JPH0673808B2 - フイレツトロ−ル掛け装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、エンジン等のクランクシヤフトのフイレツト
ロール掛け装置に関するものである。

〈従来の技術〉 クランクシヤフトのジヤーナル部、ピン部のフイレツト
部は強度向上のためにロール掛けが行われている。従来
のフイレツトロール掛け装置は、例えば特開昭54-11784
9号に示されているように、クランクシヤフトのピン部
（あるいはジヤーナル部）のフイレツト部をロール掛け
するフイレツトローラを保持したプレートを、ピン部
（あるいはジヤーナル部）のピツチに対応して複数設
け、各ピン部（あるいはジヤーナル部）のフイレツト部
を同時にロール掛けするようになつている。そして、フ
イレツトローラは加工すべきクランクシヤフトに応じた
マスタクランクシヤフトによつてプレートを介して揺動
させるものである。

〈発明が解決しようとする問題点〉 上記従来装置によると、フイレツトローラの揺動は加工
すべきクランクシヤフトに応じたマスタクランクシヤフ
トを用いているため、ピン部（あるいはジヤーナル部）
の長手方向のピツチ、さらには隣接するジヤーナル部と
ピン部とのピツチが異なるクランクシヤフトには対応で
きず、マスタクランクシヤフトの交換と、フイレツトロ
ーラを保持したプレートの軸方向位置の変更との段取り
替えを必要とし、多種クランクシヤフトに対する汎用性
に乏しく、作業能率の向上が得られない問題点がある。

本発明は、マスタクランクシヤフトを不要としたマスタ
クランクレスであり、ピツチの異なる各種のクランクシ
ヤフトのロール掛けを可能とし、しかもピン部とジヤー
ナル部のフイレツトを同時に行うようにし、前記従来装
置の問題点を解決したものである。

さらに本発明は、クランクシヤフトのフロント側のジヤ
ーナル部の片側のみのフイレツト部を片側専用のフイレ
ツトローラにより他のピン部、ジヤーナル部のフイレツ
トロール掛けと同時に片側フイレツトロール掛けを可能
としたものである。

〈問題を解決するための手段〉 本発明は、駆動装置によって回転可能に支持したクラン
クシャフトの軸線方向に沿って数値制御指令に応じて送
り移動可能な可動台と、この可動台に前記クランクシャ
フトの軸線に平行な軸線のまわりに揺動可能に支持した
揺動アームと、前記可動台に揺動アームのクランクシャ
フト軸線方向両側に支持した一対の支持部材とを備え、
この支持部材の１つにクランクシャフトのジャーナル部
のフィレット部に臨むフィレットローラを保持した一対
のプレートを開閉可能に枢支した第１のジャーナル部ロ
ール掛け用のフィレットローラ装置を設け、前記揺動ア
ームにはクランクシャフトのピン部のフィレット部に臨
むフィレットローラを保持した一対のプレートを開閉可
能に枢支したピン部ロール掛け用のフィレットローラ装
置を設け、さらに前記支持部材の他の１つにクランクシ
ャフト端のジャーナル部の片側フィレット部に臨むフィ
レットローラを保持した一対のプレートを開閉可能に枢
支した第２のジャーナル部ロール掛け用のフィレットロ
ーラ装置を設け、前記３つのフィレットローラ装置のう
ちの２つを前記可動台に対してクランクシャフトの軸線
方向に数値制御指令に応じて移動可能に設けたものであ
る。

〈作用〉 上記技術手段は次のように作用する。

可動台に設けられたジヤーナル部用とピン部用のフイレ
ツトローラは、数値制御指令による可動台の送り移動に
より、各種のクランクシヤフトのジヤーナル部とピン部
の各々のフイレツト部に対応し、クランクシヤフトの回
転によりジヤーナル部並びにピン部に倣つて揺動アーム
並びにプレートの揺動で公転し、かつ自転してジヤーナ
ル部並びにピン部のフイレツトを同時にロール掛けす
る。

さらに、ジヤーナル部の片側フイレツト用のローラによ
り、前記ジヤーナル部、ピン部のフイレツトロール掛け
と同時に、クランクシヤフト端のジヤーナル部の片側フ
イレツトをロール掛けするものである。

