JPH07117535B2 - ヒトプロテインsに免疫学的測定方法、それに用いる測定試薬及びキット - Google Patents

ヒトプロテインsに免疫学的測定方法、それに用いる測定試薬及びキット

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JPH07117535B2
JPH07117535B2 JP63279479A JP27947988A JPH07117535B2 JP H07117535 B2 JPH07117535 B2 JP H07117535B2 JP 63279479 A JP63279479 A JP 63279479A JP 27947988 A JP27947988 A JP 27947988A JP H07117535 B2 JPH07117535 B2 JP H07117535B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明は溶液状態にあるヒトプロティンSを免疫学的に
測定する方法、それに用いる測定試薬及びキットに関す
る。
更に詳しくは、ヒト補体系制御因子のC4bpとプロティン
Sとの複合体を測定することなく、フリーのプロティン
Sのみを特異的且つ高感度に測定することのできるヒト
プロティンSの免疫学的測定方法、それに用いる測定試
薬及びキットに関する。
(ロ)従来技術 プロティンSはプロティンCと同様にビタミンK依存性
タンパクで、1977年DiScipioらによりウシとヒトから分
離された[DiScipio,R.G,Hermodson,M.A,Yates,S.G.and
Davie,E.W;Biochemistry,16,698〜706(1977)参
照]。ヒトプロティンSは血漿中に約10mg/含まれ、
分子量69,000の一本鎖の糖タンパクである。またその構
造は、他のビタミンK依存性因子の構造とよく似てお
り、NH2末端に約10個のγ−カルボキシグルタミン酸(G
la)を有している。ヒトプロティンSは血中では2つの
形で存在し、1つはフリーのプロティンSであり、この
フリーのものが、活性化プロティンCの補助因子として
働く。もう1つは、補体系の制御因子である高分子C4b
結合タンパク(C4bp)と非共有結合して存在する。この
“フリーのプロティンS"と“結合しているプロティンS"
の比率はほぼ1:1とされている。
C4bp−プロティンS複合体におけるプロティンSの機能
の重要性は、リン脂質の陰性荷電表面と非常に親和力が
強いことにある[Nelsestuen,G.L.,Kisiel,W. and DiSc
ipio,R.G.:Biochemistry,17;2134〜2138,(1978)]。
細胞が傷害されたり活性化を受けると、Ca2+の存在下で
プロティンSのGla−domainはリン脂質に結合し、更に
このプロティンSにC4bpが複合体を形成して結合してそ
の機能を発揮するものと考えられている[Dahlback,B.:
Semin. Thromb. Haemostas.,10;139〜148(1984)]。
プロティンS,プロティンCの凝固,線溶系に関する機能
については、最近の研究からその制御機構に関して極め
て重要な働きをしていることが解明され、その生理的意
義についても血栓症との関わりで注目されている。プロ
ティンSの先天性欠乏は血栓症の原因となり得ることが
報告されている[Comb,P.C.,Nixon,R.R.,Cooper,M.R.an
d Esmon,C.T.:J.Clin.Invest.,74;2082〜2088,(198
4)]。
したがって、プロティンSの作用機構を明らかにするこ
と、また、プロティンSの血中における抗原量,活性量
を測定し、その同行を把握することができれば、それは
基礎医学,臨床医学の領域において非常に重要な意味を
持つと考えられる。
従来知られたプロティンSの測定方法として、プロティ
ンSに対する抗血清を用いるローレル法,ポリクローナ
ル抗体を用いるIRMA(immunoradiometricassay)及びEI
