JPH07102008A - 吸水性樹脂の製造法 - Google Patents

吸水性樹脂の製造法

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JPH07102008A
JPH07102008A JP24958393A JP24958393A JPH07102008A JP H07102008 A JPH07102008 A JP H07102008A JP 24958393 A JP24958393 A JP 24958393A JP 24958393 A JP24958393 A JP 24958393A JP H07102008 A JPH07102008 A JP H07102008A
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water
polymerization
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oil
phase inversion
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JP24958393A
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English (en)
Inventor
Shuhei Yada
田 修 平 矢
Toshiko Nakamura
村 俊 子 中
Masayuki Yamashita
下 正 行 山
Kiichi Ito
藤 喜 一 伊
Hirochika Hosaka
坂 浩 親 保
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸水性樹脂を大粒径一次粒子として得る方法
を提供する。 【構成】 水溶性エチレン性不飽和モノマー、水及び水
溶性重合開始剤を含んでなるモノマー水溶液相を、有機
溶媒および分散剤を含んでなる油相中に攪拌下分散さ
せ、水溶性架橋剤の存在下または不存在下に油中水滴型
の逆相懸濁重合を行うことにより吸水性樹脂を製造する
方法において、前記油相が前記モノマー水溶液相中に分
散した水中油滴型の分散液を一旦形成させ、然る後に転
相により油中水滴型の分散液を形成させること、および
転相後の水相滴径Dp1と重合後のポリマー滴径Dp2
の比(Dp1/Dp2)が3以下であることを特徴とす
る、吸水性樹脂の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸水性樹脂の製造法に
関する。更に詳しくは、本発明は、水溶性エチレン性不
飽和モノマーの逆相懸濁重合を特定の態様で行うことに
より、生成樹脂を大粒径1次粒子として得ることを可能
とする、吸水性樹脂の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、吸水性樹脂は、生理用品、使い捨
て紙オムツ、使い捨て雑巾等の衛生用品、保水剤、土壌
改良剤等の農園芸用品の他、汚泥凝固剤、結露防止剤や
油類の脱水剤等種々の用途に使用されている。特に、生
理用品や使い捨て紙オムツなどの衛生用品における需用
は年々増大しており、また、結露防止剤としては、建
材、コンテナー輸送、海上輸送など広範な分野に利用さ
れている。このように、吸水性樹脂は我々の社会生活に
大きく貢献している。
【0003】吸水性樹脂は、一般に水溶性エチレン性不
飽和モノマーを重合することにより得られ、アクリル酸
塩重合体架橋物、アクリル酸エステル‐酢酸ビニル共重
合体架橋物のケン化物、澱ぷん‐アクリル酸塩グラフト
共重合体架橋物、澱ぷん‐アクリロニトリルグラフト共
重合体架橋物のケン化物、無水マレイン酸グラフトポリ
ビニルアルコール重合体架橋物、ポリエチレンオキシド
架橋物など多くの種類の吸水性樹脂が知られている。こ
れらの吸水性樹脂は、例えば、特公昭60−25045
号、特開昭57−158210号、特開昭57−214
05号、特公昭53−46199号、特開昭53−71
907号、特開昭55−84304号などにその詳細が
示されているように、逆相懸濁重合、逆相乳化重合、水
溶液重合、有機溶媒中での重合等により製造されてい
る。
【0004】水溶液重合および有機溶媒中での重合は塊
状状態での重合であるため、重合物が非常に大きな粘性
を示すために特殊な重合反応器を必要としたり、反応器
内部に多量の残留物を残したり、あるいはこの残留物を
