JP2523171B2 - 免疫測定方法及びそれに用いる試薬キット - Google Patents

免疫測定方法及びそれに用いる試薬キット

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JP2523171B2
JP2523171B2 JP63506700A JP50670088A JP2523171B2 JP 2523171 B2 JP2523171 B2 JP 2523171B2 JP 63506700 A JP63506700 A JP 63506700A JP 50670088 A JP50670088 A JP 50670088A JP 2523171 B2 JP2523171 B2 JP 2523171B2
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健治 細田
貴明 窪田
仁美 本田
英明 鈴木
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Teijin Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、溶液中での抗原抗体反応を利用して免疫学
的に物質の量を測定するに際し、特異的反応を低下させ
ることなく、非特異的反応を低下させる免疫測定方法と
それに用いる試薬キットに関する。
背景技術 抗体を用いた免疫測定法は、その特異性の高さや感度
の高さから広く用いられている方法であり、1975年モノ
クローナル抗体の発見とともに、ますます発展が期待さ
れる。
この免疫測定法の検出手段に関しても、従来放射性物
質(I125)が用いられていたが、近年、酸素、蛍光物質
などが用いられるようになり、放射性物質の使用のため
の使用者の特殊な訓練が不要になったことも、この免疫
測定法の発展に拍車がかかった要因の1つであろう。
さて、この免疫測定法が高感度であるためには、抗原
−抗体反応のみに由来する特異的な反応は高く、それ以
外の非特異的反応は極力低いことが、必須条件である。
この非特異的反応をおさえることが高感度免疫測定法
を完成するための重要な技術的ポイントである。それゆ
えに従来から種々の試みが行われている。その手段とし
て最も広く行われている手段は、免疫反応系に非特異的
反応を抑えるための添加剤を添加することであり、その
手段は大きく2つに分かれる。第1の方法は非タンパク
性の物質である界面活性剤等を用いるものであり、第2
の方法は、体液ないしはタンパク溶液を用いるものであ
る。第1の方法の例として、特開昭57−182169号公報に
おいては、免疫反応を行なう反応媒体に可溶なポリアニ
オンを用い、また特開昭58−187862号公報においては、
非イオン界面活性剤を用いて非特異的吸着除去を工夫し
ている。一方、第2の方法として、特開昭59−25184号
公報では疎水性蛋白の0.1%以上を塩類の存在下に用い
ることを特徴とするものや、特開昭61−65162号公報の
ようなマウス腹水等を用いることにより、非特異性吸着
の低減を見ている。
しかしながら、前記した従来の方法はそれぞれ欠点を
有しており決定的な非特異的吸着除去法になりえないの
が現状である。
すなわち第1の方法はしばしば特異的な反応も妨げて
しまい、結果として、低感度の測定系を導くことにな
る。また第2の方法として、疎水性蛋白の使用をあげて
いるが、本発明者らの検討によれば疎水性は非特異的吸
着除去にほとんど全く影響を及ぼさなかった。
また第2の方法としてマウスの腹水を用いた場合に
は、腹水の成分の再現性に問題があることや、この成分
によって特異的反応が低減し、免疫測定法本来の目的に
反するところとなる。
一方、免疫反応を上記の溶液でなく、ニトロセルロー
スなどのメンブレインの上で行う反応も、抗原をメンブ
レイン上で濃縮することによって高感度化を達成しうる
という期待感も手伝い、好んで近年用いられるようにな
った。Brianらは、J.Biochem.Biophys.Methods 12,271
〜279(1986)に、スキムミルクの10%懸濁液を用いて
メンブレインをブロッキングすることにより、飛躍的な
非特異反応の低下を見たことを報告している。
このような固相上の反応ブロッキング剤として、Ahma
dらも、スキムミルクを用いており、彼らはJ.Clin.Micr
obiol.23,3,563〜567(1986)の中で5%のスキムミル
ク溶液を用いpseudorabies virusの抗原を固定したニト
ロセルロースメンブレインをブロッキングすることによ
り、患者血清中の抗pseudorabies virus抗体を測定して
いる。
しかしながら、5%〜10%のスキムミルク懸濁液をブ
ロッキング剤として用いると、Brianらもその報告の中
で述べているように、特異的な反応をも大幅に低下させ
てしまい、前述の免疫測定方法が高感度であるための2
つの必須条件のうち、一方(抗原抗体反応に由来する特
異的な反応は高いこと)が欠如してしまい高感度測定が
達成できないことになる。
その特異反応が妨害される理由としては、スキムミル
クは、かかる濃度では水に不溶であり、その懸濁液を用
いてブロッキングするため、ミクロ的に見れば、スキム
ミルクの大きな不溶物が抗原をおおうため、抗体が近づ
けなくなり、結果として抗原抗体反応が大きく阻害され
ることになる。
従来のブロッキング剤としてのスキムミルクの利用
は、ほとんど上記の固相の免疫反応を利用したものであ
り、溶液状態における免疫反応を利用したものではな
い。
従来、スキムミルクを溶液状態における免疫反応の添
加剤として用いた報告は、1つを除いてない。その1つ
とは、KurokiらがPedialr.Res.19.1017(1985)の中で
2%のスキムミルク懸濁液を用い、羊水中の肺−サーフ
ァクタントアポプロテインの測定を行うに際し、添加剤
として2%のスキムミルクを用いている。しかしなが
ら、このような方法での利用は2つの大きな問題点があ
る。その問題点とは、第1に、スキムミルクが懸濁液で
あるため前述の理由により、特異的な免疫反応をおさえ
てしまうこと、そして第2として、非特異的反応を抑え
るのに必要な濃度である2%のスキムミルク懸濁液を使
用すると、冷蔵庫の保存により、2〜3週後に沈澱が生
じ、この沈澱はどのように再溶解を試みても不可能であ
り、非特異的反応の抑制効果も消失してしまう。すなわ
ち、調製後すぐに使用しなければ、非特異的反応の抑制
のための役割を果しえず、試薬として、まったく不十分
のものと言わざるをえない。
発明の開示 従って、本発明は前記した従来技術の問題点を排除
し、溶液中における抗原−抗体反応を利用した免疫測定
を行なう際に、特異的反応を実質的に低下させることな
く、非特異的反応を抑えることによって免疫測定反応を
高感度で測定することのできる免疫測定方法及びそれに
用いる試薬キットを提供することを目的とする。
本発明のその他の目的及び有利な点は以下の記載から
明らかな通りである。
本発明に従えば、溶液中における抗原−抗体反応を利
用して免疫測定を行なうに際し、免疫反応溶液に平均分
子量が1.6〜5.0万で等電点が1.0〜5.0であるタンパク質
又はそれを含む混合物を完全溶解状態で含む溶液を抗原
−抗体反応調整剤として存在せしめ、抗原−抗体反応調
整剤の免疫反応溶液における最終濃度を0.02〜0.9重量
%に調整する免疫測定方法が提供される。
本発明に従えば、更に、平均分子量が1.6〜5.0万で等
電点が1.0〜5.0であるタンパク質又はそれを含む混合物
を完全溶解状態で含む溶液を抗原−抗体反応調整剤とし
て抗原−抗体反応調整剤の免疫反応溶液における最終濃
度が0.02〜0.9重量%になるような量でその構成要素の
一部として含む免疫測定に用いる試薬キットが提供され
る。
本発明において、タンパク質の「平均分子量」は浸透
圧法によって測定した分子量を意味し、具体的には高分
子溶液と純溶媒と溶媒分子は自由に透すが、溶出高分子
は透さない半透膜を境として接した際に両液の浸透圧差
が高分子の分子量のパラメータとなることを利用してタ
ンパク質の平均分子量を測定するもので、本発明では6.
