JPH0675192A - 手ぶれ補正光学系 - Google Patents

手ぶれ補正光学系

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JPH0675192A
JPH0675192A JP7337893A JP7337893A JPH0675192A JP H0675192 A JPH0675192 A JP H0675192A JP 7337893 A JP7337893 A JP 7337893A JP 7337893 A JP7337893 A JP 7337893A JP H0675192 A JPH0675192 A JP H0675192A
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JP
Japan
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lens
optical system
correction
image
angle
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Application number
JP7337893A
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English (en)
Inventor
Kotaro Hayashi
宏太郎 林
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Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
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Publication date
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Priority to US08/080,056 priority patent/US5387999A/en
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    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B27/00Optical systems or apparatus not provided for by any of the groups G02B1/00 - G02B26/00, G02B30/00
    • G02B27/64Imaging systems using optical elements for stabilisation of the lateral and angular position of the image
    • G02B27/646Imaging systems using optical elements for stabilisation of the lateral and angular position of the image compensating for small deviations, e.g. due to vibration or shake

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  • Physics & Mathematics (AREA)
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  • Lens Barrels (AREA)
  • Adjustment Of Camera Lenses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】広角レンズ,ズームレンズに対しても、軸上・
軸外共像ぶれを良好に補正しうるコンパクトな構成とす
る。 【構成】物体側に凸の面を像側に有するレンズG1と,物
体側に凸の面をレンズG1の凸の面に対向するように物体
側に有するレンズG2を配する。レンズG2のG1に対する相
対的変位で、透過光束の方向を微少に変化させ、透過偏
角を得ることにより傾動したときの撮影画像のぶれを補
正する。但し、撮影画像のぶれを補正する際に、G1の入
射面R1及びG2の射出面R4が、撮影光学系の光軸AXから偏
心を起こさないように相対的変位を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カメラの手持ち撮影時
の振動等によって撮影光学系が傾動したときの撮影画像
のぶれ、いわゆる手ぶれを補正する手ぶれ補正光学系に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、写真撮影の失敗の原因は、その殆
どが手ぶれとピンボケであった。ところが、近年のカメ
ラではその殆どにオートフォーカス機構が採用されるよ
うになり、また、オートフォーカス機構によるピント精
度が向上するに従って、ピンボケによる写真撮影の失敗
は殆ど解消されている。
【0003】一方、カメラに標準装備されるレンズは、
単焦点レンズからズームレンズへと移行してきており、
それと共に高倍率化、望遠化が図られ、手ぶれの可能性
が非常に高くなっている。
【0004】その結果、現在では、写真撮影の失敗の原
因は手ぶれによるものといっても過言ではなく、そのた
め手ぶれによる像ぶれを補正する光学系は不可欠なもの
となっている。
【0005】従来、主となる撮影光学系に付加し、前記
像ぶれを補正する光学系として、可変頂角プリズムが知
られている(特開昭50-112054号等)。この可変頂角プリ
ズムとしては、例えば、図13(a)に示すように2枚の
硝子板GP1及びGP2の間に液体Lを封入し、同図(b)に示
すように一方の硝子板GP2を一端のみ動かし(矢印m1)傾
斜させたもの(第1従来例)、図14(a)に示すように平
凹レンズGL1と平凸レンズGL2とを球面側で重ね合わせ、
同図(b)に示すように重ね合った球面に沿って、一方の
レンズを偏心(矢印m2)させたもの(第2従来例)等が挙げ
られる。
【0006】また、米国特許第2,959,088号では、凹レ
ンズ及び凸レンズから成るアフォーカル系であって、凸
レンズの焦点位置を中心に凸レンズを回転させる構成が
提案されている。この構成では、手ぶれによるぶれ角
(光線を曲げたい角度)と補正のための補正角(凸レンズ
を回転させる角度)とが、逆方向に同じ大きさの構成と
なっている。そして、重りによって凸レンズが常に水平
方向を向くようになっているので、姿勢変化に対し凸レ
ンズが動かず、手ぶれが補正される。よって、手ぶれ量
を検出する検出系や駆動系が不要な構成となっている。
【0007】そのほか手ぶれを補正する光学系として
は、撮影光学系の一部を偏心させるものが特開平2-9362
0号等で提案されている。
【0008】また、特開平1-116619号公報,同1-189621
号公報,同1-191112号公報及び同1-191113号公報には、
3群ズームレンズ(物体側より順に凹凸凹)において各群
を個々に偏心させることによって、手ぶれ補正を行う変
倍光学系の数値実施例が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記可変頂角プリズム
が有している問題点について、図15及び図16に基づ
いて説明する。
【0010】図15に示す可変頂角プリズムは、平凹レ
ンズG1と平凸レンズG2とから成る第3従来例である。面
R1及びR4はほぼ平面であり、面R2及びR3は曲率半径約4
0mmの球面である。レンズG1,G2の焦点距離の絶対値
(fl)は、共に約57mmで、レンズG1,G2合わせてアフ
ォーカル系を成している。同図中、可変頂角プリズムの
左側に付した数値は、撮影光学系の焦点距離が35mm
のときの像高である。各像高に対応する入射光線の光路
を併せて示す。
【0011】図16は、球面R3に沿ってレンズG2が回転
偏心した状態を示している。つまり、この回転偏心の回
転中心が球面R3の曲率中心であるため、球面R3はレンズ
G2の回転偏心により移動しても、光学的には面の位置が
変化しないことになる。一方、平面R4は、レンズG2の回
転偏心に伴い傾斜する。その結果、前記第2従来例(図
14)と同じように透過偏角を得ることができる。尚、
同図中の破線で描かれた部分は、回転偏心前の可変頂角
プリズム及び光路(図15)を示している。
【0012】この第3従来例においては、軸上の光線を
1°補正する場合、レンズG2を球面R3に沿って約1.4
°回転させればよい。これにより、頂角約1.4°のく
さび形状を有するプリズムを用いた場合と等価な透明光
学素子を構成したことになる。
【0013】しかし、上記のように撮影光学系が広角
(焦点距離:35mm)の場合、図16に示すように撮影
光学系の光軸AX上(以下「軸上」という)の光線の補正角
1.01°に対し、光軸AX外(以下「軸外」という)の光
線は最大1.27°も曲げられてしまうことになる。こ
れは、手ぶれに対し軸上の像を補正した場合、軸外の像
が手ぶれによる像ぶれを補正する以上に補正されてしま
うことを意味している。よって、逆に像ぶれが生じると
いった問題が生じてしまうのである。この補正過剰によ
って生じるぶれ量は、焦点距離35mm、像高15mm
の撮影光学系に対する補正の場合、106μmにもな
る。
【0014】以上のことから、可変頂角プリズムで撮影
光学系の軸上も軸外も共に像を良好に補正できるのは、
35mmフィルムサイズの場合、焦点距離が100mm
以上で、最大撮影画角は約12°までということにな
る。
【0015】一方、前記米国特許第2,959,088号の構成
には、次のような問題がある。第1に、凸レンズの回転
中心が凸レンズから離れているため、凸レンズのジンバ
ル支持を行おうとすると構成が大きくなってしまうとい
った問題がある。第2に、頂角可変プリズムと同様に、
撮影光学系が広角ならば、軸外光が補正過剰になってし
まうといった問題がある。
【0016】図17は、米国特許第2,959,088号で提案
されているものと同様に、第3従来例においてレンズG2
