JPH0673800B2 - 円筒金型内面研磨方法及びその装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は製鉄所その他鋳物工場等において金型を型抜し
た後、金型の内面を波状に研磨する円筒金型内面研磨方
法及びその装置に関する。

〔従来の技術〕

従来からインゴット鋳造用の円筒状の金型は、内面にイ
ンゴットが抜けやすくする為に糖密等を塗ることが行わ
れているが、円滑な面に糖密を塗ると該糖密が剥離し易
いので、内部に波状あるいは線状の研磨面を形成するこ
とが行われている。従来例に係る該研磨作業は、地上に
水平に仮置きしたローラー付架台上に円筒状の金型を横
置きし、長尺研磨軸を備えた研磨材側に手持ハンドルを
設け、両腕を旋回又は、金型内面と平行移動させながら
研磨していた。

そして、作業者の体力体型に応じ研磨幅が異なるため、
その都度金型下部に設置されたローラー部に梃を使用し
て回転させて研磨部の位置決めを行っていた。

また、手動で波状研磨面を出す際は、手動高速グライン
ダーを両手で持ち、金型内部に入り中腰姿勢で金型内面
研磨を施していた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところが、前記従来例に係る金型内面研磨作業において
は、研磨作業を人力によって行っており、研磨対象とな
る金型には残熱金型もあって作業場は高温で、また切粉
粉塵などの発生で作業上環境も極めて悪く、更には、金
型に研磨材を押さえ込む面圧調整のためにかなりの労力
が必要であり、研磨材の破壊飛散による危険性が伴うと
いう問題点があった。

一方、該研磨作業を行う装置として、特公昭46−29834
号公報記載の自動鋳型研磨機があるが、該自動研磨機は
金型を横置きし、該金型の内面に可動台の先端に回動自
在に取付けられモータによって駆動される円板形砥石を
配設し、該円板形砥石によって金型内面を研磨する構造
となっていたが、前記特公昭46−29834号公報記載の自
動鋳型研磨機においては、金型内面の波状の凹凸を設け
ることは困難であり、従って、最終工程で人の手作業に
よる研磨作業が必要であった。

本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、人力
を必要とせずに金型の内面を波状に研磨する安全で能率
の良い円筒金型内面研磨方法及びその装置を提供するこ
とを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

前記目的に沿う本発明に係る円筒金型内面研磨方法は、
円筒金型をターンテーブルの上に軸心を合わせて配置
し、該円筒金型の内面を研磨する円板状の回転駆動され
る研磨材を昇降可能に配備して、該円筒金型の内面を研
磨する方法において、前記研磨材を該円筒金型の半径方
向に首振り自在に設けると共に、前記研磨材を前記円筒
金型の内面に押圧する押圧手段及び該研磨材が研磨時に
発生する反発力の緩衝手段を設け、前記回転駆動される
研磨材を前記押圧手段によって該円筒金型の内面に接触
させ、該研磨材が該円筒金型の内面に接触する場合に発
生する反発力によって該研磨材を該円筒金型の内面から
離すと共にその反発力を前記緩衝手段によって調整し
て、該研磨材を振動的に該円筒金型の内面に接触させ、
該円筒金型の内面を波状に連続加工するようにして構成
されている。

また、前記目的に沿う本発明に係る円筒金型内面研磨装
置は、円筒金型を載せる芯出し金物付きターンテーブル
と、該ターンテーブルとは別位置に配置されたアーム台
に旋回可能に支承され、前記ターンテーブルに載置され
た前記円筒金物の上方に隙間を有して横設可能なアーム
と、該アームに進退可能に設けられた走行台車と、該走
行台車に昇降可能に取付けられた昇降ポストと、該昇降
ポストに回転自在に支承されたモータによって回転駆動
される垂直配置された動力軸と、垂下部と水平部を有し
前記昇降ポストの下部に回動自在に取付けられ前記アー
ムの長手方向に首振り自在な可動ブラケットと、前記動
力軸に自在継手を介して連結されて前記可動ブラケット
の垂下部に回転自由に支承された駆動軸と、該駆動軸の
下部に取付けられた円板状の研磨材と、前記可動ブラケ
ットの水平部に設けられた押圧手段と、研磨時に前記可
動ブラケットに発生する反発力を緩衝して調整する緩衝
手段とを有して構成されている。

