JPH06335713A - 形鋼の粗圧延機および粗圧延方法 - Google Patents

形鋼の粗圧延機および粗圧延方法

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JPH06335713A
JPH06335713A JP12599193A JP12599193A JPH06335713A JP H06335713 A JPH06335713 A JP H06335713A JP 12599193 A JP12599193 A JP 12599193A JP 12599193 A JP12599193 A JP 12599193A JP H06335713 A JPH06335713 A JP H06335713A
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JP
Japan
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flange
rolling
rolled
arbor
web
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JP12599193A
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Takashi Ochiai
尚 落合
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ウェブ圧下に伴うフランジの肉引きによる被
圧延材の圧延方向のフランジ断面形状のばらつきを減少
させ、寸法精度に優れたフランジを有する形鋼を圧延す
る。 【構成】 アーバ10と、アーバ10に配置された、被圧延
材のフランジ内面およびウェブを圧下し得る断面形状の
凸部12と、アーバ10の回転軸方向に位置調整自在にして
設けられ、被圧延材のフランジ外面を拘束するとともに
フランジ先端を圧下することが可能なスリーブ20、20と
から構成され、凸部12とスリーブ20、20との間に形成さ
れるフランジ造形孔型の幅が可変である圧延ロール30を
用いた形鋼の粗圧延機。この粗圧延機を用い、粗圧延の
各パス毎または数パス毎にフランジ造形孔型幅の変更を
行いながら、凸部12により被圧延材のフランジ内面およ
びウェブを圧下するとともに、スリーブ20、20により被
圧延材のフランジ外面を拘束するとともにフランジ先端
を圧下する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フランジを有する形鋼
の熱間圧延による製造に際し、特に鋳造された素鋼片を
上下2本の圧延ロールを有する二重式の粗圧延機で圧延
してフランジを有する形鋼の粗圧延を行う場合に、被圧
延材の圧延方向の断面形状の変動を抑制するのに有効な
形鋼の粗圧延機および粗圧延方法に関する。
【0002】なお、本明細書における「フランジを有す
る形鋼」には、I形鋼、溝形鋼、等辺山形鋼、不等辺山
形鋼、不等辺不等厚山形鋼、T形鋼さらにはH形鋼等が
包含されるが、便宜上の観点から、H形鋼を例にとって
以降の説明を行う。
【0003】
【従来の技術】H形鋼の圧延による製造では、所定の温
度に加熱されて加熱炉から抽出された粗鋼片に、粗圧延
機により粗圧延(ブレークダウン圧延)が行われ、次い
で粗ユニバーサル圧延機とエッジャー圧延機とによりそ
れぞれ粗ユニバーサル圧延およびエッジャー圧延 (まと
めて「粗成形圧延」という) が行われ、最後に仕上ユニ
バーサル圧延機により所定の製品寸法への仕上ユニバー
サル圧延 (「仕上成形圧延」という) が行われ、所定の
寸法を有するH形鋼が製造される。
【0004】このようなH形鋼の従来の製造工程のうち
の粗圧延では、エッジング圧延において被圧延材にフラ
ンジ膨出部を形成した後、フランジ造形孔型によりウェ
ブの圧下を行ってウェブを延伸するが、ウェブの延伸に
伴ってフランジ部も延伸されてしまうため、フランジか
らウェブへのメタルフローによりフランジ部の断面積が
過度に減少してしまう。そのため、最終製品寸法を考え
た場合、特にフランジ部の幅が圧延方向について部分的
