JPH0695443B2 - 強誘電体薄膜の製造方法 - Google Patents

強誘電体薄膜の製造方法

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JPH0695443B2
JPH0695443B2 JP31277690A JP31277690A JPH0695443B2 JP H0695443 B2 JPH0695443 B2 JP H0695443B2 JP 31277690 A JP31277690 A JP 31277690A JP 31277690 A JP31277690 A JP 31277690A JP H0695443 B2 JPH0695443 B2 JP H0695443B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、強誘電体薄膜の製造方法に関する。
[従来の技術] 従来、強誘電体材料は、その特異な電気的特性を利用し
て多くの分野に適用されている。例えば、圧電性を利用
して圧電フィルターや超音波トランスジューサー等に、
焦電性を利用して赤外線センサやパイロビジコン等に、
電気光学的効果を利用して光変調素子や光シャッター等
に用いられている。また、最近の半導体集積回路の発達
に伴い、強誘電体材料からなる素子を薄膜(すなわち、
強誘電体薄膜)にして実用化する試みがなされている。
さらに、光IC用途における新しいデバイス、例えば光導
波路や光スイッチ素子や、残留分極の安定性を利用した
不揮発性メモリ素子に、強誘電体薄膜を利用することが
注目されはじめている。
従来、無機系酸化物強誘電体薄膜の製造方法には、真空
蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、および
クラスタイオンビーム等の物理的方法、有機金属化合物
熱分解酸化して強誘電体材料を得るソル−ゲル法、MOD
法(Metal Organic Decomposition:有機金属分解法)、
およびCVD法(Chemical Vapor Deposition:化学的気相
成長法)等の化学的方法が用いられる。
強誘電体材料のうち特に利用価値が高いのは、一般式AB
O3(Aの部分をAサイト、Bの部分をBサイトという)
で表わされるペロブスカイト型酸化物セラミックスであ
る。ペロブスカイト型酸化物セラミックスの中で最も代
表的であるPZT(Pb(Zr,Ti)O3:ジルコンチタン酸鉛)
は、通常(Pb1-XAX)(Zr1-YTiY)O3+αMO(Mは金
属)のように、種々の置換元素、添加物によって変成さ
れて用いられている。これは、このように変成されたPZ
Tが、各種電子デバイスに用いられる場合に、多項目の
ユーザー仕様、例えば経時変化が少ないこと、温度特性
が良いこと、環境特性に優れること等に満足するからで
あり、また強誘電体材料を実用化するために多成分化が
要求されるからである。
このような強誘電体材料からなる薄膜を製造する方法と
しては、ソル−ゲル法またはMOD法が挙げられる。これ
は、これらの方法が原料を原子レベルで均質に混合する
ことができ、これにより微妙な組成制御を可能にし、再
現性に優れ、しかも常温常圧において大面積の成膜を可
能にさせるからである。以下にゾル−ゲル法の一例を示
す。
まず、Pb、TiもしくはZrの金属アルコキシド化合物(例
えば、Pbのエトキシド、TiもしくはZrのテトラブトキシ
ド)の溶液を所定量混合し、下記構造式Iに示すような
2次元鎖状構造を有する錯アルコキシド溶液(ゾル)を
得る。なお、金属アルコキシド化合物の代わりに金属ア
セチルアセトン化合物を用いることもできる。
次いで、この錯アルコキシドゾル液をスピンコート法や
ディップ法等の既知の方法で基板上に塗布し、その後乾
燥して成膜する。次いで、空気中の水分もしくは故意に
加えた水や酸により、または酸もしくはアルカリの加水
分解触媒の添加により得られた膜を加水分解する。この
加水分解により、膜は脱アルコール縮合反応を起こし、
下記構造式IIに示すような3次元網目構造を有するもの
(ゲル)になる。
次いで、脱アルコール縮合反応により生成したアルコー
ル、上記網目構造に取り込まれなかった残留水分、また
は希釈溶媒を膜中から除去する。その後、膜をゲル状態
からアモルファス状態を経て結晶化する。特に、強誘電
体材料がPZTの場合は、ペロブスカイト型の結晶構造に
するために500℃以上に加熱する。
一方、MOD法は、2次元鎖状構造を形成する過程を経ず
に、無水条件下において有機金属化合物を熱分解し、続
けて加熱焼成して直接酸化物を結晶化させる方法であ
る。
しかしながら、これらの方法は、強誘電体材料に高温で
