャスタ角設定手段が、車速、操舵角、操舵角
速度に応じて所望の操舵力が得られるようにキャスタ角
を設定することを特徴とするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般にフロ
ントサスペンションはアンチダイブジオメトリになって
いるため、側面視における瞬間中心は路面より上方で前
輪中心より後方に配置される。アンチダイブジオメトリ
では、キャリアは瞬間中心を中心に回転するため、車輪
が上方に変位するとともにキャスタ角が増加する。した
がって、上記した従来の車両用キャスタ角制御装置で
は、乗員数や積載量の変化に伴って車高が変化するとキ
ャスタ角が所望の値からはずれてしまう問題があった。
【0005】また、キャスタ角φは例えば図15に示さ
れたような車速Vの関数φ=f(V)として制御されて
いたため、車速Vが変化することで空力特性により車高
が変化すると、車高が変化することで実際のキャスタ角
φ′はφ=f(V)からΔφだけずれてしまう問題があ
った。ここで、Δφは車高の変化に起因するキャスタ角
の変化量である。
【0006】また、前進時と後退時とを考慮せず前述し
た条件に応じて同一のキャスタ角に設定するため、前進
時と後退時タイヤ摩擦力の作用点が違ってくることで実
質的なトレール量が異なり、前進時に操舵し易い操舵反
力に設定されていても後退時には操舵し難く操縦安定性
が劣化する問題があった。
【0007】さらに、高速走行時には路面の状態等にか
かわらずキャスタ角が大に設定される(図15参照)た
め、凹凸のある路面を高速で走行した場合、トレール量
が増加している分だけ路面からの外乱により操舵反力と
して影響を受けるため、キックバックが発生する問題が
あった。
【0008】本発明はキャスタ角制御装置のさらなる性
能向上を図ることを目的とするものであって、車高をひ
とつのパラメータとしてキャスタ角を演算するか、また
は車速の変化に伴う車高の変化をひとつのパラメータと
してキャスタ角を演算するか、または後退時の車輪のト
レール量が最適となるようキャスタ角を演算するか、ま
たは走行路面の凹凸がされたときにはキャスタ角を所定
値以下に制限することにより、上記の問題を解決するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の問題を解決するた
めに請求項1記載の発明では、アクチュエータによりサ
スペンションの構成要素を駆動することによりキャスタ
角を調整するキャスタ調整機構と、車両の走行状態に基
づきキャスタ角を設定するキャスタ角設定手段と、車両
のキャスタ角が設定されたキャスタ角となるようキャス
タ調整機構を制御する制御手段とを備えるキャスタ可変
式サスペンションのキャスタ角制御装置において、キャ
スタ角設定手段が、車高を検出する車高検出手段と、車
高検出手段により検出された車高をひとつのパラメータ
としてキャスタ角を演算する手段とを備える構成とし
た。
【0010】また請求項2記載の発明では、アクチュエ
ータによりサスペンションの構成要素を駆動することに
よりキャスタ角を調整するキャスタ調整機構と、車両の
走行状態に基づきキャスタ角を設定するキャスタ角設定
手段と、車両のキャスタ角が設定されたキャスタ角とな
るようキャスタ調整機構を制御する制御手段とを備える
キャスタ可変式サスペンションのキャスタ角制御装置に
おいて、キャスタ角設定手段が、車速を検出する車速検
出手段と、車速の変化に伴う車高の変化をひとつのパラ
メータとしてキャスタ角を演算する手段とを備える構成
とした。
【0011】また請求項3記載の発明では、アクチュエ
ータによりサスペンションの構成要素を駆動することに
よりキャスタ角を調整するキャスタ調整機構と、車両の
走行状態に基づきキャスタ角を設定するキャスタ角設定
手段と、車両のキャスタ角が設定されたキャスタ角とな
るようキャスタ調整機構を制御する制御手段とを備える
キャスタ可変式サスペンションのキャスタ角制御装置に
おいて、キャスタ角設定手段が、車両の後退時を検出す
る手段と、車両の後退時が検出されたとき、後退時の車
輪のトレール量が最適となるようキャスタ角を演算する
手段とを備える構成とした。
【0012】また請求項4記載の発明では、アクチュエ
ータによりサスペンションの構成要素を駆動することに
よりキャスタ角を調整するキャスタ調整機構と、車両の
走行状態に基づきキャスタ角を設定するキャスタ角設定
手段と、車両のキャスタ角が設定されたキャスタ角とな
るようキャスタ調整機構を制御する制御手段とを備える
キャスタ可変式サスペンションのキャスタ角制御装置に
おいて、キャスタ角設定手段が、走行路面の凹凸を検出
する凹凸検出手段と、走行路面の凹凸がされたときに
は、キャスタ角を所定値以下に制限する制限手段とを備
える構成とした。
【0013】
【作用】上記請求項1記載の構成によれば、車高をひと
つのパラメータとして演算されたキャスタ角に設定され
るように作用する。
【0014】また請求項2記載の構成によれば、車速の
変化に伴う車高の変化をひとつのパラメータとして演算
されたキャスタ角に設定されるように作用する。
【0015】また請求項3記載の構成によれば、車両の
後退時が検出されたときには後退時の車輪のトレール量
が最適となるように演算されたキャスタ角に設定される
ように作用する。
【0016】また請求項4記載の構成によれば、走行路
面の凹凸が検出されたときにはキャスタ角は所定値以下
に制限されて設定されるように作用する。
【0017】
【実施例】次に、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。
【0018】図1は本発明に使用されるキャスタ可変式
サスペンション(キャスタ調整機構1)を示す斜視図、
図2は図1に示されたキャスタ調整機構1をスケルトン
図として示す解図的斜視図である。尚これらの図におい
てはショックアブソーバ及びサスペンションスプリング
は省略されている。
【0019】両図において、10は軸受12を介して車
