JPH071327Y2 - モール固定用クリップ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は自動車の車体等に形成した長溝内にモール等の
装飾部材を固定するためのクリップに関する。

〔従来技術とその問題点〕

従来、自動車の金属製車体の長溝にモールを固定するた
めには、長溝の内側底面にＴ型スタッドを溶接し、この
Ｔ型スタッドに合成樹脂のクリップを取り付けてからこ
のクリップを利用してモールを組み付けている。

この場合、Ｔ型スタッドの溶接位置にばらつきができる
のは避けがたく、特に溝の幅方向における溶接位置のば
らつきはモールの取り付け状態にかなりの悪影響を与え
る。

また、入口部の幅が狭くなっている長溝では、Ｔ型スタ
ッドの溶接はできない。したがって、モールの取り付け
構造になんらかの別の工夫をしなければならない。

〔考案の目的〕

本考案の目的は、入口部の幅が狭くなっている長溝にも
Ｔ型スタッドを必要とすることなく装着でき、しかも長
溝の一方の側壁面を基準にして位置決めでき、取り付け
位置のばらつきが生じない新規なクリップを提供するこ
とにある。

〔考案の構成〕

この目的を達成すべく、本考案は、自動車の車体等に形
成してある長溝にモール等の装飾要素を固定するクリッ
プであって、第1,第２のクリップ要素からなり、これら
第1,第２のクリップ要素の一方にモールと協働するモー
ル固定手段が設けてあり、これらのクリップ要素が長手
方向軸線に対して傾斜しかつ互いに一致した角度を有す
る傾斜面を包含し、第1,第２のクリップ要素の各々が相
手方のクリップ要素の案内手段と協働してそのクリップ
要素を前記傾斜面に沿って案内する案内手段を有し、前
記両傾斜面が前記第1,第２のクリップ要素を相対的にこ
れら傾斜面に沿って移動させてクリップ全体の横方向の
寸法が増大する方向においては前記両クリップ要素の相
対移動は許すが、反対の方向への相対移動を阻止する戻
り止め手段を包含しており、また、前記第1,第２のクリ
ップ要素のいずれか一方には、前記長溝に装着したとき
にこの長溝の側壁面と係合して該一方のクリップ要素を
他方のクリップ要素に向って弾力的に押圧する弾性押え
手段を包含することを特徴とするクリップを提供する。

〔実施例〕

以下、添付図面を参照しながら本考案の実施例について
説明する。

まず第１図を参照して、ここには入口部10の幅が狭くな
っている長溝12に本考案による合成樹脂製のクリップ14
を装着した状態が示してある。このクリップ14にモール
16の矢状断面の突記18が係合してモール16が固定され
る。クリップ14は第１のクリップ要素20と第２のクリッ
プ要素22とからなり、これらのクリップ要素を組み合わ
せることによってクリップ14が長溝12内に装着される。

次に第２図から第８図を参照して、ここには第１クリッ
プ要素20が詳細に示してある。第１クリップ要素20はほ
ぼ長方形の平面形状の本体部24を有し（第３図参照）、
そして、この本体部24の横断面形状は第５図から第７図
でわかるようにほぼＵ字形となっており、長手方向に延
びかつ本体部24の頂面に開口するモール係止溝26を形成
している。Ｕ字の各脚部28は内向きの長手方向***部30
を有し、これらの***部30が第１図に示すようにモール
16の矢状突起18と係合してモール16を固定するようにな
っている。なお、この配置と逆の配置、すなわち、第１
クリップ要素20の側に突起を設け、モール16の側に係止
溝を設けてもよい。

第１クリップ要素20は、また、本体部24の底部片側から
張出した平板部32を有し、この平板部32に対向して本体
部24の頂部が張出していて受け入れ溝34を構成してい
る。この受け入れ溝34は第１クリップ要素20の長手方向
軸線に対して或る角度で傾斜した底面36を有し、この底
面が傾斜面となっている。この傾斜面36にはその長さ方
向に間隔を置いて複数個の係止爪38が形成してあり、こ
れらの係止爪38は、後に明らかにするように、戻り止め
手段となるように片面が傾斜面36に対して直角で、他方
の面が傾斜面36に対して或る角度で傾斜している。

