JPH0678733A

JPH0678733A - 冷蔵庫

Info

Publication number: JPH0678733A
Application number: JP23801092A
Authority: JP
Inventors: Koji Nagata; 晃司永田
Original assignee: Matsushita Refrigeration Co
Current assignee: Panasonic Holdings Corp
Priority date: 1992-09-07
Filing date: 1992-09-07
Publication date: 1994-03-22

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は、食品類特に生鮮食肉、水産魚介類
の貯蔵品質及び解凍品質を向上させるために、高電圧処
理機能を有する冷蔵庫を提供することを目的とする。【構成】冷蔵室の一部に電場処理室１１を設け、この
処理室１１の周囲に上下に向かい合った一対の針状電極
２１と平板電極２２および高圧電源２３を配設する。ま
た、処理室１１の扉１５が開放状態にある時は、高圧電
源２３に通電しないように開閉器２５を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、食品類、特に生鮮食
肉、水産魚介類の貯蔵品質を向上させるための高電圧処
理機能を有する冷蔵庫に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、高電圧処理機能を有する冷蔵庫と
して、特開平２−２５７８６７号公報に開示されている
ように、冷凍食品に高圧誘導静電法により陰電子を印可
して−３℃〜３℃の温度内で解凍する方法が提案されて
いる。

【０００３】以下に従来提案されている冷蔵庫の食品の
解凍方法について説明する。図５は、従来提案されてい
る冷蔵庫の縦断面図で、１は高圧電源、２は冷凍機、３
は内箱、４は断熱材、５は冷凍品、６は庫内である。高
圧電源１の２次側１極を絶縁し、他の１極のみをステン
レスなどの電気伝導性内箱３に接続し、静電誘導による
陰電子を印可出来るようにする。その時、庫内６と棚と
は留め金でつなぎ導通状態である。また、前記高圧電源
１の２次側電圧は５ｋＶ〜２０ｋＶに設計されている。

【０００４】以上のように構成された冷蔵庫において、
以下解凍方法について説明する。まず庫内６の温度を−
３℃〜３℃に設定し、解凍したい冷凍品５を棚の上に置
き、高圧電源１のスイッチ（図示しない）を入れて解凍
を開始するようになっている。

【０００５】従って、前記冷凍品５は静電誘導による陰
電子を受けて、速やかに且つ均等に解凍することができ
る。また、殺菌効果に優れ、ドリップ量も少なくできる
というものであった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな構成では、冷蔵庫の内箱３をステンレスなどの金属
製の材料にする必要があり、コストが高くなる。また、
陰電子を直接冷凍品５に印可しないと効果がなくなるた
め、効果を出すためには前記冷凍品５を前記内箱３に接
触させる必要があるとともに、解凍中連続通電しておく
必要があった。更に、前記冷凍品５を電気伝導性のない
プラスチック容器に入れて解凍しても効果が出ない。従
って、従来提案されている解凍方法の冷蔵庫では種々の
制約があり使い勝手が悪いという課題があった。

【０００７】本発明は上記課題に鑑み、陰電子を直接冷
凍品に印可するのではなく、冷凍前に食品を短時間高電
場に放置した後冷凍する方法により、冷凍貯蔵品質や解
凍品質を向上させたり、また解凍時に冷凍品を高電場処
理する方法により解凍品質を向上させたりすることによ
り、食品の包装状態や容器の種類などの制約を受けずに
高品質の解凍ができる冷蔵庫を提供することを目的とす
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の冷蔵庫は、冷蔵室の一部に電場処理室を設
け、電場処理室の周囲に、上下あるいは左右側面に針状
電極と針状電極と対向させた平板電極と、高圧電源とを
設けたものである。

【０００９】また、処理室扉が開放状態にある時は、高
圧電源に通電しないようにしたものである。

【００１０】

【作用】本発明の冷蔵庫は、上記構成により、食品の包
装状態や容器の種類などの制約を受けずに、冷凍前に食
品を短時間高電場処理した後冷凍する方法や、冷蔵室内
解凍時に冷凍品を高電場処理する方法により、冷凍貯蔵
品質（乾燥の抑制など）や解凍品質（ドリップの抑制な
ど）を向上することができる。

【００１１】また、電場処理室扉が開放状態にある時
は、開閉器により高圧電源に通電しないようにすること
により、安全性を確保することが出来る。

【００１２】

【実施例】

（実施例１）以下本発明の一実施例について、図面を参
照しながら説明する。

【００１３】図１は、本発明の冷蔵庫７の縦断面図を示
すもので、冷凍室８、冷蔵室９、野菜室１０、および冷
蔵室９の上方に設けられた電場処理室１１の４室で構成
されている。各室には扉１２、１３、１４、１５を有
し、本体の断熱箱１６とで囲まれた密閉空間を形成して
いる。１７は通風路、１８は熱交換器、１９は各室に冷
気を送るファン、２０はコンプレッサである。

