JPH064674U - 回転速度検出センサ付半浮動式車軸用軸受ユニット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】部品点数の減少により、部品管理、組立作業の
簡略化を図ると同時に、乗り心地並びに燃費の向上を図
る。 【構成】車軸管１の端部に外輪２３を固定する。この外
輪２３の内側に内輪２６を、玉９、９を介して回転自在
に支持する。内輪２６の外周面にトーンホイール１７を
固定する。外輪２３の取付孔１８に挿入したセンサ１９
の先端を、このトーンホイール１７の外周面に対向させ
る。内輪２６の両端部外周面と外輪２３の内周面との間
に、１対の第一シール部材２９、２９を設ける。外輪２
３と車軸管１との接合部にＯリング３１を設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案に係る回転速度検出センサ付半浮動式車軸用軸受ユニットは、商用車 若しくは小型トラック等の後輪の車軸を回転自在に支持すると共に、この車軸の 回転速度を検出する為に利用する。

【０００２】

【従来の技術】

通常のＦＲ車（前置エンジン・後輪駆動車）で駆動輪が非独立懸架の場合に於 ける後車軸、ＦＦ車（前置エンジン・前輪駆動車）で非駆動輪が非独立懸架の場 合に於ける後車軸、或はフォークリフトやショベルローダ等の特殊車両の場合に 於ける前車軸は、車体の床下面にばねを介して支持された車軸管の内側に、玉軸 受、円錐ころ軸受、円筒ころ軸受等の転がり軸受により回転自在に支持されてい る。

【０００３】 例えば図３に示した構造は、ＦＲ車に於ける後車軸を、車軸管に対して回転自 在に支持する部分の従来構造として、特開平１−２８８６１９号公報に記載され たものを示している。リーフスプリング等を介して自動車の床下面に支持された 車軸管１は、一端を差動装置（デファレンシャルギヤ）のケーシングに結合し、 他端開口部に軸受装置を設けている。

【０００４】 車軸管１の開口端部に溶接固定した円筒状の軸受ハウジング２に、玉軸受３を 構成する外輪４を内嵌すると共に、前記差動装置に一端を結合し、上記車軸管１ を挿通した車軸５に、上記玉軸受３を構成する内輪６を外嵌している。外輪４内 周面の外輪軌道７と内輪６外周面の内輪軌道８との間には、複数の玉９、９を装 着して、上記車軸管１の内側での車軸５の回転を自在としている。

【０００５】 更に、一端面（図３の左端面）を軸受ハウジング２の内周面に形成した段部１ ０に突き当てた外輪４の他端面（図３の右端面）には、バッキングプレート（ド ラムブレーキの基板となる部材）１１等を介して抑え蓋１２を突き当て、この抑 え蓋１２と上記軸受ハウジング２とを、ボルト１３とナット１４とにより結合し て、外輪４の軸受ハウジング２からの脱落防止を図っている。一方、車軸５の端 部外周面に形成した段部１５に一端面（図３の右端面）を突き当てた内輪６の他 端面（図３の左端面）には、車軸５に外嵌した固定リング１６の端面を突き当て て、内輪６の位置決めを図っている。

【０００６】 半浮動式車軸用軸受は、上述の様に構成されるが、アンチロックブレーキシス テム（ＡＢＳ）やトラクションコントロールシステム（ＴＣＳ）を制御する為、 この様な軸受により回転自在に支持される車軸５の回転速度を検出する場合、従 来は図４に示す様に構成していた。

【０００７】 図４に於いて１７はトーンホイールで、外周面に歯車状の凹凸を形成しており 、車軸５に外嵌され、内輪６と固定リング１６との間で挟持された状態で、この 車軸５と共に回転する。又、軸受ハウジング２の一部で、上記トーンホイール１ ７の外周面と対向する位置には取付孔１８を形成している。そして、この取付孔 １８にセンサ１９を、上記軸受ハウジング２の外側から挿入し、このセンサ１９ の先端部を上記トーンホイール１７の外周面に対向させている。尚、このセンサ １９の支持腕２０は、スタッド２１とナット２２との螺合に基づき、上記軸受ハ ウジング２の外周面に固定する。

【０００８】 車両の走行に伴なって車軸５に固定したトーンホイール１７が回転すると、こ のトーンホイール１７の外周面とセンサ１９の先端との距離が変化し、このセン サ１９の出力が変化する。この変化の周波数は、上記車軸５の回転速度に比例す る為、上記センサ１９の出力信号を図示しない制御器に入力すれば、ＡＢＳやＴ ＣＳを制御出来る。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の回転速度検出センサ付半浮動式車軸用軸受ユニットは、部品点数を少 なく抑える事で、部品管理、組立作業の能率化を図り、製作費を低減させると共 に、軽量化による乗り心地及び燃費の向上を図るものである。

