JPH0710630U - 密封装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 外部からの異物の浸入を防ぐと共に、第１シ
ール部材と第２シール部材との摩擦抵抗を抑える。 【構成】 二部材４，５間をシールする密封装置に一方
の部材４に装着される第１シール部材６と、他方の部材
５に装着される第２シール部材７とを設け、第１シール
部材６は第１円筒部１０と第１環状部１１と、から成
り、第２シール部材７は第２環状部１３と第２円筒部１
４とから成る。第１環状部１１は、第２環状部１３に圧
接するメインシール部１５を有し、第１円筒部１０に
は、円筒状のダストシール部１９が、第２円筒部１４と
微小間隙１８を有して対向して形成されると共に、ダス
トシール部１９の第２円筒部１４側の面は、両シール部
材６，７の相対回転によって異物を異物側Ｂに排出する
流体ポンピング作用を果たす形状とすることで、ラビリ
ンスシール構造２０を形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車用ユニット式ハブ軸受等の転がり軸受に用いられる回転の密 封装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の密封装置としては例えば図１３に示すように、互いに同心的に相対回転 自在に組付けられる内外輪の内の外輪１０４に装着される第１シール部材１０６ と、内輪１０５に装着される第２シール部材としてのスリーブ１０７とを有し、 スリーブ１０７の外周面と第１シール部材１０６との間に隙間Ｃが開けられてい る。

【０００３】 しかしながら、この従来例にあっては、その隙間Ｃからダストや泥水等の異物 が比較的容易に浸入し、密封作用が充分に得られない。

【０００４】 そのような課題を解決するものとして、図１４に示すように、スリーブ１０７ と第１シール部材１０６との間の隙間を閉じるためのリップ１２６を設けたもの が知られている（Ｕ．Ｓ．Ｐａｔｅｎｔ ４，５１６，７８３参照）。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながらこの従来の密封装置にあっては、リップ１２６に締め代を与えて 相対摺動させているので、トルクが増大し、発熱が激しく、リップ１２６のゴム 材料が熱劣化し、弾性を失って永久変形したり、硬化クラックを発生したり、ま たユニット式ハブ軸受全体についても発熱による不具合が生じる恐れがあった。

【０００６】 本考案は上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは 、異物に対する充分な密封作用が得られ、しかも第１シール部材と第２シール部 材との間の摺動摩擦が少ない密封装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案にあっては、互いに同心的に相対回転自在に 組付けられる二部材間をシールする密封装置であって、一方の部材に装着される 第１シール部材と、他方の部材に装着される第２シール部材とを有し、前記第１ シール部材は、前記一方の部材に取付けられ異物側から密封流体側に延びる第１ 円筒部と、該第１円筒部の密封流体側の端部より前記他方の部材側に延びる第１ 環状部と、から成り、前記第２シール部材は、他端が前記他方の部材に取付けら れ一端が前記第１環状部より異物側を前記第１シール部材側に延びる第２環状部 と、該第２環状部の一端より密封流体側に延びて前記第１円筒部に対向する第２ 円筒部と、から成り、前記第１環状部は、前記第２環状部に圧接するメインシー ル部を有し、前記第１円筒部と前記第２円筒部の何れか一方の円筒部には、円筒 状のダストシール部が、他方の円筒部と微小間隙を有して対向して形成されると 共に、該ダストシール部の前記他方の円筒部側の面は、前記両シール部材の相対 回転によって異物を異物側に排出する流体ポンピング作用を果たす形状とするこ とで、ラビリンスシール構造を成した、ことを特徴とする。

【０００８】

【作用】

上記構成の本考案にあっては、一方の円筒部のダストシール部と他方の円筒部 との間隙が微小であるため、外部からの異物の浸入が阻止され、更に回転使用時 にはラビリンスシール構造による流体ポンピング作用により、異物側に向かう流 体の流れが生じ、この流体の流れによって異物が積極的に押し戻されて排出され る。

【０００９】 そして、ダストシール部における第１，第２シール部材間が微小間隙によって 非接触状態となっているので、高速回転時にも固体接触による摩擦発熱やトルク 損失が抑えられる。

【００１０】

【実施例】 以下に本考案を図示の実施例に基づいて説明する。

【００１１】 図１乃至図３は本考案の第１の実施例に係り、同図において、１は互いに同心 的に転動体２を介して相対回転自在に組付けられる二部材としての転がり軸受３ の外輪４と内輪５との間をシールする密封装置で、一方の部材としての外輪４に 装着される第１シール部材６と、他方の部材としての内輪５に装着される第２シ ール部材としてのスリーブ７とを有している。