輪14を回転軸線14Aの周りに回動可能に支持するキ
ャリアを示している。また両図において、16及び18
はそれぞれ実質的に車両の横方向に延在するアッパアー
ム及びロアアームを示している。アッパアーム16は外
端においてジョイント20によりキャリア10の上端に
枢着され、内端においてジョイント22により図には示
されていない車体に枢支されている。
【0020】同様にロアアーム18は外端においてジョ
イント24によりキャリア10の下端に枢着され、内端
においてジョイント26により図には示されていない車
体に枢支されている。ジョイント22及び26はそれぞ
れ実質的に車両の前後方向に延在する軸線28及び30
を有し、これらの軸線に沿って延在する筒状のゴムブッ
シュを含んでいる。
【0021】アッパアーム16及びロアアーム18に
は、それぞれジョイント32及び34によりアッパリン
ク36及びロアリンク38の一端が枢着されている。図
には示されていないがジョイント32及び34はそれぞ
れ実質的に上下方向に延在する軸線を有し、これらの軸
線に沿って延在する筒状のゴムブッシュを含んでいる。
キャスタ調整機構1においては、アッパリンク36及び
ロアリンク38はその一端より他端の方向に見てインボ
ード方向へ傾斜して車両前方へ延在している。
【0022】アッパリンク36及びロアリンク38の他
端は、それぞれジョイント40及び42により枢動リン
ク44の上端及び下端に枢着されている。図には示され
ていないがジョイント40及び42はそれぞれ実質的に
アッパリンク36及びロアリンク38を横切る方向に延
在する軸線を有し、これらの軸線に沿って延在する筒状
のゴムブッシュを含んでいる。
【0023】枢動リンク44には実質的に車両の横方向
に延在する軸線46を有する円筒形の軸受48が固定さ
れている。図には示されていないが軸受48には車体に
固定されたシャフトが挿通され、これにより枢動リンク
44は軸線46の周りに枢動可能に車体に支持されてい
る。
【0024】本実施例においては、枢動リンク44は油
圧式のアクチュエータ50により枢動され位置決めされ
るようになっている。後述の如くアクチュエータ50は
シリンダーピストン装置であり、シリンダ52の一端に
固定された連結板54にて軸線46に平行な軸線56の
周りに枢動可能にゴムブッシュを介して車体に連結され
る。
【0025】アクチュエータ50は、ピストン58の先
端にてジョイント60により枢動リンク44の上端と軸
受48との間の部分に枢着されている。図には示されて
いないがジョイント60も軸線46に平行な軸線62を
有し、軸線62に沿って延在する筒状のゴムブッシュを
含んでいる。
【0026】図3は図1に示されたアクチュエータ50
及びその油圧駆動制御系を示す図である。
【0027】図3に示されている如く、アクチュエータ
50は、中心線76に対して同心円状に形成された略円
筒状のシリンダ52と略円柱状のピストン58よりな
り、それぞれの一端にはジョイント54と60が配設さ
れている。ピストン58のジョイント60近傍位置には
L字状のロッド511が配設されており、シリンダ52
外側に配設されたストロークセンサ510本体内にその
一部が挿通されるようになっている。ストロークセンサ
510本体とロッド511とでストロークセンサ509
が構成される。
【0028】ピストン58の略中央部には大径部502
が、大径部502の左側には小径部502が、右側には
小径部503が配設されており、シリンダ52と嵌合し
て左右方向に摺動自在とされている。すなわち、小径部
501はシリンダ52略中央部の小径部504と嵌合
し、大径部502はシリンダ52右側の大径部505と
嵌合し、小径部503はシリンダ52右端部の小径部5
06と嵌合する。
【0029】これにより、シリンダ52内部の小径部5
04より右側は、油室507と油室508の2室に区画
される。大径部505の左右両端には連通孔551と5
52が穿設されており、油室507は連通孔551を介
して導管518の一端と、油室508は連通孔552を
介して導管519の一端とそれぞれ連通接続されてい
る。
【0030】導管518及び519の各他端は、電磁切
換弁516のポートa及びbとそれぞれ連通接続されて
いる。電磁切換弁516のポートc及びdは、導管51
5及び517の各一端とそれぞれ連通接続されている。
導管517の他端はリザーバタンク512と連通接続さ
れている。リザーバタンク512には、導管513の一
端が連通接続されている。導管513の他端と導管51
5の他端との間にはオイルポンプ514が接続されてい
る。
【0031】電磁切換弁516の左右にはソレノイド5
53と554が配設されており、両ソレノイドは後述す
る電子制御装置(ECU;Electronic Control Unit)5
20からの駆動信号に応じてオンオフする。
【0032】ここで、図4は本発明の一実施例を示すブ
ロック図である。
【0033】図4において電子制御装置520は、CP
U(Central Processing Unit;中央処理装置),ROM
(Read Only Memory;リードオンリメモリ)及びRAM
(Random Access Memory;ランダムアクセスメモリ)を
有する演算部521と、比較器522と、ドライバ52
3と、図示しない入力ポート及び出力ポートからなって
いる。
【0034】演算部521には、車高センサ524から
の車高信号Hと、車速センサ525からの車速信号V
と、ハンドル操舵角センサ526からのハンドル操舵角
信号δとが入力される。演算部521は、これらの信号
から目標キャスタ角に対応するアクチュエータの目標伸
縮位置Xを後述の如く演算して出力する。
【0035】比較器522には、この目標伸縮位置信号
Xとストロークセンサからの伸縮位置検出信号Yとが入
力され、これらの比較誤差信号(X−Y)が出力され
る。ドライバ523は、この比較誤差信号が0となりア
クチュエータ50の伸縮位置が目標伸縮位置Xと等しく
