JPH0629487Y2

JPH0629487Y2 - エンジンのシリンダブロック補強装置

Info

Publication number: JPH0629487Y2
Application number: JP10137888U
Authority: JP
Inventors: 隆迫野; 康井上; 友久半田
Original assignee: Mazda Motor Corp
Current assignee: Mazda Motor Corp
Priority date: 1988-07-30
Filing date: 1988-07-30
Publication date: 1994-08-10
Anticipated expiration: 2003-07-30
Also published as: JPH0222652U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、各主軸受キャップを一体に連結して主軸受キ
ャップやシリンダブロックスカート部の剛性を高めるよ
うにしたエンジンのシリンダブロック補強装置に関す
る。

（従来技術）自動車用エンジンのシリンダブロックには、通常、下端
部中央の各主軸受部に主軸受キャップが連結され、ま
た、これら主軸受キャップを含むブロック下面全体を覆
うようにオイルパンが取り付けられる。しかし、このよ
うに主軸受キャップを個々に取り付けるようなブロック
構造では、エンジンが高出力化すると、燃焼ガス圧力や
慣性力に対して主軸受キャップやシリンダブロックスカ
ート部の剛性を確保することが難しくなる。そこで、例
えば特開昭６０−２１９４３６号公報に記載されている
ように、各主軸受キャップを一体に連結した形のロアブ
ロックを形成しこれをシリンダブロックの下端に連結す
るようにしたものが提案されている。

ところで、シリンダブロックには、その剛性の確保とい
う課題と平行して、もう一つ、軽量化という重要な課題
があるが、上記公報記載のものを初め従来のロアブロッ
クの構造は、このようなシリンダブロックの剛性の確保
と軽量化の促進という相反する課題を十分に達成し得る
ものではなかった。また、シリンダブロック下端にこの
種のロアブロックを連結する場合、ブローバイガス換気
通路をこのロアブロックの側部を貫通してオイルパン側
に開口するよう設ける必要があるが、そうした場合に、
発進時や登坂時においてオイルパン内の油面の揺動が大
きいと、ブローバイガス換気通路の開口部がオイルによ
って塞がれてしまってブローバイガス換気通路が正常に
機能しなくなるといった問題が生じる。

（考案の目的）本考案は上記問題点に鑑みてなされたものであって、軽
量化を図りつつ、特に主軸受キャップ部の剛性を高める
とともに、油面によるブローバイガス換気通路の閉塞を
防止してブローバイガス換気性能を確保することを目的
とする。

（考案の構成）本考案は、各主軸受キャップを連結した構造のシリンダ
ブロック補強装置の壁部構造を工夫し、特に、円弧状の
底壁と効果的なリブの配置によって上記目的の達成を実
現したものであって、その構成はつぎのとおりである。
すなわち、本考案に係るエンジンのシリンダブロック補
強装置は、各主軸受キャップ部が一体に設けられシリン
ダブロックとオイルパンとの間に連結されるエンジンの
シリンダブロック補強装置において、各主軸受キャップ
部を連結する底壁をクランク軌跡に沿った円弧状形状と
し、該底壁の外周面に、爆発荷重が作用する方向に突出
しかつクランク軸方向に延びるリブを形成するととも
に、前記底壁の外周の外側でかつ前記リブの外側側方の
位置にブローバイガス換気通路の開口部を設け、該開口
部の近傍に位置する部分の前記リブの突出量を他の部分
の突出量より小さくしたことを特徴としている。

（作用）エンジンの爆発荷重やピストンの慣性力はクランク軸を
介し主軸受キャップ部に前後方向（クランク軸方向）の
倒れ振動や、クランク軸を中心とした捩れ、シリンダボ
ア軸心回りの曲げといった変形振動を誘起するような加
振力となって作用するが、主軸受キャップ部は、円弧状
の底壁によって相互に連結され、しかも、該底壁の外周
面には爆発荷重が作用する方向に突出しかつクランク軸
方向に延びるリブが形成されているので、上記のような
倒れ振動や変形振動に対し高い剛性を有する。

また、上記リブは、発進時や登坂時においてオイルパン
内の油面の揺動するとき、堰となって、揺動が大きくな
るのを抑制する。それによって、該リブの外側側方に設
けられたブローバイガス換気通路の開口部がオイルで塞
がれるのが防止される。また、この開口部の近傍におい
てリブの突出量が小さくされていることにより、油面の
全体としての揺動を抑制しながら、油面傾斜時にリブに
よってブローバイガス換気通路とクランク室全体との連
通が遮断されるのを防止することができ、それによっ
て、クランク室全体の換気が確保される。

（実施例）以下、実施例を図面に基づいて説明する。

第１図および第２図は、Ｖ型６気筒エンジンに適用した
本発明の一実施例を示すものであって、第１図は同実施
例のシリンダブロック補強装置の底面図、第２図は第１
図のＡ−Ａ断面図（ただし、オイルパンを取り付けた状
態を示す。）である。

