JPH069938B2 - 農作業車のクラツチ構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ディスク式の摩擦クラッチを切り付勢された
状態で、かつ、機械敷操作機構によって操作される状態
でミッションケースに内装すると共に、クラッチ入り操
作力のチャージスプリングを設けた農作業車のクラッチ
構造に関する。

〔従来の技術〕

上記農作業車において、従来、実願昭61-93679号に提案
した如く、チャージスプリングをミッションケースの外
部に設けていた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

機体進行に伴って跳ね上げられた泥土がチャージスプリ
ングに付着して、チャージスプグが早期に錆びる虞れが
あった。

本発明の目的は、ミッションケースの大型化を抑制しな
がら、チャージスプリングをミッションケースに内装で
きるようにする点にある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の特徴構成は、冒記した農作業車のクラッチ構造
において前記摩擦クラッチの操作用摺動シフターの支軸
を、前記操作用摺動シフター及び前記ミッションケース
夫々に対する摺動が自在に取付けると共に前記機械式操
作機構に連動させ、前記操作用摺動シフターのボス部の
一端側に摺動自在に内嵌する状態でスプリング受け部を
前記支軸に備えさせると共に、前記チャージスプリング
を前記ボス部の他端側と前記スプリング受け部との間に
介在させた状態で前記ボス部に内装した点にあり、その
作用及び効果は次の通りである。

〔作 用〕

すなわち、摩擦クラッチの入り操作が行われるに伴い、
支軸が摺動操作されてチャージスプリングを介して操作
用摺動シフターが操作され、かつ、チャージスプリング
が弾性変形されて操作用摺動シフターをクラッチ入り側
に摺動付勢する。従って、チャージスプリングを操作用
摺動シフターのボス部に内装しても、その本来の目的を
達成する。

〔発明の効果〕

したがって、チャージスプリングを摺動シフターのボス
部に内嵌できることによって、チャージスプリングを摺
動シフターの外部に配置するに比して支軸を短いものに
することができるので、ミッションケースの小型化が可
能になった。さらにはチャージスプリングをミッション
ケースに内装でき、チャージスプリングの錆付きを回避
できてその作用を長期にわたって確保できるようになっ
た。

〔実施例〕

第６図に示すように、左右一対の操向型駆動前車輪(1),
(1)及び非操向型駆動後車輪(2),(2)を有した走行機体の
後部に、ロータリ耕耘装置等の歌種作業装置を昇降操作
自在に連結するリフトアーム(3)、及び、連結作業装置
に伝動する動力取出し軸(4)を設けて、農用トラクター
を構成してある。

第２図に示すように、ミッションケースとしての前車輪
伝動ケース(5)を走行機体に機体前後方向の軸芯(X)周り
で上下揺動自在に取付けて、地面の左右傾斜に拘らず機
体をほぼ水平姿勢に維持できるようにしてある。

前記前車輪(1),(1)の駆動構造について説明すれば、前
記前車輪伝動ケース(5)の第１ケース部分(5A)に、この
第１ケース部分(5A)の右側寄りに配置した差動機構
(6)、この差動機構(6)の左右一対の出ギア(7),(7)に各
別に連動させた左右一対の横向き連動軸(8),(8)の夫々
を内装すると共に、前記連動軸(8)にベベルギア機構(9)
を介して連動させた縦向き連動軸(10)を前記第１ケース
部分(5A)の左右端部に連結された第２ケース部分(5B)に
内装し、もって、走行用トランスミッション(11)の出力
が入力軸(12)に伝達されると、ベベルギア機構(13)を介
して差動機構(6)に伝達され、横向き連動軸(8)、縦向き
連動軸(10)を介して車軸(14)に伝達されるようにしてあ
る。

前記差動機構(6)のデファレンシャルギアケース(15)
と、前記ベベルギア機構(13)との間に変速装置(16)を設
けてあり、この変速装置(16)は、クラッチ爪部(17a)を
備えさせた標準速伝動ギア(17)を前記ベベルギア機構(1
3)からの出力が伝達されるスリーブ(18)にスプライン外
嵌し、前記標準速伝動ギア(17)と咬合するギア(19)に回
転軸(20)及びギア(21)を介して連動させると共にディス
ク式の多板摩擦クラッチ(22)を備えさせた増速伝動ギア
(23)を前記デファレンシャルギアケース(15)に遊嵌し、
左側の前記連動軸(8)にスリーブ(24)を介して一体回転
及び摺動可能に伝動兼用の変速部材(25)を取付け、もっ
て、後述のシフター(26)による変速部材(25)の摺動操作
により変速できるように構成してある。すなわち、シフ
ター(26)を第１図に示す第１操作位置(S)に操作する
と、変速部材(25)が前記クラッチ爪部(17a)に係脱可能
なクラッチ爪部(25a)をして標準速伝動ギア(17)に一体
回転可能に係合し、一対の前車輪(1),(1)の平均周速度
を一対の後車輪(2),(2)の平均周速度と同一またはほぼ
同一にするように前輪用差動機構(6)に伝動する第１状
態になる。そして、シフター(26)を第１図に示す第２操
作位置(H)に操作すると、変速部材(25)が操作部(25b)を
して前記摩擦クラッチ(22)を入りに操作して増速伝動ギ
ア(23)と一体回転する状態になり、一対の前車輪(1),
(1)の平均周速度を一対の後車輪(2),(2)の平均周速度よ
り大にするように前輪用差動機構(6)に伝動する第２状
態になる。

