JPH0647163B2 - 複合アルミニウム部材の製造方法 - Google Patents

複合アルミニウム部材の製造方法

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JPH0647163B2
JPH0647163B2 JP1529686A JP1529686A JPH0647163B2 JP H0647163 B2 JPH0647163 B2 JP H0647163B2 JP 1529686 A JP1529686 A JP 1529686A JP 1529686 A JP1529686 A JP 1529686A JP H0647163 B2 JPH0647163 B2 JP H0647163B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,アルミニウム系材料よりなる基体にアルミニ
ウムまたはアルミニウム合金を一体形成する方法に関す
るものである。
〔従来の技術およびその問題点〕
アルミニウム(Al)またはAl合金よりなるAl系材料は,
軽くて強度もあることから,航空機材料などとしてのほ
か,種々の部品,部材として広く利用されているが,用
途によっては更にAl系材料の全表面または一部分に特定
の機能をもたせたい場合がある。例えば,高強度を有す
るAl合金鋳物上に耐蝕性に優れたAl層を形成して,軽金
属材料としての重量上の利点を損うことなく,所期の耐
蝕性を得たいとか,また表層部に圧延Al板などの機械的
強度に優れたものを配したいなどの場合である。
たとえば,Al合金鋳物の全部または一部に特定の性能を
持たせる場合,あるいはある部分を予じめ特定の形状に
しておく必要がある場合,予じめ準備したAl系材料より
なる基体をAl系材料の溶湯により鋳ぐるみ固定する方法
が考えられる。このような方法は鉄系材料ではしばしば
利用されている。しかしながら,Al系材料の場合には,
表面に緻密な酸化膜が強固に形成されているため,溶湯
との接触界面は十分に溶着することができない。そのた
めAl系材料の溶湯によって形成されるAl層部分と基体と
は不十分な接合状態となる。溶湯の温度を上げたり,ま
た基体を十分予熱した場合などには溶着する現象が認め
られるが,その条件範囲はごく狭く,均一な接合もむず
かしいのが実情である。
そのため,この鋳ぐるみ技術を利用する場合は,単に包
んで固定すれば十分な機能を発撥するものに対してだけ
であり,温度差や機械的応力が繰返し作用してガタが発
生する危険があるものや,気密性を必要とするものには
利用できない。
一方,本発明者らは上記欠点を解消する方法として,す
でに,鋳ぐるまれるAl系材料からなる基体の表面の必要
部分に,カリウム(K)イオンおよびフッ素(F)イオ
ンを含有する処理溶液を接触せしめることにより,フラ
ックス作用を示すペンタフルオロアルミニウム酸カリウ
ム(K2AlF5)からなる化成処理層を形成する化成処理工
程と,化成処理層を形成した基体をアルミニウムまたは
アルミニウム合金(単にAl系合金という)の溶湯と接触
せしめて一体化する複合工程とからなる方法発明(特願
昭59−156276)を出願した。
しかしながら上記方法を適用した場合,時として基体と
Al系合金の溶湯とのぬれ性が充分でない現象がみられ
た。
そこで,本発明者らは,この現象について鋭意研究を進
めた結果,溶湯がマグネシウム(Mg)を含んでいる場合
に,ぬれ性が不十分になり,溶湯凝固後の基体のAl系材
料との接合が時として不充分になること,さらに,セシ
ウム(Cs)を含有する複合フッ化物を基体に供給する
と,溶湯とのぬれ性が良好になることを見出した。本発
明は,これらの事項を基にして為されたものである。す
なわち,本発明は,上記従来技術の問題点を解決するた
めのもので,予め所定の形状に形成されたAl系材料より