66M尿素溶液を用いて4℃で測定した値である。また
「等電点」はタンパク質をその等電点に従って分離する
クロマトフォーカシング法によって測定した値をいい、
具体的にはPBE94(ファルマシア製)ゲルを充填したカ
ラム(0.5cmφ×45cm)を用い溶出液0.025Mイミダゾー
ル塩酸(pH7.4)で測定した値をいう。
図面の簡単な説明 第1図は、各濃度のスキムミルク水溶液の保存時の溶
解状態保持率を示し、 第2図は、αPI−プラスミン複合体測定系における
スキムミルク濃度とその添加効果を示しており、 第3図及び第4図は、夫々、αPI及びプロテインC
測定系におけるスキムミルク添加効果を、スキムミルク
無添加の場合と比較した検量線を示し、 第5図は、免疫反応溶液中にスキムミルク0.5重量%
を添加した場合の本測定法(実施例5)によるヒト・プ
ロテインSの免疫学的測定用の検量線を示し、 第6図は免疫反応系にスキムミルクを添加しなかった
場合のヒト・プロテインSの免疫学的測定用の検量線
(比較例2)を示し、 第7図はヒト・胎盤由来酸性GST測定系におけるスキ
ムミルク添加濃度による免疫反応への影響を示し、 第8図はコンドロカルシン測定系におけるスキムミル
ク添加濃度による免疫反応への影響を示し、 第9図はIC測定系におけるスキムミルク添加濃度によ
る免疫反応への影響を示し、 第10図は非特異反応率と各種タンパクの分子量の相関
を示し、 第11図は、非特異反応率と各種タンパクの等電点との
相関を示し、 第12図は、オロソムコイドの添加濃度による免疫反応
への影響を示し、 第13図はペプシンの添加濃度による免疫反応への影響
を示し、そして 第14図はヒト肺表面アポ蛋白の測定系におけるスキム
ミルクの添加濃度による免疫反応への影響を示す。
発明を実施するための好ましい態様 本発明においては、溶液中における抗原−抗体反応を
利用して免疫測定を行なうに際し、免疫反応溶液に分子
量が1.6〜5.0万、好ましくは2.0〜4.6万で等電点が1.0
〜5.0、好ましくは1.2〜4.8であるタンパク質を抗原−
抗体反応調整剤として用いる。
本発明におけるかかるタンパクとしては、カゼイン、
ペプシン、オボグリコプロテイン、オロソムコイド等が
あげられる。分子量1.6万未満のタンパクを用いた場合
には、非特異的吸着が上昇する傾向にあり、また5.0万
を超えると分子量では免疫非特異的反応の低減が不充分
かつ特異的免疫反応の低下が見られる傾向にあり、従っ
て、本発明において使用するタンパク質の分子量は1.6
万〜5.0万、好ましくは2.0〜4.6万である。
一方、等電点に関しては等電点5.0を超えるタンパク
質を添加した場合には、非特異的吸着が上昇し、また等
電点1.0未満では特異的反応がおさえられるために本発
明に使用するタンパクの等電点は1.0〜5.0、好ましくは
1.2〜4.8である。
本発明に従えば前記したタンパク質を含む混合物を抗
原−抗体反応調整剤として使用することができる。この
ような混合物としては、例えば主成分として前記タンパ
ク質10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、糖(例え
ば乳糖)30〜80重量%、好ましくは40〜60重量%、その
他脂肪(例えば0.5〜2重量%)、灰分(例えば5〜12
重量%)、水分(例えば2〜8重量%)などを含むこと
ができる。このような混合物として典型的なのはスキム
ミルクである。スキムミルクはタンパク質としてカゼイ
ンを含むものであるが、カゼインを単独で使用した場合
に比べて、スキムミルクは、免疫反応溶液中における分
散性が良く、タンパク質単位重量当りのNBS(Non−spec
ific binding)効果が高く、温度4℃における保存性が
良い(沈澱が生じにくい)という特長を有する。なお、
本発明に用いるスキムミルクとしては、脱脂したミルク
であれば、何の由来の乳であっても良い。一番典型的な
ものは、市販されているDifco社製のスキムミルクであ
る。
本発明におけるかかるタンパク質溶液(又はスキムミ
ルク溶液)は次のように調整される。すなわち、リン酸
緩衝生理食塩水に適度な濃度のタンパク質又はその混合
物(例えばスキムミルク)を加えて約1時間攪拌する。
次いで超音波をかけて溶解させ、例えば0.45μミリポア
通過溶液といて用いる。種々の濃度のタンパク溶液(又
はスキムミルク溶液)を用いて、免疫測定方法を行なっ
たところ、0.02重量%未満のタンパク質溶液(又はスキ
ムミルク溶液)を用いると、抗原が0であるにもかかわ
らず非特異的反応が著しく増加したため、タンパクの濃
度の下限は0.02重量%である。また0.9重量%を越える
濃度では特異的免疫反応の低下が見られ、また冷蔵庫に
おける保存安定性が低下する傾向にあるので、タンパク
の濃度の上限は0.9重量%である。以上の2つの事実を
考慮し、試薬の安定性を満足し、かつ非特異的反応を効
果的に減ずるタンパク質濃度は、0.02〜0.9重量%の範
囲が適当であり、好ましくは0.05〜0.7重量%である。
本発明に係る免疫測定に用いる試薬キットとは、公知
の試薬キット、例えば2つの抗体を用いるサンドイッチ
法による免疫測定に用いる試薬キットであって、(a)
酵素標識抗体、(b)抗体固定ビーズ、(c)アッセイ
緩衝液、(d)基質液、(e)発色剤、(f)発色停止
液、(g)スタンダード、(h)洗浄液等から構成され
るものであり、好ましくはこれらのいずれかに、前記タ
ンパク質の溶液を含有せしめたものである。なかでも
(a)酵素標識抗体又は(c)アッセイ緩衝液に含有せ
しめるのが、特に(c)アッセイ緩衝液に含有せしめる
のが好ましい。タンパク質溶液は凍結乾燥状態に保持さ
れ、使用時に水等で再溶解して復元させることにより、