をその焦点位置を中心に回転させた構成(第4従来例)を
示している。第4従来例の構成では、軸上の光線を1°
補正する場合、レンズG2をその焦点位置を中心に約1°
回転させればよい。しかし、同図に示すように、軸外光
は軸上光の約1°の補正に対して20%も補正過剰状態
となってしまうといった問題がある。
【0017】特開平2-238429号〜同2-238431号,同2-23
9220号,同2-239221号,同2-240622号〜同2-240624号に
も、前記米国特許第2,959,088号と目的を同じくする光
学系が提案されている。この光学系では、構成の大型化
という米国特許第2,959,088号のデメリットを少なくす
るために、パワー配分を変えることによって、凸レンズ
から回転中心までの距離を凸レンズの焦点距離より短く
している。しかし、構成が大きいといった問題は解消さ
れていない。
【0018】また、軸外光の補正過剰については、米国
特許第2,959,088号よりも大きい。尚、特開平2-238429
号の明細書中では、軸外でも像が動かないとあるが、こ
れは近軸追跡についてのものであり、広画角では近軸理
論からずれることが、補正過剰の原因となっている。こ
の方式において、軸外光の過剰補正を解消しようとする
には、凹群及び凸群共レンズ枚数を増やす必要がある
が、レンズ枚数を増やすとコストアップは避けられな
い。
【0019】また、前記特開平2-240624号の構成では、
凹群と凸群とが離れており凸群の偏心によって凸群後面
が傾いてしまうので、広角レンズで良好に補正するのが
困難な構成となっている。また、手ぶれ補正光学系のレ
ンズ枚数が4枚と多く、径も大きいので、構成が大き
く、かつ、コストが高いといった問題がある。
【0020】前記撮影光学系の一部を偏心させる構成で
は、個々の撮影光学系に合わせて偏心させるレンズを探
さねばならず、特にズームレンズでは、ズーム中のいず
れの焦点距離でも良好な像を保ちながら手ぶれを補正す
ることは非常に困難な構成となっている。
【0021】前記特開平1-116619号等において第1群を
偏心させる構成では、広角端においては軸外の補正過剰
量が相当大きくなり、望遠端では偏心による収差劣化が
激しくなってしまう。また、特開平1-116619号の第2
群、第3群を偏心させる構成では、ズームレンズの焦点
距離が変化したときに、手ぶれ補正のための偏心レンズ
群の変位量が変化してしまう。従って、偏心レンズ群の
変位量を算出するのに、手ぶれ検出系からの手ぶれ角,
ズームレンズの焦点距離等の情報が高い精度で必要とさ
れる。個々の部品バラツキ等を考えると、相当複雑な調
整等が必要となるので、大量生産には不向きである。
【0022】本発明は、これらの点に鑑みてなされたも
のであって、撮影光学系の軸上・軸外のいずれについて
も像ぶれを良好に補正しうるコンパクトな手ぶれ補正光
学系を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る手ぶれ補正光学系は、組み合わされた
複数の透明光学素子の相対的変位で、該透明光学素子を
透過する光束の方向を微少に変化させ、該光束の方向の
変化によって得られた透過偏角で、撮影光学系が傾動し
たときの撮影画像のぶれを補正する手ぶれ補正光学系で
あって、前記透明光学素子が、物体側から順に物体側に
凸の面を像側に有する第1透明光学素子と,物体側に凸
の面を前記第1透明光学素子の前記凸の面に対向するよ
うに物体側に有する第2透明光学素子とから成り、前記
撮影画像のぶれを補正する際に、前記第1透明光学素子
の入射面及び前記第2透明光学素子の射出面が撮影光学
系の光軸に対して、ほぼ回転対称な形状を保ったままで
あることを特徴としている。
【0024】また、本発明に係る手ぶれ補正光学系は、
ズームレンズが傾動したときの撮影画像のぶれを補正レ
ンズの偏心によって補正するズームレンズ用の手ぶれ補
正光学系であって、前記補正レンズが前記ズームレンズ
の絞りよりも被写体側に位置し、前記ズームレンズの焦
点距離が広角側から望遠側に変化するに従って、前記補
正レンズの位置が前記絞りに対して少なくとも変化しな
いか又は被写体側に離れる方向に移動し、かつ、次の条
件を満足することを特徴としている。 0.22≦FLw×Σ(Φi×Θi) ここで、 FLw:手ぶれ補正光学系及びズームレンズを含んだ全
体での広角端の焦点距離 Φi:補正レンズの偏心によって変位する面のパワー Θi:被写体からの主光線を補正光学系によって逆時計
回りに1度曲げるように補正レンズを偏心させたときの
変位する面の光学的な傾き角 である。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説
明する。図1は本発明の第1実施例のレンズ構成図であ
る。本実施例の具体的なレンズデータについては、本実
施例が適用される撮影光学系と共に後述する。本実施例
の手ぶれ補正光学系(以下「補正光学系」ともいう)は、
物体側から順に凹レンズ(第1レンズ)G1と凸レンズ(第
2レンズ)G2とから成る。凹レンズG1は、物体側に凸の
面を像側に有し、凸レンズG2は、物体側に凸の面を凹レ
ンズG1の凸の面に対向するように物体側に有している。
本実施例の最も物体側の面R1及び最も像側のR4は、ほぼ
平面となっており、2枚のレンズG1,G2の対向する面R2
及びR3は、微少な間隔を持ち、共に物体側に凸面を向
け、互いにほぼ平行な面となっている。ここで、球面R
2,R3が互いにほぼ平行な面とは、球面R2,R3がほぼ同一
位置に曲率中心を有することをいい、球面上の対応する
点における法線が互いにほぼ平行な関係にある状態をい
う。尚、同図中、各像高に対応する入射光線の光路を併
せて示す。
【0026】本実施例は、組み合わされた第1透明光学
素子である凹レンズG1と第2透明光学素子である凸レン
ズG2との相対的変位で、レンズG1及びG2を透過する光束
の方向を微少に変化させ、その光束の方向の変化によっ
て得られた透過偏角で、撮影光学系が傾動したときの撮
影画像のぶれを補正する。上記相対的変位は、撮影画像
のぶれを補正する際に凹レンズG1の入射面R1及び凸レン
ズG2の射出面R4が、撮影光学系の光軸AXから偏心を起こ
さない状態を保持しつつ行われる。即ち、撮影画像のぶ
れを補正する際に、凹レンズG1の入射面R1及び凸レンズ
G2の射出面R4について、撮影光学系の光軸AXからの任意
の距離の点における面の条件が相対的変位の前後で変わ
らないように、相対的変位が行われるのである。このと
き、凹レンズG1の入射面R1及び凸レンズG2の射出面R4
は、撮影光学系の光軸AXに対して、ほぼ回転対称な形状
を保ったままである。
【0027】具体的に言うと、本実施例での手ぶれ補正
は、凸レンズG2をレンズ光軸AXに対して垂直方向に平行
偏心(矢印m3)させることによって行われる(以下、この
凸レンズG2のように手ぶれ補正のために偏心させるレン
ズを「補正レンズ」ともいう)。面R4が光軸AXに対して
垂直な平面であるため、上記偏心により光軸AXに対して
傾斜することはなく、光学的にも変化しないからであ
る。しかし、球面R2と球面R3との平行な関係は崩れるこ
とになる。これは、凸レンズG2の平行偏心により、球面
R2の曲率中心に対して球面R3の曲率中心がずれることに
よるものである。
【0028】また、本実施例での凸レンズG2の移動は、
手ぶれの方向とは反対方向に行われる。尚、手ぶれを検
知しレンズG2を移動させる機構としては、例えば特開昭
62-47011号公報等に示されているような加速度センサ
ー,アクチュエーター等を用いることができる。
【0029】先に説明した図16に示す可変頂角プリズ
ム(第3従来例)において、軸外光が最大1.27°も曲
げられ補正過剰となっているのは、軸上光のプリズムに
対する入射角がほぼ0°であるにもかかわらず、軸外光
のプリズムに対する入射角が大きくなってしまうためで
ある。
【0030】これに対し本実施例では、図1に示すよう
に、補正時においても入射面R1及び射出面R4には傾きを
持たせず、2枚のレンズG1,G2の対向する面R2,R3の間で
傾きを持たせることでくさび効果を出しているのであ
る。このくさび効果とは、前記可変頂角プリズムと同様
に、透明光学素子を透過する光束の方向を微少に変化さ
せ、光束の方向の変化によって透過偏角を得ることがで
きることをいう。
【0031】入射面R1,射出面R4で傾きを持たせると、
従来の可変頂角プリズムとの差はないが、面R2,R3は物
体側に凸の球面であるので、軸外光の面R2,R3への入射
角が面R1,R4への入射角に比べて小さくなる結果、補正
過剰とならず、軸外光が軸上光と同様に良好に補正され
るのである。
【0032】図1に示すように、本実施例においては、
軸外光と軸上光との補正角の差は0.1°弱であり、補
正過剰量はきわめて小さく抑えられている。焦点距離3
5mm,像高15mmの撮影光学系に本実施例を付加し
た場合、軸外光の補正過剰によって生じるぶれ量は、先
に述べたように頂角可変プリズム(図16)では106μ
mである。それに対し本実施例では39μmであり、前
記頂角可変プリズムの1/3近くまで少なくすることがで
きるのである。
【0033】また、本実施例の補正光学系は、補正光学
系全体としてほぼアフォーカルで、角倍率も1に近いの
で、撮影光学系の焦点距離やレンズバックを変えること
はなく、撮影光学系の収差性能を劣化させることもな
い。撮影光学系の収差性能を劣化させないためには、撮
影光学系の焦点距離に対し、補正光学系を付加したとき
の焦点距離変化を20%以下に押さえることが必要であ
る。従って、補正光学系全体のパワーφ及び角倍率γが
次の条件式(1)及び(2)を満足する構成であるのが好まし
い。
【0034】|φ|/φf<0.2 …(1) 0.8<γ<1.2 …(2) 但し、 φ:補正光学系のパワー φf:撮影光学系のパワー γ:補正光学系の角倍率 である。
【0035】また、上記条件式(1)及び(2)を満たし、補
正レンズG2が偏心しても像を良好に保つためには、対向
する球面R2と球面R3とができるだけ接近した方がよい。
球面R2と球面R3とが偏心によってぶつかることなく接近
するためには、球面R2と球面R3との間隔dが、次の条件
式(3)を満足するのが好ましい。
