JPH066632U - エレベータ式駐車装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡易な構成によって昇降枠と駐車室側とのレ
ール高さの不一致による段差があっても安定した台車の
移行が可能な駐車装置とする。 【構成】 台車の前後にそれぞれ片側２輪の走行輪を設
けるとともに、前記昇降枠に形成された台車案内レール
と駐車室側搬入レールの各突き合せ端部に下り勾配を形
成し、かつ各下り勾配距離とレール間隙間の加算距離を
前記２輪の走行輪の車軸距離より短い範囲に設定した

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はエレベータ式駐車装置に係り、特に車輌を搭載して昇降通路を上下に 昇降して所定の階層に停止させる昇降枠から台車をその階層の駐車室にレール走 行によって搬入走行させる構造の駐車装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のエレベータ式駐車装置は、多層階に駐車室を形成しておき、各階の駐車 室まで車輌を搭載したトレーを昇降枠によって移動し、昇降枠からトレー若しく はトレーを載置した台車を走行移動させることによって搬入させるようにしてい る。この場合、昇降枠と駐車室側にはそれぞれ台車の移動のためのレールを設け ておき、昇降枠の停止位置がレール高さに一致するように制御されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、エレベータ方式で昇降枠を昇降させるに際して、車輌を搭載した状 態と、車輌の無い無負荷の状態で昇降させた場合、昇降枠に接続されているロー プやチェーンの伸びが異なってしまうため、各階層位置で正確に昇降枠と駐車室 とのレール高さを一致させることが困難となっている。このレール高さが一致し ないとその段差により台車やトレーの移動が円滑行われず、最悪の場合には走行 移動ができなくなってしまう問題がある。この対策のため、駐車室側にシリンダ 機構を設け、昇降枠側にはシリンダロッドの受入れストッパを形成して両レール の位置決めを図る構造も提案されているが、機械構造的にも電気制御的にも複雑 となり、調整も困難であるとともに、設備コストが嵩んでしまうので問題となっ ていた。

【０００４】 本考案は、上記従来の問題点に着目し、簡易な構成によって昇降枠と駐車室側 とのレール高さの不一致による段差があっても安定した台車の移行を実現できる 構造のエレベータ式駐車装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案に係るエレベータ式駐車装置は、昇降通路 を昇降駆動され車輌を搭載したトレーおよび該トレーを積載する台車をレール移 動可能としてなる昇降枠を備え、多層階に形成され前記台車の搬入レールを設け た駐車室を備え、前記台車にて各駐車室にトレーの受け渡しをなすようにしたエ レベータ式駐車装置において、前記台車の前後にそれぞれ片側２輪の走行輪を設 けるとともに、前記昇降枠に形成された台車走行レールと駐車室側搬入レールの 各突き合せ端部に下り勾配を形成し、かつ各下り勾配距離とレール間隙間の加算 距離を前記２輪の走行輪の車軸距離より短い範囲に設定したものである。

【０００６】

【作用】

上記構成によれば、昇降枠が所定の階層の駐車室高さにレール段差を生じて停 止した際に、台車を走行させると最初フロント側２輪の車輪の内、前端の車輪が 下り勾配に達するが、台車はリア側２輪とフロント側１輪によって水平に維持さ れて移動できる。そしてフロント側の後輪が下り勾配に達すると、この時点では フロント前端輪は搬入側レール上にある。このため、台車の移行は段差の存在に 拘らず確実に行われる。そして、移行の途中では少なくともフロント側とリア側 の各１輪が必ずレール上にあるため、移動に支障を生じることはない。したがっ て、脱輪や走行を妨げることがなくなり、円滑な台車の走行が可能となるのであ る。特に、昇降枠の正確な位置決めを図らなくても発生した段差を吸収して走行 できるようになっているため、コストの高い位置決め機構や制御機構を設ける必 要がないので非常に簡易な構造で、安全性の高いエレベータ式駐車装置とするこ とができる。

