JPH069144Y2 - 目地カバー装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は隣接する建築構造物の目地部を覆う目地カバー
装置の改良に関する。

〈従来技術〉 この種の目地カバー装置として、夫々の建築構造物に基
部が固定された単純構成になるものがあるが、かかる構
成によると、地震や暴風雨によって建築構造物相互が上
下、左右及び前後方向に揺れると、これに伴って前記目
地カバー装置の取付基部に亀裂を生じ、場合によっては
建築構造物壁面を損傷させることがある。また前記建築
構造物の壁面相互は必ずしも同一平面上又は、整一に直
交した関係になっていない場合がある。

そこで、これに対応するものとして実開昭60-11911号に
おいて前記の建築構造物間の相対揺動を吸収し、前記欠
点を除去した目地カバー装置が考案された。

このものは、建築構造物ｘ，ｘ間の目地ｙを覆うもので
あり、隣接する建築構造物の、平行な両壁面に、夫々固
定される支持部材間に板ばねを配設し、その板ばねの中
央部に、両壁面間の目地を覆うカバー板を連結し、該板
ばねの作用により、建築構造物相互の移動に、カバー板
を追従させるものである。

一方、板ばねに代えて発条を用いるようにしたものも実
開昭62-27911号及び特開昭62-148741号で提案されてい
る。

〈考案が解決しようとする問題点〉 ところで、上述の従来構成は、いずれも、各部材を順
次、現場作業で固定するものであり、まとまりがなく、
施工が面倒であるという問題点があった。

またその追従性にあっても、隣接する建築構造物が目地
に沿って相対移動した場合には、充分に対応することが
できないという問題点があった。

本考案は、建築構造物相互の三次元方向への相対移動を
可能として、地震や暴風雨により建築構造物間が相対揺
動してもこれを吸収し、かつ建築構造部の壁面相互の関
係がいびつになっていても目地を整一に覆うことができ
るとともに、施工が容易な目地カバー装置の提供を目的
とするものである。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案は、目地を介して隣接する建築構造物の平行な両
壁面に、内外いずれかの方向に開口する嵌着溝が形成さ
れた固定体を夫々固結し、 一方の固定体の嵌着溝に固定的に密嵌する嵌入部を備え
た連結支持片と、他方の固定体の嵌着溝に相対摺動可能
に遊嵌する嵌入部を備えた連結支持片とを左右に配設
し、かつ左右の連結支持片対に連結杆を遊挿して差し渡
し、該連結杆の両端に取付舌片を固着すると共に、連結
杆に、該連結杆を連結支持片に対して内外いずれかの方
向へ付勢する位置保持用発条を付装することにより保持
装置を構成し、 該保持装置を、連結支持片対を固定体対に適宜間隔で取
付けて配設し、各保持装置上にカバー板を被着して、両
端部の内側を前記取付舌片に固定したことを特徴とする
目地カバー装置である。

〈作用〉 上述のように、保持装置はユニット化され、あらかじめ
組み付けられている。

そこで該目地カバー装置を取付けるには固定体対を建築
構造物の平行な両壁面に固定し、該固定体対に適宜間隔
で保持装置を固定する。このとき、該保持装置の一方の
嵌入部は一方の固定体に対して固定され、他方の嵌入部
は他方の固定体に対して、目地方向に沿って摺動可能と
なる。そして、この保持装置上にカバー板を被着し、取
付舌片に固定することにより、組み付けが完了する。

かかる組み付け状態にあって、カバー板は連結杆の両端
に固定され、該連結杆を介して連結支持片、すなわち固
定体側に保持される。このとき、連結杆に付装した位置
保持用発条により、カバー板は両側外方へ付勢又は中心
方向へ付勢されるため、両側の付勢力の均衡により、固
定体対に対して常に中央位置に保持されることとなる。

そして隣接する建築構造物が目地に沿って相対移動した
場合には、一方の固定体に嵌入部が摺動可能に連結され
ているため、保持装置及びカバー板がその一方の固定体
に対して摺動し、その相対移動を無理なく許容すること
となる。

かかる構成にあって、隣接する建築構造物が隣接方向へ
相対移動した場合には、カバー板は、連結杆が連結支持
片により該壁面に沿って摺動可能に支持されているた
め、該壁面に沿った移動が可能とされている。

