JPH07164864A - 流量制御弁および車両用暖房装置の温水回路 - Google Patents

流量制御弁および車両用暖房装置の温水回路

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JPH07164864A
JPH07164864A JP25403894A JP25403894A JPH07164864A JP H07164864 A JPH07164864 A JP H07164864A JP 25403894 A JP25403894 A JP 25403894A JP 25403894 A JP25403894 A JP 25403894A JP H07164864 A JPH07164864 A JP H07164864A
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JP
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cooling water
temperature
passage
valve
thermostat
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Application number
JP25403894A
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Inventor
Yoshimitsu Inoue
美光 井上
Hikari Sugi
光 杉
Shinji Aoki
青木  新治
Toshio Morikawa
敏夫 森川
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 第1の目的は、1つのサーモスタット9で複
数の流路の開閉機能と流量制御機能を持たせることによ
りコストダウンを図った回路制御弁5の提供にあり、第
2の目的は、弁機構を簡素化した車両用暖房装置の温水
回路2を提供すること。 【構成】 温水回路2に介在された回路制御弁5は、ケ
ース本体内に配されたサーモスタット9、このサーモス
タット9の作動に連動する弁体10を備える。サーモス
タット9は、第2通過口が形成された外容器13、ワッ
クスを収納したワックスボックス14等を備え、第1ケ
ース7に設けられた第1流入口7aより流入する冷却水
の温度が40℃以上に上昇すると、ワックスの体積膨脹
に伴ってワックスボックス14が移動することにより、
第2通過口を開口する。弁体10は、連結棒18によっ
てワックスボックス14に連結されて、ワックスボック
ス14の移動に伴ってケース本体に設けられた第1通過
口の開口割合を可変する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流体通路より分岐通路
へ分流する流体の流量制御を行う流量制御弁、およびそ
の流量制御弁を有する車両用暖房装置の温水回路に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、エンジン冷却水を熱源として
車室内暖房を行う車両用暖房装置では、エンジン始動直
後で冷却水温が低い時には充分な暖房効果が得られな
い。そこで、冷却水が循環する温水回路に冷却水を保温
する保温タンクを備えるとともに、温水回路を流れる冷
却水の流れ方向および流量を制御するための弁機構を設
け、エンジン冷却水温が低い時には、弁機構を制御し
て、保温タンクに保温されている高温の冷却水をヒータ
コアに供給することにより即効暖房を行う方法が提案さ
れている(特開平2−120120号、特開平2−12
0119号、特開平4−59163号各公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、温水回路に
設けられた弁機構は、保温タンク内の冷却水を利用して
即効暖房を行うために、エンジンより流出する低温の冷
却水が直接ヒータコアへ流れないように温水回路を開閉
する開閉機能、および保温タンクよりヒータコアに供給
される冷却水の流量を調節する流量調節機能を必要とす
る。このため、従来では、流量制御弁と電磁弁とを組み
合わせて弁機構を構成したり、2個以上のサーモスタッ
トを使用して弁機構を構成する必要があるため、弁機構
が複雑で部品点数も多く、コストが高くなるという課題
を有していた。
【0004】本発明は、上記事情に基づいて成されたも
ので、第1の目的は、1つのサーモスタットで複数の流
路の開閉機能と流量制御機能を持たせることによりコス
トダウンを図った流量制御弁の提供にあり、第2の目的
は、弁機構を簡素化した車両用暖房装置の温水回路を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1の目的を
を達成するために、請求項1では、分岐通路を有する流
体通路に配されて、この流体通路を流れる流体の温度変
化によって作動する感温作動部材を有し、この感温作動
部材の作動に伴って前記流体通路を開閉可能に設けられ
たサーモスタットと、前記感温作動部材と連結されて、
前記感温作動部材の作動に関連して前記分岐通路の開口
割合を可変する弁体とを備えたことを技術的手段とす
る。
【0006】請求項2では、分岐通路を有する流体通路
に配されて、この流体通路を流れる流体の温度変化によ
って作動する感温作動部材を有し、この感温作動部材の
作動に伴って前記流体通路を開閉可能に設けられたサー
モスタットと、前記感温作動部材と別体で設けられて、
前記感温作動部材の作動に関連して前記分岐通路の開口
割合を可変する弁体とを備えたことを技術的手段とす
る。
【0007】請求項3では、請求項1または2に記載さ
れた流量制御弁において、前記弁体は、前記分岐通路を
閉じた状態で所定量の流体を流すことのできるオリフィ
スが設けられたことを特徴とする。請求項4では、請求
項3に記載された流量制御弁において、前記弁体は、前
記感温作動部材との間に所定の間隔をおいて配され、前
記感温作動部材の作動途中から、前記感温作動部材によ
