JPH07114030B2 - 光デイスク基板 - Google Patents

光デイスク基板

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JPH07114030B2
JPH07114030B2 JP61188299A JP18829986A JPH07114030B2 JP H07114030 B2 JPH07114030 B2 JP H07114030B2 JP 61188299 A JP61188299 A JP 61188299A JP 18829986 A JP18829986 A JP 18829986A JP H07114030 B2 JPH07114030 B2 JP H07114030B2
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JP
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polymer
optical disk
vinylcyclohexane
disk substrate
weight
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政充 村山
勘司 笠原
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Mitsubishi Chemical Corp
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、光ディスク基板に関する。更に詳しくは、光
線透過率、吸水率および複屈折の優れたビニルシクロヘ
キサン系重合体(A)を主成分とする非晶性熱可塑性樹
脂より構成され、光学式高密度情報記録媒体として使用
される光ディスク基板に関するものである。
「従来の技術」 コンピュータを利用した情報処理技術が進むに伴ない、
大容量のデジタルデータ記録装置が必要となってきてお
り、産業用のファイルシステム等のデータ記録、民生用
の画像記録および音声記録等の記憶装置としては、光デ
ィスクが使用されるようになった。この光ディスクとは
レーザーの光ディスク面における光学反射または磁気効
果等による変化を利用して、光ディスク面からデジタル
信号を再生および/または記録できるようにした、光学
式高密度情報記録媒体である。
これ迄、光ディスクとしては、コンパクトディスク、ビ
デオディスク、コンピュータ用光メモリディスク、光磁
気ディスクおよび光カード等のデジタルデータ記憶装置
が開発または使用されている。これら光ディスクは、光
ディスク基板およびメモリー機能膜等から構成される
が、このうち光ディスク基板用材料としては、次のよう
な特性が要求されている。
光線透過率が高いこと 吸水率および吸水寸法変化が小さいこと 複屈折が小さいこと 屈折率のバラツキが小さいこと 熱変形温度が高いこと 成形性が良好なこと 従来、光ディスク基板用材料としては、メチルメタクリ
レート樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、
エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、ガラス等の無機材料が
使用されている。これらの光ディスク基板用材料は、上
記した要求特性について、各々いくつかの欠点を持って
いる。
メチルメタクリレート樹脂は、吸水率が大きく、吸水に
よって寸法が経時的に変化し、使用途中で光ディスク基
板に反りを生じ、光ディスクとして重要な平面性が低下
したり、クラックが生じたり、また2枚貼り合せの光デ
ィスクとした場合には接着部が剥離したり、歪応力によ
り複屈折が現われ易い等の欠点があった。これらの欠点
を軽減するため、特開昭60−217215に示されるような疎
水性単量体を共重合したり、または光ディスクの表面に
疎水性膜を形成させ、吸水率を減少させる試みがなされ
ているが、充分ではない。メチルメタクリレート樹脂の
吸水率を大巾に減少させることは、分子構造からみて、
極めて困難である。この樹脂は熱変形温度が低いのも、
欠点の一つである。
ポリカーボネート樹脂は、複屈折が大きいので、複屈折
が小さくなる条件で光ディスク基板を成形する方法が採
用されているが、まだ充分には解決されていない。この