ここに、押圧手段とは、回転する研磨材を金型内面に押
圧するものであればいかなるものでも適用可能であり、
例えば水平部に取付けられている錘あるいはスプリング
等をいう。

〔作用〕

本発明に係る円筒金型内面研磨方法は、芯出し金物付き
ターンテーブルの上に円筒金型が載置されるので、ター
ンテーブルの中央に円筒金型を載置して回転させること
ができ、この円筒金型の内面にモータに取付けられて回
転する研磨材を当接することによって円筒金型の内面が
研磨されることになる。

そして、前記研磨材は首振り自在に取付けられ、しかも
押圧手段によって円筒金型内面に押圧され、更には反発
力を緩衝する緩衝手段が設けられているので、円筒金型
内縁に押圧された研磨材は内面に振動的に接触するの
で、該円筒金型が回転していることもあって、波状に研
磨されることになる。

即ち、高速回転する研磨材は、遠心力及び摩擦力により
衝突エネルギーが発生し研磨材が円筒金型内面から跳ね
上がり及び押圧部材による押し下げを繰り返すことにな
り、その周期は押圧力及び反発緩衝手段のエネルギー吸
収力によって決まることになる。そしてその往復運動は
単一の回転周期の加振力ではなく、幾つかの正弦振動の
合成により研磨軌跡が発生し、これによって円筒金型内
面が波状に研磨されることになる。

そして、前記回転する研磨材には昇降手段が設けられて
いるので、これによって円筒金型の内面の全面を波状に
凹凸をつけた研磨をすることが可能となる。

次に、本発明に係る円筒金型内面研磨装置においては、
円筒金型が載置されるターンテーブルの上に横設可能な
アームに昇降ポストが設けられた走行台車を取付けて、
下部に設けられた円板状の研磨材が前記円筒金型の内部
に嵌入そして当接自在としている。

そして、前記研磨材は駆動軸の下部に取付けられ、更に
前記駆動軸は自在継手を介して前記昇降ポスト内に垂直
配置された動力軸に連結され、しかも前記駆動時は前記
昇降ポストの下部に回動自在に取付けられた可動ブラケ
ットに取付けられ、該可動ブラケットの水平部には押圧
手段が設けられて、研磨材を円筒金型の内側に押圧する
ようにしている。これによって駆動軸が回転駆動された
状態で首振りができる。そして、前記研磨材が円筒金型
の内側に当接すると、反発力が発生し、前記駆動軸が自
在継手の部分が折れ曲がるが、これを緩衝手段によって
ある程度吸収している。そして、押圧手段が作動するの
で直ちに元に戻って研磨し、再度反発されるので、研磨
材が当接及び反発を周期的に繰り返える。この状態で円
筒金型を前記ターンテーブルによって回転するので円筒
金型の内面が波状に研磨加工される。

〔実施例〕

続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化し
た一実施例につき説明し、本発明の理解に供する。

ここに、第１図は本発明の一実施例に係る円筒金型内面
研磨装置の側面図、第２図は前記実施例に係る円筒金型
内面研磨装置の平面図、第３図は前記実施例に係る円筒
金型内面研磨装置を構成する研磨材の取付状態を示す部
分拡大正面図、第４図は前記実施例に係る円筒金型内面
研磨装置を構成する研磨材の取付状態を示す部分拡大側
面図である。

第１図、第２図、第４図に示すように本発明の一実施例
に係る円筒金型内面研磨装置10は、円筒金型11を載置す
る芯出し金物付きターンテーブル12と、該円筒金型11の
内部に移動することができるモータ13に連結される研磨
材の一例である円板状砥石14と、該砥石14を支持する首
振り部15と、該首振り部15に取付けられた押圧手段の一
例である錘16及び緩衝手段の一例であるダンパー17と、
前記砥石14をその取付部材と共に昇降する昇降手段18
と、該昇降手段18を支える旋回自由な架台19とを有して
構成されている。以下、これらについて詳しく説明す
る。

