JPH06300719A - 熱電変換特性の測定方法及び装置 - Google Patents

熱電変換特性の測定方法及び装置

Info

Publication number
JPH06300719A
JPH06300719A JP5089639A JP8963993A JPH06300719A JP H06300719 A JPH06300719 A JP H06300719A JP 5089639 A JP5089639 A JP 5089639A JP 8963993 A JP8963993 A JP 8963993A JP H06300719 A JPH06300719 A JP H06300719A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sample piece
thermocouples
temperature
heating
metal body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5089639A
Other languages
English (en)
Inventor
Shoji Tachibana
昇二 橘
Kenichi Hirano
賢一 平野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP5089639A priority Critical patent/JPH06300719A/ja
Publication of JPH06300719A publication Critical patent/JPH06300719A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】試料片の熱電変換特性を正確かつ簡便に測定す
るための新規な測定方法及びその測定に使用される装置
を提供する 【構成】真空を形成し得るチャンバー11内に、絶縁体
層17を表面に有する金属体2よりなる加熱支持面Aと
絶縁体3よりなる非加熱支持面Bとによって試料片の支
持面が構成された試料台、複数対の熱電対6、7およ
び電子束発生装置を有し、該熱電対の一対は、上記加
熱支持面上に、他の熱電対は非加熱支持面上にそれぞれ
上下動可能に配置され、電子束発生装置は、加熱支持
面を構成する金属体2に電子束を照射し得る位置に配置
され、且つ上記加熱支持面上の熱電対と他の熱電対との
間には電圧計12が接続され、各熱電対6、7はそれぞ
れ電圧−温度変換器13、14に接続され、前記支持台
上に置かれた試料片に接触させた上記熱電対間の温度差
と各点における電位差を測定し得るように構成された熱
電変換特性の測定装置を使用して、試料片の高温部側と
低温部側の2点間の電位差と温度差とを測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料片の熱電変換特性
を正確かつ簡便に測定するための新規な測定方法及びそ
の測定に使用される装置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】物質の熱電変換特性の測定方法として、
試料片中に温度が異なる2点を形成し、該2点間の温度
差(△T)と電位差(E)を測定する方法がある。即
ち、かかる温度差及び電位差により物質の熱電変換特性
の指標の一つであるゼーベック係数(S)が次式により
算出される。
【0003】 S(単位;V/KまたはV/℃)=E/△T 上記方法において、比較的試料片に温度が異なる2点を
形成することは、極めて困難であり、かかる技術に対し
て種々の検討が成されている。
【0004】例えば、特開平4−125458号には、
試料片中に温度差を発生させる方法として、試料片の一
端に電熱ヒーター、ペルチエ素子を当接して加熱するこ
とにより高温部を形成する方法が記載されている。
【0005】また、同文献には、試料片の一端に赤外線
ランプを照射して加熱することにより高温部を形成する
方法も記載されている。
【0006】そして、上記方法によって形成された試料
片の高温部と他端の低温部にそれぞれ熱電対端子を接触
させてその間に発生した電位差、即ち熱起電力および温
度差が測定される。
【0007】上記文献によれば、かかる方法によって、
試料片の高温部と低温部とにそれぞれ熱電対の端子を接
触させ、該熱電対の回路を利用してかかる2点間の電位
差、温度差を測定するため、高精度に測定を行うことが
可能であるとされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、試料片
中に温度差を発生させる方法として、試料片の一端に電
