JPH0711416A - 耐高温エロージョン性に優れた表面被覆構造 - Google Patents

耐高温エロージョン性に優れた表面被覆構造

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JPH0711416A
JPH0711416A JP15198193A JP15198193A JPH0711416A JP H0711416 A JPH0711416 A JP H0711416A JP 15198193 A JP15198193 A JP 15198193A JP 15198193 A JP15198193 A JP 15198193A JP H0711416 A JPH0711416 A JP H0711416A
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JP
Japan
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layer
erosion resistance
high temperature
heat insulating
coating
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JP15198193A
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English (en)
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Masanori Nakae
正典 中江
Toru Narisei
徹 成清
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 400 ℃以上という高温での優れた耐高温エロ
ージョン性を発揮する材料を提供する。 【構成】 母材表面上に、セラミックス断熱層を介し
て、400 ℃以上の耐高温エロージョン性に優れた材料か
らなる保護層を最上層として形成し、必要に応じて母材
と断熱層の間および/または断熱層と最上層との間に各
層界面での接合強度に優れた材料からなる中間層を設け
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、宇宙開発、航空、飛翔
体、エネルギー、電力、自動車、製鉄等の分野において
使用される、耐高温エロージョン性の要求される表面被
覆構造に関する。
【0002】
【従来の技術】エロージョンとは流体または粒子の衝突
により固体表面が機械的に損傷を受けて摩耗する現象を
いう。かかるエロージョンに対する固体面の抵抗性をそ
の固体材料の耐エロージョン性といい、特に高温環境下
での耐エロージョンを耐高温エロージョン性という。耐
エロージョン性を向上させるためには、表面硬度の増大
を図ることが一般的に知られている。
【0003】例えば、鉄系材料においては浸炭や窒化に
より表面硬化層を作製する方法が採られる。しかし、浸
炭や窒化による表面硬化処理方法には様々な方法があ
り、母材により各処理方法も様々である。またステンレ
ス等の肉盛溶接により硬化層を形成する方法もあるが、
材料によっては肉盛り溶接不可能な材料も多い。
【0004】そのほかに耐エロージョン性を向上させる
方法としては、鉄鋼材料の場合ではMoを溶射し、その上
にTiを溶射し、これを窒素ガスプラズマにより窒化して
TiN層を形成する方法が知られている (特開昭63−1628
49号公報参照) 。
【0005】この方法ではTiN層の形成により耐食性、
耐エロージョン性を付与できるとしているが、このよう
な表面被覆法では断熱層がないために高温での使用に難
点がある。高温での使用を考えた場合、遮熱のためのコ
ーティングが必要となってくる。
【0006】ところで、一般的に遮熱コーティングには
ZrO2系のセラミックスの溶射が知られており、現在まで
にそのための方法がいくつか提案されている。例えば、
特開平4−362168号公報に開示された方法では、母材表
面上に耐食耐酸化性の高い金属層、セラミックス層およ
び耐摩耗性の高い金属層からなる3層遮熱コーティング
膜が設けられている。
