JPH0642054Y2 - 浴室ユニット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は浴室ユニット関し、詳しくは防水パンの設置
作業性の改善のための技術手段に関する。

（従来の技術及び考案が解決しようとする課題） 浴室ユニットのリフォーム、即ち既に設置されている浴
室ユニットが古くなって来た場合に、これを分解して別
途新しい浴室ユニットに交換することが行なわれてい
る。

ところで、既設の浴室ユニットは建築躯体及び間仕切壁
等によって四方を取り囲まれた状態にあり、従って古い
浴室ユニットを分解して新しいユニットと交換する場
合、これら間仕切壁等が障害となって、ユニットの組立
・設置作業、特に防水パンの設置作業が著しく困難とな
る。防水パンの設置作業には、水平出し（レベル調整）
のためにその裏面側に設けてあるアジャストボルトを調
整する作業が含まれているが、間仕切壁等にて四方を囲
まれた空間内に防水パンを置くと、平面的にその空間が
防水パンにて占められてしまい、レベル調整用のボルト
を操作するための作業空間が無くなってしまうからであ
る。

（課題を解決するための手段） 本考案はこのような課題を解決するためになされたもの
であり、その要旨は、浴槽載置部分を有し、該浴槽載置
部分の上に浴槽底部を載置する浴槽載置式の防水パンの
周縁部から壁パネルを立ち上げて浴室を構成するように
した浴室ユニットにおいて、該防水パンにおける前記浴
槽載置部分の外周縁を含む周辺部を該壁パネルに沿って
少なくとも一部切り欠くとともに、該切欠部に対応する
部分の壁パネルに、該浴槽上縁の手摺部よりも下部位に
おいて室内側に延び出し前記切欠部の縁部に到る延出部
を一体に形成し、該延出部先端を該切欠部の縁部に連結
したことにある。

而して、上記壁パネルは種々の材料，形態の部材にて構
成し得るが、前記切欠部に対応する部分の壁パネルにつ
いては、これを型成形により製造される成形物にて構成
することが望ましい。

（作用及び考案の効果） このように本考案は、浴槽載置式の防水パンを用いた浴
室ユニットにおいて、その防水パンにおける浴槽載置部
分の周辺部を切り欠いた上、対応する壁パネルに室内側
への延出部を形成してそれらを連結するようにしたもの
である。

防水パンの一種として、浴槽嵌込みのための切欠や穴を
備えた形態のものがあり、かかる防水パンを用いた浴室
ユニットにおいては、浴槽嵌込用の切欠や穴を防水パン
設置に際しての足場として利用することが可能である。

しかるに浴槽載置式の防水パンの場合には、その外周縁
が壁パネルの位置まで延びているため、防水パンの設置
作業に多大の難儀を伴う。しかるに本考案においては防
水パンの周辺部に切欠部が設けられているから、四方を
囲まれた限られた空間内にかかる防水パンを置いた場合
にも、その切欠部を作業の足場として利用することによ
り、防水パンのレベル調整をすることが可能となる。即
ち防水パンの切欠部に足を置いて身体を伸ばし、そして
防水パンと間仕切壁、或いは躯体との間の狭い隙間（こ
の隙間は100mm程度確保されている）から防水パンの裏
側に手を挿し入れてボルトを調整することができ、以て
防水パンのレベル調整作業をすることができる。

尚、防水パンに単にこのような切欠を設けただけである
と、その分室内が狭くなる（切欠周縁部から壁パネルを
直接立ち上げた場合）か、或いは防水パンと壁パネルの
間に隙間が生じる（壁パネルの位置が従来と同じ位置の
場合）こととなるが、本考案では切欠部に対応する部分
の壁パネルが、浴槽上縁の手摺部よりも下部位において
室内側に延び出させられたうえでかかる防水パンの切欠
部周縁に連結されるようになっているから、組立状態に
おいてそうした隙間が生じることはない。しかも壁パネ
ルのその延出部分は浴槽上縁の手摺部の下方にあって外
観的に現れない部位であるから、同延出部形成によって
浴室内が煩雑となったり、外観が損なわれたりする不具
合も生じない。