に所定の幅に達しないという問題が生じ、またはフラン
ジ部の角落ちと称される、フランジ角部が直角にならな
い等の問題も発生した。
【0005】このような問題を解決するために、特公平
2−14121 号公報には、フランジ造形孔型の水平方向距
離(以下、「フランジ造形孔型幅」という)を被圧延材
のエッジング圧延の終了後におけるフランジ厚さより少
なくとも10%以上大きく確保し、フランジ造形孔型全幅
がエッジング圧延の終了後におけるウェブ高さとほぼ等
しく形成されるとともに、ウェブ押圧部が幅方向に中央
凸状の緩やかな曲面により形成された成形孔型により被
圧延材のウェブ部を繰り返し圧下することにより、フラ
ンジ部へのメタルフローを確保しつつ圧延を行う方法が
提案されている。
【0006】一方、特開昭57−171501号公報には、フラ
ンジ充満率の変動は被圧延材のフランジ側面が圧延時に
拘束されていないために発生し、このために被圧延材を
誘導するガイド機構も複雑なものにせざるを得ないと考
え、フランジ充満率の変動を解決するために、被圧延材
のフランジに対しては圧延ロールによる変形を加えず、
ウェブ部のみに被圧延材の全断面積に対する非圧下部の
断面積の比が0.6 以上となるように圧下を行う粗圧延方
法が提案されている。ここで、フランジ充満率は、下式
により算出される。
【0007】
【数1】
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来の方法には、いずれも、フランジ充満率の変動、
すなわち圧延の進行に伴うフランジ充満率の低下を生じ
てしまうという問題がある。
【0009】ここに、フランジ充満率が低いということ
は、圧延時にフランジ造形孔型により拘束されていない
部分が大きいことを意味するのであって、結局、被圧延
材の長さ方向の温度のばらつき(焼け具合) 等によりフ
ランジ厚さやフランジ幅といったフランジの寸法や形状
が一定しないことになる。
【0010】このように、フランジ造形孔型の断面積、
および被圧延材のフランジの断面積それぞれの大きさが
著しく異なりフランジ充満率が低下すると、被圧延材の
圧延方向のフランジの断面積が著しく変動し、結果的に
フランジ厚さやフランジ幅の変動が大きくなってしまう
という問題を有している。
【0011】一般的に、エッジング圧延を終了した後、
同一のフランジ造形孔型でウェブのリバース圧延を複数
回行うと、ウェブ厚さとフランジ充満率との関係を表し
たグラフである図1にその傾向を概念的に示すように、
圧下によるウェブの薄肉化に伴ってフランジ充満率が低
下する傾向が見られる。
【0012】したがって、前述の特公平2−14121 号公
報または特開昭57−171501号公報により提案された方法
は、そもそも初期パス時 (粗圧延開始時) においてフラ
ンジ充満率が高くても圧下が進行して粗圧延終了が近づ
くにつれてフランジ充満率が低下する傾向があるにもか
かわらず、一定形状のフランジ造形孔型を用いるため、
圧延の進行につれてフランジ充満率が低下してしまう。
したがって、エッジング圧延の終了時に既にフランジ充
満率を低下させるようなフランジ造形孔型の設計では、
その後に行われるウェブの圧下により圧延方向のフラン
ジの断面積の変動をさらに大きくすることとなり、寸法
精度の優れたフランジを有する形鋼を製造することは難
しく、最終製品の寸法や形状といった製品の品質レベル
を悪化させてしまう。
【0013】ここに、本発明の目的は、ウェブ圧下に伴
うフランジの肉引けによるフランジ充満率の低下を防
ぎ、被圧延材の圧延方向のフランジ断面形状のばらつき
を減少させ、寸法精度に優れたフランジを有する形鋼を
製造できる形鋼の粗圧延機および粗圧延方法を提供する
ことにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】前述のように、形鋼の熱
間圧延による製造では、加熱炉より抽出された粗鋼片は
エッジング圧延およびウェブ圧延よりなる粗圧延を行わ
れ、次いで粗ユニバーサル圧延機とエッジャー圧延機に
より粗成形圧延を行われ、最後に仕上げユニバーサル圧
延機により仕上成形圧延を行われて、最終的に目的の製
