JPH0648117Y2 - ４弁ツインタ−ボ過給機付エンジン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は２組のターボ過給機と２組の給気ポート及び排
気ポートとを備えたエンジンにして、上記２組のターボ
過給機よりの過給された空気を合流させて一本化し、シ
リンダに装着される給気マニホルドにて再度、主、副給
気マニホルドに分割させ、これらに連通する主、副給気
ポートへ給気するに当つて、その給気を副排気通路に設
置した排気切換弁と、副給気マニホルドの基幹部に１個
設置された給気切換弁とによつて切換制御することによ
り有効な低速高負荷域と高速高負荷域との運転を可能と
する４弁ツインターボ過給機付エンジンに関するもので
ある。

従来技術 従来において、エンジン出力及び燃費を向上させること
からエンジン回転数が低速のときと高速のときとの過給
圧を変えた主ターボ過給機と副ターボ過給機との２組の
ターボ過給機を備えたエンジンがあつた。

以下、第３図に基いて、従来のこの種ターボ過給機付エ
ンジンを説明すると、（１）はエンジン、（２）はシリ
ンダであつて、該シリンダの排気ポート（４）よりの排
気が排気マニホルド（10）を経て主排気通路（11）に介
装されたタービン（6a）を駆動し、このタービンにより
主給気通路（７）に介装されたコンプレツサ（6b）が作
動させられて給気マニホルド（５）を経て給気ポート
（３）よりシリンダ（２）へ給気する主ターボ過給機
（６）と、副排気通路（12）に介装されたタービン（8
a）を駆動し、このタービンにより副給気通路（９）に
介装されたコンプレツサ（8b）が作動させられてシリン
ダ（２）に給気する副ターボ過給機（８）とが備えら
れ、副排気通路（12）の中途部には排気切換弁（17）
を、また、副給気通路（９）の中途部には給気切換弁
（18）が設けられたものであつた。

従つて、低速運転時には、排気圧が弱いので排気切換弁
（17）及び給気切換弁（18）を閉鎖状態にし主ターボ過
給機（６）のみによる作動をして低速高負荷域の運転が
され、高速運転時には、排気切換弁（17）及び給気切換
弁（18）を開放状態にし主ターボ過給機（６）に加えて
副ターボ過給機（８）をも共に運転するものであつた。

考案が解決しようとする問題点 ところが、この種ツインターボ過給機付エンジンでは給
気ポート（３）をハイスワールポートとした１組の給排
気ポート（３）（４）のみであつたため、高速高負荷域
での空気量は一応大幅に増加することが出来たものの、
低速高負荷域では或る程度の空気量の増加しか望めない
という不都合があつた。

そこで、本考案は給気マニホルドを主給気マニホルドと
副マニホルドとに分割し、主給気マニホルドは主給気ポ
ートに、また、副給気マニホルドは副給気ポートに連通
させて、主給気ポートのみの給気で低速高負荷域の運転
をし、また主、副給気ポートともによる給気で高速高負
荷域の運転をし、主、副給気ポートでスワール比を変え
ているので、高速高負荷域は勿論、低速高負荷域におい
てもスワール比を向上させて燃焼効率の改善がされ、し
かも、ターボ過給機からシリンダまでの給気系の構造を
シンプルにした４弁ツインターボ過給機付エンジンが提
供されることを目的とする。

問題点を解決するための手段 本考案は、主排気通路に介装されたタービンにより駆動
されるコンプレッサで過給され給気する主ターボ過給機
と、副排気通路に介装されたタービンにより駆動される
コンプレッサで過給され給気する副ターボ過給機とを備
え、またシリンダには、主給気マニホルドに連通する主
給気ポートと、副給気マニホルドに連通する副給気ポー
トと、排気マニホルドに連通する主排気ポート及び副排
気ポートとの４弁を設けたエンジンにおいて、これら上
記ターボ過給機により過給された給気が合流して一本化
される給気通路を形成し、シリンダに装着する給気マニ
ホルドにて再度分割して主給気マニホルドと副給気マニ
ホルドとを形成し、主排気通路から分岐した副ターボ過
給機のタービンが介装される副排気通路のタービン上流
側に排気切換弁を設置し、副給気マニホルドの基幹部に
１個の給気切換弁を設置することを特徴とする４弁ツイ
ンターボ過給機付エンジンである。

