JPH0652834A - 管 球 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数枚の金属箔間にセパレータガラスを介在
させた導入体を用いた管球において，箔切れやリークな
どの発生の虞れのない管球を提供することを目的とす
る。 【構成】 複数枚の封止用金属箔４Ａ，４Ｂの間にセパ
レータガラス５を介在させ、この金属箔４Ａ，４Ｂの一
端に発光用フィラメントあるいは放電電極を有する内部
導体ふ２を他端に外部導体３を溶接した導入体１を、石
英ガラスバルブ６の端部に封止してなる管球において、
上記封止用金属箔４Ａ，４Ｂと内部導体２との溶接部４
１には３枚以上の金属箔４Ａ，４Ｂ、４Ｚが重合して溶
接されている。 【効果】溶接点から１〜３ｍｍ離れた溶接部近傍に熱応
力が多く懸かり点灯時にこの部分の金属箔が伸長して高
い電気抵抗となり温度が上がるが、この溶接点の近傍を
金属箔を多層化することによって、電気的、耐化学浸
蝕、温度的に補強してあるのでこの部分の金属箔が痩せ
ることがなく溶断を防ぐことができるとともにリークな
どの虞れもない長寿命の管球を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は高圧放電ランプやハロゲ
ン電球などで、特に電流の大きい管球封止部の導入体の
構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】ショートアークメタルハライドランプ，
超高圧水銀ランプ，キセノンランプなどの高圧放電ラン
プあるいはハロゲン電球などバルブに石英ガラスを用い
た管球は，外管を有せず発光管のみからなるコンパクト
な光源として各種の用途に使用されている。

【０００３】これら管球は石英ガラスとの気密性を保持
するため封止部にはモリブデン箔などからなる金属箔が
導入体として用いられている。通常このモリブデン箔の
肉厚は２０〜３０μｍで，これ以上に厚いと熱膨張率の
関係から石英ガラスバルブにクラックを生じたり気密性
が保持できなくなったり，また，逆に薄いと強度的に弱
く封止作業中や点灯中などに箔切れが発生するばかり
か，電流的にも制限を受けている。

【０００４】そこで，この種ランプで１０アンペア，２
０アンペアと大電流形のランプは，この封止用の金属箔
を並列して複数枚使用している。図４に示すように複数
枚，たとえば２枚の金属箔を使用するたとえばショート
アークメタルハライドランプの導入体１の構成として
は，高融点金属たとえばタングステンからなる内部導体
２および外部導体３の端部の上下両面を切削形成した偏
平部２１，３１にそれぞれ金属箔としてモリブデン箔４
Ａ，４Ｂが溶接されているとともに両モリブデン箔４
Ａ，４Ｂの間および内部導体２と外部導体３の端面の間
には長方形状の偏平な石英ガラスからなるセパレータガ
ラス５が介在されている。なお、４１，…は溶接点、、
４２，…は溶接部近傍を示す。

【０００５】このような構成の導入体１は，図３に示す
石英ガラスバルブ６の開口端部内に配置され，上記バル
ブ６の端部を加熱溶融して封止部６１を形成すれば，上
記モリブデン箔４Ａ，４Ｂは封止部６１に気密に封止さ
れる。

【０００６】しかし，上記ランプは導入体１を含みラン
プの点滅により膨脹、収縮を起こす。この点滅による膨
脹、収縮は、石英ガラスバルブ６および導入体１とも同
程度であればよいが、石英ガラスはモリブデンやタング
ステンに比べ熱膨脹率が小さいので、その伸縮応力はモ
リブデンやタングステンなどの金属部材側にかかる。そ
してランプ点灯時この応力により、薄肉で最も強度の弱
いモリブデン箔４Ａ，４Ｂが溶断し、ランプが不点とな
る。