抑制するために特殊な界面活性剤を添加したりする必要
がある。また、得られた重合物を粉体状の製品にするた
めの粉砕機が必要であり、更に、粉砕により生じる微粉
末等を造粒し、場合によっては造粒後再粉砕する必要が
あるなど、これらの重合法は設備コスト、製造効率等の
点で満足できるものではない。
【0005】一方、逆相懸濁重合は、モノマー水溶液が
液滴状で溶剤中に分散した状態での重合で、汎用の槽型
反応器を使用することができ、重合物が滴状になってい
るため重合熱の除去が容易で、工業プロセスとしては取
り扱い易く、水溶液重合等と比較して優位な重合方法で
はあるが、重合で生成した1次粒子の大きさが若干小さ
いために用途が限定されたり、製品としての粒径を大き
くするために何等かの処置が必要となり、必ずしも全て
の点で満足できるものとは言えなかった。
【0006】そこで、逆相懸濁重合において、粒径の問
題を解決すれば工業的に極めて優れたプロセスとなるた
め、従来より、主として特定の分散剤(界面活性剤)や
増粘剤の使用による種々の粒径改良法が提案されてい
る。例えば、特開昭53−46380号公報および特公
昭54−30710号公報にはHLB3〜6のソルビタ
ン脂肪酸エステルの使用が、特開昭57−167302
号公報にはHLB6〜9のノニオン系界面活性剤の使用
がそれぞれ教示されているが、いずれの場合も10〜1
00μm程度の粒径しか得られない。特開昭62−17
2006号公報には分散剤としてHLB2〜16のポリ
グリセリン脂肪酸エステルを使用する方法が記載されて
いる。この方法は、生成樹脂の大粒径化を可能とするも
のであるが、樹脂を安定に得るための製造条件の許容範
囲が非常に狭いため、塊状重合を起こし易く、工業的な
安定生産を考慮した場合には有利なものとは言い難い。
【0007】特開昭56−131608号公報、特公昭
60−25045号公報には分散剤としてHLB8〜1
2の界面活性剤を使用する方法が記載されているが、こ
の方法には重合槽壁への生成樹脂の付着が甚だしいとい
う欠点がある。また、特開昭57−94011号公報、
特開昭57−98512号公報、特開昭57−9851
3号公報、特公昭63−36321号公報および特公昭
63−36322号公報は、界面活性剤として親油性カ
ルボキシル基含有重合体を使用する方法を教示する。然
しながら、この界面活性剤は工業的に入手しにくく、こ
の方法によれば数百μm程度の大粒径のポリマーが得ら
れるものの、分散剤とアクリル酸系モノマーとの親和性
が高いため、重合反応時に塊状化しやすいという問題が
ある。
【0008】一方、増粘剤の使用により粒径改善を図る
方法としては、例えば、特開昭56−76419号公
報、特開昭62−95307号公報、特開昭62−95
308号公報において、分散剤とヒドロキシエチルセル
ロースの共存下に重合を行う方法が提案されている。こ
の場合大粒径ポリマーが得られるが、ヒドロキシエチル
セルロースのモノマーへの溶解操作が困難であり、ま
た、これを均一に溶解させるための特別な装置が必要で
ある。上述のように、種々の界面活性剤や増粘剤の使用
による従来の粒径改良方法は、生成樹脂粒子の粒径が未
だ不十分であったり、大粒径が得られたとしても、塊状
物の生成や製造装置への樹脂の付着といった問題が伴
い、必ずしも十分に満足できるものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、逆相懸濁重
合による吸水性樹脂の製造における上記の種々の問題点
を解決し、粒子径の大きな吸水性樹脂を安定に製造する
方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水溶性エ
チレン性不飽和モノマーの逆相懸濁重合を、転相操作を
伴う下記の特定の態様にて行うことにより上記目的が達
成されることを見出した。即ち、本発明による吸水性樹
脂の製造法は、水溶性エチレン性不飽和モノマー、水及
び水溶性重合開始剤を含んでなるモノマー水溶液相を、
有機溶媒および分散剤を含んでなる油相中に攪拌下分散
させ、水溶性架橋剤の存在下または不存在下に油中水滴
型の逆相懸濁重合を行うことにより吸水性樹脂を製造す
る方法において、前記油相が前記モノマー水溶液相中に
分散した水中油滴型の分散液を一旦形成させ、然る後に
転相により油中水滴型の分散液を形成させること、およ
び転相後の水相滴径Dp1と重合後のポリマー滴径Dp
2の比(Dp1/Dp2)が3以下であることを特徴と
するものである。