【００１０】 上記図４に示した従来構造の場合、構成部品数が多く、部品管理、組立作業が 煩雑で、製作費が嵩む原因となっていた。又、重量、特にばね下重量が嵩む為、 路面の凹凸に対する車輪の追従性が悪化し、乗り心地に多少なりとも悪影響を与 える事が考えられていた。更に、重量が嵩む分、僅かとは言え、燃費にも悪影響 を与える事になる。

【００１１】 例えば、実開昭６２−１７０３６３号公報、実開平３−３０８６４号公報、同 ３−３９１６１号公報、米国特許第４７７８２８６号明細書、同４８６４２３１ 号明細書、同４９６０３３３号明細書、同４９８８２２０号明細書、同５０１８ ３８４号明細書、フランス特許第１６５３１９１号明細書等には、車輪支持用の 軸受と回転速度検出用のセンサ及びトーンホイールとをユニット化した構造が記 載されているが、何れも独立懸架構造を対象としており、そのまま本考案の対象 である半浮動式車軸の軸受部に適用出来るものではない。

【００１２】 本考案の回転速度検出センサ付半浮動式車軸用軸受ユニットは、上述の様な事 情に鑑みて考案されたものである。

【００１３】

【課題を解決する為の手段】

本考案の回転速度検出センサ付半浮動式車軸用軸受ユニットは、外輪と、この 外輪の外周面に固設され、車体下面に支持された車軸管の開口端部に固設された 受側フランジと突き合わせ接合自在な取付フランジと、上記外輪の内周面に形成 された外輪軌道と、上記外輪の内側に、この外輪と同心に支持された内輪と、こ の内輪の外周面で上記外輪軌道と対向する部分に形成された内輪軌道と、この内 輪軌道と上記外輪軌道との間に転動自在に設けられた、複数の転動体と、上記内 輪の外周面で、上記内輪軌道から外れた位置に固定されたトーンホイールと、上 記外輪の一部でこのトーンホイールの外周面と対向する位置に形成した取付孔と 、上記外輪の外側からこの取付孔に挿入した状態で上記外輪に固定され、その先 端部を上記トーンホイールの外周面に対向させたセンサと、このセンサ及び上記 転動体の軸方向両側部分で、上記内輪の外周面と上記外輪の内周面との間に設け られた１対の第一シール部材と、上記外輪と車軸管との接合部に介在する第二シ ール部材とを備える。

【００１４】

【作用】

上述の様に構成される、本考案の回転速度検出センサ付半浮動式車軸用軸受ユ ニットにより、車軸を回転自在に支持する場合、取付フランジを受側フランジに 突き合わせ接合する事で、外輪を車軸管の端部に固定すると共に、内輪の内側に 車軸の端部を内嵌する。

【００１５】 車軸と共に内輪が回転すると、この内輪の外周面に固定したトーンホイールが 回転する為、外輪に固定したセンサの出力が、上記車軸の回転速度に比例した周 波数で変化する。

【００１６】

【実施例】

図１は本考案の第一実施例を示している。外輪２３の外周面には取付フランジ ２４を一体形成し、この取付フランジ２４と、車体下面に支持された車軸管１の 開口端部に固設された受側フランジ２５とを、突き合わせ接合自在としている。 又、上記外輪２３の内周面には外輪軌道７を、上記外輪２３の内側にこの外輪２ ３と同心に支持された内輪２６の外周面には内輪軌道８を、それぞれ形成し、こ れら両軌道７、８同士を互いに対向させた状態で、両軌道７、８の間に複数の玉 ９、９を転動自在に設けている。

【００１７】 又、上記内輪２６の外周面で上記内輪軌道８から外れた位置には、トーンホイ ール１７を外嵌固定している。一方、上記外輪２３の一部でこのトーンホイール １７の外周面と対向する位置には、取付孔１８を形成している。そして、この取 付孔１８内にセンサ１９を、上記外輪２３の外側から挿入し、このセンサ１９の 外周面に固設した支持腕２０を上記外輪２３の外周面に、螺子２７により固定し ている。この状態で上記センサ１９の先端は、上記トーンホイール１７の外周面 に、微小隙間（例えば０．５〜１mm以下）を介して対向する。尚、上記取付孔１ ８の開口部内周縁と上記センサ１９の外周面との間にはＯリング２８を装着して 、当該部分をシールしている。