なるように電磁切換弁516のソレノイド(553,5
54)に駆動信号を供給する。これにより後述の如くア
クチュエータ50が駆動されて、アクチュエータ50が
キャスタ調整機構1を駆動することにより目標キャスタ
角に設定される。
【0036】図3に戻って説明するに、図示の状態では
ソレノイド553と554は共にオフしている。このと
き、電磁切換弁516は、ポートaとbが遮断され、ポ
ートcとdが連通接続された中立位置とされている。
【0037】したがって、リザーバタンク512の油は
導管513を通り、オイルポンプ514で加圧されて、
導管515を通って電磁切換弁516のポートcに送ら
れる。さらに、電磁切換弁516のポートdから出た油
は導管517を通ってリザーバタンク512に戻る。ま
た、導管518の他端はポートaによって遮断され、導
管519の他端はポートbによって遮断されている。し
たがって、ピストン58は図示の中立位置に停止してお
り、油室507と油室508の容積は略等しくなってい
る。
【0038】一方、電子制御装置520からの駆動信号
に応じてソレノイド553がオンしソレノイド554が
オフすると、電磁切換弁516は中立位置から右方向に
変位する。これにより、ポートaとcが連通接続され、
bとdが連通接続される。
【0039】したがって、リザーバタンク512の油は
導管513を通り、オイルポンプ514で加圧されて、
導管515を通って電磁切換弁516のポートcに送ら
れる。さらに、電磁切換弁516のポートaから出た油
は導管518を通って油室507に注入される。
【0040】この結果、油室507の容積が増大し、油
室508の容積が減少してピストン58が右方向に摺動
し、アクチュエータ50は伸長する。油室508からの
油は導管519を通り電磁切換弁516のポートbに送
られる。さらに、電磁切換弁516のポートcから出た
油は、導管517を通ってリザーバタンク512に注入
される。
【0041】また一方、電子制御装置520からの駆動
信号に応じてソレノイド554がオンしソレノイド55
3がオフすると、電磁切換弁516は中立位置から左方
向に変位する。これにより、ポートaとdが連通接続さ
れ、bとcが連通接続される。
【0042】したがって、リザーバタンク512の油は
導管513を通り、オイルポンプ514で加圧されて、
導管515を通って電磁切換弁516のポートcに送ら
れる。さらに、電磁切換弁516のポートbから出た油
は導管519を通って油室508に注入される。
【0043】この結果、油室508の容積が増大し、油
室507の容積が減少してピストン58が左方向に摺動
し、アクチュエータ50は収縮する。油室507からの
油は導管518を通り電磁切換弁516のポートaに送
られる。さらに、電磁切換弁516のポートdから出た
油は、導管517を通ってリザーバタンク512に注入
される。
【0044】図5は枢動リンクの動きを車両のアウトボ
ード側より見たスケルトン図として示す説明図である。
【0045】図5に示されている如く、枢動リンク44
の軸受48の中心、すなわち軸線46とジョイント42
の中心との間の距離をL1 とし、軸受48の中心よりジ
ョイント40の中心までの距離をL2 とし、アクチュエ
ータ50が伸長位置より収縮位置へ切換えられることに
より枢動リンク44が軸受48の中心の周りにθ(ra
d)枢動したとすると、ジョイント42はL1 θだけ車
両前方へ移動し、ジョイント40はL2 θだけ車両後方
へ移動する。
【0046】図6はアッパアーム及びアッパリンクの動
きを車両の上方より見たスケルトン図として示す説明図
である。
【0047】ここで、ジョイント40がL2 θだけ車両
後方へ移動すると、図6に示されている如くジョイント
32もL2 θだけ車両後方へ変位する。ジョイント22
と32との間の距離をL5 とし、ジョイント22と20
との間の距離をL6 とすると、ジョイント32がL2 θ
だけ車両後方へ変位することによりジョイント20は
(L2 6 /L5 )θだけ車両後方へ変位する。
【0048】図7はロアアーム及びロアリンクの動きを
車両の上方より見たスケルトン図として示す説明図であ
る。
【0049】ここでも同様にジョイント42がL1 θだ
け車両前方へ変位すると、図7に示されている如くジョ
イント34もL1 θだけ車両前方へ変位する。ジョイン
ト26と34との間の距離をL3 とし、ジョイント26
と24との間の距離をL4 とすると、ジョイント34が
1 θだけ車両前方へ変位することによりジョイント2
4は(L1 4 /L3 )θだけ車両前方へ変位する。
【0050】図8はキャスタ角及びキャスタトレールの
変化を示す説明図である。
【0051】図8に示されている如く、キャスタ角φは
垂直線92とキングピン軸94とのなす角であり、キャ
スタトレールTはキングピン軸94と路面96との交点
Pと車輪の接地点Qとの間の距離である。従って車輪1
4の回転軸線14Aとジョイント24との間の上下方向
の距離をL7 とし、回転軸線14Aとジョイント20と
の間の上下方向の距離をL8 とすると、キャスタ角φの
増加量Δφは次式にて与えられる。
【0052】 Δφ=(L1 4 /L3 +L2 6 /L5 )/(L7 +L8 ) (1) 従って枢動リンク44を枢動させることによって変化さ
れるキャスタ角の変化量は上述の距離L1 〜L8 により
定まる。
【0053】またキャリア10上の点であってキャスタ
角が変化する際にも車両前後方向に変位しない点、すな
わち仮想の枢点をAとし、車輪の回転軸線14Aと枢点
Aまでの上下方向の距離をdとすると、この距離dは次
式にて与えられる。
【0054】 d=(L2 3 6 7 −L1 4 5 8 ) /(L1 4 5 −L2 3 6 ) (2) キャスタ角が変化する際のキャスタトレールTの変化量
はキャスタ角の変化量Δφ及び枢点Aの位置により定ま
り、上述の(1)式及び(2)式よりこれらの何れも上
述の距離L1 〜L8 により定まるので、キャスタトレー