【0007】このように耐エロージョン性を付加したコ
ーティング膜は一般化している。この方法では、耐エロ
ージョン性を付与するために最上層 (最外層) に耐摩耗
性の高い金属層のコーティングを提案し、その金属材料
としてMCrAlYのほかAl、MCrAlHf 、MCrAlSi(但しM : C
o、Ni、Fe等) を挙げている。しかし、この金属材料を
酸化雰囲気で使用する場合、構成金属の酸化物の形成に
よって耐エロージョン性はある程度、向上するが、中性
雰囲気 (酸化でも還元でもない雰囲気) 、および還元雰
囲気では酸化膜は形成されなくなるため、顕著な耐エロ
ージョン性の向上は望めない。
【0008】また酸化雰囲気で使用した場合において
も、MCrAlY、Al、MCrAlHf 、MCrAlSi等の比較的低融点
(融点 : 2000 ℃以下) 金属では、高温高速粒子を含ん
だエロージョン雰囲気下での耐エロージョン性能は劣
る。これは融点が低いために、400 ℃以上のエロージョ
ン雰囲気下では皮膜が軟化するためと考えられる。
【0009】この他に、軽量耐熱材料であるTiAl金属間
化合物または合金の表面に耐酸化性皮膜を形成する方法
も提案されている (特開平2−294458号公報参照) 。し
かし、このようなAl2O3 のコーティング方法では断熱層
がないために母材の温度上昇があった場合、高温(400℃
以上) での耐エロージョン性能を満足することは非常に
困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、機能向上に
伴って、ガスタービン、ベーン、ジェットエンジンの燃
焼器等にあっては、400 ℃以上の高温の燃焼に長期間曝
されるようになってきている。特に、最近においてはこ
のような燃焼部分は高効率化のために、雰囲気温度のさ
らなる高温化が進んでいる。これに伴いコーティング皮
膜にも非常に苛酷な使用雰囲気条件に耐えることができ
る特性が要求される。
【0011】このような燃料中には微粒子が含まれてい
る場合が多い。しかし一般に使用されるZrO2系の遮熱コ
ーティングのみではそのような微粒子による損耗が大き
く耐エロージョン性能が劣る。そこで400 ℃以上の高温
での耐エロージョン性に優れた材料を得るために高温、
高強度部材の表面に耐高温エロージョン性の優れたコー
ティング皮膜を設けることは極めて有効な手法である。
【0012】しかし、従来技術に示したようにZrO2系の
遮熱コーティング上へのMCrAlY、Al、MCrAlHf 、MCrAlSi
等のコーティング (特開平4−362168号公報参照) で
は、酸化雰囲気以外での耐エロージョン性能は、酸化物
の形成が起こらないために劣る。また酸化雰囲気下にお
いても高温高速粒子を含んだエロージョン雰囲気下では
コーティング材料が比較的低融点 (融点: 2000℃以下)
であるので、この皮膜が軟化し、耐エロージョン性能が
劣る。
【0013】そこで、400 ℃以上の高温の使用環境での
耐エロージョン性能を維持する耐熱材料を最上層にコー
ティングする必要がある。ここに、本発明の目的は、40
0 ℃以上という高温での優れた耐高温エロージョン性を
発揮する耐熱材料を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成すべ
く、本発明者らは種々の検討を重ねた結果、断熱層と耐
高温エロージョン性を発揮する保護層とを複合化するこ
とで、しかもその保護層を最上層とすることで、これま
で達成されることがなかった程のすぐれた耐高温エロー
ジョン性を発揮できることを知り、本発明を完成した。
【0015】ここに、本発明は、最も広義には、母材表
面上に、セラミックス断熱層を介して、400 ℃以上の耐
高温エロージョン性に優れた材料からなる保護層を最上
層として備えたことを特徴とする表面被覆構造であり、
必要に応じて、母材と断熱層の間および/または断熱層
と最上層との間に各層界面での接合強度に優れた材料か
らなる中間層を設けてもよい。
【0016】ここに、「400 ℃以上の耐高温エロージョ
ン性」とは母材の軟化によるエロージョン性能を向上さ
せるという意味である。より具体的に説明すると、本発
