JPH06337303A - 反射防止性プラスチック光学部品 - Google Patents

反射防止性プラスチック光学部品

Info

Publication number
JPH06337303A
JPH06337303A JP5129579A JP12957993A JPH06337303A JP H06337303 A JPH06337303 A JP H06337303A JP 5129579 A JP5129579 A JP 5129579A JP 12957993 A JP12957993 A JP 12957993A JP H06337303 A JPH06337303 A JP H06337303A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxide
antireflection
plastic optical
coating
optical component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5129579A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumiyasu Nomura
文保 野村
Takeshi Saito
武 斎藤
Mayumi Okuno
真由美 奥野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP5129579A priority Critical patent/JPH06337303A/ja
Publication of JPH06337303A publication Critical patent/JPH06337303A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】下記一般式(I)で示される(メタ)アクリル
モノマーと多官能イソシアネートとを反応させたウレタ
ン化(メタ)アクリルモノマーをビニル重合して得られ
る重合体から成るプラスチック透明基体上に、下記Aお
よびB被膜がこの順序に積層されてなることを特徴とす
る反射防止性プラスチック光学部品。 (ここでR1 、R2 は水素またはメチル基、mとnはそ
の合計が0〜4である整数、Xは塩素、ヨウ素または臭
素を表わす。) A.オルガノポリシロキサンと微粒子状無機酸化物とを
主成分としてなる被膜。 B.少なくとも一層が酸化チタンを含む層である、無機
酸化物からなる多層反射防止膜。 【効果】太陽光、紫外線などにより黄色変化しない耐光
性、耐候性があり、かつ、耐摩耗性、密着性、染色性に
優れ、黄変、ヘーズによる透明性の低下などがなく、さ
らに干渉縞が見えなく外観に優れた光学部品を提供でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学部品特にその透明性
が重視される耐光性、耐候性などに優れた反射防止性プ
ラスチック光学部品に関する。特に、眼鏡用レンズ、カ
メラ用レンズ、CRTフィルター、光記録用基体などに
好適に利用される。また建築用途に使用される光学体
(透明樹脂建築用品)にも好適である。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチック成型品、とりわけ光
学用途に使用されるプラスチック成型品は、優れた耐衝
撃性および透明性を有し、かつ染色も行いやすい事から
近年大幅に需要が増えている。また高機能化例えばプラ
スチックレンズの高屈折率化に代表される様に様々なプ
ラスチック成型体が開発されている。しかしながらその
透明性が重視されるにもかかわらず太陽光や照明ランプ
などにさらされると黄変するという問題を有している。
【0003】黄変性の原因の一つである紫外線をカット
する技術として、紫外線吸収剤をプラスチック透明基体
や塗料に混ぜる方法が挙げられる。透明な紫外線吸収剤
としては、例えば有機系のものとして、ベンゾフェノン
系やベンゾトリアゾール系のものが知られており、無機
系のものとしては酸化チタンや酸化セリウムなどが知ら
れている。この無機酸化物をハードコーティング剤に用
いる方法としては、特開昭58−46301号公報、特
開昭59−49501号公報、特開昭63−22563
5号公報などがあり、チタンアルコラートとコロイダル
シリカ、あるいはコロイド状酸化チタンとシランカップ
リング剤などからなる組成物が開示されている。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機
性の紫外線吸収剤は、紫外線を吸収しながらそれ自体が
劣化して黄変したり褐色化したりして、遂には飽和して
紫外線を吸収しなくなる他、有機物であるために毒性の
問題がある。
【0005】一方、無機酸化物は劣化は起こりにくい
が、特開昭58−46301号公報や特開昭59−49
501号公報などに記載の方法では、紫外線照射によっ
て塗膜が黄変し易く、耐候性に乏しいという問題があ
り、特に耐候性テスト後の塗膜密着性が不良となる致命
的欠陥を有するものであった。
【0006】そこで本発明は、これらの問題点を解決し
ようとするものであり、優れた耐光性、耐候性、耐水性
を有し、かつ黄変、ヘーズによる透明性の低下などがな
く、外観に優れた反射防止性プラスチック光学部品を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
本発明は下記の構成を有する。
【0008】「下記一般式(I)で示される(メタ)ア
クリルモノマーと多官能イソシアネートとを反応させた
ウレタン化(メタ)アクリルモノマーをビニル重合して
得られる重合体から成るプラスチック透明基体上に、下
記AおよびB被膜がこの順序に積層されてなることを特
徴とする反射防止性プラスチック光学部品。
【0009】
【化2】 (ここでR1 、R2 は水素またはメチル基、mとnはそ
の合計が0〜4である整数、Xは塩素、ヨウ素または臭
素を表わす。) A.オルガノポリシロキサンと微粒子状無機酸化物とを
主成分としてなる被膜。 B.少なくとも一層が酸化チタンを含む層である、無機
酸化物からなる多層反射防止膜。」 本発明において使用される(メタ)アクリルモノマー
(以下(ア)成分と称する)としては次のものを挙げる
ことができる。
【0010】2−(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−
ジブロムフェニル)−2−(4−アクリロキシエトキシ
−3,5−ジブロムフェニル)プロパン、2−(4−ヒ
ドロキシエトキシ−3,5−ジブロムフェニル)−2−
(4−メタクリロキシエトキシ−3,5−ジブロムフェ
ニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシエトキシ−3,
5−ジブロムフェニル)−2−(4−アクリロキシ−
3,5−ジブロムフェニル)プロパン、2−(4−ヒド
ロキシエトキシ−3,5−ジブロムフェニル)−2−
(4−メタクリロキシ−3,5−ジブロムフェニル)プ
ロパン、2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロムフェ
ニル)−2−(4−アクリロキシ−3,5−ジブロムフ
ェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ
ブロムフェニル)−2−(4−メタクリロキシ−3,5
−ジブロムフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシ
ジエトキシ−3,5−ジブロムフェニル)−2−(4−
アクリロキシジエトキシ−3,5−ジブロムフェニル)
プロパン、2−(4−ヒドロキシジエトキシ−3,5−
ジブロムフェニル)−2−(4−メタクリロキシジエト
キシ−3,5−ジブロムフェニル)プロパンなどであ
る。
【0011】上記化合物の中で特に好ましいものは、2
−(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロムフェニ
ル)−2−(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジブ
ロムフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシエトキ
シ−3,5−ジブロムフェニル)−2−(4−アクリロ
キシ−3,5−ジブロムフェニル)プロパン、2−(4
−ヒドロキシジエトキシ−3,5−ジブロムフェニル)
−2−(4−メタクリロキシジエトキシ−3,5−ジブ
ロムフェニル)プロパンおよびこれらの混合物である。
【0012】多官能イソシアネート(以下、(イ)成分
と称する)としては次のものが挙げられる。
【0013】ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネー
ト、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジン
ジイソシアネートメチルエステル、キシリレンジイソシ
アネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサ
ン、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニル
メタンジイソシアネートがあり、また3官能以上の多官
能イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシア
ネートのピウレット化反応生成物、ヘキサメチレンジイ
ソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応アダク
ト体、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシア
ネートヘキサノエート、1,6,11−ウンデカントリ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネートとトリメ
チロールプロパンとの反応アダクト体、キシリレンジイ
ソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応アダク
ト体、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンと
トリメチロールプロパンとの反応アダクト体がある。
【0014】上記イソシアネート化合物の中で、特に好
ましいものは、キシリレンジイソシアネート、イソホロ
ンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シ
クロヘキサンなどである。
【0015】本発明は上述の一般式で表示される(メ
タ)アクリルモノマー(ア)のOH基と上述の多官能イソ
シアネート(イ)のNCO 基を反応させウレタン化(メ
タ)アクリルモノマーを合成する。
【0016】このウレタン化(メタ)アクリルモノマー
をビニル重合することにより、高屈折率のプラスチック
用樹脂を得ることができるが、さらに本発明は、上記の
ウレタン化(メタ)アクリルモノマー(以下、第1ビニ
ルモノマーと称する)に、分子中に芳香環を有する他の
ビニルモノマー(以下、第2ビニルモノマーと称する)
を共重合させることが好ましい。
【0017】第2ビニルモノマーは、上記の第1ビニル
モノマーと共重合することによって、レンズに要求され
る諸性能を向上させることを目的とする。第2ビニルモ
ノマーは、その単独重合体の屈折率が1. 55以上を与
えるものが好ましく、特に核ハロゲン置換芳香環を有す
るものが良好である。具体例を挙げると次の通りであ
る。
【0018】スチレン、ジビニルベンゼン、クロロスチ
レン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモス
チレン、ヨードスチレン、フェニル(メタ)アクリレー
ト、モノクロロフェニル(メタ)アクリレート、ジクロ
ロフェニル(メタ)アクリレート、トリクロロフェニル
(メタ)アクリレート、モノブロムフェニル(メタ)ア
クリレート、ジブロムフェニル(メタ)アクリレート、
トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、ベンダブロ
ムフェニル(メタ)アクリレート、モノクロルフェノキ
シエチル(メタ)アクリレート、ジクロルフェノキシエ
チル(メタ)アクリレート、トリクロルフェノキシエチ
ル(メタ)アクリレート、モノブロムフェノキシエチル
(メタ)アクリレート、ジブロムフェノキシエチル(メ
タ)アクリレート、トリブロムフェノキシエチル(メ
タ)アクリレート、ぺンタブロムフェノキシエチル(メ
タ)アクリレート、N−ビニルカルバゾール、2,2−
ビス(4−メタクリロキシエトキシ−3,5−ジブロム
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシ
エトキシ−3,5−ジブロムフェニル)プロパン、2−
(4−メタクリロキシ−3,5−ジブロムフェニル)−
2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロムフェニル)プ
ロパン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレー
ト、トリアリルトリメリテート、ベンジルアクリレート
などである。
【0019】上記のビニル単量体の中でスチレン、クロ
ルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、トリ
ブロモフェニルメタクリレート、トリブロモフェノキシ
エチルメタクリレート、ジビニルベンゼンおよびこれら
の混合物等が特に好ましい。(ア)成分および(イ)成
分の使用量は、(ア)成分中のNCO 基と(ア)成分中の
OH基のモル比率が0. 5〜2. 0になる範囲で選択する
ことが好ましいが、さらに好ましくはNCO/OH=0. 5〜
1. 5である。この範囲外ではレンズの機械的性質や熱
的性質が低下したり、切削加工性、研磨性が不良となる
傾向がある。分子中に芳香環を有する第2ビニルモノマ
ーは総重量中、0〜70重量%の割合で使用することが
好ましいが、反応性、物性に応じて適量使用することが
好ましい。70重量%を越えると、機械的性質や切削加
工性が不良になる傾向がある。
【0020】本発明においては上記第1ビニルモノマー
および第2ビニルモノマー以外に他の重合性モノマーあ