ため、複屈折の許容限度が比較的緩かな小口径で再生専
用の音楽用のコンパクトディスク等には、よく使用され
ている。また、ポリカーボネート樹脂は、表面硬度が低
いため、光ディスクの使用中に表面が傷つき易い。
エポキシ樹脂は、熱硬化性樹脂に特有な成形装置が必要
であり、熱可塑性樹脂と比べて、成形サイクルが長く成
形コストが高くなる。さらに、再生使用ができないとい
う欠点もある。
ガラスを光ディスク基板として使用するときは、ガラス
の密度が大きいので光ディスクが重くなるという欠点
と、衝撃強度が小さいためガラス製の光ディスクの使用
および保存等の取扱いは、慎重にしなければならないと
いう欠点がある。また、ガラスは、熱可塑性樹脂ではな
いでの、大量生産システムである樹脂成形工程では製造
できない。さらに、ガラス製の光ディスク基板は、表面
樹脂加工と後処理等の複雑なメモリー記録工程が必要に
なり、生産性が低くコストが高くなる。
「発明が解決しようとする問題点」 本発明者らは、上記のような従来の光ディスク基板の諸
欠点を解決することを目的として、鋭意研究を重ねた結
果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、
光学式高密度情報記録媒体として使用される、光線透過
率、吸水率、および複屈折の優れたビニルシクロヘキサ
ン系重合体(A)を主成分とする非晶性熱可塑性樹脂よ
りなる、光ディスク基板を提供しようとするものであ
る。
「問題点を解決するための手段」 しかして本発明の要旨とするところは、分子鎖中にビニ
ルシクロヘキサン成分を80重量%以上含有するビニルシ
クロヘキサン系重合体(A)100〜80重量%、およびビ
ニル芳香族系重合体(B)0〜20重量%よりなり、か
つ、光線透過率が85%以上、吸水率が0.1重量%以下、
および複屈折が50nm以下の非晶性熱可塑性樹脂よりなる
ことを特徴とする光ディスク基板に存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る光ディスク基板は、非晶性熱可塑性樹脂に
よって構成される。
本発明において、非晶性熱可塑性樹脂とは、立体規則性
または結晶性のものを実質的に含まない熱可塑性樹脂を
いう。光ディスク基板の構成樹脂を非晶性熱可塑性樹脂
とするのは、内部構造に立体規則性または結晶性がある
と、光学的に不均質となり濁りまたはゆらぎ等の原因と
なるからである。内部構造の立体規則性または結晶性が
実質的に無視でき非晶性と考えられる場合には、上記の
非晶性熱可塑性樹脂は、光学的に均質で透明となり、光
ディスク基板に好適なものとなる。
上記の非晶性熱可塑性樹脂は、それ自体で成形可能なも
のがよい。成形可能なものとは、通常の押出成形、射出
成形、圧縮成形等の成形法によって、実用的な強度をも
った製品が得られることを意味し、特に低分子量のもの
または超高分子量のものではないことを意味している。
本発明に係る光ディスク基板は、分子鎖中にビニルシク
ロヘキサン成分を80重量%以上含有するビニルシクロヘ
キサン系重合体(A)100〜80重量%、およびビニル芳
香族系重合体(B)0〜20重量%よりなる非晶性熱可塑
性樹脂によって構成される。
本発明に係る光ディスク基板用としてのビニルシクロヘ
キサン系重合体(A)は、分子鎖中にビニルシクロヘキ
サン成分を80重量%以上含有する重合体でなければなら
ない。ビニルシクロヘキサン成分を80重量%以上含有し
ていないと、光ディスク基板として重要な物性である光
線透過率、吸水率、複屈折等が不良となり、諸物性間の
バランスが悪化するからである。
ビニルシクロヘキサン系重合体(A)とビニル芳香族系
重合体(B)とを混合する際には、ビニル芳香族系重合
体(B)を20重量%まで混合することができる。ビニル
芳香族系重合体(B)を混合すると、上記の非晶性熱可
塑性樹脂の成形加工性を向上し、耐衝撃性等の諸物性の
向上を図ることができるので好ましい。しかし、ビニル
芳香族系重合体(B)を20重量%以下にしないと、光デ
ィスク基板において特に重要な複屈折が規格を超え、混
合物が相溶性を失って濁りを生じ光線透過率が低下する
ので好ましくない。
ビニルシクロヘキサン系重合体(A)は、次の二つの方
法によって容易に製造することができる。
ビニル芳香族系重合体(B)を水素化して、ビニルシ
クロヘキサン系重合体(A)とする方法。
ビニルシクロヘキサン類等の化合物を原料として、重
