JPH0672312A - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

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JPH0672312A
JPH0672312A JP4255795A JP25579592A JPH0672312A JP H0672312 A JPH0672312 A JP H0672312A JP 4255795 A JP4255795 A JP 4255795A JP 25579592 A JP25579592 A JP 25579592A JP H0672312 A JPH0672312 A JP H0672312A
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JP
Japan
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value
rotation speed
rotation
control
duty control
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JP4255795A
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English (en)
Inventor
Shirou Kadosaki
司朗 門崎
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 直流サーボモータの回転制御によってブレー
キシリンダ圧を制御するアンチスキッド制御装置におい
て制御精度を高める。 【構成】 モータの駆動電流として制御装置により出力
される補正デューティ制御比が、(スリップ状態量から
求められた生デューティ制御比(負)−直流サーボモー
タの前回の回転速度)とされる(S51)。補正デュー
ティ制御比の絶対値は、前回のモータの回転速度が負の
場合には、慣性に従って制御することになるため小さく
され、モータの回転速度が正の場合には、慣性に逆らっ
て制御することになるため大きくされる。このように、
補正デューティ制御比をスリップ状態量と回転速度とに
基づいて決定すれば、、ブレーキシリンダ圧をスリップ
状態量に基づく要求通りに制御することができ、アンチ
スキッド制御精度を高めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電動モータを備えたア
ンチスキッド制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より電動モータを備えたアンチスキ
ッド制御装置が知られている。例えば、特開平4─16
6463号公報には、(1)回転可能な電動モータと、
(2)その電動モータの回転によって移動させられる可
動部材と、(3)その可動部材の移動により容積が変化
させられ、車輪の回転を抑制するブレーキシリンダに連
通させられた液室と、(4)電動モータの回転を車輪の
スリップ状態量に基づいた指令によって制御するモータ
制御装置とを備え、ブレーキシリンダ圧を車輪のスリッ
プ率が設定範囲内になるよう制御するアンチスキッド制
御装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に記
載されたアンチスキッド制御装置には、電動モータの回
転をスリップ状態量に基づいた指令通りに制御すること
ができないために、ブレーキシリンダ圧を適正に制御す
ることができないという問題があった。電動モータが同
じ方向に回転し続けようとする慣性を有しているため、
モータ制御装置が同じ指令を発しても、電動モータの回
転状態によって、制御後の電動モータの回転状態が異な
ってしまうからである。
【0004】上記公報に記載された従来のモータ制御装
置においては、電動モータがどのような回転状態にあっ
ても、スリップ状態量から図7のテーブルを用いてデュ
ーティ制御比が求められ、そのデューティ制御比の指令
が発せられていた。そのため、同じデューディ制御比の
信号が出力されても、電動モータの回転速度(回転方向
を表す正,負の符号を含む値である。)が異なっていれ
ば、信号出力後の回転速度が異なってしまうのである。
【0005】例えば、増圧中に車輪のスリップ状態量が
大きくなって減圧指令が出力される場合と、減圧中に、
その減圧効果が十分ではないためにさらに減圧指令が出
力される場合とがあるが、前者の場合には、電動モータ
の回転方向を変えなければならないため、その分制御遅
れが生じ、後者の場合には、回転速度が大きくなり過ぎ
るため、減圧勾配が大きく、減圧過多となり、制動距離
が長くなる等制御過剰が生じる。つまり、前者のよう
に、電動モータを、その慣性に逆らって制御する場合に
は制御遅れが生じ、後者のように慣性に従って制御する
場合には制御過剰が生じるのである。また、そのため、
ブレーキシリンダ圧がハンチング状態となる場合もあっ
た。
【0006】本発明は、以上の事情を背景として、電動
モータを備えたアンチスキッド制御装置において、電動
モータの回転をスリップ状態量に基づいた指令に忠実に
従わせ得るようにすることを課題として為されたもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、前記
(1) 電動モータと、(2) 可動部材と、(3) 液室と、(4)
モータ制御装置とを備えたアンチスキッド制御装置にお
いて、モータ制御装置による指令が、現在と過去との少
なくとも一方における電動モータの回転状態量と、車輪
のスリップ状態量とに基づいて決定されるようにするこ
とにある。
【0008】
【作用】本発明のアンチスキッド制御装置においては、
電動モータの回転を制御する指令が、現在および過去の
いずれか一方、あるいは、現在および過去の両方におけ
る電動モータの回転状態量と,車輪のスリップ状態量と
に基づいて決定される。現在の回転状態量は、例えば、
制御指令時の回転速度である。ただし、現在のデータに
基づいて制御を行うことは厳密にいえば不可能であり、
現在より非常に短い時間であるが、以前のデータに基づ
いて制御されることになる。つまり、制御指令直前のデ
ータ検出時を現在とみなすのである。現在の回転方向と
逆方向に制御する場合には、現在の回転速度の絶対値が
大きければ、電動モータの慣性も大きいため指令値が大
きくされ、回転速度が小さければ、慣性も小さいため指