【0036】d<r3/20 …(3) 但し、 r3:第3面の曲率半径(尚、曲率C0=1/r3である)であ
る。
【0037】ここで、図1に示す対向する球面R2及びR3
の曲率半径について説明する。図3は、焦点距離別軸外
光補正過剰量を示すグラフである。面R1〜R4の曲率半径
をそれぞれr1〜r4とすると、r1=r4=∞,r2=r3でG2を
面R4が傾かないように動かし(即ち、平行偏心を行う)、
軸上光線が1°曲がるように補正したとき、軸外光の補
正過剰の量は、図3に示すように変化する。
【0038】面R3の曲率C0(=1/r3)が大きく、即ちR3
の曲率半径が小さくなる(このとき、面R2の曲率半径も
同様に小さくなる)に従って、補正過剰量は少なくな
る。そして、C0=0.04あたりで最も補正過剰量は小
さくなる。更に、曲率C0が大きくなると、補正過剰量
は、逆に大きくなる。
【0039】上記補正過剰量は、補正光学系と撮影光学
系の入射瞳との距離Enpにも依存し、近似的に次の式
(4)で表すことができる。 補正過剰量≒{(4×Enp×C0−1.68)2+0.73}/f ……(4) 但し、fは撮影光学系の焦点距離である。
【0040】上記補正過剰量は、60μm以下であるこ
とが望ましい。また、補正光学系をコンパクトにするた
め、補正光学系と撮影光学系の入射瞳との距離Enpが長
すぎるのは好ましくなく、実質的にEnp=5〜20mm
の値となるのがよい。
【0041】従って、上記式(4)より、次の条件式(5)を
満足するように構成するのが好ましい。 0.021−(1/80)・(0.06f-0.73)1/2≦C0≦0.084+(1/20)・(0.06f−0.73)1/2 ……(5)
【0042】上記条件式(5)は、35mmフィルムの場
合に適用される条件式なので、これを他のフォーマット
に拡張すると、次の条件式(6)のようになる。 (0.454/Y')−(0.27/Y')・((1.3/tanω)−0.73)1/2≦C0≦(1.816/Y')+(1.80 8/Y')・((1.3/tanω)−0.73)1/2 ……(6) 但し、 Y':撮影光学系の結像面での最大像高 ω:撮影光学系の結像面での最大像高における画角 である。
【0043】尚、Y'は、例えば結像面が35mmフィル
ムの場合、約21.6mmである。また、ωに関して、
Y'=−ftanωの関係が成り立つ。ズームレンズの場
合、広角側で補正過剰が起こり易いので、広角端でこの
条件Y'=−ftanωを満足すればよい。
【0044】従って、物体側から数えて2番目と3番目
の面を物体側に凸の面とし、3番目の面に変位を与えて
ぶれ補正を行うとともに、条件式(1),(2),(3)及び(6)を
満足する構成とするのが好ましい。
【0045】次に、第1実施例が付加された撮影光学系
の構成を示す。但し、第1実施例及び撮影光学系のレン
ズデータにおいて、ri(i=1,2,3,...)は物体側から数え
てi番目の面の曲率半径、di(i=1,2,3,...)は物体側から
数えてi番目の軸上面間隔(ここでは、レンズG2の偏心前
の状態について示す)を示し、Ni(i=1,2,3,...),νi(i=
1,2,3,...)は物体側から数えてi番目のレンズのd線に
対する屈折率,アッベ数を示す。レンズデータ中、第1
群L1と第2群L2との間に配されている絞りA(図2)につ
いては省略する。また、fALLは全系の焦点距離、FNO
は開放Fナンバーを示す。尚、曲率半径に*印を付した
面は非球面で構成された面であることを示し、非球面の
面形状を表わす次の数1の式で定義するものとする。
【0046】
【数1】
【0047】 <第1実施例及び撮影光学系> fALL=35〜77, FNO=3.62〜7.75 [曲率半径] [軸上面間隔] [屈折率] [アッベ
数] 《第1実施例LC》 r1 -1892.2 d1 1.5 N1 1.6968 ν1 56.5 r2 40.5 d2 0.5 r3 40 d3 2.5 N2 1.6968 ν2 56.5 r4 ∞ d4 5.5〜14.65 《撮影光学系の第1群L1》 r5* 23.106 d5 2.3 N3 1.5834 ν3 31 r6* 12.604 d6 4.568 r7 39.982 d7 4.13 N4 1.51728 ν4 69.4 r8* -12.342 d8 13〜3.85 《撮影光学系の第2群L2》 r9* -42.406 d9 3.68 N5 1.493 ν5 57.8 r10 -24.822 d10 4.825 r11 -10.68 d11 1 N6 1.6968 ν6 56.5 r12 -49.657
【0048】 [非球面係数] r5 r6 r8 r9 ε 0.97655 1.11027 1.29649 0.97478 A4 -3.35×10-4 -3.00×10-4 3.46×10-5 8.16×10-5 A5 -6.04×10-6 -5.41×10-6 -2.50×10-7 -6.00×10-6 A6 1.12×10-7 6.41×10-7 8.78×10-8 5.87×10-7 A7 5.68×10-9 8.35×10-8 1.72×10-8 4.42×10-8 A8 -7.51×10-10 6.27×10-9 1.60×10-9 -1.84×10-9 A9 -1.47×10-11 -2.04×10-11 2.92×10-12 -3.51×10-11 A10 -2.18×10-12 -2.56×10-12 -7.05×10-13 -1.56×10-12 A11 -2.63×10-13 -2.90×10-13 -1.51×10-13 1.98×10-13 A12 -2.91×10-14 -3.09×10-14 -2.10×10-14 5.94×10-14
【0049】図2に、図1に示す第1実施例が付加され
た撮影光学系の広角端(WIDE)及び望遠端(TELE)でのレン
ズ構成及び配置を、上記レンズデータと対応させて示
す。尚、同図中の凸レンズG2は、偏心後の状態を示して
いる。同図中の矢印MC,M1及びM2は、本実施例の手ぶれ
補正光学系LC,撮影光学系の第1群L1及び撮影光学系の
第2群L2の広角端(WIDE)から望遠端(TELE)にかけての移
動をそれぞれ模式的に示している。
【0050】本実施例が適用された撮影光学系は、焦点
距離fが約35mmから77mmの一般的な標準ズーム
である。撮影光学系は、物体側より順に、像側に凹の負
メニスカスレンズ及び両凸の正レンズから成る第1群L1
と、絞りAと、像側に凸の正メニスカスレンズ及び物体
側に凹の負メニスカスレンズから成る第2群L2とから構
成されている。尚、第1群L1中の像側に凹の負メニスカ
スレンズの両面及び両凸の正レンズの像側の面並びに第
2群L2中の像側に凸の正メニスカスレンズ物体側の面
は、非球面である。前記第1群L1は正、第2群L2は負の
パワーを有し、広角側から望遠側にかけての変倍に際
し、共に物体側に移動する。その際、第2群L2の方が移
動量が大きくなっている。
【0051】図2に示すように、補正光学系LCは移動量
の大きい第2群L2と共に物体側に移動する。これは、補
正光学系LCが、撮影光学系と離れている方が手ぶれ補正
のために偏心したときの、収差の劣化が少ないためであ
る。ズームレンズにおいては補正光学系LCの偏心による
像の劣化は、望遠側の方が大きく、望遠時に撮影光学系
と離す方がよい。逆に、広角時に補正光学系と撮影光学
系とを離すと、光学系の全長が大きくなるだけでなく、
広角レンズの大きい画角によって、補正レンズの有効径
を大きくしなければならず、偏心させるレンズが重くな
り、すばやく偏心させるのが困難となる。従って、ズー
ムレンズにおいては、本発明の補正光学系と撮影光学系
との距離は、広角側で接近し、望遠側で離れるように、
ズーミングに応じて移動する方がよい。
【0052】図4〜図7は、第1実施例が付加された撮
影光学系に対応する収差図である。図4及び図5は、広
角端及び望遠端における偏心前のガウス面上の横収差
(メリディオナル方向及びサジタル方向)を表わし、図6
及び図7は、広角端及び望遠端における偏心後のガウス
面上の横収差(メリディオナル方向及びサジタル方向)を
表わしている。
【0053】また、第1実施例において、球面R2の曲率
半径r2と球面R3の曲率半径r3とが同じでも、面R2,R3を
非球面とすることによって、レンズG2の偏心による収差
性能の劣化を防ぎながら、軸外光線のぶれ補正の補正過
剰を低減することが可能である。図8及び図9に、本発
明の第1実施例において球面R2及びR3をε=0.5の非
球面としたとき、レンズG2偏心後の広角端及び望遠端に
おけるガウス面上の横収差(メリディオナル方向及びサ
ジタル方向)をそれぞれ示す。
【0054】面R2,R3に非球面を用いた場合、補正レン
ズG2を偏心させたときの収差性能の劣化は、非球面を用
いない場合と比べて殆ど変わらない。しかし、軸外光の
補正過剰によって生じるぶれ量は32μmとなり、球面
を用いた前記第1実施例のぶれ量が39μmであるのと
比べて少なくなることがわかった。
【0055】次に、第2実施例〜第4実施例のレンズ構
成を前記第1実施例と同様に示す。尚、各実施例のパワ
ーφ及び角倍率γを併せて示す。
【0056】<第2実施例> [曲率半径] [軸上面間隔] [屈折率] [アッベ数] r1 ∞ d1 1.5 N1 1.7725 ν1 49.8 r2 51 d2 0.5 r3 40 d3 2.5 N2 1.6031 ν2 60.7 r4 ∞ φ=0 γ=0.993
【0057】<第3実施例> [曲率半径] [軸上面間隔] [屈折率] [アッベ数] r1 42 d1 1.5 N1 1.67 ν1 57 r2 20 d2 0.5 r3 19.5 d3 2.5 N2 1.67 ν2 57 r4 40 φ=0.001 γ=1.032
【0058】<第4実施例> [曲率半径] [軸上面間隔] [屈折率] [アッベ数] r1 ∞ d1 1.5 N1 1.67 ν1 57 r2 80 d2 0.5 r3 80 d3 2.5 N2 1.67 ν2 57 r4 -30 d4 0 r5 -30 d5 1.5 N3 1.67 ν3 47 r6 ∞ φ=0 γ=0.996
【0059】図10は、本発明の第2実施例を示すレン
ズ構成図であり、前記第1実施例と同様に標準ズーム用
