JPH0681898B2 - エンジン冷却装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、例えばスクータ等のようにエンジンを車体カ
バーによって覆ったタイプの車両に適用されるエンジン
冷却装置に関する。

（従来の技術） 周知の如く、スクータ等のように車体カバー（リヤカバ
ー）で覆われた空間内に搭載されるエンジンにおいて
は、走行風のみで冷却することが困難であるため、その
エンジンを水冷式にすると共に、加熱されたエンジン冷
却水を外気と熱交換して冷却するラジエータを設けるこ
とが一般的である。

ところで、ラジエータにおいては、その通水路を流れる
冷却水と、その通風路に導入される冷風との間で熱交換
で行なわれるが、該ラジエータの通風路への冷風の導入
を自然通風によるのではなく、冷却ファンによって強制
的に行なうようにしたエンジン冷却装置を本出願人は先
に提案した（実開昭59-45176号公報）。その構造を第４
図に示す。同図中、01はエンジンで、その出力軸09の端
部には冷却ファン019が取り付けられている。該冷却フ
ァン019はリヤカバー02との間にはラジエータ028が介設
されている。ファンカバー024の上部からは排風ダクト0
25がエンジン01の上方へ向かって延出しており、該排風
ダクト025の延出端部はエンジン01の後方に向かって開
口している。

ファンカバー024は排風ダクト025によって導風路029が
構成されて、この導風路029の吸入口030はエンジン01の
側方、即ちリヤカバー024のラジエータ028と対向する部
分に開口し、且つ導風路029の吐出口031は、エンジン01
の上方、即ち排風ダクト025の延出端部に開口してい
る。

而して、エンジン01の駆動によって冷却ファン019が回
転駆動されると、該冷却ファン019は外気をリヤカバー0
2に設けたルーバー02aを介してリヤカバー02内に吸引す
る。そして、この吸引された外気はラジエータ028の通
風路を通過し、ラジエータ028内を流れる冷却水を冷却
した後、吸入口030からファンカバー024及び排風ダクト
025を通過し、吐出口031からエンジン01の後方へ排出さ
れる（図示矢印参照）。

（発明が解決しようとする問題点） 斯かる従来のエンジン冷却装置では、導風路029の吐出
口031が、ファンカバー024の上部からエンジン01の上方
へ向かって延出する排風ダクト025の延出端部である。
即ち、エンジン01の上方は各種の部品との関係でスペー
スが少ないため、断面積の小さな排風ダクト025を設け
て導風路029の吐出口031を配設しなければならない。こ
のように、断面積の小さな排風ダクト025を設けること
によって、排風ダクト025に絞り作用が生じて導風路029
の単位時間当り通過風量が減少するため、冷却効率が低
下するという問題点があった。

本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的と
するところは、冷却効率の向上を図ることができるエン
ジン冷却装置を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成すべく本発明は、エンジンの側方にラジ
エータを配設し、該ラジエータの通風路と連通する導風
路を設け、該導風路は、導風通路の一端に吸入口を他端
に吐出口をそれぞれ設けてなり、前記導風通路内に、前
記エンジンのクランク軸端部に取り付けられるフライホ
イールにより駆動される冷却ファンを設け、前記導風通
路は、前記エンジンのシリンダ側方で前記フライホイー
ル側の空間内を挿通し、前記吸入口は前記ラジエータよ
り下流に、前記吐出口は前記冷却ファンより下流にそれ
ぞれ位置すると共に、これら吸入口及び吐出口が前記エ
ンジンの側方にそれぞれ位置し、前記ラジエータは、少
なくとも前記フライホイール側に配設されていると共
に、前記ラジエータの少なくとも一部は、前記シリンダ
側方に側面から見て該シリンダと重合する位置で、しか
も前記導通通路に対向して配設され、前記冷却ファンに
よって発生する導風流により熱交換を行い前記エンジン
の冷却に寄与することを特徴とするものである。

（作用） 導風路の吸入口と吐出口を、比較的広いスペースを確保
できるエンジンの側方に位置させたので、従来のような
絞り作用が生じる部分を設けることなく導風路を配設す
ることができ、冷却効率の向上を図ることができる。