加熱処理を施すため、例えば、PbOのように飽和蒸気圧
が高い成分を原料とするPZT、PbTiO3を製造する場合
に、加熱処理の間にPbOが膜中から蒸発したりまたはPbO
が還元してPbとして離脱して強誘電体材料の組成ずれを
引き起こす恐れがある。このため、得られるPZT、PbTiO
3等の強誘電体材料の結晶は、格子欠陥が多いものとな
る。また、これらの強誘電体材料の組成の再現性は非常
に悪くなる。さらに、組成ずれが起こると、結晶格子に
組み込まれなかった余剰のTiO2、ZrO2等の酸化物が相分
離して単独に結晶化する。これらのものが強誘電体材料
の結晶粒界に析出すると、TiO2、ZrO2等が誘電体として
働くため誘電損失が大きくなり強誘電体材料の強誘電性
が著しく低下するという問題がある。
特に、結晶構造がその特性に大きく依存する強誘電体材
料により薄膜を製造する場合において、構成元素の蒸発
や離脱によりその組成が化学量論比から少しでもずれる
と、結晶の配列が乱れて膜の配向性を悪くする。これに
より強誘電体薄膜の特性が低下する。この傾向は電気的
特性に顕著に現れ、強誘電体材料が本来有する強誘電性
や、焦電性および圧電性等の特性が低下する。
さらに、これらの方法は、溶剤、反応により生成したア
ルコール、および加水分解時の余剰水分等を乾燥除去す
る際に、得られる薄膜に微小な空隙を発生させたり、表
面にピンホールを形成させる。この空隙やピンホールに
より強誘電体薄膜の電気絶縁性が低下する。この傾向が
甚だしい場合は、空隙やピンホール部が導通状態になっ
たり、強誘電体の反転電圧以下の低電圧で絶縁破壊を起
こして電極間で電流がリークする。
この他にも、薄膜がゲル状態から結晶まで状態変化する
時に起こる体積収縮により、薄膜表面にマイクロクラッ
クが発生して電気絶縁性を低下させることがある。
従来、PZT系強誘電体材料の熱処理において、PbOの蒸発
や還元によるPbの離脱を防止する方法としては、強誘電
体材料を密閉型のさやに入れたり、さらに密閉型のさや
の中に鉛丹(Pb3O4)粉末を敷きつめることにより鉛蒸
気分圧を飽和状態にして熱処理を施すものが用いられて
いる。しかしながら、この方法でも組成ずれ、電極間リ
ークの問題を完全に解決することはできなかった。
本発明者らは、特願平1-294479号において、強誘電体層
と、その上に設けられた鉛を多く含む材料からなる層と
からなる複合薄膜を加熱することにより、強誘電体層か
ら失われる鉛成分を補償して複合薄膜の組成比を化学量
論比に合致させる方法を開示している。これにより、均
一な組成を有し、優れた強誘電性を発揮し、しかも電流
リーク等のない優れた絶縁性を奏する強誘電体薄膜が得
られることを見出した。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、この方法により得られた強誘電体薄膜
は、耐久性(ファティーグ)および分極保持性が悪いと
いう問題がある。
強誘電体薄膜を強誘電体メモリとして用いる場合、+Pr
(残留分極量)と−Prとの間を反転スイッチングさせ
る。このため、圧電体や焦電体としての従来用いられる
場合と異なり、強誘電体薄膜の耐久性や分極保持性が重
要となる。
第4図は、従来の強誘電体メモリ素子の耐久性を示すグ
ラフである。このグラフは、第5図に示すような繰り返
し周波数が625kHzの4種のパルス50を用い、4つの各パ
ルス間のスイッチ時のスイッチング特性(スイッチング
電流vsスイッチング時間)を積分することにより残留分
極量を算出し、その値をプロットした特性曲線40を示す
ものである。実用上スイッチングサイクルは1012回程度
必要であるが、第4図から分かるように、1010でサイク
ルでスイッチング電流が1/2になる。
一方、分極保持性を考慮する場合、例えば、強誘電体薄
膜形成後のパッシベーション工程、パッケージング工程
における熱変化、並びに応力変化による残留分極の経時
的変化を考える必要がある。
本発明者らの研究により、モールドパッケージング前の
強誘電体薄膜の耐久性は、107サイクルであるが、モー
ルドパケージングされた強誘電体薄膜の耐久性は、その
パッケージング工程の熱および応力により104〜105サイ
クルに急激に低下することが確認された。また、強誘電
体薄膜の残留分極が熱や応力により半減することも確認
された。ただし、この現象は、温度や応力が大きくなる
とそれに伴い顕著に現れるという性質のものではなく、
そのメカニズムは完全には解明されていない。しかしな
がら、このメカニズムについて2つの考え方がある。一
つは、スペースチャージの振る舞いが原因であるとする
考え方である。これは、S.Takahashi J.J.A,P.vol.9,N