(f=約28〜80mm)として用いることができる。但し、色
収差補正がなされた構成となっている。
【0060】具体的には、補正光学系の色収差を補正す
るため、高屈折率・低分散(Nd=1.7725,νd=49.8)の硝子
から成るレンズG1と,低屈折率・高分散(Nd=1.6031,νd
=60.7)の硝子から成るレンズG2とが用いられているほか
は、第1実施例と同様の構成となっている。但し、レン
ズG1とレンズG2とで屈折率が異なっているので、面R2と
面R3との面のパワーの和が0ぐらいとなるように、面R2
の曲率半径の方が面R3の曲率半径よりも大きくなってい
る。本実施例のような屈折率及び分散を有するレンズG
1,G2を用いた場合、面R2,R3の曲率半径が少しぐらいは
異なっていてもよい。更に、前記条件式(1),(2)を満た
せばより効果的である。尚、同図中、矢印m4は補正レン
ズG2の偏心による移動方向を示している。
【0061】図11は、本発明の第3実施例を示すレン
ズ構成図であり、より広角の撮影光学系用(f=約24mm)
の構成となっている。撮影光学系の焦点距離が、より広
角のレンズである場合、対向する面R2とR3の曲率半径を
小さくすると、補正レンズG2の心厚が厚くなってしま
う。そこで、対向する面R2とR3の曲率半径が小さくても
補正レンズG2の心厚が薄くなるようにするため、補正光
学系全体としてほぼアフォーカルなメニスカス形状の構
成としている。かかる構成によっても、角倍率は1より
少し大きいだけである。手ぶれの時の補正駆動は、レン
ズG2を面R4に沿って回転偏心させる(矢印m5)ことにより
行うので、第1実施例と同様、面R4は移動しても光学的
な位置の変化はなく、透過する光束に影響を与えること
はない。
【0062】図12は、本発明の第4実施例を示すレン
ズ構成図であり、より望遠の撮影光学系用(f=約135m
m)の構成となっている。本実施例は、前記第1実施例
(図3)のレンズG2の代わりに、2枚のレンズG2,G3を重
ね合わせた状態で用いる構成となっている。面R6が第1
実施例における面R4に相当し、手ぶれの補正駆動によっ
ては移動することがない。面R4と面R5とは、常に重ね合
わさっているので、光学的にはパワーを持たないことに
なる。面R4とR5を重ね合わせながらレンズG2を回転偏心
させる(矢印m6)と、面R3が傾きを持つため、面R3は第1
実施例の面R3と同様に作用することになる。
【0063】第4実施例のように面R3の曲率半径が大き
い場合、図3のようにレンズを偏心させる方法で面R2と
R3の間に手ぶれ補正に必要な傾きを持たせるには、大き
な偏心量が必要となる。偏心量が大きいと、偏心レンズ
が大きくなってしまうので、これを防ぐため、2枚のレ
ンズG2,G3を重ね合わせた状態で用いる構成としている
のである。従って、本実施例は、撮影光学系の焦点距離
がより望遠のレンズである場合に有効である。尚、第1
実施例のように平行偏心を行うタイプでは、1°の手ぶ
れに対し2mm以上レンズを移動させる必要があるが、
本実施例の場合にはレンズの移動量は、その半分以下で
よい。
【0064】上記各実施例では、1枚のレンズのみを移
動させることにより手ぶれ補正を行う構成となっている
が、例えば、2枚のレンズが互いに逆方向に移動するこ
とにより相対的変位を行うように構成されていてもよ
い。また、手ぶれは上下左右のいずれの方向についても
起こりうるので、各レンズが予め決められた方向の手ぶ
れのみを補正する構成としてもよい。
【0065】上記第1実施例〜第4実施例について、条
件式(1),(2)及び(3)に対応する値を表1に、条件式(6)
に対応する値を表2に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】次に、本発明の第5実施例について説明す
る。図18は本実施例のレンズ構成を断面的に示してい
る。本実施例の補正光学系は、物体側に凸面を向けた第
1レンズG1(物体側の面がR1で像側の面がR2の平凸レン
ズ)と,像側に凹面を向けた第2レンズG2(物体側の面が
R3で像側の面がR4の平凹レンズ)とを密着させて成り、
補正光学系全体でほぼアフォーカルとなっている。以下
に、本実施例のレンズデータを前記第1実施例と同様に
示す。
【0069】<第5実施例> [曲率半径] [軸上面間隔] [屈折率] [アッベ数] r1 40 d1 2.5 N1 1.6968 ν1 56.5 r2 ∞ d2 0.0 r3 ∞ d3 1.5 N2 1.6968 ν2 56.5 r4 40
【0070】本実施例の特徴は、最も像側の面R4が物体
側に凸の曲率を有し、撮影画像のぶれを補正する際に、
面R4が撮影光学系の光軸AXに対して傾くように変位する
ことにある。図18に示すように、第2レンズG2を光軸
AXに対して垂直方向(矢印m7)に変位させると、面R4が光
軸AXに対して傾いた状態となる。従って、この相対的変
位で透過光を偏角させることによって、前記第1実施例
と同様に撮影画像のぶれを補正することができる。尚、
同図中の破線は、偏心前の第2レンズG2の位置を示して
いる。
【0071】先に説明したように、図16に示す可変頂
角プリズム(第3従来例)において、軸外光が最大1.2
7°も曲げられ補正過剰となっているのは、軸上光のプ
リズムに対する入射角がほぼ0°であるにもかかわら
ず、軸外光のプリズムに対する入射角が大きくなってし
まうためである。
【0072】これに対し本実施例では、図18に示すよ
うに補正光学系に対する軸外光の入射・射出する角度
が、図16に示す可変頂角プリズムに対する入射・出射
角に比べて格段に小さくなっている。つまり、軸外光と
軸上光との補正角の差が0.05°となっており、補正
過剰量はきわめて小さく抑えられていることがわかる。
これは、第3従来例では平面R4を変位させているのに対
し、本実施例では物体側に凸の曲率を有する面R4を光軸
AXに対して傾くように変位させていることによるもので
ある。
【0073】また、先に述べたように焦点距離35m
m、像高15mmの撮影光学系に頂角可変プリズム(図
16)を付加すると、軸外光の補正過剰によって生じる
ぶれ量は106μmにもなるが、本実施例では30μm
以下である。
【0074】また、第1レンズG1の最も物体側の面R1も
凸の曲率を有しているので、面R1が撮影光学系の光軸AX
に対して傾くように変位する構成としたり、面R1と面R4
とが互いに異なる方向に変位する構成としても同様の効
果が得られる。
【0075】次に、本実施例をズームレンズに付加した
場合の光学性能について説明する。図19は、補正光学
系を付加する前の一般的なズームレンズの広角端
〈W〉,中間焦点距離〈M〉及び望遠端〈T〉でのレン
ズ構成及び配置を示している。広角端〈W〉で焦点距
離:36mm,Fナンバー:4.1であり、望遠端
〈T〉で焦点距離:102mm,Fナンバー:7.9で
ある。このズームレンズは、物体側から順に、正のパワ
ーを有する第1群L1,正のパワーを有する第2群L2、負
のパワーを有する第3群L3より成っている。詳細なレン
ズデータについては後述する。
【0076】上記のように、手ぶれ補正時に曲率を持つ
面R4が撮影光学系の光軸に対して傾くと、収差劣化を招
いてしまうおそれがある。例えば、図19に示すような
ズームレンズに本実施例を付加した場合を考えると、広
角側では軸外光の補正過剰が少なくなるので光学性能は
良好に保たれるが、望遠側では軸外光の補正過剰よりも
収差劣化の方が問題となる可能性がある。
【0077】図20及び図21は、ズームレンズ(図1
9)の物体側に本実施例を付加し、補正光学系の最も像
側の面R4を光軸AXに対して傾くように変位させることに
よって面R4の曲率(=1/r4,r4:面R4の曲率半径)を変
えたときの軸外光の補正過剰量及び収差劣化量(軸上コ
マ及び片ボケの大きさの変化)の近似的な計算結果を示
している。ここでは、補正光学系による補正量は、曲率
を変えても軸上光の補正角が常に1°となるようにして
ある。
【0078】上記軸上コマを図22に基づいて説明す
る。光軸AXから上下にhだけ離れた平行入射光PLが、
光学系OSを通して近軸像面IAと交わる点をYh+,Y
h-とする。光学系OSが光軸AXに対して回転対称であれ
ばYh+=−Yh-であるが、回転対称がくずれるとYh+
−Yh-となる。そこで、本発明の実施例においては、絞
り開放のときのhの70%の高さのhに対し、軸上コマ
=(Yh++Yh-)/2と定義する。
【0079】次に、上記片ボケを図23に基づいて説明
する。回転対称光学系のメリディオナル像面IMは、光
軸AXに対して上下対称であるが、回転対称がくずれると
非対称となる。像高の絶対値が同じで符号が異なる
+,Y-のメリディオナル像点をM+,M-とすると、M
+−M-をメリディオナルの片ボケと定義する。サジタル
像面においても同様に定義する。
【0080】図20及び図21において、曲率0の状態
が第3従来例に示した頂角可変プリズムと同等である。
また、図20で補正過剰量が負となるのは、軸外光が軸
上光に対し補正不足となることを示す。
【0081】図20及び図21では面R4を変位させた場
合の軸外光の補正過剰量及び収差劣化量を示したが、面
R1を変位させた場合も同様の結果を得ることができる。
そこで、以下、上記のように変位させる面の曲率をCで
表し、面R1の曲率をC1、面R4の曲率をC4で表すことに
する。
【0082】図20に示すように、曲率Cが小さい領域
(ここでは、C<0.03の領域を指す)では、軸外光の
補正過剰量は広角側の方が望遠側よりも大きい。最終的
な像の性能を考えると、軸外光の補正過剰量は45μm
以下、最悪でも60μm以下である必要がある。図20
によると、45μm以下に相当する曲率Cは、0.00
8≦Cである。撮影光学系の広角端の焦点距離Flw=3
6なので、これを規格化すると、0.008×36=
0.29から次の条件式(7)が得られる。 0.29≦Flw×C ……(7)
【0083】同様に、補正過剰量が60μm以下(0.
006≦Cが相当する)の条件では、0.006×36
=0.22から次の条件式(8)が得られる。 0.22≦Flw×C ……(8)
【0084】曲率Cが大きい領域(ここでは、C≧0.
