JP5296299B2 - 耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れたハースロール。 - Google Patents

耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れたハースロール。 Download PDF

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Description

本発明は、連続熱処理炉内に配設される鋼板を搬送するためのハースロール及びその溶射材料に関し、特に、耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れたハースロール及びその溶射材料に関するものである。
鋼板の熱処理炉内に配設されるハースロールは、600〜1300℃の弱酸化性または還元性雰囲気で長時間使用される。このためハースロールの表面には主に次のような特性が要求される。
1)ハースロールの表面には、鋼板に付着したFe酸化物や鉄粉がビルドアップといわれる凝着堆積物を形成する。さらに近年、ハイテン鋼の増加や、炉操業条件その他の変化により、Mn酸化物のビルドアップが問題になっている。これらFe系およびMn系物質に対する耐ビルドアップ性。
2)連続炉内の異なる温度域を通過してくる鋼板による温度変化により生じる剥離、割れ等に対応できる耐熱衝撃性。
これらの特性が不十分であると、ビルドアップ、熱衝撃によるハースロール表面の皮膜の剥離等が生じ、鋼板に疵が生じて品質低下の原因となる。
このようなビルドアップ、熱衝撃によるハースロール表面の皮膜の剥離を防止する技術として、種々提案されている。
例えば、特許文献1には、ロール基体表面にTi窒化物またはTi炭化物を溶射施工することによる耐ビルドアップ性を向上させたハースロールが開示されている。
また、特許文献2では、酸化マンガンと反応性の低いMgAl2O4等のセラミックスと、同じく酸化マンガンと反応性を低くするためにAlおよびCrの含有量を制限したMCrAlYとのサーメット皮膜を有するハースロールが開示されている。
さらに、特許文献3では、特許文献1の欠点を防止するため、高温で安定な金属酸化物で被覆されたTiN粒子と耐熱金属とのサーメット皮膜にし、かつ、この皮膜とロールとの間に金属結合層を設けたハースロールを開示している。
特開昭63−250449号公報 特開平8−67960号公報 特開平10−195547号公報
従来、ビルドアップはFeが主成分であったが、近年、ハイテン鋼の増加、炉操業条件その他の変化により、FeよりMnが主成分のビルドアップとなってきている。
特許文献1に開示のハースロールにおけるTiNおよびTiC自体は、耐ビルドアップ性に優れた物質であるが、溶射皮膜は溶射時酸化を受け、気孔が多く非常に脆いものであった。そのため、鋼板との接触により、皮膜の脱落が生じ、長時間の使用は困難であった。
この欠点を改良した特許文献3においては、皮膜をサーメット化したことと、皮膜とロール母材との間に結合層を設けたことにより、皮膜の耐熱衝撃性は向上した。さらに、TiNを金属で被覆し、溶射時のTiNの酸化を防ぎ、かつ同時に被覆金属が酸化物となりアブレーダブル性を有し、これらが耐ビルドアップ性を向上させるものと期待された。
しかしながら、実際には溶射中のTiNの酸化はある程度防げたものの不十分であり、かつ、溶射材料の飛翔時間があまりにも短い(数msecオーダー)ため、被覆金属はほとんど酸化せず、その耐ビルドアップ性は十分といえるものではなかった。また、めっき、PVD、CVD、メカニカルアロイング等の手法を用いて、TiN粒子を金属で被覆する必要があり、結果的に高コストとなり、経済的な面で問題があった。
特許文献2においては、MCrAlYの割合が多い場合、耐熱衝撃性は向上するものの、Al、Cr含有量を限定したことによる耐ビルドアップ性は十分発現せず、セラミックスの割合が多い場合、耐熱衝撃性が不十分となり、どの割合においても必要とされる特性を満足するものではなかった。
このように従来の技術では上述の要求される特性すべてを満足することはできなかった。
また、上記各特許文献においては、Feが主成分のビルドアップを防止することを課題としているが、近年課題となっているMnが主成分のビルドアップに対応しうるものではない。
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、これらの問題を解決し、必要な特性すべてを有する、即ちMn系物質に対する優れた耐ビルドアップ性を有し、かつ耐熱衝撃性にも優れた長寿命のハースロールを提供しようとするものである。