所定の濃度範囲になるようにしても構わない。
本発明に従えば、本発明の条件を満足するタンパク質
又はそれを含む混合物(典型的にはスキムミルク)を免
疫測定系に添加することにより特異的反応をほとんど低
下させる事なしに、充分非特異的反応を低下させる作用
を有する事が確認され、高感度な免疫測定法が可能にな
った。
従来のブロッキング作用を発現しうるスキムミルクの
水溶液は、短い放置時間でさえも、放置の間にスキムミ
ルクが凝集し、沈澱が出現し、再溶解しえないものにな
ってしまった。そしてその状態では、スキムミルクのブ
ロッキング作用もまったく消失してしまった。しかしな
がら、抗原−抗体反応調整剤として本発明のスキムミル
クを用いた場合には、すなわち、本発明において使用さ
れる0.02重量%〜0.9重量%のスキムミルク溶液は、1
年間水溶液の状態にて冷蔵庫に保存しても、凝集塊が発
生することは全くなく、免疫測定法についても利用可能
であり、測定試薬として、その保存安定性を満足しうる
ものになった。
しかも、このように作成したスキムミルク溶液を用い
て免疫反応を行なったところ、0.02重量%という、従来
ではブロッキングの作用が考えられなかった希薄なスキ
ムミルク溶液でも、十分非特異的反応を低下させうる作
用を有することがわかり、また、この範囲のスキムミル
ク濃度では、特異的な免疫反応性をほとんど低下させな
いことも確認され、高感度な免疫測定法が可能になっ
た。
本発明による測定法が、特異的な免疫反応性をほとん
ど低下させない理由は次のごとく考えられる。
すなわち、従来は水溶姓のスキムミルクの粒子が抗原
や抗体の周りを囲んだため、抗体が近づけず、結果とし
て特異的な免疫反応を低下させたと考えられる。しかし
ながら、スキムミルクを希薄な水溶液にして、しかも超
音波等を用いることにより、完全な溶解状態のスキムミ
ルクが作製できる。このスキムミルク溶液を用い免疫反
応を行なっても、スキムミルクは完全な溶解状態のた
め、抗原−抗体の反応を阻害しないと考えられる。しか
もこの濃度で、十分、非特異的反応を阻害することも確
認された。
本発明の方法を用いることにより、種々の抗原を測定
することができる。そのような抗原としては例えばα
プラスミン・インヒビター(αPI)、αPI−プラス
ミン複合体、プロテインC、プロテインS等の凝固線溶
系因子、肺−サーファクタント・アポ蛋白及びAFP、CEA
等の腫瘍マーカー等が挙げられる。
また、上述のような種々の抗原を測定する際に使用す
る抗体としては、これら抗原に対するポリクローナル抗
体、モノクローナル抗体、それらのフラグメント、例え
ばF(ab′),Fab′,Fab,Facb等を標識または固定抗
体として用いることができる。なかでも抗体としてモノ
クローナル抗体を用いた場合には特異性の高い測定が可
能となること、またFab′を用いた場合にはより高感度
の測定が可能となるので好ましい。
かかるポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、及
びそれらのフラグメントは公知の方法、例えば、それぞ
れ日本生化学会編、続生化学実験講座、5巻、1−10
頁、東京化学同人、1986年;ケーラーとミルシュタイン
による細胞融合法(G.Kohler and Milstein,Nature(Lo
ndon),256,495−497(1975));およびエー.ニソノ
フら、ピー.パーハムの方法(A.Nisonoff et al.,Arc
h.Biochem.Biophys.,89,23(1960);P.Parham,J.Immuno
l.,131,2895(1983)で得ることができる。
また、かかるモノクローナル抗体のうち、抗ヒト・プ
ロテインSモノクローナル抗体としては、例えば先に出
願された特願昭61−296766号(昭和61年12月15日出願:
発明の名称“モノクローナル抗体、ハイブリドーマ、モ
ノクローナル抗体の製造方法及びヒト・プロテインSの
分離方法”)の特許出願明細書(特開昭63−148994号公
報)に詳細に説明されている(a)ヒト・プロテインS
とヒト補体系制御因子のc4b結合タンパクとの複合体を
特異的に認識し結合するヒト・プロテインSに対するモ
ノクローナル抗体、及び(b)フリーのヒト・プロテイ
ンSを選択的に認識し、ヒト・プロテインSとヒト補体
系制御因子のc4b結合タンパクとの複合体は認識しな
い、ヒト・プロテインSに対するモノクローナル抗体等
を挙げることができる。
また抗原−抗体反応としては、抗原のそれぞれ異なる
抗原決定部位を認識する2種類の抗体を用いる、いわゆ
るサンドイッチ法、あるいは二抗体法など、従来知られ
ている免疫学的測定法を挙げることができるが、なかで
も、サンドイッチ法を好ましく挙げることができる。
実施例 以下、実施例に従って本発明を更に詳しく説明する
が、本発明の技術的範囲をこれらの実施例に限定するも
のでないことはいうまでもない。以下の例において
「%」は特にことわらない限り重量基準である。
実施例1:スキムミルクの溶解性および、溶解状態保持試
験 各濃度のスキムミルク水溶液(2.0,1.5,1.0,0.8,0.7,
0.6,0.5,0.4,0.3,0.2,0.1,0.05,0.02,0.01%)を室温で
スターラーバーを用いて攪拌し、その後、超音波を10分
間かけ、溶解させた。これらの各溶液にチメローサール
を0.01%になるように加え、冷蔵庫に12ケ月保存し、保
存開始時のタンパク質と12ケ月保存品のそれとを比較
し、Bradfordのタンパク測定キットを用いて各濃度にお
ける溶解状態保持の程度を検討した。第1図に、各濃度
における溶解状態保持率(%)を示す。第1図におい
て、 の式を用いた。第1図に示すごとく、スキムミルクが0.