03の領域を指す)では、図21に示す収差劣化量から
必要な条件が得られる。これについて説明する。図21
に示す収差劣化においては、広角側よりも望遠側の収差
劣化が大きいことがわかる。尚、広角側の軸上コマは小
さいので、図中では省略する。
【0085】収差劣化による最終的な像性能の劣化を抑
えるには、軸上コマは30μm以内である必要がある。
また、開放F値が7.9であるので、片ボケはF値の約
5分の1である1.6mm以内である必要である。これ
らの条件を満たすには、C≦0.028であればよいこ
とが図21から分かる。撮影光学系の望遠端の焦点距離
Flt=102によって規格化すると、0.028×10
2=2.86から次の条件式(9)が得られる。 Flt×C≦2.86 ……(9)
【0086】補正光学系を焦点切換え可能な撮影光学系
の前に配置し、撮影光学系の広角端の焦点距離をFlw、
望遠端の焦点距離をFltとすると、撮影光学系の光軸に
対して傾ける面の曲率Cは、前記条件式(8)及び(9)を満
足するのが好ましい。
【0087】次に、前記条件式(7)〜(9)を満足する第6
実施例が付加された撮影光学系(図19)のレンズデータ
を前記第1実施例と同様に示す。
【0088】 <第6実施例及び撮影光学系> fALL=37.7〜106.5, FNO=4.1〜7.9 [曲率半径] [軸上面間隔] [屈折率] [アッベ数] 《第6実施例LC》 r1 45.729 d1 3.892 N1 1.52510 ν1 56.38 r2 -500.000 d2 0.800 r3 -500.000 d3 1.200 N2 1.52510 ν2 56.38 r4 43.478 d4 2.108 《撮影光学系の第1群L1》 r5 45.249 d5 1.400 N3 1.84666 ν3 23.82 r6* 34.554 d6 0.600 r7 19.472 d7 4.800 N4 1.49310 ν4 83.58 r8 111.288 d8 2.500〜9.281〜17.763 《撮影光学系の第2群L2》 r9* 159.975 d9 1.563 N5 1.72000 ν5 54.71 r10 9.346 d10 1.875 N6 1.67339 ν6 29.25 r11* 14.707 d11 1.938 r12 ∞ d12 1.250 r13 23.350 d13 1.438 N7 1.83350 ν7 21.00 r14 16.949 d14 4.800 N8 1.51728 ν8 69.43 r15* -10.609 d15 0.188 r16 ∞ d16 13.538〜7.094〜2.000 《撮影光学系の第3群L3》 r17* -45.439 d17 3.800 N9 1.84666 ν9 23.82 r18 -29.178 d18 3.450 r19* -11.467 d19 1.400 N10 1.69680 ν10 56.47 r20 -602.199
【0089】 [非球面係数] r6 r9 r11 ε 1.0000 1.0000 1.0000 A4 0.23301727×10-5 -0.10668840×10-3 0.19501904×10-4 A6 0.12235027×10-7 0.65794475×10-7 0.19679760×10-5 A8 -0.11539892×10-9 -0.30296544×10-8 0.17263757×10-7 A10 0.61206229×10-12 0.15488483×10-10 0.44427887×10-10 A12 -0.86583795×10-15 -0.68126753×10-14 0.15765695×10-12
【0090】 r15 r17 r19 ε 1.0000 1.0000 1.0000 A4 0.15471185×10-4 0.32553360×10-4 0.51933500×10-4 A6 -0.22085946×10-6 -0.45499756×10-6 0.13296847×10-6 A8 -0.85576839×10-8 0.98116623×10-8 0.30176792×10-8 A10 0.12778241×10-10 -0.96690819×10-10 -0.18781503×10-10 A12 0.12024363×10-12 0.45863179×10-12 0.13524501×10-12
【0091】G1(r1〜r2)のレンズパワー=+0.0125 G2(r3〜r4)のレンズパワー=-0.0131 Flw×C4=0.828 Flt×C4=2.346
【0092】図24に、第6実施例が付加された撮影光
学系(図19)の広角端〈W〉及び望遠端〈T〉でのレン
ズ構成及び配置を、上記レンズデータと対応させて示
す。尚、同図中の第2レンズG2は、偏心後の状態、即ち
矢印m8方向(光軸AXに対して垂直方向)に第2レンズG2を
移動させた後のレンズ配置を示している。ここで、第2
レンズG2は負レンズであるから、図24に示すように上
方向に移動させると、補正光学系は被写体からの光束を
時計回りの方向に曲げる。図24に示すように本実施例
はフロントコンバータタイプの補正光学系なので、撮影
光学系の焦点距離にかかわらず、良好な像ぶれ補正を行
うことができる。
【0093】本実施例は、物体側から順に、両凸の正レ
ンズ(G1)と両凹の負レンズ(G2)との2枚のレンズから成
っている。つまり、最も物体側の面及び最も像側の面
は、共に物体側に凸の曲率を有している。
【0094】撮影光学系は、先に説明したように第1群
L1,第2群L2及び第3群から成っている(図19)。第1
群L1は、像側に凹の負メニスカスレンズ及び物体側に凸
の正メニスカスレンズから成っている。第2群L2は、像
側に凹の負メニスカスレンズと物体側に凸の正メニスカ
スレンズとの接合レンズ,光束規制板S1,像側に凹の負
メニスカスレンズと両凸の正レンズとの接合レンズ及び
絞りS2から成っている。第3群L3は像側に凸の正メニス
カスレンズ及び物体側に凹の負メニスカスレンズから成
っている。
【0095】尚、第1群L1中の像側に凹の負メニスカス
レンズの像側の面,第2群L2中の像側に凹の負メニスカ
スレンズの物体側の面と物体側に凸の正メニスカスレン
ズの像側の面,両凸の正レンズの像側の面並びに第3群
L3中の各レンズの物体側の面は、非球面である。ズーミ
ングは、各群を同図に示すように移動させることにより
行われる。
【0096】前記第5実施例(図18)では、説明を簡単
にするため第1レンズG1と第2レンズG2とを密着させる
構成としたが、実際に第1レンズG1又は第2レンズG2を
偏心させることを考えると、第6実施例のように第1レ
ンズG1と第2レンズG2との間に空気間隔を少し開けるの
が好ましい。これは、この間隔を設けないとレンズを駆
動するのが容易でないからである。また、第6実施例で
は第1レンズG1と第2レンズG2との向かい合う面R2及び
R3が、収差補正のために若干曲率を持っているからであ
る。
【0097】図25,図26は、第6実施例が付加され
た撮影光学系において第2レンズG2を変位させる前の状
態(即ち、偏心前の状態)での横収差図であり、図27,
図28は、第6実施例が付加された撮影光学系において
第2レンズG2を光軸に対して垂直方向(図24中の矢印m
8方向)に変位させた状態(即ち、偏心後の状態)での横収
差図である。図25及び図27は広角端での横収差を示
しており、図26及び図28は望遠端での横収差を示し
ている。図27、図28に示す収差図における第2レン
ズG2の変位量は0.97mmで、軸上光の補正角は0.
7°である。図25〜図28から分かるように、本実施
例の手ぶれ補正光学系を用いれば、3倍ズームレンズで
も良好に収差を補正することができる。
【0098】第6実施例では図24に示すように補正光
学系LCの第2レンズG2を変位させたが、第1レンズG1を
変位させることで、最も物体側の面R1が撮影光学系の光
軸AXに対し傾くようにしても同様の性能が得られる。但
し、第2レンズG2とは逆に第1レンズG1は正レンズであ
るから、紙面で上方向に偏心させると被写体からの光束
は時計回りの方向に曲げられる。補正光学系LC全体では
アフォーカルであるので、第1レンズG1の物体側の面R1
の曲率C1と第2レンズG2の像側の面R4の曲率C4とはだ
いたい等しくなっているが、C1とC4とが異なっていた
としても、先に述べたように曲率に対する軸外光の補正
過剰量や収差劣化量は面R1を変位させた場合でも同様で
ある。従って、第1レンズG1の物体側の面R1を変位させ
る場合には、面R1の曲率が条件式(7)(好ましくは、条件
式(8))及び条件式(9)を満たすことが望ましい。
【0099】実際の手ぶれは1方向だけでなく、上下左
右と2次元的に動くので、補正光学系も2次元的に動か
す必要がある。1つのレンズを2次元的に動かすのは、
駆動装置が大がかりになるだけでなく、駆動精度が悪く
なる等の問題があるが、第6実施例では補正光学系の第
1レンズG1,第2レンズG2のいずれを動かしても良好な
補正ができるので、第1レンズG1と第2レンズG2をそれ
ぞれ異なる1方向に動かす構成にすると、簡単な駆動装
置で結果的に2次元の手ぶれ補正が可能となる。この場
合、上下方向に動かすレンズは、左右方向に動かすレン
ズよりも重力の影響を大きく受けるので、それに伴って
そのレンズの駆動にも大きな電力が必要となる。そこ
で、駆動に要する電力を少なくするためには、軽い方の
第1レンズG1(凸レンズ)を上下方向に移動させ、重い方
の第2レンズG2(凹レンズ)を左右方向に移動させる構成
とするのが好ましい。また、第1レンズG1を変位させる
場合には、使用者が第1レンズG1に誤って触れないよう
に第1レンズG1より物体側に保護ガラス等を配置するの
が望ましい。
【0100】次に、手ぶれ検出系について説明する。本
発明に係る実施例では手ぶれ量を別途測定する手ぶれ検
出系を用いて、手ぶれ検出系から逐次出力される手ぶれ
量に応じて補正レンズを駆動する手ぶれ補正システムを
構成することができる。
【0101】手ぶれ検出系の方式としては、レンズ鏡胴
やカメラ本体内に設置された、加速度センサーや角速度
センサーによる出力からカメラのぶれ角を計算する方
式,被写体像の変位をCCD等のイメージセンサーによ
り検出する方式等を採用することができる。後者の方式
としては、例えば撮影光学系とは別に専用の結像光学系
を有する外光方式等がある。この外光方式の場合、撮影
光学系にTTL方式のような制約がないのでコンパクト
な構成とすることが可能である。
【0102】また、前述したように特開平1-116619号に
おいて第2群,第3群を偏心させたものは、ズームレン
ズの焦点距離が変化したとき、手ぶれ補正のための偏心
レンズ群の変位量を変化させなければならない。従っ
て、偏心レンズ群の変位量を算出するのに、手ぶれ検出
系からの手ぶれ角やズームレンズの焦点距離等の情報に
高い精度が要求される。従って、個々の部品バラツキ等
を考えると相当複雑な調整等が必要となるので、大量生
産には不向きである。これに対し、本発明の実施例は補
正光学系も含めた全体の光学系を見た時、ズームにより
移動する最も前の群に補正光学系が含まれるので、ズー
ムレンズの焦点距離の変化にかかわらず高い精度の手ぶ
れ補正が可能である。
【0103】次に、第7実施例のレンズデータを前記第
1実施例と同様に示す。尚、面R5以降のズームレンズ部
分のレンズデータについては、第6実施例と同じなので
省略する。
【0104】<第7実施例> [曲率半径] [軸上面間隔] [屈折率] [アッベ数] r1 85.476 d1 1.200 N1 1.52510 ν1 56.38 r2 27.027 d2 0.825 r3 27.174 d3 3.500 N2 1.52510 ν2 56.38 r4 83.333 d4 2.476
【0105】 第1レンズG1の偏心回転中心(r2の頂点より)=27.800 第2レンズG2の偏心回転中心(r3の頂点より)=27.9
75 第1レンズG1(r1〜r2)のレンズパワー=-0.0132 第2レンズG2(r3〜r4)のレンズパワー=+0.0133 Flw×C1=0.421 Flt×C1=1.193 Flw×C4=0.432 Flt×C4=1.224
【0106】図29に、第7実施例のレンズ構成を上記
レンズデータと対応させて示す。本実施例は、物体側か
ら順に、像側に凹の負メニスカスレンズ(G1)と物体側に
凸の正レンズ(G2)との2枚のレンズから成っている。他
の実施例と同様に、最も物体側の面及び最も像側の面
は、共に物体側に凸の曲率を有している。
【0107】同図に示すように、第1レンズG1及び第2
レンズG2には、それぞれレンズ駆動用の保持部材11及
び12がレンズを挟むようにして設けられている。穴1
2,22に軸(図示せず)が取り付けられて、各レンズが
回動するように構成される。また、第6実施例と同様、
若干の収差補正のため、面R2と面R3は全く同一の曲率で
はなく、第1レンズG1,第2レンズG2の回転中心SC
1,SC2も、図示のように面R2,面R3の曲率中心から
少しずらした位置にある。
【0108】このように、本実施例の特徴は、負のパワ
ーを有する第1レンズG1と正のパワーを有する第2レン
ズG2とから成り、第1レンズG1を撮影光学系の光軸AXに
対してほぼ垂直な方向に変位させ、第2レンズG2を撮影
光学系の光軸AXに対してほぼ垂直で第1レンズG1の変位
方向に対してほぼ垂直な方向に変位させることにある。
ここで、ほぼ垂直な方向に変位させるとは、変位させる
面の球面中心から所定量離れた位置を回転中心として回
転させること(即ち、回転偏心)をいう。
【0109】図30,図31は、第7実施例が付加され
た撮影光学系(図19)において第2レンズG2を変位させ
る前の状態(即ち、回転偏心前の状態)での横収差図であ
り、図32,図33は、第7実施例が付加された撮影光
学系において第2レンズG2を偏心回転中心を軸に変位
(図29中の矢印m9)させた状態(即ち、回転偏心後の状
態)での横収差図である。図30及び図32は広角端で
の横収差を示しており、図31及び図33は望遠端での
横収差を示している。第6実施例と同じく、軸上光の補
正角は0.7°である。
【0110】前記第6実施例における変位する面R4の曲
率C4は、条件式(7)〜(9)を満足するものとしては大き
い方である。これに対して第7実施例は曲率C(=0.