【００１８】 又、上記内輪２６の両端部外周面と外輪２３の内周面との間には、１対の第一 シール部材２９、２９を設け、両第一シール部材２９、２９により、上記センサ １９及び上記玉９、９を設けた部分への、塵芥や水等の異物進入防止を図ってい る。更に、上記外輪２３の内端部外周面で、前記取付フランジ２４から突出した 部分の外周面には係止凹溝３０を、全周に亙って形成している。そしてこの係止 凹溝３０内に、第二シール部材であるＯリング３１を嵌着している。このＯリン グ３１の外周縁は、上記外輪２３と車軸管１とを接合した場合に、この車軸管１ の内周面に当接して、上記両部材２３、１の接合部をシールし、車軸管１内への 塵芥や水等の異物進入と、車軸管１内のデファレンシャルオイルの漏洩とを防止 する。

【００１９】 上述の様に構成される、本考案の回転速度検出センサ付半浮動式車軸用軸受ユ ニットにより、車軸５（図３〜４参照）を回転自在に支持する場合、取付フラン ジ２４を受側フランジ２５に突き合わせ、ボルト３２により両フランジ２４、２ ５接合する事で、外輪２３を車軸管１の端部に固定する。これと共に、内輪２６ の内側に車軸５の端部を内嵌する。

【００２０】 車両の走行に伴なって車軸５と共に内輪２６が回転すると、この内輪２６の外 周面に外管固定したトーンホイール１７が回転し、このトーンホイール１７の外 周面とセンサ１９の先端との距離が変化する。この結果、センサ１９の出力が、 上記車軸５の回転速度に比例した周波数で変化する。

【００２１】 次に、図２は本考案の第二実施例を示している。本実施例の場合、外輪２３を 車軸管１の端部に外嵌すると共に、取付フランジ２４と受側フランジ２５との間 で、第二シール部材である、シート状のパッキング３３を挟持し、車軸管１内へ の塵芥や水等の異物進入と、車軸管１内のデファレンシャルオイルの漏洩とを防 止している。これに合わせて上記受側フランジ２５は、車軸管１の端部よりも少 し内側に寄った部分に設けている。その他の構成及び作用は、上述の第一実施例 と同様である為、同等部分には同一符合を付して、重複する説明を省略する。

【００２２】

【考案の効果】

本考案の回転速度検出センサ付半浮動式車軸用軸受ユニットは、以上に述べた 通り構成され作用する為、部品点数の減少に伴ない、部品管理、組立作業の簡易 化による低廉化を図れるだけでなく、軽量化による乗り心地向上と燃費向上とを 図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第一実施例を示す断面図。

【図２】同第二実施例を示す断面図。

【図３】従来の半浮動式車軸の軸受装置を示す断面図。

【図４】従来の半浮動式車軸の軸受装置に回転速度検出
センサを組み込んだ状態を示す断面図。

【符号の説明】

１ 車軸管 ２ 軸受ハウジング ３ 玉軸受 ４ 外輪 ５ 車軸 ６ 内輪 ７ 外輪軌道 ８ 内輪軌道 ９ 玉 １０ 段部 １１ バッキングプレート １２ 抑え蓋 １３ ボルト １４ ナット １５ 段部 １６ 固定リング １７ トーンホイール １８ 取付孔 １９ センサ ２０ 支持腕 ２１ スタッド ２２ ナット ２３ 外輪 ２４ 取付フランジ ２５ 受側フランジ ２６ 内輪 ２７ 螺子 ２８ Ｏリング ２９ 第一シール部材 ３０ 係止凹溝 ３１ Ｏリング ３２ ボルト ３３ パッキング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外輪と、この外輪の外周面に固設され、
   車体下面に支持された車軸管の開口端部に固設された受
   側フランジと突き合わせ接合自在な取付フランジと、上
   記外輪の内周面に形成された外輪軌道と、上記外輪の内
   側に、この外輪と同心に支持された内輪と、この内輪の
   外周面で上記外輪軌道と対向する部分に形成された内輪
   軌道と、この内輪軌道と上記外輪軌道との間に転動自在
   に設けられた、複数の転動体と、上記内輪の外周面で、
   上記内輪軌道から外れた位置に固定されたトーンホイー
   ルと、上記外輪の一部でこのトーンホイールの外周面と
   対向する位置に形成した取付孔と、上記外輪の外側から
   この取付孔に挿入した状態で上記外輪に固定され、その
   先端部を上記トーンホイールの外周面に対向させたセン
   サと、このセンサ及び上記転動体の軸方向両側部分で、
   上記内輪の外周面と上記外輪の内周面との間に設けられ
   た１対の第一シール部材と、上記外輪と車軸管との接合
   部に介在する第二シール部材とを備えた回転速度検出セ
   ンサ付半浮動式車軸用軸受ユニット。