ルTの変化量もこれらの距離によって定まる。
【0055】従って上述の各距離L1 〜L8 ,特に距離
1 及びL2 を適宜に設定することにより、キャスタ角
及びキャスタトレールを所望の態様にて変化させること
ができる。
【0056】例えば車輪14の半径をRとし、図には示
されていないがタイロッドとキャリア10との間の枢点
と車輪の回転軸線14Aとの間の上下方向の距離をd′
とすると、距離dを下記の表1に示されている如く特定
の値に設定して枢点Aを特定の位置に設定することによ
り、キャスタ角が変化される際のサスペンションの変化
の態様を以下の如く設定することができる。
【0057】
【表1】
【0058】この表1は変化の態様が特徴的な場合の例
示にすぎず、表1よりサスペンションに要求される特性
に応じてdの値を適宜に設定することによってキャスタ
角及びキャスタトレールを所望の態様にて変化させるこ
とができる。
【0059】図9は電子制御装置520による電磁切換
弁516の制御の一例を示すフローチャートである。
【0060】図9のフローチャートにおいて、XL は低
速時の目標伸縮位置であり、XH は高速時の目標伸縮位
置であり、XL <XH に設定される。また、XLOは標準
車高における低速時の目標伸縮位置であり、XHOは標準
車高における高速時の目標伸縮位置であり、XLO<XHO
に設定される。また、KL は車高の違いによって低速時
の目標伸縮位置を補正する係数であり、KH は車高の違
いによって高速時の目標伸縮位置を補正する係数であ
る。
【0061】また、HO は標準車高である。また、VO
は車両が停止しているか否かを判断するための車速の閾
値であり、V1 はキャスタ角を小より大へ切換えるため
の車速の閾値であり、V2 はキャスタ角を大より小へ切
換えるための車速の閾値であり、V1 <V2 に設定され
る。また、δO はキャスタ角を変更してもよいか否かを
判断するためのハンドル操舵角δの閾値であり、ハンド
ル操舵角δの値がこの閾値δO 未満のときにキャスタ角
の変更が行われる。
【0062】さらに図9に示されたフローチャートによ
る制御は、図には示されていないイグニションスイッチ
の開成により開始され、イグニションスイッチの閉成に
より終了する。
【0063】図9においてまず最初のステップS10に
おいて、標準車高における低速時の目標伸縮位置XLO
低速時の目標伸縮位置XL に、標準車高における高速時
の目標伸縮位置XHOを高速時の目標伸縮位置XH にそれ
ぞれ書き込む。
【0064】続くステップS20においては、目標キャ
スタ角に対応するアクチュエータの目標伸縮位置Xとし
て低速時の目標伸縮位置XL を出力し、ステップS30
の停止判断処理に進む。
【0065】ステップS30では、車速センサ(52
5)から車速Vの読み込みが行われると共に、車速Vの
絶対値が車両が停止しているか否かを判断するための車
速の閾値VO 未満であるか否かが判断される。車速Vの
絶対値が閾値VO よりも小さい(Yes) ときは車両が停
止しているものと判断され、ステップS40の処理に進
む。
【0066】ステップS40では、車高センサ(52
4)から停止時の車高Hの読み込みが行われると共に、
停止時の車高Hと標準車高HO との差の値(H−HO
と、車高の違いによって低速時の目標伸縮位置を補正す
る係数KL と、標準車高における低速時の目標伸縮位置
LOとから、車高Hに最適なキャスタ角に対応する低速
時の目標伸縮位置XL が次式 XL =XLO+KL (H−HO ) (3) から求められる。
【0067】同時に、停止時の車高Hと標準車高HO
の差の値(H−HO )と、車高の違いによって高速時の
目標伸縮位置を補正する係数KH と、標準車高における
高速時の目標伸縮位置XHOとから、車高Hに最適なキャ
スタ角に対応する高速時の目標伸縮位置XH が次式 XH =XHO+KH (H−HO ) (4) から求められる。
【0068】ステップS40において低速時の目標伸縮
位置XL と高速時の目標伸縮位置X H とが求められる
と、ステップS20の処理に戻り、ステップS30の判
断処理において車速Vの絶対値が閾値VO よりも大きい
(No)と判断されるまで、ステップS20〜S40の処
理が繰り返し実行される。
【0069】ステップS30において車速Vの絶対値が
閾値VO よりも大きい(No)ときは車両が停止している
と判断され、ステップS50以降の処理が実行される。
すなわち、ステップS50では、車速センサ(525)
から車速Vの読み込みが行われると共に、車速Vがキャ
スタ角を大より小へ切換えるための車速の閾値V2 未満
であるか否かの判断処理が実行される。ステップS50
はキャスタ角を小さくするかの判断処理である。
【0070】ステップS50において、車速Vがキャス
タ角を大より小へ切換えるための車速の閾値V2 未満で
ある(Yes) と判断されるとキャスタ角は小さくて良い
ので、ステップS60以降の処理に進む。
【0071】ステップS60の停止判断処理では、車速
センサ(525)から車速Vの読み込みが行われると共
に、車速Vの絶対値が車両が停止しているか否かを判断
するための車速の閾値VO 未満であるか否かが判断され
る。車速Vの絶対値が閾値V O よりも小さい(Yes) と
きは車両が停止しているものと判断され、ステップS4
0の処理に進む。
【0072】ステップS40〜S50は前述した通りで
あり、ステップS50の判断処理において車速Vがキャ
スタ角を大より小へ切換えるための車速の閾値V2 以上
である(No)と判断されるか、ステップS60の判断処
理において車速Vの絶対値が閾値VO よりも大きい(N
o)と判断されるまで、ステップS20〜S60の処理が
繰り返し実行される。
【0073】ステップS60において車速Vの絶対値が
閾値VO よりも大きい(No)と判断されると、続くステ
ップS70では、ハンドル操舵角センサ(526)から
ハンドル操舵角δの読み込みが行われると共に、ハンド