012)が小さい方の例である。曲率Cが小さいと、実
施例6のような平凸レンズ+平凹レンズの構成において
補正レンズを光軸AXと垂直方向に動かす補正方法では、
各レンズのパワーが弱いので、偏心量が大きくなり、全
体の構成が大きくなる。
【0111】そこで、第7実施例では図29に示すよう
に、第1レンズG1をメニスカス凹レンズ、第2レンズG2
をメニスカス凸レンズとし、第1レンズG1と第2レンズ
G2の向かい合う面の曲率半径r2及びr3をほぼ等しくし、
r2又はr3の曲率中心の近くを回転軸として、回転させる
ことで補正を行う構成としている。曲率半径r2とr3がほ
ぼ等しく、これらの曲率中心を軸の回転中心SC1,S
C2として回転するので、面R2と面R3は回転によっても
光学的にはほとんど変化せず、第1レンズG1を回転させ
たときは第1レンズG1の物体側の面R1が撮影レンズ光軸
AXに対し傾き、第2レンズG2を回転させたときは第2レ
ンズG2の像側の面R4が撮影レンズ光軸AXに対し傾くこと
になる。
【0112】第1レンズG1,第2レンズG2のレンズのパ
ワーの絶対値は、約0.013であるので、軸上光を
0.7°変位させるのに要する補正レンズの偏心量は第
6実施例とほぼ等しく1mm弱である。一方、本発明に
係る実施例が用いられたカメラにおいて、露光時間を1
秒程度まで撮影可能とするためには、使用者の手ぶれに
よるカメラの傾きを約1.5°程度まで見込む必要があ
る。
【0113】手ぶれ角をαとし、手ぶれ補正のために偏
心させる補正レンズの焦点距離をFlとし、撮影光学系
の光軸からの偏心量をδとすると、次の式(Fr1)でおよ
その偏心量を得ることができる。 δ=Fl×tanα ……(Fr1)
【0114】例えば、α=1.5°のときに、|δ|≦3
mmとするには、次の式(Fr2)を満足する必要がある。 |Fl|≦114.6mm ……(Fr2)
【0115】手ぶれ補正のために偏心させるレンズのパ
ワーをΦaとすると、Fl=1/Φaである。従って、上
記のようにα=1.5°の補正を行うのにレンズの偏心
量を3mm以下に抑えるためには、偏心させるレンズの
レンズパワーΦaの絶対値を0.0087以上にする必
要がある。従って、偏心させるレンズは次の条件式(10)
を満足するのが好ましい。 |Φa|≧0.0087 ……(10)
【0116】次に補正によるレンズの偏心時の色収差に
ついて説明する。手ぶれが発生したとき、像点のぶれを
補正するようにレンズを偏心させ、基準波長{第7実施
例の場合、d線(588nm)}の軸上の入射光束に対し
常に像点が動かないように補正する。このとき、レンズ
の偏心量に対する像点の変位量は、基準波長の光束と他
の波長の光束とでは異なるので、軸上光においても波長
によって像点がずれて横色収差が発生する。d線に対す
るg線(436nm)の横色収差を軸上横色収差と呼ぶこ
とにすると、手ぶれ補正のために偏心させる補正レンズ
が単レンズの場合、軸上横色収差は補正レンズの曲率等
にはよらず、補正レンズのアッベ数νdにより決まる。
【0117】また、軸上横色収差は、撮影光学系の焦点
距離に比例する。図34に、軸上光の補正角が1°、撮
影光学系の焦点距離が100mmの場合の軸上横色収差
のアッベ数νdに対する変化を示す。
【0118】軸上横色収差をdY2(μm)とすると、軸
上横色収差とアッベ数との関係は、およそ次の式(Fr3)
で表される。 dY2×νd=2200 ……(Fr3)
【0119】これに撮影光学系の焦点距離Fl(mm)を
加えると、次の式(Fr4)のようになる。 dY2×νd=22×Fl ……(Fr4)
【0120】また、軸上横色収差は45μm以内に抑え
るのが望ましいので、次の式(Fr5)を満足するのが好ま
しい。 22×Fl/νd≦45 ……(Fr5)
【0121】撮影光学系がズームレンズの場合、軸上横
色収差は望遠側の方が大きいので、前述した撮影光学系
(図19)の望遠端の焦点距離Fltを用いて書き換えると
次の条件式(11)が得られる。 0.5×Flt≦νd ……(11)
【0122】この条件式(11)を満足するようなアッベ数
νdを有するガラスレンズ又はプラスチックレンズを補
正レンズとして用いるのが好ましい。現在、一般的なガ
ラスのアッベ数νdの上限は、異常分散ガラスでは85
ぐらい、汎用のガラスでは70ぐらいである。条件式(1
1)において望遠端の焦点距離Fltが150mm程度より
も大きいと、偏心させるレンズが単レンズ場合には軸上
横色収差が大きくなるのでので、2枚以上のガラスから
成る色消しレンズを使用する必要がある。
【0123】前記第1実施例〜第7実施例から、手ぶれ
補正光学系において主に手ぶれ補正に寄与する面(即
ち、レンズの平行偏心や回転偏心によって光軸に対して
傾きを発生し、手ぶれを打ち消す方向に光線を曲げる
面)は、撮影光学系の絞りの位置よりも被写体側の離れ
た位置にあり、その面形状は被写体側に凸の球面である
ことが分かる。
【0124】前記第1実施例においては、凸レンズG2
(図2)が光軸に対して垂直方向に偏心する。このとき、
平面である面R4は光学的には変化しないが、被写体側に
凸面を向けた面R3が、偏心により光学的な傾きを発生す
る。第2実施例〜第4実施例においても、被写体側に凸
を向けた面R3が光学的な傾きを発生する。第6実施例で
は、第2レンズG2を偏心させても面R3は殆ど平面に近い
ので、偏心による面R3の傾き量は少なく、光線を曲げる
ために傾くのは主に面R4である。
【0125】第1実施例〜第7実施例では、手ぶれ補正
のために傾く面は、被写体側に凸を向けたただ1つの面
が主であったが、次に示す第8実施例はレンズの偏心に
よって2つの面が光学的に傾きを発生する。
【0126】以下に、第8実施例のレンズデータを前記
第1実施例と同様に示す。尚、面R5以降のズームレンズ
部分(即ち、撮影光学系)のレンズデータについては、第
6実施例と同じなので省略する。本実施例の補正光学系
とズームレンズ(図19)とを合成したときの手ぶれ補正
前の収差性能を良くするために、若干ズームレンズの収
差補正を行う必要があるが、本実施例においては、補正
光学系による補正時の軸外光の補正過剰量と収差劣化量
とを低減することを目的とするので、ズームレンズの収
差補正については説明を省略する。
【0127】<第8実施例> [曲率半径] [軸上面間隔] [屈折率] [アッベ数] r1 246.14 d1 1.200 N1 1.52510 ν1 56.38 r2 33.33 d2 2.523 r3 55.55 d3 4.053 N2 1.52510 ν2 56.38 r4 -142.86 d4 1.000
【0128】図35に、第8実施例のレンズ構成を上記
レンズデータと対応させて示す。本実施例は、物体側か
ら順に、像側に凹の負メニスカスレンズ(G1)と両凸の正
レンズ(G2)との2枚のレンズから成っている。手ぶれ補
正時には、凸レンズである第2レンズG2を光軸AXに対し
て垂直方向(矢印m10方向)に移動(即ち、平行偏心)させ
る。同図では、第2レンズG2の偏心後の状態を示してい
る。本実施例は、第1実施例において面R1及び面R4に曲
率を持たせたタイプである。第1実施例から本実施例の
ように形状をベンディングすることによって、特に望遠
側での収差劣化を抑え、ズームレンズの変倍比をアップ
させることができる。
【0129】第8実施例で第2レンズG2を光軸AXに対し
て垂直方向に偏心させると、面R3と面R4との2箇所で面
の傾きが発生する。手ぶれ補正による主光線の曲げ角を
被写体から入射した光を1.0度、逆時計回り(正の方
向とする)に曲げるためには、計算により第2レンズG2
を光軸AXより上方向にδ=1.28mm動かせばよい。
このとき、面R3と面R4の中心は、共にδ=1.28mm
だけ光軸AXから離れる。面の曲率半径をrとすると、こ
のときの各面の回転角は、次の式(Fr6)で計算すること
ができる。 arc tan(δ/r) ……(Fr6)
【0130】面R3は+1.32度、面R4は−0.51度
の回転を発生する。結局、面R3は面R4に比べて絶対値で
2倍以上光学的に傾くことになり、上記したように手ぶ
れ補正のために主に光学的に傾きが発生する面は、面R
3、即ち被写体側に凸面を向けた面である。
【0131】第8実施例のように複数の面が光学的に傾
く場合も含めて、軸外光の補正過剰量を抑えるための条
件を、前記条件式(7),(8)を修正する形で定量的に表現
すると、それぞれ以下の条件式(12),(13)のようにな
る。
【0132】 0.29≦FLw×Σ(Φi×Θi) ……(12) 0.22≦FLw×Σ(Φi×Θi) ……(13) ここで、 FLw:手ぶれ補正光学系及びズームレンズを含んだ全
体での広角端の焦点距離 Φi:補正レンズの偏心によって変位する面のパワー Θi:被写体からの主光線を補正光学系によって逆時計
回りに1度曲げるように補正レンズを偏心させたときの
変位する面の光学的な傾き角 である。
【0133】条件式(7),(8)では、ズームレンズの広角
端の焦点距離Flwで規定したが、条件式(12),(13)で
は、手ぶれ補正光学系と撮影光学系とを含めた全体での
広角端の焦点距離で規定している。これは、補正光学系
の部分がアフォーカル系以外でも上記条件が成り立つた
めである。
【0134】Φiは、手ぶれ補正時のレンズの移動(例え
ば、第6実施例での平行偏心や第7実施例での回転偏
心)によって、光軸に対して光学的に傾きが発生する面
(被写体側からi番目の面)のパワーである。Φiは式(Fr
7)で求めることができる。 Φi=(Ni'−Ni)/ri ……(Fr7)
【0135】ここで、Niは補正レンズの変位する面よ
り物体側部分の屈折率、Ni'は補正レンズの変位する面