って前記オリフィスが閉塞された状態で前記感温作動部
材と連動することを特徴とする。
【0008】また、第2の目的を達成するために、請求
項5では、エンジン冷却水との熱交換によって車室内へ
送風される空気を加熱するヒータコアと、内部に貯留し
た冷却水を長時間保温することのできる保温タンクと、
前記エンジンより流出した冷却水を前記保温タンクを迂
回して前記ヒータコアへ導く冷却水通路と、この冷却水
通路より前記保温タンクへ冷却水を導く冷却水流入路
と、前記保温タンクより前記冷却水通路へ冷却水を導く
冷却水流出路と、前記冷却水流入路との接続部位から前
記冷却水流出路との接続部位までの間の前記冷却水通路
に配されて、前記冷却水通路を開閉可能に設けられ、前
記エンジンより流出した冷却水の温度が所定温度以上の
時に開弁するサーモスタット、および前記冷却水流入路
に配されて、前記サーモスタットの作動に関連して前記
冷却水流入路の開口割合を可変する弁体から成る流量制
御弁とを備えたことを技術的手段とする。
【0009】請求項6では、請求項5に記載された車両
用暖房装置の温水回路において、前記弁体は、前記冷却
水流入路を閉じた状態で所定量の流体を流すことのでき
るオリフィスが設けられたことを特徴とする。請求項7
では、請求項6に記載された車両用暖房装置の温水回路
において、前記弁体は、前記サーモスタットとの間に所
定の間隔をおいて配され、前記サーモスタットの作動途
中から、前記サーモスタットによって前記オリフィスが
閉塞された状態で前記サーモスタットと連動することを
特徴とする。
【0010】
【作用】請求項1に示す流量制御弁は、流体通路を流れ
る流体の温度変化によってサーモスタットの感温作動部
材が作動し、この感温作動部材の作動に伴って流体通路
の開閉が行われる。また、感温作動部材と連結されて感
温作動部材の作動に関連する弁体により、流体通路から
分岐する分岐通路の開口割合を可変することで、流体通
路から分岐通路へ流れる流体流量を制御することができ
る。
【0011】請求項2に示す流量制御弁は、流体通路を
流れる流体の温度変化によってサーモスタットの感温作
動部材が作動し、この感温作動部材の作動に伴って流体
通路の開閉が行われる。また、感温作動部材と別体で設
けられて感温作動部材の作動に関連する弁体により、流
体通路から分岐する分岐通路の開口割合を可変すること
で、流体通路から分岐通路へ流れる流体流量を制御する
ことができる。
【0012】請求項5に示す車両用暖房装置の温水回路
は、エンジンより流出する冷却水の温度が所定温度以上
の時に、冷却水通路に配されたサーモスタットが開弁す
ることにより、冷却水通路を通ってエンジンよりヒータ
コアへ冷却水が流れる。また、サーモスタットの作動に
関連する弁体が冷却水流入路の開口割合を可変すること
により、保温タンクへ流れる冷却水流量、即ち保温タン
クより冷却水流出路を通ってヒータコアへ供給される冷
却水流量を制御することができる。
【0013】
【実施例】次に、本発明の流量制御弁を車両用暖房装置
の温水回路に適用した場合の一実施例を図1ないし図6
に基づいて説明する。図1は車両用暖房装置の温水回路
図である。本実施例の車両用暖房装置は、エンジン1の
冷却水回路(図示しない)と連絡された温水回路2を備
える。
【0014】温水回路2は、温水式のヒータコア3、冷
却水を保温するための保温タンク4、および回路制御弁
5(本発明の流量制御弁)を備え、それぞれ図1に示す
ように温水配管6によって接続されている。ヒータコア
3は、車室内に送風空気を導くダクト(図示しない)内
に配されて、このダクト内を流れる空気を冷却水との熱
交換によって加熱する暖房用熱交換器である。
【0015】保温タンク4は、内部に貯溜した冷却水を
長時間保温することができるもので、例えば、外気温0
℃の時に、水温85℃の冷却水を12時間経過後に水温
78℃まで保温可能な保温性能を備える。この保温タン
ク4には、保温タンク4内の底部寄りに開口する流入用
パイプ4aと、保温タンク4内の上部寄りに開口する流
出用パイプ4bとが設けられている。
【0016】回路制御弁5は、温水回路2のヒータコア
3より上流に配置され、回路制御弁5に流入する冷却水
の温度(以下冷却水温と言う)に応じて、ヒータコア3
へ供給される冷却水流量を調節するものである。この回
路制御弁5は、第1ケース7と第2ケース8とから成る
ケース本体、このケース本体に収納されるサーモスタッ
ト9、およびサーモスタット9の作動に連動する弁体1
0等より構成される。
【0017】第1ケース7は、温水配管6を介してエン
ジン1と連絡される第1流入口7a、および温水配管6
を介して保温タンク4の流入用パイプ4aと連絡される
第1流出口7bが形成されるとともに、第1流入口7a
と第1流出口7bとの間に、上記弁体10が着座(当
接)するための弁台座7cが設けられている。以下、こ
の弁台座7cの内周に形成される開口部を第1通過口と
呼ぶ。なお、本発明の分岐通路は、第1通過口から第1
流出口7bへ通じる流路によって形成される。
【0018】第2ケース8は、温水配管6を介して保温
タンク4の流出用パイプ4bと連絡される第2流入口8
a、および温水配管6を介してヒータコア3と連絡され
る第2流出口8bが形成されている。第1ケース7と第
2ケース8とは、パッキン11を介してボルト12によ
り連結固定されている。
【0019】サーモスタット9は、第1流入口7aから
第2流出口8bへ通じるケース本体内の流路を開閉する
開閉手段で、外容器13、ワックスボックス14、シャ
フト15、スプリング16等より構成されている。外容
器13は、図4にも示すように、外周にフランジ部13
aが設けられて、このフランジ部13aがパッキン11
とともに第1ケース7と第2ケース8との間に挟み込ま
れて固定されている。また、外容器13には、フランジ
部13aの第1ケース7側と第2ケース8側の周壁面に
それぞれ複数の開口部13b、13cが形成されるとと
もに、第1ケース7側の開口部13bと第2ケース8側
の開口部13cとの間の内周側に環状の仕切壁13dが
設けられている。以下、この仕切壁13dの内周に形成