本考案においては、浴槽上縁の手摺部の下部位において
室内側に延出する延出部が壁パネルに一体に形成されて
おり、このことから次の利点が得られる。

即ち防水パンにおける切欠部の縁部と壁パネルとを、壁
パネルとは別部材である複数の接合部材によって接合し
た場合、接合部材同士及び接合部材と壁パネルとの継目
からの漏水や垢溜り等の問題が生ずる。しかるに延出部
を壁パネルに一体に形成してこれを切欠部の縁部に連結
すればこのような不都合を生じないのである。

またこの場合の壁パネルとして、型成形により製造され
る成形物を用いるようにすれば、そうした延出部分を容
易に形成できて好都合である。

（実施例） 次に本考案の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。

第２図及び第３図は、躯体10（第１図）及び間仕切壁12
にて囲まれた空間内に組付・設置された状態の浴室ユニ
ットを示したものである。図中14は防水パン、16は気泡
噴出孔18を備えた気泡浴槽である。第３図において20及
び22は夫々浴室の内壁面を構成する壁パネルであって、
20はタイルパネル、22は樹脂成形体としてのFRPパネル
である。

この浴室ユニットにおいては、浴槽16に隣接する部位に
おいてカウンタ24が壁パネル20に沿って設けられてお
り、その前端部から前板26が垂下して下端が防水パン14
に接している。そしてこのカウンタ24の下部空間内に
は、浴槽16内に気泡を噴出させるためのポンプ28が設置
されている。

防水パン14は浴槽底部を載置する浴槽載置式の、即ち浴
槽嵌込用の凹所を有しないものであって、第１図に示す
ように浴槽載置部分の一方の周辺部、即ち壁パネル22に
沿った一方の周辺部が部分的に切り欠かれている。而し
て切欠部30の幅は、少なくとも作業者が足を挿入できる
ような幅とされている。この防水パン14には、また、浴
槽16載置側とカウンタ24の下側とに開口32及び33が形成
されており、更にその下面側には第４図〜第６図に示す
ように補強用のフレーム34が設けられていて、そこにレ
ベル調整用のボルト36,38が取付られている。ボルト36,
38の配置個所は、第１図に示すように、防水パン14の４
隅部と中間部とであり、而してその中間部のボルト38の
一部は開口32,33に近接して配置されている。一方４つ
の隅部のボルト36は、その頭部が外部に露出するように
配置されている。即ちこの防水パン14は、第５図に示す
ように４つの隅部が平面Ｌ字形状に内方に凹曲させられ
ていて、その下側のフレーム34が露出させられ、而して
そのフレーム34の露出部分にナット40が溶接され、その
ナット40に、頭部摺り割溝42を有するボルト36が螺合さ
れているのである。

他方、前記FRP製の壁パネル22は、防水パン14の切欠部3
0に対応して構成されたものであって、第７図及び第８
図に示すようにその下端近傍部位で浴室内方側へ延出さ
せられ、そしてその下端がビス46にて防水パン14の切欠
部周縁に連結されている。またこの延出部44に連続する
上側部位48は、一旦タイルパネル20の背面とほぼ同位置
まで躯体10側に引込められ、そして浴槽手摺部15の直近
下側部位でタイルパネル20の前面位置までせり出した
後、再び上部においてタイルパネル20の背面側まで引込
み、そこに物品収納用の凹部50を形成している。

而してこの壁パネル22は、第９図に示すように左右両側
端部にフランジ52を有しており、このフランジ52におい
てタイルパネル20の補強フレーム54に接合されるととも
に、その背面側においてベニヤ板56により補強されてい
る。尚ベニヤ板56は接着剤によりパネル22に固着されて
いる。

