JPH0670303B2 - 粗面化、制電性ポリエステル繊維およびその製造法 - Google Patents

粗面化、制電性ポリエステル繊維およびその製造法

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JPH0670303B2
JPH0670303B2 JP59281720A JP28172084A JPH0670303B2 JP H0670303 B2 JPH0670303 B2 JP H0670303B2 JP 59281720 A JP59281720 A JP 59281720A JP 28172084 A JP28172084 A JP 28172084A JP H0670303 B2 JPH0670303 B2 JP H0670303B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は粗面化された表面を持ち、かつ半永久的に制電
性を持つポリエステル系合成繊維およびその製造方法に
関するものである。
現在有機合成繊維は多くの優れた特性を持ち、天然繊維
に代つて広く用いられているが、その特有な表面のため
特有ないわゆるワキシー感があつたり、また鏡面光沢の
ため、染色した場合も羊毛、絹などの天然繊維に比し色
の深みが得られにくいなどの欠点があつた。
それに対し、本発明者らは、先に、繊維表面に微細かつ
複雑な凹凸形状を与えることにより、染色した場合に深
みのある色を与えることができる発明について特開昭54
-120728号公報や特開昭55-107512号公報にて提供した。
しかしながらこれらの発明でも、んう一つの欠点である
静電気を帯び易いという点については依然として改良す
べき問題点であつた。
特公昭39-5214号公報に代表されるようなポリアルキレ
ングリコールの練込を実施すれば、制電性能は不十分な
がら付与できる。しかしポリアルキレングリコールはポ
リエステルに不溶なため繊維軸に平行にスジ状に分散
し、この繊維を、前記特開昭54-120728号公報や特開昭5
5-107512号公報に示されるように染色した場合に深みの
ある色を与えるような表面構造、即ち、繊維表面に微細
かつ複雑な凹凸を形成させるために溶出侵蝕処理を行な
うと、この部分が極めて早く溶出し、長い大きなスジ状
の凹部が形成され、光の乱反射をまねき、色の深みを増
すどころかかえつて白茶けたものとなつてしまう。ま
た、特開昭50-107215号公報などに示されるような、ブ
ロックポリエーテルエステルをスジ状に分散させても、
同様に制電性能は付与できるが、色の深みを失う結果で
しかないものであつた。
本発明はこのような問題点を解決したもので、改善され
た光学的性質と感触性を持ち、かつ優れた制電性能を兼
ね備えたポリエステル系合成繊維を提供せんとするもの
であり、また該ポリエステル系合成繊維を工業的に安定
に製造できる方法を提供せんとするものである。
即ち、本発明は、 芯鞘成分が共にポリエステルからなる複合繊維であっ
て、 その繊維表面となる鞘成分表面には、溶出侵蝕処理によ
る微細凹凸が存在し、該鞘成分の厚さが1ミクロン
(μ)以上であり、 芯成分には 分子量1,000〜20,000のポリアルキレングリコール
(A)1〜8重量%、 一般式 (RはC6 30のアルキル基又はアリール基又はアルキル
アリール基を、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属
原子を表わし、mは金属Mの荷電数を表わす)で表わさ
れる界面活性剤(B)0.5〜5重量%、 沸点200℃以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤
(C)が0.01〜0.5重量%、 かつ上記3者と芯成分ポリエステルの重量%(P)との
比(A+B+C)/Pが0.018〜0.098、 の範囲内で存在し、 さらに、繊維軸に垂直な断面における芯成分の面積と鞘
成分の面積との比として定義される芯/鞘複合比(Q)
が1/4〜1/1の範囲を満足することを特徴とする粗面化、
制電性ポリエステル繊維。」を第1の発明とすものであ
り、 「ポリエステル中に、有機および/又は無機の微粒子が
0.5〜10重量%含有されており、該微粒子が以下に定義
される二次粒子として、大きさが0.1〜0.5μであって、
10μ当たり少なくとも5個存在するポリエステルを鞘
成分とし、 分子量1,000〜20,000のポリアルキレングリコール
(A)が1〜8重量%、一般式 (RはC6 30のアルキル基又はアリール基又はアルキル
アリール基を、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属
原子を表わし、mは金属Mの荷電数を表わす)で表わさ
れる界面活性剤(B)が0.5〜5重量%、および沸点200
℃以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤(C)が0.