明にかかる耐高温エロージョン性を有する表面コーティ
ング皮膜は、図1に示すように、高温強度を有する母材
10上に2層以上の成分系を持つ皮膜を有する複合材料に
おいて、断熱層12およびその上部に最上層14を有し、必
要に応じて母材と断熱層の間、断熱層と最上層の間にそ
れぞれ中間層16、18を有する構造を特徴とする耐高温エ
ロージョン性を有する表面皮膜構造である。
【0017】本発明の好適態様によれば、断熱層として
はY2O3、MgO およびCaO の少なくとも1種により安定化
したZrO2皮膜を使用し、最上層としては酸化物系セラミ
ックスであるCr2O3 、Al2O3 、窒化物系セラミックスで
あるTiN 、ZrN 、TiAlN 、HfN 、炭化物系セラミックス
であるWC、SiC 、TiC 、ZrC 、HfC 、VC、硼化物系セラ
ミックスであるTiB2、ZrB2、Mo2B5 、MoB2、HfB2、金属
であるMo、W、Hf、Nb、Ta、あるいはこれら金属のSiと
の金属間化合物、MoSi2 、W3Si2 、Nb5Si3のうちの少な
くとも1種を使用し、さらに、中間層としてはNi−Cr、
MCrAlY (M : Ni、Co、NiCoのいずれか) のいずれかを使
用することを特徴とする耐高温エロージョン性能を有す
る表面皮膜構造である。
【0018】本発明において使用する母材としては、い
わゆる耐熱材料であって、例えばFe基合金、Ni基合金、
Co基合金、Ti基合金、Mo基合金、W基合金等であるが、
もとよりこれらにのみ制限されるものではない。かくし
て、本発明にかかる表面皮膜構造を備えた材料は400 ℃
以上の高温エロージョン環境下において耐熱構造材料と
して使用することが可能である。
【0019】
【作用】一般に、耐熱構造材料は高温での強度は優れて
いるが、高温の高速粒子による耐エロージョン性能には
劣る材料が多い。このような高温の高速粒子に曝される
ような環境下で使用する耐熱構造材料にあっては、耐エ
ロージョン性能が要求される部分の耐エロージョン性能
を向上させるために、表面コーティングを行うことは有
効な方法の一つであるといえる。しかし、適用環境が高
温であるので、このコーティング皮膜の性能としては材
料表面を高温から保護する断熱性と高温での耐エロージ
ョン性を兼ね備える必要がある。
【0020】本発明は、そのためそれぞれの特性を2種
の異種の材質の皮膜で分担し、重ねて使用することによ
り全体として上記の特性を発現しようとするものであ
る。本発明にかかる表面皮膜構造の特徴は、セラミック
断熱層の上部に耐高温エロージョン性に優れた最上層を
保護層として設けることである。
【0021】好ましくは、それぞれの界面における接合
強度を確保するために中間層を設ける。この中間層は母
材と断熱層、断熱層と最上層のそれぞれ界面において、
皮膜の成分や表面粗さ等の条件により直接皮膜を重ねた
場合には接合強度が確保できない“相性の悪い場合”に
使用するものである。
【0022】この中間層は必須のものではなく直接皮膜
を重ねて接合強度が十分確保できる場合や使用環境によ
り皮膜間の接合強度が求められない場合には省略するこ
とができる。
【0023】400 ℃以上の温度ですぐれた耐高温エロー
ジョン性を示す保護層、つまり最上層は直接エロージョ
ン雰囲気に曝されるため、外部雰囲気に合わせた材料選
定が重要となる。外部雰囲気が酸化雰囲気下であれば酸
化物系のセラミックス、還元雰囲気下においては酸化物
系を除くセラミックス皮膜を最上層に使用するというよ
うに外部雰囲気に合わせた使い分けも重要となる。
【0024】次に、本発明における各皮膜の作用につい
て順次説明する。まず、断熱性皮膜の選定を行うため、
板状試験片 (SUS304ステンレス鋼: 厚さ3mm×幅50mm×
長さ50mm) を用意した。この表面に1000μmの厚みの各
種材料の溶射皮膜を施工し、図2に示すように1000℃に
昇温した炉内に溶射皮膜の施工してある一面のみを露出
するように設置し、試験片裏面の温度を熱電対にて測定
し、1分後の温度を比較し、断熱性について評価した。
【0025】溶射皮膜材質として熱伝導率の低い酸化物
系セラミックスとして表1に示すようにZrO2、ZrO2−8