8%以下であれば、充分にその溶液状態で安定に保存し
うることがわかる。
実施例2:αPI−プラスミン複合体の免疫測定法におけ
る特異的反応性および非特異的反応性のスキムミルク濃
度依存性の検討 実施例1のスキムミルク溶液を用い、αPI−プラス
ミン複合体0,50,100,200ng/mlにおける免疫測定を行な
い、非特異的反応(Ag=0)と特異的反応(Ag=200ng/
ml)における測定値を、スキムミルク非添加系と比較し
た。
その結果は、第2図に示したごとくであり、スキムミ
ルクが、0.02%より小さくなると、免疫に非特異的な反
応が上昇することがみとめられた。また、スキムミルク
が、0.8%をこえると、特異反応が阻害されはじめ、ス
キムミルク濃度は、0.02〜0.8が溶液中の免疫反応を高
感度に行なうのに最適であることが確認された。
実施例3:α−プラスミン・インヒビター(αPI)の
免疫測定法 ヒトαプラスミン・インヒブター(αPI)に対す
るモノクローナル抗体を固定したポリスチレン製ボール
(直径6mm)と、このモノクローナル抗体とはαPIに
対する反応部位が異なる抗ヒトαPI−モノクローナル
抗体のペルオキシダーゼ標識体とを用いて、0.5%BSA及
び0.1%スキムミルクを含有する0.01Mリン酸緩衝生理食
塩水(pH7.4)中において、ヒトαPI濃度0,200,400,8
00ng/mlの各水準について、37℃の温度で60分反応を行
なった後、ボールと反応液とを分離し、ポールを生理食
塩水でよく洗浄した。次に、これをテトラメチルベンジ
ジン−H2O2の発色系を含有する水溶液中において反応さ
せた後、反応停止剤を加えて酸素反応を停止させて、65
0nmの波長の吸収強度を測定し、濃度と吸収強度とをプ
ロットして検量線を得た。
これを、0.1%スキムミルクが存在しない他は、上記
方法と全く同じ方法で反応させて作成した検量線と比較
したところ、第3図に示した如く、0.1%スキムミルク
を添加した測定系では、スキムミルク添加のない系に較
べて、ヒトαPI濃度0ng/mlの吸収強度が低く、非特異
的反応が少なく良好なことが認められた。
実施例4:プロテインCの免疫測定法 ヒトプロテインCのGla領域に対する抗ヒトプロテイ
ンC−モノクローナル抗体を固定したポリスチレン製ポ
ール(直径6mm)と、このモノクローナル抗体と反応部
位が異なる抗ヒトプロテインC−モノクローナル抗体の
ペルオキシダーゼ標識体とを用いて、0.5%BSA、0.1%
スキムミルク、5mM塩化カルシウム、及び1U/mlへパリン
を含有する0.05Mトリス緩衝生理食塩水(pH7.4)中にお
いて、プロテインC濃度0,12.5,25,50ng/mlの各水準に
ついて、37℃において30分反応を行なった後、ボールと
反応液を分離してからポールをよく洗浄した。次に、こ
れをテトラメチルベンジジン−H2O2の発色系で発色させ
た後、反応停止剤を加えて酸素反応を停止させて、650n
mの波長の吸収強度を測定し、濃度と吸収強度とをプロ
ットして検量線を得た。これを、0.1%スキムミルクが
存在しない他は、上記方法と全く同じ方法で反応させた
検量線と比較したところ、第4図に示した如く、0.1%
スキムミルクを添加した測定系では、スキムミルク添加
のない系に較べて、プロテインC濃度0ng/mlの吸収強度
が低く、非特異的反応が少ないことが認められた。
参考例1:抗ヒト・プロテインS(PS)モノクローナル抗
体の製造及び精製 精製したヒト・PSを雌のBalb/Cマウス(4周齢)2匹
に対して14日間隔で4回免疫した。初回の免疫はPBSに
溶解した。50μgのヒト・PSを当量のフロイントの完全
アジュバント(Complete Freund′s adjuvant)と混合
し、そのエマルジョンを、腹腔内に投与した(0.5mg/he
ad)、2回目、3回目は、同じく50μgのヒト・PSをフ
ロイントの不完全アジュバント(Freund′s imcomplete
adjuvant)と混合し、同じく腹腔内に投与した。最終
免疫は30μgのヒト・PSをPBS溶液のまま、マウス尾静
脈から追加投与した。最終免疫の3日後に免疫したマウ
スの膵臓細胞を細胞融合に用いた。
免疫したマウスの膵臓細胞と、同系マウスの骨髄腫細
胞(P3U1)を約2:1〜約15:1の割合で混合し、50%ポリ
エチレングリコール1540(和光純薬(製))を融合促進
剤としてKohlerとMilsteinの方法に従い細胞融合を行な
った。融合後の細胞は、1×I06cells/mlの細胞濃度と