令値が小さくされる。過去の回転状態量は、例えば、連
続して回転していた時間の長さである。それまでの回転
に逆らって制御する場合には、連続して回転していた時
間が長く、電動モータが定常状態に達していれば、電動
モータの慣性が大きいため指令値が大きくされ、時間が
短く定常状態に達していなければ、慣性が小さいため指
令値が小さくされる。回転状態量は、検出装置によって
直接検出されても、なんらかの手段によって推定されて
もよい。
【0009】
【発明の効果】以上のように、本発明のアンチスキッド
制御装置においては、スリップ状態量だけでなく電動モ
ータの慣性も考慮した指令が発せられるため、慣性に逆
らって制御する場合には電動モータの制御遅れを少なく
することができ、慣性に従って制御する場合にも制御過
剰を回避することができる。
【0010】したがって、電動モータの回転をスリップ
状態量に基づいた指令に忠実に従わせることができ、ブ
レーキシリンダ圧を適正に制御することが可能となっ
て、ブレーキ液圧の制御精度,アンチスキッド制御精度
が向上する効果が得られる。さらに、ブレーキシリンダ
圧がハンチング状態になることを良好に回避することも
できる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例のアンチスキッド制
御装置を車両に搭載した場合を図面に基づいて詳細に説
明する。図4において10はマスタシリンダであり、こ
のマスタシリンダ10にバキュームブースタ(以下、単
にブースタという)12を介してブレーキペダル14が
連結されている。マスタシリンダ10は2個の加圧ピス
トン18,20を直列に備えたタンデム型であり、ブレ
ーキペダル14の踏込みに応じて2個の独立した加圧室
22,24にほぼ同じ高さの液圧を発生させる。符号2
6はブレーキ液を大気圧で収容するリザーバである。ブ
ースタ12はブレーキペダル14に加えられる踏力を倍
力し、その倍力した踏力をプッシュロッド28を介して
加圧ピストン20に伝達するものである。
【0012】マスタシリンダ10の一方の加圧室22に
発生した液圧は主液通路30,31,32および34に
より右前輪36,左後輪38の各ブレーキのブレーキシ
リンダ40,42に伝達され、他方の加圧室24に発生
した液圧は主液通路46,47,48および50により
左前輪52,右後輪54の各ブレーキのブレーキシリン
ダ56,58に伝達される。主液通路32と34との
間、48と50との間にはそれぞれプロポーショニング
バルブ60,62が設けられている。本ブレーキシステ
ムはX配管式なのである。
【0013】前記液通路30と液通路31との間には液
圧制御装置88が設けられており、液通路46と液通路
47との間には液圧制御装置90が設けられている。液
圧制御装置88と液圧制御装置90とは同じものである
ため、ここでは液圧制御装置90について説明する。図
5に示すように、液圧制御装置90のハウジング92内
には有底のシリンダボア94が形成されている。シリン
ダボア94には液圧制御ピストン96が液密かつ軸方向
に摺動可能に嵌合され、その液圧制御ピストン96の後
方に液室98が形成されている。液室98は、ポート1
00によって液通路46に接続されるとともにポート1
06によって液通路47に接続されている。上記ポート
100と液室98との間には開閉弁110が設けられて
いる。開閉弁110は弁子112,弁座114,スプリ
ング116等を備えており、弁子112はスプリング1
16により弁座114に着座する方向に付勢されてい
る。
【0014】液圧制御ピストン96が後退端に位置する
場合には、制御ピストン96の端面に設けられた突部1
20が弁子112をスプリング116の弾性力に抗して
弁座114から離間させることによって、液通路46と
液通路47とを連通させる。液圧制御ピストン96が僅
かに前進すれば、突部120が弁子112から離れ、開
閉弁110が閉じて液通路46と液通路47とを遮断す
る。
【0015】一方、ハウジング92には、スプライン孔
130が同心に形成され、ナット132がその外周面に
形成されたスプライン134において軸方向に移動可能
かつ回転不能に嵌合されている。このナット132には
ボールねじ136が螺合されている。
【0016】ボールねじ136の液圧制御ピストン96
側とは反対側の端部140は軸受142,144を介し
てハウジング92により回転可能かつ軸方向に移動不能
に支持されている。この端部140の軸受142と14
4との間の部分にはギヤ146が相対回転不能に取り付
けられるとともに、ピニオン148に噛み合わされてい
る。ピニオン148の軸部150はクラッチ152を介
して直流サーボモータ160に接続されている。クラッ
チ152は、直流サーボモータ160の正・逆両方向の
回転の軸部150への伝達は許容するが、軸部150の
正,逆両方向の回転の直流サーボモータ160への伝達
は阻止するクラッチである。
【0017】ボールねじ136はギヤ146,ピニオン
148を介して直流サーボモータ160により回転させ
られ、それによりナット132が前進,後退させられ
る。また、ナット132が前進させられれば、それに伴
って、液圧制御ピストン96も液室98の液圧の作用に
よって前進させられ、開閉弁110は閉じる。その後、
液室98の容積が増大し、液室98の液圧が減少させら
れるとともにホイールシリンダ56,58の液圧が減少
させられる。この場合には、ボールねじ136は、液圧
制御ピストン96に形成された有底孔162に収容され
る。ナット132が後退させられれば、液圧制御ピスト
ン96もナット132の端面に押されて後退させられ
る。液室98の容積が減少し、液室98の液圧が増大す
る。液圧制御ピストン96が後退端に達すれば、開閉弁
110が開かれる。
【0018】また、シリンダボア94の開口部に設けら
れた皿ばねから成るストッパ164と、ベアリング14
2と段部166との間に配設されたは皿ばねおよびワッ
シャから成るストッパ168とによってナット132の
後退端および前進端がそれぞれ規定されており、ナット
132が、これらストッパ164あるいは168に当接
すれば、直流サーボモータ160の回転が強制的に阻止
される。
【0019】直流サーボモータ160は、図4に示すよ
うに、アンチスキッド制御ユニット(以下、単にユニッ
トという)170により制御される。ユニット170
は、図示しないCPU,ROM,RAM,入力部,出力
部およびそれらを接続するバスを有するコンピュータを
主体とするものである。ユニット170の入力部には、