ル操舵角δの絶対値がキャスタ角を変更してもよいか否
かを判断するためのハンドル操舵角δの閾値δO 未満で
あるか否かの判断処理が実行される。
【0074】ステップS70においてハンドル操舵角δ
の絶対値が閾値δO 以上(No)のときは、キャスタ角が
変更されることによる旋回性能の変化が車両の旋回中に
起きないようにキャスタ角を変更しないのでステップS
50の処理に戻り、ステップS70においてハンドル操
舵角δの絶対値が閾値δO 未満である(Yes) と判断さ
れるまでステップS50〜S70の処理が繰り返し実行
される。
【0075】ステップS70においてハンドル操舵角δ
の絶対値が閾値δO 未満である(Yes) と判断される
と、ステップS80の処理に進みキャスタ角を変更す
る。すなわち、ステップS80では、目標キャスタ角に
対応するアクチュエータの目標伸縮位置Xとして低速時
の目標伸縮位置XL が出力される。
【0076】これにより、比較器(522)での比較誤
差信号(XL −Y)が0となりアクチュエータ(50)
の伸縮位置が目標伸縮位置XL と等しくなるようにドラ
イバ(523)から電磁切換弁(516)のソレノイド
(554)に駆動信号が供給される。そして、前述の如
くアクチュエータ(50)が収縮してキャスタ調整機構
(527)を駆動することにより低速時の小さな目標キ
ャスタ角に設定される。
【0077】一方、ステップS50において車速Vがキ
ャスタ角を大より小へ切換えるための車速の閾値V2
上である(No)と判断されると、ステップS90以降の
処理に進む。ステップS90では、車速センサ(52
5)から車速Vの読み込みが行われると共に、車速Vが
キャスタ角を小より大へ切換えるための車速の閾値V1
を超えているか否かの判断処理が実行される。ステップ
S90はキャスタ角を大きくするかの判断処理である。
【0078】ステップS90において、車速Vがキャス
タ角を小より大へ切換えるための車速の閾値V1 以下で
ある(No)と判断されると、キャスタ角を変更しなくて
良いのでステップS60以降の処理に進む。ステップS
60以降の処理は前述した通りである。なお、本来V1
<V2 に設定されているので、ステップS50において
車速V≧閾値V2 (No)の場合は、急激な車速Vの低下
がない限りはステップS90において車速V>閾値V2
(Yes) となる。
【0079】ステップS90において車速Vがキャスタ
角を小より大へ切換えるための車速の閾値V2 を超えて
いる(Yes) と判断されると、キャスタ角は大きく変更
した方が良いので、ステップS100以降の処理に進
む。
【0080】ステップS70では、ハンドル操舵角セン
サ(526)からハンドル操舵角δの読み込みが行われ
ると共に、ハンドル操舵角δの絶対値がキャスタ角を変
更してもよいか否かを判断するためのハンドル操舵角δ
の閾値δO 未満であるか否かの判断処理が実行される。
【0081】ステップS70においてハンドル操舵角δ
の絶対値が閾値δO 以上である(No)と判断されたとき
は、キャスタ角が変更されることによる旋回性能の変化
が車両の旋回中に起きないようにキャスタ角を変更しな
いのでステップS90の処理に戻り、ステップS100
においてハンドル操舵角δの絶対値が閾値δO 未満であ
る(Yes) と判断されるまでステップS90〜S100
の処理が繰り返し実行される。
【0082】ステップS100においてハンドル操舵角
δの絶対値が閾値δO 未満である(Yes) と判断される
と、ステップS110の処理に進みキャスタ角を変更す
る。すなわち、ステップS110では、目標キャスタ角
に対応するアクチュエータの目標伸縮位置Xとして高速
時の目標伸縮位置XH が出力される。
【0083】これにより、比較器(522)での比較誤
差信号(XH −Y)が0となりアクチュエータ(50)
の伸縮位置が目標伸縮位置XH と等しくなるようにドラ
イバ(523)から電磁切換弁(516)のソレノイド
(553)に駆動信号が供給される。そして、前述の如
くアクチュエータ(50)が伸長してキャスタ調整機構
(527)を駆動することにより高速時の大きな目標キ
ャスタ角に設定される。
【0084】このように図9に示されたフローチャート
による制御によれば、車速に応じてキャスタ角を適宜設
定することができ、低速時にはキャスタ角を小さくして
ハンドル操舵力を低減し、高速時にはキャスタ角を大き
くして車両の直進安定性を向上することができる。
【0085】かつ、停止時の車高Hと標準車高HO とを
比較しキャスタ角を補正することで、乗員数や荷物の積
載量の変化に伴ない車高が変化したときでも所望のキャ
スタ角を得ることができる。さらに、低速時のキャスタ
角と高速時のキャスタ角を別々の係数により補正するた
め、きめ細かなキャスタ角の設定が可能である。
【0086】図10は電子制御装置520による電磁切
換弁516の制御の他の例を示すフローチャートであ
る。ここで、電子制御装置520の演算部521は、車
速Vの変化に伴うキャスタ角の変化を予め見込んだうえ
で車速Vに応じた所定のキャスタ角に対応するアクチュ
エータ50の目標伸縮位置Xを演算する構成とされてい
る。
【0087】なお、図10に示されたフローチャートに
よる制御は、図には示されていないイグニションスイッ
チの開成により開始され、イグニションスイッチの閉成
により終了する。
【0088】図10においてまず最初のステップS21
0において、ハンドル操舵角センサ(526)からハン
ドル操舵角δの読み込みが行われると共に、ハンドル操
舵角δの絶対値がキャスタ角を変更してもよいか否かを
判断するためのハンドル操舵角δの閾値δO 未満である
か否かの判断処理が実行される。
【0089】ステップS210においてハンドル操舵角
δの絶対値が閾値δO 以上(No)のときは、キャスタ角
が変更されることによる旋回性能の変化が車両の旋回中
に起きないようにキャスタ角を変更しないので再びステ
ップS210の処理を実行する。すなわち、ステップS