【００１４】前記電場処理室１１には、天面に一個ある
いは複数個の針状電極２１を配設し、底面に銅、アル
ミ、ステンレス等の金属性の平板電極２２を配設してい
る。そして、天面背部に高圧電源２３を有し、該高圧電
源２３と前記針状電極２１及び平板電極２２を高圧線２
４により接続している。

【００１５】更に、前記電場処理室１１の扉１５が閉め
られた状態の時のみ、前記高圧電源２３が通電状態と成
しうるように、前記扉１５と接触する開閉器２５を前記
処理室１１の底面前部に配設している。

【００１６】以上のように構成された冷蔵庫について、
図１及び図３を用いてその動作を説明する。

【００１７】購入してきた食品（肉類や水産魚介類な
ど）２６を前記電場処理室１１に入れて、扉１５が閉め
られると、タイマー（図示しない）制御等により所定時
間前記高圧電源２３へ通電され、前記針状電極２１に数
ｋＶの電圧が印可されて、前記針状電極２１と平板電極
２２の空間に高電場が形成され、前記食品２６が所定時
間電場処理される。この電場処理時間は数分から数十分
の短時間でよい（尚、食品の電場処理については、「科
学朝日」１９８４年、７月号などに記載されている）。

【００１８】そして、この電場処理された前記食品２６
を前記冷凍室８に貯蔵すれば、貯蔵中の乾燥抑制と、一
定期間貯蔵後に取り出して解凍した時のドリップが抑制
されて、旨味成分、栄養成分の流出が防止できる。この
ドリップが抑制される原理はまだ解明されていないが、
電場処理によって食品中の水分子と食品組織との結合が
強められて保水性が高められるためと考えられる。

【００１９】尚、冷凍された食品２６を前記電場処理室
１１にて低温解凍する時に、解凍中電場処理しても同様
にドリップの抑制が出来、解凍を促進させることもでき
る。

【００２０】また、図３に示したように前記電場処理室
１１の扉１５が閉められて、開閉器２５が閉じられた時
のみ、前記高圧電源２３への通電が可能な状態と成るた
め安全性が高い。尚、前記高圧電源２３は直流でも交流
でも良い。

【００２１】また、従来例の方法と異なり食品２６の包
装状態や容器の種類の制約を受けないので、電気伝導性
のないプラスチックや陶器製の皿に載せたままで高品質
の解凍が出来る。更に、前記電場処理室１１の内壁をす
べてステンレスなどの金属性の材料にする必要がないの
で、従来方法よりコストが安くなる。

【００２２】以上のように本実施例によれば、冷蔵室９
の一部に電場処理室１１を設け、この電場処理室１１の
天面に針状電極２１を、底面に銅、アルミ、ステンレス
等の金属性の平板電極２２を配設し、天面背部に高圧電
源２３を配設することにより、冷凍前の食品を電場処理
してから冷凍することにより、解凍時のドリップの流出
を大幅に抑制することが出来る。あるいは、冷凍食品を
解凍中に電場処理しても同様にドリップの流出抑制と解
凍の促進が出来る。

【００２３】また、前記電場処理室１１の扉１５が閉め
られて、開閉器２５が閉じられた時のみ、前記高圧電源
２３への通電が可能な状態と成るように構成したもので
あるから安全性が高い。

【００２４】（実施例２）次に第２の実施例について、
図２を参照しながら説明する。

【００２５】図２は、実施例２における冷蔵庫の電場処
理室２７の横断面図を示すもので、扉や断熱箱などの構
成は図１と同一であり説明は省略する。前記電場処理室
２７の左右側面の断熱箱表面に、一個あるいは複数個の
針状電極２８と平板電極２９を向かい合って配設し、前
記電場処理室２７の背面後方の冷蔵庫本体の断熱箱１６
の背部に高圧電源３０を有している。前記高圧電源３０
は、針状電極２８及び平板電極２９と高圧線３１により
接続されている。

【００２６】上記のように構成された冷蔵庫について、
その動作は第１の実施例と同様なので説明を省略する。

【００２７】以上のように、第１の実施例と異なり、針
状電極２８と平板電極２９を電場処理室２７の左右側面
の断熱箱表面に固定したものであるから、高圧線３１を
すべて断熱箱１６内に容易に埋設することができ、高圧
線３１の絶縁性を向上させることが可能である。また、
前記針状電極２８も強固に固定することが出来る。