される開口部を第2通過口と呼ぶ。なお、本発明の流体
通路は、第2通過口を通って第1流入口7aから第2流
出口8bへ通じる流路によって形成される。
【0020】ワックスボックス14(本発明の感温作動
部材)は、図4に示すように、内部にワックスWを収納
する円筒状の容器で、その外周には、一定の肉厚で環状
に張り出す膨出部14aが設けられている。このワック
スボックス14は、外容器13の内部で、膨出部14a
が外容器13の仕切壁13dより第1ケース7側に位置
するように配されて、外容器13と膨出部14aとの間
に配された円錐形のスプリング16によって第2ケース
8側へ付勢されている。
【0021】なお、スプリング16に付勢されたワック
スボックス14は、仕切壁13dの内径(第2通過口の
内径)より大径に設けられた膨出部14aが仕切壁13
dに当接することで位置決めされる。ワックスWは、第
1流入口7aより流入する冷却水温度が或る温度(本実
施例では40℃)で液相となり、固相から液相への相変
化に伴う体積膨脹を生じる。また冷却水温が40℃以上
では、温度上昇に応じて体積膨脹を生じる。
【0022】シャフト15は、一端(図4の右端)が外
容器13の第2ケース8側先端部に固定されて、他端が
ワックスボックス14内に挿入されている。シャフト1
5の他端には、ワックスボックス14内の底部側(図4
の左側)にワックスWを封じ込めるプレート17が設け
られている。なお、ワックスボックス14は、外容器1
3に固定されたシャフト15に対して摺動可能に設けら
れている。従って、ワックスボックス14は、プレート
17によって封じ込められたワックスWの体積変化に伴
ってシャフト15との相対位置が変化する。
【0023】このサーモスタット9は、ワックスWが固
相状態の時に、ワックスボックス14の膨出部14aが
外容器13の仕切壁13dに当接することで第2通過口
を閉塞する(サーモスタット9が閉じる)。そして、冷
却水温の上昇に伴ってワックスWが固相状態から液相状
態に変化し、ワックスWの体積が膨脹すると、その膨脹
力がスプリング16の付勢力に打ち勝つことで、ワック
スボックス14自身が外容器13内を図1の左側へ移動
する。
【0024】この結果、ワックスボックス14の膨出部
14aが外容器13の仕切壁13dより離れて第2通過
口を開く(サーモスタット9が開く)。この第2通過口
が開くと、外容器13に形成された第1ケース7側の開
口部13bと第2ケース8側の開口部13cとが連通す
ることから、第1流入口7aより第1ケース7内に流入
した冷却水が、開口部13b→第2通過口→開口部13
cの順に外容器13の内部を流れて、第2ケース8側へ
流れることが可能となる。
【0025】弁体10は、第1ケース7に設けられた弁
台座7cとの間で弁機構を構成するもので、弁台座7c
の内径(第1通過口の内径)より若干小径で所定の長さ
を有する径小部10aと、弁台座7cの内径より大径に
設けられた径大部10bとを有し、その径大部10bか
ら径小部10aにかけて、図2に示すように、外周の一
部に溝10c(本発明のオリフィスに相当する)が形成
されている。この弁体10は、径小部10aがサーモス
タット9側に位置して、ワックスボックス14の移動と
連動できるように連結棒18によってワックスボックス
14の底部に連結されている。
【0026】弁体10と弁台座7cとの位置関係は、サ
ーモスタット9が閉じた状態の時(ワックスWが固相状
態の時)に、径大部10bが弁台座7cの第1流出口7
b側に当接して第1通過口を閉塞するように設けられて
いる(図1および図4に示す状態)。なお、この時で
も、弁体10に形成された溝10cを介して第1流入口
7a側と第1流出口7b側とが連通されており、第1流
入口7aより流入した冷却水が、弁体10の溝10cを
通って第1流入口7a側から第1流出口7b側へ流れる
ことができる。但し、溝10cを通過する冷却水流量
は、約0.5リットル/分である。
【0027】また、弁体10は、径小部10aが弁体1
0の移動方向(図1の左右方向)に所定の長さを有する
ことから、ワックスWの膨脹によってワックスボックス
14が移動しても、径小部10aの端面が弁台座7cを
通過するまでは、弁台座7cと径小部10aとの間の隙
間が微小であることから、第1通過口を流れる冷却水流
量は微少(溝10cのみを通って流れる冷却水流量より
は若干多い程度)である(図5参照)。その後、さらに
ワックスボックス14が移動して、第1通過口の開口割
合が大きくなると、その開口割合に応じて第1通過口を
通過する冷却水流量が増加する(図6参照)。
【0028】この弁体10のリフト量と冷却水温との関
係を図3に示す。弁体10は、ワックスWの相変化によ
る体積膨脹に伴ってリフト(弁体10の径大部10bが
弁台座7cから離れること)し始め、ワックスWが液相
となる約40℃で、径小部10aの端面が弁台座7cま
で達するリフト量a(図1参照)が得られる。その後、
冷却水温の上昇に伴ってリフト量が大きくなる。
【0029】次に、本実施例の作動を説明する。温水配
管6を通ってエンジン1より回路制御弁5へ導かれた冷
却水は、回路制御弁5の第1流入口7aより第1ケース
7内へ流入する。この時、冷却水温が40℃以下(0〜
40℃)では、ワックスWが固相状態を維持するため、
サーモスタット9は閉状態となる。一方、弁体10は、
サーモスタット9が閉状態であることから、弁台座7c
からリフトすることはなく、第1通過口は閉じられてい
る(図4参照)。
【0030】従って、第1流入口7aより流入した冷却
水は、第1流入口7a側から弁体10に形成された溝1
0cを通過して第1流出口7b側へ流れた後、温水配管
6および保温タンク4の流入用パイプ4aを通って保温
タンク4内へ流入する。これにより、保温タンク4内に
貯溜されていた高温の冷却水が押し出されて、流出用パ
イプ4bおよび温水配管6を通って第2流入口8aより
第2ケース8内に流入し、さらに第2流出口8bより温
水配管6を通ってヒータコア3へ供給される。この結
果、ヒータコア3で高温の冷却水との熱交換によってダ
