JPH0693382A - クリープ破断延性のすぐれたNi−Crオーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents
クリープ破断延性のすぐれたNi−Crオーステナイト系ステンレス鋼Info
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- JPH0693382A JPH0693382A JP20581491A JP20581491A JPH0693382A JP H0693382 A JPH0693382 A JP H0693382A JP 20581491 A JP20581491 A JP 20581491A JP 20581491 A JP20581491 A JP 20581491A JP H0693382 A JPH0693382 A JP H0693382A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 各種高温機器の長寿命化を計るために、その
構造用に使用されるオーステナイト系ステンレス鋼のク
リープ破断延性を改善する。 【構成】 高温使用中のクリープ破断延性の低下は結晶
粒界への炭化物の析出による粒界脆化が原因である。そ
のため、クリープ破断延性の改善には鋼中のC量を低減
することが第一要件であるが、現在の工業レベルで、高
温機器の使用温度でのCの溶解度(数ppm)以下を達成す
ることは極めて困難である。そこで、炭化物の優先析出
場所となるδフェライトを導入することにより、高温使
用中にCをδフェライト部に吸収し、結果として粒界へ
の炭化物析出を抑制できることを見出した。本発明は強
化元素を析出型のCから固溶型のNに変更したNi−C
rオーステナイト系ステンレス鋼にδフェライトを適量
存在させることによりクリープ破断特性を改善した鋼材
を提供する。
構造用に使用されるオーステナイト系ステンレス鋼のク
リープ破断延性を改善する。 【構成】 高温使用中のクリープ破断延性の低下は結晶
粒界への炭化物の析出による粒界脆化が原因である。そ
のため、クリープ破断延性の改善には鋼中のC量を低減
することが第一要件であるが、現在の工業レベルで、高
温機器の使用温度でのCの溶解度(数ppm)以下を達成す
ることは極めて困難である。そこで、炭化物の優先析出
場所となるδフェライトを導入することにより、高温使
用中にCをδフェライト部に吸収し、結果として粒界へ
の炭化物析出を抑制できることを見出した。本発明は強
化元素を析出型のCから固溶型のNに変更したNi−C
rオーステナイト系ステンレス鋼にδフェライトを適量
存在させることによりクリープ破断特性を改善した鋼材
を提供する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はクリープ破断延性のすぐ
れたNi−Crオーステナイト系ステンレス鋼に関する
ものである。
れたNi−Crオーステナイト系ステンレス鋼に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】高速増殖炉を始めとする各種高温装置等
のクリープ領域で使用される高温構造物においては材料
のクリープ特性が重要視される。このような高温構造材
料としては、高温で長時間使用しても材質が安定してい
ることが必要となる。したがってこのような高温構造物
用材料としては、たとえばステンレス鋼便覧(昭和48
年8月30日発行)の173頁「2.5.7オーステナ
イトステンレス鋼」に示されているように、これまで主
としてオーステナイト系ステンレス鋼が使用されてい
る。しかしながらたとえば代表的なオーステナイト系ス
テンレス鋼であるSUS304鋼あるいはSUS316
鋼では高温使用中に結晶粒界への炭化物の析出を生じ、
クリープ破断延性およびクリープ破断強度の劣化等の材
質変化は避けられない。このような高温中での使用にと
もなう材質劣化は高温構造物の寿命に制限を加える要因
となる。
のクリープ領域で使用される高温構造物においては材料
のクリープ特性が重要視される。このような高温構造材
料としては、高温で長時間使用しても材質が安定してい
ることが必要となる。したがってこのような高温構造物
用材料としては、たとえばステンレス鋼便覧(昭和48
年8月30日発行)の173頁「2.5.7オーステナ
イトステンレス鋼」に示されているように、これまで主
としてオーステナイト系ステンレス鋼が使用されてい
る。しかしながらたとえば代表的なオーステナイト系ス
テンレス鋼であるSUS304鋼あるいはSUS316
鋼では高温使用中に結晶粒界への炭化物の析出を生じ、
クリープ破断延性およびクリープ破断強度の劣化等の材
質変化は避けられない。このような高温中での使用にと
もなう材質劣化は高温構造物の寿命に制限を加える要因
となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように従来鋼は、
高温で長時間使用中にクリープ破断延性、クリープ破断