合反応により、ビニルシクロヘキサン系重合体(A)と
する方法。
本発明でビニル芳香族系重合体(B)とは、ビニル芳香
族化合物の非晶性の重合体、およびビニル芳香族化合物
を主成分とし、ビニル芳香族化合物と共重合しうる少量
の他のビニル化合物を含む非晶性の共重合体をいう。共
重合体の場合は、他のビニル化合物を20重量%まで含ん
でいてもよい。20重量%を超えると、ビニル芳香族系重
合体(B)の光線透過率、成形加工性、耐熱性、耐衝撃
性または表面硬度等の性質が低下するおそれがでてくる
ので、好ましくない。ビニル芳香族系重合体(B)が非
晶性であると、これを水素化して得られるビニルシクロ
ヘキサン系重合体(A)も非晶性となり光ディスク基板
構成材料として好適である。
ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルス
チレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレンまた
はビニルナフタレン等があげられる。これらは、1種ま
たは2種以上の混合物であってもよい。
他のビニル化合物としては、ブタジエン、イソプレン等
のジエン系化合物、メチルメタクリレート、シクロヘキ
シルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、メチ
ルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エ
ステル類、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸また
はアクリロニトリル等があがられる。これらは、1種ま
たは2種以上の混合物であってもよい。
ビニル芳香族系重合体(B)の製法は、特に制限がな
い。ビニル芳香族系重合体(B)は、上記化合物を原料
とし、既存の合成樹脂または合成ゴムの製造で使用して
いるラジカル重合触媒またはアニオン重合触媒を用い、
塊状、溶液、懸濁、または乳化等の重合方法により、製
造することができる。
前記の方法によって、ビニル芳香族系重合体(B)を
水素化して、ビニルシクロヘキサン系重合体(A)を得
るには、次のような手順によることができる。
このの方法によるときは、重合体分子側鎖中の芳香族
環を構成する炭素に水素を付加するので、通常のオレフ
ィン化合物の水素化の場合と較べて、過酷な水素化条件
が必要である。
すなわち、水素化触媒としては、触媒活性および触媒選
択性が高いものを、選択し使用するのが好ましい。これ
以外の水素化触媒を使用すると、水素化に時間がかかる
ばかりでなく、水素化されるビニル芳香族系重合体
(B)の分子鎖が切断するという副反応が起き、ビニル
シクロヘキサン系重合体(A)の分子量低下の原因とな
る。
前記の方法において使用できる水素化触媒の形態とし
ては、固体状および液状の触媒があげられる。固体状の
触媒の具体例としては、ルテニウム、ロジウム、バラジ
ウム、白金、ニッケル等の貴金属の微粉末、またはこれ
ら貴金属類を活性炭等の担体上に担持した触媒、等があ
げられる。液状の水素化触媒の具体例としては、クロム
またはコバルト等の遷移金属元素の有機溶媒に可溶化し
た錯体をアルキル金属化合物により還元して得られる溶
液型の触媒等があげられる。
前記の方法によるときは、水素化反応を溶液中で行う
のがよい。この際、使用しうる溶媒としては、ビニル芳
香族系重合体(B)および生成するビニルシクロヘキサ
ン系重合体(A)を溶解できる溶媒系で、触媒毒となら
ない溶媒がよい。溶媒の具体例としては、シクロヘキサ
ン等のシクロアルカン類、およびn−ヘキサン等のアル
カン類等があげられる。水素化条件を調整するために、
前記溶媒系にアルコール類等の極性化合物を、若干量添
加してもよい。
水素化反応条件は、ビニル芳香族系重合体(B)の種
類、濃度、触媒の種類、濃度、および使用する溶媒等に
応じて、反応温度、反応圧力および反応時間等、これま
で通常採用されている水素化反応の条件、適宜組み合せ
選択することができる。
前記の方法によるときは、水素化反応を終えた後、反
応溶液からの触媒の除去等後処理をするのが好ましい。
これは、触媒の除去が不充分だと、得られるビニルシク
ロヘキサン系重合体(A)の光線透過率の低下、および
異物混入等の原因となるからである。
水素化触媒を除去した反応溶液から、ストリッピングま