01〜0.5重量%、かつ上記3者が芯成分ポリエステルの
重量%(P)に対して0.018〜0.098の範囲内で含有され
ているポリエステルを芯成分とし、鞘部の厚さが1ミク
ロン以上、繊維軸に垂直な断面における芯成分の面積と
鞘成分の面積とを比、芯/鞘複合右(Q)が1/4〜1/1の
範囲になるように複合紡糸し、鞘成分を構成するポリエ
ステルに対して可溶性あるいは分解性を有する溶剤で繊
維表面を溶出侵蝕処理することを特徴とする粗面化、制
電性ポリエステル繊維の製造法。
〔二次粒子の定義〕単粒子が識別出来る程度に拡大され
た電子顕微鏡写真で見て隣接する単粒子の中心間距離が
単粒子直径の2倍未満に接近し合つた状態の粒子群を二
次粒子とする。
を第2発明とするものである。
本発明において、溶出侵蝕処理方式で繊維に色の深みを
付与できるような微細な凹凸を繊維表面に付与し、かつ
優れた制電性を具備した合成繊維とするために、繊維と
して、制電成分を構成する芯成分と表面に微細な凹凸を
付与させる鞘成分とからなる芯鞘複合繊維とすること、
芯成分に加える制電成分としてポリアルキレングリコー
ル、界面活性剤、酸化防止剤の特定の組合わせ、配合量
を用いること、鞘成分の膜の厚さ並びに芯/鞘複合比
(断面積比)を特定範囲に満足させること、以上の特定
の要件を満足させることが必要である。
芯成分、即ち制電成分の構成としては、ポリアルキレン
グリコーリ(A)、界面活性剤(制電助剤)(B)、酸
化防止剤(C)が、芯成分に含まれるポリエステルの重
量(P)に対しそれぞれ次式(1)〜(4)式 を満足する範囲で含むことが重要である。これは後述の
理由により繊維軸に垂直な断面における芯部分の面積と
鞘部分の面積との比として定義される芯複合比Qを、次
式(5)式 1/4≦Q≦1/1……………(5)式 の範囲とすることにも起因するが、ポリアルキレングリ
コールおよび界面活性剤をそれぞれ(1)、(2)、
(4)式の下限より少くした場合には鞘成分の表面に溶
出侵蝕処理による微細凹凸を与えることにより、色の深
みなどを与え得ても、目的とする制電性は不十分なもの
となつてしまう。また、上限を越えて添加した場合、そ
れ以上添加しても制電性能は飽和してしまうばかりかり
かポリアルキレングリコールの熱分解生成物によるトラ
ブルの発生やポリマーの溶融時の減粘など、無用の欠点
を生じさせる原因となつてしまう。
また酸化防止剤についていえば、0.01wt%より少く添加
した場合酸化防止効果が不十分であり、特にポリアルキ
レングリコールの分解を招き、その分解生成物がポリエ
ステルと反応してさらに分解を促進する結果となる。ま
た、0.5wt%以上添加しても効果が飽和してしまうばか
りか、製造コストの上昇や昇華した場合など紡糸工程で
のトラブルの原因となる。またヒンダードフエノール系
の酸化防止剤が、特にポリアルキレングリコールに対し
て効果が認められるが、ポリエステルの工程に於ては30
0℃近い温度になる少くとも、200℃を越える工程が必ず
存在するために沸点が200℃より低いとと工程トラブル
の原因となつてしまう。よつてヒンダードフエノール系
の酸化防止剤は沸点が200℃以上、より好ましくは280℃
以上のものが良い。
本発明における芯/鞘複合比は前記(5)式の範囲が良
くより好ましくは1/2〜1/3が用いられる。また、鞘部の
厚さは最低で1μとするべきである。芯/鞘複合比率
が、(5)式の右辺より大きくなると結果として鞘部分
が少くなり、繊維横断面を見た場合鞘が極めて薄くな
る。また本来水溶性であるポリアルキレングリコールや
界面活性剤の添加されたポリエステルは、ポリエステル
に対して可溶性あるいは分解性を有する溶剤で処理した
場合、通常のポリエステルに比べて極めて速やかに溶解
または分解する。すなわち、芯鞘構造のわずかな偏心や
ピンホールによつても溶出侵蝕処理を行つた場合、芯成
分の溶出を招き、制電性の低下のみならず、中空構造と
なるため染色物の色が白茶ける結果を招くこととなる。
さらに前述の特公昭39-5214号公報や特開昭50-107215号
公報などに示されるように制電性を付与しても、染色物
の耐光堅牢性が低下することが、明らかになつている