70においてハンドル操舵角δの絶対値が閾値δO 未満
である(Yes) と判断されるまでステップS210の処
理が繰り返し実行される。
【0090】ステップS210においてハンドル操舵角
δの絶対値が閾値δO 未満である(Yes) と判断される
と、ステップS220の処理に進みキャスタ角を設定す
る。ステップS220においてキャスタ角を理想的な値
に設定した後は、ステップS220の処理に戻る。
【0091】すなわち、ステップS220では、次式 φ=f'(V)=φV +Δφ (5) より、キャスタ角φに対応するアクチュエータ50の目
標伸縮位置Xが演算される。
【0092】式(5)において、φV は車速Vの変化に
伴う空力特性の変化による車高変化を予め見込んで設定
されたキャスタ角、Δφは車速Vの増大に伴う空力特性
の変化による車高の増大に起因するキャスタ角の減少分
である。
【0093】したがって、車速Vから車高変化を見込ん
だ理想的なキャスタ角φを求めるためのマップは、図1
1の如く表される。このように車速Vの変化に伴う車高
変化に対応して理想的なキャスタ角φに設定することが
でき、高速時でも安定した操縦性を得ることができる。
【0094】図12は電子制御装置520による電磁切
換弁516の制御の更に他の例を示すフローチャートで
ある。なお、図12に示されたフローチャートによる制
御は、図には示されていないイグニションスイッチの開
成により開始され、イグニションスイッチの閉成により
終了する。
【0095】図12においてまず最初のステップS31
0において、ギヤがリバースに入っているか否かの判断
を実行する。ギヤがリバースに入っていなければ(No)
前進時なので、後述のとおり、ステップS330〜S3
80の車速Vと操舵角δに応じた前進時の目標伸縮位置
の設定処理を実行する。
【0096】ステップS310においてギヤがリバース
に入っている(Yes) と判断された場合は、続くステッ
プS320においてリバース用伸縮位置の設定を行な
う。ここでは、後退時にも操舵し易い操舵反力となるよ
うに、車輪のトレール量を最適の値とする所定のキャス
タ角に対応するアクチュエータの目標伸縮位置を設定す
る。目標伸縮位置設定後は、ステップS310の判断処
理に戻る。
【0097】かかるステップS310〜S320の処理
により、後退時には前進時と異なる最適なキャスタ角に
設定されることで実質的なトレール量を前進時と同一に
設定でき、前進時、後退時ともに操舵し易く後退時の操
縦安定性を向上させることができる。
【0098】一方、前進時の処理について簡略的に説明
すると、ステップS330〜S380の処理は図9のス
テップS50〜S110の処理と同様である。すなわ
ち、ステップS330において、車速センサ(525)
から車速Vの読み込みが行われると共に、車速Vがキャ
スタ角を大より小へ切換えるための車速の閾値V2 未満
であるか否かの判断処理が実行されるステップS330
においてV<V2 (Yes) の場合、続くステップS34
0の処理に進み、ハンドル操舵角センサ(526)から
ハンドル操舵角δの読み込みが行われると共に、ハンド
ル操舵角δの絶対値がキャスタ角を変更してもよいか否
かを判断するためのハンドル操舵角δの閾値δO 未満で
あるか否かの判断処理が実行される。ステップS340
においてハンドル操舵角δの絶対値が閾値δO 以上(N
o)のときは、キャスタ角が変更されることによる旋回性
能の変化が車両の旋回中に起きないようにキャスタ角を
変更しないので最初のステップS310の処理に戻る。
【0099】ステップS340においてハンドル操舵角
δの絶対値が閾値δO 未満である(Yes) と判断される
と、ステップS350の処理に進み目標伸縮位置を演算
してキャスタ角を小さく変更する。すなわち、低速時の
所定のキャスタ角とされる。キャスタ角が設定される
と、最初のステップS310の処理に戻る。
【0100】一方、ステップS330においてV≧V2
(No)の場合、続くステップS360においてハンドル
操舵角センサ(526)からハンドル操舵角δの読み込
みが行われると共に、車速Vがキャスタ角を小より大へ
切換えるための車速の閾値V 1 を超えているか否かの判
断処理が実行され、ステップS370の処理に進む。
【0101】ステップS370においてハンドル操舵角
δの絶対値が閾値δO 以上(No)のときは、キャスタ角
が変更されることによる旋回性能の変化が車両の旋回中
に起きないようにキャスタ角を変更しないのでステップ
S360の処理に戻る。
【0102】ステップS370においてハンドル操舵角
δの絶対値が閾値δO 未満である(Yes) と判断される
と、ステップS380の処理に進み目標伸縮位置を演算
してキャスタ角を大きく変更する。すなわち、高速時の
所定のキャスタ角とされる。キャスタ角が設定される
と、ステップS360の処理に戻る。
【0103】ここで、図13は本発明の他の実施例を示
すブロック図である。
【0104】図13において電子制御装置520aは、
CPU,ROM及びRAMを有する演算部521aと、
比較器522と、ドライバ523と、図示しない入力ポ
ート及び出力ポートからなっている。
【0105】演算部521aには、車速センサ525か
らの車速信号Vと、ハンドル操舵角センサ526からの
ハンドル操舵角信号δと、プレビューセンサ527から
の凹凸検出信号Rが入力される。プレビューセンサ52
7は、走行中の路面の凹凸を検出する。演算部521a
は、これらの信号から目標キャスタ角に対応するアクチ
ュエータの目標伸縮位置Xを後述の如く演算して出力す
る。
【0106】比較器522には、この目標伸縮位置信号
Xとストロークセンサからの伸縮位置検出信号Yとが入
力され、これらの比較誤差信号(X−Y)が出力され
る。ドライバ523は、この比較誤差信号が0となりア
クチュエータ50の伸縮位置が目標伸縮位置Xと等しく
なるように電磁切換弁516のソレノイド(553,5
54)に駆動信号を供給する。これにより前述の如くア