本発明は、周期律表における3a族(希土類を含む)、4a族、5a族、B、Al、Si、Cr、および、Feの群から選択された1種または2種以上の元素の窒化物(複窒化物を含む)と、
希土類元素(Sc、Y、ランタニド元素)、Al、Si、Ti、Cr、および、Zrの群から選択された1種または2種以上の元素の酸化物(複酸化物を含む)と、900℃以上で使用可能な耐熱金属(合金を含む)の群から選択された1種または2種以上の金属からなるマトリックス金属と、が均一に分散した溶射材料を、ロール外周の表面に溶射して溶射皮膜(ただし、体積%で、前記窒化物としてのZrNが10%、Yが30%であって、残部がNiCrAlYである溶射皮膜を除く)を形成してなり、前記窒化物(複窒化物を含む)と前記酸化物(複酸化物を含む)の含有量が、各々体積比で3%以上かつ50%以下であり、前記窒化物(複窒化物を含む)と前記酸化物(複酸化物を含む)との合計の含有量が、体積比で40%以上かつ80%以下であることを特徴とする耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れるハイテン鋼を搬送するハースロールを提供しようとするものである。
本発明によれば、窒化物、酸化物及びマトリックス金属の3種類とも含む溶射材料によりハースロール基体表面に溶射皮膜(ただし、体積%で、前記窒化物としてのZrNが10%、Y が30%であって、残部がNiCrAlYである溶射皮膜を除く)が形成されたことによって、Mn系物質に対する優れた耐ビルドアップ性、耐熱衝撃性を備え、しかも長寿命のハースロールを提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態である耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れたハースロールについて、図を参照して詳細に説明をする。
本発明者らの研究によれば本実施形態の溶射皮膜((ただし、体積%で、前記窒化物としてのZrNが10%、Y が30%であって、残部がNiCrAlYである溶射皮膜を除く)、以下本願明細書の溶射皮膜は同様の意味とする)を構成する溶射材料の各構成物質は次のような特性を有する。本実施形態に使用される周期律表における3a族(希土類を含む)、4a族、5a族、B、Al、Si、Cr、および、Feの群から選択された1種または2種以上の元素の窒化物(以下、単に、窒化物ともいう)は、耐ビルドアップ性、特にMn系物質に対する耐ビルドアップ性(以下、耐Mnビルドアップ性ともいう)に優れる。同様に本実施形態に使用される希土類元素(Sc、Y、ランタニド元素)、Al、Si、Ti、Cr、および、Zrの群から選択された1種または2種以上の元素の酸化物(以下、単に、酸化物ともいう)は、窒化物程ではないが、Mn系物質に対する耐ビルドアップ性に優れる。
従来、これらの窒化物、酸化物はそれぞれ単独で使用されてきたが、鋭意研究の結果、本発明者らは、窒化物と酸化物との両物質を共に使用し、それらを溶射皮膜中に均一に分散することで、その相乗効果により、格段に優れたMn系物質に対する耐ビルドアップ性を示すことを見いだした。
さらに、窒化物、酸化物ともに高硬度物質であり、また、900℃以上で使用可能な耐熱金属(合金を含む)の群から選択された1種または2種以上の金属からなるマトリックス金属(以下、単に、マトリックス金属ともいう)はいずれも、耐熱、耐酸化性に優れ、かつ窒化物、酸化物を皮膜に強固に固定することができるので、長期間にわたって優れた耐熱衝撃性を維持できる。
すなわち、Mn系物質に対する優れた耐ビルドアップ性、耐熱衝撃性を有するために溶射皮膜はこの窒化物、酸化物およびマトリックス金属の3種とも含有することが不可欠である。
この点において、前述の特許文献1〜3とは概念を異とするものである。
本実施形態の耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れたハースロールに適用される窒化物(複窒化物を含む)としてはScN、YN、TiN、ZrN、HfN、VN、NbN、TaN、CrN、Fe3N、BN、AlN、及び、Si3N4などを使用することができる。また、本実施形態の耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れたハースロールに適用される酸化物(複酸化物を含む)としては、Sc2O3、Y2O3、CeO2、Nd2O3、Al2O3、SiO2、TiO2、Cr2O3、ZrO2、及び、ZrSiO4などを使用することができる。また、本実施形態の耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れたハースロールに適用されるマトリックス金属としては、FeCrAlY、NiCrAlY、CoCrAlY、CoNiCrAlY、NiCr、ハステロイ(登録商標、以下同じ。)C276、インコネル(登録商標、以下同じ。)600、インコロイ(登録商標、以下同じ。)800、及び、ステライト(登録商標、以下同じ。)6などを使用することができる。