なるように10%FCS・−RPMI−1640倍地に懸濁し、96wel
lsマイクロプレート(Coster)に1ウエルあたり100μ
lずつ分注した。
融合細胞は、CO2インキュベーター(5%CO2、37℃)
中で培養し、ヒポキサンチン、アミノプテリン;チミジ
ンを含む培地(HAT培地)で培地交換を行ない、HAT培地
中で増殖させて、膵臓細胞と、骨髄腫細胞から成るハイ
ブリドーマのスクリーニングを行なった。
ハイブリドーマの培養上清中の抗体は抗原ヒト・PSを
コーティングしたマイクロタイタープレートを用いELIS
A法により検出した。第2抗体には、アルカリホスファ
ターゼ標識ウサギ抗マウスIgG抗体を用い、抗原PSに対
する結合性を調べた。融合細胞をまいた合計494のウエ
ルのうち、487のウエルにコロニーの形成が認められ、
このうち抗原PSに対して結合性を示す抗体産生陽性ウエ
ルは94ウエルであった。
これらの抗体産生陽性ウエルのうち4つのウエルにつ
いて限界希釈法によるクローニングを2回繰り返して行
ない、6個のクローンを得た。得られたクローンは、90
%FCS−10%DMSO中に懸濁させ液体窒素中に保存した。
各クローンの産生するモノクローナル抗体をクローン
をBalb/Cマウス腹腔内で増殖させ、その腹水からプロテ
インA−Sepharose 4Bカラムを用いて精製した。
参考例2:精製したモノクローナル抗体の性質 マウス腹水から精製した各クローンのIgGについてク
ラス及びヒト・プロテインSに対する結合性を調べた。
マウスモノクローナル抗体のクラスは、各クラス特異
性の抗マウス抗血清を用いて、オクタロニー法により決
定した。
この結果を下記第2表に示した。
ヒト・プロテインSに対する結合性は、マイクロタイ
タープレートに固相化したヒト・プロテインSと適当な
濃度になるように希釈したモノクローナル抗体とを反応
させ、アルカリ性フォスファターゼ標識化したヤギ抗マ
ウスIgGで検出することにより評価した。
その結果6種類のモノクローナル抗体のヒト・プロテ
インSに対する結合の強さは、2B9F122B9C10>3C3G8
>3C4G4>2B9G3>>2E12 C7であることが判明した。
参考例3:ヒトC4bpとプロテインS複合体に対する反応性 精製した前記6種類のモノクローナル抗体を10μg/ml
の濃度でマイクロタイタプレートにコーティングし、1
%BSAでBocking後、適当な濃度になるように希釈したヒ
ト健常人血漿を加え、血漿中のC4bp−プロテインS複合
体とモノクローナル抗体とを反応させた。次に、アルカ
リ性フォスファターゼ標識化した抗C4bp抗体を加え、6
種類のモノクローナル抗体のC4bp−プロテインS複合体
に対する結合性を検出し、調べた。
その結果、モノクローナル抗体2E12C7は、フリーのプ
ロテインSに対しては非常に結合性が弱いが、C4bp−プ
ロテインS複合体に対しては、高度に特異的に結合性を
示し、6種類のモノクローナル抗体のC4bp−プロテイン
S複合体に対する結合の強さは、2E12C7>>2B9F102B
9C12>3C3G8>3C4G4>2B9G3であることが判明した。
参考例2及び3で示されるように、C4bpとプロテイン
Sとの複合体は認識せず、フリーのヒト・プロテインS
を特異的に認識して結合し得るモノクローナル抗体とし
て2B9F12及び2B9C10が得られた。
実施例5 (1)抗体固定化ビーズの調製 ポリスチレン製ビーズ(直径6mm)を、山羊抗ヒト・
プロテインS抗体(ポリクローナル抗体;American Diag
nostica社製)の20μg/mlの濃度を有するpH7.4の0.01M
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中に4℃の温度で1
昼夜放置した後、PBSで洗浄してから0.5%牛血清アルブ
ミン(BSA)水溶液中に4℃の温度で1昼夜放置してポ
ストコーティング処理を実施することにより抗体固定化
ビーズを得た。
(2)ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ標識モノク
ローナル抗体の調製 フリーのヒト・プロテインSを特異的に認識するモノ
クローナル抗体(2B9F12)の1.0mg/mlのPBS溶液1.0ml
に、N−(m−マレイミド安息香酸)−N−サクシンイ
ミドエステル(MBS)の10mg/mlのジメチルホルムアミド
溶液50μlを添加し、25℃の温度で30分間反応させた
後、セファデックスG−25を充填したカラムを用い、0.