【０００７】また、石英ガラスバルブ６はモリブデン箔
４Ａ，４Ｂの中央部分では隙間なく気密に封止している
が、モリブデン箔４Ａ，４Ｂと内部導体２との溶接部で
は箔４Ａ，４Ｂや内部導体２が石英ガラスと完全に融着
してしまうとランプ点灯時に熱膨脹率差のため石英ガラ
スにクラックが生じるという問題から、完全には気密状
態に封止されていない。そして、このようなことから逆
に内部導体２と石英ガラスとの間に完全な隙間を作ると
（実際には封止作業時の加熱その後の冷却によって僅か
な隙間ができている）、今度はバルブ６内に発光物質と
して封入した金属ハロゲン化物などがこの隙間に侵入し
てこの部分のモリブデン箔４Ａ，４Ｂと反応してモリブ
デン箔４Ａ，４Ｂを浸蝕し脆弱化して強度を低下させ切
れ易くしてしまう。

【０００８】そして、上記のようなモリブデン箔４Ａ，
４Ｂが切れる箇所は、電極に近く点灯時に放電熱が多く
加わり最も温度上昇し伸縮差が大きい内部導体２との溶
接点４１より１〜３ｍｍ位離れた溶接部近傍４２に起こ
り、また、この溶接部近傍４２はハロゲン化物により浸
蝕されかかっていて電気抵抗も高くなっているところか
ら箔切れが助長されるということもある。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、内部導体と金属箔との溶接部近傍に起こる金属箔
の切断が防止できない点にある。

【００１０】この発明は上記事情に鑑みなされたもの
で，複数枚の金属箔間にセパレータガラスを介在させた
導入体を用いた管球において，箔切れやリークなどの発
生の虞れのない管球を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１に記載
の管球は，複数枚の封止用金属箔の間にセパレータガラ
スを介在させ、この金属箔の一端に発光用フィラメント
あるいは放電電極を有する内部導体を他端に外部導体を
溶接した導入体を、石英ガラスバルブの端部に封止して
なる管球において、上記封止用金属箔と内部導体との溶
接部には３枚以上の金属箔が重合して溶接されているこ
とを特徴としている。

【００１２】本発明の請求項２に記載の管球は，上記重
合する金属箔が封止用金属箔の端部を折り返して形成し
たことを特徴としている。

【００１３】

【作用】内部導体と金属箔との接続部近傍にさらに金属
箔を重合して溶接したので、接続部が補強され固着強度
が向上できるとともにこの接続部がハロゲン化物などに
より浸蝕され脆弱化するのを防ぐことができる。

【００１４】

【実施例】以下，本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図１および図２は本発明に係る導入体１，図３は
ショートアークメタルハライドランプを示し，上述した
図４と同一部分には同一の符号を付してその説明は省略
する。

【００１５】高融点金属たとえばタングステンからなる
電極棒をなす内部導体２および外部導体３の端部の上下
両面を切削形成した偏平部２１，３１には、それぞれ金
属箔としてモリブデン箔４Ａ，４Ｂを溶接しているとと
もに両モリブデン箔４Ａ，４Ｂの間には長方形状の偏平
な石英ガラスからなるセパレータガラス５が介在されて
いる。

【００１６】上記モリブデン箔４Ａ，４Ｂの一端部は、
先端部のある長さ分を折り返し、この折り返し部内にも
う１枚の補強用の金属箔４Ｚを入れ三重層として内部導
体２に２か所の溶接点４１，…で溶接接続されている。

【００１７】なお、２２は内部導体２に巻装された電極
コイル、４２，…は溶接点４１，４１より外部導体３方
側に１〜３ｍｍ離れた溶接部近傍、８はセラミックスな
どの絶縁体からなる口金、９はリード線を示す。

【００１８】このような導入体１の組立ては，上下面を
偏平にし同じ厚さに予め形成しておいた内部導体２とセ
パレータガラス５とを直列させ、内部導体２の上下の偏
平部２１，２１上に先端部を予め三重層とした上記モリ
ブデン箔４Ａ，４Ｂをあてがいこの上下のモリブデン箔
４Ａ，４Ｂ部分に溶接電極７，７を当て通電して三者を
溶接する。たとえばこの溶接はモリブデン箔４Ａ，４Ｂ
上の２か所の溶接点４１，４１で行う。

【００１９】つぎに、モリブデン箔４Ａ，４Ｂの他端が
対向する空間内に外部導体３の端部をセパレータガラス
５の端面に当たるまで入れ、上記と同様に上下のモリブ
デン箔４Ａ，４Ｂ部分に溶接電極７，７を当て通電して
三者を溶接する。なお、ここも２か所の溶接点４１，４
１で接続されている。

