JPH0712666B2 - インクジエツト記録装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はインクジェット記録装置に関し、さらに詳しく
はインクジェット記録ヘッドの記録液吐出部分に摺接し
て上記記録液吐出部分に付着した液体及び／又は異物等
の付着物を除去するための第１の除去部材を有するイン
クジェット記録装置に関するものである。

［従来の技術］ 記録液としてインク液を吐出するインクジェット記録ヘ
ッドにより記録を行なうインクジェット記録装置では、
記録ヘッドのインク液吐出部分すなわちオリフィス部分
に紙カス，ゴミ等がインクを介して付着するとインク液
の吐出する方向が変化して吐出不良となったり、吐出が
不可能になったりして正常な記録ができなくなる場合が
ある。

そこで従来のインクジェット記録装置では、正常なイン
ク吐出状態を回復させるための吸引用ポンプから構成し
た回復装置を設け、ポンプの負圧の力でオリフィスから
インクを吸引させ、吸い出されるインクの流れにより紙
カス，ゴミ等をオリフィス部分から取り除く構成が採用
されている。

また上記のインクの流れでは取り除くことができない大
きな紙カス，ゴミ等を除去するために、これらを払い落
すブレードを回復装置に隣接して設け、キャリッジの移
動を介してオリフィス部分を前記ブレードにこすりつけ
る構成が採用されている。

［発明が解決しようとする問題点］ 上記のブレードを設けた構成ではブレードに付着した紙
カス，ゴミ等はそのままでどこにも回収されるところが
無いため、これらの紙カス，ゴミ等が回復動作の際に逆
にブレードから、オリフィス部分に付着して悪循環を繰
り返すという問題があった。

またオリフィス部分にはインク吸引の際に流れきれなか
ったインクが溜り、これをブレードが払い落すためにイ
ンクが飛び散り周囲を汚染するという問題があった。ま
たブレードの形状等によりインクがブレードによく付着
するように構成してインクの飛び散りを防ぐと、ブレー
ドにインクが溜り、上述と同様の悪循環を繰り返すとい
う問題があった。

［問題点を解決するための手段］ 上述した問題点を解決するため本発明は、インクを吐出
する記録ヘッドを搭載したキャリッジを走査させること
で前記記録ヘッドの前面に摺接して該前面の付着物を除
去する第１の除去部材を備えたインクジェット記録装置
において、前記キャリッジには前記第１の除去部材に摺
接して前記第１の除去部材に転移した前記記録ヘッド前
面の付着物を除去するための第２の除去部材が設けられ
ており、前記キャリッジの走査によって前記第１の除去
部材が前記記録ヘッド前面に摺接して該前面の付着物を
除去した後、さらに前記キャリッジの走査によって前記
第２の除去部材が前記第１の除去部材に摺接して第１の
除去部材に移転した前記付着物を除去することを特徴と
する。

［作 用］ 第１図に示すようにポンプ12から構成される回復装置１
には回復動作時に記録ヘッドに圧接するキャップ15を支
持したキャップホルダ14に隣接して、前述したブレード
２が矢印で示すように前後に可動に設けられている。そ
して第２図に示すようにブレード２の記録ヘッドに摺接
する先端部分には多数のひだ2aが形成されている。

また第３図に示すようにキャリッジ４上には、ブレード
２に付着したインク，紙カス，ゴミ等の付着物を除去す
るための多孔質体７が記録ヘッド３に隣接してホルダ６
を介して交換可能に設けられている。

吐出回復動作時には第４図に示すように回復装置１によ
るインク吸引が終了した後、ブレード２が矢印ａで示す
ように前方に変位させられ、キャリッジ４が矢印ｂ方向
へ駆動される。

これにより第５図に示すようにブレード２先端のひだ2a
形成部分が記録ヘッド３の前面に摺接し、オリフィス部
分に付着したインク，紙カス，ゴミ等を除去する。この
場合除去されたインクは毛細管現象によりひだ2a中に保
持され、周囲に飛び散らない。

次にキャリッジ４がさらにｂ方向へ駆動されることによ
り第６図に示すように多孔質体７がブレード２に摺接
し、ブレード２に付着したインク，紙カス，ゴミ等を除
去する。

次に第７図に示すようにブレード２が矢印ｃで示すよう
に元の位置に後退させられ、キャリッジ４が矢印ｄ方向
へホームポジションまで駆動されて吐出回復動作が終了
する。

吐出回復動作の繰り返しにより多孔質体７にインク，紙
カス，ゴミ等が多量に溜った場合には多孔質体７を取り
外し、新しいものと交換するか、あるいは洗浄した後、
再び取り付ける。