1Mリン酸緩衝液(pH6.0)でゲル濾過を行ない、マレイ
ミド化モノクローナル抗体と未反応MBSとを分離した。
一方、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HR
P)の1.0mg/mlのPBS溶液2.0mlに、N−サクシンイミジ
ル−3−(2−ピリジルチオ)プロピオネート(SPDP)
の10mg/mlエタノール溶液を添加し、25℃で30分間反応
させた後、セファデックスG−25で充填したカラムを用
い、0.01M酢酸緩衝液(pH4.5)でゲル濾過して精製し、
ピリジルジスルフィド化HRPを含有する画分を採取して
コロジオンバック中で氷冷下に約10倍に濃縮した。次
に、これに0.85%NaClと0.1Mジチオスレイトールとを含
有する0.1M酢酸緩衝液(pH4.5)1mlを添加して、25℃で
30分間攪拌してHRP分子中に導入したピリジルジスルフ
ィド基を還元した後、セファデックスG−25カラムを用
い、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)でゲル濾過して、チオ
ール化HRPを含有する画分を得た。
次に、得られたマレイミド化モノクローナル抗体とチ
オール化HRPとを混合し、コロジオンバックを用いて氷
冷下に4mg/mlの蛋白質濃度まで濃縮し、4℃で1昼夜放
置した後、ウルトロゲルAcA44(仏LKB社製)を充填した
カラムを用いてPBSでゲル濾過することによりHRP標識モ
ノクローナル抗体を得た。
(3)ヒト・プロテインSの測定 山羊抗ヒト・プロテインS抗体を固定化したビーズ各
1個と精製したヒト・プロテインSを0,50,100,200,400
ng/mlの各濃度で含有する0.1%BSA及び0.1%スキムミル
ク含有PBS溶液(pH7.4)200μlと、HRP標識モノクロー
ナル抗体を含有する0.1%BSA及び0.1%スキムミルク含
有PBS溶液(pH7.4)200μlとを各試験管(n=2)に
添加して37℃の温度で1時間インキュベートした。
次に、試験管内の溶液を吸引除去した後、PBSで2回
洗浄してから、テトラメチルベンジジン塩酸塩0.02%及
び過酸化水素0.005%を含有する0.1Mリン酸−クエン酸
緩衝液(pH4.0)を400μlずつ各試験管に加え、37℃の
温度で30分間インキュベートした後、反応停止剤として
0.1%NaF及び2%酢酸を含有する水溶液1mlを各試験管
に加えて酵素反応を停止させた。
次いで、この溶液を分光光度計を用いて650nmの波長
の吸収強度を測定し、これをヒト・プロテインS濃度と
プロットすることにより、濃度依存性を有するヒト・プ
ロテインS濃度測定用の検量線を得た(第5図参照)。
血漿検体中のヒト・プロテインSの濃度測定として、
正常混合人血漿を0.1%BSA及び0.1%スキムミルク含有P
BS溶液(pH7.4)で50倍に希釈した溶液200μlを、抗体
固定ビーズ及びHRP標識モノクローナル抗体溶液200μl
と共に試験管に加え、検量線を作製した方法と同様にし
て免疫反応及び発色反応を行なった後、分光光度計にて
吸光光度を測定した。この値を検量線を用いて血漿中の
濃度に換算したヒト・プロテインS濃度を求めた結果、
血漿中濃度は10.4μg/mlであった。
比較例1 実施例5と同様の方法で調製した山羊抗ヒト・プロテ
インS抗体を固定化したビーズ各1個と精製したヒト・
プロテインSを0,50,100,200,400ng/mlの各濃度で含有
する0.5%BSA含有PBS溶液(pH7.4)200μlと、同じく
実施例5と同様の方法で調製したHRP標識マウス抗ヒト
・プロテインS−モノクローナル抗体を含有する0.5%B
SA含有PBS溶液(pH7.4)200μlとを各試験管(n=
2)に添加して37℃の温度で1時間インキュベートし
た。
次に、各試験管内の溶液を吸引除去した後、PBSで各
2回洗浄してから、テトラメチルベンジジン塩酸塩0.02
%及び過酸化水素0.005%を含有する0.1Mリン酸−クエ
ン酸緩衝液(pH4.0)を400μlずつ各試験管に加え、37
℃の温度で30分間インキュベートした後、反応停止剤と
して0.1%NaF及び2%酢酸を含有する水溶液1mlを各試
験管に加えて酵素反応を停止させた。
次いで、この溶液を分光光度計を用いて650nmの波長
の吸収強度を測定し、これをヒト・プロテインS濃度に
対してプロットすることにより検量線を作製した(第6
図参照)。
この検量線は、非特異的反応のために基線が吸収強度
0.28と非常に高く良好な感度が得られず、測定系として
は不十分であった。
比較例2 実施例5と同様の方法で調製した山羊抗ヒト・プロテ
インS抗体を固定化したビーズ各1個と精製したヒト・
プロテインSを0,50,100,200,400ng/mlの各濃度で含有
する0.5%BSA及び2%スキムミルク含有PBS溶液(pH7.
4)200μlと、同じく実施例5と同様の方法で調製した
HRP標識マウス抗ヒト・プロテインS−モノクローナル
抗体を含有する0.5%BSA及び2%スキムミルク含有PBS
溶液(pH7.4)200μlとを各試験管(n=2)に添加し
て37℃の温度で1時間インキュベートした。
次に、実施例5と同様の方法で発色反応及び反応停止
を行なった後、この溶液を分光光度計を用いて650nmの
波長の吸光度を測定し、これをヒト・プロテインS濃度
とプロットすることにより、実施例5の場合と同様の濃
度依存性を有する良好な検量線が得られた。
しかし、0.5%BSA及び2%スキムミルク含有PBS溶液
(pH7.4)からなる免疫反応用緩衝液及びHRP標識モノク
ローナル抗体を含有する0.5%BSA及び2%スキムミルク
含有PBS溶液(pH7.4)を無菌状態でバイアルに充填し、
冷蔵庫中に1ケ月間保存したところ、これらの溶液中の
スキムミルクが凝集塊を形成した。
この凝集塊を分離して免疫学的測定を実施したとこ
ろ、もはや濃度依存性を有する検量線を得ることができ
ず、測定不能であった。
実施例6:ヒト・胎盤由来酸性グルタチオンS−トランス
フェラーゼ測定系におけるスキムミルク添加試験 免疫測定用緩衝液(1%牛血清アルブミン0.01Mリン
酸0.85%NaCl緩衝液pH7.2)で、ヒト・胎盤由来酸性グ
ルタチオンS−トランスフェラーゼ(以後ヒト・胎盤由
来酸性GSTと記す)の0,25及び50μg/ml溶液を作製しそ
の100μlと、同上緩衝液で最終濃度が0,0.05,0.1,0.2
%となるよう調整したスキムミルク含有溶液100μl、
及びホースラディッシパーオキシダーゼ標識抗ヒト・胎
盤由来GSTモノクローナル抗体を含有する同上緩衝液200
μlを試験管に入れ、よく混和した。これに、兎抗ヒト
・胎盤由来酸性GSTポリクローナル抗体を固定したビー
ズ1個をそれぞれの試験管に入れて、37℃の温度で2時
間反応させた。次に試験管内の溶液を吸引除去した後、
生理食塩水2mlで3回洗浄してから、3,3′、5,5′テト
ラメチルベンジジン塩酸塩0.02%、H2O22.5mMを含有す
る0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液(pH4.0)を0.4mlずつ各
試験管に加えて、37℃の温度で30分間反応させた後、反
応停止剤として、1N硫酸水溶液を1mlずつ加えて酸素反
応を停止させた。
次いで、この溶液を分光光度計を用いて、精製水を対
照として450nmにおける吸収強度を測定し、得られた結
果を第7図に示した。
実施例7:コンドロカルシン測定系におけるスキムミルク
添加試験 免疫測定用緩衝液(1%牛血清アルブミン含有0.01M
リン酸、0.85%NaCl緩衝液pH=7.2以後1%BSA−PBSと
略記する)で、ウシコンドロカルシンを希釈し、0,2ng/
ml溶液を作成し、その50μlと同上緩衝液で終濃度0,0.
