JPH0647664Y2 - ホッチキスにおけるジャム針排出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はホッチキスの綴り動作中に詰まったジャム針を
排出するジャム針排出装置に関する。

（従来技術とその問題点） 多数のステープル針を帯状に連結してなる連結ステープ
ル針を使用し、ホッチキス内部で各ステープル針をコ字
形に成形して打ち込むタイプのホッチキスとして、実願
昭61-73255号（実開昭62-184991号）のようなものが知
られている。このタイプのホッチキスにおいては、マガ
ジンに連結ステープルを供給する供給通路と、該供給通
路の前端に位置してステープル針を成形する成形プレー
トと、該成形プレートの前部に重合配置されて成形され
たステープル針をステープル供給方向に対して垂直に駆
動されるドライバとが設けられている。そして、成形プ
レートの下端中央には下方に開口するコ字形開口溝が形
成されているので、その前に重合配置されるドライバの
両側端と上記開口溝との間にはわずかな隙間が形成され
ている。このため、綴り動作中に成形プレートによる成
形が不良となったステープル針が上記隙間に詰まること
がある。この場合、綴り動作が継続すると次々にステー
プル針が詰まってしまうので、ジャム針を排出するため
には、ドライバ及び成形プレートの周辺部品の取り外し
も必要となり、作業が困難で、専門家のサービスが必要
となる。

（考案の目的） 本考案は上記欠点を解消し、特にホッチキスによる綴り
動作中に詰まったジャム針を簡単に排出することができ
るジャム針排出装置を提供することをその目的とする。

（目的を達成するための手段） 前記目的を達成するため、本考案に係るホッチキスにお
けるジャム針排出装置は、内部に真直状の多数のステー
プル針を帯状に連結した連結ステープルを供給する供給
通路と、該供給通路の前端に位置してステープル針を成
形する成形プレートと、該成形プレートの前部に重合配
置されて成形されたステープル針をステープル供給方向
に対して垂直に駆動されるドライバとを備えたマガジン
に、上記ドライバの両側と成形プレートと開口内側とに
より形成される隙間から突出する爪部材を固定するとと
もに、上記マガジンの前端部を開放可能なフェースプレ
ートを前方に回動自在に枢着したことを特徴とする。

なお、前記爪部材の先端部を、ドライバの両側と成形プ
レートと開口内側とにより形成される隙間から突出させ
る代りに、ドライバの中央位置にドライバ移動方向に沿
って形成した長孔から突出させるように構成してもよ
い。

（考案の作用、効果） 前記構成によれば、ステープル供給通路の前端部で成形
プレートにより成形されたステープル針は打ち込み通路
に供給され、さらにドライバの駆動によりマガジンの外
方に打ち出されて被綴り材に対する綴りが行なわれる。
この綴り作動時に成形プレートとドライバは打ち込み方
向に往復動するが、爪部材は一定位置に固定されている
から、相対的には成形プレートとドライバの両側との間
の隙間を成形プレートとドライバとは反対向きに往復動
することになる。したがって、綴り時にドライバホルダ
と成形プレートが下方に移動し、例えば成形不良が生じ
て上記隙間にステープル針が詰まってしまったときは、
ドライバホルダが復帰移動するときに、爪部材は上記隙
間に対し相対的に反対向きに移動することになるから、
上記ジャム針をドライバの先端側に掻き落としてしま
う。したがって、マガジンの前端から上記ジャム針を簡
単に排出させることができる。

なお、ドライバの中央位置にドライバ移動方向に沿って
形成した長孔から突出させるように構成した場合も、同
様にしてジャム針を排出させることができる。

（実施例） 以下、図面によって本考案の実施例について説明する。

第１図において符号Ａはホッチキスを示す。このホッチ
キスＡは基枠１の後部に電動モータ２を設けるととも
に、該電動モータ２の回転軸に固定したギア３に第１の
伝達ギア4a、第２の伝達ギア4bと第３の伝達ギア4cとか
らなる減速ギア機構ａを連係し、第３の伝達ギア4cの回
転軸７に溝カムを有するカム部材８を固定し、このカム
部材８の溝カムに、基枠１の両側部に中間部を軸支した
駆動リンク９の一端を係合し、該駆動リンク９の他端を
バネ部材10を介してマガジン11に設けられたドライバホ
ルダ12に連結し、該ドライバホルダ12の後面にドライバ
と成形プレートと一体的に保持したものである。