左右前輪52,36の回転速度をそれぞれ検出する回転
速度センサ172,174の出力信号,左右後輪38,
54の回転速度を検出する回転速度センサ176,17
7の出力信号,ブレーキペダル14が踏み込まれている
か否かを検出するブレーキスイッチ179の検出結果が
供給されている。また、ROMには推定車体速度,スリ
ップ率等を演算するプログラム、図1〜3にフローチャ
ートで示すプログラム,図7に示すテーブル等が格納さ
れている。
【0020】ユニット170の出力部には、モータ制御
回路180を介して直流サーボモータ160が、モータ
制御回路181を介して図示しない直流サーボモータが
それぞれ接続されている。上記プログラムの演算結果に
基づいて直流サーボモータ160等が制御され、車輪3
6,38,52,54のスリップ率ができる限り適正値
に近い値に制御される。
【0021】モータ制御回路180は図6に示すよう
に、主回路182,デューティ制御回路184,フィー
ドバック回路186等を備えている。モータ制御回路1
81はモータ制御回路180と同様の構造であるため、
図示および説明を省略する。主回路182は電流供給方
向切換用のMOS型FET188および電流量制御用の
MOS型FET190を直列に有する逆転用回路192
と、電流供給方向切換用のMOS型FET194および
電流量制御用のMOS型FET196を直列に有する正
転用回路198とを備えている。逆転用回路192およ
び正転用回路198は直流電源200,直流サーボモー
タ160,抵抗器202を共通に含む閉回路となってい
る。
【0022】逆転用回路192のFET188は、ユニ
ット170から出力された逆転指令信号LINが増幅器に
よって増幅された信号がハイレベル(以下、ユニット1
70が逆転指令信号H−LINを出力したと略称する)の
とき導通し、直流サーボモータ160を逆方向に回転さ
せる向きPに電流が流れることを許容する。また、同様
に、正転用回路198のFET194は、正転指令信号
RINが増幅された信号がハイレベル(以下、ユニット1
70が正転指令信号H−RINを出力したときと略称す
る)のとき導通し、直流サーボモータ160を正方向に
回転させる方向Qに電流が流れることを許容する。
【0023】デューティ制御回路184は、差動増幅器
204,PWM発生回路206,AND回路,増幅器等
を含んでおり、ユニット170から出力される電流値指
令信号RPWM ,LPWM が差動増幅器204,PWM発生
回路206,AND回路,増幅器等を経て電流量制御用
のMOS型FET190,196に供給される。直流電
源200の電流は、電流量制御用のMOS型FET19
0あるいは196を介して直流サーボモータ160に供
給され、その回転速度が制御されるのである。
【0024】また、フィードバック回路186は抵抗器
202の両端子間の電圧差を検出する検出回路,差動増
幅器208等を備えており、検出回路によって検出され
た信号が差動増幅器208により増幅されて差動増幅器
204にフィードバック信号として供給されるようにな
っている。差動増幅器204はユニット170から出力
された電流値指令信号RPWM あるいはLPWM とフィード
バック信号との差に応じた信号をPWM発生回路206
に供給する。したがって、FET190,196には出
力信号RPWM ,LPWM がフィードバック信号により補正
された信号が供給されるのである。
【0025】ユニット170から出力される電流値指令
信号RPWM ,LPWM は、スリップ状態量Ws から求めら
れた生デューティ制御比Dpwm ′が、直流サーボモータ
160の現在の回転状態によって補正された補正デュー
ティ制御比DPWM の絶対値である。
【0026】スリップ状態量Ws と生デューティ制御比
Dpwm ′との関係を図7に示す。図7から明らかなよう
に、スリップ状態量Ws が0近傍の値である場合には、
生デューティ制御比Dpwm ′は0であるが、スリップ状
態量Ws が正あるいは負でその絶対値が大きくなれば生
デューティ制御比Dpwm ′は正あるいは負でその絶対値
が大きくなることがわかる。ここで、正の生デューティ
制御比Dpwm ′は増圧制御を示し、負の生デューティ制
御比Dpwm ′は減圧制御を示している。
【0027】本実施例におけるスリップ状態量Ws は、
特開平3─50059号公報に記載の発明におけると同
様に次式から求められ、車輪のスリップ量と、車輪加速
度と推定車体加速度との差とによって決まる。 Ws =Ka ・(Vw −Vs )+Kb ・(Gw −Gs ) ただし、Vw は車輪速度,Vs は目標車輪速度,Gw は
車輪加速度,Gs は推定車体加速度,Ka ,Kb は定数
であって加速度1Gが速度差2km/hに相当するよう
に決定されている。制動時には、通常、推定車体速度V
soは一般的に直線的に減少するため推定車体加速度Gs
はほぼ一定の負の値となり、第2項のかっこ内は車輪加
速度Gw にほぼ一定値を加えた大きさとなる。そのた
め、スリップ状態量Ws は第1項のかっこ内のスリップ
量に車輪加速度を加味した値であると考えられる。
【0028】スリップ状態量Ws が正であるということ
は、車輪速度が目標車輪速度より大きくブレーキシリン
ダ圧が不足していることを示しており、負であるという
ことは、スリップが生じており、ブレーキシリンダ圧が
過大であることを示している。また、正負いずれの場合
においてもスリップ状態量Ws の絶対値が大きければ、
ブレーキシリンダ圧を早急に制御する必要があり、その
変化速度を大きくする必要があることを示している。つ
まり、スリップ状態量Ws はブレーキシリンダ圧変更要
求量であり、ブレーキシリンダ圧をスリップ状態量Ws
の要求通りに制御できれば、制動性能を向上させること
ができるのである。また、デューティ制御比Dpwm が−
100%より小さい値になることはないのであるが、ス
リップ状態量Wsの減圧要求をより反映させるために最
小値(─100%)より小さい値をとり得ることを許容
したのである。本実施例においては、ユニット170は
生デューティ制御比Dpwm ′の値をそのまま出力するわ
けではないため、−100%より小さい値となっても問
題はないのである。
【0029】一方、直流サーボモータ160の現在の回
転状態は、本実施例においては回転速度であり、直流サ
ーボモータ160が正方向に回転している場合は正,逆
方向に回転している場合は負の値となる。また、回転速
度はデューティ制御比に換算した大きさで表され、デュ
