JPH0653211U - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 空気入りラジアルタイヤにおける形状の適性
化を行うことによって走行中におけるタイヤ騒音の低減
を図る。 【構成】 対をなすビードと、該ビード間にトロイド状
に掛け渡されかつそのビードの軸方向外側に巻き上げ係
止されたラジアルカーカス１と、カーカス１のクラウン
部に配置されたベルト３からなる空気入りラジアルタイ
ヤにおいて、クラウン部中央域のカーカス１の径方向内
側に所定幅の錘作用をする厚肉ゴム層４を配置して、そ
の中央域を部分的に肉厚に構成している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本発明は、走行時に発生するタイヤ騒音を低減する空気入りラジアルタイヤに 関する。

【０００２】

【従来の技術】

タイヤの騒音は、タイヤ自身の不均一性によって振動して音を発生する場合と 、路面の凹凸によりトレッド部が路面より強制入力を受けて振動する結果、音を 発生する場合とがある。そして後者による騒音の場合には、それの改良手法とし てはトレッドゴム、パターンの改良によるものが主流であった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

タイヤの騒音低減のために、トレッド部の振動を抑制するための手法としてト レッドゴム、トレッドパターンによる改良を行うと、前者のトレッドゴムの改良 の場合には、摩耗に関して問題があり、また後者のトレッドパターンを改良する 場合には、ウエットグリップ性の上で問題があり、トレッドゴムの改良と摩耗性 、トレッドパターンの改良とウエットグリップ性とは何れもそれぞれ相反する関 係になり、何れにしてもトレッド部の改良によるタイヤ騒音の低減には色々な制 約が生じ、他のタイヤの諸性能、例えば操縦安定性等、との両立が困難であると いうのが一般的見解であった。 本考案は、空気入りラジアルタイヤにおける形状の適正化を行うことによって 走行時におけるタイヤ騒音の低減を図ることを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案の空気入りラジアルにおいては、対をなす ビードと、該ビード間にトロイド状に掛け渡され、かつそのビードの軸方向外側 に巻き上げ係止されたラジアルカーカスと、カーカスのクラウン部に配置された ベルトからなる空気入りラジアルタイヤにおいて、クラウン部中央域のカーカス の径方向内側に所定幅の錘作用をする厚肉ゴム層を配置して、該中央域を部分的 に肉厚としたことを特徴とするものが提供される。

【０００５】

【作用】

一般に車両の通過騒音の主要周波数は８００〜２ＫＨｚであり、特に１ＫＨｚ 前後にピークを持ち、この帯域の音圧レベルの低下を図ることがタイヤ騒音の低 減には重要である。 タイヤ騒音の発生原因は、「路面凹凸によりトレッドが路面から強制入力を受 け、トレッド部が振動することによる振動音成分」が大きな要因であるといわれ ている。 そこで、タイヤが凹凸のある路面を走行すると、トレッド部はその凹凸形状に 応じて変形し、この変形によりトレッド部が振動する。この振動をトレッドの３ 区域、即ちセンター区域と両ショルダー区域に分けて考えると、センター部の振 動レベルが大きいことが判明した。

【０００６】 しかるにこれが騒音の原因となっているのであるから、そのセンター部の振動 を抑制するために、質量付加による振動減衰の手法を採用して、本考案では、特 に振動レベルの大きいトレッドセンター部に錘作用をするゴム層をクラウン部中 央域のカーカスの径方向内側に所定幅にわたって形成することによって、トレッ ドセンター部の制振作用を向上させ、振動レベルの大きいトレッドセンター部の 振動を抑制し、前記８００〜２ＫＨｚの範囲内の騒音の低減を図ることができた のである。 トレッドセンターに付加する錘作用をする厚肉ゴム層の幅はベルト層幅の１５ 〜４０％が好ましく、１５％以下ではトレッドセンター部の補強には不十分であ り、４０％以上では余りにも重量的に重くなり、転がり抵抗が増加する。 また錘作用をするゴム層の厚さはトレッド厚さの５０〜２００％であるのがよ く、５０％以下ではトレッドセンター部の補強には不十分で効果が顕著でなく、 ２００％以上であれば、重量的に重過ぎて前記同様に転がり抵抗が増加する。