o.10.0ct.,1970.やJ.F.Scott et.al.“Radiatione ffec
ts on ferroelectric thin film memories:Reteution f
ailure mechanisms"J.A.P.66(8),Aug.1968に記載さ
れている。もう一つは、分極再配列による歪発生が原因
であるとする考え方である。これは、M.Kuwabara et.a
l.,J.Am.Ceram.Sol.71(2),Feb.1988,塩崎 第37回応
用物理学会講演予稿集に記載されている。また、これら
両者が原因とする考え方もある。しかしながら、この2
つの考え方は、いずれも概念的な説明であり、検証され
ているものではない。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、耐久性
および残留分極保持性に優れた強誘電体薄膜を製造する
方法を提供することを目的とする。
[課題を解決するために手段] 本発明者らは、耐久性および残留分極保持性に優れた強
誘電体薄膜を得るためには、結晶をできるだけ(100)
軸配向させること、粒界の欠陥により双極子のヘッドも
しくはテールがトラップされないような構造を有するよ
うにすること、粒成長を抑えて結晶を緻密にすること、
均一な結晶粒径にすること、化学量論的な組成にするこ
とが必要であることを見出だした。
第6図(A)は、電圧未印加状態におけるPZT強誘電体
薄膜の一部の粒子内の分極の様子を示した説明図であ
る。このPZT強誘電体薄膜は、(100)方向に配向した白
金電極の上にPb1.02(Zr0.4Ti0.6)O3の組成になるよう
に調整された金属アルコキシド前駆体液をスピンコート
により塗布し、それに熱処理を施して作製したものであ
る。この薄膜は、多結晶であり、X線回折により測定す
ると(100)軸配向をしている。しかしながら、実際に
はどの粒子の双極子60も完全に1方向に配向しておら
ず、いくらか傾いていると考えられている。また、第6
図(B)に示すように、一つの粒子に注目しても、粒子
の中心部近傍では双極子60が(100)軸配向(180°分
域)しており、粒界近傍では双極子62のヘッド(+イオ
ン)もしくはテール(−イオン)が粒界または粒界近傍
の欠陥によりトラップされている。このため、粒界近傍
では、粒子中心部の双極子の方向に垂直な方向にヘッド
もしくはテールを向けた双極子を有する分域が形成され
る。これにより、粒界近傍では小さな90°分域壁が形成
されたり、場合によっては双極子のヘッド同志またはテ
ール同志が対向して静電エネルギーの非常に高い状態が
形成され、粒子の分極状態が極めて不安定となる。この
原因は、粒界または粒界近傍に存在する欠陥であり、こ
の欠陥を現象させる必要がある。
この欠陥を減少させるためには、 ・PZTの場合Pbの抜けを抑えること ・Ti3+やTi4+を発生させないように遊離したTiO2を形成
させないこと ・粒子形状を球形に近くし、粒径を小さくしてさらに粒
子を均一にすること ・マイクロポアおよびマイクロクラックを発生させない
こと ・粒子、粒界とも酸素不足にしないこと ・化学量論組成からずれないようにすること ・結晶を正方晶構造とすること が必要である。
本発明者らは、種々の元素を粒界に拡散させて粒界にお
ける欠陥を制御することにより、これらの要件が満たさ
れることを見出だし、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、基板上に設けられた第1の電極上
に強誘電体材料からなる強誘電体層を形成する工程と、
金属イオン供給層を該強誘電体層上に形成する工程と、
該金属イオン供給層内の金属イオンを該強誘電体層の強
誘電体材料粒子の粒界に拡散させる工程と、該金属イオ
ン供給層上に第2の電極を設ける工程とを具備すること
を特徴とする強誘電体薄膜の製造方法を提供する。
また、本発明は、基板上に設けられた第1の電極上に第
1の金属イオン供給層を形成する工程と、該第1の金属
イオン供給層上に強誘電体材料からなる強誘電体層を形
成する工程と、該強誘電体層上に第2の金属イオン供給
層を形成する工程と、該第1および第2の金属イオン供
給層内の金属イオンを該強誘電体層の強誘電体材料粒子
の粒界に拡散させる工程と、該第2の金属イオン供給層
上に第2の電極を設ける工程とを具備することを特徴と
する強誘電体薄膜の製造方法を提供する。
ここで、強誘電体材料には、(Pb1+α−X・AX)(Zr
1-Y-Z・TiYBZ)O3+βMeOδの一般式で表される化合物
が用いられる。ただし、式中α=0〜0.2、X=0〜0.