また両壁面連結杆に付装した位置保持用発条により、両
側外方へ付勢又は中心方向へ付勢される。このため、連
結杆は、該発条作用により、連結支持片に対して左右均
等位置に付勢され、従って、カバー板は、目地の両側
で、該建物が左右方向に相対移動した場合においても、
均等に覆うこととなる。

さらには、建築構造物が、前後方向に移動した場合に
は、連結杆が連結支持片に対して傾動して、カバー板を
傾斜させ、これにより建築構造物の前後方向移動にも追
従しうることとなる。

〈実施例〉 本考案の実施例を添付図面について説明する。

第１，２図は本考案の目地カバー装置の第一実施例を示
し、並列する建築構造物ｘ，ｘの側壁面ｚ，ｚに適用し
たものであり、固定体１ａ，１ｂに保持装置１０を取付
け、さらに該保持装置１０にカバー板２０を被着して構
成される。その各構成を詳述する。

固定体１ａ，１ｂは、左右の建築構造物ｘ，ｘの角部の
側壁面ｚに固結されるものであって、Ｌ形の長尺状をし
ており、当接基部２に幅方向に長い長孔３が形成され、
該長孔３から側壁面ｚ，ｚに埋設された固結プラグ４に
固定螺子５を螺合することにより、該角部に沿って固定
される。その固定体１ａ，１ｂの当接基部２には、Ｔ形
片が立設され、内側には外方へ開口する嵌着溝７，７が
形成され、外側には同じく嵌着溝８，８が形成される。
前記嵌着溝７，７の上下内面には、鋸歯状面が形成さ
れ、可撓性止水板９の両端に形成した嵌着片９ａ，９ｂ
を嵌着保持し得るようにしている。

次に保持装置１０の構成を説明する。

この保持装置１０は、左右の連結支持片１１ａ，１１ｂ
に連結杆１５，１５を遊挿して差し渡し、該連結杆１
５，１５の両端に取付舌片１７，１７を固着し、該連結
支持片１１１，１１ｂと取付舌片１７，１７間で連結杆
１５，１５に位置保持用突条１８，１８を付装して、一
体化した構成になる。

すなわち短尺状の連結支持片１１ａ，１１ｂの基部外端
には、嵌着溝８，８に嵌入するＬ形嵌入部１２ａ，１２
ｂが形成され、一方の連結支持片１１ａのＬ形嵌入部１
２ａは、くさび状とし、嵌着溝８内に叩き込むことによ
り脱出不能として、固結されるようにしている。また、
他方のＬ形嵌入部１２ｂは、嵌着溝８内で摺動可能とし
ている。そしてこれにより、建築構造物ｘ，ｘが上下方
向に移動した場合に、このＬ形嵌入部１２ｂが固定体１
ｂに対して摺動することにより、その追従を可能として
いる。

この連結支持片１１ａ，１１ｂは、第１，２図に示すよ
うに、建築構造物ｘ，ｘに対して垂直方向に前方に突出
し、その突出端に透孔１３が形成されている。そして、
該透孔１３には円弧面を有するブッシュ１４が嵌着さ
れ、両連結支持片１１ａ，１１ｂのブッシュ１４に上下
二本の連結杆１５，１５が挿通され、円弧面により線接
触保持が成されている。

そして、連結杆１５，１５の両端に設けられた螺子頭部
１６，１６には、取付舌片１７，１７が配設されると共
に、該取付舌片１７，１７と、連結支持片１１ａ，１１
ｂ間で、位置保持用発条１８，１８が付装される。

かかる構成により、連結支持片１１ａ，１１ｂ及び上下
二本の連結杆１５，１５は一体化され、ユニット化され
た保持装置１０が構成される。この保持装置１０は、上
述した手段により固定体１ａ，１ｂに所定間隔毎に配設
される。

目地ｙを覆う長尺状カバー板２０には、その両端を内側
に直角状に屈曲して側片２１，２１が形成され、該側片
２１，２１の先端にはコ字状のパッキン保持筐２２が形
成されている。そして、該パッキン保持筐２２，２２に
は、ゴムパッキン２３，２３が嵌着される。