このように吐出回復動作のたびにブレード２に付着する
インク，紙カス，ゴミ等が多孔質体７によりブレード２
から除去されるので、ブレード２からオリフィス部分に
インク，紙カス，ゴミ等が付着することが防止され、こ
の付着に起因するインク吐出不良の発生が防止される。

［実施例］ 以下、添付した図を参照して本発明の実施例の詳細を説
明する。

第１図は本実施例によるインクジェット記録装置の先述
したインク吐出状態を正常に回復するための回復装置の
構成を示すものである。

回復装置１は口述するキャリッジの移動範囲の所定領
域、例えはホームポジションでキャリッジと対向するよ
うに設けられる。そしてレバー11により操作されて先述
したインク吸引を行なうポンプ12と、フレーム13の正面
にキャップホルダ14により支持されたポンプ12内のポン
プ室に連通したキャップ15から構成されている。

キャップホルダ14は矢印で示すように前後に移動自在に
設けられており、回復動作の際にはギヤ16を介してモー
タ17の駆動により前後に変位するように構成されてい
る。

またフレーム13の一方の側面には前述したようにオリフ
ィス部分に付着したインク，紙カス，ゴミ等の除去を行
なうブレード２が支持板18の先端に固着されてキャップ
ホルダ14に隣接して支持されている。ブレード２は弾性
材料から第２図に示すように矩形板状に形成されてお
り、回復動作時に記録ヘッド前面に摺接する先端部分に
は多数のひだ2aが形成されている。また支持板18は第１
図中矢印で示すように前後に可動に設けられており、回
復動作の際にはレバー20と不図示の駆動機構を介して前
後に変位するように構成されている。

次に本実施例装置のキャリッジ周辺の構成を第３図に示
す。

第３図に符号４で示すものがキャリッジで、２本の摺動
軸5,5上に摺動自在に設けられており、不図示の駆動機
構の駆動により不図示のプラテン上にセットされる不図
示の記録紙の記録面に沿って摺動軸5,5上を走行する。

キャリッジ４上の記録紙と対向する前面側の中央部には
記録ヘッド３が搭載されている。記録ヘッド３はフラッ
トケーブル19を介して印加される記録データに対応した
駆動信号により駆動され、正面に縦１列に配置された所
定個数のオリフィス3aの先端からインク液滴を吐出して
ドット記録を行なう。

またキャリッジ４上の前面側にはホルダ６が取付穴4aを
介して固定される。ホルダ６は中空で、前面側には切り
欠き6aが形成されている。そしてこのホルダ６中に符号
７で示す多孔質体７が嵌脱自在すなわち交換可能に嵌合
される。

多孔質体７はインク吐出回復動作時にブレード２に摺動
してブレード２に付着したインク，紙カス，ゴミ等を除
去するものであり、多孔質材料から断面が凸字形の矩形
のブロック状に形成されている。そしてホルダ６中に嵌
合された場合に切り欠き部6aを介してキャリッジ４の前
面側に露出する側面は綿面ブラシのように起毛されてい
る。

またキャリッジ４上には符号８で示すサブタンクが設け
られ、このサブタンク８から記録ヘッド３にインクが供
給される。

次に以上の機構を有した本実施例装置によるインク吐出
回復動作を第４図〜第７図を参照して説明する。

インクの吐出不良が発生した場合、まずキャリッジ４が
第４図に示すホームポジション、すなわち記録ヘッド３
が回復装置１のキャップ15に対向する位置に移動され
る。

次にキャップホルダ14が矢印で示すように前方に変位さ
せられキャップ15が記録ヘッド３の前面に緊密に圧接し
た後、先述のポンプ12が駆動されて記録ヘッド３のオリ
フィス3aからインクを吸引する。

吸引が終了するとキャップホルダ14がキャップ15ととも
に矢印で示すように後退させられるとともにブレード２
が矢印ａで示すように前方へ変位させられる。

次にキャリッジ４が矢印ｂ方向へ駆動されることにより
第５図に示すようにブレード２先端のひだ2a形成部分が
記録ヘッド３の前面に摺接し、オリフィス3a部分に付着
したインク，紙カス，ゴミ等を除去する。