なる基体の表面の必要部分に,実質的に遊離のフッ化セ
シウムを含まないフルオロアルミニウム酸セシウムから
成る複合フッ化物又は該複合フッ化物とフッ化アルミニ
ウムとから成る混合組成物を供給した後,該基体をアル
ミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯と接触せしめる
ことによって、Mgを含むAl合金溶湯を用いた場合におい
ても溶湯の不均一な溶着と,鋳ぐるみ後腐食の問題等の
生じない複合アルミニウム部材の製造方法を提供しよう
とするものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は,予じめ所定の形状に形成されたAl系材料より
なる基体の表面の必要部分に,実質的に遊離のフッ化セ
シウムを含まないフルオロアルミニウム酸セシウムから
成る複合フッ化物又は該複合フッ化物とフッ化アルミニ
ウムとから成る混合組成物を供給した後,該基体をアル
ミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯と接触せしめる
ことを特徴とする複合アルミニウム部材の製造方法であ
る。
本発明においてAl系材料とは,アルミニウムあるいはア
ルミニウム合金からなる材料を意味し,その組成につい
ては特に限定されることなく,通常のアルミニウム合金
に含まれる珪素(Si),銅(Cu),マンガン(Mn),亜
鉛(Zn),チタン(Ti),クロム(Cr),ジルコニウム
(Zr),マグネシウム(Mg)等の添加元素を1種または
2種以上含んでいてよく,その含有量についても特別限
定されない。
Al系材料はまた,異なるAl系材料からなるクラッド材な
どの複合材であってもよく,例えば溶湯との溶着をより
確実にするために一方のAl系材料よりも融点が10〜100
℃低い合金,例えばSiを7〜12%(重量,以下同じ)含
有したAl−Si共晶合金を貼り合せまたは被覆したものを
用いてもよい。
本発明で用いるAl系材料よりなる基体は,鋳造品であっ
てもまた圧延・鍛造品であってもよく,その形状,大き
さは特に限定されることなく,目的に応じて選択使用さ
れる。
本発明で言う複合フッ化物であるフルオロアルミニウム
酸セシウムとは,Cs3AlF6,Cs2AlF5・H2O,CsAlF4等の
化学式で表わされる。AlF3−CsF系の一連の錯化合物単
体もしくはこれらの混合物を言う。該複合フッ化物は,
多種の構造を取りうるものである。
第5図には,CsF−AlF3系物質の相平衡状態図(Zeitsch
rift fuer Anorganische und Allgemeine Chemie
81,357(1913))を示すが,図からわかるように,A
lF3が25モル%以上の場合,平衡状態図ははっきりわか
っていない。すなわち,該錯化合物の構造は複雑なもの
である。
本発明にかかる上記複合フッ化物又は複合フッ化物とフ
ッ化アルミニウムの混合組成物(以下AlF3−CsF系複合
物質という)をAl系材料表面へ供給する方法は大別して
粉末法と化成処理法の2方法がある。またこれらを組み
合わせて,AlF3−CsF系複合物質粉末の懸濁液中で化成
処理を行なう方法で良い。以下各方法について詳細に述
べる。
まず粉末法を述べる。上記AlF3−CsF系複合物質粉末を
得るためには,水溶液中でCsイオンとAlイオンとFイオ
ンと反応させて得た沈澱を熟成し,ろ過するかあるいは
水分を蒸発乾固した後粉砕する方法がある。より具体的
には,たとえば,Csを含む化合物としての炭酸セシウム
(Cs2CO3),水酸化セシウム(CsOH),フッ化セシウム
(CsF),酸性フッ化セシウム(CsHF2)等を水に溶解
し,水溶液にしておく。さらにAlを含む物質としての属
アルミニウム,酸化アルミニウム,水酸化アルミニウム
等をフッ化水素酸に溶解した溶液を作り,該溶液に上記