るいはビニル基を含まない水酸基を含有する化合物を2
0重量%以下の割合で共重合すること、あるいは他の重
合体を20重量%以下混合することができる。
【0021】本発明の光学部品用樹脂を用いたプラスチ
ックレンズの製造方法としては、公知の注型重合法が好
ましく用いられる。一実施態様としては、例えば本発明
の(ア)、(イ)成分を混合し、通常の重合開始剤を加
えて、予備的にある程度反応を進行させ(予備重合)、
空気等の溶存ガスを真空脱気した後に、モールドに注入
し、加熱して重合させる。
【0022】加熱温度は最初比較的低温(たとえば40
〜50℃)で反応を行ない、反応の進行とともに温度を
110℃程度まで上昇させて、ゆっくり付加重合させる
ことが、レンズのひずみを少なくさせる点で好ましい。
【0023】重合開始剤としては、公知の各種のものを
使用できるが、所望の反応温度に応じて選択すべきであ
る。たとえば、1,1−アゾビスシクロヘキサンカーボ
ネート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、1,
1’−アゾビスシクロヘキサンナイトレート、ジ−tert
−ブチルパーオキサイドなどが良好である。
【0024】本発明の樹脂を樹脂成分とするプラスチッ
クレンズは、従来のプラスチックレンズに比べて、屈折
率が高くかつ強靱なプラスチックレンズが得られ、か
つ、耐衝撃性がすぐれ、成型重合時の収縮率が比較的小
さい。さらに(メタ)アクリルモノマー、イソシアネー
ト化合物および芳香族ビニルモノマーそれぞれについ
て、適宜に選択することが可能であり、これによって光
学的特性を自由に調整することができ、曲げ弾性にもす
ぐれる。
【0025】これらの樹脂を製造する際、公知の添加
剤、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等を適宜
含んでいてもよい。
【0026】次にオルガノポリシロキサンと微粒子状無
機酸化物とを主成分としてなる被膜であるが、ここでオ
ルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式
(II)で示される有機ケイ素化合物および/またはその
加水分解物を挙げることができる。
【0027】R3 a 4 b SiX4-a-b (II) (ここで、R3 は炭素数1〜10の有機基、R4 は炭素
数1〜6の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、X
は加水分解性基であり、a およびb は0または1であ
る。)具体的な代表例としては、メチルシリケート、エ
チルシリケート、n−プロピルシリケート、i−プロピ
ルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチル
シリケート、およびt−ブチルシリケートなどのテトラ
アルコキシシラン類、およびその加水分解物さらにはメ
チルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、
メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセト
キシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリ
ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルト
リエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビ
ニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキ
シシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ
アセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−ク
ロロプロピルトリアセトキシシラン、γ−メタクリルオ
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、メチルト
リフェノキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラ
ン、クロロメチルトリエトキシシラン、グリシドキシメ
チルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエト
キシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラ
ン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−
グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシド
キシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルト
リエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブ
チルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリ
エトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシ
シラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、
γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリ
シドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシ
ブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルト
リエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシエトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラ
ン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル
トリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、
δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメ
エキシシランなどのトリアルコキシシラン、トリアシル
オキシシランまたはトリフェノキシシラン類またはその
加水分解物およびジメチルジメトキシシラン、フェニル
メチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、
フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジ
エトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メ
タクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ
−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピル
メチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラ
ン、メチルビニルジエトキシシラン、グリシドキシメチ
ルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチル
ジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメ
トキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキ
シシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシ
ラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラ
ン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシ
エトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフ
ェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジア
セトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシ
シランなどのジアルコキシシラン、ジフェノキシシラン
またはジアシルオキシシラン類またはその加水分解物が
その例である。
【0028】これらの有機ケイ素化合物は1種または2
種以上添加することも可能である。特に染色性付与の目
的にはエポキシ基、グリシドキシ基を含む有機ケイ素化
合物の使用が好適であり、高付加価値なものとなる。
【0029】上記の組成物は通常揮発性溶媒に希釈して
液状組成物として塗布される、溶媒として用いられるも
のは、特に限定されないが、使用にあたっては被塗布物
の表面性状をそこなわぬことが要求され、さらには組成
物の安定性、基材に対するぬれ性、揮発性なども考慮し
て決められるべきである。また溶媒は1種のみならず2
種以上の混合物として用いることも可能である。
【0030】さらに、硬度向上、無機酸化物層との密着
性向上、ハードコート層と基材との屈折率を一致させる
ために微粒子状無機酸化物を5重量%以上、80%以下
含むことが好ましい。すなわち、5重量%未満では、B
の多層被膜に強固十分に密着しにくく、80重量%を越
えるとプラスチック透明基体との密着不良、被膜自体に
クラック発生、耐衝撃性低下などの問題を生じる傾向が
ある。
【0031】かかる微粒子状無機酸化物は、塗膜状態で
透明性の良いものであれば特に限定されないが作業性、
透明性付与の点から特に好ましい例としてはコロイド状
に分散したゾルが挙げられる。さらに具体的な例として
は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化
ジルコニウム、酸化セリウム、酸化スズ、酸化ベリリウ
ム、酸化アンチモンのゾルの中から1種以上が選択され
る。微粒子状無機酸化物の選択は、プラスチック透明基
体とハードコート層の屈折率のマッチングをはかるため
の一手段として重要である。例えば、耐熱性プラスチッ
クとしてポリカーボネートを選択した場合、微粒子状無
機酸化物としては、五酸化アンチモン、あるいは酸化チ
タンと酸化セリウムの複合体などの選択が好適である。
プラスチック透明基体とハードコート層の屈折率差を
0.05以内におさえることによって、ハードコート層
の微小膜厚差によって生じる反射干渉縞模様の発生をお
さえ、外観のすっきりした光学部品を得ることができ
る。
【0032】さらには、これらのコーティング組成物の
中には、塗布時におけるフローを向上させる目的で各種
の界面活性剤を使用することも可能であり、特にジメチ
ルポリシロキサンとアルキレンオキシドとのブロックま
たはグラフト共重合体、さらにはフッ素系界面活性剤な
どが有効である。
【0033】さらに耐候性を向上する目的で紫外線吸収
剤、または耐熱劣化向上法として酸化防止剤を添加する
ことも可能である。
【0034】さらに、これらのコーティング組成物中に
は、被膜性能、透明性などを大幅に低下させない範囲で
微粒子状無機酸化物以外の無機化合物なども添加するこ
とができる。これらの添加物の併用によって基材との密
着性、耐薬品性、表面硬度、耐久性、染色性などの諸特
性を向上させることができる。前記の添加可能な無機材
料としては以下の一般式(III )で表される金属アルコ
キシド、キレート化合物および/またはその加水分解物
が挙げられる。
【0035】M(OR4 )m (III ) (ここでR4 はアルキル基、アシル基、アルコキシアル
キル基であり、mは金属Mの電荷数と同じ値である。M
としてはケイ素、チタン、ジルコン、アンチモン、タン
タル、ゲルマニウム、アルミニウムなどである。)本発
明におけるB多層被膜を形成せしめる場合には、硬化促
進、低温硬化などを可能とする目的で各種の硬化剤が使
用可能である。硬化剤としては各種エポキシ樹脂硬化
剤、あるいは各種有機ケイ素樹脂硬化剤などが適用され
る。
【0036】これらの硬化剤の具体的な例としては、各
種の有機酸およびそれらの酸無水物、窒素含有有機化合
物、各種金属錯化合物あるいは金属アルコキシド、さら
にはアルカリ金属の有機カルボン酸塩、炭酸塩などの各
種塩、さらには、過酸化物、アゾビスイソブチロニトリ
ルなどのラジカル重合開始剤などが挙げられる。これら
の硬化剤は2種以上混合して使用することも可能であ
る。これらの硬化剤の中でも本発明の目的には、塗料の
安定性、コーティング後の塗膜の着色防止などの点か
ら、特に下記に示すアルミニウムキレート化合物が有用
である。
【0037】ここでいうアルミニウムキレート化合物と
は一般式AlXn 3-n で示されるアルミニウムキレー
ト化合物である(但し式中、XはOL(Lは低級アルキ
ル基)、Yは一般式M1 COCH2 COM2 (M1 、M
2 はいづれも低級アルキル基)で示される化合物に由来
する配位子、および一般式M3 COCH2 COOM
4(M3 、M4 はいずれも低級アルキル基)で示される
化合物に由来する配位子から選ばれる少なくとも1つで
あり、nは0,1または2である。)。
【0038】AlXn 3-n で示されるアルミニウムキ
レート化合物のうちで、組成物への溶解性、安定性、硬
化触媒としての効果などの観点からして、アルミニウム
アセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセト
アセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムジ
−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アル
ミニウム−ジ−iso−プロポキシド−モノメチルアセ
トアセテートなどが好ましい。これらは2種以上混合し
て使用することも可能である。
【0039】塗布方法としては通常のコーティング作業
で用いられる方法が適用可能であるが、例えば浸漬塗
装、流し塗り法、スピンコート法などが好ましい。この