この場合除去されたインクはひだ2a中に毛細管現象によ
って保持され、周囲に飛び散ることはない。

そしてさらにキャリッジ４が矢印ｂ方向へ駆動されるこ
とにより第６図に示すように多孔質体７がブレード２に
摺接する。そして多孔質体７の起毛された毛部分がブレ
ード２のひだ2aの表面に摺接し、またひだ2a間を通り抜
けることによりひだ2aの表面に付着した紙カス，ゴミ等
およびひだ2a間に溜ったインクが除去される。除去され
た紙カス，ゴミ等は多孔質体７の毛の間に保持され、イ
ンクは多孔質体７の本体に吸収される。

次に第７図に示すようにブレード２が矢印ｃで示すよう
に元の位置まで後退させられるとともに、キャリッジ４
が矢印ｄ方向に駆動され、第４図のホームポジションに
復帰させられて吐出回復動作が終了する。

なお、このような吐出回復動作の繰り返しにより多孔質
体７にインク，紙カス，ゴミ等が多量に溜った場合に
は、多孔質体７を取り外し、新しいものと交換するか、
あるいは洗浄した後再び取り付ける。

以上のように本実施例によれば吐出回復動作のたびにブ
レード２に付着するインク，紙カス，ゴミ等が多孔質体
７によりブレード２から除去されるので、ブレード２か
らオリフィス部分にインク，紙カス，ゴミ等が付着する
ことが防止され、この付着に起因するインク吐出不良の
発生が防止される。

なお本実施例ではブレード２との摺接部分を起毛部分と
した多孔質体７を用いたが、多孔質体の摺接部分の構造
は他にも考えられる。例えば第８図に示すように手より
は太い、ごく細い棒10を多数植設した構造や、第９図に
示すようにエンボス加工により表面９に多数の凹凸を形
成した構造等が考えられる。

また多孔質体以外の適当な素材からなる除去部材を用い
てブレード２の付着物の除去を行なっても良い。

また多孔質体７が吸収したインクをさらに吸収して貯蔵
する多孔質体等からなるインク貯蔵手段を多孔質体７に
連結して設けても良い。

［発明の効果］ 以上の説明から明らかなように、本発明によれば、イン
クを吐出する記録ヘッドを搭載したキャリッジを走査さ
せることで前記記録ヘッドの前面に摺接して該前面の付
着物を除去する第１の除去部材を備えたインクジェット
記録装置において、前記キャリッジには前記第１の除去
部材に摺接して前記第１の除去部材に転移した前記記録
ヘッド前面の付着物を除去するための第２の除去部材が
設けられており、前記キャリッジの走査によって前記第
１の除去部材が前記記録ヘッド前面に摺接して該前面の
付着物を除去した後、さらに前記キャリッジの走査によ
って前記第２の除去部材が前記第１の除去部材に摺接し
て第１の除去部材に移転した前記付着物を除去する構成
を採用したので、第１の除去部材に転移した記録ヘッド
前面の付着物が逆に記録ヘッド前面に転移することがな
く、記録ヘッド前面を確実かつ良好にクリーニングする
ことができ、記録ヘッドの記録液吐出不良の発生を防止
でき、正常な記録状態を保ち、装置の信頼性を向上でき
る。

しかも、キャリッジの走査を利用するだけで、第１の除
去部材によって記録ヘッド前面の付着物を除去した後、
連続的に第２の除去部材によって第１の除去部材から付
着物を除去することが実行でき、付着物の除去動作のた
めの特別な駆動機能を設ける必要がなく、簡単な構成で
安価に実施できるという優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の実施例を説明するもので、第１図は回復装
置の構成を示す斜視図、第２図は第１図中のブレードの
構造を示す斜視図、第３図はキャリッジ周辺の構成を示
す斜視図、第４図〜第７図はそれぞれ吐出回復動作の説
明図、第８図及び第９図は多孔質体の他の構造例を示す
斜視図である。 １……回復装置、２……ブレード 2a……ひだ、３……記録ヘッド 3a……オリフィス、４……キャリッジ ５……摺動軸、６……ホルダ ７……多孔質体

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】インクを吐出する記録ヘッドを搭載したキ
   ャリッジを走査させることで前記記録ヘッドの前面に摺
   接して該前面の付着物を除去する第１の除去部材を備え
   たインクジェット記録装置において、 前記キャリッジには前記第１の除去部材に摺接して前記
   第１の除去部材に転移した前記記録ヘッド前面の付着物
   を除去するための第２の除去部材が設けられており、 前記キャリッジの走査によって前記第１の除去部材が前
   記記録ヘッド前面に摺接して該前面の付着物を除去した
   後、さらに前記キャリッジの走査によって前記第２の除
   去部材が前記第１の除去部材に摺接して第１の除去材部
   に移転した前記付着物を除去することを特徴とするイン
   クジェット記録装置。