A(enzyme immunoassay)をあげることができるが、こ
れらの方法によって得られた測定値は、フリーのプロテ
ィンSと、C4bpと複合体を形成しているプロティンSの
両者を含めて測定していることになる。
そのため従来フリーのプロティンSのみを測定する方法
においては、検体をポリエチレングリコール水溶液等で
処理しC4bpとプロティンSとの複合体を沈澱させて除去
する必要があった。しかしながら、この測定方法は、操
作が極めて頻雑であるという欠点を有している。
また、モノクローナル抗体は単一の抗原決定基にたいし
て特異的であり、かつ同一の特異性を有する抗体を安定
的に産生できるという利点から抗原タンパク質の機能及
び構造の解析、あるいは免疫測定(EIA,RIA)に近年、
一般的に広く利用されるようになってきた。特に抗原タ
ンパク質の機能解析,分子解析には抗原タンパク質の機
能に関与する部位、又は特殊な構造部位を認識する抗体
を見出すことが有力な手段となり得る。
そして、フリーのヒトプロティンSの測定方法において
も、フリーのプロティンSと、複合体を形成しているプ
ロティンSとを区別して認識する2種のモノクローナル
抗体を用いて、極めて高い特異性でフリーのヒトプロテ
ィンSの抗原量等を測定する方法が行われている(特願
昭61−298881号公報)。
(ハ)発明が解決しようとする問題点 しかしながら、2種のモノクローナル抗体を用いたフリ
ーのヒトプロティンSの測定方法においては、抗原の特
定部位以外とは反応しないというモノクローナル抗体の
特性故に、抗原との親和性が必ずしも十分に高くない場
合があり、より高い感度で、フリーのプロティンSを測
定することのできるプロティンSの免疫学的測定方法が
望まれていた。
(ニ)問題点を解決するための手段 そこで本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑み
て、溶液状態にあるフリーのヒトプロティンSを容易に
且つ高感度で測定し得る測定方法,測定試薬及びキット
を開発するべく鋭意検討した結果、C4bpとプロティンS
との複合体は認識せず、フリーのヒトプロティンSを特
異的に認識して結合し得るモノクローナル抗体と、ヒト
プロティンSを特異的に認識し、抗原との親和性が高い
ポリクローナル抗体とを組合せることにより、高い特異
性及び高感度でフリーのヒトプロティンSを容易に測定
し得ることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、 1. 不溶性担体に結合した抗体と標識抗体とを用いてヒ
トプロティンSの免疫学的測定を行うに際し、いずれか
一方の抗体としてヒトプロティンSを特異的に認識する
ポリクローナル抗体を用い、他方の抗体としてヒト補体
系制御因子のC4bpとプロティンSとの複合体は認識せ
ず、フリーのヒトプロティンSを特異的に認識して結合
し得るモノクローナル抗体を用いることを特徴とするヒ
トプロティンSの免疫学的測定方法, 2. 不溶性担体に結合した抗体と標識抗体とからなり、
いずれか一方の抗体がヒトプロティンSを特異的に認識
するポリクローナル抗体であり、他方の抗体がヒト補体
系制御因子のC4bpとプロティンSの複合体は認識せず、
フリーのヒトプロティンSを特異的に認識して結合し得
るモノクローナル抗体であるヒトプロティンSの免疫学
的測定用の測定試薬,及び 3. 不溶性担体に結合した体と標識抗体とからなり、い
ずれか一方の抗体がヒトプロティンSを特異的に認識す
るポリクローナル抗体であり、他方の抗体がヒト補体系
制御因子のC4bpとプロティンSの複合体は認識せず、フ
リーのヒトプロティンSを特異的に認識して結合し得る
モノクローナル抗体であるヒトプロティンSの免疫学的
測定用の測定試薬と、これに(a)溶解剤,(b)洗浄
剤及び酵素で標識化した抗体を用いる場合には、(c)
酵素活性を測定するための基質及びその反応停止剤を組
合せてなるヒトプロティンSの免疫学的測定用のキット である。
