JPH06280315A - プレキャストコンクリート部材の接合方法及びその接合部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 容易にプレキャストコンクリート部材同士を
接合する方法及びその接合部材を提供することである。 【構成】 ２つのプレキャストコンクリート柱部材３が
これらに跨がって埋設された連結材２で接続され、該連
結材２が柱主筋３ｅの内側に埋設されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はプレキャストコンクリー
ト部材の接合方法及び接合部材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、極端な人手不足や作業性の効率化
等から建築部材のプレキャスト化が進んでいる。このプ
レキャスト部材において、柱をいわゆるフルプレキャス
トコンクリートとする場合、或はプレキャストコンクリ
ート柱同士を接合する場合は、柱主筋を機械継手もしく
は溶接で接続している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
柱主筋の接合に機械継手を用いる場合は、柱主筋の設計
及び加工段階において寸法の詳細なチェックが必要であ
り、かつ接合部の現場打ちコンクリートの天端の仕上げ
を入念に行う必要があるなど施工的にも精度が必要であ
った。また、この種の機械継手は費用が高く、かつ専門
業者によらなければならないという経済的かつ時間的制
約もあった。本発明は上記のような問題に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、容易にプレキャストコンク
リート部材同士を接合する方法及びその接合部材を提供
することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記のような課題を解決
するための第１発明の要旨は、プレキャストコンクリー
ト部材同士を、これら双方のプレキャストコンクリート
部材内に埋設される連結材を介して接合し、該接合部間
にモルタルを注入してなることに存し、また第２発明の
要旨は、一方のプレキャストコンクリート部材の接合端
部から連結主筋を突設し、また他方のプレキャストコン
クリート部材の接合端部に設けた嵌合孔にはモルタルを
充填し、該嵌合孔に前記連結主筋を嵌入してこれらを接
合することに存する。また第３発明の要旨は、プレキャ
ストコンクリート部材内に埋設されてプレキャストコン
クリート部材を接合するものであり、コンクリート体内
に主筋及び剪断補強筋が配筋されてなることに存する。

【０００５】

【作用】第１発明においては、連結材を介してプレキャ
ストコンクリート部材同士を接合することにより、プレ
キャストコンクリート柱同士の接合及びフルプレキャス
トコンクリート柱の製造を容易に行うことができる。ま
た第２発明においては、一方のプレキャストコンクリー
ト部材の接合端部から連結主筋を突設し、また他方のプ
レキャストコンクリート部材の接合端部に設けた嵌合孔
にはモルタルを充填し、該嵌合孔に前記連結主筋を嵌入
してこれらを接合することにより、前記第１発明と同様
にプレキャストコンクリート柱同士の接合及びフルプレ
キャストコンクリート柱の製造を容易に行うことができ
る。また第３発明における接合部材もプレキャストコン
クリート部材内に埋設されてプレキャストコンクリート
部材を容易に接合する。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図１は、いわゆるフルプレキャストコン
クリート柱１の断面図を示したものであり、これはプレ
キャストコンクリート柱部材３がこれらに跨がって埋設
された連結材２で接続され、該連結材２が柱主筋の内側
に埋設して形成されている。この連結材２は主筋２ａと
せん断補強筋２ｂからなる鉄筋籠２ｃであり、前記主筋
２ａが双方のプレキャストコンクリート柱部材３の柱主
筋３ｅと重ね継手がされている。また、この連結材２は
上記の鉄筋籠２ｃに限らず、図４の（１）及び（２）に
示すような、角型鋼管２ｄ又はＨ型鋼２ｅ、あるいは主
筋とせん断補強筋とを有するプレキャスト製の連結材を
使用することもできる。

【０００７】このフルプレキャストコンクリート柱１の
製造方法は、図５に示すように、接合端部に嵌入孔３ａ
を備えたプレキャストコンクリート柱部材３を製造し、
この嵌入孔３ａに連結材２を嵌入する。そしてこの連結
材２を他方のプレキャストコンクリート柱部材３の嵌入
孔３ａに嵌入し、その接合部にモルタル３ｂを圧入して
接合することにより、フルプレキャストコンクリート柱
１を形成するものである。

【０００８】したがって、本発明の接合方法は上記のよ
うにプレキャストコンクリート柱部材３同士を接合して
行う、フルプレキャストコンクリート柱１の製造の他、
建築躯体の構築におけるプレキャストコンクリート柱１
の組み立て及びプレキャストコンクリート壁の接合にも
使用することができる。

【０００９】また、図６は接合方法の他の実施例を示す
ものであり、一方のプレキャストコンクリート柱部材３
の嵌入孔３ａに予め連結材２を嵌入してモルタル３ｂで
固定しておき、この連結材２を他方のプレキャストコン
クリート柱３の嵌入孔３ａに嵌入し、その接合部にモル
タル３ｂを圧入して接合するものである。

【００１０】さらに、図７は接合方法の他の実施例を示
すものであり、これは接合端部から鉄筋籠３ｃが突設さ
れたプレキャストコンクリート柱部材３を製造し、この
鉄筋籠３ｃにプレキャスト製の連結材２を嵌入すると共
に、該連結材２に他のプレキャストコンクリート柱部材
３の鉄筋籠３ｃを被せ、その接合部をモルタル３ｂ等で
覆って接合するものである。

【００１１】また、図８は第２発明における接合方法の
断面図を示したものであり、一方のプレキャストコンク
リート柱部材３の接合端部から突出した連結主筋３ｄ
が、他方のプレキャストコンクリート柱部材３の嵌合孔
３ａのモルタル３ｂ内に埋設され、かつこれらの接合部
間にモルタル３ｂが流れ出すことにより接続されたもの
である。前記接合端部から突出した連結主筋３ｄは、図
９に示すように、他方のプレキャストコンクリート柱部
材３の柱主筋３ｅの内側に配筋されて重ね継手される。