【0011】〔発明の具体的な説明〕 <水溶性エチレン性不飽和モノマー>本発明で使用され
る水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、重合、乾
燥等の後に良好な吸水能を有する吸水性樹脂を与えるも
のであれば何れのものも使用可能である。このようなモ
ノマーとしては、官能基としてカルボン酸または(及
び)その塩、リン酸または(及び)その塩、スルホン酸
または(及び)その塩から誘導される基を有する水溶性
エチレン性不飽和モノマーを挙げることができる。具体
的には、(メタ)アクリル酸あるいはその塩、マレイン
酸あるいはその塩、イタコン酸あるいはその塩、ビニル
スルホン酸あるいはその塩、2‐アクリルアミド‐2‐
メチルプロパンスルホン酸あるいはその塩、2‐アクリ
ロイルエタンスルホン酸あるいはその塩、2‐アクリロ
イルプロパンスルホン酸あるいはその塩、2‐メタクロ
イルエタンスルホン酸あるいはその塩、ビニルスルホン
酸あるいはその塩等を例示でき、これらの1種または2
種以上を使用することができる。尚、ここで「(メタ)
アクリル」なる用語は、「アクリル」および「メタクリ
ル」の何れをも意味する。上記モノマーのうち、アクリ
ル酸あるいは(及び)その塩が好ましい。また、アクリ
ル酸の塩としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ
金属塩が好ましく、特に、アクリル酸の全カルボキシル
基の50〜95%がアルカリ金属塩に中和されてなるも
のが好ましい。また、本発明においては、前記のモノマ
ー以外にこれらと共重合可能な単量体、例えば(メタ)
アクリルアミド、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
ルアミド、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト等も生成する吸水性樹脂の性能を低下させない範囲の
量で共重合させても差し使えない。上記エチレン性不飽
和モノマーのモノマー水溶液中の濃度は、一般的に10
重量%以上、好ましくは20重量%〜飽和濃度である。
【0012】<架橋剤及び添加剤>本発明においては、
吸水性樹脂の性能向上のため架橋剤や添加剤を加えるこ
とも可能である。架橋剤としては、分子内に二重結合を
2個以上有し、前記モノマーと共重合性を示すもの、例
えばN,N′‐メチレンビス(メタ)アクリルアミド、
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリ
セリントリ(メタ)アクリレート、あるいはカルボキシ
ル基等の前記モノマー中の官能基と反応しうる2個以上
の官能基を有する水溶性の化合物、例えばエチレングリ
コールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール
ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル、グ
リセリン、ペンタエリスリトール等のポリオール、及び
エチレンジアミン等のポリアミン、ハロエポキシ化合
物、ポリアルデヒド類、等が好適に使用される。このう
ち特に好ましいのはN,N′‐メチレンビス(メタ)ア
クリルアミドである。架橋剤の使用量は、前記モノマー
の仕込み量に対して一般に0.001〜0.1重量%、
好ましくは0.01〜0.5重量%である。添加剤とし
ては、微粒子状シリカ、二酸化チタン粉末、及びアルミ
ナ粉末等の不活性な無機質粉末等を所望の目的に応じて
適時、適量使用することができる。
【0013】<水溶性重合開始剤>本発明で用いられる
重合開始剤は、水溶性で、かつ前記水溶性エチレン性不
飽和モノマーの水溶液に溶解しうるものであればよい。
具体例を挙げると、(イ)過酸化水素、過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸
塩、(ロ)t‐ブチルハイドロパーオキシドやクメンハ
イドロパーオキシド等のパーオキシド類、(ハ)アゾイ
ソブチロニトリル、2,2′‐アゾビス(2‐アミジノ
プロパン)二塩酸塩等のアゾ系開始剤が用いられる。こ
れらの重合開始剤の中でも、特に、過硫酸塩、ハイドロ
パーオキシド類等の様な酸化性を示す開始剤は、例えば
亜硫酸水素ナトリウム、L‐アスコルビン酸、第一鉄塩
等の様な還元性物質あるいはアミン類との組合せによる
レドックス開始剤としても用いることができる。これら
の開始剤の使用量は、一般には水溶性エチレン性不飽和