熱ヒーター、ペルチエ素子を当接して加熱することによ
り高温部を形成する方法を採用した場合、電熱ヒータ
ー、ペルチエ素子自体の加熱速度が遅く、試料片の一端
を所定の温度に加熱するまでにかなりの時間を要する。
そのため、電位差、温度差の迅速な測定が困難となる。
また、試料の材質、大きさにもよるが、高温部が加熱さ
れるまでに試料片中の熱伝導により、低温側も加熱さ
れ、その結果、高温部と低温部の2点間の温度差を十分
大きくすることが困難となる。従って、試料片内でわず
かな温度差しか発生せず、測定される電位差及び温度差
の精度において未だ改良の余地があった。特に、測定の
対象となる試料の成形性及び焼結性が悪いため、大きな
成形体及び焼結体の作製が困難である場合、或いは熱伝
導性が高い試料片を使用する場合などにおいてかかる問
題が顕著に現れていた。
【0009】また、赤外線ランプを用いて試料片を加熱
する場合においても、上記と同様の問題を有する。即
ち、赤外線ランプによる方法では試料片の加熱効率が悪
く、試料片の加熱速度を十分に上げることができない。
また、加熱効率を上げるために集光ミラーにより集光す
るのが一般的であるが、この場合非常に小さな円板ある
いは細長い角棒状の試料片の測定を行う場合に、集光し
きれない漏れ光が試料片の周辺部、例えば試料片の支持
台などを加熱し、そのため、試料片の加熱を必要としな
い部分までが加熱され、該試料片における高温部と低温
部との温度差の低下を助長する場合があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来の加熱
方式を採用する上記熱電変換特性の測定方法をの問題点
を解決すべく、鋭意研究を行ってきた。
【0011】その結果、試料片の一部に絶縁体層を介し
て金属体を当接し、該金属体を電子束の照射により加熱
して、試料片における非常に狭い範囲の加熱を高速で行
うことによって高温部を形成することにより、低温部と
の温度差を大きく確保することが可能となり、該高温部
と低温部を間にそれぞれ接触させた熱電対によって、そ
の間の電位差、温度差を極めて正確に測定することがで
き、該測定値より試料片のゼーベック係数が極めて正確
に算出し得ることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0012】即ち、本発明は、試料片の一部に絶縁体層
を介して金属体を当接し、該金属体に真空下で電子束を
照射して加熱し、上記試料片の加熱部位および該加熱部
位より離れた部位にそれぞれ熱電対端子を接触させ、該
熱電対端子を接触させた2点間に生じる温度差及び電位
差を測定することを特徴とする熱電変換特性の測定方法
である。
【0013】本発明において、熱電変換特性の測定の対
象となる試料は、試料片に成形可能なものであれば特に
制限されない。一般には、金属、半導体、その他の無機
及び有機の固体材料が挙げられる。そのうち、熱電変換
材料として有望と考えられているのは、半導体あるいは
半導体と他材料との複合材料であり、本発明はかかる材
料の熱電変換特性の測定において好適である。
【0014】上記試料よりなる試料片の形状は特に制限
されないが、絶縁体層を有する金属体への当接、熱電対
の接触を容易にするため、少なくとも2面以上の平らな
面で構成された形状が好ましい。特に、厚さが0.1〜
5mmの板状体が推奨される。
【0015】また、試料片の面積も特に制限されない
が、本発明の方法によれば、熱電対を接触させる高温部
と低温部の距離が8mm以下しか確保できない程度の小さ
い試料片の熱電変換特性の測定においても正確に測定す
ることが可能である。
【0016】本発明において、上記試料片の加熱は、該
試料片の一部、一般には端部に絶縁層を介して金属体を
当接し、該金属体に真空下で電子束を照射することによ
って行われる。
【0017】かかる加熱方法によれば、金属体の昇温速
度が極めて速いので、これに絶縁体層を介して当接され
る試料片の加熱も迅速に行われ、加熱されていない他部
との温度差を大きくすることが可能となる。
【0018】上記金属体としては、電子束の照射により
発熱する金属であれば特に制限なく使用される。特に、
室温における電気抵抗率が1×10-6〜1×10-3Ωc
mの範囲内にある金属体が電子束による発熱効率が高い
ため、本発明において好適である。かかる金属体の材質
を具体的に例示すれば、モリブデン、タングステン、タ
ンタル、ニオブ等の高融点金属、金、銀、白金等の貴金
属、銅、鉄、或いは上記金属を含有する合金などが挙げ
られる。
【0019】また、金属体の表面に形成する絶縁体層