ようにして塗布されたコーティング組成物は加熱乾燥、
または硬化される。
【0040】加熱方法としては、熱風、赤外線などで行
うことが可能である。また加熱温度は適用される基材お
よび使用されるコーティング組成物によって決定される
べきであるが、通常は室温から250℃、より好ましく
は35〜200℃が使用される。これより低温では硬化
または乾燥が不十分になりやすく、またこれより高温に
なると熱分解、亀裂発生などが起り、さらには黄変など
の問題を生じやすくなる。
【0041】本発明における液状コーティング組成物の
塗布にあたっては、塗布されるべき表面は清浄化されて
いることが好ましく、清浄化に際しては界面活性剤によ
る汚れ除去、さらには有機溶剤による脱脂、フレオンに
よる蒸気洗浄などが適用される。また密着性、耐久性の
向上を目的として各種の前処理を施すことも有効な手段
である。特に好ましく用いられる方法としては、後述の
活性化ガス処理、濃度にもよるが酸、アルカリなどの薬
品処理である。
【0042】本発明におけるオルガノポリシロキサンと
微粒子状無機酸化物とを主成分としてなる被膜の膜厚
は、特に限定されるものではない。しかし、密着強度の
保持、硬度などの点から0.1ミクロン〜20ミクロン
の間で好ましく用いられる。特に好ましくは、0.4ミ
クロン〜10ミクロンである。
【0043】本発明はこれらのA被膜上に少なくとも一
層が酸化チタンを含む層である無機酸化物からなる多層
被膜である反射防止膜を付与するものである。ここで酸
化チタンとはTiO、TiO2 、Ti2 3 、Ti3
5 などである。この反射防止膜は、その少なくとも1層
が酸化チタンを含む層であれば良い。酸化チタンを含む
層とは、酸化チタンとその他の無機酸化物の混合物であ
っても良く、酸化チタンを含むコンポジット膜であって
も良い。ここで混合物の酸化チタン以外の無機酸化物と
はSiO2 、SiO、ZrO2 、Al2 3 、Y
2 3 、Yb2 3 、MgO、Sb2 3 、SnO2
I.T.O.、Ta2 5 、CeO2 、HfO2 、Pr
6 11、MgF2 、Bi2 3 、Cr2 3 、Eu2
3 、Fe2 3 、In2 3 、La2 3 、MoO3
Nd2 3 、PbO、Sm2 3 、Sc2 3 、W
3 、ZnO、AlF3 、BaF2 、CeF3 、CaF
2 、LaF3 、LiF、Na3 AlF6 、Na5 Al3
14、NdF3 、NaF、PbF2 、SmF3 、SrF
2 、ZnS、Ge、Siなどが好ましく用いられる。こ
れらの物質は1種類のみならず2種類以上混合して使用
することも可能である。またコンポジット膜とは等価膜
のことで酸化チタンとその他の層を組合せることで等価
一層を生み出す膜のことで例えば酸化チタンと酸化ケイ
素をある比でこの順で構成する場合などがこれである。
【0044】多層膜とする場合、多層膜における膜構成
の組合せあるいは、膜厚、屈折率の決定などは、プラス
チック基体あるいはハードコート被膜の屈折率によって
最適組合せは決定される。また要求される反射防止特
性、あるいはその他の物理特性、さらには耐久特性など
によっても、その最適な組合せは異なるが、反射防止特
性に関してはすでに多くの組合せが提案されており(光
技術コンタクト Vol 9,No8.17〜23.(1971),'OPTICS OF
THIN FILMS' 159〜283.A.VASICEK(NORTH-HOLLAND PUBL
ISHING COMPANY)AMSTERDAM(1960)) 、本発明においても
これらの組合せを用いることは何ら問題もない。
【0045】また形成に際しては、ハードコート被膜と
その表面の反射防止膜とのの密着性向上のために、表面
処理が施されることが好ましい。ここで表面処理とは、
薬品処理、アルカリ処理、酸素雰囲気中で高周波放電に
よるプラズマ処理、真空中でアルゴンや酸素などのイオ
ンビーム照射による処理、紫外線照射による処理などが
挙げられるが、好ましくは、活性化ガス処理、真空中で
のイオンビーム照射が良い。
【0046】かかる活性化ガス処理とは、常圧、もしく
は減圧下において、生成するイオン、電子あるいは励起
された気体である。これらの活性化ガスを発生させる方
法としては、例えばコロナ放電、減圧下での直流、低周
波、高周波あるいはマイクロ波による高電圧放電などに
よるものである。特に減圧下で高周波放電によって得ら
れる低温プラズマによる処理が再現性、生産性などの観
点から、好ましく使用される。ここで使用されるガス
は、特に限定されるものではないが、具体例としては酸
素、窒素、水素、炭酸ガス、二酸化硫黄、ヘリウム、ネ
オン、アルゴン、フレオン、水蒸気、アンモニア、一酸
化炭素、塩素、一酸化窒素、二酸化窒素などが挙げられ
る。これらは一種のみならず二種以上混合しても使用可
能である。前記の中で好ましいガスとしては、酸素が挙
げられ、空気などの自然界に存在するものであっても良
い。特に好ましくは、純粋な酸素ガスが密着性向上に有
効である。
【0047】次にかかる真空中でのイオンビーム照射と
は、アルゴン、酸素、窒素、あるいはこれらの混合物の
ガスをイオン化してA被膜の表面を処理することであ
る。
【0048】さらには、同様の目的で前記使用に際して
は、処理基材の温度を上げることも可能である。中で
も、活性化ガスによる処理、真空中でのイオンビーム照
射を使用する場合には特に有効である。
【0049】かかる処理の条件決定に関しては、オルガ
ノポリシロキサンを形成せしめる組成物、微粒子状無機
酸化物の種類、硬化条件、その膜厚、染色の有無などに
よって最適化されるべきであり、実験的に定められるべ
きものである。
【0050】本発明において低温高周波プラズマ条件と
しては、減圧し酸素を導入することによって1×10-5
〜1Torrの圧力下にして1〜1000Wの高周波出力を
与えるのが好ましい。さらには、1×10-5〜1×10
-2Torrの圧力下にして10〜300Wの高周波出力を与
えるのが特に好ましい。
【0051】また本発明において真空中でのイオン銃照
射条件としては、カウフマン型のイオン銃を使用した場
合、加速電圧10〜1000V、加速電流1〜500m
Aが好ましく用いられる。イオン電流密度の安定的な取
りだしのためには加速電圧100〜900V、加速電流
10〜200mAが好ましい。
【0052】本発明において、少なくとも1層が酸化チ
タンを含む層である無機酸化物からなる多層被膜である
反射防止膜を設ける方法としては液状コーティングある
いは真空蒸着法、スパッタリング法などのドライコーテ
ィングがあるが、特に多層被膜の緻密性、生産性などの
観点から、真空蒸着法、スパッタリング法などのドライ
コーティングが好ましく使用される。またその際高周波
プラズマ発生下、イオン銃などでイオンアシスト蒸着、
あるいは電圧効果を利用したイオンプレーティングなど
を利用してもまったく構わない。
【0053】本発明における少なくとも1層が酸化チタ
ンを含む層の物理的膜厚は10nm以上が好ましい。ま
た耐光黄変の度合いは該酸化チタンの膜厚に依存し、膜
厚が厚くなればなるほど黄変の度合いが少ない。
【0054】本発明におけるプラスチック透明基体は光
学部品として利用される際コントラスト向上などの目的