Csを含む化合物の水溶液を加えれば良い。また上記Alを
含む物質をCsOHのアルカリ水溶液に溶解した後,フッ化
水素酸水溶液を加えて中和すること等によっても得るこ
とができる。しかし,上記化合物の反応の組み合わせに
限定されるものではない。
またCsFとAlF3を適量比に混合した後加熱して融解し,
該融解物を粉砕することによっても得られる。さらに簡
便な方法として,AlF3の含水塩とCsFとを水分の存在下
で混合した後,加熱乾燥する方法(特願昭60−215420
号)でもよい。
上記いずれの方法においても,該粉末は実質的に遊離の
CsFを含まないことが,Al系材料からなる基体にフラッ
クスを供給したまま保管する場合や,複合アルミニウム
部材の耐食性を好ましいものにするために,必要であ
る。遊離のCsFが大量に存在すると,吸湿性が大きくな
り,そして基体あるいは複合Al部材を腐食させることが
ある。さらに,該物質がフラックスとして好ましい溶融
温度範囲と活性を持つためには,AlF3/CsFのモル比が6
7/33〜26/74の範囲内であることが好ましい。上記範
囲内では従来のAlF3−KF系複合物質からなるフラックス
より低い温度で融解もしくは溶融を開始するため,鋳ぐ
るみ用フラックスとしてより好ましいものとなる。モル
比が上記範囲から偏位した場合,たとえばCs3AlF6(す
なわち上記モル比が25/75)組成物の場合には,Al系材
料の鋳ぐるみ用フラックスとして融点が高すぎる。この
場合には,AlF3を適量混合して上記モル比の範囲内にな
る様にすれば良い。
上記粉末の粒度は細かい程よく,20〜30μm以下とする
ことが該粉末を基体の表面へ均一に供給付着させるのに
好ましい。
Al系材料からなる基体の表面の必要部分にフラックスと
してのAlF3−CsF系複合物質の粉末の具体的な供給方法
は,該物質粉末をスラリー状又はペースト状にして直接
必要部へ筆やへらで塗布すればよい。他の方法として
は,該物質粉末の懸濁水に上記基体を浸漬してのち,引
き上げ,必要部にAlF3−CsF系複合物質を集積させるか
又はスプレーで塗布する方法でもよい。上記懸濁水は,
前記の方法,あるいはその他の方法により得られるAlF3
−CsF系複合物質が沈澱生成したままの水溶液,あるい
は沈澱生成したAlF3−CsF系複合物質粒子を一旦,過
後乾燥して得られた粉末状のAlF3−CsF系複合物質を再
びイオン交換水に懸濁したもので,粘度の低い水状のも
のでも,スラリー状の比較的粘度の高いもので良い。
該AlF3−CsF系複合物質の懸濁量は水1に対して20〜2
00gが望ましい。この場合,AlF3−CsF系複合物質粉末
の分散性および基体への付着性を向上させるために,界
面活性剤を適量加えてもよい。また,少なくとも浸漬中
は,AlF3−CsF系複合物質の粉末を一様に分散させ,沈
澱しないようにスターラーあるいは循環ポンプ等により
適度の撹拌を行なうのがよい。
本浸漬は,上記基体を,AlF3−CsF系複合物質の粉末の
懸濁水に所定時間浸漬したのち引き上げ,該基体の必要
部にAlF3−CsF系複合物質粉末を集積せしめるものであ
る。
次に化成処理法により行う場合を説明する。化成処理に
使用する溶液はCsイオンとFイオンを含むことが必要で
ある。CsイオンとFイオンを含む処理溶液は,通常水溶
液で次のいくつかの方法によって調製することができ
る。
まず,その一つは,フッ化水素セシウム(CsHF2)を水
に溶解する方法である。
処理溶液の他の調製方法としては,CsFとフッ化水素(H
F)とを水に溶解して混合水溶液としてもよい。また,C
sOH又はCs2CO3とHFとを水に溶解したものでもよい。
これらの水溶液に含まれるCsイオンの濃度は0.01〜1.0
モル/であって,該水溶液のpHが2〜6の範囲である
のが良い。上記Csイオンの濃度が0.01モル/未満の場
合には,AlF3−CsF系複合物質からなる化成処理層の生