品寸法に仕上げられる。
【0015】粗圧延におけるエッジング圧延は所定の一
定の断面形状のフランジ造形孔型を有する粗圧延機を用
いて行われ、その後にウェブ厚さの圧下が行われてい
た。これに対し、本出願人は、このような一定の断面形
状のフランジ造形孔型の代わりにフランジ造形孔型幅が
可変であるエッジヤー圧延機を用いて、フランジ造形孔
型幅をウェブ圧延の進行に応じて適宜変化させることに
よりエッジング圧延の際にフランジ内面およびウェブの
圧下を同時に行う粗圧延を行ったところ、メタルフロー
が安定化して常にフランジの肉引けによる未充満ないし
はフランジ充満率の低下を解消し、被圧延材の圧延方向
におけるフランジ幅の変動を抑制することが可能となる
との知見に基づいて完成した発明を、先に、特願平4−
120675号により提案した。
【0016】この提案にかかる形鋼の粗圧延機とは、略
述すれば、アーバと、アーバの中央部の凸部と、凸部の
両側の2個のスリーブとにより構成され、かつ前記スリ
ーブはアーバの回転軸方向に位置調整自在に配置されて
なる粗圧延機である。しかし、本発明者はさらに鋭意検
討した結果、上記以外にも同様の作用効果を奏すること
ができる粗圧延機に想到して、本発明を完成した。
【0017】ここに、本発明の要旨とするところは、上
下一対の圧延ロールから構成されるフランジを有する形
鋼の粗圧延機であって、圧延ロールは、(i) アーバと、
(ii)アーバに設けられた、被圧延材のウェブを圧下する
とともに被圧延材のフランジ内面を拘束することができ
る断面形状の凸部と、(iii) 凸部の片側または両側のア
ーバに設けられた、被圧延材のフランジ外面を拘束する
とともに被圧延材のフランジ先端を圧下することができ
る断面形状の1本または2本のスリーブとにより構成さ
れ、凸部は、アーバの回転軸方向に分割されるとともに
分割されたそれぞれはアーバの回転軸方向について位置
調整自在に配置される。もちろん、分割された凸部のそ
れぞれのみならず、1本または2本のスリーブもアーバ
の回転軸方向に位置調整自在に配置されていてもよい。
【0018】このようにして、本発明によれば、凸部と
スリーブとの間に形成されるフランジ造形孔型のアーバ
の回転軸方向の距離、すなわちフランジ造形孔型幅が調
整自在の粗圧延機が提供される。
【0019】また、別の面からは、本発明は、上記のい
ずれかの本発明にかかる形鋼の粗圧延機を用い、各パス
毎または数パス毎に、凸部さらには必要に応じてスリー
ブをアーバの回転軸方向に移動させることにより、フラ
ンジ造形孔型幅を調整しながら、凸部により被圧延材の
フランジ内面およびウェブを圧下するとともに、スリー
ブにより被圧延材のフランジ外面を拘束するとともにフ
ランジ先端を圧下することを特徴とする形鋼の粗圧延方
法である。
【0020】本発明における「粗圧延」は、加熱→粗圧
延→粗成形圧延→仕上成形圧延という工程における粗圧
延(いわゆるブレークダウン圧延)をいう。また、本発
明における「フランジを有する形鋼」には、I形鋼、溝
形鋼、等辺山形鋼、不等辺山形鋼、不等辺不等厚山形
鋼、T形鋼さらにはH形鋼等が包含される。
【0021】
【作用】次に、本発明を添付図面を参照してさらに詳細
に説明する。なお、本発明の理解を容易なものとするた
め、まず特願平4−120675号により提案された粗圧延機
を簡単に説明する。
【0022】図2は、特願平4−120675号により提案し
た、上下一対の圧延ロールから構成されるフランジを有
する形鋼の粗圧延機において用いる圧延ロールの構造の
一例の説明図であり、同図には、アーバ10に取付けられ
た、被圧延材のフランジ内面を拘束し得る断面形状の凸
部12と、凸部12の片側または両側 (図示例は両側) のア
ーバ10に取付けられた、被圧延材のフランジ外面を拘束
するとともにフランジ先端を圧下することが可能な1本
または2本のスリーブ20、20 (図示例では2本) とから
構成される圧延ロール30が示される。
【0023】図2に示す圧延ロール30では、アーバ10の
回転軸方向 (図中の一点鎖線と同一の方向) に移動・固
定自在であって被圧延材のフランジ外面を拘束するスリ