マガジン11の後端部は基枠１に対して揺動自在に軸支さ
れ、前部はフェースプレート14によってカバーされてい
る。マガジン11の内部には連結ステープルＳの供給通路
15が形成され、該供給通路15はマガジン11の後部に着脱
自在に設けられたステープルカートリッジ16に連続して
設けられている。そして、供給通路15の供給端に上記ス
テープル供給通路15に対して直交する方向に往復動する
ドライバ５と成形プレート４とが前後に重合配置されて
いる。これらドライバ５と成形プレート４とはドライバ
ホルダ12に保持されている。成形ステープルはステープ
ル供給通路15の前端に設けられたアンビル20（第７図参
照）の上部に配置され、ドライバ５はフェースプレート
14の背面に沿って形成されたステープルの打ち込み通路
17に案内されて往復動するように形成されている。な
お、ドライバホルダ12はマガジン前端のカバープレート
40とフロントカバー50との間に保持されている。

ステープルカートリッジ16内には多数の真直状のステー
プル針をシート状に連結した連結ステープルＳが積層収
納されている。連結ステープルＳは図示しない送り装置
によりカートリッジ16から導出されて供給通路15に沿っ
て前方に送られる。

基枠１の前部には打込み通路の下方に綴り台18が設けら
れ、該綴り台18にはクリンチ溝19が形成されている。

以上の構成により、電動モータ２を作動させてその回転
を減速機構ａからカム部材８に伝達させることにより駆
動リンク９が回動し、ドライバホルダ12が打ち込み方向
に駆動される。第２図及び第７図に示されるように、マ
ガジン11の供給通路15の前端に送られた先頭ステープル
針S2は、ドライバホルダ12の下動に伴ない、成形プレー
ト４によりコ字形のステープル針に成形され、打ち込み
通路17に供給される。打ち込み通路17内のステープル針
S1はドライバ５により下方に打ち出され、綴り台18上の
被綴り材16を貫通した後、脚部がクリンチ溝19で折曲げ
られ、綴りが完了する。その後、カム部材８の回転に従
って駆動リンク９は逆方向に回動し、ドライバホルダ12
は元の位置に上動し、綴り動作の１サイクルが終了す
る。

次に、マガジン前端部において、成形プレート12の背面
に配置されたカバープレート40の前面には、第２図
（ａ）（ｂ）及び第３図（ａ）（ｂ）に示されるよう
に、上記ドライバ５の両側と成形プレート４と開口内側
とにより形成される隙間ｐから突出する爪部材41が固定
されている。爪部材41はコ字形に屈曲形成され、ステー
プル供給通路15よりも上部に配置され、その爪部41aは
上記隙間ｐから前方に突出している。

また、第４図に示されるように、マガジンの前端部を閉
塞するフェースプレート14の下部背面には打ち込み通路
17が形成され、打ち込み通路17の両側から後方に屈曲形
成された第１の側片22はその長孔23にてマガジン11の前
端部側壁に設けられた支軸24に遊動可能に軸支され、こ
れによりフェースプレート14は前後方向に回動してマガ
ジン前端を開閉するように構成されている。

フェースプレート14の前面側には締めつけバネ28が固定
され、背面側には細長の板バネからなるサポートスプリ
ング29が配置されている。

サポートスプリング29は中央部の長孔30にてピン31によ
りフェースプレート14に支持され、その上端屈曲部29b
はドライバホルダ12の上下動時にその上端に係脱するよ
うに配置され、下端屈曲部29aはフェースプレート14の
打ち込み通路17の中央部の開口部21から内側に突出して
いる。第２図（ａ）（ｂ）に示されるように、ドライバ
５の打ち込み駆動時にはドライバホルダ12が下動してス
テープル針を下方に打ち出すので、サポートスプリング
29の下端屈曲部29bはステープル針の背部（いわゆるク
ラウン部）の下面に係合し、ステープル針を支えながら
下方に摺動する。サポートスプリング29の可動範囲はド
ライバ５の打ち込み時の可動範囲より小さく形成され、
ステープル針が被綴り材に打ち込まれる直前にサポート
スプリング29のステープル針に対する係合は外れる。こ
れに対し、ドライバ５が復帰するときはドライバホルダ
12が上動し、その途中でドライバホルダ12の上端にサポ
ートスプリング29の上端屈曲部29bが係合するので、サ
ポートスプリング29も上動するのである。以下、同様の
動作を繰り返す。

次に、上記フェースプレート14のアーム片33の前部に形
成された孔34はフェースプレート14の第２の側片25の長
孔27に回動自在に軸35により軸止めされ、また、アーム
片３の先端にはマガジン11前端両側の係合ピン37に係合
する係合溝36が形成されている。