強度が低下する傾向を示す。本発明は、このような従来
の問題点を解消すること、すなわち高温で長時間使用し
てもすぐれたクリープ破断延性、クリープ破断強度を示
すオーステナイト系ステンレス鋼を提供することを目的
とする。
高温で長時間使用中にクリープ破断延性、クリープ破断
強度が低下する傾向を示す。本発明は、このような従来
の問題点を解消すること、すなわち高温で長時間使用し
てもすぐれたクリープ破断延性、クリープ破断強度を示
すオーステナイト系ステンレス鋼を提供することを目的
とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記したクリープ破断延
性や強度の劣化する原因はたとえば、鋼中に存在するC
が高温での使用中に結晶粒界および粒内に炭化物として
析出・粗大化することに関係している。すなわち、粒界
に析出する炭化物は粒界脆化を引き起こし、延性低下あ
るいはクリープ破断強化の劣化原因となることが知らさ
れている。このためC量を低減し高温使用中における炭
化物の析出を制御することが行われている。しかしなが
ら、ステンレス鋼の低C化には限界があり、VOD等の
真空精錬技術の発達によりC量は大幅に低減されてきた
ものの、たとえば数ppm と言われる600℃におけるC
の溶解度以下にすることは困難である。なお、EB溶解
等の手段により極低C化することはできるが著しく高い
費用を要することから実用に供しえない。
性や強度の劣化する原因はたとえば、鋼中に存在するC
が高温での使用中に結晶粒界および粒内に炭化物として
析出・粗大化することに関係している。すなわち、粒界
に析出する炭化物は粒界脆化を引き起こし、延性低下あ
るいはクリープ破断強化の劣化原因となることが知らさ
れている。このためC量を低減し高温使用中における炭
化物の析出を制御することが行われている。しかしなが
ら、ステンレス鋼の低C化には限界があり、VOD等の
真空精錬技術の発達によりC量は大幅に低減されてきた
ものの、たとえば数ppm と言われる600℃におけるC
の溶解度以下にすることは困難である。なお、EB溶解
等の手段により極低C化することはできるが著しく高い
費用を要することから実用に供しえない。
【0005】本発明者等はC量が0.03%以下の低C
系のNi−Crオーステナイト鋼のクリープ破断試験材
の微細組織観察を行うことにより、図1に示すように微
量のδフェライトが存在する場合には結晶粒界への炭化
物の析出量が少ないことを見出した。すなわち、δフェ
ライトを1.6%含む材料を550℃でクリープ破断試
験を行い6520時間で破断した試料においては、炭化
物は主としてδフェライト中に析出し結晶粒界への炭化
物の析出はわずかである(図1〔a〕参照)。これに対
し、δフェライトを含有しない材料を同様の試験を行
い、6981時間で破断した試料には結晶粒界にかなり
の量の炭化物が析出している(図1〔b〕)参照)。こ
れは炭化物形成元素であるCrあるいはMoの濃度の高
いδフェライトに優先的に炭化物が析出するためと考え
られ、結果として粒界への炭化物析出が減少することに
なる。したがって、鋼中に適量のδフェライトを残留さ
せることにより高温使用中の粒界への炭化物析出を制御
できると言う全く新しい知見を得るに至った。
系のNi−Crオーステナイト鋼のクリープ破断試験材
の微細組織観察を行うことにより、図1に示すように微
量のδフェライトが存在する場合には結晶粒界への炭化
物の析出量が少ないことを見出した。すなわち、δフェ
ライトを1.6%含む材料を550℃でクリープ破断試
験を行い6520時間で破断した試料においては、炭化
物は主としてδフェライト中に析出し結晶粒界への炭化
物の析出はわずかである(図1〔a〕参照)。これに対
し、δフェライトを含有しない材料を同様の試験を行
い、6981時間で破断した試料には結晶粒界にかなり
の量の炭化物が析出している(図1〔b〕)参照)。こ
れは炭化物形成元素であるCrあるいはMoの濃度の高
いδフェライトに優先的に炭化物が析出するためと考え
られ、結果として粒界への炭化物析出が減少することに
なる。したがって、鋼中に適量のδフェライトを残留さ
せることにより高温使用中の粒界への炭化物析出を制御
できると言う全く新しい知見を得るに至った。
【0006】本発明は以上のような知見に基づいてなさ
れたものであって、その要旨とする所は、重量%でC
0.030%以下、Si3.0%以下、Mn3.0%以
下、P0.01〜0.08%、Al0.06%以下、N
0.15%以下、Ni6〜16%、Cr15〜22%を
含有し、かつδフェライトを容積%で0.2〜5.0%
含有すること、又は、上記各元素に、さらに重量%でM
o3.0%以下、W5.0%以下のいずれかあるいは双
方を含有せしめ、残部がFeおよび不可避不純物からな
るクリープ破断延性のすぐれたNi−Crオーステナイ
ト系ステンレス鋼にある。以下に本発明を詳細に説明す
る。
れたものであって、その要旨とする所は、重量%でC
0.030%以下、Si3.0%以下、Mn3.0%以