ーブ20、20が、凸部12の左右両側に2個設けられてい
る。これらのスリーブ20、20はアーバ10の一般部 (凸部
12の設置部位以外の部位) に挿着されるための内孔を有
する円筒部材である。その外径は、例えば、アーバ10に
取付けられた凸部12よりも大きくてもよい。
【0024】スリーブ20、20をアーバ10の回転軸方向に
対して移動・固定させる手段、つまり位置調整手段は、
例えばネジや油圧を用いた公知の手段によれば容易に実
現できる。ネジを用いた場合を具体的に説明すると、ス
リーブ20の円周上にアーバ10の表面にまで到達するボル
ト孔を螺設しておき、ここにボルトを螺合させることに
よりスリーブ20をアーバ10に固定できる。スリーブ20
は、圧延時に被圧延材である粗鋼片のフランジ外面を拘
束するとともにフランジ先端を圧下するため、これらを
行い得る断面形状とする。
【0025】一方、被圧延材のフランジ内面を拘束する
には、フランジ内面に対応する断面形状の凸部12をアー
バ10に設ける。図示例では、この凸部12はアーバ10本体
と一体的に形成されているが、アーバ10と分離可能であ
ってもよい。凸部12は、圧延時に被圧延材である粗鋼片
のフランジ内面およびウェブを圧下するため、被圧延材
の所望のフランジ内面形状と一致する断面形状を有する
ように構成される。
【0026】以上のような構成を有する圧延ロール30を
上下の圧延ロールとして組み込んだ粗圧延機を用い、粗
圧延の各パス毎または数パス毎に、スリーブ20、20をア
ーバ10の回転軸方向に移動させることにより、フランジ
造形孔型幅を調整しながら、凸部12により被圧延材のフ
ランジ内面およびウェブを圧下するとともに、スリーブ
20、20により被圧延材のフランジ外面を拘束するととも
にフランジ先端を圧下すること、略述すれば、エッジン
グ圧延とウェブ圧延とをフランジ膨出部およびウェブを
それぞれ拘束した状態で同時に行うことにより、フラン
ジ造形孔型に対するフランジ充満率を上昇することがで
きるため、結果的に、寸法精度および形状精度に優れた
粗圧延品 (粗圧延終了時の被圧延材を意味する) の製造
が可能となり、後続する粗ユニバーサル圧延工程および
仕上ユニバーサル圧延工程を経て、寸法精度および形状
精度に優れた形鋼を製造することができる。
【0027】図3は、粗圧延時の状況の説明図である。
同図に示すように、フランジ造形孔型32のフランジ造形
孔型幅をウェブのつけ根側をB、反対側をAとし、平均
フランジ造形孔型幅Kを、K= (A+B) /2とする。
同様に、被圧延材31の平均フランジ厚さGを、G= (a
+b) /2とする。
【0028】さらに、図3において、ウェブ厚さをTw
とした場合、通常、従来のフランジ造形孔型は、途中に
フランジの噛出しを防止するために行うエッジング圧延
を除けば、連続してウェブ厚さTwを薄くする圧延工程
を取り、後段のユニバーサル圧延機及びエッジャー圧延
機からなるユニバーサルミル群に粗圧延品が送られる。
【0029】図4は、図3に示すフランジ造形孔型32、
32により被圧延材31のウェブ厚さが連続的に減少するよ
うに複数パスのリバース圧延を行った場合について、フ
ランジ造形孔型幅が固定されている従来法の場合におけ
る平均フランジ造形孔型幅Kまたは平均フランジ厚さG
とウェブ厚さTwとの関係を示すグラフである。同図に
示すグラフにおける添字1ないし5はリバース圧延の圧
延パス回数を示しており、これは後述する図6において
も同様である。
【0030】このグラフに示された傾向からも分かるよ
うに、ウェブの圧下 (ウェブ厚さTw低下) に伴って、
平均フランジ厚さGは減少するのに対して平均フランジ
造形孔型幅Kは一定であるため、(平均フランジ造形孔
型幅K−平均フランジ厚さG)により与えられるフラン
ジ肉引け量gはウェブの圧下に伴って徐々に拡大されて
しまう。このため、フランジ造形孔型に対して被圧延材
のフランジ充満率が被圧延材の圧延方向に変動し、製品
である形鋼のフランジ厚さおよびフランジ幅それぞれの
寸法精度が悪化してしまうという欠点があった。
【0031】図5は、特願平4−120675号により提案さ
れた粗圧延機による粗圧延中鋼片33の粗圧延の様子を示