【０００７】

【実施例】

以下実施例について図面を参照して説明する。 図１、図２（ａ）、（ｂ）はそれぞれ、従来例及び実施例１と実施例２の空気 入りタイヤのトレッド部構造を示した図である。 図１の従来例空気入りラジアルタイヤ（以下、タイヤＡという。）は、カーカ ス１の上方のトレッド部２に第１ベルト３₁ 、第２ベルト３₂ よりなるベルト層 ３が配置された普通のタイヤである。 図２（ａ）の実施例１の空気入りラジアルタイヤ（以下、タイヤＢという。） は、図１の従来例空気入りラジアルタイヤと同様にカーカス１の上方のトレッド 部２に第１ベルト３₁ 、第２ベルト３₂ よりなるベルト層３が配置されており、 さらにカーカス１の径方向内側に錘作用をする厚肉ゴム層４が周方向にわたって 設けられている。その寸法は深さｂ＝１０ｍｍ、幅ｗ＝４０ｍｍで、密度が小さ いゴムよりなっている。 さらに図２（ｂ）には図２（ａ）の実施例１と同様にカーカス１の上方トレッ ド部２に第１ベルト３₁ 、第２ベルト３₂ からなるベルト層３が配設されている とともに、カーカス１の径方向内側に密度大の錘作用をするゴム層４が設けられ た実施例２の空気入りラジアルタイヤ（以下、タイヤＣという。）が示されてい る。ゴム層４の寸法は実施例１と同じである。

【０００８】 次に、本考案の実施例１と実施例２及び従来例をタイヤサイズ２２５／５０Ｒ １６のタイヤに適用して供試用空気入りラジアルタイヤを製作し、車両に装着し 、実車による通過騒音試験により評価した。また、耐久性についてはベルト端セ パレーションを起すまでの走行距離を測定し評価した。

【０００９】 （１）タイヤのゴム層等の寸法 ※ベルト層の幅は 200mm 一定 トレッド層の厚さは 10mm 一定

【００１０】 （２）試験結果 （注）タイヤＡの指数を１００とし、その値との比でタイヤＢ、Ｃを評価指数で 表わした。 以上の結果より８００〜２ＫＨｚ付近の音圧レベル低減に著しい効果が認めら れた。また、耐久性も損うことなく、従来例とほぼ同等レベルを確保できた。

【００１１】

【考案の効果】

以上詳述したように本考案は構成されているので、従来タイヤにクラウン部中 央域のカーカスの径方向内側に所定幅の錘作用をするゴム層を追加しただけの簡 単な構造によって車両走行タイヤにおけるタイヤ騒音の大幅な低減を図ることが でき、乗り心地の改善を図ることができるとともに、耐久性をもほぼ同等程度に 確保できる等の効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来例のタイヤのトレッド部の構造を示す図で
ある。

【図２】（ａ）は実施例１のタイヤのトレッド部の構造
を示す図である。（ｂ）は実施例２のタイヤのトレッド
部の構造を示す図である。

【符号の説明】

１ カーカス ２ トレッド部 ３ ベルト層 ４ ゴム層

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 対をなすビードと、該ビード間にトロイ
   ド状に掛け渡され、かつそのビードの軸方向外側に巻き
   上げ係止されたラジアルカーカスと、カーカスのクラウ
   ン部に配置されたベルトからなる空気入りラジアルタイ
   ヤにおいて、クラウン部中央域のカーカスの径方向内側
   に所定幅の錘作用をする厚肉ゴム層を配置して、該中央
   域を部分的に肉厚としたことを特徴とする空気入りラジ
   アルタイヤ。