（実施例） 以下、本発明の一実施例を第１図乃至第３図に基づいて
説明する。

本実施例はスクータに適用したものであって、第１図は
本発明に係るエンジン冷却装置を備えたエンジンを搭載
したスクータの一部を切欠した要部側面図、第２図は第
１図のII-II線断面図、第３図は第１図のエンジン部分
の分解斜視図である。

各図中、１は水冷式のエンジンで第１図に示す如く車体
カバー（リヤカバー）37で覆われた空間内に配置されて
いる。エンジン１のシリンダブロック2aのシリンダ２内
には第２図に示す如くピストン３が上下摺動自在に嵌装
されている。該ピストン３には、コンロッド４の上端が
ピストンピン５にて連結されている。シリンダブロック
2aとシリンダヘッド2bの内部には冷却水が通過するウォ
ータージャケット6a,6bが設けられている。シリンダブ
ロック2aの外周面及びシリンダヘッド2bの頂部には冷却
フィン2c…が形成されている。又、シリンダヘッド2bの
頂部中央には点火プラグ７が螺着されている。

一方、シリンダブロック2aの下方に位置するクランクケ
ース８にはクランク軸９が挿通されている。該クランク
軸９はボールベアリング10,10及び軸シール11,11を介し
てクランクケース８に回転自在に支承されている。クラ
ンク軸９にはコンロッド４の下端部がクランクピン12に
て連結されている。第２図中、13は吸気ポート、14は掃
気ポートである。吸気ポート13には吸気管15が連結さ
れ、該吸気管15の端部にはリード弁16が設けられてい
る。

クランク軸９の一端部には発電機の一部を構成するフラ
イホイール17がナット18にて固定されている。フライホ
イール17の外面には該フライホイール17により駆動され
る冷却ファン19がボルト20,20にて締結されている。フ
ライホイール17の内周壁には回転子21が固定されてい
る。この回転子21の内方には固定子22が配設され、この
固定子22はボルト23にてクランクケース８の端部に固定
されている。

冷却ファン19はファンカバー24によって覆われている。
このファンカバー24はボルト25,25によってエンジン１
の側端に固定されている。そして、このファンカバー24
の上半部後方は、ボルト26にてシリンダ２の側端に締結
されたカバー27によって覆われている。このカバー27は
ボルト31,31によってファンカバー24に締結されてい
る。このファンカバー24とカバー27とにより導風路38が
画成されている。この導風路38は、導風通路の一端に吸
入口24aを他端に吐出口24bをそれぞれ設けてなる。

ファンカバー24の外端部の同一平面上には、互いに上下
方向に間隔を存して導風路38の吸入口24aと吐出口24bが
形成されている。これらの吸入口24aと吐出口24bは矩形
状をなし、互いにエンジン１の側方の同側位置に位置し
ている。導風路38の導風通路は、エンジン１のシリンダ
２側方でフライホイール17側の空間内を挿通している。
吸入口24aはラジエータ28の下流に、吐出口24bは冷却フ
ァン19の下流にそれぞれ位置している。

ファンカバー24の外端面には、上下方向に長い矩形扁平
状のラジエータ28が、パッキン29,30を介在させてボル
ト40,40にて締結されている。従って、このラジエータ2
8はエンジン１の側方に位置している。ラジエータ28
は、フライホイール17側に配設されていると共に、その
少なくとも一部は、シリンダ２側方に側面から見てシリ
ンダ２と重合する位置で、しかも導風路38の導風通路に
対して対向して配設されている。そして、ラジエータ28
は、冷却ファン19によって発生する導風流により熱交換
を行い、エンジン１の冷却に寄与するものである。

ラジエータ28の通水路は、シリンダブロック2a及びシリ
ンダヘッド2b内のウォータジャケット6a,6bとパイプ32,
33によって連通しており、パイプ33の途中にはウォータ
ーポンプ34が介装されている。ラジエータ28の上面には
注水口28aが設けられている。

エンジン１のシリンダ２からは第３図に示す如く排気管
35が延出されており、該排気管35の延出端部には第１図
及び第３図に示す如く排気マフラー36が連結されてい
る。