す略式断面図であり、図中、矢印はスリーブ20、20それ
ぞれの移動方向を示す。
【0032】同図において、粗圧延中鋼片33はリバース
圧延の各パス毎にウェブ厚さTwばかりでなくフランジ
厚さおよびフランジ幅をそれぞれ圧下するため、エッジ
ング圧延の各パス毎にスリーブ20、20の間の距離を適宜
調整することによりフランジ造形孔型幅Wを調整する。
具体的は、フランジ厚さの低下に伴ってフランジ造形孔
型幅Wを減少するように調整することにより、フランジ
充満率の低下を防いで常に一定のフランジ充満率を確保
することができる。
【0033】このように、特願平4−120675号により提
案された粗圧延機ではスリーブ20、20をアーバ (図示せ
ず) に対して位置調整自在としているが、本発明では、
スリーブ20、20をアーバの回転軸方向に位置調整自在と
する代わりに、凸部12をアーバの回転軸方向に複数に分
割するとともに分割されたそれぞれをアーバの回転軸方
向に位置調整自在とすること、または、スリーブ20、20
および、アーバの回転軸方向に分割された凸部12のそれ
ぞれをアーバの回転軸方向に位置調整自在にすることに
より、フランジ造形孔型幅Wを可変とする。
【0034】以上のように、図2または図5からも分か
るように、本発明にかかる形鋼の粗圧延機に用いる圧延
ロールは、フランジ造形孔型幅Wがエッジング圧延の際
のウェブ圧下のパス毎に適宜調整できるように構成され
ている。
【0035】図6は、フランジ造形孔型により被圧延材
のウェブが連続的に減少するように複数パスのリバース
圧延を行った場合について、リバース圧延時に各パス毎
にフランジ造形孔型幅を調整した場合における平均フラ
ンジ造形孔型幅Kまたは平均フランジ厚さGとウェブ厚
さTwとの関係を示すグラフである。
【0036】図6に示すように、本発明によれば、ウェ
ブの圧下 (ウェブ厚さTwの低下)に伴う平均フランジ
厚さGの減少に応じて平均フランジ造形孔型幅Kを低下
させることにより、フランジ肉引け量gを各圧延パスに
おいて常に一定にすることができる。
【0037】図7は、図4および図6にそれぞれ対応す
るフランジ造形孔型幅が固定された従来の圧延ロール、
またはフランジ造形孔型幅が可変である本発明で用いる
圧延ロールをそれぞれ用いた場合のウェブ圧下に伴うフ
ランジ充満率とウェブ厚さとの関係を示すグラフであ
る。このグラフは、本発明の効果を明瞭にするため、図
4および図6それぞれのグラフに示された結果を、フラ
ンジ充満率を用いて単に書き換えたものであり、本発明
例は実線で、従来例は点線でそれぞれ表されている。
【0038】図7に示すグラフから、本発明によれば、
ウェブ厚さが徐々に低下するエッジング圧延の各段階に
おいて、フランジ充満率を一定化することができること
がわかる。換言すれば、本発明により、特に形鋼の粗圧
延の最終の放しウェブ厚さ(粗圧延終了時のウェブ厚さ
を意味する)を変化させても、フランジ造形孔型幅をそ
れに応じて適宜調整することにより、常にフランジ充満
率に優れた粗圧延品を後続する粗ユニバーサル圧延工程
およびエッジャー圧延工程に送ることが可能となり、そ
の粗圧延の最終ウェブ厚さに依らずにフランジ幅の変動
量が少ない被圧延材を供給することが可能となる。
【0039】以上の説明で参照してきた、フランジ造形
孔型幅が可変の圧延ロールは、一例として、図2に示す
ように、アーバ10に対してスリーブ20、20が位置調整自
在に配置された圧延ロールであり、例えばこれは特願平
2−298050号により提案されているような、エッジャー
圧延機の孔型幅可変の圧延ロールと同一の構造であって
もよい。
【0040】また、本発明で用いる圧延ロールを、フラ
ンジ造形孔型を複数有し、リバース圧延で順次圧延する
粗圧延用の圧延ロールに集約して適用すれば、2つある
いはそれ以上の圧延ロールを必要とする各種のフランジ
造形孔型の数を1つの圧延ロールに集約して小形化する
ことが可能であり、さらには2本あるいはそれ以上必要
である圧延ロールを1本に集約することにより、圧延ロ
ールの保有数削減を図ることもできる。
【0041】本発明では、アーバ10に対して凸部12を分
