JPH07102430B2 - ツインロール型連続鋳造設備における短辺堰 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ツインロール型連続鋳造設備における短辺堰
に関するものである。

従来の技術 薄板の連続鋳造を行う設備として、互いに平行に設けら
れた一対のモールドロールを用い、この両モールドロー
ル間から鋳片を引き抜くようにしたツインロール型のも
のがある。このツインロール型連続鋳造設備において
は、第３図に示すように、両モールドロール31と協働し
て、両モールドロール31間上方に溶鋼溜めを形成するた
めの短辺堰32が両モールドロール31の両側端部に配置さ
れており、そしてモールドロール31と短辺堰32との隙間
から溶鋼が漏れないように短辺堰32自体がモールドロー
ル31側に向かって押圧されるような構成とされていた。

発明が解決しようとする課題 しかし、上記従来の構成によると、短辺堰32の溶鋼溜め
側の表面は非常に広いため、どうしてもその表面に熱歪
による凹凸が生じるとともに、鋳造時のモールドロール
31自身の伸びなどにより、モールドロール31の側端面と
短辺堰32との間に隙間が生じ、したがってこの隙間に溶
鋼が入り込みバリが発生して連続鋳造のスムースな運転
を妨げるとともに、鋳片すなわち製品の品質に悪影響を
与えるという問題があった。また、短辺堰32の表面は直
接モールドロール31に接触しているため、短辺堰32側の
保温熱（予熱）がモールドロール31側に逃げてしまい、
短辺堰32の表面温度が低下し、このため短辺堰32の表面
に壁シェルが大きく成長して製品の品質に悪影響を与え
るという問題もあった。

そこで、本発明は上記課題を解消し得るツインロール型
連続鋳造設備における短辺堰を提供することを目的とす
る。

課題を解決するための手段 上記課題を解決するため、本発明のツインロール型連続
鋳造設備における短辺堰は、互いに平行に設けられた一
対のモールドロールの両端部に、これら両モールドロー
ルと協働してその上方に溶鋼溜めを形成する堰本体をそ
れぞれ配置し、かつこれら各堰本体と各モールドロール
の摺動端面部との間に、複数個の耐火性材料からなる摺
動用ピースを、その摺動経路に沿って配設したものであ
る。

作 用 上記構成によると、モールドロールと堰本体との摺動部
に、摺動用ピースを複数個配設したので、従来のように
熱歪によって短辺堰の表面に生じる凹凸はこのような小
さい摺動用ピースに殆ど生じず、したがってモールドロ
ールと摺動用ピースとの間には溶鋼が入り込むことがな
い。また、摺動用ピースは堰本体側から分離されている
ため、モールドロール側に逃げる堰本体側の保温熱が少
なくなり、したがって堰本体の表面に壁シェルが大きく
成長するのを防止することができる。

実施例 以下、本発明の一実施例を第１図および第２図に基づき
説明する。

第１図および第２図において、１は互いに平行に設けら
れた一対のモールドロール２両端部に、これら両モール
ドロール２と協働してその上方に溶鋼溜めを形成するた
めにそれぞれ配置された堰本体である。そして、これら
各堰本体１と各モールドロール２の摺動端面部2aとの間
には、耐火性材料からなる摺動用ピース３が、その摺動
経路に沿って複数個配設されている。すなわち、モール
ドロール２の回転軸体４の各端部には押さえ金具５を介
して環状支持部材６が回転可能に外嵌支持されるととも
に、この環状支持部材６に円弧状の取付板７を介して上
記複数個の摺動用ピース３が円弧状に皿ボルト８により
取り付けられている。なお、上記環状支持部材６は回転
軸体４に対して回転可能に支持されているが、上記摺動
用ピース３が移動しないように、堰本体１の下端位置に
は、摺動用ピース３の移動を阻止するストッパー９が堰
本１側に設けられている。また、上記摺動用ピース３の
溶鋼溜め側の表面と、モールドロール２の溶鋼溜め側の
外周面とは、ほぼ同一高さとなるようにされ、さらに摺
動用ピース３はモールドロール２側に軽い力でもって押
し付けられている。

したがって上記構成によると、モールドロール２側と短
辺堰側との摺動は、摺動用ピース３を介して行われるこ
とになる。

このように、モールドロール２と堰本体１との間には、
耐火性材料からなる複数個の摺動用ピース３が介在され
ているため、堰本体１側を予熱している場合でも、その
熱がモールドロール２側に逃げるのを防止することがで
き、また堰本体１の表面と摺動用ピース３との間に生じ
た隙間に溶鋼が入り込んでも、摺動用ピース３は移動し
ないのでモールドロール２に傷をつけることもないとと
もに製品の品質にも悪影響を与えることもない。さら
に、摺動用ピース３の外周面に薄いシェルが形成される
が、この薄いシェルはモールドロール２側の外周面に形
成される厚いシェルに繁がっているため、摺動用ピース
３の外周面を滑って鋳片となってモールドロール２から
出て行く。

なお、上記摺動用ピース３としては、熱伝導率が約15kc
al/m・ｈ・℃（ステンレスと同程度である）のセラミッ
クスが用いられており、より具体的には、アルミナ系、
窒化ケイ素系、ジルコニア系を母体として、ボロン、カ
ーボンおよびモリブデン系の潤滑性を有する材料を配合
したものがよい。なお、セラミックスの替わりに通常の
耐火物を使用してもよい。また、上記摺動用ピース３を
支持する取付板７、環状支持部材６、押さえ金具５など
の材料としては、熱変形や伸びが少ないもの、例えばイ
ンバーなどが適している。

ところで、上記実施例においては、管状支持部材６およ
び押さえ金具５を、メタル摺動の構造として示したが、
勿論、ベアリングを使用してもよい。

また、上記実施例においては、摺動用ピース３の外周面
はモールドロール２の外周面とほぼ同一高さとなるよう
に説明したが、例えば堰本体１側に向かってモールドロ
ール２軸心から離れるように傾斜させてもよく、またそ
の傾斜面自体を曲面にしてもよい。

さらに、上記実施例においては、摺動用ピース３をモー
ルドロール１の回転軸体４に支持させたが、勿論、堰本
体１側に支持させてもよい。

発明の効果 以上のように本発明の構成によると、モールドロールと
堰本体との摺動部に、表面が非常に小さい摺動用ピース
を複数個配設したので、従来のように熱歪によって短辺
堰の表面に生じる凹凸がこのような摺動用ピースには殆
ど生じず、したがってモールドロールと摺動用ピースと
の間には溶鋼が入り込むことがないので、バリも発生せ
ずモールドロールを傷つけることはない。また、摺動用
ピースは堰本体側から分離されているため、モールドロ
ール側に逃げる堰本体側の保温熱が少なくなり、したが
って堰本体の表面に壁シェルが大きく成長するのを防止
することができ、製品に悪影響を与えることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明の一実施例を示すもので、
第１図は要部拡大断面図、第２図は全体の概略構成を示
す正面図、第３図は従来例の全体の概略構成を示す側面
図である。 １……堰本体、２……モールドロール、３……摺動用ピ
ース、６……環状支持部材、７……取付板、９……スト
ッパー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】互いに平行に設けられた一対のモールドロ
   ールの両端部に、これら両モールドロールと協働してそ
   の上方に溶鋼溜めを形成する堰本体をそれぞれ配置し、
   かつこれら各堰本体と各モールドロールの摺動端面部と
   の間に、複数個の耐火性材料からなる摺動用ピースを、
   その摺動経路に沿って配設したことを特徴とするツイン
   ロール型連続鋳造設備における短辺堰。