JPH0632145U - 車両用サン・ルーフのデフレクター装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 組付け時のデフレクター本体を、適宜起立角
度の異なる作動姿勢とし、しかも、異音の発生を防いで
品質感の向上を図る。 【構成】 車体のルーフ開口３に、少なくともスライド
開口可能なリッド５を備えたサン・ルーフにおいて、前
記ルーフ開口３に、アーム軸３３を支点としてリッド５
のスライド開口及びスライド全閉に連動して上下動する
左右のデフレクターアーム２５と、デフレクターアーム
２５の先端部に両端支持され、前記デフレクターアーム
２５の上方への動き量に比例して起立角度が制御される
作動姿勢と、倒伏した収納姿勢とに切換可能なデフレク
ター本体２７を設け、前記デフレクターアーム２５側
に、デフレクターアーム２５の上下の動き量を調整する
調整具３６を設けたことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、車両用サン・ルーフのデフレクター装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、ルーフ開口の前端側には、リッドのスライド全開時に、例えば、実開 昭６１−１０８６１６号公報に見られるように車室内への走行風の巻き込みを防 ぐデフレクターが設けられている。

【０００３】 デフレクターの概要は、例えば、図５に示す如くスライド開口可能なリッド１ ０１を備えたルーフ開口１０３の前端側に、左右のデフレクターアーム１０５（ 反対側は図示していない）によって両端支持され、前記デフレクターアーム１０ ５の上下動に連動して倒伏した収納姿勢（鎖線）と、ルーフ開口１０３より上方 に突出する起立した作動姿勢（実線）とに切換可能なデフレクター１０７が設け られ、付勢ばね１０９により反時計方向となる作動姿勢側へ向け付勢されている 。

【０００４】 デフレクターアーム１０５は、板状の付勢ばね１１１により上方、矢印イ方向 へ向けて付勢され、リッド１０１が矢印ロの如く後方へスライド移動する際に、 リッド１０１の押圧部材１１３がデフレクターアーム１０５から離れることで、 デフレクターアーム１０５は押圧力が解除され、上昇する。これにより、デフレ クター１０７は収納姿勢から起立した作動姿勢に切換わる構造となっている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

前記した如くデフレクター１０７は、デフレクターアーム１０５の上方への回 動時に連動して倒伏した収納姿勢から起立した作動姿勢に切換わるものであるが 、組付け時において、デフレクター１０７の立上り量の調節は、調節ねじ１１５ によって行われるようになっている。

【０００６】 調節ねじ１１５は、デフレクター１０７側に設けられ、調節ねじ１１５の先端 はガイドレール１１７の底面と接触しており、調節ねじ１１５の突出量を調整す ることでデフレクター１０７の立上り角度の調節が可能となる。

【０００７】 この場合、調節完了後の調節ねじ１１５は、ガイドレール１１７の底面とメタ ル接触しているため、デフレクター１０７が走行風の影響でばたつくとメタル接 触音等の異音か発生して品質感を損なう問題があった。

【０００８】 この問題を解消する手段として、例えば、メタル接触しないように接触面を弾 性部材等でカバーすることが考えられるが、その分、余分な工数がかかり、組付 工数の面、コストの面においても望ましくない。

【０００９】 そこで、この考案は、簡単な工夫によって異音の発生を抑えるようにした車両 用サン・ルーフのデフレクター装置を提供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するために、この考案は、車体のルーフ開口に、少なくともス ライド開口可能なリッドを備えたサン・ルーフにおいて、前記ルーフ開口に、ア ーム軸を支点としてリッドのスライド開口及びスライド全閉に連動して上下動す る左右のデフレクターアームと、デフレクターアームの先端部に両端支持され、 前記デフレクターアームの上方への動き量に比例して起立角度が制御される作動 姿勢と、倒伏した収納姿勢とに切換可能なデフレクター本体を設け、前記デフレ クターアーム側に、デフレクターアームの上下の動き量を調整する調整具を設け てある。

【００１１】

【作用】

かかるデフレクター装置によれば、組付け時において、調整具により、デフレ クターアームの上下の動き量を調整することで、デフレクター本体は、起立した 作動姿勢の立上り角度の調整が容易に行なえるようになる。

【００１２】 一方、走行風の影響でデフレクター本体がばたついても、その動きはデフレク ターアームの長手方向に沿って伝わるためデフレクターアームの上下方向の動き にはならず、異音の発生が抑えられるようになる。

【００１３】

【実施例】

以下、図１乃至図４の図面を参照しながらこの考案の一実施例を詳細に説明す る。

【００１４】 図中１は車両のルーフを示しており、ルーフ１にはルーフ開口３が設けられて いる。ルーフ開口３にはスライド開閉可能なリッド５が設けられ、リッド５の外 周縁部には、リッド５の全閉時にルーフ開口縁７と弾接してシールを確保するウ ェザーストリップ等のシール部材９が装着されている。

【００１５】 リッド５の両側には前後方向の略全長にわたり取付ブラケット１１が固着され それの前端にはローラー状の押圧体１２が設けられている。取付ブラケット１１ の下位で、前記ルーフ開口３の前端側から両側方にわたって断面チャンネル状の レール部１３を有するガイドレール１５が配置される一方、ルーフ開口３の前端 側領域には車巾方向に長いデフレクター１７が設けられている。

【００１６】 リッド５は、ガイドレール１５のレール部１３，１３に対して前後にスライド 可能な前方の移動シュー１９と後方の移動シュー（図示していない）とによって 支持され、前方の移動シュー１９は支持用となっている。