離可能に設置して、前述のように、凸部12の回転軸方向
の幅を適宜変更可能な構造とする。つまり、凸部12を幅
可変に構成するとともにスリーブ20をアーバ10に固定す
るのである。この場合、凸部12とアーバ10との固定は前
述のスリーブの場合と同様にネジや油圧により行えばよ
い。以下、かかる圧延ロールを用いた本発明にかかる粗
圧延機を詳細に説明する。
【0042】図8は、本発明にかかる上下一対の圧延ロ
ールから構成されるフランジを有する形鋼の粗圧延機に
おいて用いる圧延ロール30の構造の一例の説明図であ
り、同図に示すように、アーバ10に取付けられた、被圧
延材のフランジ内面を拘束し得る断面形状の凸部12と、
凸部12の片側または両側 (図示例は両側) のアーバ10に
取付けられた、被圧延材のフランジ外面を拘束するとと
もにフランジ先端を圧下することが可能な1本または2
本のスリーブ20、20 (図示例では2本) とから構成され
る圧延ロール30が示されており、この例では、凸部12は
アーバ10の回転軸方向 (一点鎖線方向) について2分割
されており、2分割された構成部材である12a 、12b そ
れぞれは、アーバ10の回転軸方向に対して位置調整自在
に設置されており、凸部12の幅が変更自在に構成され
る。なお、スリーブ20、20は図8に示す例ではアーバ10
に固定されているが、前述のようにアーバ10の回転軸方
向に対して位置調整自在に構成してもよい。
【0043】このように、本発明にかかる粗圧延機で
は、(i) 凸部分割・位置調整自在かつスリーブ固定であ
る圧延ロール (図8の圧延ロール) 、および(ii)凸部分
割・位置調整自在かつスリーブ位置調整自在である圧延
ロール (図示せず) を用い、これらのスリーブおよび/
または凸部をアーバの回転軸方向に移動させることによ
りフランジ造形孔型幅を調整して、フランジおよびウェ
ブの圧下を同時に行って、具体的には、前記凸部により
被圧延材のフランジ内面およびウェブの圧下を行い、ま
た前記スリーブにより被圧延材のフランジ外面を拘束す
るとともにフランジ先端を圧下することが可能となる。
【0044】なお、図8に示した圧延ロールを用いた場
合には、図2に示した圧延ロールを用いた場合に比較し
て、フランジの肉引けの程度がさらに緩和されるととも
に、各パス毎のフランジ充満率が図2に示す圧延ロール
を用いた場合よりもさらに上昇し、圧延方向のフランジ
幅およびフランジ厚さそれぞれのバラツキを大幅に低減
することができ、より望ましい。以下、この理由を詳細
に説明する。
【0045】図9は、図8に示す本発明で用いる圧延ロ
ール30において破線で囲まれた部分を圧延時について拡
大して示す説明図であり、符号12a は粗圧延終了時の分
割された凸部の位置を、符号12a'は粗圧延開始時の分割
された凸部の位置をそれぞれ示しており、実線で囲まれ
た符号14は粗圧延終了時の被圧延材の形状を、一点鎖線
で囲まれた符号14' は粗圧延開始時の被圧延材の形状を
それぞれ示す。
【0046】同図に示す圧延ロール30を用いる場合、粗
圧延終了時のフランジ造形孔型幅がWf であるとする
と、エッジング圧延終了後のフランジ造形圧延の初期パ
スの段階では、フランジ造形孔型幅を粗圧延終了時のフ
ランジ造形孔型幅Wf の1.1 倍超であるWs に設定し、
ウェブの連続圧下に伴って分割された凸部を12a'から12
a へと移動させることにより、フランジからウェブへの
メタルフローが大幅に抑制され、被圧延材のフランジの
肉引けによるフランジ充満率の低下を防ぎながら圧延方
向に関するフランジ造形孔型幅の変動が抑制される。
【0047】つまり、形鋼の粗圧延においてウェブ部を
圧延方向に連続的に圧下することによって発生するフラ
ンジの肉引けは、被圧延材の幅方向に関する圧下率分布
の不均一が主因であると考えられる。
【0048】そこで、図8に示す断面形状の圧延ロール
を備えた本発明にかかる粗圧延機では、分割された凸部
それぞれをセンター側に位置させた状態で (図9におけ
る一点鎖線で示す位置) 粗圧延を開始することができる
ため、粗圧延の初期のパスにおける被圧延材の幅方向の
圧下率分布のばらつきが緩和され、フランジのウェブ方