クチュエータ50が駆動されて、アクチュエータ50が
キャスタ調整機構1を駆動することにより目標キャスタ
角に設定される。
【0107】図14は電子制御装置520aによる電磁
切換弁516の制御の一例を示すフローチャートであ
る。ここで、電子制御装置520aは、路面の凹凸検出
時には車速にかかわらずキャスタ角を小さな所定値に設
定するようになっている。
【0108】なお、図14に示されたフローチャートに
よる制御は、図には示されていないイグニションスイッ
チの開成により開始され、イグニションスイッチの閉成
により終了する。
【0109】図14においてまず最初のステップS41
0において、車速センサ(525)から車速Vの読み込
みが行われると共に、車速Vがキャスタ角を大より小へ
切換えるための車速の閾値V2 未満であるか否かの判断
処理が実行されるステップS410においてV<V
2 (Yes) の場合、続くステップS420の処理に進
み、ハンドル操舵角センサ(526)からハンドル操舵
角δの読み込みが行われると共に、ハンドル操舵角δの
絶対値がキャスタ角を変更してもよいか否かを判断する
ためのハンドル操舵角δの閾値δO 未満であるか否かの
判断処理が実行される。
【0110】ステップS420においてハンドル操舵角
δの絶対値が閾値δO 以上(No)のときは、キャスタ角
が変更されることによる旋回性能の変化が車両の旋回中
に起きないようにキャスタ角を変更しないので最初のス
テップS410の処理に戻る。
【0111】ステップS420においてハンドル操舵角
δの絶対値が閾値δO 未満である(Yes) と判断される
と、ステップS430の処理に進み目標伸縮位置を演算
してキャスタ角を小さく変更する。すなわち、低速時の
所定のキャスタ角φ=φL (図15参照)とされるよう
にアクチュエータの伸縮位置が制御される。キャスタ角
φが設定されると、最初のステップS410の処理に戻
る。
【0112】ステップS410においてV≧V2 (No)
の高速走行時は、続くステップS440の処理に進み、
ハンドル操舵角センサ(526)からハンドル操舵角δ
の読み込みが行われると共に、ハンドル操舵角δの絶対
値がキャスタ角を変更してもよいか否かを判断するため
のハンドル操舵角δの閾値δO 未満であるか否かの判断
処理が実行される。
【0113】ステップS440においてハンドル操舵角
δの絶対値が閾値δO 以上(No)のときは、キャスタ角
が変更されることによる旋回性能の変化が車両の旋回中
に起きないようにキャスタ角を変更しないのでステップ
S440の処理を繰り返し実行する。
【0114】ステップS440においてハンドル操舵角
δの絶対値が閾値δO 未満である(Yes) と判断される
と、ステップS460の処理に進み路面の凹凸が検出さ
れたかが判断される。ここでは、プレビューセンサ(5
27)から入力される凹凸検出信号R(単位時間当たり
の凹凸の度合いとして示される)を閾値と比較すること
で凹凸の有無が判断される。
【0115】ステップS440において凹凸無し(No)
と判断された場合、続くステップS450の処理におい
て、従来技術と同様に車速Vの関数f(V)としてキャ
スタ角φが制御される(図15参照)。したがって、キ
ャスタ角φは高速走行時ほど大に制御される。
【0116】一方、ステップS440において凹凸有り
(Yes) と判断された場合、車速に応じてキャスタ角φ
を大に設定すると、前述したとおりトレール量が増加す
る分だけ路面からの外乱により操舵反力として影響を受
けるため、キックバックが発生してしまう。
【0117】そこで、続くステップS470において、
高速走行中にもかかわらず低速走行時の所定のキャスタ
角φL と同一とされるようにアクチュエータの伸縮位置
が制御され、キャスタ角φがφL に設定される。
【0118】そして、ステップS480では、設定され
たキャスタ角φL に所定時間t1 の間保持する。これ
は、路面の凹凸検出位置に多少の距離があった場合で
も、その間はキャスタ角を小さくしておくためである。
所定時間t1 の間キャスタ角を保持した後は、ステップ
S440の処理に戻る。
【0119】かかるフローチャートの制御によれば、高
速走行時に路面の凹凸が検出されると小キャスタ角に設
定されるため、トレール量が減少して路面からの外乱に
より操舵反力として影響を受けにくくなり、キックバッ
クの発生を低減することができる。
【0120】
【発明の効果】上述の如く請求項1記載の発明によれ
ば、車高をひとつのパラメータとして演算されたキャス
タ角に設定されるため、乗員数や荷物の積載量の変化に
伴ない車高が変化したときでも所望のキャスタ角を得る
ことができ、きめ細かなキャスタ角の設定が可能とな
る。
【0121】また請求項2記載の発明によれば、車速の
変化に伴う車高の変化をひとつのパラメータとして演算
されたキャスタ角に設定されるため、車速の変化に伴う
車高変化に対応して理想的なキャスタ角に設定すること
ができ、低速時でも高速時でも安定した操縦性を得るこ
とができる。
【0122】また請求項3記載の発明によれば、車両の
後退時が検出されたときには後退時の車輪のトレール量
が最適となるように演算されたキャスタ角に設定される
ため、後退時には前進時と異なる最適なキャスタ角に設
定されることで実質的なトレール量を前進時と同一に設
定でき、前進時、後退時ともに操舵し易く後退時の操縦
安定性を向上させることができる。
【0123】また請求項4記載の発明によれば、走行路
面の凹凸が検出されたときにはキャスタ角は所定値以下
に制限されて設定されるため、高速走行時に路面の凹凸
が検出されると小キャスタ角に設定されることでトレー
ル量が減少して路面からの外乱により操舵反力として影
響を受けにくくなり、キックバックの発生を低減するこ
とができる等の特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用されるキャスタ可変式サスペンシ