モノマーに対して0.01〜10重量部%、好ましくは
0.1〜2重量部%である。
【0014】<有機溶媒及び分散剤>本発明における逆
相懸濁重合で用いられる有機溶媒及び界面活性剤として
は、前記のエチレン性不飽和モノマー水溶液を連続相と
し、有機溶媒を分散相とする水中油滴型の分散液を先ず
形成することができ、然る後転相により油中水滴型の分
散液を形成することができるものであって、かつ重合に
不活性なものであればいかなるものも使用できる。この
ような有機溶媒としては、脂肪族炭化水素、脂環族炭化
水素、または芳香族炭化水素があり、脂肪族炭化水素と
しては、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマ
ルヘプタン等が、脂環族炭化水素としては、シクロペン
タン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチル
シクロヘキサン等が、芳香族炭化水素としては、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等が適し、これらの二種以上を
混合して用いることもできる。特に、ノルマルヘキサ
ン、ノルマルヘプタン、シクロヘキサンは工業的に品質
が安定していて、入手が容易であり、かつ安価なため好
ましい。
【0015】界面活性剤としては、例えば、ポリオキシ
エチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、
ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ルエーテル、ソルビトール脂肪酸エステルエーテル、グ
リセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、α‐
オレフィンとα,β‐不飽和多価カルボン酸無水物の共
重合体等の有機界面活性剤が使用でき、これらの二種以
上を混合して用いることもできる。特に、ソルビトール
モノステアレート、ソルビトールモノラウリレート、ソ
ルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウリレー
ト、ショ糖ジステアレート、ショ糖モノ・ジステアレー
ト、α‐オレフィンとα,β‐不飽和多価カルボン酸無
水物の共重合体等が工業的使用においては一定品質、か
つ入手が容易で好ましい。また、本発明においては、界
面活性機能を発現する無機粉体、例えばアエロジル、サ
イロイド等も、製品設計に応じて適宜使用することがで
きる。
【0016】<転相操作および重合>本発明の方法にお
いては、前記モノマー水溶液を連続相とし、有機溶媒を
分散相とする水中油滴型の分散液を先ず形成させ、次い
で転相により油中水滴型の分散液を形成させる。転相を
実施するための手段としては種々の方法が考えられる
が、本発明においては、特に、1)攪拌動力の増加また
は2)有機溶媒の添加(追加)により転相を行うことが
好ましい。以下、この二つの方法について詳述する。先
ず、攪拌動力の増加による転相は、モノマー水溶液相を
連続相とし、有機溶媒を分散相として攪拌下水中油滴型
に維持された分散系における攪拌動力を一般に0.00
5Kw/m3 以上、好ましくは0.01〜1.0Kw/
3 以上増加させることにより行うことができる。攪拌
動力の増加が0.005Kw/m3 未満では転相が生じ
難く、また、余りに大きな攪拌動力の増加は、転相後の
大きな液滴をすばやく微粒化してしまったり、造粒した
りするので、一次粒子径の大きな重合体を得るという本
発明の目的に反することとなる。
【0017】攪拌動力変更前の攪拌動力は、水中油滴型
の分散液が安定に形成されるように設定される必要があ
り、従って種々の操作条件(転相時の温度、乳化剤の種
類や量、相容積比、有機溶媒の種類等)に応じて適宜選
択されるが、一般的に1.0Kw/m3 以下、好ましく
は0.005〜0.5Kw/m3 である。転相後、再び
攪拌動力変更を実施しても良い。例えば、油中水滴型で
の重合においては粒子の融着防止に必要な程度の攪拌動
力があれば良いので、転相後元の攪拌動力に戻すことが
好ましい場合もある。その他種々の目的に応じ、任意の
攪拌動力に、何回でも変更することができる。
【0018】次に、有機溶媒の添加による転相は、前記
水中油滴型分散液に対し適当量の有機溶媒を添加するこ
とにより行う。このとき用いられる有機溶媒としては、
前述の溶媒であればいかなるものも使用できる。即ち、
ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタ
ン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロ
ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の
脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素を単独で、あるいは2種以上混合して用い
ることができる。この転相用に添加される有機溶媒は、
添加前の水中油滴型分散液の分散相を構成している有機
溶媒と異なっていても良い。また、この転相用の有機溶
媒中には前述の界面活性剤を含有させてもよく、この界
面活性剤は転相前の水中油滴型分散液中に含まれる界面
活性剤と同一であっても異なっていても良い。添加すべ
き有機溶媒の量は、添加後の分散系に於ける有機溶媒と
モノマー水溶液との重量比が0.8以上、特に1.0以
上となるような量が好ましい。この重量比が0.8未満
であると転相が生じ難く、またこの条件下で転相させる
ためには攪拌動力をかなり高く設定する必要があり、こ
のため転相後の分散水相が微粒化してしまう。転相用有
機溶媒の添加方法は特に制限されないが、重合槽の下部
から供給した場合に転相がより容易に得られる。これ
は、有機溶媒がモノマー水溶液より比重が小さいため有
機溶媒が系内を上部に移動し易く、この移動によってこ
の様な効果が発現するものと思われる。
【0019】上記の方法によって実施される転相は、生
成樹脂を大粒径1次粒子として得る為に、転相後の水相
滴径Dp1と重合後のポリマー滴径Dp2の比(Dp1/Dp
2)が3以下となるように、以下の時点で実施すること
が好ましい。即ち、転相は、モノマーの重合開始60分
前から重合開始後モノマー転化率60%の時点の間に実
施することが好ましく、更に好ましくは、重合開始20
分前から重合開始後モノマー転化率40%の時点の間に
実施する。具体的には「上述の転相を重合に使用した重
合開始剤の重合系における重合開始温度近傍以上の温度
で実施する」、「重合液の重合開始温度までの昇温を速
く実施する」等により実施できる。重合開始60分前よ
り早い時点で転相させた場合、重合により粒径が固定さ
れるまでの時間が長いため液滴の***が進行して、Dp1
/Dp2比3以下を達成することが困難である。他方、重
合開始後モノマー転化率が60%を超えた場合は、液滴
の粘度が大きすぎて転相が生じ難く、また塊状重合とな
る可能性がある。本発明においては、上記の転相を実施
した後、あるいは転相に先立って、重合を開始する。重
合温度は、用いるモノマー、重合開始剤、分散剤、有機
溶媒等の種類に応じて異なるが、一般に10〜80℃、
好ましくは30〜70℃である。また重合時間も特に限
定されず、重合条件により異なるが、重合開始からモノ
マー転化率60%までは、一般に120分以内、好まし
くは60分以内、更に好ましくは10分以内である。
【0020】
【実施例】以下、実施例、比較例によって本発明を更に
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。実施例1 シクロヘキサン100重量部に、ソルビタンモノステア
レート1.0重量部を添加し、溶解させた後、窒素ガス
を吹き込んで溶存酸素を追い出した(A液)。別に、ア
クリル酸104重量部に水85重量部を加え、冷却下で
25%水酸化ナトリウム161重量部を徐々に加えた。
さらにN,N‐メチレンビスアクリルアミド0.77重
量部、過硫酸カリウム0.24重量部を添加し、溶解さ
せた後、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した
(B液)。攪拌機、還流冷却器、温度計、棒バッフルお
よび窒素ガス導入管を付設した直径1.3mの重合槽
に、攪拌翼として、アンカー翼付き三枚ピッチドパドル
翼(翼径/槽径=0.7)を設置し、A液700Kgと
B液700Kgを入れ、14rpm(攪拌動力0.02
5Kw/m3 )で攪拌して分散させると水中油滴型エマ
ルションが形成された。この時の液温は13℃であっ
た。次いで、攪拌を継続しながら1.2℃/分の昇温速
度にて昇温させ、55℃で重合を開始した。モノマー転
化率が20%になった時点(重合開始より4分後)で攪
拌回転数を20rpm(攪拌動力0.07Kw/m3
まで増加させたところ、油中水滴型エマルションへの転