が、これはポリアルキレングリコールが光劣化し、その
劣化物が染料を劣化させるためでであり、それはすなわ
ち制電性も低下してしまうことを意味する。本発明によ
れば、鞘部の光エネルギーの遮蔽効果により耐光堅牢性
の極め優れた繊維が得られるが芯/鞘比(Q)が1/1よ
り大きくなると、この遮蔽効果が弱まり光劣化を受ける
ようになつてしまう。また、酸素の遮蔽効果も弱まり例
えば、仮撚加工や布帛のヒートセットなどの熱処理時の
ポリアルキレングリコールの酸化劣化も受け易くなり制
電性能の低下を招く。逆に芯/鞘比が1/4より小さくな
ると光劣化は受けず、芯部分の溶出も生じなくなるが、
目的とする制電性が不十分なものとなつてしまい、また
耐久性も低下してしまう。これらの理由により、芯/鞘
複合比は1/4以上1/1以下で、かつ鞘部の厚さは1μ以上
が必要である。
制電成分であるポリエステルを得る方法としては、前記
ポリアルキレングリコール、界面活性剤および酸化防止
剤を、ポリエステルの合成開始時から紡糸工程までの任
意の時期にそれぞれ別々に、または前もつて混合して、
添加することができる。特にポリアルキレングリコール
と酸化防止剤とは前もつて混合し乾燥脱酸素を十分に行
つておくのが好ましい。界面活性剤も同様、乾燥脱酸素
を行つて用いるのが好ましい。またこれらの3つの成分
の添加時期は、それらの耐熱性の点から工程のより終り
の方が良く、特に紡糸工程において紡糸頭の前部にイン
ジエクションし、ダイナミックミキサーまたは、スタチ
ックミキサーなどで混合して紡糸するのがより好まし
い。
また本発明において、繊維表面となる鞘成分ポリエステ
ルは、鞘成分の表面に溶出侵蝕処理によつて色の深みを
与える微細凹凸を形成せんとするものであり、この意味
において単に通常のポリエステル成分を用いても目的と
する表面は得られない。
即ち、本発明は、前記特開昭54-120728号公報や特開昭5
5-107512号公報で示されるような微細凹凸、即ち 「不規則な凹凸のランダム表面を形成しており、該ラン
ダム表面を形成する凹凸は繊維軸に対して直角な外周方
向に存在する凹部の最底点と隣りあう凹部の最底点まで
の平面距離をXとするとき0.2μ<X<0.7μを満足する
互いに一定間隔ではない各凹凸が繊維軸に直角な外周方
向の平面距離10μ当り10ないし50個の密度で存在し、該
ランダム表面を形成する凹凸内には50ないし200mμの微
細凹凸が存在するもの」 を形成せんとするものである。ここでXがが0.2ミクロ
ン以下のものしかない場合には鏡面的反射率の低下が少
なく、染色後の色の深みも従来のものと大差なく摩擦挙
動の改良効果も不充分である。又Xが0.7ミクロンより
大であれば可視光線の反射率が高くなり、色がくすみ白
つぽくなりやすく、かえつて効果がなくなる。Xが0.2
ミクロンより大きく0.7ミクロンよりも小さい範囲の凹
凸を有していても、その密度が凹部(あるいは凸部)が
繊維軸と直角な外周方向の長さ10ミクロン当り10以上の
密度とならない場合は、ポリエステル繊維の発色性改良
効果や色の深みの改良効果が不十分である。
上記のような特異な表面構造は、繊維内部の微細構造オ
ーダーにまで微粒化した特定な数以上の粒子を含有させ
るか、或いは析出させたポリエステル成分を用いること
によつて実現されるものである。
その方法の一つとして、平均直径が100mμ以下の微粒子
を0.5ないし10重量パーセント含有したポリエステルポ
リマーを溶融紡糸し、延伸して、そのまま、あるいは布
帛とし、該繊維の溶剤で繊維表面層を溶出侵蝕させこと
によつて得られる。この場合、用いるる微粒子として
は、例えばシリカゾル、アルミナゾル、金属超微粉末、
シリカ粉末などをあげることができるがこれに限定され
るものではない。
またこのような微粒子をポリマー中に含有させるもう一
つの方法として、ポリマー製造工程途中で2種またはそ
れ以上の化合物を添加し、これらの化合物より生成する
該ポリマーに不溶性の物質を微粒状に析出させ、これを
繊維とし、表面層を溶出侵蝕させる方法もあげられる。
この様な化合物として例えばリン酸と酢酸マンガンや酢