〈実施例〉 以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。第１図
において、１はベツド、２、３は前記ベツド１上に固設
されたコラムである。この一方のコラム２には水平軸線
の主軸４が図略の駆動モータにて回転駆動並びに角度制
御可能に軸承されている。５は主軸４端に設けられたチ
ヤツクである。他方のコラム３にはテールストツク６が
設けられ、前記チヤツク５とテールストツク６との間に
クランクシヤフトＷが支持される。

前記コラム２、３の上面間に案内ベース７が固設され、
この案内ベース７の上面の水平面には前記クランクシヤ
フトＷの軸線方向に沿つた案内レール８が設けられてい
る。そして、この案内レール８上には可動台９が数値制
御指令に応じて送り移動可能に案内されている。10は前
記可動台９の送りモータで、可動台９の下面に固設され
たナツト12と螺合するボールねじ11を回転する。

前記可動台９の下面には一対の支持プレート13が垂設さ
れている。この支持プレート13にはクランクシヤフトＷ
の軸線のまわりに揺動可能な第１支持アーム14a、第２
支持アーム14b、さらに揺動アーム14cが後述するように
支持されている。

前記第１支持アーム14aには第２図乃至第４図に示すよ
うに、上部プレート15と下部プレート16とがクランクシ
ヤフトＷの軸線と平行な軸17によつて開閉可能に枢支さ
れている。また、この上部プレート15及び下部プレート
16の先端にはクランクシヤフトＷのジヤーナル部Ｊのフ
イレツト部に臨むフイレツトローラ37がローラホルダを
介して取付けられている。上部プレート15及び下部プレ
ート16の後端間に開閉並びにフイレツトローラ37の加圧
用シリンダ18が取付けられている。

前記揺動アーム14cにも上部プレート19と下部プレート2
0が支軸21によつて開閉可能に枢支されている。この上
部プレート19と下部プレート20の先端にはクランクシヤ
フトＷのピン部Ｐのフイレツト部に臨むフイレツトロー
ラ38がローラホルダを介して取付けられ、後端間には開
閉並びにフイレツトローラ38の加圧用シリンダ22が取付
けられている。

さらに、第２支持アーム14bにも前記と同様に上部プレ
ート39と下部プレート40とが支軸43によつて開閉可能に
枢支されている。この第２支持アーム14bに枢支されて
いる上部プレート39の先端には第４図で示すようにクラ
ンクシヤフトＷのフロント側の端部ジヤーナル部JEの片
側フイレツト部のみに臨むフイレツトローラ41がローラ
ホルダを介して取付けられ、下部プレート40の先端には
前記ジヤーナル部JEに当接するローラ42がローラホルダ
を介して取付けられている。

第１図及び第２図において、23は第１支持アーム14aと
第２支持アーム14bとに枢支されているプレート開放角
度位置規制用のシリンダであり、24は揺動アーム14cに
枢支されているプレート開放角度位置規制用のシリンダ
である。25は前記シリンダ24にて昇降動する規制板を示
し、プレート開放時には前記揺動アーム14cの揺動を規
制するようにしている。

前記第１、２支持アーム14a、14b、さらに揺動アーム14
cは、その相互の間隔が自動調整可能となつている。そ
の構成を第３図によつて説明する。

第１支持アーム14aは支持プレート13に固着した固定軸2
6に揺動可能に支持される。一方、第２支持アーム14bは
固定軸26と同軸上に一対の支持プレート13間に軸移動可
能に軸承した支持軸29上に揺動可能に支持される。そし
て支持軸29は、一方の支持プレート13に固設されたモー
タ34並びにエンコーダ35によつて所要角度で回転する送
りねじ36と螺合し、この送りねじ36のリードによつて隣
合うジヤーナル間のピツチに応じて軸移動し、第２支持
アーム14bは第１支持アーム14aに対し間隔を自動調整す
るものである。30は支持軸29の先端に設けられているバ
ツクラツシ除去用のスプリングである。