たは再沈澱等の方法により溶媒を除き、乾燥することに
よって、ビニルシクロヘキサン系重合体(A)を得るこ
とができる。
前記の方法によるときは、ビニル芳香族系重合体
(B)の分子側鎖中のランダムな芳香族環に水素が付加
したものが得られる。通常は、一つの芳香族環を構成す
る全ての炭素について、一斉に水素の付加反応がおこ
る。
このの方法に従って、分子鎖中にビニルシクロヘキサ
ン成分を80重量%以上含有するビニルシクロヘキサン系
重合体(A)を得るには、ビニル芳香族系重合体(B)
の分子側鎖中の芳香族環の80重量%以上を水素化する条
件を選択すればよい。ビニル芳香族系重合体(B)が他
のビニル化合物を含む共重合体であるときは、分子側鎖
中の芳香族環の水素化率を高める条件を選択すればよ
い。
前記の方法によってビニルシクロヘキサン系重合体
(A)を得るには、カチオン重合方法とチーグラー型触
媒を用いて配位アニオン重合による方法がある。
このの方法によるときは、ビニルシクロヘキサン類化
合物の重合体、またはビニルシクロヘキサン類化合物を
主成分とし、ビニルシクロヘキサン類化合物と共重合し
うる少量の他のビニル化合物との共重合体が得られる。
共重合体の場合には、他のビニル化合物を20重量%以下
に調整すれば、分子鎖中にビニルシクロヘキサン成分を
80重量%以上含有するビニルシクロヘキサン系重合体
(A)を容易に得ることができる。
ビニルシクロヘキサン類化合物としては、ビニルシクロ
ヘキサン、α−メチルビニルシクロヘキサン、ビニルメ
チルシクロヘキサンおよびビニルブチルシクロヘキサン
等があげられる。これらは1種または2種以上の混合物
であってもよい。
他のビニル化合物としては、先きにビニル芳香族化合物
と共重合しうるものとして例示した化合物のほか、エチ
レン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン等のα−
オレフィン類等があげられる。これらは1種または2種
以上の混合物であってもよい。これら化合物は、目的と
するビニルシクロヘキサン系重合体(A)の性質、採用
する重合方式および重合触媒等に応じて、適宜選択組み
合せることができる。
前記の方法のうち、カチオン重合による方法では、通
常のカチオン重合技術をそのまま使用してよい。例え
ば、上記化合物を用い、三臭化アルミニウム等のカチオ
ン重合触媒を使用して、0℃以下の重合温度で、溶液重
合により、ビニルシクロヘキサン系重合体(A)を得る
ことができる。カチオン重合においては、低分子量のビ
ニルシクロヘキサン系重合体(A)が生成し易いので、
重合温度を低くして、重合における連鎖移動を小さくす
るのが好ましい。
前記の方法において、チーグラー型触媒を用いた配位
アニオン重合による方法では、通常の配位アニオン重合
による技術をそのまま用いてよい。例えば、前記化合物
の単量体を用い、三塩化バナジウム−トリエチルアルミ
ニウム等の遷移金属化合物とアルキル金属化合物による
錯体のチーグラー型触媒を使用して、0℃〜150℃で重
合することにより、ビニルシクロヘキサン系重合体
(A)を得ることができる。チーグラー型触媒は、生成
する重合体の内部構造に立体規則性や結晶性を付与する
傾向があるので、非晶性のビニルシクロヘキサン系重合
体(A)を得るためには、チーグラー型触媒の種類およ
び使用する単量体化合物の種類に応じて、適宜、重合系
に添加剤または助触媒として、ランダマイザー、アタク
チック化剤、または遷移金属化合物の複合使用等を行う
のが好ましい。
上記ビニルシクロヘキサン系重合体(A)に混合するこ
とができるビニル芳香族系重合体(B)は、ビニルシク
ロヘキサン系重合体(A)の製造方法の記載部分にお
けるビニル芳香族系重合体(B)の内容と同一である。
本発明に係る光ディスク基板は、前記の非晶性熱可塑性
樹脂を原料として、コンパクトディスクまたは光ディス
ク成形用の射出成形機または圧縮成形機等を用いた、成
形によって得られる。光ディスク基板の成形には、光デ
ィスクの精微な凹凸に対応した金型と、成形歪を小さく
するための成形条件の選択が必要である。光ディスク基
板の成形途中での異物の混入を防ぐため、クリーンルー
ムのような清浄な雰囲気で作業するのが必要である。
本発明の目的を効果的に達成するためには、前記の非晶
性熱可塑性樹脂は、光線透過率が85%以上、吸水率が0.