このカバー板２０は、連結杆１５，１５上に被着され、
パッキン保持筐２２，２２の内面に、前記連結杆１５，
１５の取付舌片１７，１７の端部を溶接固定され、これ
により、連結杆１５，１５と一体化され、ゴムパッキン
２３，２３を建築構造物ｘ，ｘの側壁面ｚ，ｚに当接す
る。

而して、該カバー板２０の内部において、連結支持片１
１ａ，１１ｂに挿通した連結杆１５，１５が差し渡し状
に固定される。

この取付け状態において、カバー板２０は、連結杆１
５，１５に付装した発条１８，１８により、連結支持片
１１ａ，１１ｂに対して外方へ付勢される。そして、こ
の付勢力は均等であるから、結局、前記カバー板２０は
連結支持片１１ａ，１１ｂに対して左右均等状に保持さ
れることとなる。またカバー板２０の両端に形成された
ゴムパッキン２３は夫々側壁面ｚ，ｚに当接する。

かかる構成にあって、地震や暴風雨等によって建築構造
物ｘ，ｘが左右方向（Ｘ方向）に相対移動すると、該建
築構造物ｘ，ｘに固定された連結支持片１１ａ，１１ｂ
の間隔が変動する。ところが連結杆１５，１５の両端部
には発条１８，１８が付装されているから、該連結支持
片１１ａ，１１ｂを基準として連結杆１５，１５の螺子
頭部１６，１６を左右均等な力で外方付勢し、而して、
該連結杆１５，１５は連結支持片１１ａ，１１ｂに対し
て左右均等位置に保持される。このため、カバー板２０
は建築構造物ｘ，ｘが相対移動しても、目地ｙの中心に
対応した位置に設定維持される。

また建築構造物ｘ，ｘが相対的に前後方向移動（Ｙ方
向）すると、ブッシュ１４の内面に線接触支持されなが
ら連結杆１５，１５が傾動し、該建築構造物ｘ，ｘの移
動に追従することができる。

さらにまた建築構造物ｘ，ｘが上下方向（Ｚ方向）に相
対移動した場合にあっても、Ｌ形嵌入部１２ｂが固定体
１ｂの嵌着溝８内を摺動することにより、追従するよう
にしている。

而して、上述の構成にあってはカバー板２０は、建築構
造物ｘ，ｘのＸ，Ｙ，Ｚ方向（第１，２図参照）の移動
に追従することとなる。

第３図は、並列する建築構造物ｘ，ｘの側壁面ｚ，ｚに
適用した本考案の第二実施例であって、前記カバー板２
０の付勢方向を内方中心に向けたものである。すなわ
ち、一体に組み付けられた保持装置１０の連結杆１５，
１５の中心に鍔３０を形成し、連結杆１５，１５に、鍔
３０と連結支持片３１ａ，３１ａとの間に発条３８，３
８を付装したものである。

かかる構成にあっては、連結杆１５，１５の鍔３０は、
発条３８，３８により、連結支持片３１ａ，３１ｂの中
心位置に付勢される。このためカバー板２０は、連結支
持片３１ａ，３１ｂに対して左右対称位置に保持され、
第一実施例の発条１８，１８と同様の作用を生じること
となる。

またこの構成にあって、固体体１ａ，１ｂ上にはＦ形片
が連設され、その内側に、可撓性止水板９の両端の嵌着
片９ａ，９ａが嵌着する嵌着溝３７と、連結支持片３
１，３１ｂのＬ形嵌入部３４ａ，３４ｂが嵌入する嵌着
溝３６とが前後に設けられる。

前記Ｌ形嵌入部３４ａ，３４ｂは、上述の第一実施例と
異なり、外方に向けて形成され、一方の連結支持片３１
ａのＬ形嵌入部３４ａは、くさび状とし、嵌着溝３８内
に叩き込むことにより脱出可能としている。また他方の
連結支持片３１ｂのＬ形嵌入部３４ｂは、嵌着溝３６内
で摺動可能としている。

その他の作用及び構成は第一実施例と同様であるから、
その説明を省略する。

第４図は、並列する建築構造物ｘ，ｘの屋上壁ｔ，ｔに
適用した本考案の第三実施例であって、カバー板４０を
断面山形状とし、建築構造物ｘ，ｘを左右外方で覆うよ
うに幅広として、側片４１，４１を建築構造物ｘ，ｘの
外側に垂下させ、水切り作用をも生じさせている。そし
て該側片４１の内端を、保持装置１０の連結杆１５，１
５の両端に設けられた取付舌片１７，１７に固結してい
る。