下、P0.01〜0.08%、Al0.06%以下、N
0.15%以下、Ni6〜16%、Cr15〜22%を
含有し、かつδフェライトを容積%で0.2〜5.0%
含有すること、又は、上記各元素に、さらに重量%でM
o3.0%以下、W5.0%以下のいずれかあるいは双
方を含有せしめ、残部がFeおよび不可避不純物からな
るクリープ破断延性のすぐれたNi−Crオーステナイ
ト系ステンレス鋼にある。以下に本発明を詳細に説明す
る。
【0007】
【作用】先ず本発明の成分系において、Cは高温使用中
に結晶粒界に炭化物として析出するため高温長時間使用
後のクリープ破断特性などの高温の機械的性質を損なう
元素でもある。このような観点からC量は0.030以
下と定めた。次にSiおよびMnはいずれも脱酸材とし
て必要であるが、3.0%を超えて過剰に存在すると熱
間加工性を損なうことからいずれも3.0%以下とし
た。Pは高温保持中にリン化物として結晶粒内に析出し
強化作用を有し、さらに結晶粒界を強化する作用もある
ことから、とくにクリープ破断特性の点から効果的な元
素であるが、その効果は0.01%より生じることから
下限を0.01%とした。しかし過剰の添加は溶接性お
よび熱間加工性を著しく損なうことから、その上限を
0.08%とした。
に結晶粒界に炭化物として析出するため高温長時間使用
後のクリープ破断特性などの高温の機械的性質を損なう
元素でもある。このような観点からC量は0.030以
下と定めた。次にSiおよびMnはいずれも脱酸材とし
て必要であるが、3.0%を超えて過剰に存在すると熱
間加工性を損なうことからいずれも3.0%以下とし
た。Pは高温保持中にリン化物として結晶粒内に析出し
強化作用を有し、さらに結晶粒界を強化する作用もある
ことから、とくにクリープ破断特性の点から効果的な元
素であるが、その効果は0.01%より生じることから
下限を0.01%とした。しかし過剰の添加は溶接性お
よび熱間加工性を著しく損なうことから、その上限を
0.08%とした。
【0008】Niはオーステナイト生成元素として必須
の元素であり、そのため6%以上を必要とするが16%
超の添加は後述するCr量の範囲との関連においてδフ
ェライトを導入できなくなるため上限を16%とした。
またCrは耐酸化性を向上させる元素であり、そのため
には15%以上を必要とするが、22%を超えると高温
長時間加熱による脆化が生じることから上限を22%と
した。Alは脱酸に使用する元素であるが、0.06%
を超えると高温長時間加熱中にAlNの析出を引き起こ
し、延性を低下させることから上限を0.06%とし
た。NはCとともにオーステナイト系ステンレス鋼の強
化元素である。NはCに比べ溶解度が大きいことから、
高温保持中に固溶状態で安定して存在できる。したがっ
て、Nを溶解度の範囲内で使用すれば、高温長時間使用
中も安定した強化作用が期待でき、かつ窒化物による粒
界脆化等も生じないことになる。構造材料のような観点
からN量の上限を0.15%とした。なお下限を設けな
い理由は、用途に応じてN量により強度を制御するため
であるが、通常の工業規模溶製でのレベル0.01%が
強いて言えば下限となる。
の元素であり、そのため6%以上を必要とするが16%
超の添加は後述するCr量の範囲との関連においてδフ
ェライトを導入できなくなるため上限を16%とした。
またCrは耐酸化性を向上させる元素であり、そのため
には15%以上を必要とするが、22%を超えると高温
長時間加熱による脆化が生じることから上限を22%と
した。Alは脱酸に使用する元素であるが、0.06%
を超えると高温長時間加熱中にAlNの析出を引き起こ
し、延性を低下させることから上限を0.06%とし
た。NはCとともにオーステナイト系ステンレス鋼の強
化元素である。NはCに比べ溶解度が大きいことから、
高温保持中に固溶状態で安定して存在できる。したがっ
て、Nを溶解度の範囲内で使用すれば、高温長時間使用
中も安定した強化作用が期待でき、かつ窒化物による粒
界脆化等も生じないことになる。構造材料のような観点
からN量の上限を0.15%とした。なお下限を設けな
い理由は、用途に応じてN量により強度を制御するため
であるが、通常の工業規模溶製でのレベル0.01%が
強いて言えば下限となる。
【0009】δフェライトは先にも述べたように炭化物
の優先析出場所となり、結果として結晶粒界への炭化物
の析出を制御する組織因子である。図2は0.01%の
Cおよび0.07%のNを含有するNi−Crオーステ
ナイト系ステンレス鋼のクリープ破断特性におよぼすδ
フェライト量の影響を示したものである。すなわち、δ
フェライト量の増加とともにクリープ破断特性(伸び)
が向上し、ほぼ5%程度で伸びの向上が飽和することが
わかる。一方、クリープ破断強度はδフェライト量の増
加とともにやや低下するが、この低下傾向は5%を超え
ると著しくなる。このようにδフェライトは炭化物の粒
界析出を制御することによりクリープ破断延性の向上に
有効となるが、その効果を得るためには0.2%以上必
要であるため下限を0.2%とした。一方、δフェライ