【００２０】そしてこのようにして組み立てられた導入
体１は、石英ガラスからなる略楕円状をなすバルブ６の
両端に配置され、従前と同様に加熱封止され図示しない
排気管からバルブ６内を排気し，ＤｙＢｒ₃ ，ＨｏＢｒ
₃ ，ＴｍＢｒ₃ ，ＣｓＩ，ＳｃＩ₃ ，ＮａＩなどのハロ
ゲン化物，水銀およびアルゴンなどの不活性ガスを封入
したのち，排気管を溶封してランプを完成する。

【００２１】このような構成の導入体１を用い完成した
ランプは，固着支点の一方が溶接点４１に他方がガラス
に封止部内にあり、溶接点から１〜３ｍｍ離れた溶接部
近傍４２に熱応力が多く懸かり点灯時にこの部分のモリ
ブデン箔４Ａ，４Ｂが伸長して高い電気抵抗となり最も
温度が上がるが、本発明ではこの溶接点４１の近傍をモ
リブデン箔４Ｚを多層化することによって、電気的、耐
化学浸蝕、温度的に補強してあるのでこの部分のモリブ
デン箔４Ａ，４Ｂが痩せることがなく、溶断を防ぐこと
ができる。

【００２２】また、ランプを気密に保つ封止部中央部は
従来と同じに各１枚の薄肉のモリブデン箔４Ａ，４Ｂが
封止されているだけであるので、石英ガラスとの密着性
もよくリークなどの虞れもない。

【００２３】また、この溶接部近傍４２を補強する金属
箔は箔厚が２０〜３０μｍであれば封止用金属箔を含み
３枚（三重層）以上必要で、２枚であると下側の金属箔
がバルブ内に封入されたハロゲン化物などと反応して脆
弱化し箔切れを起こす。また，枚数が６枚以上と多過ぎ
るとガラスとの熱膨脹率差でガラスバルブのクラック発
生や材料の無駄となるので３〜５枚程度で十分である。

【００２４】つぎに，具体例について述べる。

【００２５】具体例１ ランプ定格 ２Ｋｗ（ランプ電圧１２０Ｖ，ランプ電流２０Ａ） 楕円形状をなすバルブ 短径部内径 ３６ｍｍ， 長径部内径 ５０ｍｍ 放電電極間距離 ３０ｍｍ ランプ全長 ３９４ｍｍ 封止部長さ（片側） １４０ｍｍ 封入物 ＤｙＢｒ₃ ３ｍｇ， ＨｏＢｒ₃ ３ｍｇ ＴｍＢｒ₃ ３ｍｇ， ＣｓＩ １０ｍｇ Ｈｇｂｒ₂ ５ｍｇ， Ｈｇ ９０ｍｇ Ａｒ １００トール 金属箔（モリブデン箔） 厚さ ２６μｍ， 幅 ６ｍｍ，長さ １２５ｍｍ 折返し長さ ８ｍｍ， 層数 ３層 （三重） （図２に示すように折返し長さ８ｍｍの内約４ｍｍ が内部導体上、約４ｍｍがセパレータガラス上） （従来品） 厚さ ２６μｍ， 幅 ６ｍｍ，長さ １２５ｍｍ 内部導体（電極棒） 外径 ２ｍｍ， 長さ ２５ｍｍ 偏平部 厚さ １ｍｍ， 長さ ５ｍｍ セパレータガラス（石英） 厚さ １ｍｍ， 幅 ６ｍｍ， 長さ １１７ｍｍ 本発明品（モリブデン箔端部の溶接部を３層（三重））
と従来品（モリブデン箔端部１層）とを各２０本製作
し，４０００時間の点滅試験（点灯５．５時間，消灯
０．５時間）を行ったところ，従来品では３本のランプ
に内部導体溶接部近傍のモリブデン箔が溶断したが，本
発明品ではモリブデン箔が溶断したランプはなかった。