一般に抗原の2つの異なる部位に結合する抗体を用いて
抗体の有無又はその量を測定する方法は、サンドイッチ
法と呼ばれ、例えばワイド(Wide)の「放射線免疫検定
法(Radioimmunoassay Methods)」199〜206(1970)に
記載されている。
本発明のヒトプロティンSの免疫学的測定方法において
は、抗原の2つの異なる部位に結合する2種類の抗体と
して、ヒトプロティンSを特異的に認識するモノクロー
ナル抗体とポリクローナル抗体を使用し、そのモノクロ
ーナル抗体としてはヒト補体系制御因子の1つであるヒ
トC4b結合タンパク(C4bp)とヒトプロティンSの複合
体を認識せず、フリーのヒトプロティンSを特異的に認
識して結合し得るモノクローナル抗体を使用し、ポリク
ローナル抗体としてはヒトプロティンSを特異的に認識
して結合する抗ヒトプロティンS抗血清の抗体成分を使
用する。
次に本発明によるヒトプロティンSの免疫学的測定方
法、それに用いる測定試薬及びキットを具体的に説明す
る。
ヒトプロティンSの免疫学的測定方法; ヒトプロティンSに対するポリクローナル抗体(第1抗
体)を適当な不溶性担体(例えばプラスチック容器)に
固定化する(以下これを“固定化抗体”という)。つい
で不溶性担体と測定しようとする試薬又は検体試料との
非特異的結合を避けるために適当な物質(例えば牛血清
アルブミン)で不溶性担体の表面を被覆する。
このようにして得られた第1抗体が固定化された不溶性
担体を検体試料と一定時間及び温度で接触させ反応させ
る。この間に固定化抗体(第1抗体)と検体試料中のヒ
トプロティンSが結合する。ついで適当な洗浄液で洗っ
た後、適当な標識物質(例えば酵素)で標識したヒトプ
ロティンSに対するモノクローナル抗体(第2抗体)の
溶液(例えば水溶液)を、不溶性担体における固定化抗
体に結合したヒトプロティンSと一定時間及び温度で接
触させ第2抗体と反応させる。これを適当な洗浄液で洗
い、次いで不溶性担体上に存在する第2抗体に標識され
た標識物質の量を測定する。
なお上記反応は、固定化抗体,標識抗体及びヒトプロテ
ィンSを含有する検体試料を同時に混合し、一定時間及
び温度でこれら三者を同時に接触させて反応させること
もできる。
かくしてその値から検体試料中のフリーのヒトプロティ
ンSの量を算出することができる。
測定試料及びキットの構成 ヒトプロティンSの免疫学的測定用の測定試薬は、上述
した不溶性担体に結合した抗体と、標識抗体とからな
る。
また、ヒトプロティンSの免疫学的測定用のキットは、
上記の測定試薬と、これら測定試薬を能率よく且つ簡便
に利用するための補助剤として、例えば固体状の試薬又
は液状の検体を溶解させるための溶解剤,不溶性担体に
結合した抗体を洗浄するために使用される洗浄剤,及び
酵素で標識化した抗体を用いる場合には、酵素活性を測
定するための基質及びその反応停止剤,その他の免疫学
的測定用のキットとして通常使用されるものが挙げられ
る。本発明の測定方法,測定試薬,又は測定用キットに
は、非特異的反応を低下させ高感度に測定するために、
界面活性剤,体液ないしはタンパク溶液,スキムミルク
等、なかでもスキムミルクを添加することができる。
本発明のヒトプロティンSの免疫学的測定方法等に使用
される不溶性担体としては、例えばポリスチレン,ポリ
エチレン,ポリプロピレン,ポリエステル,ポリアクリ
ルニトリル,弗素樹脂,架橋デキストラン,ポリサツカ
ライドなどの高分子、その他紙,ガラス,金属,アガロ
ース及びこれらの組合せなどを例示することができる。
また不溶性担体の形状としては、例えばトレイ状,球
状,繊維状,棒状,盤状,容器状,セル,試験管などの
種々の形状であることができる。
また、標識抗体の標識物質としては放射性物質,酵素又
は蛍光物質を使用するのが有利である。放射性物質とし
ては125I,131I,14C,3Hなどを、酵素としてはアルカリ性
フォスファターゼ,パーオキシダーゼ,β−D−ガラク
トシダーゼなど、また蛍光物質としてはフルオレッセイ
ンイソチオシアネート,テトラメチルローダミンイソチ