00625,0.0125,0.025,0.05,0.1,0.2,0.4及び0.8%となる
様に調整したスキムミルク含有溶液50μlを加えよく混
和し、ウサギ抗ウシ・コンドロカルシン・ポリクローナ
ル抗体を固定したマイクロプレートに同上溶液100μl
を入れ、37℃で2時間反応させた(一次反応)。次い
で、PBS−0.05%Tween−20で洗浄後ペルオキシダーゼ標
識抗ウシ・コンドロカルシン・ポリクローナル抗体のFa
b′を免疫測定用緩衝液で希釈し、各ウエルに100μl入
れ37℃で1時間反応させた(二次反応)PBS−0.05%Twe
en−20にて洗浄後パーオキシダーゼ用基質液(2.5mM H2
O2、0.0225%3,3′、5,5′−テトラメチルベンジジンを
含む)を100μl加え、37℃で0.5時間発色させ、1N−硫
酸溶液25μlを加えて停止反応を行ない、450nmでプレ
ートリーダーにて吸収強度を測定した。その結果を第8
図に示した。この図から明らかな如く、スキムミルク濃
度0.00625%以上のスキムミルク濃度で非特異的吸着が
防止出来る。
実施例8:IgA−IC(IgA型免疫複合体)測定系におけるス
キムミルク添加試験 免疫測定用緩衝液(0.5%牛血清アルブミン、0.01Mリ
ン酸、0.85%NaCl緩衝液pH7.2、以後0.5%BSA−PBSと略
記する)にて、標準物質(IgA−C3)の1,25及び50μg/m
lを100倍に希釈して、0.2mlを試験管に採取した。次に
0.5%BSA−PBSにて終濃度が0,0.05,0.1,0.2%となるよ
う調整したスキムミルク含有溶液を0.2ml加えよく混和
した。そこへ、兎抗ヒトC3Facbを固定したビーズを1個
ずつ入れ37℃で1時間反応させた(一次反応)。次い
で、この試験管内の溶液を吸引除去した後、生理食塩水
(以後生食と記す)2μlにて3回洗浄してから、ホー
スラディシュパーオキシダーゼ標識、山羊抗ヒトIgA抗
体(カッペル社製)の原液を、スキムミルク0,0.05,0.1
及び0.2%含有する0.5%BSA−PBS溶液にて、各々10,000
倍に希釈したものを一次反応時のスキムミルク含有量が
同一のチューブに0.4mlずつ加え37℃で1時間反応させ
た(二次反応)。次いで、試験管内の溶液を吸引除去し
た後、生食2mlで3回洗浄してから、2,2′−アジノビス
−(3−エチル−6−ベンズチアゾリンスルホン酸)ジ
アンモニウム塩(ABTS)0.05%、過酸化水素1mMを含
む、0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液(pH4.5)を0.4mlずつ
試験管に加え37℃で30分間反応させた後、反応停止剤と
して0.1Mシュウ酸水溶液1mlずつを加えて酵素反応を停
止させた。
次いで、この溶液を分光光度計を用いて、波長420nm
における吸収強度を試薬ブランク(標準物質の代りに0.
5%BSA−PBSを使用したもの)を対照として測定し、結
果を第9図に示した。
実施例9:免疫反応における非特異的反応(N)/特異的
反応(S)比に対する各種タンパク添加の影響 ヒトプラスミノーゲンに対するポリクローナル抗体を
固定したポリスチレン製ボール(直径6mm)と、抗ヒト
αPI−モノクローナル抗体のペルオキシダーゼ標識体
とを用いて、ウレアーゼ、ゼラチン、牛血清アルブミ
ン、卵アルブミン、ペプシン、α−カゼイン、β−カゼ
イン、カゼイン、スキムミルク、PFC(IgGの部分FC)、
NZ Case(カゼインのペプシン分解物)、ゼラチンハイ
ドロリゼートエンザイマティックアシッド(Hydrolysat
e Enzymatic−Acid)、オロソムコイド、オボグリコプ
ロテインの各種タンパク0.25%を含有する0.01Mリン酸
緩衝生理食塩水(pH7.4)中において、ヒトαPI−プ
ラスミン複合体濃度0,100ng/mlの各水準について、37℃
の温度で60分反応を行なった後、ボールと反応液とを分
離し、ボールを生理食塩水でよく洗浄した。次に、これ
をテトラメチルベンジジン−H2O2の発色系を含有する水
溶液中において反応させた後、反応停止剤を加えて酸素
反応を停止させて、650nmの波長の吸収強度を測定し
た。
以下の計算式を用いて、非特異反応率を算出し、分子
量又は等電点との相関を各々第10図及び第11図に示し
た。
第10図より分子量1.6万〜5.0万、第11図より等電点1.