は、金属体に照射した電子束の電子が試料片を通って熱
電対に流れるのを防止するために設けられる。該絶縁体
層の厚みは、電子流れのを実質的に遮断する機能を発揮
する程度の厚みで形成されていれば良い。しかし、絶縁
体層があまり厚い場合は、加熱された金属体の熱からの
伝導を低下させる傾向がある。一般に、絶縁体層の厚み
は、絶縁体の材質に応じて多少の差異はあるが、0.1
〜3mm程度が好適である。
【0020】上記絶縁体層を構成する絶縁体は、公知の
材質のものが特に制限なく使用される。好適に使用され
る絶縁体の材料を例示すれば、窒化アルミニウム等の高
熱伝導性セラミックス、アルミナ、二酸化ケイ素、或い
はこれらを含有する複合セラミックス、表面に0.1〜
3μmの絶縁性皮膜を形成した金属等が挙げられる。中
でも、熱伝導率が高い窒化アルミニウムは、前記試料片
への熱の伝達速度が極めて高く、本発明において特に好
適に使用される。
【0021】試料片を絶縁体層を介して金属体に当接す
る方法は、該試料片の一部、好ましくは端部を含む面が
当接される態様であれば特に制限されない。上記試料片
の端部を含む面が当接されるように試料片を設置する態
様は、加熱される該部位と他端との距離を最大限とるこ
とが可能であり、比較的小さい試料片でも他端との温度
差を十分に確保することが可能である。
【0022】上記試料片を金属体に当接させる面積は、
熱伝導が可能な面積であればよいが、一般には2mm2
上が好ましい。
【0023】また、試料片への熱伝導性を向上させるた
め、試料片は絶縁体層に密接するよう、止め具などの固
定手段により固定することが好ましい。
【0024】本発明において、残留ガスによって電子束
が遮断されるのを防止するため及び試料片、金属体等が
酸化されるのを防止するため、金属体への電子束の照射
は真空下で実施される。かかる真空の度合いは、上記現
象が防止できる範囲を適宜決定すればよいが、一般に
1.3×10-3Pa(パスカル)以下が望ましい。真空
度は市販の真空ゲージと真空計を用いて測定することが
できる。
【0025】本発明において、金属体への電子束の照射
は公知の方法によって実施することができる。例えば、
電子衝撃式加熱装置によって発生する熱電子を金属体に
照射することによって行う方法が代表的である。上記電
子衝撃式加熱装置は、一般に、陰極となるコイル状電線
を含む加熱部、加熱用電源及び温度制御部などから構成
され、これによる金属体の加熱は、該金属体を陽極ある
いはコイル状電線よりも高い電位となるように、導線な
どで加熱用電源と結線することにより行われる。このよ
うにすることにより、熱電子よりなる電子束がコイル状
電線より発生され、高電位の金属体に照射され、その衝
撃によって金属体が加熱される。そして金属体から試料
片に絶縁体層を通して熱伝導が起こり、試料片の金属体
と当接する部位が加熱される。
【0026】また、電子束による金属体の加熱温度は、
熱電変換特性を測定される試料片の高温側の測定温度に
応じて適宜決定される。かかる温度は、一般に50〜1
000℃である。上記加熱温度は、コイル状電線の電
圧、電流、金属体の電位等を制御し、発生する熱電子の
量即ち電子束の量を変化させることによって、自由に制
御できる。尚、高精度のゼーベック係数の測定及び算出
を行うためには、金属体の電気抵抗率が試料片の電気抵
抗率よりも小さくすることが好ましい。
【0027】上記のようにして、試料片の加熱された金
属体と当接する部位は高温部となり、当接しない部位は
低温部となる。そして、これらの部位の間の温度差によ
って、かかる2点間に電位差即ち熱起電力が発生する。
【0028】本発明において、温度差を有する部位の2
点間の温度差及び電位差の測定は、該各部位に熱電対端
子を接触させて行うことができる。
【0029】上記熱電対は、公知のものが特に制限なく
使用される。例えば、日本工業規格で提示されているB
(白金ロジウム合金−白金ロジウム合金)、R(白金ロ
ジウム合金−白金)、S(白金ロジウム合金−白金)、
K(ニッケルクロム合金−ニッケル合金)、E(ニッケ
ルクロム合金−銅ニッケル合金)、J(鉄−銅ニッケル
合金)、T(銅−銅ニッケル合金)などが挙げられ、こ
れらの中より試料片との反応性、熱電対の熱伝導性など
を考慮して最適なものを選択すれば良い。
【0030】また、試料片の高温部及び低温部にそれぞ
れ接触させる2対の熱電対は、測定した電位差を補正す
る必要がないことから同種のものが望ましい。
【0031】更に、正確な温度測定を行うために、試料
片と熱電対端子の接触部に熱伝導性、電気伝導性のよい
銀ペーストなどを塗布することも好ましい態様である。