ョン(キャスタ調整機構1)を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたキャスタ可変式サスペンション
をスケルトン図として示す解図的斜視図である。
【図3】図1に示されたアクチュエータ50及びその油
圧駆動制御系を示す図である。
【図4】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図5】枢動リンクの動きを車両のアウトボード側より
見たスケルトン図として示す説明図である。
【図6】アッパアーム及びアッパリンクの動きを車両の
上方より見たスケルトン図として示す説明図である。
【図7】ロアアーム及びロアリンクの動きを車両の上方
より見たスケルトン図として示す説明図である。
【図8】キャスタ角及びキャスタトレールの変化を示す
説明図である。
【図9】電子制御装置520による電磁切換弁516の
制御の一例を示すフローチャートである。
【図10】電子制御装置520による電磁切換弁516
の制御の他の例を示すフローチャートである。
【図11】車速から車高変化を見込んだ理想的なキャス
タ角を求めるためのマップを示す図である。
【図12】電子制御装置520による電磁切換弁516
の制御の更に他の例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の他の実施例を示すブロック図であ
る。
【図14】電子制御装置520aによる電磁切換弁51
6の制御の一例を示すフローチャートである。
【図15】キャスタ角φを車速Vの関数φ=f(V)と
して示す図である。
【符号の説明】
1 キャスタ調整機構 50 アクチュエータ 509 ストロークセンサ 516 電磁切換弁 520,520a 電子制御装置 521,521a 演算部 522 比較器 523 ドライバ 524 車高センサ 527 プレビューセンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 弘 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクチュエータによりサスペンションの
    構成要素を駆動することによりキャスタ角を調整するキ
    ャスタ調整機構と、 車両の走行状態に基づきキャスタ角を設定するキャスタ
    角設定手段と、 車両のキャスタ角が前記設定されたキャスタ角となるよ
    うキャスタ調整機構を制御する制御手段とを備えるキャ
    スタ可変式サスペンションのキャスタ角制御装置におい
    て、 前記キャスタ角設定手段が、 車高を検出する車高検出手段と、 該車高検出手段により検出された車高をひとつのパラメ
    ータとしてキャスタ角を演算する手段とを備えることを
    特徴とするキャスタ可変式サスペンションのキャスタ角
    制御装置。
  2. 【請求項2】 アクチュエータによりサスペンションの
    構成要素を駆動することによりキャスタ角を調整するキ
    ャスタ調整機構と、 車両の走行状態に基づきキャスタ角を設定するキャスタ
    角設定手段と、 車両のキャスタ角が前記設定されたキャスタ角となるよ
    うキャスタ調整機構を制御する制御手段とを備えるキャ
    スタ可変式サスペンションのキャスタ角制御装置におい
    て、 前記キャスタ角設定手段が、 車速を検出する車速検出手段と、 車速の変化に伴う車高の変化をひとつのパラメータとし
    てキャスタ角を演算する手段とを備えることを特徴とす
    るキャスタ可変式サスペンションのキャスタ角制御装
    置。
  3. 【請求項3】 アクチュエータによりサスペンションの
    構成要素を駆動することによりキャスタ角を調整するキ
    ャスタ調整機構と、 車両の走行状態に基づきキャスタ角を設定するキャスタ
    角設定手段と、 車両のキャスタ角が前記設定されたキャスタ角となるよ
    うキャスタ調整機構を制御する制御手段とを備えるキャ
    スタ可変式サスペンションのキャスタ角制御装置におい
    て、 前記キャスタ角設定手段が、 車両の後退時を検出する手段と、 車両の後退時が検出されたとき、後退時の車輪のトレー
    ル量が最適となるようキャスタ角を演算する手段とを備
    えることを特徴とするキャスタ可変式サスペンションの
    キャスタ角制御装置。
  4. 【請求項4】 アクチュエータによりサスペンションの
    構成要素を駆動することによりキャスタ角を調整するキ
    ャスタ調整機構と、 車両の走行状態に基づきキャスタ角を設定するキャスタ
    角設定手段と、 車両のキャスタ角が前記設定されたキャスタ角となるよ
    うキャスタ調整機構を制御する制御手段とを備えるキャ
    スタ可変式サスペンションのキャスタ角制御装置におい
    て、 前記キャスタ角設定手段が、 走行路面の凹凸を検出する凹凸検出手段と、 走行路面の凹凸がされたときには、キャスタ角を所定値
    以下に制限する制限手段とを備えることを特徴とするキ
    ャスタ可変式サスペンションのキャスタ角制御装置。
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JP31713993A Pending JPH07165108A (ja) 1993-12-16 1993-12-16 キャスタ可変式サスペンションのキャスタ角制御装置

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JP (1) JPH07165108A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013530866A (ja) * 2010-05-28 2013-08-01 ビクター ガノ,ジョン 全方向車輪アセンブリ及び全方向車両

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