JPH0631013Y2 - 化粧パネルの取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、コンクリート建造物等の構造躯体の壁面に
配設される化粧パネルの取付構造に関するものである。

〔従来の技術〕

コンクリート建造物等においては、その内外壁にタイル
等の化粧パネルを取り付け美観を高めることが行われて
いる。そして、この化粧パネルの取り付けは、エポキシ
系接着剤やモルタル等を化粧パネルの裏面に塗布して構
造躯体の壁面に直接張り付ける湿式施工や、金具等を用
いて化粧パネルを構造躯体の壁面に直接もしくは間隔を
あけて固定する乾式施工によつて行われている。上記乾
式施工としては、第７図に示すように、化粧パネル１の
四隅に穴部２を予め設けておき、釘３をこの穴部２に挿
通させた状態で構造躯体４に打ち込むことにより化粧パ
ネル１を直接構造躯体４に固定する方法や、第８図に示
すように、取付金具５の一方側を化粧パネル１の端部に
取り付けるとともに、この取付金具５の他方側を釘３で
構造躯体４に固着することにより化粧パネル１を構造躯
体４に固定する方法、または第９図および第１０図に示
すように、構造躯体４の表面に設けた断面形状がＬ字状
の固定用金具６の先端に、上下にピン７が設けられた取
付板８をボルト９およびナツト１０を介して設け、上記
ピン７に、予め端面に係合穴１１が設けられた化粧パネ
ル１の上記係合穴１１を係合させることにより、化粧パ
ネル１を間隔をあけて構造躯体４に固定する方法等があ
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記のうち、湿式施工では、化粧パネル
が構造躯体から剥離しやすい、また、室内と室外との温
度差によつて室内側に結露を生じるという問題がある。
一方、乾式施工のうち、第７図および第８図に示す方法
では、結露を生じるうえ、釘３や取付金具５が表面に露
出するため美観上好ましくないという問題があり、第９
図および第１０図に示す方法では、結露は生じないもの
の、化粧パネル１の取り付けの際に、化粧パネル１を一
枚づつ位置調節し、その状態でボルト９およびナツト１
０を締める等をしなければならず取り付けに多くの手間
がかかるという問題を有している。

この考案は、このような事情に鑑みなされたもので、取
付金具等の取付具が表面に露出せず、施工が容易で、か
つ強固な取り付けができる化粧パネルの取付構造の提供
をその目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、この化粧パネルの取付構造
は、構造躯体の壁面に、断面形状がコ字状でコ字状の開
口両縁部に抜け止め突条が形成された胴縁をその開口を
外側に向けた状態で取り付け、上記構造躯体の壁面に配
設する化粧パネルの裏面のリブ部の端部に、リブ部の根
元側に向かつて開く上下一対のばね部を有する固定部材
を取り付け、その固定部材をばね部の開き力に抗して上
記胴縁内に圧入し、固定部材のばね部の復元力で上記固
定部材を固定するとともに、胴縁のコ字状の開口両縁部
に設けられた抜け止め突条に上記ばね部の先端を係合さ
せ抜け止めしてなるという構成をとる。

〔作用〕

すなわち、この考案の化粧パネルの取付構造は、構造躯
体の壁面に、断面形状がコ字状で、かつそのコ字状の開
口両縁部に抜け止め突条が突設された胴縁を並設してい
るとともに、この構造躯体の壁面に配設する化粧パネル
の裏面のリブ部の端部に、リブ部の根元側に向かつて開
く上下一対のばね部を有する固定部材を取り付けてい
る。そして、上記固定部材をリブ部の端面側とともに胴
縁内に圧入し、固定部材のばね部の復元力で上記リブ部
の固定部材取付部を固定するとともに、ばね部の先端を
胴縁の抜け止め突条に係合させることにより、リブ部の
端面側を胴縁内に固定し化粧パネルを構造躯体の壁面に
配設するようになつている。したがつて、固定部材およ
び胴縁等の取付具が表面に露出せず、取付具により美観
が損なわれるということが防止できる。また、化粧パネ
ルの取り付けが、固定部材を構造躯体の表面に設けられ
た胴縁の開口に位置決めし、その状態で化粧パネルを構
造躯体側に押圧するだけですむため、極めて容易にな
る。さらに、ばね部の復元力よつて、ばね部の先端と胴
縁の抜け止め突条との係合が強固になるため、化粧パネ
ルが構造躯体に、より強固に固定されるようになる。