成速度が低く,所望の量のAlF3−CsF系複合物質を生成
するのに長時間を有する。一方1.0モル/を越える場
合でも,AlF3−CsF系複合物質は生成するが,基体に付
着して持ち出される処理溶液の量を考えると経済的でな
い。
液のpHが2未満になると,Al系材料が強く腐食され,表
面状態が荒れるので好ましくない。またpHが6を越える
と,Al系材料に対するCsイオン,Fイオンとの反応速度
が低下しAlF3−CsF系複合物質からなる化成処理層を生
成せしめることが困難となる。なお,pHを調節するに
は,HFを加えるのがよく,この場合,フッ素の量も増加
するので該複合フッ化物原料の供給という観点からも望
ましい。
上記Al系材料からなる基体と処理溶液とを接触させる方
法には,前記のように基体を浸漬する方法の他に,基体
の少なくとも鋳ぐるみ所望部に塗布あるいは吹きつける
方法もある。このときには処理溶液中のCsイオンおよび
Fイオンが不足しないように比較的多量に供給する必要
がある。
基体と処理溶液との接触時間は,処理溶液中のCsイオン
およびFイオンの濃度,処理溶液の温度によって一概に
は決まらないが,たとえば0.5分〜20分程度の範囲がよ
い。
この接触によって,処理溶液はCsFとHFが混合した形態
の溶液であるから,基体であるAl系材料の表面に存在す
る酸化物被膜が破壊され,Al系材料中のAlと処理溶液中
のCsイオン,Fイオンが化学反応し,AlF3−CsF系複合
物質が生成する。AlF3−CsF系複合物質の生成は,処理
溶液の温度によっても変化する。当然常温でも充分に化
学反応が進行する。しかし,処理溶液の温度を40〜70℃
に上昇せしめると,特に酸化被膜の除去が完全に,しか
も急速に行なわれる。その結果,AlF3−CsF系複合物質
がAl系材料の表面に強固な化成処理層として生成してゆ
く。
これらの材料は,原材料のまま上記化成処理工程を施て
もよいし,また,所定の形状になるように加工を加えた
もの,あるいは組立てたのち化成処理工程を施してもよ
い。該Al系材料に化成処理工程を施す前に,該材料の表
面をトリクロルエチレン等の有機溶媒で脱脂を行なって
もよい。また,HF水等により酸化被膜をあらかじめ除去
してもよい。このように,該Al系材料の表面を清浄にし
てから化成処理工程を施してもよい。
また,本化成処理工程は,基体を陽極にして,上記処理
液中で通電しながら,該Al系材料の表面AlF3−CsF系複
合物質を生成してもよい。この場合,陰極材料として
は,陽極と同等の表面積を有する炭素等の,処理溶液中
へイオンとなって溶出しない材質のものが望ましい。
さらに,交流電流を通じながらら化成処理を行なっても
よい。この場合は,二組の基体を用意し,両基体に電圧
を印加する。そうすると,電圧の高くなった方の基体Al
系材料にAlF3−CsF系複合物質が生成し,低くなったと
きはAlF3−CsF系複合物質は溶出しない。それ故,両Al
系材料には電圧が高くなったときのみAlF3−CsF系複合
物質が生成することになる。
直流電圧が印加した場合,交流電圧を印加した場合,い
ずれの場合においても,電圧を印加しない場合に比べて
AlF3−CsF系複合物質の生成速度が大いので,短時間の
うちに所望の量のAlF3−CsF系複合物質からなる化成処
理層を得ることができる。
また,処理溶液のpHが6より大きい場合,すなわち,中
性〜弱アルカリ性の溶液で化成処理速度が小さい場合,
でも通電処理すれば短時間のうちに,化成処理層を形成
できるという利点もある。
以上のようにして,AlF3−CsF系複合物質が適量生じた
ところで基体と処理溶液との接触を断つのがよい。
このあと,上記化成処理工程を施した基体の表面には,
未反応のCsイオンおよびFイオンが残留しているので,
残留したCsイオンおよびFイオンを水洗してもよいが,
水洗しなくても後の工程には差支えない。