前記構成において、レバー32を第１図及び第５図に示す
通常状態にしているときは、フェースプレート14の中間
部より下方の部位は、レバー32のアーム片33により支持
されているのに対し、フェースプレート14の上部は締め
つけバネ28の側バネ部28aのバネ力により前方に付勢さ
れるので、てこ作用により打ち込み通路17が形成された
フェースプレート14の下方部分は後方のステープル供給
通路15側に付勢され、打ち込み通路17は開かないので、
綴り動作が円滑に行なわれる。

ところで、上記綴り作動時にはドライバホルダ12が上下
動するのに対し、マガジン前端のカバープレート40の前
面に固定された爪部材41は常に一定位置に保持されるか
ら、ドライバホルダ12が上死点にあるとき（第２図
（ａ）、第３図（ｂ）の状態）には爪部材41の爪部41a
は成形プレート12とドライバ５との間の隙間ｐの下部に
位置し、ドライバホルダ12が下死点にあるとき（第２図
（ｂ）、第３図（ａ）の状態）は、爪部材41の爪部41a
は上記隙間ｐの上部に位置することになる。つまり、爪
部材41は、相対的には上記隙間ｐを成形プレート12とド
ライバ５とは反対向きに往復動することになる。したが
って、綴り時にドライバホルダ12が下方に移動して、例
えば第２図（ｂ）、第３図（ａ）のように成形不良が生
じて上記隙間ｐにステープル針S3が詰まってしまったと
きは、ドライバホルダ12が上方に復帰移動するときに、
第２図（ｂ）に示すように、爪部材41の爪部41aは上記
隙間ｐに対し相対的に下方に移動することになるから、
ジャム針S3を下方に掻き落としてしまう。

その後、モータ２を停止させ、第６図のようにレバー32
を前方に引いて回動させると、レバー32のアーム片33と
係合ピン37との係合は外れ、また、レバー32の下端はフ
ェースプレート14の下方前面に当接するから、そのてこ
作用によりフェースプレート14も支軸24を中心に回動
し、マガジン11の前端が開放される。そこで、成形プレ
ート４とドライバ５との間の隙間ｐに詰まったジャム針
を簡単に排出することができる。

ジャム針を除去した後は、レバー32を上げてフェースプ
レート14とともに後方に回動させ、レバー32のアーム片
33の係合溝36をマガジン11の係合ピン37に係合させるこ
とにより、簡単に元の状態に戻すことができる。

なお、前記ジャム針排出装置において、上記爪部材41の
先端部は、ドライバ５の両側と成形プレート４と開口内
側とにより形成される隙間ｐから突出させる例に限定さ
れない。ドライバ５の中央位置にドライバ５の移動方向
に沿って形成した長孔（図示せず）から突出させるよう
に構成してもよい。

また、連結ステープルは必ずしもシート状に連結された
ものに限定されない。例えば、ロール状に連結されたも
のであってもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るジャム針排出装置を含むホッチキ
スの概要説明図、第２図（ａ）（ｂ）は上記排出装置の
要部の断面図、第３図（ａ）（ｂ）は上記ジャム針排出
装置の要部の斜視図、第４図はマガジン前部の分解斜視
図、第５図は通常時のマガジン前端部の側面図、第６図
は上記ジャム針排出作業時の状態を示すマガジン前端部
の側面図、第７図は成形プレートとドライバの作動説明
図である。 符号Ｓ……連結ステープル、４……成形プレート、５…
…ドライバ、S3……ジャム針、11……マガジン、14……
フェースプレート、15……供給通路、17……打ち込み通
路、41……爪部材

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内部に真直状の多数のステープル針を帯状
   に連結した連結ステープルを供給する供給通路と、該供
   給通路の前端に位置してステープル針を成形する成形プ
   レートと、該成形プレートの前部に重合配置されて成形
   されたステープル針をステープル供給方向に対して垂直
   に駆動されるドライバとを備えたマガジンに、上記ドラ
   イバの両側と成形プレートと開口内側とにより形成され
   る隙間から突出する爪部材を固定するとともに、上記マ
   ガジンの前端部を開放可能なフェースプレートを前方に
   回動自在に枢着したことを特徴とするホッチキスにおけ
   るジャム針排出装置。
2. 【請求項２】前記爪部材の先端部を、ドライバの両側と
   成形プレートと開口内側とにより形成される隙間から突
   出させる代りに、ドライバの中央位置にドライバ移動方
   向に沿って形成した長孔から突出させたことを特徴とす
   る請求項（１）記載のホッチキスにおけるジャム針排出
   装置。