1重量%以下、および複屈折が50nm以下でなければなら
ない。
本発明において「光線透過率」とは、JIS K 7105−1981
(測定法A)に従い、積分球式光線透過率測定装置を使
用して、厚さ2.5±0.2mmの成形板の全光線透過率を測定
したものをいう。熱可塑性樹脂の光線透過率が、85%未
満の場合には、光ディスク基板内にレーザーが吸収さ
れ、光ディスクのデジタル信号の再生および/または記
録が困難となるので、好ましくない。
本発明において「吸水率」とは、JIS K 7209−1984(A
法)に従い、厚さ2.5±0.2mmの成形板を所定の正方形に
切断し、蒸留水に24±1時間浸漬して、測定した吸水率
をいう。熱可塑性樹脂の吸水率が0.1重量%を超える場
合には、光ディスク基板の吸水または吸湿により、光デ
ィスク使用途中で反りを生じたり、メモリー機能膜を劣
化させ、耐用年限を低下させるおそれがあるので、好ま
しくない。
本発明において「複屈折」とは、日本光学工業(株)製
ニコン 偏光顕微鏡を使用して、光線波長546nmでセナ
ルモンコンペンセーター法により、コンパクトディスク
基板成形品の情報記録部の中央部分を基準として、1パ
スのリターデーションを測定したものをいう。基板の複
屈折が50nmを超える場合には、光ディスクのメモリー機
能膜の情報記録部分へ、レーザーを集中することが困難
となるので、好ましくない。
非晶性熱可塑性樹脂には、必要に応じて、離型剤、流動
性改良剤、熱安定剤、耐光性安定剤、帯電防止剤、およ
び着色剤のような助剤を、適宜組み合せ加えてもよい。
本発明に係る光ディスク基板を光ディスクとする際に
は、その表面に金属蒸着による金属被覆膜または有機系
記録媒体の塗布膜等のメモリー機能膜を設け、その上に
保護膜等を施す等の手順により、目的の光ディスクに組
み立てられる。この光ディスクは、コンパクトディス
ク、ビデオディスク、コンピュータ用光メモリディス
ク、光磁気ディスク、および光カード等の光学式高密度
情報記録媒体として使用される。
「発明の効果」 本発明は、以上詳細に説明したとおりであり、次のよう
に特別に顕著な効果を奏し、その産業上の利用価値は極
めて大である。
(1)本発明に係る光ディスク基板は、メチルメタクリ
レート樹脂よりなる光ディスク基板に比較して、吸水に
よる変形が小さく、吸水に伴なうメモリー機能膜の劣化
が少なく、耐熱性が優れている。
(2)本発明に係る光ディスク基板は、ポリカーボネー
ト樹脂よりなる光ディスク基板に比較して、吸水による
変形が小さく、表面が硬く、表面に傷がつき難い。
(3)本発明に係る光ディスク基板は、ガラス製の光デ
ィスク基板に比較して、密度が小さく軽量で、大量生産
工程で製造可能であり生産性が優れている。
「実施例」 次に、本発明を製造例および実施例に基づいて、更に詳
細に説明するが、本発明はその要旨を超えてない限り、
以下の例に限定されるものではない。
なお、以下の例における各種物性は、次に記載の方法に
よって測定したものである。
屈折率: JIS K 7105−1981に従い、アッベ屈折計を使用して、厚
さ2.5±0.2mmの成形板の屈折率を測定した。
密度: JIS K 7112−1980(A法)に従い、蒸留水に浸漬して、
厚さ2.5±0.2mmの成形板の密度を測定した。
ロックウェル硬さ: JIS K 7202−1982に従い、厚さ10±0.5mmの成形品のロ
ックウェル硬さ(Mスケール・HRM)を測定した。
荷重たわみ温度: JIS K 7207−1983(A法)に従い、アニーリングなしの