3、Y=0〜1.0、Z=0〜0.3、β=0〜0.5、δはMeの
価数で決定される数であって、AはCa、Sr、Baのうちい
ずれかのもの、BはHf、Snのうちいずれかのもの、Meは
La、Th、Y、Sm、Dy、Er、Ho、Tm、Yb、Ce、Bi、Sb、N
b、Ta、W、Mo、Cr、Co、Ni、Fe、Cu、Mn、Si、Ge、
B、U、Scのうちいずれかのものである。
強誘電体材料の組成を完全に化学量論的な組成にするこ
とは実際には非常に困難であるため、適宜添加物を加え
て強誘電体材料を化学量論的な組成にすることが好まし
い。例えば、PZTはイオン結晶であるので、化学量論的
な組成からわずかにずれても電荷のバランスが崩れてス
ペースチャージが発生する。このスペースチャージを補
償するために通常添加物を加える。
強誘電体材料の組成は、結晶構造が分極軸の数が少ない
正方晶になるように設定することが好ましい。これは、
分極軸の数が少ないと90°分域ができるのを抑えるから
である。特に、粒界近傍では、残留分極の値が大きいが
分極軸の数が多くなる。このため、粒界近傍の組成とは
まったく異なる組成にする必要がある。例えば、強誘電
体材料がPZTである場合、結晶構造が正方晶のみであるP
bTiO3に近くなるようにZr/Ti比を決定することが好まし
い。好ましくは、Zr/Ti比が40/60である。
本発明において強誘電体層中に拡散させる金属イオン
は、強誘電体材料の粒界または粒界近傍のみに充填させ
るようにする。この金属イオンが強誘電体材料の各サイ
ト内にまで拡散すると組成ずれが生じ、かえって空間電
荷電界を発生させてしまう。このため、拡散のための処
理は瞬時に行う必要がある。なお、金属イオンを強誘電
体層中に拡散させる処理としては、熱処理等が挙げられ
る。
強誘電体層を形成する方法としては、所望の組成になる
ように調整した強誘電体材料の前駆体溶液を調製し、そ
れをスピンコート法、ディップ法等の既知の方法で塗布
し、その後予備焼成および本焼成する方法等が挙げられ
る。この方法において、予備焼成の後の本焼成は、予備
焼成の後に続けて行ってもよいし、予備焼成の後に他の
層を設け、その後に行ってもよい。
また、強誘電体層の強誘電体材料に酸素欠陥を発生させ
ないためには、酸素ガス中で熱処理を行うか、酸化作用
の大きな化合物を添加物として用いることが好ましい。
金属イオン供給層を形成する方法としては、金属イオン
を含む水溶液またはアルコール溶液(アルコキシド)の
希釈溶液中に一定時間浸漬して、その後乾燥する方法
や、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング
等を用いる方法が挙げられる。
金属イオン供給層は、強誘電体層のいずれか一方の表面
上に形成してもよいし、強誘電体層の両面上に設けても
よい。
金属イオン層は、強誘電体層中に金属イオンを拡散させ
た後に除去されることが好ましい。これは、未除去層が
非強誘電体である場合が多いからである。
[作用] 本発明の強誘電体薄膜の製造方法によれば、強誘電体層
上に金属イオン供給層を設けて、金属イオンを強誘電体
層中に拡散させることにより、金属イオンを強誘電体材
料の粒界に充填させることができる。
このため、粒界に沿ってPbのような蒸気圧の高い構成元
素の拡散抜けを抑え、得られる強誘電体材料の組成ずれ
を防止することができる。これにより、間接的に、それ
自身が誘電体となり誘電損失を招くようなTiO2等の遊離
を防止することができる。
また、SiやB等の添加物を加え、強誘電体材料の前駆体
溶液を用いて液相焼結を行うことにより、粒子の形状お
よび粒径を均一化を図ることができ、またマイクロポ
ア、マイクロクラックの発生を防止することができる。
したがって、本発明の方法によれば、耐久性および残留
分極保持性に優れた強誘電体薄膜を得ることができる。