なお、第１図及び第３図中、39はスクータの後輪であ
る。

次に上記構成のエンジン冷却装置の動作を説明する。

エンジン１の運転に伴いクランク軸９が回転すると、こ
れと一体に冷却ファン19が回転する。この冷却ファン19
の作用で外気がラジエータ28の下半部の通風路を通過し
てファンカバー24の吸入口24aからファンカバー24とカ
バー27との間の導風路38の導風通路内に導入される。そ
して、ラジエータ28の下半部の通風路を通過する外気に
よって、該ラジエータ28の通水路を流れる冷却水が冷却
される。

このようにして、ラジエータ28内の冷却水との間で熱交
換した外気は、第２図中、矢印で示す如く、その流れ方
向が180°変えられて、ファンカバー24の吐出口24bより
外方へ吐出される。このときラジエータ28の上半部の通
風路を通過し、この部分の通水路を流れる冷却水を再び
冷却する。このため、ラジエータ28内の冷却水は同じ外
気によって二度冷却されるので、該ラジエータ28の冷却
効果が高められる。また、ファンカバー24に吐出口24b
を設けたため、該吐出口24bの面積に相当する分だけラ
ジエータ28の伝熱面積を拡大することができ、該ラジエ
ータ28の冷却能力を高めることができる。

（発明の効果） 以上の如く本発明によれば、導風路の吸入口と吐出口
を、比較的広いスペースを確保できるエンジンの側方に
位置させたので、従来のような絞り作用を生じる部分を
設けることなく導風路を配設することができるので、冷
却効率が向上する。

また、冷却ファンは、エンジンのクランク軸端部に取り
付けられるフライホイールにより駆動され、導風路の導
風通路は、エンジンのシリンダ側方でフライホイール側
の空間内を挿通する。これにより、クランク軸端部に取
り付けられるフライホイールは、エンジン全体に対し大
物部品であり、同じく大物部品であるシリンダとの側方
間の空間は、比較的大きな空間として利用できるため、
導風通路を配置する際の自由度が増し、冷却効率を損な
うことがない。更に、ラジエータは、少なくともフライ
ホイール側に配設されていると共に、その少なくとも一
部は、シリンダ側方に側面から見てシリンダと重合する
位置で、しかも導風路の導風通路に対して対向して配設
され、冷却ファンによって発生する導風流によた熱交換
を行い、エンジンの冷却に寄与するものである。これに
より、ラジエータとエンジン部（冷却部）との距離が近
付き、それらを連通するための連通路の軸長を短くする
ことができ、冷却損失が小さくなり、しかもシリンダか
ら発生する騒音（ピストンとシリンダ内壁とのスラップ
音）を、ラジエータという防音効果を備える水を蓄えた
大容量の隔壁によって効果的に減少することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係るエンジンの冷却装置を
備えたエンジンを搭載したスクータの一部を切欠した要
部側面図、第２図は第１図のII-II線断面図、第３図は
第１図のエンジン部分の分解斜視図、第４図は従来のエ
ンジン冷却装置を備えたエンジンの一部切欠側面図であ
る。 １…エンジン、９…クランク軸、17…フライホイール、
19…冷却ファン、24a…吸気口、24b…吐出口、28…ラジ
エータ、38…導風路。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭56−170025（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭53−139438（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−12390（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭54−158938（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンの側方にラジエータを配設し、該
   ラジエータの通風路と連通する導風路を設け、該導風路
   は、導風通路の一端に吸入口を他端に吐出口をそれぞれ
   設けてなり、前記導風通路内に、前記エンジンのクラン
   ク軸端部に取り付けられるフライホイールにより駆動さ
   れる冷却ファンを設け、前記導風通路は、前記エンジン
   のシリンダ側方で前記フライホイール側の空間内を挿通
   し、前記吸入口は前記ラジエータより下流に、前記吐出
   口は前記冷却ファンより下流にそれぞれ位置すると共
   に、これら吸入口及び吐出口が前記エンジンの側方にそ
   れぞれ位置し、前記ラジエータは、少なくとも前記フラ
   イホイール側に配設されていると共に、前記ラジエータ
   の少なくとも一部は、前記シリンダ側方に側面から見て
   該シリンダと重合する位置で、しかも前記導風通路に対
   向して配設され、前記冷却ファンによって発生する導風
   流により熱交換を行い前記エンジンの冷却に寄与するこ
   とを特徴とするエンジン冷却装置。