【００１２】 第１シール部材６は、Ｌ字状で低炭素鋼等の金属より成る補強環８にゴム状弾 性体９を焼き付けて成っており、外輪４に取付けられ異物側Ｂから密封流体側Ａ に延びる第１円筒部１０と、第１円筒部１０の密封流体側Ａの端部より内輪５側 に延びる第１環状部１１と、から成る。なお、補強環８の異物側Ｂの端部はゴム 状弾性体９が被覆されて防錆がなされている。

【００１３】 スリーブ７は、ステンレス等の防錆性を有する金属から成り、内輪５に取付け られ密封流体側Ａから異物側Ｂに延びる筒状部１２と、筒状部１２の異物側Ｂの 端部から第１シール部材６側に延びる第２環状部１３と、第２環状部１３の外輪 ４側の端部より密封流体側Ａに延びて第１円筒部１０に対向する第２円筒部１４ と、から成る。

【００１４】 ゴム状弾性体９の第１環状部１１は、スリーブ７に圧接するメインシール部１ ５を有し、メインシール部１５は筒状部１２に圧接するラジアルリップ部１６と 、第２環状部１３に圧接するサイドリップ部１７と、から成る。

【００１５】 ゴム状弾性体９の第１円筒部１０は、第２円筒部１４と微小間隙１８を有して 対向して形成されるダストシール部１９を成すと共に、ダストシール部１９の第 ２円筒部１４側の面は、両シール部材６，７の相対回転によって異物を異物側Ｂ に排出する流体ポンピング作用を果たす形状とすることで、ラビリンスシール構 造２０を成している。

【００１６】 そして、流体ポンピング作用を果たす形状として、環状の凸部２１と環状の凹 部２２とを交互に複数設けている。

【００１７】 上記構成の本実施例にあっては、第１円筒部１０のダストシール部１９と第２ 円筒部１４との間隙１８が微小であるため、外部からの異物の浸入が阻止され、 更に回転使用時にはラビリンスシール構造２０による流体ポンピング作用により 、異物側Ｂに向かう流体の流れが生じ、この流体の流れによって異物が積極的に 押し戻されて排出される。

【００１８】 そして、ダストシール部１９における第１，第２シール部材６，７間が微小間 隙１８によって非接触状態となっているので、高速回転時にも固体接触による摩 擦発熱やトルク損失が抑えられる。

【００１９】 以下に本考案の他の実施例について説明する。第１の実施例と同一の構成部分 には同一の番号を付してその説明を省略する。

【００２０】 図４は本考案の第２の実施例に係る密封装置を示し、第１の実施例とはダスト シール部１９の流体ポンピング作用を果たす形状が異なっている。

【００２１】 即ち、本実施例にあっては、複数設けられた環状の凸部２１の密封流体側Ａの 面が異物側Ｂに向うテーパ状とし、同異物側Ｂの面を第２円筒部１４側に向う形 状とすることで、流体ポンピング作用の効力を増している。

【００２２】 図５は本考案の第３の実施例に係る密封装置を示し、第１円筒部１０の異物側 Ｂの端部に一方の部材４側に向うフランジ部２３を設け、一方の部材４にもその フランジ部２３が嵌合する嵌合溝２４を設けることで、密封装置取付け時の位置 決めの容易化と精度向上が図られる。

【００２３】 図６乃至図８は本考案の第４の実施例に係る密封装置を示し、第１の実施例と はダストシール部１９の流体ポンピング作用を果たす形状が異なっている。

【００２４】 即ち、本実施例にあっては、ダストシール部１９の流体ポンピング作用が、の こぎり状にうねりながら環状を成す一つの凸部２１にて成っている。

【００２５】 本実施例にあっても第１の実施例と同様の効果が得られる。

【００２６】 図９は本考案の第５の実施例に係る密封装置を示し、第４の実施例とはダスト シール部１９の流体ポンピング作用を果たす形状が異なっている。

【００２７】 即ち、本実施例にあっては、のこぎり歯状の凹部２２が連続することで、流体 ポンピング作用を果たす形状を成している。

【００２８】 図１０は本考案の第６乃至第８の実施例に係る密封装置を示し、第４の実施例 とはダストシール部１９の流体ポンピング作用を果たす形状が異なっている。

【００２９】 即ち、同図（ａ）（ｂ）の第６の実施例にあっては、交互に設けた凸部２１と 凹部２２とがのこぎり状を成しており、同図（ｃ）（ｄ）の第７実施例にあって は、ウエーブ状の凹部２２にて成り、同図（ｅ）（ｆ）の第８の実施例にあって は、円弧状の凹部２２が連続して成り、同図（ｇ）（ｈ）の第９の実施例にあっ ては、くの字状の凸部２１が連続して成り、流体ポンピング作用を果たす形状を 成している。