さらに処理した基体に乾燥工程を施してもよい。乾燥工
程は,基体の表面に付着した水を散逸させる工程であ
る。化成処理後水洗を行なわない場合には,この工程に
より基体のAl系材料表面に残留したCsイオンおよびFイ
オンをAlと反応させて,さらにAlF3−CsF系複合物質を
生成することもできる。
乾燥の具体的手段としては,比較的長時間を必要とする
が大気中に放置して乾燥してもよい。また,常温から10
0℃の温風を吹きつけて行なってもよい。また100〜200
℃の熱風を吹きつけてもよい。特に熱風を吹きつける
と,化成処理層の水分がなくなり,Al系材料の表面に化
成処理層が焼きつけられ,該層はより強固となる。さら
に,後のAl系合金溶湯との接触工程において水蒸気を発
生することがないので,溶湯を不必要に劣化させること
がなく,また有害なHFガスが発生しないという利点を有
する。
以上のようにして得た化成処理層を有する基体は,Al系
材料の表面に,AlF3−CsF系複合物質が0.1〜10g/m2
度固着している状態が,次の溶湯との接触工程におい
て,AlF3−CsF系複合物質がフラックスとして作用する
のに望ましい。
形成された化成処理層は,Al系材料の表面に強固に結合
しているので,化成処理を施したのち該材料を所定の形
状に成形して基体としてもよい。勿論,Al系材料を所望
の形状に成形したのち,化成処理を施してもよい。化成
処理によるAlF3−CsF系複合物質の形成量は,特に0.1〜
3g/m2であると,かなり強加工を行っても剥れること
がないので有利である。形成量がが10g/m2以上になる
と,曲率を大きくして曲げると剥離することがあるの
で,注意して加工する必要がある。
基体への部分的な化成処理を行う場合には,非処理部分
をワックス塗布するとかプラスチックフイルムで覆うな
どマスキングしたのち,処理溶液に浸漬するとか処理溶
液を噴射するなどの方法によるとよい。
次に,上記の如く粉末法あるいは化成処理法によってAl
F3−CsF系複合物質を供給したAl系材料からなる基体をA
l系合金溶湯と接触させて,目的とする複合Al部材を得
る。この複合部材としては種々の形状のものが考えられ
るが,例えば基体として直管状または曲管状のAl管を用
い,鋳型内に従来の中子と同様に配置して一体的に鋳ぐ
るめば,従来法とは異なり中子を用いる必要がなく,内
部に通路を有するAl鋳物が得られる。特に曲ががった孔
を必要とするときには,従来法では中子を正しく配置す
るのがむづかしく,また鋳造後中子をこわして取り出す
必要があったが,本発明方法によるときはこのような問
題は全くないため,種々の形態のものが容易にできる。
本発明では基体を鋳ぐるむだけでなく,アルミナイズド
鋼を得るのと同様に,Al合金溶湯に,たとえばAl合金板
帯を連続的に浸漬することによって,表面に耐蝕性また
は耐摩耗性を有するAl層を被覆形成した複合Al板を得る
ことができる。
本発明において使用するAl系合金溶湯は,AlないしはAl
合金が使用でき,基体としてのAl系材料と同じ材質のも
のも使用できる。
特に,本発明では,Mgを0.2〜0.3wt%以上含んだAl系合
金溶湯においても,基体とのぬれ性が保持され固化後に
は良好な接合状態が得られる。Mgを含む溶湯の具体的な
例としては,AC4C(Al−7.0%Si−0.3%Mg),AC8A(Al
−11.4%Si−1.1%Cu−1.3%Mg−1.8%Ni),ADC12S(A
l−10.9%Si−2.1%Cu−0.23%Mg)材等がある。鋳ぐる
みに際しては基体の融点よりも若干低い融点の溶湯を用
いたほうがよい場合もあるが,基体をチル鋳物のときと
同様に適当に冷すことができるようにして鋳型内に配置
するときは,溶湯の溶融温度を上記の如く必配する必要
はない。
鋳ぐるみ等溶湯と基体との接触工程は,非酸化性雰囲気
下で行うのが最も好ましいが,少量の酸素を含む雰囲気