前記実施例においては、架台19は研磨対象物である円筒
金型11が大型重量物であるため構造上、旋回範囲及び上
下移動距離が大きく、基礎20に据付けられたアーム台21
にはアーム22が旋回できるようにして取付けられてい
る。

そして、前記円筒金型11の搬入及び研磨材の交換を安全
な位置にて行うためにアーム22の旋回固定位置を作業位
置０度、金型荷役時位置45度、収納及びメンテナンス位
置90度に設定し、捻子付テーパーピン23を差し込むこと
によってアーム22が固定され安全が確保されている。

前記アーム22にはリニアウェイがあり、走行台車24が組
込まれ、電動シリンダー24aを駆動源として横振れ誤差
のない円滑な走行移動をなして前記砥石14の横移動を可
能にしている。

前記走行台車24に支持部材を介して取付けられその上端
はモータ13に連結されている動力軸25は、長尺でしかも
高速回転のため、昇降ポスト26の内部に固定されたボー
ルベアリングによって支持され、軸の撓みを最小限度に
留めている。前記昇降ポスト26は前記した昇降手段18に
よって上下するようになっているが、該昇降手段18は、
該昇降ポスト26に取付けられたリニアウェイ・ラック
と、該リニアウェイ・ラックを駆動する減速モータ27、
ウォーム減速機28とを有してなり、精度良く該昇降ポス
ト26を上下させるようになっている。

前記動力軸25の下部には、第３図に示すように自在継手
の一例である高速回転用の自在十字軸継手29が直結さ
れ、該自在十字軸継手29の他端側には、下部に砥石14が
取付けられている駆動軸30が接続されて、該首振り部15
を操作して駆動軸30の角度を変えても前記動力軸25から
の動力が円滑に伝わるようになっている。

前記首振り部15を構成する可動ブラケット31は、第４図
に示すように直角構造をなして垂下部31aと水平部31bを
有し連結ピン33を介して昇降ポスト26の下部に首振り自
由に取付けられている。そして、前記垂下部31aには軸
受ケース32が取付けられ、該軸受ケース32には両端に二
組のベアリング34、35及び該ベアリング34、35に軸着さ
れている前記駆動軸30が組込まれ軸の振れ防止、安定化
を図っている。

前記可動ブラケット31の水平部31bには捻子棒36が設け
られ、移動調整（分割式）用の前記錘16が取付けられ、
モーメントを利用して前記砥石14の押圧力である加圧調
整が可能なものとしている。

前記砥石14の加圧及び衝突圧力吸収用として、前記可動
ブラケット31には緩衝手段の一例であるダンパー17が取
付けられている。このダンパー17はスプリングが内部に
組み込まれた油圧式になって金型内面研磨肌面の精度、
波状研磨面加工が選択容易にするため負荷を広範囲（１
〜100％）に調整でき、最適の条件にて確実に首振り部1
5が作動し、適当に砥石14に振動を与えて円筒金型11の
内面を波状に研磨できるようになっている。

本装置を動かす場合には、研磨する円筒金型11の寸法に
合わせて前記昇降ポスト26に取付けた図示しない距離セ
ンサー用蹴り金具の位置セットを行に、前記砥石14の移
動距離等を設定しておく。

そして、研磨しようとする円筒金型11を芯出し金物付タ
ーンテーブル12上に載せて回転させ、砥石14が円筒金型
11の内面に当接するように走行台車24の位置調整を行
い、この後昇降手段18を操作して砥石14によって円筒金
型11の内面研磨を行う。

なお、以上の工程は、適用金型の型抜き後の残塗膜の通
常清掃研磨、塗布剤のための波状研磨、切削切込量の設
定、金型寸法設定が完了すれば全て自動制御によって無
人で行うことも可能である。