0〜5.0の範囲のタンパクの添加が非特異的反応の著しい
低下を導くことは明白である。また第11図より、等電点
1.0〜5.0のタンパクの添加が非特異的反応を低減する効
果が良好であることがわかる。
実施例10:オロソムコイド、ペプシンの添加濃度による
免疫反応への影響 ヒトプラスミノーゲンに対するポリクローナル抗体を
固定したポリスチレンボールと、抗ヒトαPIモノクロ
ーナル抗体のペルオキシダーゼ標識体とを用いてオロソ
ムコイド、ペプシンの各種濃度を含有する0.1Mリン酸緩
衝液(pH7.2)中において、ヒトαPI−プラスミン複
合体濃度0,50,100ng/mlの各水準について37℃の温度で6
0分反応を行なった後、ボールと反応液とを分離し、ボ
ールを生理食塩水でよく洗浄した。次に、これをテトラ
メチルベンジジン−H2O2の発色系を含有する水溶液中に
おいて反応させた後、反応停止剤を加えて酵素反応を停
止させて、650nmの波長の吸収強度を測定した。
結果をそれぞれ第12図(オロソムコイド)と第13図
(ペプシン)に示した。第12図および第13図から、低タ
ンパク濃度では非特異的反応が著しく増加すること、高
タンパク濃度では特異的反応が低下していることが明ら
かである。
実施例11:肺−サーファクトタント−アポタンパク測定
系におけるスキムミルク添加試験 免疫測定用緩衝液(1%牛血清アルブミン0.01Mリン
酸0.85%NaCl緩衝液pH7.2)で、ヒト肺表面アポタンパ
ク(以下LSP)の、0,50ng/ml溶液を作製し、その100μ
lと同上緩衝液で最終濃度が0,0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.
6,0.7%となるよう調整したスキムミルク含有溶液100μ
l、及びホースラディッシパーオキシダーゼ標識抗ヒト
LSPモノクローナル抗体を含有する同上緩衝液200μlを
試験管に入れ、よく混和した。これに、抗LSPモノクロ
ーナル抗体を固定したビーズ1個をそれぞれの試験管に
入れて、45℃の温度で30分反応させた。次に試験管内の
溶液を吸引除去した後、生理食塩水2mlで3回洗浄して
から、3,3′,5,5′テトラメチルベンジジン塩酸塩0.02
%、H2O22.5mMを含有する0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液
(pH4.0)を0.4mlずつ各試験管に加えて、45℃の温度で
15分間反応させた後、反応停止剤として、1N硫酸水溶液
を1mlずつ加えて酸素反応を停止させた。
次いで、この溶液を分光光度計を用いて、精製水を対
照として450nmにおける吸収強度(O.D.)を測定し、得
られた結果を第14図に示した。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−275654(JP,A) Journal of Clinic al Microbiology,25 (3)P.509−515,(1987) Padiatric Researc h,19(10),P.1017−1020, (1985) Journal of Bioche mical & Biophysica l Methods,12,P.271−279 (1986)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶液中における抗原−抗体反応を利用して
    免疫測定を行なうに際し、免疫反応溶液に平均分子量が
    1.6〜5.0万で等電点が1.0〜5.0であるタンパク質又はそ
    れを含む混合物を完全溶解状態で含む溶液を抗原−抗体
    反応調整剤として存在せしめ、抗原−抗体反応調整剤の
    免疫反応溶液における最終濃度を0.02〜0.9重量%に調
    整することを特徴とする免疫測定方法。
  2. 【請求項2】前記抗原−抗体反応調整剤がカゼイン、及
    びオロソムコイドの群から選ばれた少なくとも一種のタ
    ンパク質である請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】前記抗原−抗体反応調整剤が主要成分とし
    てタンパク質10〜60重量%及び糖30〜80重量%を含む請
    求の範囲第1項記載の方法。
  4. 【請求項4】前記抗原−抗体反応調整剤がスキムミルク
    である請求の範囲第3項記載の方法。
  5. 【請求項5】測定対象がαプラスミン・インヒビタ
    ー、αプラスミン・インヒビター−プラスミン複合
    体、プロテインC、プロテインS、ヒト・胎盤由来酸性
    グルタチオンS−トランスフェラーゼ、コンドロカルシ
    ン、IgA型免疫複合体、肺−サーファクタント・アポタ
    ンパク、AFP又はCEAである請求の範囲第1項記載の方
    法。
  6. 【請求項6】平均分子量が1.6〜5.0万で等電点が1.0〜
    5.0であるタンパク質又はそれを含む混合物を完全溶解
    状態で含む溶液を抗原−抗体反応調整剤として抗原−抗
    体反応調整剤の免疫反応溶液における最終濃度が0.02〜
    0.9重量%になるような量でその構成要素の一部として
    含む免疫測定に用いる試薬キット。
  7. 【請求項7】前記抗原−抗体反応調整剤がカゼイン、及
    びオロソムコイドの群から選ばれた少なくとも一種のタ
    ンパク質である請求の範囲第1項記載の試薬キット。
  8. 【請求項8】前記抗原−抗体反応調整剤が主要成分とし
    てタンパク質10〜60重量%及び糖30〜80重量%を含む請
    求の範囲第1項記載の試薬キット。
  9. 【請求項9】前記抗原−抗体反応調整剤がスキムミルク
    である請求の範囲第8項記載の試薬キット。
  10. 【請求項10】測定対象がαプラスミン・インヒビタ
    ー、αプラスミン・インヒビター−プラスミン複合
    体、プロテインC、プロテインS、ヒト・胎盤由来酸性
    グルタチオンS−トランスフェラーゼ、コンドロカルシ
    ン、IgA型免疫複合体、肺−サーファクタント・アポタ
    ンパク、AFP又はCEAである請求の範囲第6項記載の試薬
    キット。
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