オシアネートなどを使用することができるが、これらは
例示したものに限らず、免疫学的測定方法に使用されて
いるものであれば、他のものでも使用できる。
本発明のポリクローナル抗体は、従来公知の方法でヒト
プロティンSを抗原として動物に免疫して得られる抗ヒ
トプロティンS抗血清の抗体成分として得られるものが
挙げられる。なかでも例えば山羊抗ヒトプロティンS−
ポリクローナル抗体,兎抗ヒトプロティンS−ポリクロ
ーナル抗体等が好ましく挙げられる。
本発明に使用されるモノクローナル抗体及びその製造方
法については、先に出願された特願昭61−296766号(昭
和61年12月15日出願:発明の名称“モノクローナル抗
体,ハイブリドーマ,モノクローナル抗体の製造方法及
びヒトプロテインSの分離方法”)の特許出願明細書に
詳細に説明されている。
(ホ)発明の効果 本発明により、溶液状態(例えば血漿中)のフリーのヒ
トプロティンSを挟雑物の影響を受けることなく高い特
異性及び高い感度で容易に測定することができる。
また、本発明によりC4bpとプロティンSとの複合体の共
存下においてもフリーのヒトプロティンSを正確かつ迅
速に測定し得るという、従来には存在しなかった試薬及
びキットが提供される。
(ヘ)実施例 以下、実施例により本発明を詳述する。実施例中の%は
重量%を意味する。
参考例1 抗ヒトプロティンS(PS)モノクローナル抗
体と製造及び精製 精製したヒトプロティンSを雌のBalb/Cマウス(4周
齢)2匹に対して14日間隔で4回免疫した。初回の免疫
はPBSに溶解した。50μgのヒトプロテインSを等量の
フロイントの完全アジュバント(Complete Freund's ad
juvant)と混合し、そのエマルジョンを、腹腔内に投与
した(0.5mg/head)、2回目,3回目は、同じく50μgの
ヒトプロティンSをフロイントの不完全アジュバント
(Freund's incomplete adjuvant)と混合し、同じく腹
腔内に投与した。最終免疫は30μgのヒトプロテインS
をPBS溶液のまま、マウス尾静脈から追加投与した。最
終免疫の3日後に免疫したマウスの脾臓細胞を細胞融合
に用いた。
免疫したマウスの脾臓細胞と、同系マウスの骨髄腫細胞
(P3U1)を約2:1〜約15:1の割合で混合し、50%ポリエ
チレングリコール1540(和光純薬(製))を融合促進剤
としてKohlerとMilsteinの方法に従い細胞融合を行っ
た。融合後の細胞は、1×106cells/mlの細胞濃度とな
るように10%FCS・−RPMI−1640培地に懸濁し、96wells
マイクロプレート(Coster)に1ウエルあたり100μ
ずつ文注した。
融合細胞は、CO2インキュベーター(5%CO2,37℃)中
で培養し、ヒポキサンチン,アミノプテリン;チミジン
を含む培地(HAT培地)で培地交換を行い、HAT培地中で
増殖させて、脾臓細胞と、骨髄腫細胞から成るハイブリ
ドーマのスクリーニングを行った。
ハイブリドーマの培養上清中の抗体は抗原ヒトプロテイ
ンSコーティングしたマイクロタイタープレートを用い
ELISA法により検出した。第2抗体には、アルカリホス
ファターゼ標識ウサギ抗マウスIgG抗体を用い、抗原PS
に対する結合性を調べた。融合細胞をまいた合計494の
ウエルのうち、487のウエルにコロニーの形成が認めら
れ、このうち抗原PSに対して結合性を示す抗体産生陽性
ウエルは94ウエルであった。
これらの抗体産生陽性ウエルのうち4つのウエルについ
て限界希釈法によるクローニングを2回繰り返して行
い、6個のクローンを得た。得られたクローンは、90%
FCS−10%DMSO中に懸濁させ液体窒素中に保存した。
各クローンの産生するモノクローナル抗体をクローンを
Balb/Cマウス腹腔内で増殖させ、その腹水からプロティ
ンA−Sepharose4Bカラムを用いて精製した。
参考例2 精製したモノクローナル抗体の性質 マウス腹水から精製した各クローンのIgGについてクラ
ス及びヒトプロティンSに対する結合性を調べた。