【００２８】尚、前記電場処理室１１、２７の温度を冷
蔵室温度より低いチルド（約０〜２℃）や氷温（約−２
〜０℃）、或いはパーシャル（−３℃）温度帯に設定し
ても、前述の解凍時と同様に、貯蔵中の肉類や水産魚介
類のドリップ流出を抑制することが出来る。

【００２９】また、第１および第２の実施例において、
電場処理条件の周波数を商用周波数より高く設定する方
が、ドリップ流出抑制効果が大きいことを見出した。こ
の実験結果の一例を図４に示した。図４は、マグロ及び
鶏肉ササミを電圧５ｋＶにおいて１０分間電場処理した
時の周波数の効果を示したもので、電場処理後７日間冷
凍した後室温にて解凍した時のドリップ量（食品１００
ｇあたりの流出量）を比較したものである。

【００３０】図４において、Ａは周波数６０Ｈｚ、Ｂは
周波数２４０Ｈｚで電場処理した時のドリップ量を、Ｃ
は電場処理しない時のドリップ量を示す。図から明らか
なように、鶏肉ササミ、マグロいずれにおいても、電場
処理した方がドリップが抑制された。しかも、周波数６
０Ｈｚ区よりも周波数２４０Ｈｚ区の方が大幅にドリッ
プが抑制された。しかし、周波数をあまり高くしても効
果がそれほど上昇せず、電磁波ノイズが問題となる。

【００３１】そこで、前記高圧電源２３、３０の周波数
は約１０００Ｈｚまでが適切で、回路のコストも配慮し
て商用周波数のｎ倍（整数倍）に設定している。従っ
て、前記高圧電源２３、３０は数十ｋＶの高電圧に設定
しなくてもドリップ抑制効果が得られ、小型で低コスト
の電源にすることができる。

【００３２】

【発明の効果】以上のように本発明の冷蔵庫は、冷蔵室
の一部に電場処理室を設け、該処理室に針状電極とこれ
と対向して配設された平板電極と、前記針状電極に高電
圧を発生させる高圧電源とを有したものであるから、従
来例と異なり、食品の包装状態や容器の制約を受けずに
簡単に電場処理することができ、冷凍前や解凍中に電場
処理することにより、解凍時の冷凍食品のドリップの流
出抑制と解凍の促進が出来る。

【００３３】また、針状電極と平板電極が電場処理室の
左右側面の断熱箱表面に配設したものであるから、前記
両電極と高圧電源とを接続する高圧線を全て断熱箱内に
容易に埋設することが出来るので、高圧線の絶縁性を向
上させることが出来る。

【００３４】また、電場処理室の扉が開放状態にある時
は、高圧電源に通電しないように開閉器を備えたもの
で、扉が閉まっているときのみ電場処理できるものであ
るから、高圧電極に万一手を触れるようなことがあって
も、安全性を確保することが出来る。

【００３５】また、電場処理条件の周波数を商用周波数
のｎ倍（整数倍）に設定したものであるから、小型で低
コストの電源にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例における冷蔵庫の縦断面
図

【図２】本発明の第２の実施例における冷蔵庫の電場処
理室の横断面図

【図３】本発明の第１の実施例における冷蔵庫の電場処
理室に設けた高圧発生回路を示すブロック図

【図４】本発明の電場処理条件におけるドリップ流出抑
制効果の特性図

【図５】従来の冷蔵庫の縦断面図

【符号の説明】

９冷蔵室１１電場処理室１５電場処理室の扉１６断熱箱２１針状電極２２平板電極２３高圧電源２５開閉器２８針状電極２９平板電極３０高圧電源

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】冷蔵室の一部に電場処理室を設け、該処
理室に針状電極とこれと対向して配設された平板電極
と、前記針状電極に高電圧を発生させる高圧電源とを有
する冷蔵庫。
【請求項２】針状電極が前記処理室の上方に、平板電
極が下方に配設された請求項１記載の冷蔵庫。
【請求項３】針状電極と平板電極が前記処理室の左右
側面の断熱箱表面に配設された請求項１記載の冷蔵庫。
【請求項４】処理室の扉が開放状態にある時は高圧電
源に通電しないように開閉器を備えた請求項１記載の冷
蔵庫。
【請求項５】電場処理条件の周波数が商用周波数（５
０／６０Ｈｚ）のｎ倍である請求項１記載の冷蔵庫。