【００１７】 後方の移動シューは、図示していないが、リッド５の後端側を上下動させる、 いわゆるチルトアップ、チルトダウンを図る昇降機能を備えており、レール部１ ３のガイド孔２１内を走るギヤードケーブル２３によって前後にスライド自在に 制御される駆動用となっている。

【００１８】 一方、デフレクター１７のデフレクター本体２７は、左右一対のデフレクター アーム２５とアーム２５をつなぐ車幅方向に長い板状に形成されている。デフレ クターアーム２５は、リッド５のスライド全閉時において、アーム上面２５ａに 作用する前記押圧体１２により下方へ向け押圧されると共に、基部はガイドレー ル１５に対してビス２９により固着された取付部材３１に、アーム軸３３によっ て回転自在に枢支されている。デフレクターアーム２５には、前記取付部材３１ に固定支持された板状の付勢ばね３５により常時上方へ向けて付勢された付勢力 が与えられている。これにより、デフレクターアーム２５、リッド５の後方への スライド開口時に、押圧体１２により押圧が解除されることで、アーム軸３３を 支点として上方への回動が可能となる。

【００１９】 また、デフレクターアーム２５の基部は、アーム軸３３よりさらに後方へ延長 され、そのアーム延長部２５ｂには、調整具となる調整ねじ３６が螺合し、調整 ねじ３６の先端部は前記取付部材３１の上面に当接している。

【００２０】 したがって、調整ねじ３６を回転させ、ねじ先端部の突出量Ｄを調節すること で、デフレクターアーム２５の先端側は、アーム軸３３を支点とする上方又は下 方への調整量が可能となる。

【００２１】 また、デフレクターアーム２５の先端は、図４に示すように後述するヒンジピ ン３７を中心とする弧上のガイド溝孔３９を内側に有する保持部４１となってい るる。この保持部４１のガイド溝孔３９には、デフレクター本体２７の係合ピン ４３がスライド自在に係合している。

【００２２】 また、デフレクター本体２７の下端側両端にはカール状の屈曲部４７により両 端支持された前記ヒンジピン３７が設けられている。ヒンジピン３７は、ガイド レール１５のレール部１３に固着されたヒンジピン受部材４９に回動自在に枢着 されると共に付勢ばね５１が介装されている。これにより、デフレクター本体２ ７は、常時、反時計方向（図４矢印ハ）へ向けて付勢力が与えられると共にガイ ド溝孔３９の範囲内において係合ピン４３の移動が可能となっている。

【００２３】 このように構成されたデフレクター装置によれば、デフレクター本体２７の組 付け時において、調整ねじ３６を、例えば、右回転させて螺合していけば、ねじ 部の突出量Ｄが大きくなり、デフレクターアーム２５はアーム軸３３を支点とし て下降し、下方への調整が行なえる。この結果、起立角度の小さいデフレクター 本体２７の作動姿勢が得られる。

【００２４】 また、調整ねじ３６を弛める方向へ左回転させれば、ねじ部の突出量Ｄが小さ くなり、デフレクターアーム２５はアーム軸３３を支点として上昇し、上方への 調整が行える。

【００２５】 この結果、起立角度の大きいデフレクター本体２７の作動姿勢（図４鎖線Ｉ） が得られるようになる。

【００２６】 一方、リッド５の全閉時において、押圧体１２によってデフレクターアーム２ ５は下方へ向け押圧され、デフレクター本体２７は図４鎖線IIで示すように倒伏 した収納姿勢の状態となる。

【００２７】 次に、リッド５を後方へ移動し（矢印ニ）スライド開口すると、押圧体１２は デフレクターアーム２５から離れ、押圧を解除する。この結果、付勢ばね３５に よりデフレクターアーム２５は上方へ回動し、デフレクター本体２７は、調整ね じ３６によって設定された起立した作動姿勢（図１実線）が得られる。この作動 姿勢時において、走行風の影響を受けて、デフレクター本体２７がばたついても 、その動きはデフレクターアーム２５の長手方向に沿う動きとなって伝わるため 、デフレクターアーム２５の上下方向の動きにはつながらず調整ねじ３６による 異音の発生は起きない。

【００２８】

【考案の効果】

以上、説明したように、この考案によれば、デフレクターアーム側に設けた調 整具により、組付け時のデフレクター本体を起立角度の異なる作動姿勢に適宜設 定できる。また、デフレクターアームは、デフレクター本体の影響で、大きく上 下動することがないため、調整具による異音の発生を抑えることができるように なり、品質感の向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】リッドの動きとデフレクター本体との動きを示
した説明図である。

【図２】調整具の取付状態を示した要部の拡大切断面図
である。

【図３】デフレクター本体の取付状態を示した分解斜視
図である。

【図４】デフレクター本体の作動姿勢と収納姿勢を示し
た要部の拡大断面図である。

【図５】従来例を示した図１と同様の説明図である。

【符号の説明】

３ ルーフ開口 ５ リッド ２５ デフレクターアーム ２７ デフレクター本体 ３３ アーム軸 ３６ 調整具（調整ねじ）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体のルーフ開口に、少なくともスライ
   ド開閉可能なリッドを備えたサン・ルーフにおいて、前
   記ルーフ開口に、アーム軸を支点としてリッドのスライ
   ド開口及びスライド全閉に連動して上下動する左右のデ
   フレクターアームと、デフレクターアームの先端部に両
   端支持され、前記デフレクターアームの上方への動き量
   に比例して起立角度が制御される作動姿勢と、倒伏した
   収納姿勢とに切換可能なデフレクター本体を設け、前記
   デフレクターアーム側に、デフレクターアームの上下の
   動き量を調整する調整具を設けたことを特徴とする車両
   用サン・ルーフのデフレクター装置。