作用 従つて、本考案の４弁ツインターボ過給機付エンジンは
上述の如く構成されているので、エンジン低速高負荷域
では排気切換弁及び給気切換弁が閉鎖状態となつて主タ
ーボ過給機のみによる運転が行われ、ハイスワールの主
給気ポートでシリンダに給気される為、給気の充填効率
が高められるとともに大きなスワールを発生することに
なつてエンジン効率をよくする。

また、エンジンの高速高負荷域では排気切換弁及び給気
切換弁が開放状態となり、主ターボ過給機と更に副ター
ボ過給機とによる運転となり、主、副給気ポートよりの
シリンダへの給気が行われ、充填効率が高められるとと
もにそのスワールは減少することになつてエンジン出力
と燃費の向上をすることになる。

そして、主ターボ過給機と副ターボ過給機とよりなる２
組のターボ過給機により過給された給気を合流させて一
本化し、シリンダに装着する給気マニホルドにて再度分
割させて枝部が各シリンダの副給気ポートに連通する副
給気マニホルドの基幹部に設置された給気切換弁と、副
ターボ過給機の副排気通路に設置された排気切換弁と
で、エンジン低速時は主ターボ過給機のみ回転させて低
速高負荷域の運転がされ、エンジン高速時には主、副タ
ーボ過給機をともに回転させて高速高負荷域の運転がさ
れるよう制御する。

実施例 以下、図面に基いて本考案の実施例について説明する
と、第１図に示す如く、（１）はエンジン、（２）はシ
リンダであつて、給排気ポートを４弁にして２組の主給
排気ポート（3a）（4a）と副給排気ポート（3b）（4b）
とが設けられ、該主、副給気ポート（3a）（3b）には、
２分割された給気マニホルド（５）を形成する主、副給
気マニホルド（5a）（5b）が各々連通されている。
（６）は主排気通路（11）に介装されたタービン（6a）
と、このタービンによつて駆動される主給気通路（７）
に介装されたコンプレツサ（6b）とからなる主ターボ過
給機であり、（８）は副排気通路（12）に介装されたタ
ービン（8a）と、このタービンによつて駆動される副給
気通路（９）に介装されたコンプレツサ（8b）とからな
る副ターボ過給機である。そして、これら主ターボ過給
機（６）と副ターボ過給機（８）とを備え、また４弁の
主、副給排気ポート（3a），（3b），（4a），（4b）を
設けることによつて４弁ツインターボ過給機付エンジン
が形成される。

上記エンジンにおいて、各シリンダ（２）の主排気ポー
ト（4a）及び副排気ポート（4b）より排出された排気は
排気マニホルド（10）を経て主排気通路（11）に介装し
た主ターボ過給機のタービン（6a）に供給され、また、
副排気通路（12）に介装した副ターボ過給機のタービン
（8a）にも供給される。そして、主ターボ過給機のター
ビン（6a）により駆動される主給気通路（７）に介装し
たコンプレツサ（6b）で過圧される給気と、副ターボ過
給機のタービン（8a）により駆動される副給気通路
（９）に介装したコンプレツサ（8b）で過圧される給気
とを合流させて１本化した給気通路（21）に送られる。

そして、第２図に示す如く、シリンダ（２）に装着され
る給気マニホルド（５）を主給気マニホルド（5d）と副
給気マニホルド（5b）とに２分割して、給気通路（21）
で１本化した給気を、再度上記２分割された給気マニホ
ルドにより２分割して各シリンダ（２）の主給気ポート
（3a）と副給気ポート（3b）とに供給される。

ところで、副排気通路（12）のタービン（8a）上流側に
は排気切換弁（17）が設置され、また枝部（５′）を各
シリンダ（２）に装着した給気マニホルド（５）の基幹
部（５″）の副給気マニホルド（5b）部分には給気切換
弁（18）が設置され、これら切換弁によつて主ターボ過
給機（６）のみの運転と、主、副ターボ過給機（６），
（８）をともに作動する運転との切換が行われる。

なお、これら切換弁の作動形式はスイング弁方式であつ
ても、ロータリ弁方式であつてもよいことは云うまでも
ない。また、主給気通路（７）と合流する前の副給気通
路（９）に設置した切換弁（23）は逆流を防止するもの
であつて逆止弁であつてもよいことは云うまでもない。

なおまた、図中、（13）（14）は給気の吸入管であつ
て、主、副ターボ過給機（６）（８）にそれぞれ接続
し、（15）（16）は排気の排出管であつて、同じく主、
副ターボ過給機（６）（８）に各々接続している。