さらに、揺動アーム14cも前記第１支持アーム14aに対し
て同様に間隔自動調整可能となつている。この場合、支
持軸27を一対の支持プレート13間に前記支持軸29と平行
に軸移動可能に軸承し、一方の支持プレート13に固設し
たモータ31並びにエンコーダ32によつて所要角度で回転
する送りねじ33と螺合させ、送りねじ33のリードによつ
て隣接するジヤーナル部とピン部とのピツチに応じて軸
移動させるようにする。28は支持軸27の先端に設けたバ
ツクラツシ除去用のスプリングである。

そこで、本発明は、第１支持アーム14aに枢支された上
部プレート15と下部プレート16とに設けられたフイレツ
トローラ37によるジヤーナル部Ｊ用と揺動アーム14cに
枢支された上部プレート19と下部プレート20とに設けら
れたフイレツトローラ38によるピン部Ｐ用とを一組とし
て全ジヤーナル部Ｊ、ピン部Ｐのフイレツトロール掛け
を行う構成と、前記ジヤーナル部Ｊ用、ピン部Ｐ用に加
えてクランクシヤフト端のジヤーナル部JE（片側フイレ
ツトのみ）用を一組とした構成となる。

前記ジヤーナル部Ｊ用とピン部Ｐ用を一組とした構成の
場合、ジヤーナル部Ｊの両端フイレツト部分にフイレツ
トローラ37を圧接し、このジヤーナル部Ｊに隣接するピ
ン部Ｐの両側フイレツト部分にフイレツトローラ38を圧
接して駆動モータによつて主軸４を回転し、クランクシ
ヤフトＷを回転する。このクランクシヤフトＷの回転に
より、揺動アーム14cの揺動と上部プレート19並びに下
部プレート20の駆動によつてフイレツトローラ38はピン
部Ｐに倣つて公転し、かつ自転してピン部Ｐのフイレツ
ト部をロール掛けするとともに、上部プレート15、下部
プレート16のフイレツトローラ37によりジヤーナル部を
同時にロール掛けするものである。

この隣接するジヤーナル部とピン部Ｐのフイレツトロー
ル掛けが完了すると、チヤツク５が定位置停止し、上部
プレート15、下部プレート16並びに上部プレート19、下
部プレート20が開放されプレート開放角度位置規制用の
シリンダ23、24の作動によつて、上部プレート15、下部
プレート16はジヤーナル部Ｊを中心とし、また上部プレ
ート19、下部プレート20もジヤーナル部Ｊを中心として
等量の開放角度位置を規制する。

しかる後に、数値制御指令に応じて可動台９が所定量
（隣合うジヤーナル部のピツチ）送り移動し、次にロー
ル掛けすべきジヤーナル部Ｊと、これに隣接するピン部
Ｐに対応する位置に割出される。以下上記の動作を繰返
して全ジヤーナル部Ｊとピン部Ｐとをフイレツトロール
掛けするのである。

次に、第２支持アーム14bを加えてジヤーナル部Ｊ用、
ピン部用及びクランクシヤフト端のジヤーナル部JE用
（片側フイレツトのみ）を一組とした場合、全ジヤーナ
ル部、ピン部Ｐのフイレツトロール掛けは前記と同一の
動作で行われる。その間第２支持アーム14bの上部プレ
ート39、下部プレート40は開放状態とし、クランクシヤ
フトＷのフロント側の端部においてはジヤーナル部Ｊ、
ピン部Ｐ並びにジヤーナル部JEのフイレツトロール掛け
を同時に行うものである。

また、ジヤーナル部Ｊとピン部Ｐ、さらにはジヤーナル
部JEの間隔が異なるクランクシヤフトＷに対しては、第
２支持アーム14b、さらには揺動アーム14cを数値制御指
令に基づいて支持軸27、29を軸移動させて対応させる。

