JPH0715355Y2 - 静止形レオナード装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本考案は、静止形レオナード装置に係り、特に界磁制御
装置に関する。

B.考案の概要 本考案は、電機子電圧を一定にする界磁弱め制御系を持
つ静止形レオナード装置において、 電圧制御アンプの最小リミッタ値を速度設定値に応じて
制御することにより、 界磁弱め制御状態でのマイナス負荷に速度制御ができる
ようにしたものである。

C.従来の技術 静止形レオナード装置は、基底速度までは直流電動機の
電機子電圧（定トルク）制御によって速度制御し、基底
速度を越える範囲では界磁弱め（定出力）制御によって
速度制御することで可変速度範囲を広くする。

第２図はサイリスタ・レオナード装置の制御ブロック図
を示す。直流電動機１はその電機子電圧をサイリスタコ
ンバータ２の位相制御によって制御され、この位相制御
には速度設定器３の設定値と速度検出器４の検出値との
比較による自動速度制御装置５によって行われる。

直流電動機１の界磁巻線1Aの電流制御は、速度設定器３
の設定値が基底速度を越える領域で所定の折線特性を持
って出力を低下させる折線アンプ６に電流指令を得、こ
の指令による自動電流制御アンプ７によってサイリスタ
コンバータ８の出力電流制御を行う。

D.考案が解決しようとする課題 従来の静止形レオナード装置において、界磁制御には折
線アンプ６の特性によって界磁電流と速度との関係が決
まり、この折線アンプ６に所期の特性を得るには複雑な
演算回路構成になる問題があった。また、直流電動機１
の界磁特性が変わる都度、折線アンプ６の特性も変える
必要性からその設計，調整に手間取るなど汎用性に劣る
問題があった。

上述の折線アンプを不要にするものとして、直流電動機
の端子電圧を一定にするリミッタ付き電圧制御アンプに
よって界磁電流指令を得るものがある。

しかし、この方式では、電動機の端子電圧を一定にする
界磁制御になるため、クレーン等の負荷を持つ電動機の
制御では荷物の巻下げ等のマイナス負荷のため、端子電
圧の検出によって回転数が高くなるほど界磁電流を弱め
に制御する方式（単一指令方式）を用いると、外乱によ
り巻下げ回転数が上昇すると端子電圧が上昇しようと
し、この電圧上昇を界磁側で一定に制限する結果、界磁
電流を減少させ、トルク（界磁×電機子電流に比例）が
減少する。

このトルクの減少分によっては、荷物の巻下げ速度を減
速できないこと、すなわち速度制御機能の喪失になる。

本考案の目的は、折線アンプを不要にしながらマイナス
負荷にも速度制御機能を持たせることができる静止形レ
オナード装置を提供することにある。

E.課題を解決するための手段と作用 本考案は、上記目的を達成するため、速度設定値と直流
電動機の速度検出値とによる該電動機の電機子電圧を制
御する速度制御系と、該電機子電圧と設定電圧の比較に
よる電圧制御アンプによって電動機の界磁電流を制御す
る界磁弱め制御系とを備えた静止形レオナード装置にお
いて、前記速度設定値に応じて前記電圧制御アンプの最
小値を制御するリミッタ回路を備え、界磁弱め制御状態
では速度設定値に応じて電圧制御アンプの最小値を制限
し、この制限によって界磁電流が小さくなり過ぎるのを
防止して速度制御機能を確保する。

G.実施例 第１図は本考案の一実施例を示す制御ブロック図であ
り、第２図と同等の機能を有するものは同一符号で示
す。第１図は、電圧制御アンプ10による電機子電圧一定
にする界磁制御系に構成される。即ち、電圧設定器11の
設定値と電機子電圧との比較から電圧制御アンプ10の出
力に界磁電流指令を得る。

ここで、本実施例では、電圧制御アンプ10のリミッタ回
路に速度設定器３の設定値を取出すバッファ12を設け、
このバッファ12の出力電圧によってリミッタ回路のリミ
ッタ値を制御する構成にしている。

このような構成により、電圧制御アンプ10の最小値出力
が速度設定器３の設定値によって制御され、速度設定器
３の速度設定値を下げることで電圧制御アンプ10の最小
出力を制限して界磁巻線の最小電流値を制限し、界磁弱
め制御での最大速度を制限する。

従って、例えば、マイナス負荷になるクレーンの巻下げ
状態で界磁弱め制御領域にあっても、速度設定値を下げ
ることで減速制御を得ることができる。そして、通常の
界磁弱め制御では、速度設定値による制限は電圧制御ア
ンプ10のリミッタ値でのみ制限され、このリミッタ値に
余裕を持たせておくことで従来と同等の制御性を得るこ
とができるし、折線アンプ６を不要にして界磁制御系の
簡単化，汎用性の利点を備える。

なお、実施例はサイリスタ・レオナード装置の場合で示
すが、本考案は界磁制御系を持つ静止形レオナード装置
に適用して同等の作用効果を奏する。

H.考案の効果 以上のとおり、本考案によれば、速度設定値によって電
圧制御アンプの最小値を制限するようにしたため、速度
設定値による速度制限ができ、マイナス負荷での減速を
可能にする。そして、電機子電圧一定制御方式になるた
め、界磁制御系を簡単化すると共に電動機の界磁特性に
影響されることが殆ど無く、汎用性の高い制御装置を実
現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す制御ブロック図、第２
図は従来の制御ブロック図である。 １……直流電動機、３……速度設定器、10……電圧制御
アンプ、11……電圧設定器、12……バッファ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】速度設定値と直流電動機の速度検出値とに
   より該電動機の電機子電圧を制御する速度制御系と、該
   電機子電圧と設定電圧の比較による電圧制御アンプによ
   って電動機の界磁電流を制御する界磁弱め制御系とを備
   えた静止形レオナード装置において、前記速度設定値に
   応じて前記電圧制御アンプの最小値を制限するリミッタ
   回路を備えたことを特徴とする静止形レオナード装置。