ーティ制御比100%に対応する回転速度が回転速度1
00%と表される。
【0030】モータ制御回路180におけるユニット1
70の制御は表1に基づいて行われる。
【0031】
【表1】
【0032】スリップ状態量Ws が正で絶対値が大きい
場合には、増圧モードが設定される。ユニット170が
正転指令信号H−RINを出力するとともに、図7のテー
ブルから求められた生デューティ制御比Dpwm ′の絶対
値(この場合は、もともと正の値であるから求められた
ままの値)を電流値指令信号RPWM として出力する。そ
の結果、正転用回路198によって矢印Qの方向に電流
が流れさせられ、直流サーボモータ160はFET19
6に制御された回転速度で正方向に回転させられる。液
圧制御ピストン96が後退させられて液室98の容積が
減少させられ、ホイールシリンダ56,58の液圧が増
加させられる。
【0033】スリップ状態量Ws が0近傍の場合には、
保持モードが設定される。保持モードは、増圧モードに
おけるデューティ制御比が0%の場合と同じであるた
め、ユニット170は正転指令信号H−RINのみを出力
する。その結果、破線で示す閉回路210が形成され、
直流モータ160が電源200から切り離され、正方向
に回転させる電圧も、逆方向に回転させる電圧も印加さ
れない非印加状態となる。
【0034】スリップ状態量Ws が負で絶対値が大きい
場合には、減圧モードが設定され、ユニット170は逆
転指令信号H−LINを出力するとともに、生デューティ
制御比Dpwm ′から回転速度Nmot を引くことによって
求められた補正デューティ制御比DPWM の絶対値(負の
符号を除いた値)を電流値指令信号LPWM として出力す
る。その結果、逆転用回路192には矢印Pの方向の電
流が流れさせられ、直流サーボモータ160は逆方向に
FET190に制御された速度で回転させられる。これ
により液圧制御ピストン96が前進させられてホイール
シリンダ56,58の液圧は減少させられる。
【0035】直流サーボモータ160の逆方向回転を止
める必要が生じた場合には、制動モードが設定され、そ
れまでとは逆方向、すなわち正方向に回転させる方向の
電圧が直流サーボモータ160に与えられる。ユニット
170は正転指令信号H−RIN,上記逆方向の回転速度
の符号を逆にすることによって求められる補正デューテ
ィ制御比(−Nmot )を電流値指令信号RPWM として出
力する。その結果、正転用回路198に矢印Qの方向に
電流を流れさせる向きに電圧が印加され、直流サーボモ
ータ160の回転は強く抑制される。
【0036】アンチスキッド制御が終了した場合には、
制御終了モードが設定される。すなわち、液圧制御ピス
トン96を後退端位置に移動させる処理である。この際
には速度制御を行う必要はないが、液圧制御ピストン9
6のストッパ164への衝突を緩和するために、デュー
ティ制御比40%とした場合の増圧モードとされてい
る。アンチスキッド制御終了処理完了後、すなわち、制
御が終了し、上記液圧制御ピストン96が後退端位置に
戻された後には、非制御モードが設定され、ユニット1
70から信号は出力されない状態となる。
【0037】以上のように構成された液圧ブレーキ装置
においては、通常は、ブレーキペダル14が踏み込まれ
れば、加圧ピストン18,20が前進させられて加圧室
22,24に液圧が発生し、その液圧がそのままホイー
ルシリンダ40,42,56,58に伝達されて車輪の
回転が抑制される。
【0038】ブレーキペダル14の踏込み力が路面の摩
擦係数との関係で過大となり、車輪のスリップ率が適正
範囲を超えた場合には、アンチスキッド制御が行われ
る。ユニット170は直流サーボモータ160を制御す
ることによって液圧制御装置88,90の液圧制御ピス
トンを作動させ、ブレーキシリンダ圧を適正なスリップ
率が得られるように制御するのである。アンチスキッド
制御は液圧制御装置88,90それぞれに対して独立に
行われるが、以下、液圧制御装置90における制御につ
いて、図1ないし3のフローチャートに基づいて説明す
る。液圧制御装置88における制御についての説明は液
圧制御装置90における制御と同様であるため省略す
る。
【0039】図2のフロチャートに示すメインルーチン
は常時繰り返し実行される。このメインルーチンは液圧
制御装置88,90に共通のルーチンである。まず、ス
テップ1(以下、S1と略称する。他のステップについ
ても同じ)において、ユニット170のRAMに設けら
れている各フラグ,カウンタ等をクリアする等の初期化
が行われる。S2において、回転速度センサ172〜1
77の出力値Vw**(**:FL,FR,RL,RR )が読み込
まれ、推定車体速度Vsoが演算される。通常は最大車輪
速度が車体速度を表すとし、その最大車輪速度の減速度
が1.2Gを越えた場合は減速度を1.2Gに固定して
車体速度を演算することが行われるのである。
【0040】S3において、式Vs =Vso−Kso・ΔV
から目標車輪速度Vs が求められ、S4において、推定
車体加速度Gs が式Gs =Kso(Vso(n) −Vso(n-1)
)/ΔTから求められ、車輪加速度Gw が式Gw =Kw
(Vw(n)−Vw(n-1))/ΔTから求められる。ここ
で、Kso,ΔV,Kw ,Ksoは定数,添字n,n−1は
今回演算値,前回演算値をそれぞれ示している。
【0041】S5において、予めROMに記憶されてい
る値Vso,Vs ,Gw ,Gs の妥当範囲が読み込まれ、
S6において、S2〜S4で求められたこれらの値Vs
o,Vs ,Gw ,Gs とS5において読み込まれた範囲
とが比較され、求められた値が妥当であるか否かが判定
される。異常であると判定された場合には、S7におい
て異常フラグがセットされ、運転者に警告が発せられ
る。S8において、液圧制御ピストン96を後退端に移
動させることによって、マスタシリンダ12の加圧室2
4とホイールシリンダ56,58とが連通させられ、非
制御モードが設定され、S2に戻される。異常であると
判定された場合には、割り込み信号が発せられても、割
り込みルーチンが実行されないようになっている。ま
た、異常でないと判定されれば、そのままS2に戻され
る。
【0042】メインルーチンの実行中に割り込み信号が
発せられれば、図3のフローチャートに示す割り込みル
ーチンが実行される。割り込み信号は、例えば5ms毎
に発せられ、1回の実行が終わる毎にメインルーチンに
戻される。液圧制御装置90は、左前輪52,右後輪5