[実施例] 以下、本発明の実施例を図面を参照して具体的に説明す
る。
実施例1 第1図は本発明にかかる第1の実施例を示す工程図であ
る。この実施例は、Si基板上に設けられた電極上に一般
式(Pb1+α−X・AX)(Zr1-Y-Z・TiYBZ)O3+βMeO
δである強誘電体薄膜を形成し、その後、強誘電体材料
の粒界に拡散させる金属イオンを含む層を設けて、金属
イオンを粒界に拡散させる方法である。
まず、混合工程10において、酢酸鉛と鉛サイトを置換さ
せる金属(Me)の酢酸塩を混合し、この混合物1に対し
て2−メトキシエチルアルコール5を加えて、加熱しつ
つ攪拌して反応させた後、これを120℃まで加熱し、次
いで90℃まで冷却する。ここで、鉛サイトを置換させる
金属の酢酸塩の金属としては、Ba,Sr,Ca,Mg,La,Y,Th,S
m,Dy、Er,Ho,Tm,Yb,Ce,Bi,Sbが用いられる。この90℃に
保持されたアルコキシド溶液にM(OR)xアルコキド溶
液を混合してアルコキシド溶液を得た。ここで、Mに
は、Zr、TiまたはBサイトを置換させる元素であり、例
えば、W,Nb,Ta,Mo,Sbが用いられる。
例えば、一般式において、α=0.02、X=0、Y=0.
6、Z=0、β=0の場合、すなわち、Pb1.02(Zr0.4Ti
0.6)O3の薄膜を製造する場合は、酢酸鉛溶液を1.02モ
ル/l、M(OR)Xアルコキシド溶液としてZr(OR)4溶液
を0.4モル/lおよびTi(OR)4溶液を0.6モル/lを用い
る。
次いで、加水分解工程11において、水/PZTのモル比が1.
5、酢酸/PZTのモル比が10となるように、混合アルコキ
シド溶液に水および酢酸を加えて、加水分解および縮重
合させた。なお、PZTのモル数はPb,Zr,Tiのモル数を加
えたものである。このようにして、強誘電体前駆体溶液
を調製した。
第1の塗布工程12において、得られた前駆体溶液をPt電
極を設けた(100)Si基板上にスピンコート法により塗
布する。なお、Pt電極の形成は、(100)Si基板上に厚
さ数百ÅのTi薄膜を形成し、その上にスパッタリング法
等の既知方法によりPtを被着して行った。また、スピン
コートする際のスピナーの回転数は2000rpmとする。
次いで、第1の乾燥工程13において、150℃、10分間で
塗膜を乾燥した。
この塗布・乾燥を5回繰り返して厚さ0.5μmの強誘電
体前駆体層を形成した。
熱処理工程14において、強誘電体層を設けた基板をさや
に入れ密閉し、酸素雰囲気中で熱処理する。ここで、熱
処理条件は、一般式でX=Z=β=0の場合に550〜650
℃で1時間、X,Z,またはβが0でない場合に650〜750℃
で1時間であることが好ましい。これは、熱処理温度が
上記の温度以下であると強誘電体材料の結晶構造がパイ
ロクロア構造を含むことになり、良好な強誘電性を発揮
しないからである。
次いで、第2の塗布工程15において、強誘電体材料の粒
界に充填するための金属イオンを含む溶液をスピンコー
ト法により塗布する。スピンコートする際のスピナーの
回転数は4000〜5000rpmとする。これは、膜厚を小さく
するために溶液の粘度を低くしているからである。な
お、強誘電体材料の粒界に充填するための金属イオンを
含む溶液には、強誘電体層に含まれない金属のアルコキ
シド化合物またはその金属アルコキシドと強誘電体材料
の原料アルコキシドとの混合溶液が用いられる。アルコ
キシド化合物の他、そのような金属の炭酸塩水溶液、シ
ュウ酸塩水溶液等を用いることもできる。また、有機金
属化合物としては、アセチルアセトン金属塩を用いても
よい。金属としては、(La,Y,Th,Sm,Dy,Er,Ho,Tm,Yb,B
i,Sb)=A群、(Cr,Mn,Ni,Co,Fe,Cu,Sc,U)=B群、
(Si,Ge,B)=C群が用いられる。強誘電体材料にA群