尚、上記した実施例においては、間隔調整を自動的に行
う例について述べたが、間隔調整はクランクシヤフトの
種類に応じて手動で設定することもできるものである。

〈発明の効果〉 上記したように本発明は、クランクシヤフトの軸線方向
に沿って数値制御指令に応じて送り移動可能な可動台
に、揺動アームと、この揺動アームの両側に一対の支持
部材とを備え、この支持部材の１つにクランクシャフト
のジャーナル部のフィレット部に臨むフィレットローラ
を保持した一対のプレートを開閉可能に枢支した第１の
ジャーナル部ロール掛け用のフィレットローラ装置を設
け、前記揺動アームにはクランクシャフトのピン部のフ
ィレット部に臨むフィレットローラを保持した一対のプ
レートを開閉可能に枢支したピン部ロール掛け用のフィ
レットローラ装置を設け、さらに前記支持部材の他の１
つにクランクシャフト端のジャーナル部の片側フィレッ
ト部に臨むフィレットローラを保持した一対のプレート
を開閉可能に枢支した第２のジャーナル部ロール掛け用
のフィレットローラ装置を設け、これら３つのフィレッ
トローラ装置のうちの２つを可動台に対してクランクシ
ャフトの軸線方向に数値制御指令に応じて移動可能に設
けた構成であるので、マスタクランクシャフトの必要性
がなくなり、異なるクランクシャフトのロール掛けにお
いて段取り替えの面倒な作業を省略できる利点がある。

しかも本発明によれば、ジャーナル部（もしくはピン
部）相互のピツチ間隔及びジャーナル部とピン部とのピ
ツチ間隔の異なる各種形状のクランクシャフトに対応で
きるようになり、汎用性を向上できる利点がある。

さらに、前記クランクシヤフトのフロント側端部の片側
だけのフイレツトを有するジヤーナルも片側専用のロー
ラによつて他のジヤーナル部、ピン部のフイレツトロー
ル掛と同時にロール掛けを行うことが可能となり、クラ
ンクシヤフトのフロント側のジヤーナル部フイレツト処
理が能率的に得られ生産性を向上する利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置の正面図、第２図は第１図II-II線
拡大断面図、第３図は第２図III-III線断面図、第４図
はフイレツトロール掛け状態を示す要部断面図である。 １…ベツド、２、３…コラム、４…主軸、５…チヤツ
ク、６…テールストツク、７…案内ベース、８…案内レ
ール、９…可動台、10…送りモータ、11…ボールねじ、
12…ナツト、13…支持プレート、14a…第１支持アー
ム、14b…第２支持アーム、14c…揺動アーム、15…上部
プレート、16…下部プレート、17…支軸、18…加圧用シ
リンダ、19…上部プレート、20…下部プレート、21…支
軸、22…加圧用シリンダ、37、38…フイレツトローラ、
39…上部プレート、40…下部プレート、41…フイレツト
ローラ、42…ローラ、Ｗ…クランクシヤフト、Ｊ…ジヤ
ーナル部、Ｐ…ピン部、JE…ジヤーナル部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】駆動装置によって回転可能に支持したクラ
   ンクシャフトの軸線方向に沿って数値制御指令に応じて
   送り移動可能な可動台と、この可動台に前記クランクシ
   ャフトの軸線に平行な軸線のまわりに揺動可能に支持し
   た揺動アームと、前記可動台に揺動アームのクランクシ
   ャフト軸線方向両側に支持した一対の支持部材とを備
   え、この支持部材の１つにクランクシャフトのジャーナ
   ル部のフィレット部に臨むフィレットローラを保持した
   一対のプレートを開閉可能に枢支した第１のジャーナル
   部ロール掛け用のフィレットローラ装置を設け、前記揺
   動アームにはクランクシャフトのピン部のフィレット部
   に臨むフィレットローラを保持した一対のプレートを開
   閉可能に枢支したピン部ロール掛け用のフィレットロー
   ラ装置を設け、さらに前記支持部材の他の１つにクラン
   クシャフト端のジャーナル部の片側フィレット部に臨む
   フィレットローラを保持した一対のプレートを開閉可能
   に枢支した第２のジャーナル部ロール掛け用のフィレッ
   トローラ装置を設け、これら３つのフィレットローラ装
   置のうちの２つを前記可動台に対してクランクシャフト
   の軸線方向に数値制御指令に応じて移動可能に設けたこ
   とを特徴とするフィレットロール掛け装置。