%Y2O3、ZrO2−8%MgO 、ZrO2−8%CaO 、Al2O3 、Ti
O2を選択し、皮膜作製の後、試験に供した。図3に試験
結果を示す。
【0026】
【表1】
【0027】皮膜としての断熱性はZrO2−8%Y2O3、Zr
O2−8%MgO 、ZrO2−8%CaO でほゞ同等、他より優れ
ており、次いでAl2O3 、TiO2の順に優れていることが判
明した。よって、本発明においてセラミック断熱層の皮
膜成分としては、例えばY2O3、MgO 、CaO の少なくとも
1種で安定化したZrO2を使用することが最も良いと考え
る。
【0028】これはZrO2のみでは1100℃にて単斜晶から
正方晶に、さらに2367℃にて立方晶に結晶系が構造変態
するために、昇温過程において温度による熱膨張係数の
差から応力割れを起こし断熱層としての役割を果たさな
くなることが予想されるからである。
【0029】次に、母材と断熱層間の第一中間層16の材
料成分の選定を行うための検討を行った。皮膜の施工は
溶射法によった。第一中間層はセラミックス断熱層の接
合強度強化を目的としているので、評価法としてJIS H8
664 に準じた接合強度測定法を採用し、皮膜材質と皮膜
の接合強度の関係を調査した。
【0030】実験要領の概略を図4に示す。直径30mm×
長さ150 mmの円柱型SUS304ステンレス鋼母材端面に溶射
皮膜を厚み50μm 作製した。このときの皮膜材質として
表2に示すようにNi−Cr、MCrAlY (M:Ni、Co、NiCoの3
種類) 、Ni、Ni−Al、Coを用いた。その上面にセラミッ
クス断熱層であるZrO2−8%Y2O3を500 μm 厚さで施工
し、その上面に接着剤で相手材 (SUS304ステンレス鋼)
を付着させ室温にて引張試験を行った。また比較のため
中間層を施工せずに母材に直接セラミックス断熱層を施
工したものも同時に評価した。
【0031】
【表2】
【0032】図5にそのときの試験結果を示すが、これ
からも分かるように、中間層の存在により皮膜の接合強
度は増大し、このうちMCrAlYの場合が最も増大し、次い
でNi−Crであった。Ni、Co、Ni−Alの場合、その効果は
小さいことが判明した。これはMCrAlY (M:Ni、Co、NiCo
の3種類) 中に含まれるYがNi、Coを安定化させるた
め、SUS304ステンレス鋼またはZrO2との密着強度を高め
ると予想できる。
【0033】さらに、セラミックス断熱層と最上層間の
第二中間層18の材料成分の選定を行うための検討を行っ
た。皮膜の評価法は上記の接合強度試験法 (JIS H8664)
を採用し、試験要領の概略図を図6に示す。
【0034】まず母材であるSUS304ステンレス鋼上に第
一中間層として最も密着強度が優れたNiCoCrAlY を50μ
m 厚さまで減圧溶射し、その上面に8%Y2O3−ZrO2を50
0 μm 大気溶射行った。その上面に第二中間層の皮膜材
として表3に示す材質のものを50μm 厚さまで大気溶射
行った。そしてその上面にCr2O3 を500 μm 厚さまで大
気溶射行った。その上面に接着剤でSUS304を密着させ、
引張試験を行った。引張試験結果を図7に示す。
【0035】
【表3】
【0036】皮膜接合強度は中間層の存在により増大
し、MCrAlY (M:Ni、Co、NiCoの3種類) 、およびNi−Cr
をその材質としたとき結果が良好であった。上記の結果
と併せて、第一、第二中間層のいずれにもMCrAlYもしく
はNi−Crを使用することが最良であることが分かった。
【0037】最上層は高温雰囲気に直接曝されるために
雰囲気による制約を受ける。酸化雰囲気の場合、酸化物
系のセラミックスが、還元雰囲気の場合、酸化物系を除
くセラミックスもしくは高融点金属あるいはそれらのSi
との金属間化合物が好適材質となる。不活性の雰囲気で
はその制約がなくなる。このような雰囲気、温度によっ
て耐エロージョン性能に優れた膜の材質は変化する。
【0038】ところで一般に金属材料、無機材料に対す
る粒子エロージョンは金属硬さが増加すると耐エロージ
ョン性能は向上することが分かっている。すなわち、使
用雰囲気および温度において最も硬度が高い材料を最上
層として使用することで優れた耐エロージョン性を発揮