その他の構成は第二実施例と同じであり、図面に同一符
号を付してその説明を省略する。尚、当然ながらこの構
造にあっても、第一実施例と同じく、発条を取付舌片１
７，１７間に付装し、左右外方付勢により、カバー板４
０の位置決めを施すようにしても良い。

〈考案の効果〉 本考案は上述の説明によって明らかにしたように、左右
の連結支持片１１ａ，１１ｂに連結杆１５，１５を遊挿
して差し渡し、該連結杆１５，１５の両端に取付舌片１
７，１７を固着し、該連結支持片１１ａ，１１ｂ、３１
ａ，３１ｂと取付舌片１７，１７間で連結杆１５，１５
に位置保持用突条１８，１８、３８，３８を付装して、
一体化した保持装置１０を建築構造物ｘ，ｘに固定され
る固定体１ａ，１ｂに取付け、さらにカバー板２０を被
着してなり、連結杆１５，１５に付装した発条１８，１
８，３８，３８によりカバー板２０を左右均等位置に保
持するようにしたから、建築構造物ｘ，ｘが前後方向に
移動しても、カバー板２０は目地を常に常に左右均等に
覆うことができ、整一な被覆状態を維持しうる。

また隣接する建築構造物ｘ，ｘが目地に沿って相対移動
した場合には、一方の固定体１ｂに嵌入部１２ｂが摺動
可能に連結されているため、保持装置１０及びカバー板
２０がその一方の固定体１ｂに対して摺動し、その相対
移動を無理なく許容することとなる。隣接する建築構造
物ｘ，ｘが隣接方向へ相対移動した場合には、カバー板
２０は、連結杆１５，１５が連結支持片１１ａ，１１
ｂ、３１ａ，３１ｂにより摺動可能に支持されているた
め、該移動が可能とされる。建築構造物ｘ，ｘが、前後
方向に移動した場合には、連結杆１５，１５が連結支持
片１１ａ，１１ｂ、３１ａ，３１ｂに対して傾動して、
カバー板２０を傾斜させ、これにより該移動にも追従し
うることとなる。このため、建築構造物ｘ，ｘが三次元
方向へ相対移動した場合にこれに追従して、目地を整一
に覆い得ることとなる。

また上述のように、保持装置１０はユニット化され、あ
らかじめ組み付けられているため、施工現場では、固定
体１ａ，１ｂと、保持装置１０と、カバー板２０とを順
に取付ければよいから、まとまりが良く、施工を容易に
行ない得る、等の優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１，２図は本考案の第一実施例を示し、第１図は横断
平面図、第２図は分離斜視図、第３図は第二実施例の横
断平面図、第４図は第三実施例の縦断側面図である。 １ａ，１ｂ……固定体 ８，８、３８，３８……嵌着溝 １０……保持装置 １１ａ，１１ｂ、３１ａ，３１ｂ……連結支持片 １２ａ，１２ｂ，３４ａ，３４ｂ……Ｌ形嵌入部 １５，１５……連結杆 ２０，４０……カバー板 １８，１８，３８，３８……発条

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】目地を介して隣接する建築構造物の平行な
   両壁面に、内外いずれかの方向に開口する嵌着溝が形成
   された固定体を夫々固結し、 一方の固定体の嵌着溝に固定的に密嵌する嵌入部を備え
   た連結支持片と、他方の固定体の嵌着溝に相対摺動可能
   に遊嵌する嵌入部を備えた連結支持片とを左右に配設
   し、かつ左右の連結支持片対に連結杆を遊挿して差し渡
   し、該連結杆の両端に取付舌片を固着すると共に、連結
   杆に、該連結杆を連結支持片に対して内外いずれかの方
   向へ付勢する位置保持用発条を付装することにより保持
   装置を構成し、 該保持装置を、連結支持片対を固定体対に適宜間隔で取
   付けて配設し、各保持装置上にカバー板を被着して、両
   端部の内側を前記取付舌片に固定したことを特徴とする
   目地カバー装置。