Mn系物質に対する耐ビルドアップ性、耐摩耗性においては、窒化物、酸化物が多いほど効果を発揮するが、耐熱衝撃性が劣ることになる。優れた耐熱衝撃性を保持するために、窒化物(複窒化物を含む)と酸化物(複酸化物を含む)の含有量は各々体積比で3%以上かつ50%以下で、かつ、窒化物(複窒化物を含む)と酸化物(複酸化物を含む)との合計が体積比で40%以上かつ80%以下とすることが好ましい。なお、ここでいう体積比とは、単純に対象の物質の全体積を100%とした場合の比を示すものである。例えば、「窒化物が体積比で3%以上かつ50%以下」ということは、全体の体積が100cm3ならば、窒化物が3cm3以上50cm3以下ということを示している。
図1は、本実施形態の耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れたハースロールの表面部の断面構造の一部を拡大して示した模式図である。なお、本図は、本実施形態の耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れたハースロールを模式的に説明するものであって、厳密な物質の構成を示すものではない。図に示したように、本実施形態の耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れたハースロールは、ハースロール基材2上に溶射皮膜1が形成されており、その溶射皮膜1の構造は、窒化物粒子3、酸化物粒子4が、マトリックス金属5中に均一に分散した形態を有している。
溶射皮膜1の表面において、マトリックス金属5を分断する(マトリックス金属5の大きなエリアを作らない)ほど優れたMn系物質に対する耐ビルドアップ性を示すので、各窒化物粒子3、酸化物粒子4を微細(好ましくはmmサイズ)にし、かつマトリックス金属5中に均一に分散した形態が好適である。
本実施形態の溶射材料の製造方法はとくに限定しない。溶射可能サイズの窒化物、酸化物およびマトリックス金属の混合でも可能であるが、前述の微細な窒化物、酸化物粒子がマトリックス金属中に均一に分散した好適な形態を得るには、所定量の微細な窒化物、酸化物およびマトリックス金属の粉末に有機バインダーを加え、造粒したものが好適である。造粒方法は一般的なスプレー造粒法や、流動層造粒法や、メカニカルアロイング法等が適用できる。
さらに、必ずしも必要ではないが、脱バインダーおよび焼結すればさらに好適である。
本実施形態の溶射材料の溶射法は特に限定しないが、フレーム溶射や、プラズマ溶射や、HVOF溶射や、爆発溶射等が適用できる。その中でも熱影響が少なく、緻密な皮膜が形成可能なHVOF溶射および爆発溶射が好適である。
溶射皮膜の厚さは10μm未満では効果が発揮できず、1000μmより大きい場合には、残留応力が大きく、剥離の可能性が高いので、10以上1000μm以下とすることが好ましい。
また、熱衝撃特性をさらに向上させるために、溶射皮膜とロール基材との間にMCrAlY(MはFe、Ni、Coから選択された1種または2種以上の金属元素)、NiCr合金、ハステロイ合金、インコネル合金、Ni-Al、またはMo等の下地溶射皮膜を挿入しても良く、本発明の概念に含まれるものである。
以上説明したように、本発明の実施形態による耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れるハースロールによれば、窒化物、酸化物及びマトリックス金属の3種類とも含む溶射材料によりハースロール基体表面に溶射皮膜が形成されたことによって、Mnに対する優れた耐ビルドアップ性、耐熱衝撃性を備え、しかも長寿命のハースロールを提供することが可能となる。
次に、本発明の耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れるハースロール及びその溶射材料について、実施例を示し、より詳細に説明する。ただし、本発明の耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れるハースロール及びその溶射材料は、以下の実施例に限定されるものではない。
本発明の作用効果を確認すべく、SUS304を母材10a、20aとしてによりテストピース(以下TPとする)10、20を製作(耐Mnビルドアップ性試験用:15×15×10mm、耐熱衝撃性試験用:50×50×10mm、)し、TP表面に溶射法(高速ガス溶射法)により皮膜10b、20bを積層して、各試験を行なった。