させることが可能となる。
【0039】酸化雰囲気下で使用する最上層としての好
適材としては酸化物系セラミックスのCr2O3 、Al2O3
TiO2、NiO の酸化物、またはSiとの金属間化合物である
MoSi2 、W3Si2 、Nb5Si3が好ましい。これらは高温硬度
も高く安定であるため使用することによって耐エロージ
ョン性の向上は期待できる。そして酸化物系セラミック
スの中でもCr2O3 、Al2O3 は高温硬度が高く耐エロージ
ョンには最適であることが判明した。
【0040】よって、酸化雰囲気での使用の場合、Cr2O
3 若しくはAl2O3 あるいはSiとの金属間化合物であるMo
Si2 、W3Si2 もしくはNb5Si3が好ましい。このように、
酸化雰囲気下では酸化物系セラミックス、Siとの金属間
化合物が耐高温エロージョン性が高く、十分な性能が得
られると言える。しかし、窒化物系セラミックスのTiN
、炭化物系セラミックスのCr3C2 、硼化物系のTiB2
高融点金属のMo、W等を使用した場合であっても、皮膜
酸化が起こり、状況によっては使用可能な程度の耐エロ
ージョン性能を有する皮膜が形成される。これは酸化雰
囲気であっても、酸化雰囲気の度合いと高温の度合いが
大きく影響するからである。すなわち酸化雰囲気でも温
度が低ければ、このような窒化物系セラミックスのTiN
、炭化物系セラミックスのCr3C2 、硼化物系のTiB2
高融点金属のMo、W等の使用も十分可能となる。
【0041】ここに、不活性雰囲気下で使用する最上層
の保護層の好適材としては、高温での表面硬度が高い酸
化物系セラミックスのCr2O3 、Al2O3 、TiO2、NiO 、窒
化物系セラミックスのTiN 、ZrN 、TiAlN 、HfN 、炭化
物系セラミックスのWC、SiC、TiC 、MoC 、ZrC 、HfC
、Cr3C2 、VC、硼化物系セラミックスのTiB2、ZrB2、M
o2B5 、MoB2、HfB2、高融点金属のMo、W、Hf、Nb、Ta
が挙げられる。
【0042】雰囲気ガス温度が1500℃以上の高温の不活
性雰囲気下では、ZrO2−8%Y2O3、TiO2、NiO 、MoC 、
Cr3C2 は他のものに比べ耐エロージョン性に劣る。これ
は1500℃を超えると被覆素材が軟化するためである。し
かし、1500℃以下の使用においては十分優れた耐高温エ
ロージョン性能を有する。
【0043】よって、不活性雰囲気下で使用する最上層
の皮膜成分としては、Cr2O3 、Al2O3 、TiN 、ZrN 、Ti
AlN 、HfN 、WC、SiC 、TiC 、ZrC 、HfC 、VC、TiB2
ZrB2、Mo2B2 、MoB2、HfB2、Mo、W、Hf、Nb、Taのいず
れかを使用することが好ましい。
【0044】一方、還元雰囲気下の場合、酸化物系セラ
ミックスは皮膜が還元するため耐エロージョン性に劣
る。この他、MoC 、Cr3C2 は高温で比較的不安定である
ので耐エロージョン性に劣る。
【0045】よって、還元雰囲気下で使用する最上層皮
膜成分としては、TiN 、ZrN 、TiAlN 、HfN 、WC、SiC
、TiC 、ZrC 、HfC 、VC、TiB2、ZrB2、Mo2B5 、Mo
B2、HfB2、Mo、W、Hf、Nb、Taのいずれかを使用するこ
とが好ましい。
【0046】本発明にかかる最上層が従来の皮膜に比
べ、優れた耐エロージョン性能を示す温度範囲を決定す
るために、耐エロージョン性能の温度依存性試験を行っ
た。実験に用いた試験片は前述の板状試験片 (SUS304ス
テンレス鋼) 上に図6に示す表面皮膜構造をもった皮膜
を溶射法により施工し、図8に示した要領で行った実験
中の雰囲気温度を室温、400 ℃、700 ℃、1000℃と変化
させ、キャリアガスとして大気を用いた酸化雰囲気で、
1分間、Al2O3 を含有したガスを粒子速度10 (m/s)で吹
き付けるエロージョン実験を行った。実験結果は、横軸
に温度、縦軸に損耗量を取ったグラフで図9(a) 、(b)
に示す。なお、図中の記号は下掲表4のそれである。
【0047】
【表4】
【0048】図9(a) 、(b) の結果からも分かるように
本発明において示した耐エロージョン性に優れた皮膜