4のスリップ率が適正範囲内になるよう制御されるもの
であるが、ここでは、左前輪52に対して制御される場
合について説明する。
【0043】S20において、スリップ状態量Ws が、
左前輪52の車輪速度VwFL ,目標車輪速度Vs ,車輪
加速度GwFL ,車体加速度Gs から前述の式Ws =Ka
・(VwFL −Vs )+Kb ・(GwFL −Gs )に基づい
て演算される。S21において、アンチスキッド制御フ
ラグFsta が1か否かが判定される。
【0044】S21において、アンチスキッド制御中で
あると判定された場合には、S22,23において、ア
ンチスキッド制御を終了させるべきか否かが判定され
る。S22において、ブレーキスイッチ179の出力信
号が読み込まれ、S23において、ブレーキスイッチ1
79の出力信号がOFFであるか否か、S2で演算され
た推定車体速度Vsoが5km/h以下であるか否かが判
定されるのである。上記2条件の少なくとも一方が満た
される場合には、アンキスキッド制御が終了されるべき
であるとして、S24以降が実行される。いずれの条件
も満たさない場合には、アンチスキッド制御を継続すべ
きであるとして、S30において終了カウンタTend が
クリアされ、S34以降が実行される。
【0045】S21において、アンチスキッド制御中で
ないと判定された場合には、S31,32においてアン
チスキッド制御を開始すべきか否かが判定される。S3
1において、ブレーキスイッチ179の出力信号が読み
込まれ、S32において、ブレーキスイッチ179の出
力信号がONで、かつ、S20で演算されたスリップ状
態量Ws が負の値であってその絶対値が設定値より大き
いか否かが判定されるのである。上記条件が満たされた
場合には、アンチスキッド制御を開始すべきであるとし
て、S33においてアンチスキッド制御フラグFsta が
1にセットされ、S34以降が実行される。満たされな
い場合には、アンチスキッド制御を開始する必要がない
ため、そのままメインルーチンに戻される。
【0046】本ルーチンの制御は上記非アンチスキッド
制御時,アンチスキッド制御終了時,アンチスキッド制
御中に分けられており、まず、簡単なアンチスキッド制
御終了時における制御について説明する。S24におい
て、制御終了モードが設定され、液圧制御ピストン96
が後退端位置に向かって移動させられる。直流サーボモ
ータ160が正回転させられることによって、ナット1
32が後退させられ、液圧制御ピストン96が液室98
の液圧に抗して後退させられるのである。S25におい
て終了カウンタのカウント値Tend がカウントアップさ
れ、S26において終了カウンタのカウント値Tend が
設定カウント値Tend0以上であるか否かが判定される。
【0047】最初にS26が実行される場合には、終了
カウンタのカウント値Tend は1であるためNOと判定
され、メインルーチンに戻される。終了カウンタのカウ
ント値Tend が設定カウント値Tend0以上になりYES
と判定されれば、S27,S28においてアンチスキッ
ド制御フラグFsta が0とされるとともに終了カウン
タ,増圧カウンタ,減圧カウンタ等すべてのカウンタの
カウント値が0にされる。S29において、非制御モー
ドに設定され、メインルーチンに戻される。
【0048】上記設定カウント値Tend0は制御ピストン
96が前進端位置から後退端位置に移動するまでに必要
なカウント数であり、50〜100msecに相当する
カウント数である。終了カウンタのカウント値Tend が
設定カウント値Tend0に達したときには、制御終了時に
液圧制御ピストン96がどの位置にあっても後退端への
復帰が保証される。制御終了時には、通常、液圧制御ピ
ストンが前進端と後退端との途中にあるため、終了カウ
ンタのカウント値Tend が設定カウント値Tend0に達す
る以前に液圧制御ピストン96が後退端に達し、ナット
132がストッパ164に当接することによって、直流
サーボモータ160の回転が強制的に停止させられる。
液圧制御ピストン96が後退端に戻されることによって
液通路46と液通路47とが連通させられ、通常の液圧
ブレーキになる。
【0049】次に、アンチスキッド制御中あるいはアン
チスキッド制御開始時における制御について説明する。
S34において、スリップ状態量Wsに基づいて図7の
テーブルから生デューティ制御比Dpwm ′が求められ、
S35において、生デューティ制御比Dpwm ′が負であ
るか否かが判定される。生デューティ制御比Dpwm ′が
負であり、YESと判定された場合には、S36におい
て減圧処理が行われ、0以上であり、NOと判定された
場合にはS37以降において増圧・保持処理が行われ
る。
【0050】通常のアンチスキッド制御開始時には、ま
ず減圧処理が行われるのであるが、ここでは、まず、簡
単な増圧・保持処理について説明する。S37におい
て、ユニット170は正転指令信号H−RINを出力する
とともに、図7から求められた生デューティ制御比Dpw
m ′の絶対値(現実には、生デューティ制御比Dpwm ′
自体が正の値であるからそのままの値)を電流値指令信
号RPWM として出力する。生デューティ制御比Dpwm ′
が0であれば保持モードとなり、正であれば増圧モード
となる。S38において、直流サーボモータ160の今
回の回転速度Nmot(n)が、回転速度Nupであるとみなさ
れる。回転速度Nupは、通常の増圧終了時,保持終了時
の回転速度の絶対値より大きめの値であり、増圧モード
あるいは保持モードが設定されている間は回転速度Nmo
t(n)が常にこの大きめの値であるとみなされるのであ
る。
【0051】増圧モードにおける直流サーボモータ16
0の回転速度Nmot(n)は、大部分の場合には回転速度N
upではない。しかし、増圧モードにおいては、回転速度
Nmot(n)は、信号LPWM の大きさ(デューティ制御比)
の決定に使用されるわけではなく、増圧モードから減圧
モードに切り換えられる場合に出力されるデューティ制
御比の決定に使用されるのみであり、回転速度Nupが通
常の増圧終了時の回転速度より多少大きめの大きさとさ
れていれば、直流サーボモータ160の回転方向を変え
る場合に発せられるデューティ制御比が大きめの値に決
められ、回転方向が確実に変えられるのである。
【0052】次に、S39において、増圧カウンタのカ
ウント値Tupがカウントアップされ、S40において、
減圧カウンタのカウント値Tdwn がクリアされる。
【0053】次に、減圧処理サブルーチンについて図1