【0032】上記試料片の高温部と低温部との温度差
(△T)は、各部位にその端子が接触する2対の熱電対
の電気回路をそれぞれ零点補償回路またはそれに相当す
るものを付属した電圧−温度変換器に接続し、測定され
た温度即ちT1(高温部)及びT2(低温部)から算出す
ることができる。
【0033】また、試料片の高温部と低温部との電位差
(E)の測定は、2対のそれぞれの熱電対端子を構成す
る金属線の内、同種類の金属線の間に電圧計を接続して
行うことが好ましい。このとき補償用導線などにより、
熱電対端子の各金属線を電圧−温度変換器と電圧計に同
時に接続しておけば、温度差と電位差の同時測定が可能
である。勿論、各部位に別途金属線を接触させ、これに
電圧計を接続して電位差を測定することも可能である。
【0034】上記のように測定された試料片の高温部と
低温部の各部位間の温度差及び電位差から次式を用いて
ゼーベック係数(S)が算出される。
【0035】S=E/△T (単位;V/K) 本発明の方法を実施するために好適な熱電変換特性の測
定装置をも提供する。
【0036】以下、本発明の装置の代表的な態様の概略
図を示す図1に基づいて説明するが、本発明の測定装置
はかかる図面に記載された態様に限定されるものではな
い。
【0037】本発明の熱電変換特性の測定装置は、真空
を形成し得るチャンバー11内に、絶縁体層17を表面
に有する金属体2よりなる加熱支持面Aと絶縁体3より
なる非加熱支持面Bとによって試料片の支持面が構成さ
れた試料台、複数対の熱電対6、7および電子束発生
装置を有し、該熱電対の一対は、上記加熱支持面上
に、他の熱電対は非加熱支持面上にそれぞれ上下動可能
に配置され、電子束発生装置は、加熱支持面を構成す
る金属体2に電子束を照射し得る位置に配置され、且つ
上記加熱支持面上の熱電対と他の熱電対との間には電圧
計12が接続され、各熱電対6、7はそれぞれ電圧−温
度変換器13、14に接続され、前記支持台上に置かれ
た上記熱電対を接触させた試料片の高温部と低温部の間
の温度差と電位差を測定し得るように構成される。
【0038】本発明の上記装置において、真空を形成し
得るチャンバー11は、使用環境下で強度、耐食性を有
する材質より形成されるものであれば特に制限されな
い。例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金などの金
属合金かまたは同等の強度を有する材質が好適である。
また、チャンバーの大きさは、測定条件下で、支持台、
電子衝撃式加熱装置、熱電対など構成要素のうち、真空
下での使用が必要とされる部分が収納できる大きさとす
るのが一般的である。最適なチャンバーの大きさとして
は、4×104cm3以下の範囲が望ましい。即ち、該容
積より大きな容積を有するチャンバーは、大きな排気ポ
ンプを必要とするばかりでなく、真空を形成するために
長時間を有する。
【0039】上記チャンバー11内を真空とする手段も
特に制限されない。一般には、公知の油回転式ポンプ、
油拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプなど
単独、或いは適宜組み合わせて構成された真空ポンプ1
5をチャンバー11に接続することによりチャンバー内
の排気を行う方法が好適である。
【0040】本発明の装置において、試料台の加熱支
持面Aは、金属体2の表面において、少なくとも試料片
1を当接する部分に絶縁体層17を設けて構成される。
【0041】上記加熱支持面Aと非加熱支持面Bとは、
試料片の形状に応じてその表面形状及び配置を決定する
ことが好ましい。例えば、図に示すように、試料片1が
板状体である場合は、加熱支持面Aと非加熱支持面Bと
は平滑面に形成され且つ同一平面に位置するように配置
される。また、加熱支持面Aと非加熱支持面Bとは、連
続していてもよいが、加熱された金属体2の熱が支持台
を伝わって試料片の加熱が不必要な箇所を加熱するのを
防止するため、試料片1の長さより短い距離で間隔をあ
けて設けることが好ましい。
【0042】また、加熱支持面A及び非加熱支持面Bに
は、試料片1を該面上に抑えつけるための止め具16を
設けることが好ましい。
【0043】本発明の装置において、電子束発生装置
は、上記金属体2に電子束を照射する位置に配置され
る。上記電子束発生装置としては、電子衝撃式加熱装置
が一般に使用される。かかる電子衝撃式加熱装置は、一
般に、陰極となるコイル状電線21を含む加熱部、電源
を含む温度制御部20などから構成され、金属体2は陽
極あるいはコイル状電線よりも高い電位となるように構
成される。この場合、温度制御部20と金属体2とは、