(X1〜X10)は400 ℃以上の高温域において、比較材 (Z1
〜Z4)より優れた耐エロージョン性能を有することが
判明した。
【0049】この原因としては比較材であるNiCoCrAlY
、NiCoCrAlHf、NiCrAlSi、Al等の表面コーティングで
は融点が1500℃以下であり、Alに至っては融点が660 ℃
であるのに対して、本発明の最上層に用いている全ての
材料は融点が2000℃以上であり、また高融点金属 (Mo、
W、Ta) に至っては2500℃以上であるためであると予想
される。
【0050】すなわち、従来材のように、1500℃程度以
下の融点をもつ材料においては、400 ℃付近に加熱する
と軟化するので、耐エロージョン性の低下が起こるので
はないかと予想される。このように試料表面の加熱によ
る軟化は、高速衝突粒子によるエロージョンを促進させ
ると結論づけることができる。次に、本発明の作用効果
について実施例によってさらに具体的に説明する。
【0051】
【実施例】試験片は厚さ3mm×幅50mm×長さ50mmのSUS3
04ステンレス鋼の母材を使用し、図1に示すようにその
一面に厚さ50μm のCoCrAlY の第一中間層、厚さ1000μ
mのZrO2−8%Y2O3の断熱層、厚さ50μm のCoCrAlY の
第二中間層、厚み200 μmの各種保護層をこの順序で溶
射施工した。
【0052】試験片の耐高温エロージョン性の評価には
高温エロージョン試験機を使用し、下記の条件で図8に
示す要領により実験を行った。 吹き付けガス温度 : 1000℃ ガス流速 : 10 m/s 吹き付け粒子 : Al2O3(粒径10〜45
μm) 粒子(Al2O3) 送給量 : 30g/min 皮膜表面とガスの中心軸のなす角 : 90° まず、粉末の供給ガスとして大気を使用した酸化雰囲気
下で使用する表面皮膜構造の評価を行った。
【0053】最上層の保護層の材質として、表5に示す
酸化物系セラミックスのCr2O3 、Al2O3 、TiO2、NiO 、
窒化物系セラミックスのTiN 、炭化物系セラミックスの
Cr3C2 、硼化物系のTiB2、高融点金属のMo、W、Siとの
金属間化合物のMoSi2 、W3Si2 、Nb5Si3を選んだ。
【0054】従来材としては、最上層にMCrAlY (M:Ni、
Co、NiCoの3種類) 、NiCoCrAlHf、NiCrAlSiおよびAlを
使用した。これらの各材料についてのエロージョン試験
の結果を併せて表4に示す。この表中の損傷量はガスを
1分間吹き付けた後の重量減少量をmgで表している。そ
して総合評価の◎は表面の傷などがほとんど存在しない
状態であり、損傷量が少なく使用を推奨できることを示
し、○は多少傷は見受けられるが使用には十分耐え得る
ことを示し、△は著しい損耗はあるので使用が可能であ
るかどうかは使用環境によることを示している。そし
て、×は損傷量が大きく使用に適さないことを示してい
る。
【0055】これらの結果から分かるように、酸化雰囲
気下では酸化物系セラミックス、Siとの金属間化合物が
耐エロージョン性が高く、他の材質では十分な性能が得
られない。酸化物系セラミックスの中でもCr2O3 、Al2O
3 が優れる。よって、酸化雰囲気での使用の場合、Cr2O
3 もしくはAl2O3 、Siとの金属間化合物のMoSi2 、W3Si
2 、Nb5Si3を使用することが好ましい。
【0056】次に、不活性雰囲気下で使用する最上層皮
膜の材質として、酸化物系セラミックスのCr2O3 、Al2O
3 、TiO2、NiO 、窒化物系セラミックスのTiN 、ZrN 、
TiAlN 、HfN 、炭化物系セラミックスのWC、SiC 、TiC
、MoC 、ZrC 、HfC 、Cr3C2、VC、硼化物系セラミック
スのTiB2、ZrB2、Mo2B5 、MoB2、HfB2、高融点金属のM
o、W、Hf、Nb、Taを選んだ。従来材として、NiCoCrAlY
、NiCrAlY 、CoCrAlHf、NiCrAlSi、Alを使用した。エ
ロージョン試験のキャリアガスとしてArを使用した。皮
膜構成例および試験結果を表6、表7に示した。
【0057】不活性ガス雰囲気下では、TiO2、NiO 、Mo