つぎに、実施例にもとづいてこの考案を詳しく説明す
る。

〔実施例〕

第１図はこの考案の一実施例を示している。すなわち、
図において、１３は表面に模様が形成されたタイル仕上
調の化粧パネルであり、裏面の上下部にリブ部１４（第
２図参照）が縁部に沿つて突設され、縦，横の寸法がそ
れぞれ６００mmに設定されている。１５は上記リブ部１
４の左右両端部に、リブ部１４の上下両表面部を挟持し
た状態で取り付けられた係合用のステンレス製圧入金具
であり、第３図（Ａ）に示すように構成されている。す
なわち、この圧入金具１５では、底板１６の長手方向に
沿う両側から一対の弾性側面部１７が、先端部が互いに
接近するようにして一体的に植設され、底板１６の左右
両端に図示の下方に向けて反つた状態で一対の底ばね１
８が突設されている。上記弾性側面部１７には、中央部
に、上端側が外側に向かつて反つた四角形の弾性片１９
（一方の弾性片は隠れて見えない）が切起し形成されて
いる。また、上記弾性側面部１７の上端縁の左右両側は
上方に少し延設され、その延長部が外側に向かつて反り
返つた曲面部２０に形成されている。そして、上記一対
の弾性側面部１７を工具等を用い、その弾性に抗して互
いに離反するように引つ張つて、一対の弾性側面部１７
間を押し広げ、その間に上記化粧パネル１３のリブ部１
４の端部を挟み込み、ついで上記引張力を解除すること
により、リブ部１４の端部に圧入金具１５を強固に固定
することができる。なお、この場合、弾性側面部１７と
リブ部１４の上下両表面との間に接着剤を介在させるこ
とにより、より強固な取り付けを行いうるようになる。
第１図において、２１は断面形状がコ字状の胴縁であ
り、構造躯体４の壁面に横方向に延びた状態で取り付け
られ、コ字状の内部に、化粧パネル１３のリブ部１４の
圧入金具１５付端面を収容するようになつている。この
状態で、リブ部１４に取り付けられた圧入金具１５の弾
性側面部１７の弾性片１９がそれ自体の弾性で上記胴縁
２１のコ字状の上下両横辺部に圧接し、胴縁２１内に収
容された化粧パネル１３のリブ部１４を上下方向から固
定する。また、圧入金具１５の底板１６の左右両端の底
ばね１８がそれ自体の弾性により胴縁２１のコ字状の縦
辺に圧接し、胴縁２１内に収容された上記リブ部１４の
横方向への移動を阻止する。これにより、上記リブ部１
４は上下，左右方向への移動が阻止され、完全固定され
る。この状態を第３図（Ｂ）に示す。同図では、図示の
都合上、リブ部１４を省略している。上記胴縁２１に
は、コ字状の開口の上下両縁部に抜け止め突条２２が縁
部に沿つて形成されており、この抜け止め突条２２に上
記圧入金具１５の弾性片１９の端部が係合することによ
り化粧パネル１３が固定される。２３は胴縁２１のコ字
状の縦辺から上下に延びる固定部である。なお、上記胴
縁２１は、第４図に示すようにして構造躯体４の壁面に
取り付けられている。第４図において、２４は構造躯体
４の壁面に左右上下所定間隔で配設（１個しか図示して
いない）された固定用のアングルピースであり、底面部
２４ａがアンカーボルト２５によつて構造躯体４の壁面
に固定され、植立部２４ｂの先端側にボルト２６および
ナツト（隠れて見えない）を介して長尺のアングルから
なる支持材２７が上下に延びるようにして並列状態で固
定されている。そして、この上下の延びる複数の支持材
２７に、胴縁２１が水平方向に架け渡され、その固定部
２３がボルト２８によつて、支持材２７に固定されてい
る。なお、この胴縁２１は化粧パネル１３の上部側のリ
ブ部１４に対応する部分にも配設されており、化粧パネ
ル１３の裏面角部４箇所に設けられた圧入金具１５と係
合できるようになつているとともに、さらに複数組みの
胴縁２１が構造躯体４の壁面に沿つて並設され、これら
に複数の化粧パネル１３が配設されている。

上記化粧パネル１３の取り付けに際しては、まず、構造
躯体４の壁面に胴縁２１を所定間隔で配設するととも
に、化粧パネル１３のリブ部１４の上下両表面に接着剤
２９（第１図および第４図参照）を塗布する。ついで、
圧入金具１５の相対峙する弾性側面部１７を相互に外方
向に開き、その状態でリブ部１４の接着剤塗布部分に取
り付け上記開き力を解除し固定する。そして、裏面の四
隅に圧入金具１５が取り付けられた化粧パネル１３を、
第４図に示すように、圧入金具１５を胴縁２１の開口に
位置決めし、その状態で矢印方向に押圧する。その結
果、圧入金具１５が取り付け固定される。これについて
より詳しく述べると、圧入金具１５の弾性片１９は、弾
性変形して胴縁２１の抜け止め突条２２を乗り越え、そ
れによつて圧入金具１５の全体が胴縁２１の凹部に入り
込む。この状態で上記弾性片１９は復元し元の状態に戻
る。その際、圧入金具１５の底ばね１８は断面コ字状の
胴縁２１のコ字状の縦辺に押圧されその反りがなくなり
略平面状に延びた状態（第１図参照）になる。これによ
り、圧入金具１５は、上記底ばね１８および中央部上下
の弾性片１９の弾性力によつて胴縁２１内に強固に固定
されるようになり、その結果、その圧入金具１５が強固
に取り付けられた化粧パネル１３も胴縁２１に強固に取
り付けられるようになる。このようにして、複数の化粧
パネル１３が構造躯体４の壁面の上下左右に順次取り付
けられる。