電気的に接続される。かかる接続は、電線により直接結
線するか、或いは支持台を導体で構成し、チャンバー
11と絶縁性を保った状態で該支持台と温度制御部2
0とを結線することなどにより行われる。
【0044】上記電子衝撃式加熱装置を使用し、金属体
2に効率よく電子束を照射するためには、金属体以外の
箇所に電子束が漏れないように、遮蔽板19を設けるこ
とが好ましい。特に、試料片1に漏れた電子束が照射さ
れた場合には、熱電対に電気が流れることがあるため、
試料片の高温部と低温部との間の電位差、温度差に測定
誤差が生じる場合がある。従って、かかる現象を防止す
るためにも遮蔽板19を設けることが好ましい。
【0045】遮蔽板の材質は、その電気抵抗が金属体の
電気抵抗より大きいものであれば特に制限されないが、
そのうち、特に、電子束を反射するものまたは電子束を
殆ど吸収しないものが好適に使用される。好適な材質を
例示すれば、二酸化ケイ素を主成分とするガラス、アル
ミナ等の絶縁体が挙げられる。尚、遮蔽板の材質とし
て、電気抵抗の低い材質を使用した場合には、該遮蔽板
と電子束発生装置及びチャンバーとの絶縁性を保つ必要
がある。
【0046】本発明の装置に用いる熱電対としては、前
記材質の金属線の組み合わせよりなるものが特に制限な
く使用されるが、特に、温度検出部である金属線の溶接
部を除いてアルミナなどの材質の保護管などによって被
覆された構造を有するものが好ましい。
【0047】上記熱電対6、7は、それぞれ独立して或
いは一緒に上下動可能なヘッド18に固定された支持枠
10に保持することによって上下動可能に配置される。
また、必要に応じて、図には示されていないが、それぞ
れの熱電対が独立して横方向に動く機構を支持枠10に
設けてもよい。かかる態様によれば、測定距離、測定箇
所を試料片の大きさ、位置等に応じて熱電対の位置を調
節することができるため好ましい。
【0048】本発明の装置において、熱電対6、7は、
それぞれ独立して電圧−温度変換器13、14に接続さ
れる。また、電圧計12は、測定箇所にそれぞれ接続す
る金属線と接続される。かかる金属線として、それぞれ
の熱電対を構成する金属線の内、同種類の金属線を使用
することによって、熱電対による上記温度差の測定回路
と電位差の測定回路を同時に形成することができ装置の
簡略化を図ることができる。
【0049】本発明の装置において、他の構造は特に制
限されず、本発明の効果を著しく低下させない範囲で種
々の変更が可能である。
【0050】
【発明の効果】以上の説明より理解されるように、本発
明によれば、試料片の一部に絶縁体層を介して金属体を
当接し、該金属体を電子束の照射により加熱することに
より、試料片の非常に狭い範囲の加熱を高速で行うこと
ができ、これによって高温部を形成することにより、該
試料片における低温部との温度差を大きく確保すること
が可能となり、かかる高温部と低温部間の電位差、温度
差を極めて正確に測定することができる。
【0051】従って、試料片として大きな焼結体を作製
する必要がなく、小さい成形体よりなる試料片でも正確
に熱電変換特性の測定を行うことができる。さらには、
試料片及び試料台の周辺部に試料片の低温部の温度を下
げるための冷却水循環などの機構を設けたりする必要が
なくなり、測定装置としても簡便なものである。
【0052】
【実施例】以下、実施例を示すが、本発明はこれらの実
施例に限定されるものではない。
【0053】実施例1 図1に示したように、真空ポンプ15(油回転ポンプ及
びターボ分子ポンプ)に接続されたステンレス鋼製チャ
ンバー11(300mm×300mm×300mm)内
に、上部に窒化アルミニウム(20mm×20mm×厚
さ1mm)よりなる絶縁体層17を設けたモリブデン製
の金属体2(50mm×50mm×厚さ3mm、一部厚
さ2mm)により加熱支持面A、絶縁体3(26mm×
26mm×厚さ3mm)により非加熱支持面Bをそれぞ
れ間隔を開けて形成し、支持台を形成した。電子束発
生装置として、コイル状電線21を含む加熱部及び電
源を含む温度制御部20によって構成される電子衝撃式
加熱装置(助川電気工業(株)社製)を使用した。ま
た、アルミナ製の保護管8及び9によって支持された熱
電対6及び7を支持枠10に上下動可能に取り付けた。
【0054】上記支持台上に、β−FeSi2を主成分
とする焼結体試料片1(直径12mm、厚さ1.5m
m)を、その一端が絶縁体層17によって構成される加
熱支持面Aに重なるように当接し、他端が絶縁体3によ
って構成される非加熱支持面Bに重なるように当接し、
止め具16によって固定した。このとき試料片1の底面