クト内を流れる空気が加熱されて即効暖房を行うことが
できる。
【0031】その後、冷却水温が40℃を超えると、ワ
ックスWが固相から液相へ変化することによってワック
スWが膨脹し、それに伴ってワックスボックス14の膨
出部14aと外容器13の仕切壁13dとの間が開いて
第2通過口が開口する。また、弁体10は、ワックスW
の膨脹に伴うワックスボックス14の移動によってリフ
トするが、冷却水温が約80℃以下では、第1通過口の
開口割合は小さい(図5参照)。
【0032】従って、第1流入口7aより流入した冷却
水の大部分は、保温タンク4へ流入することなく、その
ままサーモスタット9の第2通過口を通って直接ヒータ
コア3へ供給され、残りの微少流量が、第1通過口を通
って保温タンク4へ導かれる。この結果、ヒータコア3
には、エンジン1から回路制御弁5を経て導かれた冷却
水(水温40〜80℃)と、保温タンク4に貯溜されて
いた高温の冷却水とが供給されて通常の暖房運転を行う
ことができる。
【0033】さらに冷却水温が80℃を超えると、ワッ
クスWの膨脹に伴ってサーモスタット9の第2通過口の
開口割合が大きくなるとともに、弁体10のリフト量も
大きくなって、第1通過口の開口割合も大きくなる(図
6参照)。これにより、高温の冷却水がヒータコア3に
供給されて暖房運転を行うことができる。また、第1通
過口を通って保温タンク4に導かれる冷却水流量が増加
することから、保温タンク4に高温の冷却水を貯溜して
蓄熱することができる。
【0034】次に、本発明の第2実施例を説明する。図
7〜図9は回路制御弁5の断面図である。本実施例の回
路制御弁5は、ケース本体19、サーモスタット9、可
動弁20、スプリング21等より構成される。ケース本
体19は、エンジン冷却水が流入する第1流入口19
a、保温タンク4(図1参照)の流入用パイプ4aと連
絡された第1流出口19b、保温タンク4の流出用パイ
プ4bと連絡された第2流入口19c、およびヒータコ
ア3と連絡された第2流出口19dを有する。また、ケ
ース本体19の内部には、可動弁20との間で弁機構を
構成するケース座19eが設けられている。
【0035】サーモスタット9は、ケース本体19に固
定された外容器13、この外容器13内に配されたワッ
クスボックス14、このワックスボックス14を付勢す
るスプリング16、外容器13の底部側(図7の左側)
でワックスボックス14に固定された台座22、この台
座22とともにワックスボックス14に固定された作動
棒23等を備える。このサーモスタット9の作動は、第
1実施例の場合と同様に、ワックスボックス14に収納
されたワックス(図示しない)が体積変化を生じること
により、外容器13に固定されたシャフト15に対して
ワックスボックス14自身が図7の左右方向に移動し
て、サーモスタット9の第2通過口を開閉する。
【0036】可動弁20(本発明の弁体10)は、作動
棒23に移動可能な状態で嵌め合わされて、スプリング
21によってサーモスタット9側へ付勢されている。可
動弁20には、ケース座19eに当接することでケース
座19eの内周に形成される第1通過口を閉塞する弁部
20aが設けられるとともに、サーモスタット9の台座
22と対向する位置に台座受け24が取り付けられてい
る。また、弁部20aには、第1実施例と同様に溝20
b(本発明のオリフィスに相当する)が形成されてお
り、弁部20aがケース座19eに当接して第1通過口
を閉塞した状態でも、溝20bを通って冷却水が流れる
ことができる。
【0037】次に、本実施例の作動を説明する。冷却水
温が40℃以下(0〜40℃)では、サーモスタット9
が閉状態となるため、可動弁20はスプリング21に付
勢されて第1通過口を閉塞した状態を保つ(図7参
照)。従って、第1流入口19aより流入した冷却水
は、弁部20aに形成された溝20bを通って第2流出
口19dより流出した後、保温タンク4に導かれる。こ
の結果、保温タンク4に貯溜されていた高温の冷却水が
ヒータコア3へ供給されて即効暖房が行われる。
【0038】冷却水温が40℃以上(40〜80℃)で
は、その冷却水温に応じてワックスボックス14が移動
してサーモスタット9の第2通過口を開口する。また、
ワックスボックス14の移動に伴って、ワックスボック
ス14に固定された台座22が可動弁20の台座受け2
4を押圧する。この押圧力がスプリング21の付勢力よ
り大きくなると、可動弁20が移動して第1通過口が開
口する(図8参照)。この時、第1通過口の開口割合が
小さいことから、第1通過口を通過して保温タンク4に
導かれる冷却水流量は微少であり、第1流入口19aよ
り流入した冷却水の大部分は、サーモスタット9の第2
通過口を通ってヒータコア3へ供給される。
【0039】さらに冷却水温が80℃以上に上昇する
と、ワックスボックス14の移動に伴って第2通過口お
よび第1通過口の開口割合が共に大きくなる(図9参
照)。これにより、ヒータコア3にエンジン1より流出
した高温の冷却水を大量に供給することができるととも
に、保温タンク4に高温の冷却水を貯溜して蓄熱するこ
ともできる。
【0040】次に、本発明の第3実施例を説明する。図
10は保温タンクおよび回路制御弁の断面図、図11は
車両用暖房装置に用いられる温水回路の模式図である。
なお、部品に付す番号は、第1実施例および第2実施例
と共通ではない。本実施例の温水回路1は、図11に示
すように、温水式のヒータコア2、高温の冷却水を保温
する保温タンク3、および回路制御弁4(本発明の流量
制御弁)を備え、温水配管5によりエンジン6と接続さ
れている。ヒータコア2は、車室内に送風空気を導くダ
クト(図示しない)内に配されて、ヒータコア2を通過
する空気とヒータコア2の内部を流れる高温の冷却水と
の熱交換を行うことで、通過する空気を加熱する。
【0041】保温タンク3は、内部に所定量(例えば3
リットル)の冷却水を貯留して長時間保温することがで
きる。この保温タンク3は、図10に示すように、タン
ク底部に回路制御弁4との連絡口3aが設けられて、そ
の連絡口3aに回路制御弁4の接続ポート40がOリン
