JPH0638002U - 磁気ヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ラミネート型の磁気ヘッドにおけるギャップ
近傍部分にスペーシングを生じることなく長期にわたっ
て安定的に使用することを可能とする。 【構成】 多層磁性膜１２の膜厚或は密度を、トラック
巾方向における中心側に向かって徐々に薄く或は高くな
るように形成することによって、多層磁性膜１２の耐摩
耗性をトラック巾方向の中心側に向かって徐々に向上さ
せ、最も摩耗を生じ易い多層磁性膜１２のトラック巾方
向中心部分における耐摩耗性を向上させることによっ
て、多層磁性膜１２の摩耗量をトラック巾方向にほぼ均
一としたもの。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、磁性膜を用いた磁気ヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から特開平４−１２５８０６号公報等において、磁性膜を膜付けした一対 のコアどうしを対向配置することにより所定のギャップを形成するようにした磁 気ヘッドが知られている。このような磁性膜を用いた磁気ヘッドにおいて、近年 、磁性膜をトラック巾方向に積層してなる、いわゆるラミネート型の磁気ヘッド が開発されている。

【０００３】 このラミネート型の磁気ヘッドでは、例えば図３、図４及び図５に示されてい るように、ギャップＧを形成するように対向配置された一対のコア１，１のそれ ぞれに、トラック巾方向に積層された磁性膜２，２が膜付けされているとともに 、それら各磁性膜２のトラック巾方向の両側に、当該磁性膜２を挟み込むように して非磁性基板３，３が配設されている。上記磁性膜２は、強磁性体からなる磁 性膜と、ガラス等からなる非磁性層とを重ね合わせたものであり、当該磁性膜２ 及び上記非磁性基板３のギャップ形成表面上を、テープが走行するように構成さ れている。また上記コア１，１どうしの対向部分に形成されたコイル窓５を通し て、記録・再生信号を入出力させるためのコイル６がコア１に巻回されている。

【０００４】 このとき特に図３に示されているように、上記磁性膜２を構成する磁性膜と非 磁性層とからなる各組は、互いに等しい膜厚及び密度に設定されており、これら の等しい膜厚及び密度を有する各組が、トラック巾方向に複数組にわたって積層 されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところがこのような構成を有するラミネート型磁気ヘッドにおいて、上記磁性 膜２と非磁性基板３とは、テープ走行時の接触で生じる摩耗量が互いに異なって いる。具体的には、前者が後者に比べて僅かではあるが摩耗量が多く、特に、磁 性膜２におけるトラック巾方向の中心部分において顕著な摩耗を生じる。その結 果、図５に示されているように、磁性膜２の摺動面部分とテープ４との間に、横 断面略円弧状のスペーシング７が発生することもある。そしてこのようなスペー シング７が発生すると、いわゆる間隙損失が増大して情報記録・再生機能の低下 を招来する。

【０００６】 そこで本考案は、テープ走行に対する摩耗性に優れたラミネート型の磁気ヘッ ドを提出することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案は、ギャップを境にして両側にコアを対向配置 してなる磁気ヘッドにおいて、上記コアは、磁性膜と非磁性層とを重ね合わせた 組をトラック巾方向に複数組積層してなる多層磁性膜を有し、この多層磁性膜に おける磁性膜と非磁性層とを重ね合わせた各組の膜厚あるいは密度が、当該多層 磁性膜のトラック巾方向における中心側に向かって薄くあるいは高くなる構成を 有している。

【０００８】

【作用】

このような構成を有する各手段においては、最も摩耗を生じ易い磁性膜のトラ ック巾方向中心部分における耐摩耗性が向上されることとなり、磁性膜の摩耗量 がトラック巾方向にほぼ均一となる。したがって長期使用後においてもテープ摺 動面が常時平滑に維持され、ギャップ近傍部分のテープとの間に従来のようなス ペーシングをほとんど生じることがない。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。 図１に示されているように、ギャップＧを形成するように対向配置された一対 のコア１１，１１のそれぞれには、トラック巾方向（図１上下方向）に多層磁性 膜１２，１２が積層されている。またこれらの各多層磁性膜１２のトラック巾方 向における両側には、当該多層磁性膜１２を挟み込むようにして非磁性基板１３ ，１３がそれぞれ配設されており、これら磁性膜１２及び非磁性基板１３におけ るギャップＧの形成表面上をテープ走行が行われるように構成されている。

【００１０】 上記多層磁性膜１２は、磁性膜１２ａと非磁性層１２ｂとを重ね合わせた組を 、トラック巾方向に複数組積層してなるものであり、そのうち磁性膜１２ａとし ては強磁性金属、例えばセンダスト等が用いられているとともに、非磁性層１２ ｂとしてはガラス材（Ｓi Ｏ₂ ）等が用いられている。これら磁性膜１２ａ及び 非磁性層１２ｂは、公知の薄膜形成技術、例えばスパッタリングやイオンビーム スパッターあるいは蒸着等によって形成されている。