そして、自動によって行うことによって、規則正しい波
形となった研磨作業を能率的に安全に行うことができ
る。

なお、前記砥石に固い粒体が散在する砥石を使用するこ
とによって、円筒金型11の内面に線状に凹凸を形成する
ことも可能であり、これによって更に複雑な研磨面を自
動的に形成することができる。

〔発明の効果〕

本発明に係る円筒金型内面研磨方法及びその装置は以上
の説明からも明らかなように、回転する円筒金型の内面
に回転する研磨材が首振り自在に配設され、しかも該研
磨材には押圧手段及び研磨中の反発力の緩衝を行う緩衝
手段が設けられているので、研磨によって研磨材が円筒
金型の半径方向に首振りを繰り返す振動を起こして波状
の研磨面を自動的に形成しながら研磨作業を行うことが
可能となる。

従って、従来の如く研磨作業を人力によって行う必要が
なく、円筒金型に残熱があっても作業を安全に行うこと
ができ、更には研磨作業に伴う切粉粉塵等が発生しても
作業上影響がない。

更には、本装置の駆動を円筒金型に合わせてプログラム
することにより、全ての研磨作業を自動化することも可
能であり、これによって作業能率の向上及び省力化を図
ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係る円筒金型内面研磨装置
の側面図、第２図は前記実施例に係る円筒金型内面研磨
装置の平面図、第３図は前記実施例に係る円筒金型内面
研磨装置を構成する研磨材の取付状態を示す部分拡大正
面図、第４図は前記実施例に係る円筒金型内面研磨装置
を構成する研磨材の取付状態を示す部分拡大側面図であ
る。 〔符号の説明〕 10……円筒金型内面研磨装置、11……円筒金型、12……
芯出し金物付きターンテーブル、13……モータ、14……
砥石（研磨材）、15……首振り部、16……錘（押圧手
段）、17……ダンパー（緩衝手段）、18……昇降手段、
19……架台

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円筒金型をターンテーブルの上に軸心を合
   わせて配置し、該円筒金型の内面を研磨する円板状の回
   転駆動される研磨材を昇降可能に配備して、該円筒金型
   の内面を研磨する方法において、 前記研磨材を該円筒金型の半径方向に首振り自在に設け
   ると共に、前記研磨材を前記円筒金型の内面に押圧する
   押圧手段及び該研磨材が研磨時に発生する反発力の緩衝
   手段を設け、 前記回転駆動される研磨材を前記押圧手段によって該円
   筒金型の内面に接触させ、該研磨材が該円筒金型の内面
   に接触する場合に発生する反発力によって該研磨材を該
   円筒金型の内面から離すと共にその反発力を前記緩衝手
   段によって調整して、該研磨材を振動的に該円筒金型の
   内面に接触させ、該円筒金型の内面を波状に連続加工す
   ることを特徴とする円筒金型の内面研磨方法。
2. 【請求項２】円筒金型を載せる芯出し金物付きターンテ
   ーブルと、該ターンテーブルとは別位置に配置されたア
   ーム台に旋回可能に支承され、前記ターンテーブルに載
   置された前記円筒金物の上方に隙間を有して横設可能な
   アームと、該アームに進退可能に設けられた走行台車
   と、該走行台車に昇降可能に取付けられた昇降ポスト
   と、該昇降ポストに回転自在に支承されモータによって
   回転駆動される垂直配置された動力軸と、垂下部と水平
   部を有し前記昇降ポストの下部に回動自在に取付けられ
   前記アームの長手方向に首振り自在な可動ブラケット
   と、前記動力軸に自在継手を介して連結され前記可動ブ
   ラケットの垂下部に回転自由に支承された駆動軸と、該
   駆動軸の下部に取付けられた円板状の研磨材と、前記可
   動ブラケットの水平部に設けられた押圧手段と、研磨時
   に前記可動ブラケットに発生する反発力を緩衝して調整
   する緩衝手段とを有してなることを特徴とする円筒金型
   内面研磨装置。
3. 【請求項３】押圧手段は、重力によって研磨材を円筒金
   型の内面に押圧する錘からなる特許請求の範囲第２項記
   載の円筒金型内面研磨装置。