【０００７】

【実施例】

以下に、本考案に係るエレベータ式駐車装置の具体的実施例を図面を参照して 詳細に説明する。

【０００８】 まず、図２に示すように、駐車場建屋には多層階に駐車室１０が形成されてお り、各階層に車輌１２を搭載して搬入するための昇降通路１４が形成されている 。また、昇降通路１４内を昇降される昇降枠１６が装備されており、これはチェ ーン１８等によって吊り下げられ、図示しない駆動手段によって昇降駆動可能と なっている。車輌１２は昇降枠１６に搭載されて昇降されるが、昇降枠１６上か ら各駐車室１０へ移載するために、昇降枠１６の上部に車輌１２を搭載する台車 ２０がレール走行可能に取付けられている。台車２０は走行のための車輪２２を 具備し、他方昇降枠１６には走行案内をなす台車案内レール２４が設置されてい る。また、駐車室１０側には台車案内レール２４と整列する搬入レール２６が敷 設され、台車案内レール２４と搬入レール２６との高さを一致させるように昇降 枠１６を所定階に停止させ、前記台車２０が昇降枠１６上から駐車室１０内にレ ール走行して車輌１２を搬入するものとしている。

【０００９】 ここで台車２０の具体的構造を図３〜図５を参照して説明する。これらの図に 示すように、昇降枠１６には一対の台車案内レール２４が取付けられ、これを走 行路として移動できるように台車２０がその上部に載置されている。また、台車 ２０上には車輌１２が直接搭載されるトレー２８が載置され、このトレー２８も 台車２０に対してレール走行可能になっており、このため台車２０の上面部には トレー案内レール３０を設置するとともに、トレー２８側に車輪３２を備えた構 造となっている。この場合において、前記昇降枠１６の台車案内レール２４と台 車２０のトレー案内レール３０とは互いに直交する方向に設定され、したがって 台車２０の走行方向に対してトレー２８は直交する横行移動が可能とされている 。これらは通常は積層状態とされて昇降駆動され、駐車室１０に対向した状態で 前記台車案内レール２４が駐車室１０の搬入レール２６に高さが一致して連続し た走行軌条を形成するようになっており、またトレー案内レール３０は台車２０ が駐車室１０に移行した状態で側方駐車室（図示せず）に形成したトレー搬入レ ール３４（図３参照）に高さが一致するように設定されている。

【００１０】 このような構成において、実施例では図１に示すように、まず前記台車２０の 走行車輪２２を前車輪と後車輪とにより構成するが、前車輪を第１前輪２２ＦＦ と第２前輪２２ＦＲによって構成し、また後車輪を第１後輪２２ＲＦと第２後輪 ２２ＲＲによって構成している。そして、この車輪２２が転動する昇降枠１６の 台車案内レール２４と駐車室側搬入レール２６の各突き合せ端部に下り勾配面２ ４Ｓ、２６Ｓを形成したものである。この場合において、各下り勾配面２４Ｓ、 ２６Ｓの距離Ｌ_Sとレール間隙Ｇ間の加算距離（Ｌ_S＋Ｇ）を前記一対の前車輪２ ２ＦＦ、２２ＦＲ（または後車輪２２ＲＦ、２２ＲＲ）の車軸距離Ｌより短く設 定したものである。

【００１１】 このような構成は前記トレー２８側においても同様となっており、トレー２８ の走行車輪３２を前車輪と後車輪とにより構成するとともに、前車輪を第１前輪 ３２ＦＦと第２前輪３２ＦＲによって構成し、また後車輪を第１後輪３２ＲＦと 第２後輪３２ＲＲによって構成している。そして、この車輪３２が転動する台車 ２０のトレー案内レール３０と駐車室側のトレー搬入レール３４の各突き合せ端 部に下り勾配面３０Ｓ、３４Ｓを形成している。この場合において、各下り勾配 面３０Ｓ、３４Ｓの距離ｌ_Sとレール間隙ｇ間の加算距離（ｌ_S＋ｇ）を前記一対 の前車輪３２ＦＦ、３２ＦＲ（または後車輪３２ＲＦ、３２ＲＲ）の車軸距離ｌ より短く設定しているのである。

【００１２】 なお、台車２０は自走台車として構成されており、このため図４に示すように 、台車２０には駆動モータ３６が取付けられ、これによって２輪の後車輪２２Ｒ Ｆ、２２ＲＲを駆動輪として走行可能とされている。また台車上部のトレー２８ は台車２０に搭載した水平スイングアーム３８を設け、このアーム３８の操作に よってトレー２８の側面に形成した係合溝（図示せず）を利用して横行移動させ るようにしている。したがって、トレー２８の車輪３２は自由輪として構成され ている。