【００１２】この接合方法は、図１０に示すように、接
合端部から連結主筋３ｄを突設させたプレキャストコン
クリート柱部材３と、接合端部に嵌合孔３ａを備えたプ
レキャストコンクリート柱部材３とを製作し、前記嵌合
孔３ａ内には予めモルタル３ｂを充填しておく。そして
前記連結主筋３ｄは嵌合孔３ａ内に挿入できるように形
成しておく。

【００１３】次に、この嵌合孔３ａのモルタル３ｂ内に
前記連結主筋３ｄを嵌入すると、この連結主筋３ｄの体
積分に相当する量のモルタル３ｂが溢れて接合部間に流
れ出ることにより、これら両プレキャストコンクリート
柱部材３が接合される。また、この第２発明の接合方法
も、前記第１発明と同様にフルプレキャストコンクリー
ト柱の製造の他、建築躯体の構築におけるプレキャスト
コンクリート柱の組み立て及びプレキャストコンクリー
ト壁の接合にも使用することができる。

【００１４】また、図１１はプレキャストコンクリート
柱部材３の柱主筋３ｅの内側に連結主筋３ｄを別途に設
けたものであり、この連結主筋３ｄは図１２に示すよう
に、通常よりも数ランク細径の鉄筋を結束した結束筋４
を用いることもできる。また図１３は、嵌入孔３ａを連
結主筋３ｄが嵌入される必要幅だけ形成したものであ
り、（１）は前記連結主筋３ｄを通常の主筋とし、
（２）は細径の鉄筋を結束した結束筋４としたものであ
る。

【００１５】また、図１４は第３発明のプレキャストコ
ンクリート部材の接合部材５を示したものであり、これ
はコンクリート体６内に主筋６ａと剪断補強筋６ｂとが
配筋して形成されている。この接合部材５の形状は接合
されるプレキャストコンクリート部材に応じて決定され
るものであり、例えば、図１４の接合部材５はプレキャ
ストコンクリート柱の接合に使用されるものであり、図
１５の接合部材５はプレキャストコンクリート壁の接合
に使用されるものである。

【００１６】そして、この接合部材５の使用方法は、プ
レキャストコンクリート柱の接合に使用される場合は、
図５、図６及び図７に示した第１発明と同様の方法で使
用されるものである。

【００１７】また図１６は、プレキャストコンクリート
壁７の接合に使用したものであり、この場合も前記プレ
キャストコンクリート柱の接合と同じ方法で行われる。

【００１８】

【発明の効果】柱のフルプレキャスト化やプレキャスト
コンクリート壁の接合が機械継手を使用せずに行うこと
ができるので、コストの低減、施工性の向上及び専門業
者の省力化を図ることができる。

【００１９】脚のヒンジ領域での鉄筋継手がなくなるの
で１階柱にも用いることができる。

【００２０】応力の大きな柱脚部分を除いた、応力の小
さなところにおいて、構造上及び施工上において合理的
な柱の組み立てを行うことができる。

【００２１】本発明の接合部材を使用することにより、
プレキャストコンクリート柱やプレキャストコンクリー
ト壁の接合が容易にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】プレキャストコンクリート柱部材の接合状態を
示す透視図である。

【図２】図１のａ−ａ線断面図である。

【図３】（１）は連結材の正面図、（２）は同平面図で
ある。

【図４】（１）及び（２）は他の連結材の平面図であ
る。

【図５】（１）、（２）、（３）はプレキャストコンク
リート柱部材の接合方法を示す透視図である。

【図６】プレキャストコンクリート柱部材の他の接合方
法を示す透視図である。

【図７】（１）、（２）、（３）はプレキャストコンク
リート柱部材の他の接合方法を示す透視図である。

【図８】第２発明におけるプレキャストコンクリート柱
部材の接合状態を示す透視図である。

【図９】図８のｂ−ｂ線断面図である。

【図１０】連結主筋を嵌合孔内に嵌入する状態を示す透
視図である。

【図１１】他の連結主筋を突設したプレキャストコンク
リート柱部材の透視図である。

【図１２】結束筋を嵌合孔に嵌入した断面図である。

【図１３】（１）及び（２）は嵌合孔の他の実施例を示
す断面図である。

【図１４】（１）は接合部材の透視図、（２）は同断面
図である。

【図１５】（１）は他の接合部材の透視図、（２）は同
断面図である。

【図１６】接合部材をプレキャストコンクリート壁の接
合に使用した透視図である。

【符号の説明】

１ プレキャストコンクリート柱 ２ 連結材 ２ａ、６ａ 主筋 ２ｂ、６ｂ 剪断補強筋 ３ プレキャストコンクリート柱部材 ３ａ 嵌合孔 ３ｂ モルタル ３ｅ 柱主筋 ６ コンクリート体

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プレキャストコンクリート部材同士を、
   これら双方のプレキャストコンクリート部材内に埋設さ
   れる連結材を介して接合し、該接合部間にモルタルを注
   入してなることを特徴とするプレキャストコンクリート
   部材の接合方法。
2. 【請求項２】 一方のプレキャストコンクリート部材の
   接合端部から連結主筋を突設し、また他方のプレキャス
   トコンクリート部材の接合端部に設けた嵌合孔にはモル
   タルを充填し、該嵌合孔に前記連結主筋を嵌入してこれ
   らを接合することを特徴とするプレキャストコンクリー
   ト部材の接合方法。
3. 【請求項３】 プレキャストコンクリート部材内に埋設
   されてプレキャストコンクリート部材を接合するもので
   あり、コンクリート体内に主筋及び剪断補強筋が配筋さ
   れてなることを特徴とするプレキャストコンクリート部
   材の接合部材。