耐Mnビルドアップ性を評価するため次の実験を行なった。
実験の概要を図2に示す。2枚の溶射TP10、20の溶射面10b、20bを向かい合わせ、TP間にビルドアップ原料MnO粉30を挟み、荷重を加える。これを電気炉内に配置し、N2-5%H2の還元雰囲気中で950℃の一定温度で25Hrほど放置する。表1に試験条件を示す。
Figure 0005296299
試験後、TP10の断面のEPMA(電子線マイクロアナライザー)面分析を行なう。面分析結果においてMnの溶射皮膜表面への付着厚みと溶射皮膜内部への浸透深さの合計が20μm未満を優秀(◎)、20μm以上30μm未満を良好(○)、30μm以上を不良(×)と判定した。EPMA面分析結果の概要を図3に示す。
次に、耐熱衝撃性を評価するために次の試験を行なった。
溶射皮膜を積層したTP(50×50×10mm)を電気炉内で加熱後、水冷し、溶射皮膜の剥離の有無で評価を行なった。20回の繰り返し試験後で溶射皮膜の剥離が無いものを優秀(◎)、10回以上20回未満で剥離が発生したものを良好(○)、10回未満で剥離が発生したものは不良(×)とした。表3に試験条件を示す。
Figure 0005296299
表4は、実施例および比較例1〜12の組成を示すものであり、表5は耐Mnビルドアップ性試験、耐熱衝撃性試験の結果および総合結果を示すものである。
Figure 0005296299

比較例4は、実施例11の酸化物を除き、窒化物の含有量を50%以上にしたものである。表5に示すように比較例3は、耐Mnビルドアップ性試験のMn付着厚みとMn浸透深さの合計および耐摩耗性では良好な結果を得たが、耐熱衝撃性が不良であり、総合評価は不良(×)となった。

Figure 0005296299

比較例5〜8は、TP表面に溶射法により溶射皮膜を積層したものであり、それぞれの積層厚さは10〜1000μmの範囲に設定されている。窒化物(または複窒化物)、酸化物(または複酸化物)、マトリックス金属で構成されており、窒化物(または複窒化物)、酸化物(または複酸化物)のいずれか一方または両方の含有量が体積比で3%未満に設定されている。
表5に示すように比較例5〜8は耐Mnビルドアップ試験ではMn付着厚みとMn浸透深さの合計が20μm以上、30μm未満で良好(○)、耐摩耗性試験では20DS/mg以上、40DS/mg未満で良好(○)、耐熱衝撃性試験では20回剥離なしで優秀(◎)となり、総合評価は良好(○)であった。
比較例9、実施例6〜9は、TP表面に溶射法により溶射皮膜を積層したものであり、それぞれの積層厚さは10〜1000μmの範囲に、窒化物(または複窒化物)、酸化物(または複酸化物)の含有量が各々体積比で3%以上かつ50%以下であり、窒化物(または複窒化物)と酸化物(または複酸化物)の合計が体積比で6%以上かつ80%以下に設定されている。
表5に示すように比較例9、実施例6〜9は耐Mnビルドアップ試験ではMn付着厚みとMn浸透深さの合計が20μm未満の優秀な値を示した。さらに、耐摩耗性試験、耐熱衝撃性試験においても優秀な結果を示し、総合評価は優秀(◎)であった。
比較例10〜12は、TP表面に溶射法により溶射皮膜を積層したものであり、それぞれの積層厚さは10〜1000μmの範囲に設定されている。窒化物(または複窒化物)、酸化物(または複酸化物)、マトリックス金属で構成されており、窒化物(または複窒化物)、酸化物(または複酸化物)のいずれか一方の含有量が体積比で50%より大きく設定されている。または窒化物(または複窒化物)と酸化物(または複酸化物)の合計が80%より大きく設定されている。
表5に示すように比較例10〜12は耐Mnビルドアップ試験ではMn付着厚みとMn浸透深さの合計が20μm未満で優秀(◎)、耐摩耗性試験では20DS/mg以上、40DS/mg未満で良好(○)、耐熱衝撃性試験では10回以上20回未満で剥離し、良好(○)となり、総合評価は良好(○)であった。
一方、比較例1は、比較例5から窒化物を除いたものである。表5に示すように比較例1は耐熱衝撃性試験では良好な結果を得たが、耐Mnビルドアップ性試験のMn付着厚みとMn浸透深さの合計が厚く、耐摩耗性も不良であり、総合評価は不良(×)となった。
比較例2は、比較例8の酸化物を除いたものである。表5に示すように比較例2は、耐摩耗性では良好な結果を得たが、耐Mnビルドアップ性試験のMn付着厚みとMn浸透深さの合計が厚く、耐摩耗性も不良であり、総合評価は不良(×)となった。
比較例3は、実施例7の窒化物を除き、酸化物の含有量を50%以上にしたものである。表5に示すように比較例3は、耐Mnビルドアップ性試験のMn付着厚みとMn浸透深さの合計および耐熱衝撃試験では良好な結果を得たが、総合評価は不良(×)となった。