マウスモノクローナル抗体のクラスは、各クラス特異性
の抗マウス抗血清を用いて、オクタロニー法により決定
した。
この結果を下記第2表に示した。
ヒトプロティンSに対する結合性は、マイクロタイター
プレートに固相化したヒトプロティンSと適当な濃度に
なるように希釈したモノクローナル抗体とを反応させ、
アルカリ性フォスファクターゼ標識化したヤギ抗マウス
IgGで検出することにより評価した。
その結果6種類のモノクローナル抗体のヒトプロティン
Sに対する結合の強さは、2B9F12〜2B9C10>3C3G8>3C4
G4>2B9G3>>2E12C7であることが判明した。
参考例3 ヒトC4BとプロティンS複合体に対する反応
性 精製した前記6種類のモノクローナル抗体を10μg/mlの
濃度でマイクロタイタプレートにコーティングし、1%
BSAでBlocking後、適当な濃度になるように希釈したヒ
ト健常人血漿を加え、血漿中のC4bp−プロティンS複合
体とモノクローナル抗体とを反応させた。次に、アルカ
リ性フォスファターゼ標識化した抗C4bp抗体を加え、6
種類のモノクローナル抗体のC4bp−プロティンS複合体
に対する結合性を検出し、調べた。
その結果、モノクローナル抗体2E12C7は、フリーのプロ
ティンSに対しては非常に結合性が弱いが、C4bp−プロ
ティンS複合対に対しては、高度に特異的に結合性を示
し、6種類のモノクローナル抗体のC4bp−プロティンS
複合体に対する結合の強さは、2E12C7>>2B9F10〜2B9C
12>3C3G8>3C4G4>2B9G3であることが判明した。
参考例2及び3で示されるように、C4bpとプロティンS
との複合体は認識せず、フリーのヒトプロティンSを特
異的に認識して結合し得るモノクローナル抗体として2B
9F12及び2B9C10が得られた。
実施例1 (1)抗体固体化ビーズの調製 ポリスチレン製ビーズ(直径6mm)を、山羊抗ヒトプロ
ティンS抗体(ポリクローナル抗体:American Diagnost
ica社製)の20μg/mlの濃度を有するpH7.4の0.01Mリン
酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中に4℃の温度で1昼夜
放置した後、PBSで洗浄してから0.5%牛血清アルブミン
(BSA)水溶液中に4℃の温度で1昼夜放置してポスト
コーティング処理を実施することにより抗体固定化ビー
ズを得た。
(2)ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ標識モノク
ローナル抗体の調製 フリーのヒトプロティンSを特異的に認識するモノクロ
ーナル抗体(2B9F12)の1.0mg/mlのPBS溶液1.0mlに、N
−(m−マレイミド安息香酸)−N−サクシンイミドエ
ステル(MBS)の10mg/mlのジメチルホルムアミド溶液50
μを添加し、25℃の温度で30分間反応させた後、セフ
ァデックスG−25を充填したカラムを用い、0.1Mリン酸
緩衝液(pH6.0)でゲル過を行い、マレイミド化モノ
クローナル抗体と未反応MBSとを分離した。
一方、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)
の1.0mg/mlのPBS溶液2.0mlに、N−サクシンイミジル−
3−(2−ピリジルチオ)プロピオネート(SPDP)の10
mg/mlエタノール溶液を添加し、25℃で30分間反応させ
た後、セファデックスG−25を充填したカラムを用い、
0.01M酢酸緩衝液(pH4.5)でゲル過して精製し、ピリ
ジルジスルフィド化HRPを含有する画分を採取してコロ
ジオンバック中で氷冷下に約10倍に濃縮した。次に、こ
れに0.85%NaClと0.1Mジチオスレイトールとを含有する
0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)1mlを添加して、25℃で30分間
撹拌してHRP分子中に導入したピリジルジスルフィド基
を還元した後、セファデックスG−25カラムを用い、0.