の4割の面積の部分が、加熱支持面に当接するようにし
た。
【0055】チャンバー11の上部外に設けたマイクロ
メーターと接続したヘッド18を通して、保護管8及び
9を支持した支持枠10を降下させ、試料片1の上部に
2対の熱電対6及び7の端子を接触させた。かかる2対
の熱電対端子と試料片1の接触部には銀ペーストを塗布
し、これを乾燥させて導電性及び熱伝導性を向上させ
た。
【0056】2対の熱電対端子の間隔は7mmとし、両
熱電対の中心が試料片1の中心となるようにした。
【0057】チャンバー11内を真空ポンプ15によっ
て、8×10-7Torr以下の真空度になるまでに真空
にひいた後、電子束発生装置のコイル状電線21に通
電し、試料片1を加熱した。このときの出力は約0.5
KWであった。加熱を始めてから3分後、試料片1の低
温部と高温部の温度を零点補償回路付の電圧−温度変換
器13及び14(真空理工(株)社製)によって、2点
間の電位差(絶対値)を電圧計12(キースレー社製)
によって測定を行った結果、それぞれ380℃、400
℃、4.4mVであった。
【0058】同様の測定を5回行い、測定値から計算さ
れる測定温度におけるゼーベック係数の平均値は約22
0μV/K、平均値からのばらつきは±5μV/K以内
であった。
【0059】比較例1 実施例1において、加熱手段を図2に示すように、加熱
支持面を構成する絶縁板25及び該絶縁板の下部に設置
した電熱ヒーター26を設置して構成し、加熱を該電熱
ヒーターの発熱によって実施した以外は、同様の構造を
有する熱電変換特性の測定装置を構成した。尚、電熱ヒ
ーター26はモリブデン製のものを使用した。
【0060】上記装置を使用し、実施例1と同じ試料片
1を同様な真空度において、該試料片の高温部の温度が
400℃となるまで加熱した。かかる温度に達するまで
の時間は10分であり、この時、試料片の低温部の温度
は395℃であった。また、電圧差は1.0mVであっ
た。
【0061】同様の測定を5回行い、測定値から計算さ
れる測定温度におけるゼーベック係数の平均値は約20
0μV/K、平均値からのばらつきは±20μV/Kで
あった。
【0062】比較例2 比較例1の電熱ヒーターによる加熱手段に代えて、図3
に示すように、真空理工(株)社製の点集光型の赤外線
ランプを使用し、チャンバー11の下部面に設けた石英
ガラスよりなる窓30を通して、集光した赤外光を試料
片1の端部の下面に照射し得るように、直径8mmの円
形の穴を有し、且つ表面に絶縁体層17を設けた試料台
33により構成した以外は、同様の構造を有する熱電変
換特性の測定装置を構成した。
【0063】上記装置を使用し、実施例1と同じ試料片
を試料台の穴の中心と試料片の中心が一致するように設
置し、実施例1と同様な真空度において、試料片を加熱
した。このときの出力は約0.4KWであった。加熱を
始めてから15分後、試料片の高温部と低温部の温度及
び電位差を測定した結果、それぞれ400℃、395
℃、1.0mVであった。
【0064】同様の測定を5回行い、測定値から計算さ
れる測定温度におけるゼーベック係数の平均値は約20
0μV/K、平均値からのばらつきは±22μV/Kで
あった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱電変換特性測定装置の代表的な態様
を示す概略図
【図2】電熱ヒーターによる加熱手段を用いた従来の熱
電変換特性測定装置を示す概略図
【図3】赤外線ランプによる加熱手段を用いた従来の熱
電変換特性測定装置を示す概略図
【符号の説明】
1 試料片 2 金属体 3 絶縁体 電子束発生装置 支持台 6 熱電対 7 熱電対 8 保護管 9 保護管 10 支持枠 11 チャンバー 12 電圧計 13 電圧−温度変換器 14 電圧−温度変換器 15 真空ポンプ 16 止め具 17 絶縁体層 18 ヘッド 19 遮蔽板 20 電源を含む温度制御部 21 コイル状電線 25 絶縁板 26 電熱ヒーター 27 電熱ヒーターの電源及び温度制御部 30 窓 31 赤外線ランプの電源及び温度制御部 32 赤外線ランプ 33 試料台 34 穴

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料片の一部に絶縁体層を介して金属体を
    当接し、該金属体に真空下で電子束を照射して加熱し、
    上記試料片の加熱部位及び該加熱部位より離れた部位に
    それぞれ熱電対端子を接触させ、該熱電対端子を接触さ
    せた2点間に生じる温度差及び電位差を測定することを
    特徴とする熱電変換特性の測定方法。