荷重たわみ温度を測定した。
水素化率: 核磁気共鳴装置(NMR・日本電子(株)製G−270型)を
使用して、ビニルシクロヘキサン系重合体の重水素化ク
ロロホルム溶液の13C分析値から、水素化率を算出し
た。
分子量: ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)
法により、ポリスチレンの分子量測定方法に準拠して、
ビニルシクロヘキサン系重合体の分子量を測定した。Mw
はポリスチレン換算重量平均分子量、Mnはポリスチレン
換算数平均分子量およびMw/MnはMwとMnの比を意味す
る。
製造例1 内容積が5リットルの、水素化反応温度を調節するため
の電熱加熱装置、および電磁攪拌装置を備えた、ステン
レス鋼製オートクレーブを準備した。このオートクレー
ブに汎用ポリスチレン(三菱モンサント化成(株)製造
・ダイヤレックスHH−102)300g、シクロヘキサン(試
薬特級)2100g、ルテニウム水素化触媒(日本エンゲル
ハルド(株)製造・活性炭担体・5重量%ルテニウム担
持・含水品)100gおよびイソプロピルアルコール(試薬
特級)150gをそれぞれ秤量し、予め混合した混合物とし
て、オートクレーブ内に仕込んだ、仕込み終了後、オー
トクレーブ内雰囲気を窒素ガスで置換した。オートクレ
ーブ内容物を、攪拌翼毎分1000回の速度で攪拌しなが
ら、第1表に示す所定水素化反応温度まで昇温し、水素
ガスを45kg/cm2の圧力で自動圧力調整器から導入した。
水素化反応条件(温度および時間)を、第1表に示すよ
うに設定し、設定した条件に沿って昇温、維持させると
ともに、オートクレーブ内圧力を45kg/cm2に維持するよ
うに、水素ガスの導入を続けた。
その後、水素化反応を終了し、オートクレーブ内温を室
温まで冷却し、残存水素ガスをオートクレーブから除去
した後、内容物のシクロヘキサン溶液を取り出した。こ
のシクロヘキサン溶液にあらたにシクロヘキサン約2,00
0gを追加し、遠心分離および過を行い、ルテニウム触
媒および不溶性異物を除去した。無色透明となったシク
ロヘキサン溶液をメチルアルコール(試薬一級)10リッ
トル中に注ぎ、ビニルシクロヘキサン重合体を析出させ
た。ビニルシクロヘキサン重合体を傾瀉法により分離
し、メチルアルコールで洗浄した後、減圧乾燥機により
乾燥し、ビニルシクロヘキサン重合体を得た。
得られたビニルシクロヘキサン重合体の収量および各物
性を測定し、結果を第2表に示した。
製造例2 製造例1において使用したと同一のオートクレーブを用
い、同一の手順で原料、溶媒、触媒を仕込んだ。水素化
条件を第1表に示すように変更した以外は、同例におけ
ると同様の手順により、水素化反応を続けた。反応を終
了した後、ポリスチレン5gをシクロヘキサン反応溶液に
加え、溶解させた。その後、製造例1におけると同様
に、触媒除去、析出、洗浄後、乾燥の各工程を経て、ビ
ニルシクロヘキサン重合体を主成分とするポリマーを得
た。
収量および各物性を測定し、結果を第2表に示した。
製造例3 製造例1において使用したと同一のオートクレーブを用
い、同例における汎用ポリスチレン300gに代えて、水中
懸濁重合により製造したパラ・ターシャリー・ブチルス
チレン・ポリマー(Mw=20.4×104、Mn=11.2×104、Mw
/Mn=1.82)300gを仕込んだ。水素化条件を第1表に示
すように変更した以外は、製造例1におけると同様の手
順により、水素化反応および後処理を行い、ポリ・ビニ
ル・パラ・ターシャリー・ブチル・シクロヘキサンを得