で灰色、青色、赤色、黄色、緑色などに着色してもいっ
こうに構わない。その方法としては原着、染色などの方
法が挙げられる。
【0055】本発明によって得られる反射防止性プラス
チック光学部品は、耐光性、および耐候性に優れ、かつ
耐擦過性、耐摩耗性、密着性、染色性に優れ、さらに黄
変、ヘーズによる透明性の低下などがなく、さらに干渉
縞が見えなく外観に優れ、また太陽光などによって黄変
しやすい材料であっても透明性を維持することが可能で
あることから、矯正用レンズ、CRTフィルター、その
他精密機器などとして特に有用である。
【0056】
【実施例】本発明の趣旨を明瞭にするために次の実施例
を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0057】実施例1 (1)コーティング組成物の調整 (a)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン加
水分解物の調整 回転子を備えた反応器にγ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン60.0gを仕込み、液温を10℃に保
ち、マグネチックスターラーで撹拌しながら0.01規
定塩酸水溶液13.7gを徐々に滴下する。滴下終了後
冷却をやめて、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シランの加水分解物を得た。
【0058】(b)コーティング組成物の調整 前記シラン加水分解物に、メタノール102.0g、ベ
ンジルアルコール59.5g、N,N−ジメチルホルム
アミド131.7g、フッ素系界面活性剤0.9g、ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂(シェル化学社製 商品
名 エピコート827)42.5gを添加混合し、さら
にコロイド状五酸化アンチモンゾル(日産化学社製 商
品名 アンチモンゾルA−2550、平均粒子径60μ
m )177.1g、アルミニウムアセチルアセトネート
8.5gを添加し、十分撹拌した後、コーティング組成
物とした。
【0059】(2)透明プラスチック基体の作成 2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネート
ヘキサノエート11.5重量部、および2−(4−アク
リロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)−2−
(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニ
ル)プロパン88. 5重量部に、NCO-OH反応触媒として
ジブチルチンジラウレート0. 001重合部および重合
部開始剤としてジターシャリーブチルパーオキサイド
0. 1重量%を添加し、よく混合した。この混合液は粘
度が高くて均一に混合しにくいので、ジメチルホルムア
ミドの溶媒で希釈して均一に混合した後、溶媒を完全に
除去した。
【0060】この混合液を50℃に加熱して粘度を下
げ、直径100mmのガラス板とポリエチレン製のガスケ
ットで構成されたモールドの中へ注入し、注型重合を行
なった。
【0061】最初60℃で5時間加熱してNCO/OH反応を
完結させ、引き続いて80℃まで上昇させ、80℃から
段階的に120℃まで昇温しながら30時間かけて重合
を行なった。重合終了後、徐々に冷却し、重合体をモー
ルドから離型させた。得られた樹脂は強靱で無色透明で
あり、屈折率nD は1. 61と高く、Abbe数は34であ
った。
【0062】(3)コーティング及びキュア 前記(2) によって得られたプラスチック透明基体に前記
(1) で調整したコーティング組成物を引き上げ速度10
cm/分の条件でプラスチック透明基体に浸漬塗布し、次
いで93℃で12分の予備硬化を行った。その後110
℃で4時間加熱してA被膜を有するプラクチック成型体
を得た。
【0063】 (4)B多層被膜の形成(反射防止膜の形成) 真空蒸着装置(シンクロン株式会社製BMC−800)
を用いて、表1の構成にて真空蒸着で、B多層被膜に相
当する反射防止膜を構成した。
【0064】(a) 排気 前記真空蒸着装置に、(3)で得られたプラスチック透
明基体を投入して30分排気し、真空度を約1×10-5
Torr(1.33×10-3Pa)とした。
【0065】(b) 前処理 カウフマン型のイオン銃を用いて、前記雰囲気下で加速
電圧600V、加速電流120mAの条件で、アルゴン
のイオンビームを1分間照射した。
【0066】(C) 蒸着 温度はマイクロヒータ、ハロゲンヒータ共に60℃に設
定した。光学式膜厚計を用いて膜厚を監視しながら蒸着
した。1層目は酸素を導入して真空度約6×10-5Torr
(7.98×10-3Pa)の条件下で、2層目は酸素を導
入して真空度約8×10-5Torr(1.064×10-2P
a)の条件下で、3層目は真空度約1×10-5Torr
(1.33×10-3Pa)の条件下で蒸着した。
【0067】
【表1】 実施例2 実施例1の(1)から(3)まで全く同様の方法でA被
膜を有するプラクチック成型体を得た。
【0068】B多層被膜の形成は3層目の成膜時にカウ
フマン型のイオン銃を用いて、加速電圧600V、12
0mAの条件で、アルゴンのイオンビームを照射しなが
ら蒸着(イオンアシスト蒸着)する以外はすべて同様な
方法で作成した。
【0069】実施例3 実施例1の(1)から(3)まで全く同様の方法でA被
膜を有するプラクチック成型体を得た。(1)から
(3)までは実施例1に準ずる。
【0070】 (4)B多層被膜の形成(反射防止膜の形成) 真空蒸着装置(シンクロン株式会社製BMC−800)
を用いて、表2の構成にて真空蒸着で、B多層被膜に相
当する反射防止膜を構成した。
【0071】(a) 排気 前記真空蒸着装置に、(3)で得られたプラスチック透
明基体を投入して30分排気し、真空度を約1×10-5
Torr(1.33×10-3Pa)とした。
【0072】(b) 前処理 前記条件下で、酸素を導入し真空度を約1.0×10-4
Torr(1.33×10-2Pa)にした。その条件下で高周
波(13.56MHz)300Wをかけて発生させたプ
ラズマで、(2) で得られた基材の表面を1分間処理し
た。
【0073】(C) 蒸着 温度はマイクロヒータ、ハロゲンヒータ共に60℃に設
定した。光学式膜厚計を用いて膜厚を監視しながら蒸着
した。1層目は酸素を導入して真空度約3×10-5Torr
(3.99×10-3Pa)の条件下で、2層目は酸素を導
入して真空度約8×10-5Torr(1.064×10-2P
a)の条件下で、3層目は真空度約1×10-5Torr
(1.33×10-3Pa)の条件下で蒸着した。
【0074】
【表2】 実施例4〜6 実施例1の(1)から(3)まで全く同様の方法でA被
膜を有するプラクチック成型体を得た。(1)から
(3)までは実施例1に準ずる。
【0075】 (4)B多層被膜の形成(反射防止膜の形成) 真空蒸着装置(シンクロン株式会社製BMC−800)
を用いて、表3〜5(実施例3〜5に対応)の構成にて
真空蒸着で、B多層被膜に相当する反射防止膜を構成し
た。