グ7を介して液密に挿入される。保温タンク3の内部に
は、保温タンク3内に貯留した高温の冷却水を流出させ
るための流出パイプ8が設けられている。この流出パイ
プ8は、保温タンク3内の上下方向に延びて配されて、
上端が保温タンク3内の上部に開口し、下端が接続ポー
ト40内に形成される第2接続口40bに接続されてい
る。
【0042】また、流出パイプ8には、その下端部の外
周に冷温水混合防止板8aが突設されている。この冷温
水混合防止板8aは、接続ポート40内に形成される第
1接続口40aと対向する位置に設けられて、第1接続
口40aより流入した低温の冷却水と保温タンク3内に
貯留されている高温の冷却水との混合を防止する。
【0043】回路制御弁4は、図10に示すように、バ
ブルボディ9、バブルケース10、バブルケース11、
サーモスタット12、オリフィス弁13、スプリング1
4等より構成されて、第1接続口40aを介して保温タ
ンク3に通じる流路Aと、保温タンク3を迂回する流路
Bとが形成されている。
【0044】バルブボディ9には、冷却水が流入する流
入ポート41、冷却水が流出する流出ポート42、上記
の接続ポート40が設けられるとともに、流入ポート4
1に通じる中空円筒状の連通室43が形成されている。
そして、この連通室43の上端開口部には、全周に渡っ
て内周側へ張り出された弁台座44が形成されている。
なお、接続ポート40は、その内部が流路Aに通じる第
1接続口40aと、流路Bに通じる第2接続口40bと
に分割されている。
【0045】バルブケース10は、バルブボディ9との
間にOリング15を介して液密に組付けられて、バルブ
ボディ9と共に前述の流路Aを形成し、図示しないボル
トによりバルブボディ9と連結固定されている。バルブ
ケース10の内部には、オリフィス弁13の作動を案内
する支柱10aが設けられている。この支柱10aは、
弁台座44の内径中心を通る軸線上に位置し、バルブケ
ース10の上端内壁面から弁台座44の内径中心へ向か
って棒状に突設されている。
【0046】バルブケース11は、バルブボディ9との
間にサーモスタット12の外周に設けられたフランジ部
17a(図14参照)を挟み込んだ状態でOリング16
を介して液密に組付けられて、バルブボディ9と共に前
述の流路Bを形成し、図示しないボルトによりバルブボ
ディ9と連結固定されている。
【0047】サーモスタット12は、周知の構造を成す
もので、図14および図15に示すように、前述のフラ
ンジ部17aを有するケーシング17、このケーシング
17内で変位可能に配されたワックスボックス18、一
端がケーシング17に固定されて、他端がワックスボッ
クス18内に挿入されたシャフト19、ワックスボック
ス18を付勢するスプリング20等より構成されてい
る。
【0048】このサーモスタット12は、ワックスボッ
クス18に収納されたワックス(図示しない)の体積変
化に伴ってワックスボックス18自身が変位すること
で、ケーシング17に形成された開口部17bを開閉す
る。具体的には、サーモスタット12の周囲を流れる冷
却水の温度が低いと(例えば40℃未満)、ワックスボ
ックス18に収納されたワックスが固相状態を維持する
ことにより、ワックスボックス18は変位することなく
静止状態を保つ。
【0049】但し、静止状態とは、ワックスボックス1
8がスプリング20に付勢されて、ワックスボックス1
8の頭部外周に設けられたスプリング受部21がケーシ
ング17の開口部周縁に当接して開口部17bを閉じた
状態(図10に示す状態)を言う。以後、この開口部1
7bが閉じることを「サーモスタット12が閉じる(閉
弁)」と言う。なお、このサーモスタット12が閉じた
状態では、ワックスボックス18の先端面(図10の上
端面)がケーシング17から突出することはなく、ワッ
クスボックス18全体がケーシング17内に収まってい
る。
【0050】また、サーモスタット12の周囲を流れる
冷却水の温度が高くなると(例えば40℃以上)、ワッ
クスボックス18に収納されたワックスが固相から液相
へ変化し、その相変化に伴って体積膨脹を生じる。この
ワックスの体積膨脹が、ワックスボックス18内でシャ
フト19の端部に設けられたプレート(図示しない)に
作用することにより、シャフト19に対して摺動自在に
設けられたワックスボックス18自体がスプリング20
の付勢力に抗して図示上方へ変位する(以後、リフトす
ると言う)。
【0051】そして、このワックスボックス18がリフ
トすることにより、スプリング受部21が開口部周縁よ
り離れて開口部17bを開く。以後、この開口部17b
が開くことを「サーモスタット12が開く(開弁)」と
言う。なお、このサーモスタット12が開いた状態で
は、ワックスの体積膨脹に応じて、即ちワックスボック
ス18のリフト量に応じて、ワックスボックス18の先
端側がケーシング17より図示上方へ突出する。
【0052】オリフィス弁13は、平面形状が弁台座4
4の内周径より大きな外径を有する円形状を呈し、その
径方向の中央部を貫通して、先端側にオリフィス13
a、後端側にオリフィス13aより大径でバルブケース
10の支柱10aに嵌め合される嵌合孔13bが形成さ
れている。但し、嵌合孔13bは、その内径が支柱10
aの外径より大きく、嵌合孔13bと支柱10aとの間
に形成される隙間がオリフィス13aの通路断面積(S
mm2 )より大きくなるように設けられている。また、こ
のオリフィス弁13には、オリフィス13aが形成され
た先端側外周に、ゴム等の弾性材で形成された環状のシ
ール材22が嵌め合わされている。
【0053】このオリフィス弁13は、バルブケース1
0の支柱10aに嵌合孔13bを嵌め合わせた状態で、
バルブケース10とオリフィス弁13との間に配された
スプリング14によって図示下方へ付勢され、先端側外
周に装着されたシール材22がバルブボディ9の弁台座
44に押圧されて連通室43の上端開口部(弁台座44
の内周に形成される開口部)を閉塞している(図10に
示す状態)。但し、オリフィス弁13は、嵌合孔13b
が支柱10aに対して余裕を持って嵌め合わされること