向へのメタルフローが減少するために肉引けの程度が緩
和される。
【0049】また、フランジ造形圧延の初期パスの段階
では、フランジ造形孔型幅を粗圧延終了時のフランジ造
形孔型幅Wf の1.1 倍超であるWS に設定したことと、
その後のウェブ圧下による肉引けに対しては分割された
凸部を被圧延材に接触するように移動することとによ
り、各パス毎のフランジ充満率が従来よりも上昇し、圧
延方向のフランジ幅およびフランジ厚さそれぞれのバラ
ツキが大幅に低減される。
【0050】なお、説明の便宜上、図9と同一の図面を
再度図10として示す。図10における直線l、mは、それ
ぞれスリーブ20のフランジ先端部を通過するとともに凸
部12に接する直線として決定されるものであり、これら
の直線l、mそれぞれの水平方向に対する角度θ1 、θ
2 はフランジ内面角度といい、粗圧延終了時の被圧延材
のフランジ内面がウェブと成す角度である。したがっ
て、図9に示す圧延ロールを用いる場合、分割された凸
部の先端の形状を適宜調整してフランジ内面角度を調整
することにより、圧延時の被圧延材のメタルフローが調
整されるため、さらにフランジ充満率を改善・向上する
ことが可能となる。さらに、本発明を実施例を参照しな
がら詳述するが、これは本発明の例示であり、これによ
り本発明が限定されるものではない。
【0051】
【実施例1】本実施例では、比較例として、加熱炉→粗
圧延 (圧延パス数:5) →粗ユニバーサル圧延+エッジ
ング圧延→仕上げユニバーサル圧延の工程により、H形
鋼を圧延した。
【0052】比較例として粗圧延に用いた粗圧延機は、
図2に示す断面構造を有する圧延ロールを上下ロールと
して用いた粗圧延機であり、フランジ造形孔型幅が可変
である点以外は、公知の粗圧延機と全く同様の構成であ
った。
【0053】結果を表1と、図11のグラフとにより示
す。なお、従来例とは、フランジ造形孔型幅が一定であ
る従来の粗圧延機を用いた圧延方法を意味しており、図
11に示すグラフにおいては、□印は本発明例であり、○
印は比較例であり、△印は従来例である。
【0054】図11のグラフから明らかなように、本発明
によれば、エッジング圧延の開始時から終了時までの全
域において、フランジ充満率を96%程度と常に高く維持
できる。また、表1から、本発明により最終製品のフラ
ンジ幅の寸法精度も大幅に改善されたことが分かる。
【0055】
【表1】
【0056】
【実施例2】図8に示す断面構造を有する圧延ロールを
上下ロールとして用いた粗圧延機を用いて、H500×200
のH形鋼の粗圧延を行い、この粗圧延時のフランジ充満
率を前記式を用いて算出した。また、従来例として、
フランジ造形孔型幅が一定である従来の粗圧延機を用い
て、同様に、粗圧延時のフランジ充満率を測定した。
【0057】なお、本発明にかかる図8に示す断面構造
を有する圧延ロール30を上下ロールとして用いた粗圧延
機では、圧延ロール30の分割された凸部12a 、12b の先
端の形状を適宜調整することにより、フランジ内面角度
を従来の粗圧延機よりも2%大きくした。その結果、本
発明により、図11に示すように、従来よりフランジ充満
率を大きく向上させることができた。
【0058】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
粗圧延時のフランジ充満率がウェブ厚さの圧下に伴うフ
ランジ厚さの低下に依らずに高いレベルで一定に維持す
ることができる。したがって、最終製品のフランジ幅の
寸法精度を著しく改善でき、圧延方向に寸法変動の少な
い非常に高寸法精度を有したフランジを有する形鋼を製
造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウエブ厚さとフランジ充満率との関係を概念的
に示すグラフである。
【図2】特願平4−120675号により提案した、上下一対
の圧延ロールから構成されるフランジを有する形鋼の粗
圧延機において用いる圧延ロールの構造の一例の説明図
である。
【図3】粗圧延時の状況の説明図である。
【図4】図3に示すフランジ造形孔型32、32により被圧