【００１３】 このように構成された駐車装置の作用を図１を参照して説明する。この図は台 車２０を昇降枠１６から駐車室１０側に走行移動させる場合について説明してい る。昇降枠１６を停止階に停止させると、その台車案内レール２４は本来駐車室 １０の搬入レール２６に高さが一致すべきであるが、チェーン１８等の伸び等に 起因して段差Ｈが発生することがある（同図（１））。いま台車案内レール２４ が低い位置に停止されて段差Ｈが発生したものとすると、この状態から台車２０ を搬入レール２６に向けて自走させることにより、台車２０が他の３つの走行輪 ２２ＦＲ、２２ＲＦ、２２ＲＲによって正規の高さに保持された状態で、第１前 輪２２ＦＦが搬入レール２６に達する。このとき、段差Ｈは勾配面２６Ｓによっ て吸収され、第１前輪２２ＦＦを搬入レール２６に乗り移させることができる（ 同図（２））。そして、自走を継続することにより、第１前輪２２ＦＦが搬入レ ール２６の勾配面２６Ｓを越えると、台車２０は第１前輪２２ＦＦと第２後輪２ ２ＲＲによる２輪走行状態となる（同図（３））。更に前進すると、台車前輪２ ２ＦＦ、２２ＦＲが搬入レール２６に移行し（同図（４）、（５））、次いで駆 動輪としての第１後輪２２ＲＦが搬入レール２６に転接した状態で搬入レール２ ６上を自走可能となる（同図（６））。その後は全輪が搬入レール２６側に移行 し、搭載車輌１２が駐車室１０に格納されるのである（同図（７））。 なお、トレー２８をトレー搬入レール３４に横行移動させる場合も同様に作用 する。

【００１４】 このようなエレベータ式駐車装置によれば、昇降枠１６の停止位置が正確に行 われなかった場合でも、突き合せレールを容易に乗越えさせることができ、脱輪 防止を図りつつ、また走行を妨げることがなく、円滑な台車２０の移行が可能と なるのである。特に、昇降枠１６の正確な位置決めを図らなくても発生した段差 Ｈを吸収して走行できるようになっているため、コストの高い位置決め機構や制 御機構を設ける必要がなく、非常に簡易な構造で、安全性の高いエレベータ式駐 車装置とすることができるのである。

【００１５】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、台車の前後にそれぞれ片側２輪の走行 輪を設けるとともに、前記昇降枠に形成された台車案内レールと駐車室側搬入レ ールの各突き合せ端部に下り勾配を形成し、かつ各下り勾配距離とレール間隙間 の加算距離を前記２輪の走行輪の車軸距離より短い範囲に設定したので、簡易な 構成によって昇降枠と駐車室側とのレール高さの不一致による段差があっても安 定した台車の移行を実現できるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例に係る駐車装置による台車走行状態の説
明図である。

【図２】実施例の駐車装置の概要図である。

【図３】昇降機構部の一部を示す分解斜視図である。

【図４】昇降機構部の側面図である。

【図５】同正面図である。

【符号の説明】

１０ 駐車室 １２ 車輌 １４ 昇降通路 １６ 昇降枠 １８ チェーン ２０ 台車 ２２ 車輪 ２４ 台車案内レール ２６ 搬入レール ２８ トレー ３０ トレー案内レール ３２ 車輪 ３４ トレー搬入レール ３６ 駆動モータ ３８ スイングアーム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 昇降通路を昇降駆動され車輌を搭載した
   トレーおよび該トレーを積載する台車をレール移動可能
   としてなる昇降枠を備え、多層階に形成され前記台車の
   搬入レールを設けた駐車室を備え、前記台車にて各駐車
   室にトレーの受け渡しをなすようにしたエレベータ式駐
   車装置において、前記台車の前後にそれぞれ片側２輪の
   走行輪を設けるとともに、前記昇降枠に形成された台車
   案内レールと駐車室側搬入レールの各突き合せ端部に下
   り勾配を形成し、かつ各下り勾配距離とレール間隙間の
   加算距離を前記２輪の走行輪の車軸距離より短い範囲に
   設定したことを特徴とするエレベータ式駐車装置。