相が認められた。転相後、20rpmでの攪拌を継続し
ながら更に60分間重合を行った。転相直後の重合液を
サンプリングして直ちに光学式顕微鏡で液滴粒径を測定
したところ、平均粒径480μmであった。また、重合
後の含水樹脂の平均粒径は380μmであった。この含
水樹脂中の水分を除去すると粉末状の一次粒子ポリマー
が得られ、平均粒径310μmであった。
【0021】実施例2 転相後、直ちに攪拌回転数を18rpmまで戻した以外
は実施例1と全く同様の操作を行った。重合後の樹脂中
の水分を除去すると粉末状の一次粒子ポリマーが得ら
れ、平均粒径350μmであった。
【0022】実施例3 実施例1において、重合槽の棒バッフルを取り除き、攪
拌翼をフルゾーン翼(神鋼パンテック(株)製(翼径/
槽径=0.7,翼高/槽径=0.98))に代え、20
rpm(攪拌動力0.02Kw/m3 )にてA液とB液
を攪拌して分散させたところ水中油滴型エマルションが
形成された。次いで実施例1と同様にして昇温させ、5
5℃で重合を開始した。モノマー転化率が20%になっ
た時点で攪拌回転数を25rpm(攪拌動力0.04K
w/m3 )まで増加させたところ、油中水滴型エマルシ
ョンへの転相が認められた。転相後、25rpmでの攪
拌を継続しながら更に60分間重合を行った。重合後の
樹脂中の水分を除去すると粉末状の一次粒子ポリマーが
得られ、平均粒径290μmであった。
【0023】実施例4 実施例1で調製したA液400KgとB液600Kgを
実施例1と同じ重合槽に入れ、14rpmで攪拌して分
散させたところ水中油滴型エマルションが形成された。
この時の液温は10℃であった。次いで、攪拌を継続し
ながら1.2℃/分の昇温速度にて昇温し、液温51℃
に達した時に52℃の脱気したシクロヘキサン300K
gを重合槽底部より加えたところ、油中水滴型エマルシ
ョンへの転相が認められた。転相後更に昇温を続け、転
相から4分後、液温55℃で重合を開始し、引き続き6
0分間重合を行った。尚、この間14rpmでの攪拌を
継続した。転相直後の重合液をサンプリングして直ちに
光学式顕微鏡で液滴粒径を測定したところ、平均粒径5
50μmであった。また、重合後の含水樹脂の平均粒径
は470μmであった。この含水樹脂中の水分を除去す
ると粉末状の一次粒子ポリマーが得られ、平均粒径38
0μmであった。
【0024】比較例1 実施例1と全く同様にして重合を開始し、モノマー転化
率が70%となった時点で攪拌回転数を30rpm(攪
拌動力0.25kW/m3 )に増加させたものの転相は
認められず、そのまま重合を継続したところ、全体が塊
状化した。
【0025】比較例2 実施例4と同様にして水中油滴型エマルションを形成し
た後、14rpmでの攪拌を継続しながら0.4℃/分
の昇温速度にて昇温し、液温20℃に達した時に22℃
の脱気したシクロヘキサン200Kgを重合槽底部より
加えたところ、油中水滴型エマルションへの転相が認め
られた。転相後更に昇温を続け、転相から84分後、液
温55℃で重合を開始し、引き続き60分間重合を行っ
た。尚、この間14rpmでの攪拌を継続した。重合後
の樹脂中の水分を除去すると粉末状の一次粒子ポリマー
が得られ、平均粒径130μmであった。
【0026】実施例5 シクロヘキサン100重量部に、ソルビタンモノステア
レート0.5重量部、ダイヤカルナー30(C28〜C38
α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体、三菱化
成(株)製)0.5重量部を添加し、溶解させた後、窒
素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した(C液)。実
施例1と同じ重合槽に、C液700Kgと実施例1で調
製したB液700Kgを入れ、18rpm(攪拌動力
0.05kW/m3 )で攪拌して分散させると水中油滴
型エマルションが形成された。この時の液温は15℃で
あった。次いで、攪拌を継続しながら1.2℃/分の昇
温速度にて昇温させ、58℃で重合を開始した。モノマ
ー転化率が20%になった時点(重合開始より3分後)
で攪拌回転数を20rpm(攪拌動力0.07Kw/m
3 )まで増加させたところ、油中水滴型エマルションへ
の転相が認められた。転相後、20rpmでの攪拌を継
続しながら更に60分間重合を行った。転相直後の重合
液をサンプリングして直ちに光学式顕微鏡で液滴粒径を
測定したところ、平均粒径590μmであった。また、