トによるクリープ破断延性の改善効果は約5%で飽和
し、またこれ以上の存在はδフェライトのクリープ抵抗
が小さいためクリープ破断強度を大きく低下させること
から5%を上限値とした。なお、δフェライト量はN
i,Crを始めとする化学成分の調整および加熱、圧延
条件により制御するものである。
の優先析出場所となり、結果として結晶粒界への炭化物
の析出を制御する組織因子である。図2は0.01%の
Cおよび0.07%のNを含有するNi−Crオーステ
ナイト系ステンレス鋼のクリープ破断特性におよぼすδ
フェライト量の影響を示したものである。すなわち、δ
フェライト量の増加とともにクリープ破断特性(伸び)
が向上し、ほぼ5%程度で伸びの向上が飽和することが
わかる。一方、クリープ破断強度はδフェライト量の増
加とともにやや低下するが、この低下傾向は5%を超え
ると著しくなる。このようにδフェライトは炭化物の粒
界析出を制御することによりクリープ破断延性の向上に
有効となるが、その効果を得るためには0.2%以上必
要であるため下限を0.2%とした。一方、δフェライ
トによるクリープ破断延性の改善効果は約5%で飽和
し、またこれ以上の存在はδフェライトのクリープ抵抗
が小さいためクリープ破断強度を大きく低下させること
から5%を上限値とした。なお、δフェライト量はN
i,Crを始めとする化学成分の調整および加熱、圧延
条件により制御するものである。
【0010】以上が本発明における基本成分系並びに金
属組織条件であるが、本発明においてはさらに高強度化
を計るためMoあるいは/およびWを所定の範囲で含有
せしめることが有効である。Moは固溶強化作用のある
元素でありクリープ破断強度を高める元素であるが、
3.0%を超えて添加すると熱間変形抵抗を高めるため
圧延あるいは鍛造が困難になる。したがって含有量は
3.0%以下とした。WもMoと同様の固溶強化元素で
あるが、5.0%を超えて添加すると熱間変形抵抗を高
めるため圧延あるいは鍛造が困難になることから、含有
量は5.0%以下とした。
属組織条件であるが、本発明においてはさらに高強度化
を計るためMoあるいは/およびWを所定の範囲で含有
せしめることが有効である。Moは固溶強化作用のある
元素でありクリープ破断強度を高める元素であるが、
3.0%を超えて添加すると熱間変形抵抗を高めるため
圧延あるいは鍛造が困難になる。したがって含有量は
3.0%以下とした。WもMoと同様の固溶強化元素で
あるが、5.0%を超えて添加すると熱間変形抵抗を高
めるため圧延あるいは鍛造が困難になることから、含有
量は5.0%以下とした。
【0011】以上の如き成分組成を有する本発明鋼は、
各種電気炉等による製鋼を行った後、通常の造塊あるい
は連続鋳造により鋼塊あるいは鋼片とし、ついで圧延あ
るいは鍛造により各種形状の鋼材として使用に供される
ものである。以下に本発明の効果を実施例に基づいてさ
らに具体的に示す。
各種電気炉等による製鋼を行った後、通常の造塊あるい
は連続鋳造により鋼塊あるいは鋼片とし、ついで圧延あ
るいは鍛造により各種形状の鋼材として使用に供される
ものである。以下に本発明の効果を実施例に基づいてさ
らに具体的に示す。
【0012】
【実施例】表1に本発明鋼と比較鋼の化学成分を示す。
これらの試料から平行部直径:6mm、票点間距離:30
mmの引張試験片およびクリープ破断試験片を採取し、5
50℃で試験した。表2はこれらの試験結果、すなわ
ち、550℃の引張特性および550℃−1000時間
と5000時間のクリープ破断延性を示したものであ
る。これら特性調査結果から明らかなように、本発明鋼
は比較鋼に比べ高温長時間使用後のクリープ破断延性が
すぐれたものである。これに対し、比較鋼においては、
たとえば合金番号9はδフェライト量が多いためN量が
高いにもかかわらずクリープ破断強度が低く、合金番号
10はC量が多いためクリープ破断延性が低く、また、
合金番号11はδフェライトを含まないためクリープ破
断延性が低い。
これらの試料から平行部直径:6mm、票点間距離:30
mmの引張試験片およびクリープ破断試験片を採取し、5
50℃で試験した。表2はこれらの試験結果、すなわ
ち、550℃の引張特性および550℃−1000時間
と5000時間のクリープ破断延性を示したものであ
る。これら特性調査結果から明らかなように、本発明鋼
は比較鋼に比べ高温長時間使用後のクリープ破断延性が
すぐれたものである。これに対し、比較鋼においては、
たとえば合金番号9はδフェライト量が多いためN量が
高いにもかかわらずクリープ破断強度が低く、合金番号
10はC量が多いためクリープ破断延性が低く、また、
合金番号11はδフェライトを含まないためクリープ破
断延性が低い。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【発明の効果】以上述べた如く本発明鋼は、δフェライ
トの導入により高温長時間使用後もすぐれたクリープ破
断延性等の高温特性を有する材料となっており、クリー