酸マグネシウムの組合せをあげることができるがこれに
限定されるものではない。
微粒子の添加量としては0.5重量%以上、10重量%以下
が好ましい。0.5重量%未満の場合表面層溶出処理を行
つても十分に微細かつ複雑な表面構造が得られず、色の
深さや光沢の改良効果は認め難いものとなる。また10重
量%より多く添加した場合は、紡糸工程での工程性が事
実上不能なものとなつてしまう。当該微粒子を0.5〜10
重量%含有せしめたポリマー成分を溶融紡糸してなるポ
リエステル繊維は、延伸後の繊維表面形状が繊維軸方向
にはしる筋は認められるものの、微細な凹凸表面にはな
つておらず、該ポリエステル繊維の可溶性あるいは分解
性を有する溶剤にて繊維表面層を溶出処理せしめること
により、始めて前述した表面凹凸が達成されるのであ
る。繊維表面の溶出侵蝕は織編物状で染色する場合は染
色前に溶出処理する方が望ましく、また糸、綿状で染色
する場合には染色の前に綿あいは糸、あるいはトウの状
態で溶出侵蝕処理する方が染色の色合わせの点で望まし
い。しかし染色後に実施しても表面の微細かつ複雑な凹
凸形状が得られることは変わりなく、表面溶出の処理は
適宜所望の工程で選択すればよい。
このようなポリエステル繊維の溶出侵蝕溶剤としては苛
性ソーダ、苛性カリなどが一般的であり、本発明にもこ
れらは適するが、必ずしもこれらに限定されるものでは
ない。
添加した、またはポリマー中に析出させた微粒子は、単
粒子状態や、単粒子が集合したいわゆる二次粒子の状態
で存在している。これは紡糸前のチップや紡糸後の繊維
を、該チップあるいは繊維中に存在する単粒子状の微粒
子の径より大きく、その粒径の数倍程度の厚さ以内、即
ち数十ミリミクロンないし100ミリミクロン前後の厚み
にウルトラミクロトームでスライスし、そのスライスし
た超薄切片を透過型電子顕微鏡で高倍率に拡大すれば観
察可能である。繊維表面が溶出する際、不均一性の溶出
となるのはこの微細粒子の分散状態にも影響をうけるの
である。単粒子の完全均一分散の場合には繊維表面溶出
の際、単粒子径の数倍以上の凹凸になりにくいのである
が、適度な不均一性分散状態の場合には表面溶出の際、
粒子の存在密度の高い所が侵蝕溶出されやすく、密度の
少い所より凹部が大となり、望ましい凹凸状況が発現す
るのである。この凹凸がランダムに発現し、かつ繊維表
面には均一に発現することが重要である。
本明細書においては、単粒子が、該単粒子の直径より小
さい間隔、即ち隣接する単粒子の中心間の距離が直径の
2倍未満に接近し合つたものを二次粒子と定義し、この
二次粒子の端から端までの距離が最大のところを二次粒
子の大きさとする。この定義による二次粒子は、単粒子
径が識別できる程度の大きさに拡大された前述の電子顕
微鏡写真、例えば粒子径が10ミリミクロンのものならば
10万倍以上、100ミリミクロンのものならば1万倍以上
に拡大された写真により単粒子と、それより形成される
二次粒子が識別できる。即ち、0.1ミクロンないし0.5ミ
クロンの二次粒子が10平方ミクロン当たり少なくとも5
個存在する状態が、本発明の好ましいランダムな凹凸並
びに微細凹凸を発現せしめることがわかつた。しかしな
がらら単粒子が極端に凝集している状態では繊維製造工
程での不安定要素となるので望ましくなく、粒径5ミク
ロンを越える二次粒子をポリマー1mm2中に20個以上含ま
ないことが良い。
本発明は、上記のようにして得られた微粒子含有ポリエ
ステルが鞘部に、ポリアルキレングリコール、界面活性
剤および酸化防止剤の添加されたポリエステルが芯部に
なるように紡糸し、必要に応じて延伸し、さらに該ポリ
エステルの溶出侵蝕処理を行うことによつて達成され
る。このポリエステル繊維の断面は、前記(1)〜(5)式を
満足させる限りにおいて丸型でも、必要に応じて五葉
型、三角型、T型、その他の異形断面とすることもでき
る。また仮撚捲縮加工などの高次加工により変形された
断面であつても良い。
以上のような本方法で得られるポリエステル繊維の溶出
侵蝕処理前後の摩擦特性の変化も特異的である。即ち、
アルカリでの処理前では、繊維表面には微細な凹凸がな