平板部32の外縁のところでほぼ中央の位置の受入れ溝34
の部分に案内リブ40が形成してあり、この案内リブ40を
形成するのに利用した孔42がクリップ要素本体部24を横
方向に貫いて設けてある。なお、本実施例ではクリップ
が合成樹脂製であるために成形性を考慮して凹部44も設
けてある。

第１クリップ要素20の本体部24の一端からは弾性片46が
長手方向に突出しており、この弾性片46は平板部32の端
部に向い合って爪要素48を備えており、この爪要素48に
ついては後に説明する。本体部24の反対端からも長手方
向の弾性片46Aが突出しており、これについても後に説
明する。

次に第９図から第12図を参照して、ここには本考案によ
る第２クリップ要素22が示してあり、これはほぼ直角三
角形の平面形状を有し、この直角三角形の斜辺が第１ク
リップ要素20の本体部24の傾斜面36に対応する傾斜面50
となっている。第２クリップ要素22のこの傾斜面50は第
１クリップ要素20の傾斜面36と同じ角度で長手方向軸線
に対して傾斜しており、同様に長さ方向に間隔を置いて
形成した複数個の係止爪52を有する。ただし、これらの
係止爪52は第１クリップ要素20の係止爪38とは逆になっ
ている。

第２クリップ要素22はその頂面に直角三角形の斜辺に平
行にほぼ全長にわたって形成した案内溝54を包含し、こ
の案内溝54の底面には端部付近で凹部56が形成してあ
る。また、第２クリップ要素22の直角辺58に対応する側
面には複数の弾力性のある歯60が形成してあり、これら
の歯60は後に説明するように本考案のクリップを長溝内
に装着したときに作用する弾性押え手段となる。

以上の構成において、本考案のクリップは第１図に示す
ような長溝12に装着する前に第１、第２のクリップ要素
20、22を仮留めする。この仮留め状態が第13図から第16
図に示してある。まず、第２クリップ要素22を第１クリ
ップ要素20の弾性片46が設けてある端から傾斜面36、50
を向い合わせた状態で受け入れ溝34に沿って第13図のＸ
方向にスライドさせて組み込む。このとき、第２クリッ
プ要素22は第１クリップ要素20の平板部32上をすべり、
第１クリップ要素20の案内リブ40と傾斜面36との間を移
動する。第1,第２のクリップ要素20、22の傾斜面36、50
にある係止爪38、52は先に述べたような形態となってい
るためにこの移動が可能となっている。しかしながら、
第13図のＹ方向に相対的に移動させようとすると、係止
爪38、52が互いにかみ合ってこの移動を許さない。さら
に、第1,第２のクリップ要素20、22の相対移動が続く
と、第１クリップ要素20の弾性片46の爪要素48が第２ク
リップ要素22の案内溝54の凹部56と係合し、仮留めが完
了し、クリップ組立体を形成する。この状態で、このク
リップ組立体は保管、輸送することができる。

クリップ組立体は、第１図に示すように、車体等の構造
体に形成してある長溝12に装着できる。この長溝12は入
口部10が幅狭くなっているほぼ台形の横断面形状となっ
ており、内側に傾斜した２つの側面12Aと平坦な底面12B
とを有する。第13図から第16図に示したような仮留め状
態にあるクリップ組立体はこの長溝12内に挿入できる横
方向寸法のものであり、長溝12の所望の位置に設置する
ことができる。長溝12内にこのクリップ組立体を設置し
てから、弾性片46の爪要素48と案内溝54の凹部56の係合
を外せるだけの力を第２クリップ要素22に加えて、それ
を第13図のＸ方向へ移動させると、第２クリップ要素22
は第１クリップ要素20の長さ方向に移動しながら横方向
へも移動し、クリップ組立体の横方向寸法が増大する。
したがって、第１クリップ要素20が長溝12の一方の側壁
面12Aと係合し、第２クリップ要素22が長溝12の他方の
側壁面12Aと係合し、このとき第２クリップ要素22の弾
性歯60が変形して第２クリップ要素22を第１クリップ要
素20に向って弾力的に押圧する。また、第１クリップ要
素20の反対端にある弾性片46Aは長溝12内の凹凸に第１
クリップ要素20を順応させることができる。また、第1,
第２のクリップ要素20、22の外面形状を長溝12の内面形
状に合わせたものとすると、これらのクリップ要素を2
0、33が長溝12の内面とより強く係合することができ
る。こうして、クリップ14は長溝12内にしっかりと保持
される。次いで、モール16の突起18を第１クリップ要素
20の頂面にある係止溝26に挿入すると、突起18の矢状頭
部が係止***30の内側と係合してモール16を固定でき
る。