で、支柱10aに沿って図示(図10)上下方向に変位
可能、つまり支柱10aを案内軸として変位可能に設け
られている。
【0054】また、このオリフィス弁13は、オリフィ
ス13aが開口する先端面がサーモスタット12のワッ
クスボックス18の先端面と対向して配されており、サ
ーモスタット12が開いた場合、即ちワックスボックス
18が図示上方へリフトした場合は、そのワックスボッ
クス18の先端面がオリフィス弁13の先端面に当接す
ることでオリフィス13aが閉塞される。その後、さら
にワックスボックス18がリフトすると、オリフィス弁
13は、オリフィス13aが閉塞された状態のまま、ス
プリング14の付勢力に抗して図示上方へ押し上げられ
る(以下リフトすると言う)。
【0055】この結果、それまで弁台座44に押しつけ
られていたオリフィス弁13のシール材22が弁台座4
4より離れることで、連通室43の上端開口部が開口す
ることになる。以後、オリフィス弁13のリフトに伴っ
て連通室43の上端開口部が開口することを「オリフィ
ス弁13が開く(開弁)」と言い、オリフィス弁13が
スプリング14に付勢されて連通室43の開口部を閉じ
ることを「オリフィス弁13が閉じる(閉弁)」と言
う。
【0056】次に、本実施例の作動を図12に示すタイ
ムチャートに基づいて説明する。なお、図12に示すタ
イムチャートは、回路制御弁4の流入ポート41より流
入する冷却水の温度(入口水温t1 )と流出ポート42
より流出する冷却水の温度(出口水温t2 )との時間経
過に伴う変化を示すグラフ(a)、およびサーモスタッ
ト12の開口面積とオリフィス弁13の開口面積の時間
経過に伴う変化を示すグラフ(b)である。但し、図1
2(b)の縦軸に記した記号Sは、オリフィス13aの
通路断面積である。
【0057】a)エンジン始動時は、冷却水が低温(4
0℃未満)であることから、サーモスタット12は閉弁
している。このサーモスタット12が閉弁していること
で、オリフィス弁13は、スプリング14の付勢力を受
けて連通室43の上端開口部を閉じている(図10に示
す状態)。この時、オリフィス弁13は、弁台座44に
当接するシール材22が弾性を有することから、スプリ
ング14の付勢力によりシール材22が弁台座44に押
圧されて密着することで、弁台座44とシール材22と
の間のシール性を高めることができる。
【0058】これにより、流入ポート41より連通室4
3へ流入した冷却水(低温)は、オリフィス弁13のオ
リフィス13aおよび嵌合孔13bと支柱10aとの隙
間を通り抜けて流路Aを流れ、第1接続口40aより保
温タンク3内へ流入する。この保温タンク3内へ冷却水
が流入することで、それまで保温タンク3内に貯留され
ていた高温の冷却水が流出パイプ8を通って押し出され
ることになる。但し、第1接続口40aより保温タンク
3内へ流入する冷却水は、第1接続口40aと対向して
設けられた冷温水混合防止板8aによって保温タンク3
内に貯留されている高温の冷却水との混合が防止され
て、保温タンク3内の底部に溜まる。これにより、流出
パイプ8を通って流出する冷却水の温度低下を防止する
ことができる。
【0059】流出パイプ8を通って保温タンク3より押
し出された冷却水は、第2接続口40bを通って流路B
を流れ、流出ポート42より流出してヒータコア2へ供
給される。この結果、ヒータコア2を通過する空気がヒ
ータコア2の内部を流れる高温の冷却水との熱交換によ
り加熱されて車室内へ送られることにより、車室内への
温風吹出が可能となる。この作動を即効ヒータモードと
言う。
【0060】この即効ヒータモードでは、オリフィス弁
13のオリフィス13aを通って流れる冷却水流量だけ
保温タンク3内の高温の冷却水をヒータコア2へ供給す
ることができる。言い換えれば、ヒータコア2を流れる
冷却水流量は、オリフィス弁13のオリフィス径に左右
される。
【0061】そこで、即効ヒータモードを行う場合のオ
リフィス径の最適値を検討した。一般に、人間の温熱感
では、45℃以上の吹出温度があると温かいと感じるこ
とができる。エンジン始動後、ヒータコア2へ供給され
る冷却水が、45℃の吹出温度を可能とする水温となる
までに約3分かかる。従って、約3分間は、保温タンク
3に貯留しておいた高温の冷却水によって45℃の吹出
温度を確保したい。保温タンク3の内容量を3リットル
とした場合、最高で毎分1リットルの冷却水流量をヒー
タコア2へ流すことができる。
【0062】そこで、図13に示すように、エンジン6
のアイドリング時(ポンプ圧ΔP=0.108bar)
において、毎分1リットルの冷却水流量を流すことので
きるオリフィス径(オリフィス穴面積)を求めた。な
お、車両走行時には、エンジン6により駆動されるポン
プ(図示しない)の回転数が上昇することからポンプ圧
ΔPが高くなり(アイドリング時と比べて)、ヒータコ
ア2へ供給される冷却水流量が多くなるため、保温タン
ク3内の冷却水(当初保温されていた高温の冷却水)が
なくなる時間も短くなる。しかし、車両走行時は冷却水
の温度上昇によって45℃の吹出温度を可能とする水温
となるまでの時間が短縮されることから、アイドリング
時と同一のオリフィス径で問題はない。
【0063】b)エンジン始動後、エンジン6の暖機と
ともに冷却水温が上昇し、流入ポート41より連通室4
3へ流入する冷却水の温度が40℃に達すると、ワック
スボックス18がリフトしてサーモスタット12が開弁
する。そして、ワックスボックス18の先端面がオリフ
ィス弁13の先端面に当接してオリフィス13aを塞ぐ
ことにより、流入ポート41より連通室43へ流入した
冷却水は、図14に示すように、保温タンク3へ流れる
ことはなく、サーモスタット12の開口部を通って流路
Bを流れ、流出ポート42より流出してヒータコア2へ
供給される。この作動を温水バイパスモードと言う。
【0064】このように、温水バイパスモードでは、ワ
ックスボックス18によってオリフィス13aが閉塞さ
れることから、水温40℃未満の冷たい冷却水はすべて
保温タンク3内に貯留されてヒータコア2へ供給される
