JPH0643382U - 弾性スライドブッシュ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 〔目的〕 内筒の外周に弾性部材を摺動可能に嵌着する
とともに、両側方にそれぞれ弾性ダストカバーを張り掛
けて二つの空気室を形成した弾性スライドブッシュにお
いて、弾性部材に二つの空気室を連通する貫通孔を穿
ち、これを弾性部材のばね剛性を下げる要素とする。 〔構成〕 内筒１０と、内筒１０の外周に摺動可能に嵌
着される中間筒１２と、中間筒１２の外周に弾性部材１
４を介在させて中間筒１２と一体に配設される外筒１６
とからなる弾性スライドブッシュにおいて、内筒１０と
外筒１６との間に弾性ダストカバー２２を張り掛けて中
間筒１２の両側方をそれぞれ張覆するとともに、弾性部
材１４に軸方向に貫通する複数の貫通孔２２を形成した
ことを特徴とする弾性スライドブッシュ。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両におけるサスペンションアームの弾性支持等に用いられる弾性 スライドブッシュに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

車輪を支持するサスペンションアームは車体に対して傾きを許容されて防振支 持される必要があるが、更に、路面の変化等に応じてサスペンションアーム自体 がスライドできるものが望ましい。このため、実開平４−７４７５１号公報に見 られるように、内筒（サスペンションアームを支持する）の外周に摺動可能な中 間筒を嵌合し、中間筒と外筒（車体に固定される）との間に弾性部材を介在させ たものがある。尚、このままでは内筒と中間筒との摺動部分にゴミ等が侵入する から、これを前記した先行例では中間筒端部と内筒端部とにそれぞれ弾性ダスト カバーを張設している。

【０００３】 このような構造にすると、中間筒の両側方はそれぞれ弾性ダストカバーで覆わ れて密閉された二つの空気室を形成することになるから、中間筒に対して内筒が 摺動する場合、二つの空気室に圧力変化が生じ、内筒の円滑な摺動が妨げられる ことが予想される。このため、前記した先行例のものでは、中間筒に軸方向に貫 通する貫通孔を形成して空気室を連通し、内筒が摺動するときも二つの空気室に 圧力変化が生じないようにしてある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、このような貫通孔は機械加工によらなければならないから、その加工 コストが高くなるとともに、内筒が摺動するとき、弾性ダストカバーが弾性部材 や外筒に接触して自身が傷付く虞もある。一方で、サスペンションアームの振動 は遮断される必要があり、そのためには、これを支持する弾性部材のばね剛性の 低いものが要求される。 本考案は、このような課題に対処するものであり、要するに、空気室を連通す るための貫通孔を弾性部材に形成し、併せてこれをばね剛性を下げる要素にした ものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

以上の課題の下、本考案は、内筒と、内筒の外周に摺動可能に嵌着される中間 筒と、中間筒の外周に弾性部材を介在させて中間筒と一体に配設される外筒とか らなる弾性スライドブッシュにおいて、内筒と外筒との間に弾性ダストカバーを 張り掛けて中間筒の両側方をそれぞれ張覆するとともに、弾性部材に軸方向に貫 通する複数の貫通孔を形成したことを特徴とする弾性スライドブッシュを提供す る。

【０００６】

【作用】

以上の手段をとることにより、貫通孔の存在によって弾性部材のばね剛性は下 がり、防振性が高まる。同時に、貫通孔は弾性ダストカバーで覆われることで中 間筒の両側方にそれぞれ形成される二つの空気室を連通させるから、中間筒及び 外筒に対して内筒が摺動するときもこれらに圧力変化を生じさせず、その動きを 円滑にする。

【０００７】

【実施例】

図１は本考案に係る弾性スライドブッシュの縦断面図、図２は横断面図である が、この弾性スライドブッシュは、内筒１０と、内筒１０の外周に摺動可能に嵌 着される中間筒１２と、中間筒１２の外周にゴム弾性体等の弾性部材１４を介在 させて中間筒１２と一体に配設される外筒１６とからなる。尚、中間筒１２の内 周には含油樹脂等による摺動部材１８を嵌着し、摺動性を高めてある。又、弾性 部材１４は中間筒１２及び外筒１６に対して、例えば、加硫接着等によって一体 化させ、位置がずれないようにしてある。

【０００８】 ところで、以上の弾性部材１４には軸方向に貫通する複数の貫通孔（スグリ） ２０が形成してある。尚、本実施例における貫通孔２０は、両端が拡張された偏 平な形状のものを上下に対称的に二つ配したものを示したが、この形状は、振動 が上下方向から入力される場合に必要な強度を維持しつつばね剛性の低下に最適 に寄与するからであり、これに限定されるものではない。例えば、円形のものを 同芯状に配したものであってもよい。

【０００９】 以上の外筒１６の端部と内筒１０の端部とには弾性（ゴム製）ダストカバー２ ２が張り掛けられる。即ち、弾性ダストカバー２２の外周が外筒１６の内周に、 又、内周が内筒１０の外周に、共にシール性を確保してそれぞれ位置がずれない ように止め付けられるのである。具体的には、弾性ダストカバー２２の外周側を リング２４に加硫接着しておき、このリング２４を外筒１６の端部に圧入すると ともに、内周を内筒１０の外周にシール接触させる。

【００１０】 このとき、弾性ダストカバー２２が被さる内筒１０の外周の所定個所に溝２６ を形成しておくとともに、弾性ダストカバー２２の内周にリップ２８を形成して おき、このリップ２８を溝２６に嵌め込むようにすれば、位置固定が強固になる とともに、シール性が向上する。尚、弾性ダストカバー２２は内筒１０の摺動に 伴って変形するから、それが容易なように十分に撓んだ形状にしておく。以上に より、中間筒１２の両側方にそれぞれ二つの密閉された空気室３０が形成される ことになるが、この空気室３０は弾性部材１４の貫通孔２０で連通されることに なる。

【００１１】 図３は本考案の他の実施例を示す弾性スライドブッシュの縦断面図であるが、 本実施例のものは、中間筒１２の両端内周に中間筒１２と動きを共にして内筒１ ０の外周にシール接触するダストリング３２を嵌着したものである。これにより 、摺動部分はこのダストリング３２と弾性ダストカバー２２とで二重にシールさ れることになる。

【００１２】

【考案の効果】 以上、本考案は、弾性部材に形成された貫通孔が弾性部材のばね剛性を下げる 役目と、内筒に対して相対的に摺動する中間筒の両側方にそれぞれ形成される二 つの密閉された空気室を連通させる役目とを兼ねることになる。従って、防振性 を高めるとともに、構造を簡略化し、コストを引き下げる効果が期待できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す弾性スライドブッシュの
縦断面図である。

【図２】本考案の実施例を示す弾性スライドブッシュの
横断面図である。

【図３】本考案の他の実施例を示す弾性スライドブッシ
ュの縦断面図である。

【符号の説明】

１０ 内筒 １２ 中間筒 １４ 弾性部材 １６ 外筒 ２０ 貫通孔 ２２ 弾性ダストカバー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内筒と、内筒の外周に摺動可能に嵌着さ
   れる中間筒と、中間筒の外周に弾性部材を介在させて中
   間筒と一体に配設される外筒とからなる弾性スライドブ
   ッシュにおいて、内筒と外筒との間に弾性ダストカバー
   を張り掛けて中間筒の両側方をそれぞれ張覆するととも
   に、弾性部材に軸方向に貫通する複数の貫通孔を形成し
   たことを特徴とする弾性スライドブッシュ。