1Mリン酸緩衝液(pH6.0)でゲル過して、チオール化H
RPを含有する画分を得た。
次に、得られたマレイミド化モノクローナル抗体とチオ
ール化HRPとを混合し、コロジオンバックを用いて氷冷
下に4mg/mlの蛋白質濃度まで濃縮し、4℃で1昼夜放置
した後、ウルトロゲルAcA44(仏,LKB社製)を充填した
カラムを用いてPBSでゲル過することによりHRP標識モ
ノクローナル抗体を得た。
(3)ヒトプロティンSの測定 山羊抗ヒトプロティンS抗体を固定化したビーズ各1個
と精製したヒトプロティンSを0,50,100,200,400ng/ml
の各濃度で含有する0.1%BSA含有PBS溶液(pH7.4)200
μと、HRP標識モノクローナル抗体を含有する0.1%BS
A含有PBS溶液(pH7.4)200μとを各試験管(n=2)
に添加して37℃の温度で1時間インキュベートした。
次に、試験管内の溶液を吸引除去した後、PBSで2回洗
浄し、試験管を交換してから、テトラメチルベンジジン
塩酸塩0.02%及び過酸化水素0.005%を含有する0.1Mリ
ン酸−クエン酸緩衝液(pH4.0)を400μずつ各試験管
に加え、37℃の温度で30分間インキュベートした後、反
応停止剤として0.1%NaF及び2%酢酸を含有する水溶液
1mlを各試験管に加えて酵素反応を停止させた。
次いで、この溶液を分光光度計を用いて650nmの波長の
吸収強度を測定し、これをヒトプロティンS濃度とプロ
ットすることにより、濃度依存性を有するヒトプロテイ
ンS濃度測定用の検量線を得た(第1図参照)。
血漿検体中のヒトプロティンSの濃度測定として、正常
混合人血漿を0.1%BSA含有PBS溶液(pH7.4)で50倍に希
釈した溶液200μを、抗体固定ビーズ及びHRP標識モノ
クローナル抗体溶液200μと共に試験管に加え、上記
と同様にして免疫反応及び発色反応を行った後、分光光
度計にて吸光光度を測定した。この値を第1図の検量線
を用いて血漿中の濃度に換算したヒトプロティンS濃度
を求めた結果、血漿中濃度は10.4μg/mlであった。
実施例2 山羊抗ヒトプロティンS抗体の代りに兎抗ヒトプロティ
ンS抗体(ポリクローナル抗体:Diagnostica Stago社
製)を用いた他は実施例1と同様の方法で調製した、兎
抗ヒトプロティンS抗体固定ビーズ各1個と精製したヒ
トプロティンSを0,50,100,200,400ng/mlの各濃度で含
有する0.5%BSA含有PBS溶液(pH7.4)200μと、実施
例1と同様の方法で調製したHRP標識マウス抗ヒトプロ
ティンS−モノクローナル抗体を含有する0.5%BSA含有
PBS溶液(pH7.4)200μとを各試験管(n=2)に添
加して37℃の温度で1時間インキュベートした。
以降、実施例1(3)と同様に処理してテトラメチルベ
ンジジン塩酸塩0.02%及び過酸化水素0.005%を含有す
る0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液(pH4.0)を400μずつ
各試験管に加え、37℃の温度で30分間インキュベートし
た後、反応停止剤として0.1%NaF及び2%酢酸を含有す
る水溶液1mlを各試験管に加えて酵素反応を停止させ
た。
次いで、この溶液を分光光度計を用いて650nmの波長の
吸収強度を測定し、これをヒトプロティンS濃度に対し
てプロットすることにより、基線の吸収強度が0.15と若
干高いものの濃度依存性の良い検量線が得られた。
実施例3 C4bp−プロティンS−複合体共存下でのヒトプロティン
Sの測定 ヒトプロティンSを夫々4.0,8.0μg/mlの濃度で含有す
る試料を、0.1%BSA含有PBS溶液(pH7.4)で50倍に希釈
する際にDahlback[Dahlback,B.,Seminars in Thrombos
is & Hemostasis;10;139〜148(1984)]の方法で分離
したC4bp−プロティンS−複合体を、希釈前の濃度が夫
々60,120,240,360,480μg/mlの濃度になるように添加し
た。
次に、この各溶液を試料に用いて実施例1と同様の方法
でヒトプロティンSの濃度を測定した。
その結果、試料中のヒトプロティンSの濃度はC4bp−プ
ロティンS−複合体の存在しない場合の濃度と測定誤差
範囲内で同一であり、本測定方法はC4bp−プロティンS
−複合体を測定することなく、フリーのヒトプロティン
Sのみを選択的に測定することが認められた(第2図参
照)。
比較例1 実施例1における抗体固定ビーズの作製において、山羊
抗ヒトプロティンS−ポリクローナル抗体の代りにマウ
ス抗ヒトプロティンS−モノクローナル抗体(2B9C10)
を用いる他は実施例1と同様の方法で作製した、マウス
抗ヒトプロティンS−モノクローナル抗体を固定したビ
ーズ各1個と精製したヒトプロティンSを、0,50,100,2