このように、この取付構造は、化粧パネル１３の裏面に
設けた圧入金具１５を、構造躯体４の壁面に配設した胴
縁２１内に圧入することにより、化粧パネル１３を構造
躯体４の壁面に配設するようになつているため、圧入金
具１５等の取付具が表面に露出せず、取付具により美観
が損なわれるということを防止できる。また、化粧パネ
ル１３の取り付けもワンタツチでできるようになる。さ
らに、上記圧入金具１５は底ばね１８と弾性片１９の弾
性力によつて胴縁２１内に強固に固定されるため、化粧
パネル１３が構造躯体４に強固に固定されるようにな
る。

第５図は、この考案の他の実施例を示している。この化
粧パネルの取付構造においては、圧入金具１５ａに、化
粧パネル１３のリブ部１４を挟持するための一対の弾性
側面部が設けられておらず、接着剤２９によつて底板１
６ａがリブ部１４の端面に接着されているとともに、底
板１６ａの上下両縁部から大型の弾性片１９ａが斜めに
延設されている。それ以外の部分の構成については、上
記実施例と同様であり、同一部分に同一符号を記してい
る。このように構成することにより、圧入金具１５ａの
製造が容易になるとともに、そのリブ部１４への取り付
けも容易になる。その他の作用効果については上記実施
例と同様である。

第６図はこの考案のさらに他の実施例を示している。す
なわち、この取付構造においては、胴縁２１ａが上下方
向に延びるように配設され、木質系化粧パネル１３ａの
リブ部１４ａが木質系になつている。そして、圧入金具
１５ｂの底板１６ｂにねじ穴が設けられ、ねじ３１でね
じ止め固定できるようになつている。これにより接着剤
の使用が不要になる。それ以外の部分の構成について
は、第１図に示す実施例と同様であり、作用効果も同様
である。

〔考案の効果〕

この考案の化粧パネルの取付構造は、以上のように構成
されているため、取付具が表面に露出せず、取付具によ
り美観が損なわれるということを防止できる。また、構
造躯体の表面に設けられた胴縁の開口に化粧パネルのリ
ブ部を位置決めし、その状態で化粧パネルを構造躯体側
に押圧するだけですむため、化粧パネルの取り付けがワ
ンタツチでできるようになる。さらに、弾性片の復元力
によつて、弾性片の先端と胴縁の抜け止め突条との係合
が強くなり、化粧パネルが構造躯体に強固に固定される
ようになる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す縦断面図、第２図は
それに用いる化粧パネルの斜視図、第３図（Ａ）は圧入
金具の斜視図、第３図（Ｂ）はその取付部分を化粧パネ
ル側から透視した部分拡大図、第４図は化粧パネルを構
造躯体に取り付ける状態を説明する縦断面図、第５図は
他の実施例の縦断面図、第６図はさらに他の実施例の取
り付け方法を説明する要部斜視図、第７図は従来例の縦
断面図、第８図は他の従来例の斜視図、第９図はさらに
他の従来例の斜視図、第１０図はその縦断面図である。 ４……構造躯体、１３……化粧パネル、１４……リブ
部、１５……圧入金具、１９……弾性片、２１……胴
縁、２２……抜け止め突条

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】構造躯体の壁面に、断面形状がコ字状でコ
   字状の開口両縁部に抜け止め突条が形成された胴縁をそ
   の開口を外側に向けた状態で取り付け、上記構造躯体の
   壁面に配設する化粧パネルの裏面のリブ部の端部に、リ
   ブ部の根元側に向かつて開く上下一対のばね部を有する
   固定部材を取り付け、その固定部材をばね部の開き力に
   抗して上記胴縁内に圧入し、固定部材のばね部の復元力
   で上記固定部材を固定するとともに、胴縁のコ字状の開
   口両縁部に設けられた抜け止め突条に上記ばね部の先端
   を係合させ抜け止めしてなる化粧パネルの取付構造。