プ領域で使用される高温構造材料として工業的に極めて
有効なものである。
トの導入により高温長時間使用後もすぐれたクリープ破
断延性等の高温特性を有する材料となっており、クリー
プ領域で使用される高温構造材料として工業的に極めて
有効なものである。
【図1】(a)、(b)は高温クリープ中の結晶粒界へ
の炭化物析出におよぼすδフェライトの影響を示す金属
組織図。
の炭化物析出におよぼすδフェライトの影響を示す金属
組織図。
【図2】δフェライト量のクリープ破断特性におよぼす
影響を示す図。
影響を示す図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小松 肇 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新日 本製鐵株式会社先端技術研究所内 (72)発明者 田下 正宜 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 西田 隆 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 岡田 敬三 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.030%以下、 Si:3.0%以下、 Mn:3.0%以下、 P :0.01〜0.08%、 Al:0.06%以下、 N :0.15%以下、 Ni:6〜16%、 Cr:15〜22% を含有し、残部は実質的にFeからなり、かつδフェラ
イトを容積%で0.2〜5.0%含有するクリープ破断
延性のすぐれたNi−Crオーステナイト系ステンレス
鋼。 - 【請求項2】 重量%で、 C :0.030%以下、 Si:3.0%以下、 Mn:3.0%以下、 P :0.01〜0.08%、 Al:0.06%以下、 N :0.15%以下、 Ni:6〜16%、 Cr:15〜22%を含有し、 さらに Mo:3.0%以下、 W :5.0%以下のいずれかあるいは双方 を含有し、残部は実質的にFeからなり、かつδフェラ
イトを容積%で0.2〜5.0%含有するクリープ破断
延性のすぐれたNi−Crオーステナイト系ステンレス
鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20581491A JPH0693382A (ja) | 1991-08-16 | 1991-08-16 | クリープ破断延性のすぐれたNi−Crオーステナイト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20581491A JPH0693382A (ja) | 1991-08-16 | 1991-08-16 | クリープ破断延性のすぐれたNi−Crオーステナイト系ステンレス鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0693382A true JPH0693382A (ja) | 1994-04-05 |
Family
ID=16513144
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20581491A Withdrawn JPH0693382A (ja) | 1991-08-16 | 1991-08-16 | クリープ破断延性のすぐれたNi−Crオーステナイト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0693382A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006016010A1 (fr) * | 2004-07-08 | 2006-02-16 | Ugine & Alz France | Composition d'acier inoxydable austenitique et son utilisation pour la fabrication de pieces de structure de moyens de transport terrestres et de containers |
-
1991
- 1991-08-16 JP JP20581491A patent/JPH0693382A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006016010A1 (fr) * | 2004-07-08 | 2006-02-16 | Ugine & Alz France | Composition d'acier inoxydable austenitique et son utilisation pour la fabrication de pieces de structure de moyens de transport terrestres et de containers |
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