00,400ng/mlの各濃度を含有する0.1%BSA含有PBS溶液
(pH7.4)200μと、実施例1と同様の方法で作製した
HRP標識マウス抗ヒトプロティンS−モノクローナル抗
体(2B9F12)を含有する0.1%BSA含有PBS溶液(pH7.4)
200μとを各試験管(n=2)に添加して37℃の温度
で1時間インキュベートした。
以降、実施例1(3)と同様に処理して、テトラメチル
ベンジジン塩酸塩0.02%及び過酸化水素0.005%を含有
する0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液(pH4.0)を400μず
つ各試験管に加え、37℃の温度で30分間インキューベー
トした後、反応停止剤として0.1%NaF及び2%酢酸を含
有する水溶液1mlを各試験管に加えて酵素反応を停止さ
せた。
次いで、この溶液について分光光度計を用いて650nmの
波長の吸収強度を測定し、これをヒトプロティンS濃度
に対してプロットして、プロティンS測定用検量線を得
た(第3図参照)。
本発明の第1図と比較すると明らかなように、この検量
線は基線が吸光度0.2と高く、またプロティンS濃度200
ng/mlの吸光度は0.38と比較的に低い値を示している。
そして検量線の勾配が極めて緩やかなために、プロティ
ンS測定の測定感度が不十分になってしまうので、測定
系としては好ましくないと判断される。これはプロティ
ンSに対するモノクローナル抗体の抗原親和性が十分に
は高くないためと考えられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の測定方法(実施例1)におけるヒト
プロティンS測定用の検量線を示している。 第2図は本発明の測定方法(実施例3)におけるヒトプ
ロティンSの測定において、C4bp−プロティンS−複合
体を共存させて測定した結果を示している。図中、−○
−は、試料中のヒトプロティンS濃度8.0μg/ml,−●−
は試料中のヒトプロティンS濃度4.0μg/mlを表わす。 第3図は、本発明のポリクローナル抗体の代りにマウス
抗ヒトプロティンSモノクローナル抗体を用いた測定方
法(比較例1)におけるヒトプロティンS測定用の検量
線を示している。
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 英明 東京都小金井市桜町2―7―18 (56)参考文献 特開 昭59−163565(JP,A) 特開 昭63−151856(JP,A) BLOOD,Vol.67,No.6, (1986),P.1583−1590

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不溶性担体に結合した抗体と標識抗体とを
    用いてヒトプロティンSの免疫学的測定を行うに際し、
    いずれか一方の抗体としてヒトプロティンSを特異的に
    認識するポリクローナル抗体を用い、他方の抗体として
    ヒト補体系制御因子のC4bpとプロティンSとの複合体は
    認識せず、フリーのヒトプロティンSを特異的に認識し
    て結合し得るモノクローナル抗体を用いることを特徴と
    するヒトプロティンSの免疫学的測定方法。
  2. 【請求項2】不溶性担体に結合した抗体が、山羊及び/
    又は兎抗ヒトプロティンS−ポリクローナル抗体であ
    り、標識抗体がマウス抗ヒトプロティンS−モノクロー
    ナル抗体であることを特徴とする請求項1記載のヒトプ
    ロティンSの免疫学的測定方法。
  3. 【請求項3】不溶性担体に結合した抗体と標識抗体とか
    らなり、いずれか一方の抗体がヒトプロティンSを特異
    的に認識するポリクローナル抗体であり、他方の抗体が
    ヒト補体系制御因子のC4bpとプロティンSの複合体は認
    識せず、フリーのヒトプロティンSを特異的に認識して
    結合し得るモノクローナル抗体であるヒトプロティンS
    の免疫学的測定用の測定試薬。
  4. 【請求項4】不溶性担体に結合した抗体と標識抗体とか
    らなり、いずれか一方の抗体がヒトプロティンSが特異
    的に認識するポリクローナル抗体であり、他方の抗体が
    ヒト補体系制御因子のC4bpとプロティンSの複合体は認
    識せず、フリーのヒトプロティンSを特異的に認識して
    結合し得るモノクローナル抗体であるヒトプロティンS
    の免疫学的測定用の測定試薬と、これに(a)溶解剤,
    (b)洗浄剤及び酵素で標識化した抗体を用いる場合に
    は、(c)酵素活性を測定するための基質及びその反応
    停止剤を組合わせてなるヒトプロティンSの免疫学的測
    定用のキット。
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