の金属が含まれる場合、粒界に充填する金属はB群から
選び、強誘電体材料にB群の金属が含まれる場合、粒界
に充填する金属はA群から選ぶようにする。また、C群
の金属は、A,B群の金属に置き換えてもよいし、A,B群の
金属と併用してもよい。
次いで、第2の乾燥工程16において、150℃、60分間で
塗膜を乾燥し、金属イオン供給層を形成する。
次いで、瞬間熱処理工程に17において、金属イオン供給
層まで設けた基板に酸素ガス雰囲気中で400〜450℃、5
分以内の熱処理を施し、金属イオン供給層中の金属イオ
ンが拡散して強誘電体材料の粒界に充填される。なお、
この熱処理を5分以上施すと、金属イオンが粒界のみな
らず粒子内にも拡散するので好ましくない。
その後、必要に応じて未拡散の金属イオン供給層をエッ
チング等により除去する。
Pt電極形成工程18において、Ptを既知の方法により形成
して、強誘電体薄膜を製造する。
以上のような操作により、ベースとなる強誘電体材料お
よび粒界に充填させる添加物を種々変更してそれぞれの
耐久性を調べた(試料No.1〜30)。その結果を下記第1
表に示す。なお、耐久性は、第5図に示す4連パルスを
強誘電体薄膜に各回繰り返して送り、その時のスイッン
グ電流が初期値の1/2以下になったときの回数を調べる
ことにより行った。
第1表から明らかなように、本発明の方法により得られ
た強誘電体薄膜(試料No.3〜30)は、1012でもスイッチ
ング電流が1/2にならず、優れた耐久性を示した。特
に、試料No.24〜26,29,30の強誘電体薄膜は、1015回で
もスイッチング電流が1/2にならなかった。これに対し
て、強誘電体材料の粒界を充填しないもの(試料No.1お
よび2は)は、1012回もたずにスイッチング電流が1/2
になった。
実施例2 第2図は本発明にかかる第2図の実施例に示す工程図で
ある。実施例1と同じ操作の部分については、参照番号
を付すことにより説明を省略する。
本実施例においては、金属イオン供給層を形成する際
に、スピンコート法の代わりに真空蒸着法やスパッタリ
ング法等の被着方法を用いること、すなわち第2の塗布
工程15および第2の乾燥工程16の代わりに薄膜被着工程
20を用いること以外は実施例1と同様にして強誘電体薄
膜を製造する。
本方法においては、粒界に充填される金属イオンがすべ
て拡散されずに、一部強誘電体層表面に酸化物として残
存する場合がある。しかしながら、これにより強誘電体
薄膜の耐久性が特に悪くなることはないようであるが、
前記実施例と同様に必要に応じて強誘電体層上に残存し
た酸化物を除去することが好ましいことである。
以上のような操作により、スペースとなる強誘電体材料
および粒界に充填させる添加物を種々変更してそれぞれ
の耐久性を実施例1と同様にして調べた(試料No.31〜6
0)。その結果を下記第2表に示す。
第2表から明らかなように、本発明の方法により得られ
た強誘電体薄膜(試料No.33〜60)は、1012回でもスイ
ッチング電流が1/2にならず、優れた耐久性を示した。
特に、試料No.58〜60の強誘電体薄膜は、1015でもスイ
ッチング電流が1/2にならなかった。これに対して、強
誘電体材料の粒界を充填しないもの(試料No.1および
2)は、1012回もたずにスイッチング電流が1/2になっ
た。
実施例3 第3図は本発明にかかる第3の実施例を示す工程図であ
る。実施例1と同じ操作の部分については、参照番号を
付すことにより説明を省略する。
本実施例においては、金属イオン供給層を形成する際
に、強誘電体材料の粒界に充填するための金属イオンを
含む溶液をスピンコートする代わりにこの溶液に直接基
板を浸漬すること、すなわち第2の塗布工程15の代わり
に浸漬工程30を用いること以外は実施例1と同様にして
強誘電体薄膜を製造する。