下でも,また場合によっては大気中で行ってもよい。
本接触工程において,上記AlF3−CsF系複合物質として
基体上に存在する物質はフラックスとして作用するの
で,溶湯と基体との「ぬれ性」が良好となり,良好な鋳
ぐるみまたはAl系合金被覆が得られる。
なお本発明におけるAlF3−CsF系複合物質の適当量を公
知フラックスであるフルオロアルミニウム酸カリウム錯
塩(KF−AlF3系)に添加するか,あるいはKイオンとF
イオンを含む化成処理液にCsイオンを加えて化成処理
し,該Al系材料表面にフルオロアルミニウム酸カリウム
錯塩とフルオロアルミニウム酸セシウム錯塩の混合物又
はフルオロアルミニウム酸カリウムセシウム錯塩を生成
せしめても,確かにMgを含有する溶湯へのぬれ性改良効
果は認められるが,Mg含有量の多い(Mg:0.3wt%以
上)溶湯に対しては,AlF3−CsF系複合物質単独を用い
た方が改良効果はより著しい。
さらに,本発明はAl系材料の基体について示したが,
鋼,ステンレス鋼等の非Al系材料の基体にも,本発明に
おけるAlF3−CsF系複合物質を供給すれば,Mgを含有す
るAl系合金の溶湯で一体化した鋳ぐるみ体あるいはAl系
合金被覆体を得ることができる。
本発明におけるAlF3−CsF系複合物質の作用については
その詳細は不明であるが,次ように考えられる。
まず,溶湯と接して基体の温度が上昇し,フラックスで
あるAlF3−CsF系複合物質が融解し始める。融解したAlF
3−CsF系複合物質は溶湯および基体のAl系合金,材料の
表面で反応して該材料上の酸化皮膜を除去する。
従来のAlF3−KF系複合物質をフラックスとして使用する
場合には,KMgF3(融点:1070℃)のような高融点の物
質がAl系材料と溶湯との境界面に生成したり,フッ化マ
グネシウム(MgF2)が生成したりして溶湯によるぬれ性
を阻害することがあった。しかし,本発明におけるAlF3
−CsF系複合物質は,高融点物質を生成することもな
く,また,MgF2を溶かし込む作用を有しているため,ぬ
れ性を阻害することがない。このように酸化皮膜が除去
されると,該材料の清浄なAl面が現われるため,両者間
の「ぬれ性」がよくなり,基体の形状が複雑でもすみず
みまで溶湯がゆきわたり,良好な接着が得られるものと
考えられる。
なお,鋳ぐるまれなかった部分などに残存したAlF3−Cs
F系複合物質は,水に実質的に不溶であるため,基体を
腐食させるなどの問題は生じない。
〔効 果〕
本発明は,Mgを含有するAl溶湯に対して,フラックスと
して作用する非吸湿性,非腐食性のAlF3−CsF系複合物
質を鋳ぐるまれるべきAl系材料基体の表面に予じめ供給
しておくので,Mgを0.2〜0.3wt%程度含むため充分な接
合が困難であったAC4C,ADC12SのようなAl合金鋳物との
接合が完全にできる。またMgを1%以上含むAC8Aのよう
なAl合金鋳物に対しても,従来は,ほとんど満足すべき
接合が得られなかったのに対し,本発明によれば完全な
接合ができる。このことは溶湯のMg含有量の許容量が大
きくてもよいことを表わし,本来Mgを含有しないはずの
Al合金溶湯で鋳ぐるむ際に,Mgを含まない純度の良い一
次塊のみでなく,Mgを含む純度の低い再生塊を利用でき
ることになる。このことは技術的には当然のこと,経済
的にも大きな効果をもたらす。
また,本発明におけるAlF3−CsF系複合物質は,AlF3−K
F系複合物質よりも低融点とすることが可能であるため
に,比較的低い温度からフラックスとしての活性を示
す。それ故,鋳ぐるみ条件,たとえば溶湯温度を従来よ
りも低くすることができる。
本発明によれば,Al系材料とAl系金鋳物との接合が容易
にできる。そのため,一方の部材を例えば耐蝕性とし,
他方の部材を耐摩耗性など高強度の機能を有するものと
した複合Al部材を,軽量であるというAlの利点を損うこ