C 、Cr3C2 は耐エロージョン性に劣る。よって、不活性
雰囲気下で使用する最上層の皮膜成分としては、Cr2O
3 、Al2O3 、TiN 、ZrN 、TiAlN 、HfN 、WC、SiC 、Ti
C 、ZrC 、HfC 、VC、TiB2、ZrB2、Mo2B5 、MoB2、Hf
B2、Mo、W、Hf、Nb、Taのいずれかを使用するのが好ま
しい。
【0058】還元雰囲気下の場合、試験を上記不活性雰
囲気下の皮膜材質と同様なものに対して行った。エロー
ジョン試験のキャリアガスとしてCOを使用した。皮膜構
成例および試験結果を表8、表9に示す。
【0059】還元雰囲気下では、一様に酸化物系セラミ
ックスは耐エロージョン性に劣る。この他、MoC 、Cr3C
2 は耐エロージョン性に劣る。よって、還元雰囲気下で
使用する最上層の皮膜成分としては、TiN 、ZrN 、TiAl
N 、HfN 、WC、SiC 、TiC 、ZrC 、HfC 、VC、TiB2、Zr
B2、Mo2B5 、MoB2、HfB2、Mo、W、Hf、Nb、Taのいずれ
かが好ましい。
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
【表8】
【0064】
【表9】
【0065】
【発明の効果】本発明により、高温強度を有する構造部
材の400 ℃以上の高温において耐エロージョン性を向上
させることが可能な皮膜を得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐高温エロージョン性能を有する本発明にかか
る表面皮膜構造の概略図である。
【図2】実施例における断熱性評価実験の要領を示す概
略図である。
【図3】実施例における断熱性評価試験の結果を示すグ
ラフである。
【図4】中間層(1) の材料選定方法である。
【図5】中間層(1) の引張試験 (JIS H 8664) の結果を
示すグラフである。
【図6】中間層(2) の材料選定方法である。
【図7】中間層(2) の引張試験 (JIS H 8664) の結果を
示すグラフである。
【図8】エロージョン試験の要領を示す概略図である。
【図9】図9(a) はエロージョン試験の結果 (温度依存
性) を示すグラフであり、図9(b) は同じくエロージョ
ン試験の結果 (温度依存性) を示すグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材表面上に、セラミックス断熱層を介
    して、400 ℃以上の温度で耐高温エロージョン性に優れ
    た材料からなる保護層を最上層として備えたことを特徴
    とする表面被覆構造。
  2. 【請求項2】 母材とセラミックス断熱層の間および/
    またはセラミックス断熱層と最上層との間に各層界面で
    の接合強度に優れた材料からなる中間層を設けたことを
    特徴とする請求項1記載の表面被覆構造。
  3. 【請求項3】 セラミックス断熱層としてY2O3、MgO お
    よびCaO の少なくとも1種により安定化したZrO2皮膜を
    使用し、最上層として酸化物系セラミックスであるCr2O
    3 、Al2O3 、窒化物系セラミックスであるTiN 、ZrN 、
    TiAlN 、HfN、炭化物系セラミックスであるWC、SiC 、T
    iC 、ZrC 、HfC 、VC、硼化物系セラミックスであるTiB
    2、ZrB2、Mo2B5 、MoB2、HfB2、金属であるMo、W、H
    f、Nb、Ta、あるいはこれら金属のSiとの金属間化合物
    であるMoSi2 、W3Si2 、Nb5Si3のうちの少なくとも1種
    を使用する請求項1または2記載の表面被覆構造。
  4. 【請求項4】中間層としてNi−Cr、MCrAlY (M : Ni、C
    o、NiCoのいずれか)のいずれかを使用する請求項2また
    は3記載の表面被覆構造。
JP15198193A 1993-06-23 1993-06-23 耐高温エロージョン性に優れた表面被覆構造 Withdrawn JPH0711416A (ja)

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