ことがない。このため、即効ヒータモード後に吹出温度
が急激に低下することはなく、所望の暖房効果を得るこ
とができる。
【0065】c)その後、冷却水温の上昇と共にワック
スボックス18のリフト量が大きくなると、ワックスボ
ックス18によりオリフィス13aが閉じられた状態の
ままオリフィス弁13が持ち上げられることで、オリフ
ィス弁13が開弁する。即ち、オリフィス弁13に装着
されたシール材22が弁台座44より離れて連通室43
の上端開口部が開かれる。ワックスボックス18のリフ
ト量は、流入ポート41より連通室43へ流入する冷却
水の温度が約80℃まで上昇した時に最大となり、オリ
フィス弁13のリフト量も最大となる。即ち、サーモス
タット12の開口度合い(ケーシング開口部17bの開
口面積)、およびオリフィス弁13の開口度合い(弁台
座44内周の開口面積)が共に最大となる(図12参
照)。
【0066】これにより、流入ポート41より連通室4
3へ流入した冷却水は、図15に示すように、流路Bを
流れてヒータコア2へ供給されると共に、流路Aを流れ
て保温タンク3内へも流れ込み、保温タンク3より押し
出された冷却水が流路Bの流れと合流してヒータコア2
へ供給される。この結果、高温の冷却水がヒータコア2
へ供給されるとともに、保温タンク3内にも貯留される
ことになる。以後、この作動を蓄熱モードと言う。
【0067】なお、この蓄熱モードでは、冷却水温が約
80℃に達してから2分以内に保温タンク3を水温80
℃以上の冷却水で満水にしたいという狙いがある。これ
は、車両による通勤時間を最短約10分と考えた場合、
上述の即効ヒータモード、温水バイパスモード、蓄熱モ
ードの一連のモード変化を10分で終了する必要があ
り、エンジン始動後、冷却水温が0℃から80℃となる
までに約8分かかるためである。従って、次回の即効ヒ
ータモードに備えるためには、冷却水温が約80℃に達
してから残り2分以内に保温タンク3内を水温80℃以
上の冷却水で満水にする必要がある(図16参照)。
【0068】保温タンク3内を満水にする時間は、流路
Aを流れる冷却水流量、即ちオリフィス弁13の開口度
合いに左右される。そのオリフィス弁13は、ワックス
ボックス18がリフトしてオリフィス弁13の先端面に
当接した後、ワックスボックス18と連動してリフトす
る。従って、保温タンク3内を満水にする時間を短縮す
るためには、オリフィス弁13を早期に全開させて流路
Aを流れる冷却水流量を増加させれば良い。
【0069】そこで、オリフィス弁13のリフト開始時
期を早めるために、ワックスボックス18と対向するオ
リフィス弁13の先端側をワックスボックス18側へ延
ばしてワックスボックス18との間隔を小さくするかさ
上げ部13cを設けた(図18参照)。そして、図17
に示すように、保温タンク3内を2分以内で満水にする
ことのできるかさ上げ部13cの長さ、即ちかさ上げ量
Lの最適値を求めた。具体的には、アイドリング時、即
ちポンプ圧ΔPが低い時(ΔP=0.108bar)
は、保温タンク3に通じる流路Aの通路内径をφA=8
からφA=10.2へ拡大することで、保温タンク3内
を2分以内で満水にすることのできるかさ上げ量Lの最
適値(矢印で示す値)を求めることができる。
【0070】また、車両走行時(例えば40km/
h)、即ちポンプ圧ΔPが高い時(ΔP=0.187b
ar)は、流路Aの通路内径がφA=8でも、保温タン
ク3内を2分以内で満水にすることのできるかさ上げ量
Lの最適値(矢印で示す値)を求めることができる。従
って、流路Aは、その通路内径をφA=10.2mm以
上とし、また、流路Bは、最大暖房運転を行うために必
要なヒータコア2流量を確保するために、通路内径φB
=9.2mm以上とした。
【0071】(本実施例の効果)以上のように、本実施
例の回路制御弁4は、サーモスタット12とオリフィス
弁13とを別体としたことにより、現在使用されている
流動品のサーモスタットを一切改良することなく、その
まま使用することができるため、第1実施例および第2
実施例の回路制御弁5と比較してコストダウンを図るこ
とが可能である。また、サーモスタット12とオリフィ
ス弁13とを別体としたことで、オリフィス弁13の位
置管理が容易となり、それに伴って流量制御性の向上
(流量誤差が少ない)を図ることができる。
【0072】本実施例の回路制御弁4は、オリフィス1
3aをオリフィス弁13の径方向中央部に形成し、即効
ヒータモード終了後、サーモスタット12のワックスボ
ックス18によってオリフィス13aを閉塞する構造と
したことにより、保温タンク3内に溜められたエンジン
始動直後の冷たい冷却水(40℃未満)がヒータコア2
へ流れるのを防止することができる。その結果、即効ヒ
ータモード終了後の吹出温度の急激な低下を防止するこ
とができる。
【0073】オリフィス弁13は、先端外周部に弾性材
より成るシール材22を装着したことにより、即効ヒー
タモード時におけるオリフィス弁13のシール性が向上
する。また、オリフィス弁13は、バルブボディ9に形
成された支柱10aに嵌合されて、この支柱10aに案
内されてリフトすることができるため、作動時の軸振れ
が防止される。
【0074】また、サーモスタット12の作動方向(図
10の上下方向)に対して、バルブボディ9の両側から
バルブケース10およびバルブケース11を組付ける構
造としたことにより組付け性が良い。また、バルブケー
ス10およびバルブケース11は、同一の外形状とする
(但し、ケース内側はバルブケース10に支柱10aが
設けられるため異なる)ことで、型の共通化によるコス
トダウンを図ることができる。
【0075】〔変形例〕第1実施例に示した弁体10お
よび第2実施例に示した可動弁20にそれぞれ溝10
c、20bを形成したが、溝10c、20bの代わりに
小孔を形成しても良い。
【0076】
【発明の効果】本発明の流量制御弁は、1つのサーモス
タットと、このサーモスタットの作動に関連する弁体と
により、流体通路の開閉(流量制御)および分岐通路を
流れる流体の流量制御を行うことができるため、コスト