く、通常のポリエステル繊維と同様の摩擦特性を示すに
過ぎない。しかしこの繊維を溶出侵蝕溶剤で処理する
と、処理前での繊維間静摩擦係数μsと動摩擦係数μd
との差(μs-μd)に比べ、処理後のμs-μdが顕著に
増大し、少なくとも処理後のμs/μdが1.6以上となる
ような優れたすべり風合の繊維となるのである。
本発明者等は繊維の摩擦挙動を鋭意検討した結果、繊維
全体の摩擦係数を単純に増大せしめてもポリエステル系
合成繊維のワキシー感をなくしたり、絹の持つ感触や木
綿のもつさらつとした感触は得られないことを認めた。
すなわち繊維が織物や編物の構造中で単に摩擦係数を高
めたものを用いたものでは、がさがさした触感となるば
かりで、逆に布の曲げ変形や剪断変形時のもどり回復過
程でのヒステリシスを増大せしめ、ドレープ性や、しな
やかさを失つてしまい、また低湿時には摩擦による帯電
により布帛がまつわりつき、さらに風合も低下する結果
となることを認めた。布帛の表面感触を変え、かつ布の
変形回復特性に大きなヒステリシスを与えず、静電気に
よるまつわりつきを防止するためには、静摩擦係数を増
大せしめ、動摩擦係数はあまり増大せしめず、かつ制電
性を付与することが肝要であつた。すなわち静摩擦係数
(μs)と動摩擦係数(μd)の比μs/μdが1.7以
上、望ましくは1.9以上になり、制電性が付与されてい
れば、すべり風合が改善され極低湿時においても従来に
ない感触のものとなることがわかつたが、本発明はまさ
にこのような特性を有する繊維とその製造方法を提供せ
んとするものである。
本発明による仮撚加工糸では特にキラキラ光るグリッタ
ーも減少する効果を発揮する。このため高速紡糸して得
られるPOYのDTY仮撚糸にもアンチグリッター効果を発揮
する意味でメリットとなる。
本発明でいうポリエステル系ポリマーとは、繰返し構造
単位の少なくとも約約75%が (但し‐G-は2〜18炭素原子を含み飽和炭素原子により
隣の酸素原子と結びついている2価の有機基)の単位で
ある如きグリコールジカルボキシレート繰返し構造単位
を意味するものである。テレフタレート基は繰返し構造
単位の唯一のジカルボキシレート成分であつてもよく、
または繰返し構造単位の約25%まではアジペート、セバ
ケート、イソフタレート、ビベンゾエート、ヘキサヒド
ロテレフタレート、ジフエノキシエタン‐4,4′‐ジカ
ルボキシレート、5-スルホイソフタレート基の如き他の
ジカルボキシレートを含んでいてもよい。グリコール類
としては、エチレングリコール、テトラメチレングリコ
ール、ヘキサメチレングリコール等のポリメチレングリ
コール、2,2-ジメチル‐1,3-プロパンジオールの如き枝
鎖グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、テトラエチレングリコールあるいはこれらの
混合物も使用できる。また芯部を構成するポリエステル
と鞘部を構成するポリエステルの組成は同一であつて良
く、また異つていても良い。また、艷消剤、光沢改良
剤、着色剤、その他添加剤が添加されていても良い。
本発明に用いられる分子量1,000〜20,000のポリアルキ
レングリコールとしては、例えばポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコールなどが、これらのブロックまたはランダム共重
合体、また、その末端をフエニル基などで封鎖したもの
などをあげることができるが、これらに限定されるもの
ではない。また界面活性剤としては、例えばベンゼンス
ルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼ
ンスルホン酸などのアルカリ金属、又はアルカリ土類金
属塩などをあげることができるが、これらの限定される
ものではない。また酸化防止剤としては例えば、ペンタ
エリスリチル‐テトラキス〔3-(3,5-ジ‐タターシヤリ
ブチル‐4-ヒドロキシフエニル)プロピオネート〕、3,
5-ジ‐ターシヤリブチル‐4-ヒドロキシベンジルホスホ
ン酸ジエチル、トリエチレングリコール‐ビス‐3-(3-
ターシヤリブチル‐4-ヒドロキシ‐5-メチルフエニル)