本例の浴室ユニットにおいては、防水パン14の浴槽載置
部分の周辺部に切欠部30が形成されているから、間仕切
壁12と躯体10にて四方を囲まれた狭い空間内でもこれを
設置することが可能である。具体的には、第１図に示す
ように躯体10,間仕切壁12にて四方を取り囲まれた空間
内に防水パン14を置き、そして切欠部30に足を踏み入れ
てそこを足場とし、そして身体を伸ばすようにして防水
パン14裏面のレベル調整用ボルト36,38を操作する。そ
の際四隅のボルト36は防水パン14の上面側から直接操作
することができ、また中間部のボルト38については、切
欠部30や間仕切壁12と12との間の出入口用の開口から、
または防水パン14に設けた開口32,33や防水パン14の周
縁部と間仕切壁12や躯体10との間の微少な隙間（約100m
m程度ある）から手を挿し入れて操作することができ
る。

このようにして防水パン14のレベルを調整した後に所定
の手順で壁パネル20,22等を組み付けて行けば、前述の
浴室ユニットが組み立てられる。

本例の浴室ユニットは、浴槽内壁面を構成するFRP製壁
パネル22が浴槽手摺部15の下側において躯体側に引込め
られているから、この部分を気泡噴出口等への導管の配
管スペースとして有効に活用できる利点を有している。

以上本考案の実施例を詳述したが、本考案はその他の形
態で構成することも可能である。

例えばFRP製の壁パネルを上述のように一部躯体側に引
込めることにより、配管スペースを確保したり、物品収
納用の凹部を設けたりすることができるが、前述の延出
部より上方部分をそのままストレートに立ち上げること
も可能である。更に上例では防水パンの一方の周縁部の
み切り欠いているが、壁面に囲まれた３方の周縁部を切
り欠くようにすることも可能である。この外壁パネルと
して他の材料で成形したものを用いることも可能である
し、また第10図に示すように壁パネル22をバックハンガ
ー60により防水パン14に連結したり、その他種々の形態
で連結することも可能である。その外、本考案を浴室ユ
ニットのリフォームのためでなく、全く新たに浴室ユニ
ットを組み込む場合にも適用可能であるなど、本考案は
その趣旨を逸脱しない範囲において、様々な変更を加え
た形態で構成可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例である浴室ユニットの一組付
過程を示す平面図であり、第２図及び第３図は夫々同浴
室ユニットの組立完了後の状態を示す平面図及び要部正
面図である。第４図，第５図及び第６図は夫々同浴室ユ
ニットおける防水パンの要部構造を示す縦断面図，分解
斜視図及び平面図である。第７図及び第８図は夫々同じ
浴室ユニットの要部構造を示す縦断面図であり、第９図
は同じ浴室ユニットの要部構造を示す平面断面図であ
る。第10図は本考案の他の実施例における浴室ユニット
の要部縦断面図である。 10:躯体、12:間仕切壁 14:防水パン、15:手摺部 16:浴槽、20,22:壁パネル 44:延出部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】浴槽載置部分を有し、該浴槽載置部分の上
   に浴槽底部を載置する浴槽載置式の防水パンの周縁部か
   ら壁パネルを立ち上げて浴室を構成するようにした浴室
   ユニットにおいて 該防水パンにおける前記浴槽載置部分の外周縁を含む周
   辺部を該壁パネルに沿って少なくとも一部切り欠くとと
   もに、該切欠部に対応する部分の壁パネルに、該浴槽上
   縁の手摺部よりも下部位において室内側に延び出し前記
   切欠部の縁部に到る延出部を一体に形成し、該延出部先
   端を該切欠部の縁部に連結したことを特徴とする浴室ユ
   ニット。
2. 【請求項２】前記切欠部に対応する部分の壁パネルを、
   型成形により製造される成形物にて構成するようにした
   ことを特徴とする請求項（１）に記載の浴室ユニット。