比較例4は、比較例11の酸化物を除き、窒化物の含有量を50%以上にしたものである。表5に示すように比較例3は、耐Mnビルドアップ性試験のMn付着厚みとMn浸透深さの合計および耐摩耗性では良好な結果を得たが、耐熱衝撃性が不良であり、総合評価は不良(×)となった。
上記総合評価から、本実施例のハースロール及びその溶射材料は、十分な耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性を有することがわかり、本実施例の耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れるハースロール及びその溶射材料の優秀性が確認された。
本実施形態の耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れたハースロールの表面部の断面構造の一部を拡大して示した模式図である。 耐Mnビルドアップ性を評価するための実験の概要を示す図である。 EPMA面分析結果の概要を示す図である
符号の説明
1:溶射皮膜
2:ハースロール基材
3:窒化物粒子
4:酸化物粒子
5:マトリックス金属
10、20:テストピース
10a、20a:母材
10b、20b:溶射皮膜

Claims (5)

  1. 周期律表における3a族(希土類を含む)、4a族、5a族、B、Al、Si、Cr、および、F
    eの群から選択された1種または2種以上の元素の窒化物(複窒化物を含む)と、
    希土類元素(Sc、Y、ランタニド元素)、Al、Si、Ti、Cr、および、Zrの群から選択された1種または2種以上の元素の酸化物(複酸化物を含む)と、
    900℃以上で使用可能な耐熱金属(合金を含む)の群から選択された1種または2種以上
    の金属からなるマトリックス金属と、
    が均一に分散した溶射材料を、ロール外周の表面に溶射して溶射皮膜(ただし、体積%で、前記窒化物としてのZrNが10%、Yが30%であって、残部がNiCrAlYである溶射皮膜を除く)を形成してなり、前記窒化物(複窒化物を含む)と前記酸化物(複酸化物を含む)の含有量が、各々体積比で3%以上かつ50%以下 であり、前記窒化物(複窒化物を含む)と前記酸化物(複酸化物を含む)との合計の含有量が、体積比で40%以上かつ80%以下であることを特徴とする耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れるハイテン鋼を搬送するハースロール。
  2. 前記900℃以上で使用可能な耐熱金属(合金を含む)の群から選択された1種または2種
    以上の金属からなるマトリックス金属は、
    MCrAlY(MはFe、Ni、Coから選択された1種または2種以上の金属元素)、NiCr合金、
    ハステロイ(登録商標)合金、インコネル(登録商標)合金、インコロイ(登録商標)合
    金、および、ステライト(登録商標)合金からなる群から選択された1種または2種以上
    の金属からなるマトリックス金属であることを特徴とする請求項1に記載の耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れるハイテン鋼を搬送するハースロール。
  3. 前記希土類元素(Sc、Y、ランタニド元素)、Al、Si、Ti、Cr、および、Zrの群から選
    択された1種または2種以上の元素の酸化物(複酸化物を含む)は、前記希土類元素(Sc、Y、ランタニド元素)のみの群から選択された1種または2種以上の元素の酸化物であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れるハイテン鋼を搬送するハースロール。
  4. 前記希土類元素(Sc、Y、ランタニド元素)、Al、Si、Ti、Cr、および、Zrの群から選
    択された1種または2種以上の元素の酸化物(複酸化物を含む)は、前記希土類元素(Sc、Y、ランタニド元素)、Al、Si、Ti、Cr、および、Zrの群から選択された1種または2種以上の元素の複酸化物であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れるハイテン鋼を搬送するハースロール。
  5. 前記溶射皮膜は、10μm以上1000μm以下の厚さであることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の耐Mnビルドアップ性、耐熱衝撃性に優れるハイテン鋼を搬送するハースロール。
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