となく得ることができる。本発明方法によれば予じめ特
定形状に仕上げた部品を鋳ぐるむことができ,1つの鋳
物に鋳ぐるまれる部品(基体)は1つである必要はない
ので,種々複雑な形状のものを作ることができる。一
方,従来肉厚であるため,内部欠陥が発生しやすい鋳物
にあってはその位置にあらかじめ準備した基体を配置し
て鋳ぐるむことによって,引け欠陥を防止した健全鋳物
を得ることができるなどの利点を有する。
また,本発明によれば,Al系合金溶湯による表面被覆も
できるため,従来のクラッド板の如く貼り合せ時に厚さ
が変るとか硬さが増すなどの欠点を伴なうことなく,所
望のAl被覆層を有する複合Al板が得られる,など多くの
優れた効果を有する。
〔実施例〕
以下,本発明の実施例を説明する。
実施例1. 基体1として厚さ1mm,巾30mm,長さ130mmの純Al板(J
ISA1050)を第1図(A),(B)に示すような鋳型2内に,
片面が鋳型2に接するように配置して鋳ぐるんで溶湯と
の接合状態をみた。
鋳型はシェル鋳型または金型で,内容積が巾70mm,厚さ
が15mm,高さが100mmの寸法を有するものを用いた。な
お,第1図で3は押え具を示す。
鋳ぐるみ用溶湯としてのアルミニウムとしてはMgを含有
するAC4C(Al−7.0%Si−0.3%Mg)材,AC8A(Al−11.4
%Si−1.1%Cu−1.3%Mg−1.8%Ni)材,ADC12S(Al−1
0.9%Si−2.1%Cu−0.23%Mg)材を用いた。
上記基体1(純Al板)にAlF3−CsF系物質を供給する方
法は,該板を0.5モル/CsHF2水溶液に浸漬する化成処
理法によった。AlF3−CsF系物質の付着重量が2〜3g
/m2となるように処理を行った。各溶湯の注型時の温度
を第1表の実施番号1〜3に示す。
一方,比較例として,無処理のもの(実施番号C1,C3,
C5),および0.1モル/KHF2水溶液によりペンタフル
オロアルミニウム酸カリウム(K2AlF5)を2〜3g/m2
の割合で生成させたもの(実施番号C2,C4,C6)用意
し,第1表に示す温度で注湯を行った。
第1表の結果からわかるように処理しないものは全くAl
鋳物がAl板に接合せず,さらにカリウム化成処理を施し
てもMg含有量が1.3wt%のAC8Aでは全く接合しない(C
4)のに対し,セシウム処理したものは良好な接を示
す。
本例によって得られた複合Al部材は剥離試験によっても
容易に剥離しなかった。
実施例2. 基体として肉厚1mm,外径20mm,長さ70mmのAl製パイプ
4(JISA6063)を用い,第2図に示す様に鋳型2内に置
き湯口6から温度680℃のAl合金の湯溶AC4Cを注いで鋳
ぐるみ,溶湯との接合状態をみた。なお,セシウム系フ
ラックスの供給方法は,粉末法によった。フラックス粉
末の製造は次のようにして行った。AlF3・3H2O1モル
(138g),CsF1モル(152g)および水10モル(180
g)を乳鉢上で10分間よく混合した後,水分を蒸発させ
80℃で10時間乾燥し,得られた塊りを再粉砕してフラッ
クス粉末を得た。本粉末は吸湿性は存在せず,X線回折
の結果,未反応のCsFは検出されず,複雑な錯塩からな
ることを示していた。上記粉末を水に分散させ,ハケで
該Al製パイプの外表面に均一に塗布した。(実施番号
4) また別法で合成したCs3AlF6粉末にAlF3粉末をAlF3/CsF
のモル値が1となる様に加え,均一となる様十分良く混
合し,実施番号4と同様に該Al製パイプの外表面に均一
に塗布した。(実施番号5) また,比較例としてフラックス粉末を供給しない基体
(実施番号C7),およびAlF3・3H2O0.45モル(62
g)とKF0.55モル(32g)と水5モル(90g)を実施番
号4と同様に調整したフルオロアルミニウム酸カリウム
系フラックスから成る粉末を塗布した基体を用意した