この実施例において、シリンダブロック（図示せず）の
下端面に連結されてシリンダブロック補強装置として機
能するロアブロック１は、鋳鉄製キャップ２を有する複
数の主軸受キャップ部３と、これら主軸受キャップ部３
の側面を連結して内部にクランク室を区画形成する形の
側壁４と、各主軸受キャップ部３間を連結する底壁５と
で形成されている。底壁５は、図示しないクランク軸の
バランサやコネクティングロッド大端部の回転軌跡に沿
った円弧状形状に形成されており、各底壁５の中央には
略矩形の開口６が設けられている。ロアブロック１の側
壁４下端のフランジ部７には、第２図に示すようにオイ
ルパン８が取り付けられる。また、ロアブロック１に
は、各主軸受キャップ部３の対称位置に一対ずつの固定
用ボルト穴９が設けられ、該ボルト穴９の外側には、各
主軸受キャップ部３の連結位置および各連結位置の真ん
中にやや小径の固定用ボルト穴１０が設けられている。
ロアブロック１は、これらボルト穴９，１０を利用して
固定ボルト（図示せず）によりシリンダブロックに結合
される。

ロアブロック１の底壁５の外周面には、下方に突出しか
つクランク軸方向に延びるリブ１１ａ，１１ｂが左右対
称の位置に設けられている。また、ロアブロック１に
は、側壁４の内側に沿って左右一対のブローバイガス換
気通路１２ａが設けられている。この換気通路１２ａ
は、本実施例では新気（スロットル弁上流の吸気）をク
ランク室へ導入する通路である。それらブローバイガス
換気通路１２ａは、底壁５の外周の外側でかつ左右のリ
ブ１１ａ，１１ｂの外側側方の位置に設けられた開口部
１３ａを有している。また、左右一対のリブ１１ａ，１
１ｂには、ブローバイガス通路１２ａの開口部１３ａの
近傍に位置する部分の突出量が他の部分の突出量より小
さくなるよう、くぼみ部１４が形成されている。

ロアブロック１の側壁４の内側に沿った位置にはまた、
左右にオイルリターン通路１２ｂが設けられ、その開口
部１３ｂが形成されている。オイルリターン通路１２ｂ
は、図示しないシリンダヘッドの動弁室のオイルをオイ
ルパン８へ回収する通路である。

この実施例のロアブロック１は、上記のように鋳鉄製の
キャップ２を有する主軸受キャップ部３が側壁４および
底壁５によって連結された一体構造であって、しかも、
クランク軸軌跡を避けるように設けられた底壁５は剛性
の高い円弧状形状となっている。したがって、これら側
壁４と円弧状形状の底壁５とが相互に支持し合って主軸
受キャップ部３の剛性を高め、倒れ振動や捩りあるいは
曲げといった変形振動を低減する。また、左右一対のリ
ブ１１ａ，１１ｂによって、主軸受キャップ部３をはじ
めロアブロック１の剛性が更に高められている。

また、底壁５はそれ自体オイルパン８内のオイルの揺動
を抑止するバッフルとして機能するが、左右一対のリブ
１１ａ，１１ｂが設けられていることによってオイル揺
動抑制の効果は一層大きくなっている。特に、発進時や
登坂時においてオイルの揺動するとき、左右のリブ１１
ａ，１１ｂが堰のような作用をしてオイルを制止する。
そのため、左右のブローバイガス通路１２ａの開口部１
３ａがオイルによって塞がれるのが防止される。また、
ブローバイガス通路１２ａの開口部１３ａに近接する位
置では、リブ１１ａ，１１ｂにくぼみ部１４設けられて
いるので、油面が第２図に仮想線で示す位置まで傾斜し
ても、ブローバイガス換気通路１２ａとリブ１１ａ，１
１ｂの内側とは連通状態に保たれる。したがって、ブロ
ーバイガス通路１２ａから入った新気をオイルパン８内
に導入し、底壁５の開口６を介して各気筒のクランク室
に供給するための通路を十分に確保することができる。

このロアブロック１は上記のように主軸受キャップ部
３，側壁４，円弧状形状の底壁５，リブ１１ａ，１１ｂ
等からなる薄肉の構造であるため、エンジンの重量を増
大させることはない。

なお、本考案はＶ型以外のエンジンに対しても適用する
ことができる。

（考案の効果）本考案は以上のように構成されているので、エンジンの
重量増大を招くことなく主軸受部の剛性を高めることが
でき、しかも、ブローバイガス換気通路を介する新気あ
るいはブローバイガスの流れが油面によって妨げられる
のを防止してブローバイガス換気性能を確保することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るロアブロックの底面
図、第２図は第１図のＡ−Ａ断面図である。１：ロアブロック、２：鋳鉄製キャップ、３：主軸受キ
ャップ部、５：底壁、８：オイルパン、１１ａ，１１
ｂ：リブ、１２ａ：ブローバイガス換気通路、１３ａ：
開口部、１４：くぼみ部。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】各主軸受キャップ部が一体に設けられシリ
ンダブロックとオイルパンとの間に連結されるエンジン
のシリンダブロック補強装置において、各主軸受キャッ
プ部を連結する底壁をクランク軌跡に沿った円弧状形状
とし、該底壁の外周面に、爆発荷重が作用する方向に突
出しかつクランク軸方向に延びるリブを形成するととも
に、前記底壁の外周の外側でかつ前記リブの外側側方の
位置にブローバイガス換気通路の開口部を設け、該開口
部の近傍に位置する部分の前記リブの突出量を他の部分
の突出量より小さくしたことを特徴とするエンジンのシ
リンダブロック補強装置。