のフローチャートに基づいて説明する。S50におい
て、今回のスリップ状態量Ws(n) が前回のスリップ状
態量Ws(n-1) に設定値Vupを加えた大きさより大きい
か否かが判定される。設定値Vupは0.5km/h以下
の正の値である。振動等によってスリップ状態量が変化
するため、単純に今回のスリップ状態量Ws(n) が前回
のスリップ状態量Ws(n-1) より大きいか否かを判定す
ると、誤って判定される場合がある。それを回避するた
めに設定値Vupが加えられるのである。今回のスリップ
状態量Ws(n) が前回のスリップ状態量Ws(n-1) より
小さくて減少傾向にあるか、あるいはほぼ等しい場合に
は、NOと判定され、S51以降において減圧処理が行
われる。今回のスリップ状態量Ws(n) が前回のスリッ
プ状態量Ws(n-1) に設定値Vupを加えた大きさより大
きく、増加傾向にある場合には、S60以降で制動処理
が行われる。
【0054】アンチスキッド制御の開始時には、前回の
スリップ状態量Ws(n-1) が0で今回のスリップ状態量
Ws(n) が負である。そのため、S50においてNOと
判定され、S51において、補正デューティ制御比DPW
M が求められる。ここでは、補正デューティ制御比DPW
M が、生デューティ制御比Dpwm ′から前回の直流サー
ボモータ160の回転速度Nmot(n-1)を差し引いた値と
して求められる。
【0055】補正デューティ制御比DPWM は、前回の回
転速度Nmot(n-1)が正の場合にはスリップ状態量Ws
(n) から求められた生デューティ制御比Dpwm ′より小
さい値(絶対値が大きい値)とされ、負の場合には生デ
ューティ制御比Dpwm ′より大きい値(絶対値が小さい
値)とされる。すなわち、直流サーボモータ160が正
方向に回転している場合には、慣性に逆らって制御する
ことになるため補正デューティ制御比DPWM の絶対値が
大きくされ、逆方向に回転している場合には、慣性に従
って制御することになるため、補正デューティ制御比D
PWM の絶対値が小さくされるのである。アンチスキッド
制御の開始時には、前回の回転速度Nmot(0)は0である
ため、補正デューティ制御比DPWM は生デューティ制御
比Dpwm ′のままである。
【0056】S52において、補正デューティ制御比D
PWM (ここでは、Dpwm ′)が最小値DMIN より小さい
か否かが判定される。補正デューティ制御比DPWM が−
100%より小さく、YESと判定された場合にはS5
3において補正デューティ制御比DPWM が−100%と
され、−100%以上で、NOと判定された場合にはそ
のままとされる。S54において、減圧モードが設定さ
れ、信号LIN,負の符号である補正デューティ制御比D
PWM の絶対値(負の符号を反転させた値)が信号LPWM
として出力される。S52,53は、電流量制御出力信
号としてのデューティ制御比の大きさが−100%以下
の値(例えば、−120%)にならないようにするため
のステップである。前述のように、生デューティ制御比
が−100%以下の値をとり得るようにされているた
め、補正デューティ制御比も−100%以下の値になる
可能性があるが、実際に−100%以上とはなし得ない
からである。
【0057】S55において、モータ160の回転速度
Nmot(n)が、前回の回転速度Nmot(n-1)に補正デューテ
ィ制御比DPWM を加えた値であると推定される。ここで
は、補正デューティ制御比DPWM は負の値であるため、
今回の回転速度Nmot(n)の絶対値は、前回の回転速度N
mot(n-1)が負の場合には補正デューティ制御比DPWMだ
け大きくなり、前回の回転速度Nmot(n-1)が正の場合に
は補正デューティ制御比DPWM の大きさだけ小さくな
る。直流サーボモータ160が逆方向に回転していた場
合には、その逆方向の回転速度がより大きくなり、直流
サーボモータ160が正方向に回転していた場合には、
補正デューティ制御比に応じて、減速させられるか、停
止させられるか、あるいはそれまでとは反対の逆方向に
回転させられることになるため、そのように今回の回転
速度Nmot(n)が推定されるのである。アンチスキッド制
御開始時には、前回の回転速度Nmot(n-1)は0であるた
め、今回の回転速度Nmot(n)は回転速度DPWM (負の
値)と推定される。すなわち、直流サーボモータ160
は逆方向にデューティ制御比DPWM に相当する回転速度
で回転すると推定されるのである。
【0058】S56において、今回の回転速度Nmot(n)
が最小値Nmin より小さいか否かが判定される。すなわ
ち、今回の回転速度Nmot(n)の絶対値がモータ160の
逆方向の最大回転速度より大きいか否かが判定されるの
である。YESと判定された場合には、今回の回転速度
Nmot(n)は最小値Nmin とされ、NOと判定された場合
には、そのままの値とされる。S56,57は、S55
において推定された回転速度の絶対値がモータ160の
逆方向の最大回転速度より大きくなることを回避するた
めのステップである。生デューティ制御比が−100%
以下の値をとりうるため、生デューティ制御比Dpwm ´
に基づいて推定された回転速度の絶対値の大きさが最大
回転速度より大きくなる可能性もあるからである。その
後、S58,59において減圧カウンタのカウント値T
dwn がカウントアップされ、増圧カウンタのカウント値
Tupがクリアされ、メインルーチンに戻される。
【0059】スリップ状態量Wsが増加傾向に転じ、S
50において、YESと判定された場合には、S60に
おいて、前回の回転速度Nmot(n-1)が負か否かが判定さ
れる。前回の回転速度Nmot(n-1)が負で直流サーボモー
タ160が逆方向に回転している場合には、YESと判
定され、S61においてその回転を停止させるための補
正デューティ制御比DPWM が演算される。前回の回転速
度Nmot(n-1)が0以上で、モータ160が停止している
か正方向に回転しているかいずれかの場合には、NOと
判定され、S67において保持モードが設定される。
【0060】S60が始めて実行される場合には、YE
Sと判定され、S61において、補正デューティ制御比
DPWM が前回の回転速度Nmot(n-1)の符号を逆にしたも
のとされる。ここで、前回の回転速度Nmot(n-1)は、前
述のように、前々回の回転速度と前回の補正デューティ
制御比とから求められる値であり、前回の補正デューテ