【００３０】 図１１は本考案の第１０の実施例に係る密封装置を示し、第４の実施例の密封 装置の第１円筒部１０の異物側Ｂの端部に、一方の部材４側に向うフランジ部２ ３を設けたものである。

【００３１】 図１２は本考案の第１１の実施例に係る密封装置を示し、第４の実施例の密封 装置とはラジアルリップ部１６の形状が異なっており、本実施例にあっては、ラ ジアルリップ部１６の異物側Ｂのリップに、成型時のバリが残されている。

【００３２】

【考案の効果】

以上説明したように本考案にあっては、一方の円筒部のダストシール部と他方 の円筒部との間隙が微小であるため、外部からの異物の浸入が阻止され、更に回 転使用時にはラビリンスシール構造による流体ポンピング作用により、異物側に 向かう流体の流れが生じ、この流体の流れによって異物が積極的に押し戻されて 排出される。

【００３３】 そして、ダストシール部における第１，第２シール部材間が微小間隙によって 非接触状態となっているので、高速回転時にも固体接触による摩擦発熱やトルク 損失が抑えられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例に係る密封装置の断面図
である。

【図２】同装置を転がり軸受に組み付けた状態を示す断
面図である。

【図３】（ａ）は同装置の第１シール部材の断面図、
（ｂ）は同装置の第２シール部材の断面図である。

【図４】本考案の第２の実施例に係る密封装置の断面図
である。

【図５】本考案の第３の実施例に係る密封装置の断面図
である。

【図６】本考案の第４の実施例に係る密封装置の断面図
である。

【図７】同装置を転がり軸受に組み付けた状態を示す断
面図である。

【図８】（ａ）は同装置の第１シール部材の断面図、
（ｂ）は同装置の第２シール部材の断面図、（ｃ）は同
装置のダストシール部１９の内側の形状を示す図、
（ｄ）は（ｃ）のＤ−Ｄ線断面図である。

【図９】本考案の第５の実施例に係る密封装置を示し、
（ａ）は同装置の断面図、（ｂ）は同装置のダストシー
ル部１９の内側の形状を示す図、（ｃ）は（ｂ）のＥ−
Ｅ線断面図である。

【図１０】（ａ）は本考案の第６の実施例に係る密封装
置のダストシール部１９の内側の形状を示す図、（ｂ）
は（ａ）のＦ−Ｆ線断面図、（ｃ）は本考案の第７の実
施例に係る密封装置のダストシール部１９の内側の形状
を示す図、（ｄ）は（ｃ）のＧ−Ｇ線断面図、（ｅ）は
本考案の第８の実施例に係る密封装置のダストシール部
１９の内側の形状を示す図、（ｆ）は（ｅ）のＨ−Ｈ線
断面図、（ｇ）は本考案の第９の実施例に係る密封装置
のダストシール部１９の内側の形状を示す図、（ｈ）は
（ｇ）のＩ−Ｉ線断面図である。

【図１１】本考案の第１０の実施例に係る密封装置の断
面図である。

【図１２】本考案の第１１の実施例に係る密封装置の断
面図である。

【図１３】従来の密封装置の断面図である。

【図１４】他の従来の密封装置の断面図である。

【符号の説明】

１ 密封装置 ４ 外輪（一方の部材） ５ 内輪（他方の部材） ６ 第１シール部材 ７ スリーブ（第２シール部材） １０ 第１円筒部 １１ 第１環状部 １３ 第２環状部 １４ 第２円筒部 １５ メインシール部 １８ 微小間隙 １９ ダストシール部 ２０ ラビリンスシール構造

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに同心的に相対回転自在に組付けら
   れる二部材間をシールする密封装置であって、 一方の部材に装着される第１シール部材と、他方の部材
   に装着される第２シール部材とを有し、 前記第１シール部材は、前記一方の部材に取付けられ異
   物側から密封流体側に延びる第１円筒部と、該第１円筒
   部の密封流体側の端部より前記他方の部材側に延びる第
   １環状部と、から成り、 前記第２シール部材は、他端が前記他方の部材に取付け
   られ一端が前記第１環状部より異物側を前記第１シール
   部材側に延びる第２環状部と、該第２環状部の一端より
   密封流体側に延びて前記第１円筒部に対向する第２円筒
   部と、から成り、 前記第１環状部は、前記第２環状部に圧接するメインシ
   ール部を有し、 前記第１円筒部と前記第２円筒部の何れか一方の円筒部
   には、円筒状のダストシール部が、他方の円筒部と微小
   間隙を有して対向して形成されると共に、該ダストシー
   ル部の前記他方の円筒部側の面は、前記両シール部材の
   相対回転によって異物を異物側に排出する流体ポンピン
   グ作用を果たす形状とすることで、ラビリンスシール構
   造を成した、 ことを特徴とする密封装置。