プロピオネートなどをあげることができるが、これに限
定されるものではない。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明は以上の
実施例により限定されるものではない。
実施例 (I)ポリマー作成 平均粒径15mμで濃度20重量%の水系シリカゾルとエチ
レングリコールとを室温で混合し十分撹拌した後、該エ
チレングリコールとテレフタル酸とのモル比が1.3とな
るようにシリカ含有スラリーを調整した。このスラリー
を反応系温度250℃、内圧1.5kg/cm2のバツチ式エステル
化槽に連続的に水を留出させながら供給してエステル化
反応を行い、エステル化率97%のエステル化物を得、続
いて290℃で重合を行い重合度95のポリエステルポリマ
ーを得た。尚、重合触媒にはSb2O3を400ppm使用した。
このようにしてシリカゾルの添加量(シリカ純分とし
て)が0〜12重量%のポリマーを表‐1に示すA-0からA
-6まで作成し、また、先に記した方法および位相差顕微
鏡により検定した。
次にテレフタル酸ジメチル194部、エチレングリコール1
34部、酢酸亜鉛0.067部を反応器に仕込み、200℃に加熱
してエステル交換反応を行つた。これにリン酸0.022
部、Sb2O30.08部を添加し、さらに5分後に酢酸マンガ
ン4水塩5部を加え、さらに5分後にリン酸1.34部を加
えて十分撹拌した。これを280℃まで昇温しつつ徐々に
減圧し、最終的には1mmHg以下まで減圧して重合反応を
行い、重合度98のポリエステルポリマー(表‐1、A-
7)を得、同様にして2次粒子を検定した。
次にテレフタル酸に対し、エチレングリコールのモル比
が1.2になるように調整したスラリーを反応系温度250
℃、内圧1.5kg/cm2のバツチ式エステル化槽に連続的に
水を留出させながら供給しエステル化反応を行い、エス
テル化率98%のエステル化物を得、続いて280℃で重合
を行い重合度100のポリエステルポリマーとした。これ
にポリアルレンキングコール、界面活性剤、酸化防止剤
を前もつて混合撹拌、脱酸素したものを添加混合し、表
‐2に示すポリマーを得た。
(II)繊維の製造、評価 実施例1〜6、比較例1〜6 表‐1に示すA記号のポリマーを鞘成分とし、表‐2に
示すB記号のポリマーを芯成分として、同心円断面の芯
鞘複合繊維を二台の押出機を用いて複合紡糸し、1000m/
分の速度で捲取り、続いて3倍に延伸し、150デニー
ル、32フイラメントの延伸糸とした。これらの試験例を
表‐3に示す。ただし、A-6を鞘成分とする紡糸試験は
ポリマーの圧の上昇が激しく紡糸性が極めて不良であ
り試料を得ることが不可能であつた。本例を比較例‐1
とする。この延伸糸を編地とし、1規定のNaOH水溶液を
用い、98℃で減量処理を行い、約5%まで減量した。続
いて黒色染料による染色加工(三菱化成製Dianix Black
HG-SE12%o.w.f.130℃‐50分)を実施した。これらの
編地を光学顕微鏡により観察したところ、比較例‐5に
おいては芯成分が一部溶失して中空繊維状となつている
部分のあるのが認められた。これらの編地につき反射率
を目記分光光度計(日立製作所EPR-2型)により測定
し、さらには視感により色の深みの総合的判定を行い、
また、走査型電子顕微鏡写真から繊維表面の凹凸形状を
求め、さらに20℃30%RHにおいてオネストメーターによ
り半減期を求め制電性を評価しまた風合の評価もあわせ
て行つた。
次に延伸糸に仮撚加工を実施し、これを編地とし、同様
な条件で減量処理し約5%の減量を行い、これを同様に
黒色に染色した。この編地を太陽光下において、グリッ
ターの有無強弱について判定した。
次に延伸糸をカセ状にし、同様に1規定のNaOH水溶液
(98℃)で約10%の減量処理を実施し、レーダー法に従
い静摩擦係数(μs)、動摩擦係数(μd)を測定し、
μs/μdを求めた。これらの結果を総合して最終的な総
合判定を行つた結果を表‐3に示す。
実施例7 鞘部ポリマーとしてA-3を用い、芯部ポリマーにはポリ
エチレンテレフタレート(〔η〕=0.68、酸化チタン0.