延材31のウェブ厚さが連続的に減少するように複数パス
のリバース圧延を行った場合について、フランジ造形孔
型幅が固定されている従来法の場合における平均フラン
ジ造形孔型幅Kまたは平均フランジ厚さGとウェブ厚さ
Twとの関係を示すグラフである。
【図5】特願平4−120675号により提案された粗圧延機
による粗圧延中鋼片33の圧延の様子を示す略式断面図で
ある。
【図6】エッジング圧延においてフランジ造形孔型によ
り被圧延材のウェブが連続的に減少するように複数パス
のリバース圧延を行った場合について、リバース圧延時
に各パス毎にフランジ造形孔型幅を調整した場合におけ
る平均フランジ造形孔型幅Kまたは平均フランジ厚さG
とウェブ厚さTwとの関係を示すグラフである。
【図7】図4および図6にそれぞれ対応するフランジ造
形孔型幅が固定された従来の圧延ロール、またはフラン
ジ造形孔型幅が可変である本発明で用いる圧延ロールを
それぞれ用いた場合のウェブ圧下に伴うフランジ充満率
とウェブ厚さとの関係を示すグラフである。
【図8】本発明にかかる上下一対の圧延ロールから構成
されるフランジを有する形鋼の粗圧延機において用いる
圧延ロール30の構造の他の一例の説明図である。
【図9】図8に示す本発明で用いる圧延ロール30におい
て破線で囲まれた部分を圧延時について拡大して示す説
明図である。
【図10】図8に示す本発明で用いる圧延ロール30にお
いて破線で囲まれた部分を圧延時について拡大して示す
説明図である。
【図11】実施例1の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10:アーバ 12:凸部 12a 、12a'、12b :分割された凸部の構成部材 14、14' :被圧延材 20:スリーブ 30:圧延ロール 31:被圧延材 32:フランジ造形孔型 33:粗圧延中鋼片

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下一対の圧延ロールから構成されるフ
    ランジを有する形鋼の粗圧延機であって、前記圧延ロー
    ルは、(i) アーバと、(ii)前記アーバに設けられた、被
    圧延材のウェブを圧下するとともに前記被圧延材のフラ
    ンジ内面を拘束することができる断面形状の凸部と、(i
    ii) 前記凸部の片側または両側の前記アーバに設けられ
    た、前記被圧延材のフランジ外面を拘束するとともに前
    記被圧延材のフランジ先端を圧下することができる断面
    形状の1本または2本のスリーブとにより構成され、前
    記凸部は、前記アーバの回転軸方向に分割されるととも
    に分割されたそれぞれは前記回転軸方向について位置調
    整自在に配置されてなることを特徴とする形鋼の粗圧延
    機。
  2. 【請求項2】 さらに、1本または2本の前記スリーブ
    は、前記回転軸方向について位置調整自在に配置されて
    なることを特徴とする請求項1記載の形鋼の粗圧延機。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の粗圧延機
    を用い、各パス毎または数パス毎に前記スリーブまたは
    /および前記凸部をアーバの回転軸方向に移動させるこ
    とにより前記アーバの回転軸方向の距離を調整しなが
    ら、前記凸部により前記被圧延材のフランジ内面および
    ウェブを圧下するとともに、前記スリーブにより前記被
    圧延材のフランジ外面を拘束するとともにフランジ先端
    を圧下することを特徴とするフランジを有する形鋼の粗
    圧延方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106238466A (zh) * 2016-08-27 2016-12-21 济宁市鲁星工程机械有限责任公司 一种轧轮自动调宽装置
CN106238466B (zh) * 2016-08-27 2018-07-17 济宁市鲁星工程机械集团有限公司 一种轧轮自动调宽装置

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