従つて、エンジン回転数が低速運転のときは（図中、点
線部分）、排気切換弁（17）が副排気通路（12）を閉鎖
状態にし、また給気切換弁（18）も副給気通路（９）よ
りの給気を閉鎖状態にし、主ターボ過給機（６）のみの
作動が主排気通路（11）のタービン（6a）を回転させ、
駆動させられたコンプレツサ（6b）によつて過給された
給気は主給気マニホルド（5a）を経て各シリンダ（２）
に主給気ポート（3a）により給気される。この主給気ポ
ートはスワールが強くなる位置に設けられているので充
分な空気量が確保されるとともに高負荷域であつても効
率の高い混合気が得られることになる。

次に、エンジン回転数が高速運転のときは（図中、実線
部分）、排気切換弁（17）が副排気通路（12）を開放状
態にし、副ターボ過給機（８）のタービン（8a）が回転
させられてコンプレツサ（8b）を駆動し、給気マニホル
ド（５）の基幹部（５″）の副給気マニホルドに設置さ
れた給気切換弁（18）も開放状態にされることにより、
主ターボ過給機（６）の作動による過圧された給気に加
えて、副ターボ過給機（８）の作動による過圧された給
気が給気通路（21）で合流されて一本化し、それがシリ
ンダ（２）に装着する給気マニホルド（５）にて再度分
割させて、主給気マニホルド（5a）により主給気ポート
（3a）に、副給気マニホルド（5b）により副給気ポート
（3b）にと給気される。このとき、主給気ポート（3a）
と副給気ポート（3b）とが協動してスワールの小さな給
気量の多い給気を可能とし、エンジン出力を高くするこ
とが出来る。

なお、図面中において、給気通路（21）にインタクーラ
（22）が設けられているが、インタクーラの有無には、
特に給気切換弁の設置状態に左右されるものではない
が、インタクーラを設ける場合には、主ターボ過給機
（６）よりの過圧された給気と副ターボ過給機（８）よ
りの過圧された給気とを一本化した給気通路（21）に１
個のインタクーラ（22）が配設するのみでよい。

効果 以上の結果、本考案は４弁ツインターボ過給機付エンジ
ンにしたことによつて、主、副給気ポートでスワールの
強弱を選択することが出来、特に低速高負荷域でのスワ
ール比を向上して燃費の改善をすることになつたと共
に、主、副ターボ過給機からシリンダへの給気等の構造
が、一本化された給気通路、一体成形された給気マニホ
ルド及び副給気マニホルドに設置された１個の給気切換
弁など簡単化され、組付け作業及びスペースが簡素化さ
れることになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の４弁ツインターボ過給機付エンジン
の概略図、第２図は、同エンジンの給気マニホルドの一
部断面斜視図である。第３図は、従来のターボ過給機付
エンジンの概略図である。 １……エンジン、２……シリンダ、３……給気ポート、
3a……主給気ポート、3b……副給気ポート、４……排気
ポート、4a……主排気ポート、4b……副排気ポート、５
……給気マニホルド、5a……主給気マニホルド、5b……
副給気マニホルド、６……主ターボ過給機、6a……ター
ビン、6b……コンプレツサ、７……主給気通路、８……
副ターボ過給機、8a……タービン、8b……コンプレツ
サ、９……副給気通路、10……排気マニホルド、11……
主排気通路、12……副排気通路、17……排気切換弁、18
……給気切換弁、19……主インタクーラ、20……副イン
タクーラ、21……給気通路、22……インタクーラ、23…
…切換弁。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 牧田 諭志 東京都大田区下丸子４丁目21番１号 日本 自動車エンジニアリング株式会社川崎事業 所内 (56)参考文献 実開 昭60−18231（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】主排気通路に介装されたタービンにより駆
   動されるコンプレッサで過給され給気する主ターボ過給
   機と、副排気通路に介装されたタービンにより駆動され
   るコンプレッサで過給され給気する副ターボ過給機とを
   備え、またシリンダには、主給気マニホルドに連通する
   主給気ポートと、副給気マニホルドに連通する副給気ポ
   ートと、排気マニホルドに連通する主排気ポート及び副
   排気ポートとの４弁を設けたエンジンにおいて、これら
   上記ターボ過給機により過給された給気が合流して一本
   化される給気通路を形成し、シリンダに装着する給気マ
   ニホルドにて再度分割して主給気マニホルドと副給気マ
   ニホルドとを形成し、主排気通路から分岐した副ターボ
   過給機のタービンが介装される副排気通路のタービン上
   流側に排気切換弁を設置し、副給気マニホルドの基幹部
   に１個の給気切換弁を設置することを特徴とする４弁ツ
   インターボ過給機付エンジン。