05重量%含有)チップを用い、紡糸時に、押出機から紡
糸頭までの配管途中にポリエチレングリコール(分子量
11,000)、トリエチレングリコール‐ビス‐(3-ターシ
ヤリブチル‐4-ヒドロキシ‐5-メチルフエニル)プロピ
オネート、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダを前もつ
て混合乾燥脱酸素したものを、それぞれ芯成分において
6、1、0.3重量%になるように芯成分側にインジエク
シヨンし、静止混合器(東レ、ハイミキサー、10段)で
混合し、芯/鞘複合比1/2となるように紡糸した。以
下、実施例1〜6と同様にして評価したところ総合判定
として良好である結果を得た。結果を表‐3に示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芯鞘成分が共にポリエステルからなる複合
    繊維であって、 その繊維表面となる鞘成分表面には、溶出侵蝕処理によ
    る微細凹凸が存在し、該鞘成分の厚さが1ミクロン
    (μ)以上であり、 芯成分には 分子量1,000〜20,000のポリアルキレングリコール
    (A)が1〜8重量%、 一般式 (RはC6 30のアルキル基又はアリール基又はアルキル
    アリール基を、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属
    原子を表わし、mは金属Mの荷電数を表わす)で表わさ
    れる界面活性剤(B)が0.5〜5重量%、 沸点200℃以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤
    (C)が0.01〜0.5重量%、 かつ上記3者と芯成分ポリエステルの重量%(P)との
    比(A+B+C)/Pが0.018〜0.098、の範囲内で存在
    し、 さらに、繊維軸に垂直な断面における芯成分の面積と鞘
    成分の面積との比として定義される芯/鞘複合比(Q)
    が1/4〜1/1の範囲を満足することを特徴とする粗面化、
    制電性ポリエステル繊維。
  2. 【請求項2】ポリエステル中に、有機および/又は無機
    の微粒子が0.5〜10重量%含有されており、該微粒子が
    以下に定義される二次粒子として、大きさが0.1〜0.5μ
    であって、10μ当たり少なくとも5個存在するポリエ
    ステルを鞘成分とし、 分子量1,000〜20,000のポリアルキレングリコール
    (A)が1〜8重量%、一般式 (RはC6 30のアルキル基又はアリール基又はアルキル
    アリール基を、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属
    原子を表わし、mは金属Mの荷電数を表わす)で表わさ
    れる界面活性剤(B)が0.5〜5重量%、および沸点200
    ℃以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤(C)が0.
    01〜0.5重量%、かつ上記3者が芯成分ポリエステルの
    重量%(P)に対して0.018〜0.098の範囲内で含有され
    ているポリエステルを芯成分とし、鞘部の厚さが1ミク
    ロン以上、繊維軸に垂直な断面における芯成分の面積と
    鞘成分の面積との比、芯/鞘複合比(Q)が1/4〜1/1の
    範囲になるように複合紡糸し、鞘成分を構成するポリエ
    ステルに対して可溶性あるいは分解性を有する溶剤で繊
    維表面を溶出侵蝕処理することを特徴とする粗面化、制
    電性ポリエステル繊維の製造法。
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