  2. 【請求項2】真空を形成し得るチャンバー内に、絶縁体
    層を表面に有する金属体よりなる加熱支持面と絶縁体よ
    りなる非加熱支持面とによって試料片の支持面が構成さ
    れた試料台、複数対の熱電対及び電子束発生装置を有
    し、該熱電対の一対は、該加熱支持面上に、他の熱電対
    は非加熱支持面上にそれぞれ上下動可能に配置され、電
    子束発生装置は加熱支持面を構成する金属体に電子束を
    照射し得る位置に配置され、且つ上記加熱支持面上の熱
    電対と他の熱電対との間には電圧計が接続され、各熱電
    対はそれぞれ電圧−温度変換器に接続され、前記支持台
    上に置かれた試料片に接触させた上記熱電対間の温度差
    と各点における電位差を測定し得るようにした熱電変換
    特性の測定装置。
JP5089639A 1993-04-16 1993-04-16 熱電変換特性の測定方法及び装置 Pending JPH06300719A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5089639A JPH06300719A (ja) 1993-04-16 1993-04-16 熱電変換特性の測定方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5089639A JPH06300719A (ja) 1993-04-16 1993-04-16 熱電変換特性の測定方法及び装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06300719A true JPH06300719A (ja) 1994-10-28

Family

ID=13976351

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5089639A Pending JPH06300719A (ja) 1993-04-16 1993-04-16 熱電変換特性の測定方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06300719A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004003872A (ja) * 2002-03-26 2004-01-08 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 熱電変換材料の評価方法
JP2004165233A (ja) * 2002-11-11 2004-06-10 National Institute Of Advanced Industrial & Technology ゼーベック係数測定装置
US6902317B2 (en) * 2001-03-16 2005-06-07 Japan Science And Technology Corporation Method and device for measuring thermoelectric characteristics of combinatorial specimen
WO2011101900A1 (ja) * 2010-02-17 2011-08-25 アルバック理工株式会社 熱電変換素子の評価装置及び評価方法
CN106198616A (zh) * 2016-06-30 2016-12-07 上海第二工业大学 同步测试纳米流体传热系数及其对热电发电***发电效率影响规律的***和方法
JP2017040556A (ja) * 2015-08-20 2017-02-23 国立研究開発法人物質・材料研究機構 試料台、熱電特性評価装置、熱電特性を評価する方法、および、電極を評価する方法
JP2020139834A (ja) * 2019-02-28 2020-09-03 オザワ科学株式会社 熱電特性評価ユニット、熱電特性評価装置及び熱電特性評価方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6902317B2 (en) * 2001-03-16 2005-06-07 Japan Science And Technology Corporation Method and device for measuring thermoelectric characteristics of combinatorial specimen
JP2004003872A (ja) * 2002-03-26 2004-01-08 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 熱電変換材料の評価方法