た。
収量および各物性を測定し、結果を第2表に示した。
比較製造例1 製造例1において使用したと同一のオートクレーブを用
い、同例におけると同一の仕込処方に従って原料、溶
媒、触媒等を仕込んだ。水素化条件を第1表に示すよう
に変更した以外は、同例におけると同様の手順により、
水素化反応および後処理を行い、水素化ポリスチレンを
得た。
収量および各物性を測定し、結果を第2表に示した。
実施例1〜3 製造例1〜3で製造した3種類のビニルシクロヘキサン
系重合体(A)を押出機でペレット化し、実施例1〜3
の成形用ペレットとした。各ペレットを原料としディス
ク成形用射出成形機(各機製作所(株)製造・ダイナメ
ルタM−100A DM)を使用し、コンパクトディスク基板
を製造した。このようにして得られたコンパクトディス
ク基板について複屈折を測定し、結果を第3表に示し
た。
また、3種のペレットを原料とし射出成形法により、物
性試験片を作成し、この試験片について諸物性を測定
し、結果を第3表に示した。
比較例1〜3 比較製造例1で製造した水素化ポリスチレン(比較例
1)、ポリカーボネート樹脂(三菱化成工業(株)製造
・ノバレックス7020A)(比較例2)、およびメチルメ
タクリレート樹脂(協和ガス化学工業(株)製造・パラ
ペットF−1000)(比較例3)を準備した。これら3種
の樹脂から実施例1におけると同様に、射出成形法によ
りコンパクトディスク基板および物性試験片を製造し
た。
得られたコンパクトディスク基板および物性試験片につ
いて諸物性を測定し、結果を第3表に示した。
第3表より、次のことが明らかとなる。
(1)本発明に係るビニルシクロヘキサン系重合体
(A)を主成分とする光ディスク基板は、光線透過率が
高い。
(2)ビニルシクロヘキサン系重合体(A)を主成分と
する光ディスク基板は、ポリカーボネート樹脂またはメ
チルメタクリレート樹脂よりなる光ディスク基板と較べ
て、吸水率が小さい。従って、メモリー機能膜を劣化さ
せず、光ディスクにも反りを発生させるおそれが少な
い。
(3)ビニルシクロヘキサン系重合体(A)を主成分と
する光ディスク基板は、水素化率が低い水素化ポリスチ
レンまたはポリカーボネート樹脂よりなる光ディスク基
板と較べて、複屈折が小さいことから、光ディスクに好
適である。
(4)ビニルシクロヘキサン系重合体(A)を主成分と
する光ディスク基板は、光線透過率が高い、複屈折が小
さい、屈折率が小さい、吸水率が小さい、荷重たわみ温
度が高い、ロックウェル硬さが大きい、密度が小さい等
の特徴を有し、諸性質のバランスが優れ、光ディスクと
して好適なものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子鎖中にビニルシクロヘキサン成分を80
    重量%以上含有するビニルシクロヘキサン系重合体
    (A)100〜80重量%、およびビニル芳香族系重合体
    (B)0〜20重量%よりなり、かつ、光線透過率が85%
    以上、吸水率が0.1重量%以下、および複屈折が50nm以
    下の非晶性熱可塑性樹脂よりなることを特徴とする光デ
    ィスク基板。
  2. 【請求項2】ビニルシクロヘキサン系重合体(A)が、
    ビニル芳香族系重合体(B)の芳香族環を水素化された
    ものであることを特徴とする、特許請求の範囲第(1)
    項記載の光ディスク基板。
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