【0076】(a) 排気 前記真空蒸着装置に、(3)で得られたプラスチック透
明基体を投入して30分排気し、真空度を約1×10-5
Torr(1.33×10-3Pa)とした。
【0077】(b) 前処理 カウフマン型のイオン銃を用いて、前記雰囲気下で加速
電圧600V、加速電流120mAの条件で、アルゴン
のイオンビームを1分間照射した。
【0078】(C) 蒸着 温度はマイクロヒータ、ハロゲンヒータ共に60℃に設
定した。光学式膜厚計を用いて膜厚を監視しながら蒸着
した。1層目は酸素を導入して真空度約3×10-5Torr
(3.99×10-3Pa)の条件下で、2層目は酸素を導
入して真空度約8×10-5Torr(1.064×10-2P
a)の条件下で、3層目は真空度約1×10-5Torr
(1.33×10-3Pa)の条件下で蒸着した。
【0079】
【表3】 比較例1 実施例1の(1)から(3)まで全く同様の方法でA被
膜を有するプラクチック成型体を得た。(1)から
(3)までは実施例1に準ずる。
【0080】(4)反射防止膜の形成 真空蒸着装置(シンクロン株式会社製BMC−800)
を用いて、表6の構成にて真空蒸着で反射防止膜を構成
した。
【0081】(a) 排気 前記真空蒸着装置に、(3)で得られたプラスチック透
明基体を投入して30分排気し、真空度を約1×10-5
Torr(1.33×10-3Pa)とした。
【0082】(b) 前処理 カウフマン型のイオン銃を用いて、前記雰囲気下で加速
電圧600V、加速電流120mAの条件で、酸素のイ
オンビームを1分間照射した。
【0083】(C) 蒸着 温度はマイクロヒータ、ハロゲンヒータ共に60℃に設
定した。光学式膜厚計を用いて膜厚を監視しながら蒸着
した。1層目は酸素を導入して真空度約3×10-5Torr
(3.99×10-3Pa)の条件下で、2層目は真空度約
1×10-5Torr(1.33×10-3Pa)の条件下で、3
層目は真空度約1×10-5Torr(1.33×10-3Pa)
の条件下で蒸着した。
【0084】性能評価 (a)外観 背後に黒布を設置して、蛍光燈の透過光で、透明性、マ
イクロクラックの発生などを観察する。透明性が良く、
マイクロクラックの発生のないものを○とした。
【0085】(b)表面硬さ #0000のスチール・ウールで約1 kg/cm2 の荷重を
かけながら5往復表面擦過して傷の程度を評価する。判
定基準は、 A:全く傷つかない。
【0086】B:少々傷がつく。
【0087】C:たくさん傷がつく。
【0088】(c)密着性 フェザー片刃剃刀で約1mm間隔で碁盤目状に100個ク
ロスハッチを入れる。その後その碁盤目状の表面にセロ
テープ(ニチバン製)を貼りつけ表面から90度の方向
にテープを剥離する。これを3回繰り返す。この時のク
ロスハッチの剥がれなかった個数で評価する。
【0089】(d)耐摩耗性 不織布に、人工汗液(JIS B)の5倍濃縮液を湿ら
せ、2kg重の荷重をかけながら表面を擦る。膜の剥がれ
状態を透過光を用いて観察する。
【0090】(e)全光線透過率と黄色度 デジタルSMカラーコンピュータ(スガ試験機株式会社
製)で全光線透過率と黄色度(YI)を測定した。
【0091】(f)耐候性 屋外に本発明のコーティング面を南面、45°になるよ
うに向け3か月間暴露し、黄色度の変化を追跡した。初
期黄色度との差(△YI)を評価した。
【0092】(g)耐光性 紫外線ロングライフフェードメーターFAー3型(スガ
試験機株式会社製)を用いて照射時間を変化させて黄色
度の変化を追跡した。初期黄色度との差(△YI)を評
価した。上記性能評価に従って実施例1〜6、比較例1
について比較評価を行った結果を表7に示す。表7の結
果より明らかな様に、酸化チタンを含む無機酸化物から
なるB多層被膜を形成することで耐光黄変度、耐候黄変
度に明らかに差が見られ、酸化チタン層を含む無機酸化
物からなる被膜である光学部品実施例1〜6が比較例1
に比べ非常に良い結果をもたらしていることがわかる。
また実施例1〜6の比較より明らかであるように酸化チ
タン層を含む無機酸化物からなる被膜の膜厚が厚くなる
ほどその効果が大きいことがわかる。またこの時、光学
部品特に眼鏡用レンズとして使用される場合に問題とな
る物性項目も十分満たしているため、物性的にも優れた
光学部品と言える。
【0093】
【表4】
【表5】
【0094】
【発明の効果】本発明により、黄色変化しやすいプラス
チック透明基体であっても、太陽光、紫外線などにより
黄色変化ない耐光性、耐候性があり、かつ耐擦過性、耐
摩耗性、密着性、染色性に優れ、さらに黄変、ヘーズに
よる透明性の低下などがなく、さらに干渉縞が見えなく
外観に優れた光学部品を提供できる。そのためプラスチ
ック透明基体の透過率を落とすことなく効率的に光を透
過でき、さらには眼鏡用レンズなどに用いる場合などは
ファッション性に優れる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で示される(メタ)アク
    リルモノマーと多官能イソシアネートとを反応させたウ
    レタン化(メタ)アクリルモノマーをビニル重合して得
    られる重合体から成るプラスチック透明基体上に、下記
    AおよびB被膜がこの順序に積層されてなることを特徴
    とする反射防止性プラスチック光学部品。 【化1】 (ここでR1 、R2 は水素またはメチル基、mとnはそ
    の合計が0〜4である整数、Xは塩素、ヨウ素または臭
    素を表わす。) A.オルガノポリシロキサンと微粒子状無機酸化物とを
    主成分としてなる被膜。 B.少なくとも一層が酸化チタンを含む層である、無機
    酸化物からなる多層反射防止膜。
  2. 【請求項2】該オルガノポリシロキサンが下記一般式
    (II)で示される有機ケイ素化合物および/またはその
    加水分解物を主成分とした組成物の重合体であることを
    特徴とする請求項1記載の反射防止性プラスチック光学
    部品。 R3 a 4 b SiX4-a-b (II) (ここで、Rは炭素数1〜10の有機基、R1 は炭素数
    1〜6の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、Xは
    加水分解性基であり、a およびb は0または1であ
    る。)
  3. 【請求項3】該微粒子状無機酸化物が、A被膜中、5重
    量%以上、80重量%以下含まれることを特徴とする請
    求項1記載の反射防止性プラスチック光学部品。
  4. 【請求項4】該微粒子状無機酸化物が、酸化ケイ素、酸
    化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化
    セリウム、酸化スズ、酸化ベリリウムおよび酸化アンチ
    モンから選ばれる少なくとも1種を含有していることを
    特徴とする請求項1記載の反射防止性プラスチック光学
    部品。
  5. 【請求項5】該多層反射防止膜が、真空蒸着法、スパッ
    タ法およびイオンプレーティング法から選ばれる方法を
    用いて製造されることを特徴とする請求項1記載の反射
    防止性プラスチック光学部品。
  6. 【請求項6】該酸化チタンを含む層の物理的厚さが10