第１図に示すように、前記摩擦クラッチ(22)の操作用摺
動シフター(26)の支軸(27)を前記操作用摺動シフター(2
6)及び前記前車輪伝動ケース(5)夫々に対する摺動が自
在に前記前車輪伝動ケース(5)に支承し、このシフター
支軸(27)に前記シフター(26)をスプリング(28)により前
記摩擦クラッチ(22)を切り側に付勢する状態で外嵌し、
前記シフター支軸(27)にスプリング受け部(29)を前記シ
フター(26)のボス部(26A)の一端側に摺動自在に内嵌す
る状態でピン(30)を介して外嵌固定すると共に、クラッ
チ入り操作力のチャージスプリング(31)を前記ボス部(2
6A)の他端側と前記スプリング受け部(29)との間に介在
させた状態で前記ボス部(26A)に内装し、もって、後述
のカム機構(A)によりシフター支軸(27)がスプリング(2
8)の付勢力に抗して摺動操作されると、チャージスプリ
ング(31)を介してシフター(26)が操作されて前記変速部
材(25)が摺動操作されるように構成してある。

第４図に示すように、ステアリングハンドル(32)のステ
アリングギアケース(33)の一側部に突出のピットマンア
ーム(34)と、前車輪(1),(1)のナックルアーム(35),(35)
のうちの一方(35)とをリンク(36)により連動連結すると
共に、前記両ナックルアーム(35),(35)をタイロッド(3
7)により連動連結し、もって、ステアリングハンドル(3
2)を回転操作することにより前車輪(1),(1)を操向操作
可能に構成してある。

第１図、第３図、及び第５図に示すように、一方の前記
ナックルアーム(35)と、前記前車輪伝動ケース(5)から
突出したカム軸(38)に固着の揺動アーム(39)とを連動ロ
ッド(40)により枢支連結すると共に、前記カム軸(38)に
カム板(41)を、それのカム溝(41a)内に前記シフター支
軸(27)に取付けられた作動ピン(42)が位置するようにス
プライン外嵌して、前記シフター支軸(27)に連動させた
機械式操作機構としてのカム機構(A)を構成してあり、
第３図に示すように、前車輪(1)が直進状態になるとこ
ろの中立位置(N)を中間箇所とした左右の設定揺動範囲
(L),(L)内にナックルアーム(35)があると、前記作動ピ
ン(42)にはカム板(41)が作用せず、前記シフター(26)が
スプリング(28)の付勢力により前記第１操作位置(S)に
維持され、又、第３図に示すように、前記設定揺動範囲
(L),(L)を越えてナックルアーム(35)が左右に揺動する
と、前記カム溝(41a)の両端部(41A)又は(41B)との接当
により作動ピン(42)が、第５図に示す如く、カム溝(41
a)から離れる側に移動し、前記シフター支軸(27)が摺動
されて前記シフター(26)が中立位置(N)を越えて第２操
作位置(H)に切換わるようにしてある。すなわち、前車
輪(1),(1)の操向角が設定角未満にある操向操作状態に
あると、作動ピン(42)がカム溝(41a)内にあって変速装
置(16)が第１状態にあり、前車輪(1),(1)の操向角が設
定角以上になるように操向操作されると、作動ピン(42)
がカム溝(41a)から離れる側に移動されて変速装置(16)
が自動的に第２状態に切換わり、変速装置(25)を前記第
１状態にしたままで前輪駆動するよりも小半径で機体が
旋回できるようにしてある。

〔別実施例〕

前記実施例では、ステアリングハンドル(32)に連動させ
たカム機構により摩擦クラッチ(22)の自動的に入り操作
するようにしたが、スイッチ等により人為的に入り操作
できるようにしてもよい。

本発明は農用トラクターに適用できる他、田植機等の各
種の農作業車に適用できる。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする為
に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構造
に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る農作業車のクラッチ構造の実施例を
示し、第１図はチャージスプリングの装着部を示す一部
切欠き断面図、第２図は前車輪の伝動構造の一部展開状
態を示す一部切欠き縦断正面図、第３図はナックルアー
ムの取付部を示す平面図、第４図はハンドルとナックル
アームとの連係を示す一部切欠き側面図、第５図はカム
板の作動状態を示す平面図、第６図は農用トラクターの
側面図である。 (5)……ミッションケース、(22)……摩擦クラッチ、(2
6)……操作用摺動シフター、(26A)……ボス部、(27)…
…支軸、(29)……スプリング受け部、(31)……チャージ
スプリング、(A)……機械式操作機構。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ディスク式の摩擦クラッチ(22)を切り付勢
   された状態で、かつ、機械式操作機構(A)によって操作
   される状態でミッションケース(5)に内装すると共に、
   クラッチ入り操作力のチャージスプリング(31)を設けた
   農作業車のクラッチ構造であって、前記摩擦クラッチ(2
   2)の操作用摺動シフター(26)の支軸(27)を、前記操作用
   摺動シフター(26)及び前記ミッションケース(5)夫々に
   対する摺動が自在に取付けると共に前記機械式操作機構
   (A)に連動させ、前記操作用摺動シフター(26)のボス部
   (26A)の一端側に摺動自在に内嵌する状態でスプリング
   受け部(29)を前記支軸(27)に備えさせると共に、前記チ
   ャージスプリング(31)を前記ボス部(26A)の他端側と前
   記スプリング受け部(29)との間に介在させた状態で前記
   ボス部(26A)に内装してある農作業車のクラッチ構造。