重合後の含水樹脂の平均粒径は530μmであった。ま
た樹脂中の水分を除去すると粉末状の一次粒子ポリマー
が得られ、平均粒径430μmであった。
【0027】実施例6 実施例5で調製したC液400Kgと実施例1で調製し
たB液600Kgを実施例1と同じ重合槽に入れ、16
rpmで攪拌して分散させると水中油滴型エマルション
が形成された。この時の液温は10℃であった。次い
で、攪拌を継続しながら1.3℃/分の昇温速度にて昇
温し、液温51℃に達した時に52℃の脱気したシクロ
ヘキサン300Kgを重合槽底部より加えたところ、油
中水滴型エマルションへの転相が認められた。転相後更
に昇温を続け、転相から6分後、液温58℃で重合を開
始し、引き続いて60分間重合を行った。尚、この間1
6rpmでの攪拌を継続した。転相直後の重合液をサン
プリングして直ちに光学式顕微鏡で液滴粒径を測定した
ところ、平均粒径580μmであった。また、重合後の
含水樹脂の平均粒径は550μmであった。この含水樹
脂中の水分を除去すると粉末状の一次粒子ポリマーが得
られ、平均粒径450μmであった。
【0028】
【発明の効果】本発明の方法によれば、水溶性エチレン
性不飽和モノマーの逆相懸濁重合において上記の転相操
作を実施することにより、吸水性樹脂を大粒径一次粒子
の形状で安定的に得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊 藤 喜 一 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化株 式会社四日市総合研究所化学品研究所内 (72)発明者 保 坂 浩 親 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化株 式会社四日市総合研究所化学品研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水溶性エチレン性不飽和モノマー、水及び
    水溶性重合開始剤を含んでなるモノマー水溶液相を、有
    機溶媒および分散剤を含んでなる油相中に攪拌下分散さ
    せ、水溶性架橋剤の存在下または不存在下に油中水滴型
    の逆相懸濁重合を行うことにより吸水性樹脂を製造する
    方法において、前記油相が前記モノマー水溶液相中に分
    散した水中油滴型の分散液を一旦形成させ、然る後に転
    相により油中水滴型の分散液を形成させること、および
    転相後の水相滴径Dp1と重合後のポリマー滴径Dp2
    の比(Dp1/Dp2)が3以下であることを特徴とす
    る、吸水性樹脂の製造法。
  2. 【請求項2】転相を、重合開始60分前から重合開始後
    モノマー転化率60%の時点の間に行うことを特徴とす
    る、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造法。
  3. 【請求項3】転相を、重合開始20分前から重合開始後
    モノマー転化率40%の時点の間に行うことを特徴とす
    る、請求項2に記載の吸水性樹脂の製造法。
  4. 【請求項4】転相を、攪拌動力の増加により行うことを
    特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸水
    性樹脂の製造法。
  5. 【請求項5】転相を、前記水中油滴型分散液への有機溶
    媒の添加により行うことを特徴とする、請求項1〜3の
    いずれか一項に記載の吸水性樹脂の製造法。
  6. 【請求項6】有機溶媒の添加を、重合槽の下方よりの供
    給により行うことを特徴とする、請求項5に記載の吸水
    性樹脂の製造法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007177153A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Toagosei Co Ltd 逆相懸濁重合装置及び重合体の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007177153A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Toagosei Co Ltd 逆相懸濁重合装置及び重合体の製造方法

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