ダウンを図ることができる。また、本発明の車両用暖房
装置の温水回路は、1つのサーモスタットと、このサー
モスタットの作動に関連する弁体とを備えた流量制御弁
で弁機構を構成することができる。このため、従来より
弁機構が簡素化されて、温水回路のコストダウンを図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係わる温水回路の模式図である。
【図2】弁体の斜視図である(第1実施例)。
【図3】冷却水温と弁体のリフト量との関係を示すグラ
フである(第1実施例)。
【図4】第1実施例の作動説明図である。
【図5】第1実施例の作動説明図である。
【図6】第1実施例の作動説明図である。
【図7】第2実施例に係わる回路制御弁の断面図であ
る。
【図8】第2実施例の作動説明図である。
【図9】第2実施例の作動説明図である。
【図10】第3実施例に係わる保温タンクおよび回路制
御弁の断面図である。
【図11】第3実施例に係わる温水回路の模式図(即効
ヒータモード時)である。
【図12】第3実施例の作動に係わるタイムチャートで
ある。
【図13】オリフィス径とヒータコア流量との関係を示
すグラフである(第3実施例)。
【図14】温水バイパスモード時の回路制御弁の断面図
である(第3実施例)。
【図15】蓄熱モード時の回路制御弁の断面図である
(第3実施例)。
【図16】冷却水温の立ち上がりを示すグラフである
(第3実施例)。
【図17】オリフィス弁のかさ上げ量を求めるグラフで
ある(第3実施例)。
【図18】かさ上げ部を設けたオリフィス弁の断面図で
ある(第3実施例)。
【符号の説明】
(第1実施例および第2実施例) 1 エンジン 2 温水回路 3 ヒータコア 4 保温タンク 5 回路制御弁(流量制御弁) 9 サーモスタット 10 弁体 10c 溝(オリフィス) 14 ワックスボックス(感温作動部材) 20 可動弁(弁体) 20b 溝(オリフィス) (第3実施例) 1 温水回路 2 ヒータコア 3 保温タンク 4 回路制御弁(流量制御弁) 6 エンジン 12 サーモスタット 13 オリフィス弁(弁体) 13a オリフィス 18 ワックスボックス(感温作動部材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森川 敏夫 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分岐通路を有する流体通路に配されて、こ
    の流体通路を流れる流体の温度変化によって作動する感
    温作動部材を有し、この感温作動部材の作動に伴って前
    記流体通路を開閉可能に設けられたサーモスタットと、 前記感温作動部材と連結されて、前記感温作動部材の作
    動に関連して前記分岐通路の開口割合を可変する弁体と
    を備えた流量制御弁。
  2. 【請求項2】分岐通路を有する流体通路に配されて、こ
    の流体通路を流れる流体の温度変化によって作動する感
    温作動部材を有し、この感温作動部材の作動に伴って前
    記流体通路を開閉可能に設けられたサーモスタットと、 前記感温作動部材と別体で設けられて、前記感温作動部
    材の作動に関連して前記分岐通路の開口割合を可変する
    弁体とを備えた流量制御弁。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載された流量制御弁
    において、 前記弁体は、前記分岐通路を閉じた状態で所定量の流体
    を流すことのできるオリフィスが設けられたことを特徴
    とする流量制御弁。
  4. 【請求項4】請求項3に記載された流量制御弁におい
    て、 前記弁体は、前記感温作動部材との間に所定の間隔をお
    いて配され、前記感温作動部材の作動途中から、前記感
    温作動部材によって前記オリフィスが閉塞された状態で
    前記感温作動部材と連動することを特徴とする流量制御
    弁。
  5. 【請求項5】a)エンジン冷却水との熱交換によって車
    室内へ送風される空気を加熱するヒータコアと、 b)内部に貯留した冷却水を長時間保温することのでき
    る保温タンクと、 c)前記エンジンより流出した冷却水を前記保温タンク
    を迂回して前記ヒータコアへ導く冷却水通路と、 d)この冷却水通路より前記保温タンクへ冷却水を導く
    冷却水流入路と、 e)前記保温タンクより前記冷却水通路へ冷却水を導く
    冷却水流出路と、 f)前記冷却水流入路との接続部位から前記冷却水流出
    路との接続部位までの間の前記冷却水通路に配されて、
    前記冷却水通路を開閉可能に設けられ、前記エンジンよ
    り流出した冷却水の温度が所定温度以上の時に開弁する
    サーモスタット、および前記冷却水流入路に配されて、
    前記サーモスタットの作動に関連して前記冷却水流入路
    の開口割合を可変する弁体から成る流量制御弁とを備え
    た車両用暖房装置の温水回路。
  6. 【請求項6】請求項5に記載された車両用暖房装置の温
    水回路において、 前記弁体は、前記冷却水流入路を閉じた状態で所定量の
    流体を流すことのできるオリフィスが設けられたことを
    特徴とする車両用暖房装置の温水回路。
  7. 【請求項7】請求項6に記載された車両用暖房装置の温
    水回路において、 前記弁体は、前記サーモスタットとの間に所定の間隔を
    おいて配され、前記サーモスタットの作動途中から、前
    記サーモスタットによって前記オリフィスが閉塞された
    状態で前記サーモスタットと連動することを特徴とする
    車両用暖房装置の温水回路。
JP25403894A 1993-10-22 1994-10-20 流量制御弁および車両用暖房装置の温水回路 Pending JPH07164864A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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