より像側部分の屈折率、riは補正レンズの変位する面の
曲率半径である。補正レンズの変位する面が平面であれ
ば、Φi=0である。
【0136】Θiは、被写体からの主光線を補正光学系
によって逆時計回りに1度曲げるように補正レンズを移
動(例えば、第6実施例での平行偏心や第7実施例での
回転偏心)させたときの各面(被写体側からi番目の面)の
光学的な傾き角である。Θiは次のように計算すること
で得られる。
【0137】面が平面の場合、補正レンズを平行偏心さ
せるときは、Θi=0で、補正レンズを回転偏心させる
ときは、Θi=回転変位の回転角(ここで、逆時計回りを
正とする)となる。面が球面の場合、まずレンズの平行
偏心又は回転偏心によって、球面の中心の光軸に対する
垂直方向への変位量δiを計算する。補正レンズが光軸
と垂直方向に単に偏心する場合は、δi=偏心量(ここ
で、上方向を正とする)であり、補正レンズが回転偏心
する場合、回転の中心から変位する面の球面中心までの
距離Li(ここで、右方向を正とする)とすると、次の式
(Fr8)で計算することができる。 δi=Li×tan(回転偏心の回転角) ……(Fr8)
【0138】そして、被写体側からi番目の面の曲率半
径をriとすると、面の回転角は、次の式(Fr9)で表され
る。 Θi=arc tan(δi/ri)度 ……(Fr9)
【0139】尚、上記の計算においては、被写体側は常
に左側とし、光軸方向は右側を正の方向、光軸に対して
垂直方向は上側を正の方向とする。回転方向は逆時計回
りを正、単位を度とする。また、条件式(12),(13)中の
Σは、手ぶれ補正により、光学的に傾きが発生する面す
べてについての(Φi×Θi)の合計を示す。
【0140】条件式(12),(13)の右辺の意味について説
明する。前記条件式(7),(8)の右辺には曲率Cが含まれ
ているが、第8実施例のように複数の面が光学的に傾く
場合、各面が手ぶれ補正のためにどれだけ光線を曲げる
かがポイントとなる。従って、各面の曲率(=1/ri)に
各面の屈折率による重み付けと,手ぶれ補正のために各
面が光学的に傾く角度による重み付けとを行った式とな
っている。手ぶれ補正を+1度行ったとき、Σ((Ni'−
Ni)×Θi)は、補正光学系の構成によらずほぼ+1とな
るので、条件式(12),(13)の左辺の数値は条件式(7),
(8)と同じになる。
【0141】上記条件式(12),(13)への適用には、ま
ず、レンズの平行偏心や回転偏心等の移動によって、傾
きを発生する面全てについてΦi,Θiを計算し、Φiと
Θiとを掛け合わせてから、全てを合計する。そして、
その合計値にFLwを掛けたものが、条件式(12),(13)
を満たせば、軸外光の補正過剰量は抑えられる。
【0142】表3,表4及び表5に、第1実施例〜第4
実施例,第6実施例〜第8実施例,第1比較例(特開平2
-238430号)及び第2比較例(特開平1-116619号で第1群
を偏心させた場合)における条件式(12),(13)の右辺値
に関するデータやその計算結果(手ぶれ補正角:+1度)
を示す。
【0143】
【表3】
【0144】
【表4】
【0145】
【表5】
【0146】第1実施例〜第4実施例,第6実施例及び
第7実施例のように、光学的に傾く面が主に1つの場
合、Φi×Θiが面の曲率(=1/ri)とほぼ等しい。この
場合、条件式(12),(13)は条件式(7),(8)と同義である
ことが分かる。第1比較例は、これらの条件式から外れ
ている。実際、広角側の軸外光の補正過剰量は許容レベ
ルにあるが、これは補正光学系の必要な有効径が大きい
ためであり、最大の像高が小さい(像高:Y’=4.1
mm)ビデオカメラ用のレンズで補正光学系の必要な有
効径がおよそφ60mmもあることによる。
【0147】本発明に係る実施例は、像面がビデオカメ
ラ用に比べて数倍大きい35mmフィルムフォーマット
用で最大の像高はY’=21.6mmであるが、補正光
学系の有効径はせいぜいφ30mmと半分以下である。
第1比較例を35mmフィルムフォーマットに換算する
と、有効径がφ300mm以上となり、全く実用になら
ない。従って、本発明に係る実施例のように、コンパク
トな手ぶれ補正光学系を実現するためには、条件式(1
2),(13)を満足する必要がある。
【0148】第2比較例は、条件式(12),(13)を満足し
ているが、手ぶれ補正のために偏心させる補正レンズ中
に、非球面形状を持つ面が存在することにより、軸外光
の補正過剰量が非常に大きく、光軸の曲げ角度1度、像
高Y’=15mmの軸外光で約200μmも発生してい
る。そこで、次に偏心させる補正レンズに非球面形状を
含む場合の条件について説明する。
【0149】まず、第2比較例が軸外光の補正過剰量が
大きい原因を説明する。第2比較例の非球面形状を持つ
面R2では、像高Y’=15mmの軸外光の主光線は、お
よそ高さ8.5mmあたりを通過する。手ぶれ補正のた
めの補正レンズの偏心によって面R2は上下に動くので、
高さ8.5mmあたりの面の傾きを調べてみる。その結
果を以下に示す。尚、光軸の曲げ角が1度のとき、補正
レンズの偏心量は1mm強である。
【0150】 光軸からの高さ 球面の場合の接面の傾き 非球面の場合の接面の傾き 7.5mm 21.0度 21.5度 角度差:2.9 角度差:3.3 8.5mm 23.9度 24.8度 角度差:3.0 角度差:3.4 9.5mm 26.9度 28.2度
【0151】このデータから明らかに、非球面がある場
合には補正レンズが上下することで接面の傾きが大きく
変化し、軸外光の補正過剰量が増加することが分かる。
【0152】非球面による軸外光の補正過剰量を抑える
ための定量的な条件を以下に説明する。先に示したよう
に非球面による軸外光の補正過剰量は、接面の傾きの変
化で示される。非球面による基準球面からの変位をΔx
とすると、非球面による接面の傾きは光軸高さhにより
微分ΔG=dΔx/dhで計算され、非球面による接面
の傾きの変化は、これを更に微分したものΔS=dΔG
/dhで計算される。また、非球面による軸外の補正過
剰量は、レンズの偏心による非球面の移動量及びレンズ
の屈折率にも影響されるので、次の式(Fr10)の値の大き
さにより非球面の軸外の補正過剰量を想定することがで
きる。 Fi=ΔSi(hi)×(Ni'−Ni)×Oi ……(Fr10)
【0153】式(Fr10)の右辺の各変数の意味を説明す
る。まず、ΔSi(hi)に関しては、像高Y’=15(3
5mmフィルムにおいて最も軸外の像高の70%の像
高)における軸外光の非球面における通過点の光軸から
の高さをhiとする。hiにおける非球面の基準球面から
の変位Δxの光軸高さhによる2回微分をΔSi(hi)と
する。Oiは手ぶれを1度補正するためにレンズを偏心
させた場合の光軸に対して垂直方向の非球面頂点の移動
量である。Δxは、数1の非球面の式のXと、ε=1,A
i=0と変更したときのXの値X0との差(Δx=X−X0)で
ある。
【0154】Fiの値がどれくらいならば軸外光の補正
過剰量が許容できるかを、前記第6実施例に基づいて説
明する。第6実施例の面R4を非球面とした(A4の項の値
を変えてみる)場合のFiと軸外光の補正過剰量との関係
を以下に示す。
【0155】 <第6実施例の面R4を非球面とした場合(手ぶれ補正1度)> 非球面係数(A4) ΔSi(hi) Fi 補正過剰量(μm) 0.0 0.0 0.0 6.1 1.0×10-6 0.57×10-3 0.42×10-3 27.0 2.0×10-6 1.14×10-3 0.84×10-3 47.3 3.0×10-6 1.71×10-3 1.26×10-3 66.9 4.0×10-6 2.29×10-3 1.68×10-3 85.9 5.0×10-6 2.86×10-3 2.10×10-3 104.2
【0156】尚、 hi=6.9 Ni'−Ni=-0.5251 Oi=-1.4 である。
【0157】非球面により発生する軸外光の補正過剰量
を悪くとも100μm以下に抑えるには、Fiはおよそ
2.0×10-3未満である必要がある。
【0158】第2比較例の場合、 ΔSi(hi)=0.0079 Ni'−Ni=-0.72 Oi=-1.2 であるので、Fi=6.8×10-3と大きく、軸外光の補正過
剰量が大きくなってしまうことがわかる。
【0159】一般的な補正光学系において非球面が複数
ある場合は、Fiを合計すればよい。Fiが負となる場合
は、軸外光の補正不足量が発生するが、通常非球面以外
の要因では補正過剰が発生するので、Fiが負の場合の
方が問題が少ない。図8及び図9に第1実施例に非球面
を採用した場合の収差を示したが、この非球面は曲率が
緩くなるものである。そのためΔSi(hi)及びFiが負
となるので、軸外光の補正過剰量を非球面によってより
小さく抑えている。
【0160】従って、一般的な補正光学系において非球
面が複数ある場合は、次の条件式(14)を満足するのが好
ましい。 Σ{ΔSi(hi)×(Ni'−Ni)×Oi}≦2.0×10-3 ……(14)
【0161】以上、広角側の軸外光の補正過剰量を中心
に説明したが、次に、収差劣化に関しての説明を行う。
ズームレンズの手ぶれ補正の場合、収差劣化は望遠側が
問題となる。第1実施例〜第7実施例では、補正光学系
と絞りとの関係は、広角側に対して望遠側が絞りから被
写体側に離れたものとなっている。これは望遠側での収
差劣化を少なくする1つの方法である。
【0162】補正レンズがズームレンズの絞りよりも被
写体側に位置し、ズームレンズの焦点距離が広角側から
望遠側に変化するに従って、補正レンズの位置が絞りに
対して少なくとも変化しないか又は被写体側に離れる方
向に移動するのが好ましい。つまり、ズームレンズの変
倍比にもよるが、補正光学系と絞りとの距離は、広角端