〔考案の効果〕

以上の構成によれば、２つのクリップ要素を組み合わせ
るだけでＴ型スタッドを必要とすることなく長溝にモー
ルを容易に固定できる。また、長溝の或る範囲の幅に合
わせてクリップ組立体の幅を調節でき、多数種のクリッ
プ要素を準備する必要がない。さらに、所望位置におい
て長溝の片側の側壁面を基準として長溝内にクリップ組
立体を固定できるので、モール取り付け位置にばらつき
が生じることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるクリップを長溝内に装着し、この
クリップでモールを固定した状態を示す横断面図であ
る。 第２図は本考案によるクリップの第１クリップ要素の側
面図である。 第３図は第２図のクリップの平面図である。 第４図は第２図のクリップの反対側の側面図である。 第５図は第３図の５−５線に沿った横断面図である。 第６図は第３図のクリップの端面図である。 第７図は第３図の７−７線に沿った横断面図である。 第８図は第４図の８−８線に沿った縦断面図である。 第９図は本考案による第２クリップ要素の背面図であ
る。 第10図は第９図の第２クリップ要素の端面図である。 第11図は第９図の11-11線に沿った縦断面図である。 第12図は第９図の第２クリップ要素の側面図である。 第13図は第1,第２のクリップ要素を組み合わせて形成し
たクリップ組立体の平面図である。 第14図は第13図のクリップ組立体の側面図である。 第15図は第13図のクリップ組立体の反対側の側面図であ
る。 第16図は第13図のクリップ組立体の端面図である。 符号の説明 12……長溝、14……クリップ、16……モール、20……第
１クリップ要素、22……第２クリップ要素、24……本体
部、26……係止溝、32……平板部、34……受け入れ溝、
36……傾斜面、38……係止爪、40……案内リブ、46、46
A……弾性片、48……爪要素、50……傾斜面、52……係
止爪、54……案内溝、56……凹部、60……弾性歯。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】自動車の車体等に形成してある長溝にモー
   ル等の装飾要素を固定するクリップであって、第1,第２
   のクリップ要素からなり、これら第1,第２のクリップ要
   素の一方にモールと協働するモール固定手段が設けてあ
   り、これらのクリップ要素が長手方向軸線に対して傾斜
   しかつ互いに一致した角度を有する傾斜面を包含し、第
   1,第２のクリップ要素の一方が他方のクリップ要素の案
   内手段と協働してそのクリップ要素を前記傾斜面に沿っ
   て案内する案内手段が各要素に設けられ、前記両傾斜面
   が前記第1,第２のクリップ要素を相対的にこれら傾斜面
   に沿って移動させてクリップ全体の横方向の寸法が増大
   する方向においては前記両クリップ要素の相対移動は許
   すが、反対の方向への相対移動を阻止する戻り止め手段
   を包含し、前記第1,第２のクリップ要素のいずれか一方
   には、前記長溝に装着したときにこの長溝の側壁面と係
   合して該一方のクリップ要素を他方のクリップ要素に向
   って弾力的に押圧する弾性押え手段を包含することを特
   徴とするクリップ。
2. 【請求項２】請求項１記載のクリップにおいて、第1,第
   ２のクリップ要素を前記案内手段によって所定の相対位
   置まで案内したときにこの位置に両クリップ要素を仮留
   めする手段を備えていることを特徴とするクリップ。