【００２６】なお，本発明は上記実施例に限定されな
い。たとえば，管球はメタルハライドランプに限らず超
高圧水銀ランプ，キセノンランプ，ハロゲン電球などで
もよく，そのバルブ形状も図示の略楕円形状に限らず，
球状，直管状，曲管状などのランプでもよく，また，両
端封止形に限らず一端に複数組の導入体が封止されたも
のであってももちろん適用できるものである。また、封
止は型内で成型するもの圧潰型を用いるものなどその方
法は限定されない。

【００２７】また，上記実施例では封止用および補強用
金属箔としてモリブデン箔を用いたが、タングステンな
ど他の材料製の金属箔であってもよい。また、金属箔は
封止用の金属箔の先端部を折り返しその中に補強用の金
属箔を入れ形成したが、これに限らず封止用の金属箔を
２回折り返し一体のもので３層としても、封止用金属箔
上に１回折り返した補強用金属箔を用意し３層として
も、あるいは封止用金属箔上に別個の補強用の２枚の金
属箔を用意し溶接予定部に溶接するようにしてもよい。
また、これら金属箔と内部導体とを接続する溶接点は２
点に限らない。

【００２８】また、上記補強用の金属箔を設けるのは少
なくとも内部導体と接続する側のみであってもよい。こ
れは内部導体側は放電電極やフィラメントに近く、温度
上昇が高く熱的影響が大きいことならびにバルブ内に封
入した物質による侵蝕への対応から必須のもので、外部
導体側の昇温が低い場合は不要である。

【００２９】さらに，上記実施例では通電用金属箔を２
枚用いたものについて述べたが，本発明は電流容量や形
状に応じて３枚以上用いたものにも適用ができることは
いうまでもない。また，一枚の金属箔に各一本の内部導
体や外部導体を接続したものに限らず，電流容量などに
応じ一枚の金属箔に複数本の導体を接続する場合であっ
てもよい。また，外部導体は上述したものに限らず，通
電、封止用の金属箔をバルブの封止部外まで延出させた
ものであってもよい。

【００３０】さらにまた，上記実施例では内部導体を上
下から２枚の金属箔で挾み一度で溶接したが，この三者
を一度で溶接することには限らず，たとえば内部導体と
上側の金属箔とを溶接したのちセパレータガラスを配置
し，下側の金属箔を溶接するようにしても差支えない。

【００３１】

【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば，溶
接点から１〜３ｍｍ離れた溶接部近傍に熱応力が多く懸
かり点灯時にこの部分の金属箔が伸長して高い電気抵抗
となり温度が上がるが、この溶接点の近傍を金属箔を多
層化することによって、電気的、耐化学浸蝕、温度的に
補強してあるのでこの部分の金属箔が痩せることがな
く、溶断を防ぐことができる。また、点滅が繰り返し行
なわれ封止用金属箔にこの箔を伸縮する応力が加わって
も、最も力が加わりかつ最も弱い溶接部近傍は金属箔を
三重層以上として補強してあるので箔切れの発生はな
い。また、ランプを気密に保つ封止部内は従来と同じに
各１枚の薄肉の金属箔が封止されているだけであるの
で、石英ガラスとの密着性もよくリークなどの虞れもな
い長寿命の管球を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の導入体の実施例を示す斜視図。

【図２】図１の実施例の要部を示す正面図。

【図３】ショートアークメタルハライドランプを示す一
部断面正面図。

【図４】従来の導入体の実施例を示す斜視図。

【符号の説明】

１：導入体 ２：内部導体（電極棒） ３：外部導体 ４Ａ，４Ｂ：金属箔（モリブデン箔） ５：セパレータガラス ６：石英ガラスバルブ ２１，３１：偏平部 ４１：溶接点 ４２：溶接部近傍 ６１：封止部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 秀樹 東京都港区三田一丁目４番28号 東芝ライ テック株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数枚の封止用金属箔の間にセパレータ
   ガラスを介在させ、この金属箔の一端に発光用フィラメ
   ントあるいは放電電極を有する内部導体を他端に外部導
   体を溶接した導入体を、石英ガラスバルブの端部に封止
   してなる管球において、上記封止用金属箔と内部導体と
   の溶接部には３枚以上の金属箔が重合して溶接されてい
   ることを特徴とする管球。
2. 【請求項２】 上記重合する金属箔は封止用金属箔の端
   部を折り返して形成したことを特徴とする請求項１記載
   の管球。