    nm以上である請求項1記載の反射防止性プラスチック光
    学部品。
  7. 【請求項7】該プラスチック透明基体および/またはA
    被膜が着色されたものであることを特徴とする請求項1
    記載の反射防止性プラスチック光学部品。
  8. 【請求項8】該A被膜の屈折率と該プラスチック透明基
    体の屈折率の差が0.05以内であること特徴とする請
    求項1記載の反射防止性プラスチック光学部品。
JP5129579A 1993-05-31 1993-05-31 反射防止性プラスチック光学部品 Pending JPH06337303A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5129579A JPH06337303A (ja) 1993-05-31 1993-05-31 反射防止性プラスチック光学部品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5129579A JPH06337303A (ja) 1993-05-31 1993-05-31 反射防止性プラスチック光学部品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06337303A true JPH06337303A (ja) 1994-12-06

Family

ID=15012955

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5129579A Pending JPH06337303A (ja) 1993-05-31 1993-05-31 反射防止性プラスチック光学部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06337303A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000180604A (ja) * 1998-12-17 2000-06-30 Oputoron:Kk 高屈折率の光学薄膜材料および該材料を用いた光学薄膜
JP2001330706A (ja) * 2000-05-19 2001-11-30 Nof Corp 減反射材およびその用途
JP2006267624A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Matsushita Electric Ind Co Ltd 反射防止構造を有する光学レンズ
JP2006276485A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Matsushita Electric Ind Co Ltd アパーチャ部材、それを備える走査光学系、並びに走査光学系を備える画像読取装置及び画像形成装置
CN111926293A (zh) * 2019-04-26 2020-11-13 佳能株式会社 光学器件及其制造方法
CN112662400A (zh) * 2020-11-03 2021-04-16 河北地质大学 一种蓄能发光材料及其制备方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000180604A (ja) * 1998-12-17 2000-06-30 Oputoron:Kk 高屈折率の光学薄膜材料および該材料を用いた光学薄膜
JP2001330706A (ja) * 2000-05-19 2001-11-30 Nof Corp 減反射材およびその用途
JP2006267624A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Matsushita Electric Ind Co Ltd 反射防止構造を有する光学レンズ
JP2006276485A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Matsushita Electric Ind Co Ltd アパーチャ部材、それを備える走査光学系、並びに走査光学系を備える画像読取装置及び画像形成装置
CN111926293A (zh) * 2019-04-26 2020-11-13 佳能株式会社 光学器件及其制造方法
US11971520B2 (en) 2019-04-26 2024-04-30 Canon Kabushiki Kaisha Optical device and manufacturing method therefor
CN112662400A (zh) * 2020-11-03 2021-04-16 河北地质大学 一种蓄能发光材料及其制备方法
CN112662400B (zh) * 2020-11-03 2023-03-21 河北地质大学 一种蓄能发光材料及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0278060B1 (en) Anti-reflection optical article and process of producing the same
US4895767A (en) Transparent article and process for preparation thereof
JP3510845B2 (ja) 反射防止膜を有する光学部材
US7241472B2 (en) Method for producing antireflection film-coated plastic lens, and antireflection film-coated plastic lens
JPH06331804A (ja) プラスチックレンズ
US10913226B2 (en) Method for manufacturing spectacle lens
JP2000017099A (ja) 薄膜及びそれを利用した反射防止膜
EP3480651A1 (en) Spectacle lens and spectacles
JPH058802B2 (ja)
JPH077123B2 (ja) 透明成形体
JPH06337303A (ja) 反射防止性プラスチック光学部品
JPS6321601A (ja) 反射防止性物品およびその製造方法
JPH0698703B2 (ja) 反射防止性物品およびその製造方法
JP2002129102A (ja) コーティング用組成物及びプラスチック成形物
JP2629813B2 (ja) 低反射透明成形体
JP3353058B2 (ja) 硬化被覆膜を有する光学部材
JP2008033223A (ja) フォトクロミック膜およびそれを有するフォトクロミックレンズ
JPH0512681B2 (ja)
JPH0457711B2 (ja)
JPH06148402A (ja) 紫外線吸収性反射防止膜を有するプラスチック光学物品
JPH0760855A (ja) 反射防止物品
JPH0776048A (ja) 成形体の製造方法
JPH0769481B2 (ja) 高屈折率ハードコート膜
JPH01245062A (ja) コーテイング組成物およびその被膜の設けられたプラスチツク成形品
JPH0735913A (ja) プラスチック光学物品