ィ制御比は前回の生デューティ制御比と前々回の回転速
度とから求められた値であり、前回の生デューティ制御
比は前回のスリップ状態量Ws に基づいて求められる値
であるため、補正デューティ制御比も、スリップ状態量
Ws と回転速度とに基づいて求められた値といえる。し
かし、回転速度Nmot(n-1)が−100%以下の値になっ
ている可能性があるため、S62において、補正デュー
ティ制御比DPWM が100%より大きいか否かが判定さ
れ、補正デューティ制御比DPWM が100%より大き
く、YESと判定された場合には、S63において補正
デューティ制御比DPWM が最大値DMAX(デューティ制
御比100%)とされるのである。NOと判定された場
合には、そのままの値とされる。
【0061】S64において、制動モードが設定され、
信号RIN,デューティ制御比DPWMの絶対値が信号RPWM
として出力される。S65において、S55と同様に
今回の回転速度Nmot(n)が推定される。ここでは、デュ
ーティ制御比DPWM は正,前回の回転速度Nmot(n-1)が
負であるため、今回の回転速度Nmot(n)は前回の回転速
度Nmot(n-1)より大きくなる。すなわち、逆方向に回転
していた直流サーボモータ160はその回転が抑制され
るか、停止させられるか、あるいは反対の正方向に回転
させられると推定されるのである。S66において減圧
カウンタのカウント値Tdwn がクリアされ、メインルー
チンに戻される。
【0062】S60において、回転速度Nmot(n-1)が0
以上である場合には、S67において保持モードが設定
され、直流サーボモータ160は保持状態に保たれる。
S68において、今回の回転速度Nmot(n)が0であると
推定される。S65において回転速度Nmot(n)が0以上
であると推定されても、実際には、直流サーボモータ1
60が逆方向に回転している場合もあるが、保持モード
が設定されれば、逆起電力によって方向Rの電流が流れ
るため、発電制動によって直流サーボモータ160の回
転が抑制される。
【0063】以上、一般的な制御について説明したが、
実際の制御を図8〜12に基づいて説明する。これら図
8〜12は、スリップ状態量Ws,生デューティ制御比
Dpwm ′,補正デューティ制御比DPWM ,モータ160
の回転速度Nmot ,ブレーキシリンダ圧Pのそれぞれの
時間に対する変化をアンチスキッド制御途中における
(増圧〜減圧〜増圧)部分において示したものである。
ここで、各値が離散的に変化しているのは、各値がルー
チンの1サイクル毎に求められ、制御されるからであ
る。
【0064】時期t1 において、図7からスリップ状態
量Ws1 に基づいて求められる(S34)生デューティ
制御比Dpwm1′が負であるため、減圧処理が行われる
(S35,S36)。時期t1 のスリップ状態量Ws1
前回のスリップ状態量Ws0より小さいため(S50)、
補正デューティ制御比DPWM1が(生デューティ制御比D
pwm1′−前回の回転速度Nmot0 )とされる(S5
1)。前回の回転速度Nmot0 は回転速度Nupであるた
め補正デューティ制御比DPWM1は生デューティ制御比D
pwm1′より絶対値がNupだけ大きい値とされる。そし
て、時期t1 の回転速度Nmot1が(前回の回転速度Nup
+補正デューティ制御比DPWM1)として推定される(S
55)。時期t1 の回転速度Nmot1は負となり、直流サ
ーボモータ160の回転は逆方向に変わったと推定され
る。
【0065】時期t2 において、スリップ状態量Ws2
に基づいた生デューティ制御比Dpwm2′が求められる
(S34)。時期t1 における場合と同様に、生デュー
ティ制御比Dpwm2′は負であり(S35)、時期t2
スリップ状態量Ws2が前回のスリップ状態量Ws1より小
さいため(S50)、補正デューティ制御比DPWM2
(生デューティ制御比Dpwm2′−前回の回転速度Nmot
1 )とされる(S51)。補正デューティ制御比DPWM2
は生デューティ制御比Dpwm2′より絶対値がNmot1
け小さい値となる。時期t2 は、モータ160を慣性に
従って制御することになるため、信号LPWM の大きさを
生デューティ制御比Dpwm2′のままとし、補正しない場
合には、回転速度が逆方向に大きくなり過ぎるとともに
減圧勾配が大きくなってしまう。それを回避するため、
補正デューティ制御比DPWM2の絶対値がデューティ制御
比より小さくされるのである。時期t2 の回転速度Nmo
t2は(前回の回転速度Nmot1 +補正デューティ制御比
DPWM2)として推定される(S55)。ここで回転速度
Nmot1 ,補正デューティ制御比DPWM2がともに負であ
るため、今回の回転速度Nmot2も負となるが、回転速度
Nmot2の絶対値はそれほど大きくならない。
【0066】以下、時期t3 においても同様な制御が行
われるのであるが、時期t4 においては、回転速度Nmo
t4が最小値Nmin より小さくなってしまうため、最小値
Nmin と推定されることになる。時期t4 以降減圧勾配
は一定となる。
【0067】また、時期t8 において、スリップ状態量
Ws8 がスリップ状態量Ws7 より大きくなって増加傾
向に転じ(S50)、直流サーボモータ160が逆方向
に回転しているため、補正デューティ制御比DPWM8
(−Nmot7 )とされる(S61)。前回の回転速度N
mot7 はNmin (−100%以下の値)であるため(S
62)補正デューティ制御比DPWM8は100%とされる
(S63)。時期t8 の回転速度Nmot8 が(回転速度
Nmin +補正デューティ制御比DPWM8)とされる。直流
サーボモータ160は−100%以下の回転速度(逆方
向)で回転していたため、信号RPWM8が出力されても、
まだ逆方向に回転していると推定される。しかし、デュ
ーティ制御比100%の信号が出力されたため、回転速
度の増加量(絶対値の減少量)は大きい。
【0068】時期t9 においては、前回の回転速度Nm
ot8 が負であるため(S60)、補正デューティ制御比
DPWM9が(−Nmot8 )とされる(S61)。続いて、
時期t9 の回転速度Nmot9 が(回転速度Nmot8 +補
正デューティ制御比DPWM8)と推定されるのであるが
(S65)、ここでは推定値が0となる。
【0069】時期t10において、前回の回転速度Nmot
9 が0であるため(S60)保持モードに設定され(S
67)、補正デューティ制御比DPWM10 が0%とされ