【００１１】 このとき上記多層磁性膜１２における磁性膜１２ａと非磁性層１２ｂを重ね合 わせた各組は、互いにほぼ等しい密度を有するように形成されているが、これら 各組の膜厚は、トラック巾方向における中心側に向かって薄くなるように形成さ れている。すなわちトラック巾方向における両端側の磁性膜１２は、比較的厚い 膜厚を有するように設定されているが、それより内側の磁性膜１２は、やや薄い 膜厚に設定されている。そしてトラック巾方向の中心部分における磁性膜１２は 、最も薄い膜厚を有するように設定されている。

【００１２】 一方前記各コア１１の非磁性基板１３としては、結晶化ガラスやセラミックス 等の非磁性のヘッド基板材料が用いられている。なお本実施例のような非磁性体 が使用されるのは、例えば３０MHz 付近の高域の周波数の使用を前提とする場合 であり、５MHz 程度の高域までの使用を前提とする場合には、高透磁率を有する フェライト、センダスト合金等の強磁性酸化物が使用される。

【００１３】 このように本実施例では、多層磁性膜１２における磁性膜１２ａと非磁性層１ ２ｂを重ね合わせた各組の膜厚が、トラック巾方向における中心側に向かって徐 々に薄くなるように形成されているため、多層磁性膜１２の耐摩耗性が、トラッ ク巾方向の中心側に向かって徐々に向上されており、最も摩耗を生じ易い中心部 分における耐摩耗性が最も大きくなされている。したがって多層磁性膜１２の摩 耗量は、トラック巾方向にわたってほぼ均一となり、長期使用後においてもテー プ摺動面が常時平滑に維持され、ギャップ近傍部分のテープとの間に従来のよう なスペーシングをほとんど生じることがない。

【００１４】 次に図２に表された実施例では、多層磁性膜１２における磁性膜１２ａと非磁 性層１２ｂを重ね合わせた各組は、互いにほぼ等しい膜厚を有するように形成さ れているが、これら各組の密度が、トラック巾方向における中心側に向かって徐 々に高くなるように形成されている。すなわちトラック巾方向両端側の磁性膜１ ２は、比較的粗い密度に形成されているが、それより内側の磁性膜１２は、やや 密に形成されている。そしてトラック巾方向の中心部分における磁性膜１２は、 最も高い密度に設定されている。 このような第２実施例においても、多層磁性膜１２の耐摩耗性がトラック巾方 向の中心側に向かって徐々に向上されており、上記第１実施例と同様な作用・効 果を得ることができる。

【００１５】 なお上述した実施例は、多層磁性膜を５層としたものであるが、本考案は、多 層磁性膜の積層数に限定されることはなく、他の積層数のものに対しても同様に 適用することができる。

【００１６】 また多層磁性膜における磁性膜と非磁性層とを重ね合わせた各組の膜厚及び密 度を、トラック巾方向の中心側に向かって同時に変化するように構成することも 可能である。

【００１７】

【考案の効果】

以上述べたように本考案にかかるラミネート型の磁気ヘッドは、多層磁性膜の 膜厚或は密度を、トラック巾方向における中心側に向かって徐々に薄く或は高く なるように形成することによって、多層磁性膜の耐摩耗性をトラック巾方向の中 心側に向かって徐々に向上させ、多層磁性膜の摩耗量をトラック巾方向にほぼ均 一としたものであるから、ギャップ近傍部分のテープとの間にスペーシングを生 じることなく長期にわたって安定的に使用することができ、磁気ヘッドの信頼性 を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例におけるラミネート型磁気
ヘッドの構造を表した水平断面説明図である。

【図２】本考案の第２実施例におけるラミネート型磁気
ヘッドの構造を表した水平断面説明図である。

【図３】一般のラミネート型磁気ヘッドの水平断面説明
図である。

【図４】一般のラミネート型磁気ヘッドの全体構造を表
した外観斜視説明図である。

【図５】図４に表された一般のラミネート型磁気ヘッド
の横断面説明図である。

【符号の説明】

１１ コア １２ 多層磁性膜 １２ａ 磁性膜 １２ｂ 非磁性層 １３ 非磁性基板 Ｇ ギャップ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ギャップを境にして両側にコアを対向配
   置してなる磁気ヘッドにおいて、 上記コアは、磁性膜と非磁性層とを重ね合わせた組をト
   ラック巾方向に複数組積層してなる多層磁性膜を有し、 この多層磁性膜における磁性膜と非磁性層とを重ね合わ
   せた各組の膜厚が、当該多層磁性膜におけるトラック巾
   方向の中心側に向かって薄くなるように形成されている
   ことを特徴とする磁気ヘッド。
2. 【請求項２】 ギャップを境にして両側にコアを対向配
   置してなる磁気ヘッドにおいて、 上記コアは、磁性膜と非磁性層とを重ね合わせた組をト
   ラック巾方向に複数組積層してなる多層磁性膜を有し、 この多層磁性膜における磁性膜と非磁性層とを重ね合わ
   せた各組の膜密度が、当該多層磁性膜におけるトラック
   巾方向の中心側に向かって高くなるように形成されてい
   ることを特徴とする磁気ヘッド。