(実施番号C8)。これらの基体についてもAC4C溶湯に
より鋳ぐるみを行い,溶湯との接合状態を調べた。鋳ぐ
るみ体の接合部断面を観察した結果,実施番号4および
5によればパイプ4とAl合金溶湯5の接合は良好であっ
た。しかし,比較例C7のフラックスを供給しない場合
は全く接合せず,比較例C8のフルオロアルミニウム酸
カリウムから成るフラックスを供給した場合は,接合の
不完全な箇所が部分的にみられた。
実施例3,4 第3図および第4図は本発明の実施例3を示す図で,第
3図は基体4として例えば圧延Al板などの板状体を用い
た例である。図中,5は鋳物部分(キャビテイ部),6
は湯口,7は揚り(排気口)示す。
第4図は,本発明の実施例4を示す図で,基体4として
Al板,例えばJIS3003,1050,7072等のAl系合金からな
る圧延板を用い,実施例1と同様にして化成処理したも
のをAl系合金溶湯8中に浸漬し,引き上げてアルミナイ
ズドAl板を得る方法を示す。図中,9はAl系合金溶湯8
を入れたルツボ,10はAl被膜を示す。
本例においてAl板は硬質板でも軟質板でもよく,また,
Al溶湯としては,たとえば純Al,AC2B等のMgを含有しな
い材料のみでなく,Mgを含むAC4C,AC8Aなども使用でき
る。このようにして得た複合Al板のAl皮膜は,厚さ0.8m
mのAl板に0.05mm厚に塗布したもので,半径1mmの折り
曲げ試験においても皮膜は剥離しなかった。またエリク
セン試験においても剥離しなかった。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)は本発明の一実施例を示す鋳型の断面図, 第1図(B)は第1図(A)のB−B線断面図, 第2図および第3図は本発明の鋳ぐるみを示す鋳型の他
の例を示す断面図, 第4図はアルミナイズド方法を示すためのルツボの断面
図, 第5図は,AlF3−CsF系物質の相平衡状態図である。 1,4……基体,2……鋳型,3……押え,5……鋳物
部分(キャビテイ),6……湯口,7……排気口,8…
…溶湯,9……ルツボ,10……Al被膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予じめ所定の形状に形成されたアルミニウ
    ム系材料よりなる基体の表面の必要部分に,実質的に遊
    離のフッ化セシウムを含まないフルオロアルミニウム酸
    セシウムから成る複合フッ化物又は該複合フッ化物とフ
    ッ化アルミニウムとから成る混合組成物を供給した後,
    該基体をアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯と
    接触せしめることを特徴とする複合アルミニウム部材の
    製造方法。
  2. 【請求項2】上記複合フッ化物又は複合フッ化物とフッ
    化アルミニウムとから成る混合組成物の供給はセシウム
    イオンとフッ素イオンを含有する処理溶液と上記基体と
    を接触させ,該基体の表面に化成処理層を形成せしめて
    行うことを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の複
    合アルミニウム部材の製造方法。
  3. 【請求項3】上記溶湯との接触は鋳造により行うことを
    特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の複合アルミニ
    ウム部材の製造方法。
  4. 【請求項4】上記溶湯との接触は,基体を溶湯に浸漬し
    て行うことを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の
    複合アルミニウム部材の製造方法。
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