る。前回の回転速度の推定値Nmot9 が実際に0でなく
ても、保持モードが設定されることによって、モータ1
60は発電制動により停止させられる。
【0070】従来のようにデューティ制御比Dpwm ′が
そのまま出力される場合には、モータ回転速度Nmot ,
ブレーキシリンダ圧Pはそれぞれ破線のように変化す
る。すなわち、時期t1 ,t2 ,t8 〜t10においては
反応遅れが生じ、時期t3 〜t7 においては減圧し過ぎ
が生じてしまうという問題が生じる。しかし、本実施例
においては、モータ160の回転速度も考慮した信号が
出力されるため、時期t1 ,t2 ,t8 〜t10における
ようにモータ160をそれの慣性に逆らって制御する場
合にも、反応遅れを小さくすることができ、時期t3
7 におけるように慣性に従って制御する場合にも、減
圧し過ぎを回避できるのである。また、ブレーキシリン
ダ圧をスリップ状態量の要求に合わせて制御することが
でき、制動距離が長くなることを回避することができ、
制動性能を向上させることができる。
【0071】なお、上記実施例においては、補正ディー
ティ制御比を、現在の回転状態に基づいて決めたが、減
圧カウンタのカウント値(逆方向の連続回転時間),増
圧カウンタのカウント値(正方向の連続回転時間)等過
去の回転状態に基づいて決めてもよく、現在,過去両方
の回転状態に基づいて決めてもよい。
【0072】また、上記実施例においては、モータ16
0の現在の回転速度Nmot(n)を式(前回の回転速度Nmo
t(n-1)+今回の補正デューティ制御比DPWM(n))から推
定したが、ユニット170のROMに図13に示すテー
ブルを格納し、式(前回の回転速度Nmot(n-1)+K×今
回の補正デューティ制御比DPWM(n))から推定してもよ
い。図13から明らかなように、係数Kの値は、モータ
160を慣性に従って制御する場合(逆方向に回転して
いるモータ160の回転速度を制御する場合)には、前
回の回転速度Nmot(n-1)の絶対値が大きくなれば、出力
値の影響を受け易くなるため大きくなり、前回の回転速
度Nmot(n-1)の絶対値が小さくなれば、出力値の影響を
受け難くなるため小さくなるようにされる。また、モー
タ160を慣性に逆らって制御する場合(逆方向に回転
しているモータ160の回転方向を反対にする場合)に
は、前回の回転速度Nmot(n-1)の絶対値が大きくなれ
ば、出力値の影響を受け難くなるため小さくなり、前回
の回転速度Nmot(n-1)の絶対値が小さくなれば、出力値
の影響を受け易くなるため大きくなるようにされる。さ
らに、係数Kの値は、図14に示すように、モータ16
0を慣性に逆らって制御する場合には、一定の値とされ
るようにしてもよい。
【0073】また、上記実施例においては、今回の回転
速度を上記式を用いて推定したが、回転エンコーダを直
流サーボモータ160に取り付ける等して、モータ16
0の回転速度を直接検出してもよい。
【0074】その他、いちいち例示することはしない
が、特許請求の範囲を逸脱することなく当業者の知識に
基づいて種々の変形,改良を施した態様で本発明を実施
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるアンチスキッド制御装
置のユニットに格納された減圧処理サブルーチンを示す
フローチャートである。
【図2】上記ユニットに格納されたメインプログラムを
示すフローチャートである。
【図3】上記ユニットに格納されたメインプログラムの
割り込みルーチンを示すフローチャートである。
【図4】上記実施例のアンチスキッド制御装置の全体図
である。
【図5】上記実施例の液圧制御装置の断面図である。
【図6】上記実施例のモータ駆動回路の回路図である。
【図7】上記実施例のユニットに記憶されているスリッ
プ状態量と生デューティ制御比との関係を示すテーブル
である。
【図8】スリップ状態量の時間に対する変化を示すグラ
フである。
【図9】上記実施例のユニットによって求められた生デ
ューティ制御比の時間に対する変化を示すグラフであ
る。
【図10】上記実施例のユニットによって決定された補
正デューティ制御比の時間に対する変化を示すグラフで
ある。
【図11】上記実施例のユニットによって制御された直
流サーボモータの回転速度の時間に対する変化を示すグ
ラフである。
【図12】上記実施例におけるブレーキシリンダ圧の時
間に対する変化を示すグラフである。
【図13】別の実施例のユニットに格納されている係数
と回転速度との関係を示すテーブルである。
【図14】別の実施例のユニットに格納されている係数
と回転速度との関係を示すテーブルである。
【符号の説明】
10 マスタシリンダ 30,31,46,47 液通路 36,38,52,54 車輪 40,42,56,58 ホイールシリンダ 88,90 液圧制御装置 96 液圧制御ピストン 160 直流サーボモータ 170 アンチスキッド制御ユニット 180 モータ制御回路 188,190,194,196 FET 200 電源 204 PWM発生回路

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転可能な電動モータと、その電動モー
    タの回転によって移動させられる可動部材と、その可動
    部材の移動により容積が変化させられ、車輪の回転を抑
    制するブレーキシリンダに連通させられた液室と、前記
    電動モータの回転を前記車輪のスリップ状態量に基づい
    た指令によって制御するモータ制御装置とを備え、前記
    ブレーキシリンダ圧を、前記車輪のスリップ率が設定範
    囲内になるよう制御するアンチスキッド制御装置におい
    て、 前記モータ制御装置による指令が、現在と過去との少な
    くとも一方における電動モータの回転状態量と、前記車
    輪のスリップ状態量とに基づいて決定されることを特徴
    とするアンチスキッド制御装置。
JP4255795A 1992-08-31 1992-08-31 アンチスキッド制御装置 Pending JPH0672312A (ja)

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US7002314B2 (en) 2003-08-25 2006-02-21 Advics Co., Ltd. Electric brake system
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