と望遠端とで少なくとも同じか、又は望遠端の方が被写
体寄りに離れた方がよいのである。
【0163】先に示した特開平1-116619号は本発明に係
る実施例とは逆に望遠側で補正光学系と絞りが近づくの
で、望遠側の収差劣化が非常に大きく、非球面による広
角側での軸外光の補正過剰量とあわせて、1度程度の手
ぶれ補正では像が非常に劣化する。尚、特開平1-116619
号の計算では手ぶれ角9分=0.15度の手ぶれ補正し
か示されていない。
【0164】更に、望遠側での収差劣化を抑えるために
は、条件式(9)と同じ意味で次の条件式(15)を満たすこ
とが望ましい。 FLt×Σ(Φi×Θi)≦2.86 ……(15)
【0165】ここで、FLtは補正光学系及びズームレ
ンズを含んだ全体での望遠端の焦点距離である。Φi及
びΘiは前記条件式(12),(13)中での定義と同じであ
る。条件式(12),(13)で示したように、光学的に傾きを
発生する面が主に1面であるとき、Φi×Θiはほぼ面の
曲率(=1/ri)に等しく、光学的に傾きが発生する面の
曲率が大きいと、望遠側での収差劣化が大きいことを示
す。先に示した表5に、各実施例等における条件式(15)
の左辺の値を併せて示す。
【0166】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、物
体側から順に物体側に凸の面を像側に有する第1透明光
学素子と,物体側に凸の面を第1透明光学素子の凸の面
に対向するように物体側に有する第2透明光学素子とか
ら成る透明光学素子の相対的変位で、撮影画像のぶれを
補正する際に、第1透明光学素子の入射面及び第2透明
光学素子の射出面が、撮影光学系の光軸に対してほぼ回
転対称な形状を保ったままの構成となっているので、前
記対向する面への入射角が前記入射面や射出面への入射
角に比べて小さくなる結果、軸外光が補正過剰にならな
くなる。従って、軸外光が軸上光と同様に良好に補正さ
れるため、撮影光学系の軸上・軸外のいずれについても
像ぶれを良好に補正しうるコンパクトな手ぶれ補正光学
系を実現することができる。例えば、撮影光学系が広角
レンズの場合であっても、像ぶれを良好に補正すること
ができる。しかも、レンズ枚数を増やす必要がないの
で、低コストで実現することが可能である。また、撮影
光学系の前部に取り付けるだけでよいので、取扱いが極
めて容易である。
【0167】また、本発明によれば、撮影画像のぶれを
補正する補正レンズが、前記条件式(13)を満足する構成
となっているので、撮影光学系の軸上・軸外のいずれに
ついても像ぶれを良好に補正しうるコンパクトな手ぶれ
補正光学系を実現することができる。更に、補正レンズ
がズームレンズの絞りよりも被写体側に位置し、ズーム
レンズの焦点距離が広角側から望遠側に変化するに従っ
て、補正レンズの位置が絞りに対して少なくとも変化し
ないか又は被写体側に離れる方向に移動するので、望遠
側での収差劣化を良好に補正することができる。しか
も、レンズ枚数を増やす必要がないので、低コストで実
現することが可能である。また、撮影光学系の前部に取
り付けるだけでよいので、取扱いが極めて容易である。
【0168】前記第1透明光学素子及び第2透明光学素
子として、それぞれ1枚のレンズで構成した場合には、
構成がより簡単でコンパクトになる。また、本発明に係
る補正光学系を付加するだけで、3倍ぐらいの高変倍ズ
ームレンズでも容易に良好な手ぶれ補正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のレンズ構成及び光路を示
す図。
【図2】本発明の第1実施例が付加された撮影光学系の
広角端及び望遠端におけるレンズ構成並びに広角端から
望遠端にかけての移動を示す図。
【図3】本発明の第1実施例における球面R3の曲率と補
正過剰量との関係を示すグラフ。
【図4】本発明の第1実施例が付加された撮影光学系の
レンズG2偏心前の広角端における横収差を示す収差図。
【図5】本発明の第1実施例が付加された撮影光学系の
レンズG2偏心前の望遠端における横収差を示す収差図。
【図6】本発明の第1実施例が付加された撮影光学系の
レンズG2偏心後の広角端における横収差を示す収差図。
【図7】本発明の第1実施例が付加された撮影光学系の
レンズG2偏心後の望遠端における横収差を示す収差図。
【図8】本発明の第1実施例が付加された撮影光学系に
おいて、面R2及びR3をε=0.5の非球面としたときの
レンズG2偏心後の広角端における横収差を示す収差図。
【図9】本発明の第1実施例が付加された撮影光学系に
おいて、面R2及びR3をε=0.5の非球面としたときの
レンズG2偏心後の望遠端における横収差を示す収差図。
【図10】本発明の第2実施例のレンズ構成図。
【図11】本発明の第3実施例のレンズ構成図。
【図12】本発明の第4実施例のレンズ構成図。
【図13】第1従来例の偏心前後の状態を示すレンズ構
成図。
【図14】第2従来例の偏心前後の状態を示すレンズ構
成図。
【図15】第3従来例の偏心前の状態を示すレンズ構成
及び光路を示す図。
【図16】球面R3の球の中心を回転中心とする回転偏心
前後の第3従来例のレンズ構成及び光路を示す図。
【図17】球面R3の焦点位置を回転中心とする回転偏心
前後の第4従来例のレンズ構成及び光路を示す図。
【図18】本発明の第5実施例のレンズ構成及び光路を
示す図。
【図19】本発明の第5実施例が付加される前の撮影光
学系の広角端,中間焦点距離状態及び望遠端におけるレ
ンズ構成を示す図。
【図20】本発明の第5実施例が付加された撮影光学系
において、最も像側の面を光軸に対して傾くように変位
させたときの軸外光の補正過剰量を示す図。
【図21】本発明の第5実施例が付加された撮影光学系
において、最も像側の面を光軸に対して傾くように変位
させたときのぶれ補正時の収差劣化量を示す図。
【図22】図21中の軸上コマを説明するための図。
【図23】図21中の片ボケを説明するための図。
【図24】本発明の第6実施例が付加された撮影光学系
の広角端及び望遠端でのレンズ構成を示す図。
【図25】本発明の第6実施例が付加された撮影光学系
のレンズG2偏心前の広角端での横収差を示す収差図。
【図26】本発明の第6実施例が付加された撮影光学系
のレンズG2偏心前の望遠端での横収差を示す収差図。
【図27】本発明の第6実施例が付加された撮影光学系
のレンズG2偏心後の広角端での横収差を示す収差図。
【図28】本発明の第6実施例が付加された撮影光学系
のレンズG2偏心後の望遠端での横収差を示す収差図。
【図29】本発明の第7実施例及びそれを駆動する駆動
機構を示す断面図。
【図30】本発明の第7実施例が付加された撮影光学系
のレンズG2偏心前の広角端での横収差を示す収差図。
【図31】本発明の第7実施例が付加された撮影光学系
のレンズG2偏心前の望遠端での横収差を示す収差図。
【図32】本発明の第7実施例が付加された撮影光学系
のレンズG2偏心後の広角端での横収差を示す収差図。
【図33】本発明の第7実施例が付加された撮影光学系
のレンズG2偏心後の望遠端での横収差を示す収差図。
【図34】軸上光の補正角が1°で、撮影光学系の焦点
距離が100mmの場合のアッベ数と軸上横色収差との
関係を表すグラフ。
【図35】本発明の第8実施例のレンズ構成図。
【符号の説明】
G1 …第1レンズ G2 …第2レンズ G3 …第3レンズ LC …補正光学系 L1 …第1群 L2 …第2群 L3 …第3群
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03B 17/00 Z

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】組み合わされた複数の透明光学素子の相対
    的変位で、該透明光学素子を透過する光束の方向を微少
    に変化させ、該光束の方向の変化によって得られた透過
    偏角で、撮影光学系が傾動したときの撮影画像のぶれを
    補正する手ぶれ補正光学系であって、 前記透明光学素子が、物体側から順に物体側に凸の面を
    像側に有する第1透明光学素子と,物体側に凸の面を前
    記第1透明光学素子の前記凸の面に対向するように物体
    側に有する第2透明光学素子とから成り、 前記撮影画像のぶれを補正する際に、前記第1透明光学
    素子の入射面及び前記第2透明光学素子の射出面が撮影
    光学系の光軸に対して、ほぼ回転対称な形状を保ったま
    まであることを特徴とする手ぶれ補正光学系。
  2. 【請求項2】ズームレンズが傾動したときの撮影画像の
    ぶれを補正レンズの偏心によって補正するズームレンズ
    用の手ぶれ補正光学系であって、 前記補正レンズが前記ズームレンズの絞りよりも被写体
    側に位置し、 前記ズームレンズの焦点距離が広角側から望遠側に変化
    するに従って、前記補正レンズの位置が前記絞りに対し
    て少なくとも変化しないか又は被写体側に離れる方向に
    移動し、 かつ、次の条件を満足することを特徴とする手ぶれ補正
    光学系; 0.22≦FLw×Σ(Φi×Θi) ここで、 FLw:手ぶれ補正光学系及びズームレンズを含んだ全
    体での広角端の焦点距離 Φi:補正レンズの偏心によって変位する面のパワー Θi:被写体からの主光線を補正光学系によって逆時計
    回りに1度曲げるように補正レンズを偏心させたときの
    変位する面の撮影レンズ光軸に対する光学的な傾き角 であり、またΣは補正レンズの偏心により変位する面全
    てについての和を示す。
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