JP2004165233A (ja) * 2002-11-11 2004-06-10 National Institute Of Advanced Industrial & Technology ゼーベック係数測定装置
WO2011101900A1 (ja) * 2010-02-17 2011-08-25 アルバック理工株式会社 熱電変換素子の評価装置及び評価方法
JP5511941B2 (ja) * 2010-02-17 2014-06-04 アルバック理工株式会社 熱電変換素子の評価装置及び評価方法
JP2017040556A (ja) * 2015-08-20 2017-02-23 国立研究開発法人物質・材料研究機構 試料台、熱電特性評価装置、熱電特性を評価する方法、および、電極を評価する方法
CN106198616A (zh) * 2016-06-30 2016-12-07 上海第二工业大学 同步测试纳米流体传热系数及其对热电发电***发电效率影响规律的***和方法
JP2020139834A (ja) * 2019-02-28 2020-09-03 オザワ科学株式会社 熱電特性評価ユニット、熱電特性評価装置及び熱電特性評価方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7106167B2 (en) Stable high temperature sensor system with tungsten on AlN
Martin Apparatus for the high temperature measurement of the Seebeck coefficient in thermoelectric materials
KR102661729B1 (ko) 발열 모듈 및 연기 발생 기기
JPS5915195B2 (ja) 大きな温度勾配を有する熱電装置
KR20150007686A (ko) 열전성능 측정 장치
JPH06300719A (ja) 熱電変換特性の測定方法及び装置
US4787551A (en) Method of welding thermocouples to silicon wafers for temperature monitoring in rapid thermal processing
US5225663A (en) Heat process device
US3337309A (en) Thermoelectric unit comprising intimate layers of gallium-indium alloy and alumina
JP2000074862A (ja) 交流加熱によるゼーベック係数の測定方法およびこれに用いる測定用サンプルの構造
JP3129417B2 (ja) 加熱冷却装置及び電気特性評価装置
JPS6037116A (ja) 光照射炉
Takazawa et al. Efficiency measurement of thermoelectric modules operating in the temperature difference of up to 550K
JPH0552783A (ja) 熱電特性測定装置
JP2912616B1 (ja) 板体加熱装置
CN108886086B (zh) 热电模块发电评价装置
US3569602A (en) Temperature programming apparatus with a heating sensing arrangement
JPH0518913A (ja) 熱起電力の測定方法および装置
JP2006040989A (ja) 半導体素子の熱電特性測定装置
Crucq et al. A new method for the measurement of the thermoelectric power of sintered semiconductors
US3382109A (en) Brazing lead telluride thermoelectric generator elements
KR0139813B1 (ko) 열처리 장치
JP2005056582A (ja) 電子衝撃加熱器の温度制御装置と温度制御方法
Matchanov et al. Output parameters for thermoelectric modules based on metal/Last (T) hot side contacts. Part II.
JPH0718826B2 (ja) 熱伝導率測定方法