この浸漬方法は、溶液濃度および浸漬時間を種々変更す
ることにより金属イオン供給層の形成を精密に制御する
ことができる。
例えば、Sm(CH3COO)33H2OおよびMn(CH3COO)2
H2Oの混合液に溶媒としてC3H7OHを加えた0.1モル/l溶
液に、基板をその液面に水平にゆっくり浸漬し、1時間
放置した後取り出す方法である。
以上のような操作により、ベースとなる強誘電体材料、
粒界に充填させる添加物、浸漬時間を種々変更してそれ
ぞれの耐久性を実施例1と同様にして調べた(試料No.6
1〜66)。その結果を下記第3表に示す。なお、試料No.
66は、基板上に設けられたPt電極上にPZT40/60+Sm+Mn
+Si溶液をスピンコートし、浸漬、乾燥、500℃程度の
予備焼成を順次施した後、PZT40/60溶液をスピンコート
し、乾燥、650〜700℃の熱処理を施し、その後、これを
PZT40/60+Sm+Mn+Si溶液に浸漬、乾燥し、500〜750℃
の熱処理を施して得たものである。
第3表から明らかなように、本発明の方法により得られ
た強誘電体薄膜(試料No.61〜66)は、1012回でもスイ
ッチング電流が1/2にならず、優れた耐久性を示した。
特に、試料No.63〜66の強誘電体薄膜は、1015でもスイ
ッチング電流が1/2にならなかった。
[発明の効果] 以上説明した如く本発明の強誘電体薄膜の製造方法は、
耐久性および残留分極保持性に優れた強誘電体薄膜を製
造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる第1の実施例を示す工程図、第
2図は本発明にかかる第2の実施例を示す工程図、第3
図は本発明にかかる第3の実施例を示す工程図、第4図
は従来の強誘電体メモリ素子の耐久性を示すグラフ、第
5図は4連パルスを示す説明図、第6図(A)は電圧未
印加状態におけるPZT強誘電体薄膜の一部の粒子内の分
極の様子を示した説明図、第6図(B)は電圧未印加状
態におけるPZT強誘電体薄膜内の一つの粒子内の分極の
様子を示した説明図である。 10……混合工程、11……加水分解工程、12……第1の塗
布工程、13……第1の乾燥工程、14……熱処理工程、15
……第2の塗布工程、16……第2の乾燥工程、17……瞬
間熱処理工程、18……Pt電極形成工程、20……薄膜被着
工程、30……浸漬工程。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 41/24

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に設けられた第1の電極上に強誘電
    体材料からなる強誘電体層を形成する工程と、金属イオ
    ン供給層を該強誘電体層上に形成する工程と、該金属イ
    オン供給層内の金属イオンを該強誘電体層の強誘電体材
    料粒子の粒界に拡散させる工程と、該金属イオン供給層
    上に第2の電極を設ける工程とを具備することを特徴と
    する強誘電体薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】基板上に設けられた第1の電極上に第1の
    金属イオン供給層を形成する工程と、該第1の金属イオ
    ン供給層上に強誘電体材料からなる強誘電体層を形成す
    る工程と、該強誘電体層上に第2の金属イオン供給層を
    形成する工程と、該第1および第2の金属イオン供給層
    内の金属イオンを該強誘電体層の強誘電体材料粒子の粒
    界に拡散させる工程と、該第2の金属イオン供給層上に
    第2の電極を設ける工程とを具備することを特徴とする
    強誘電体薄膜の製造方法。
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