JPH06279752A

JPH06279752A - パッキン材料

Info

Publication number: JPH06279752A
Application number: JP5068363A
Authority: JP
Inventors: Takahisa Ueda; 隆久上田; Tomiichi Shiomi; 富一塩見
Original assignee: Nippon Pillar Packing Co Ltd
Current assignee: Nippon Pillar Packing Co Ltd
Priority date: 1993-03-26
Filing date: 1993-03-26
Publication date: 1994-10-04

Abstract

(57)【要約】【目的】補強材で被覆した膨張黒鉛製基材の編組時あ
るいはひねり加工時における亀裂損傷を防止するととも
に、耐食性および封止性も早期に低下しないようにす
る。【構成】膨張黒鉛から形成してなる基材(1),(18),(2
1),(24),(25),(26),(27)の表面を補強材(2),(22),(28)
にて被覆してなるもので、上記基材は、膨張倍率が４０
倍以上の膨張黒鉛が使用されているとともに、黒鉛含有
率が９０重量％以上で、かつ密度が０．３ｇ／ｃｍ³以
上にされている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、流体機械の軸封部など
に使用するグランドパッキンの構成材料として用いられ
るパッキン材料に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、パッキン材料、たとえば編組ある
いはひねり加工してグランドパッキンを形成するパッキ
ン材料として、脱アスベスト化を図るために、耐熱性お
よび封止性に優れた膨張黒鉛シートを基材として使用
し、この膨張黒鉛シートの引張強さが弱く脆弱な点を是
正するために、膨張黒鉛シートからなる基材の外周を、
各種繊維からなる補強材で被覆する構成が採られてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記基材を
構成する膨張黒鉛シートは、周知のように隣片状の天然
黒鉛を芋虫状に膨張させた上、この膨張黒鉛をシート状
に成形するものであるが、この膨張黒鉛シートを基材と
して用いた上記従来のパッキン材料においては、編組
時、どうしても補強材だけでなく、上記基材へも比較的
大きな引張り力が加わるため、上記基材に亀裂等が生じ
てしまうケースが比較的多くあった。また、従来のパッ
キン材料の基材には、その膨張黒鉛中に灰分や残留硫黄
分などの不純物が多く含有しているため、この多くの不
純物により膨張黒鉛粒子相互間の物理的吸着力が弱めら
れ、これも基材の引張り強さを低下させる原因になって
いるとともに、この多くの不純物が酸化するために、基
材の腐食が早期に進行し、パッキン材料の耐食性および
封止性が早期に低下してしまう問題が発見された。

【０００４】本発明は上記のような実情に鑑みてなされ
たもので、補強材で被覆した膨張黒鉛製基材の編組時あ
るいはひねり加工時における亀裂損傷を防止するととも
に、耐食性および封止性も早期に低下しないようにする
ことができるパッキン材料を提供することを目的として
いる。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るパッキン材料は、膨張黒鉛から形成し
てなる基材と、この基材の表面を被覆する補強材とを備
え、上記基材は、膨張倍率が４０倍以上の膨張黒鉛が使
用されているとともに、黒鉛含有率が９０重量％以上
で、かつ密度が０．３ｇ／ｃｍ³以上にされているもの
である。

【０００６】

【作用】上記構成のパッキン材料によれば、膨張倍率が
４０倍以上の膨張黒鉛から形成した基材を使用している
から、膨張黒鉛粒子相互間に十分な物理的吸着力が作用
することになり、また、黒鉛含有率が９０重量％以上で
あるから、灰分などの不純物による悪影響、つまり膨張
黒鉛粒子相互間の物理的吸着力が大幅に低下してしまう
点も改善され、さらに、多くの不純物が酸化することに
よって基材が早期に腐食してしまうことも抑制されて、
パッキン材料の長期の耐食性および封止性の向上が図れ
る。また、膨張黒鉛から形成した基材が０．３ｇ／ｃｍ
³以上の密度に設定されているから、上記膨張黒鉛粒子
相互間の物理的吸着力が十分になるとともに、使用状態
での形崩れなどのおそれもなくなる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面にもとづいて説
明する。図１は本発明の一実施例によるパッキン材料を
示す斜視図である。

【０００８】図１において、１は膨張黒鉛から形成した
基材、２はその基材１の表面を被覆する補強材である。
上記基材１として、この例では、可撓性を有する膨張黒
鉛シート１Ａの複数枚、たとえば４枚を重合せて引張強
さが大きくなるようにしている。各膨張黒鉛シート１Ａ
としては、厚さが０．０５〜０．３８ｍｍ程度と比較的
薄く、かつ幅の狭いもの、たとえば５ｍｍ以下のものを
使用している。

【０００９】上記基材１は、鱗片状の天然黒鉛を膨張さ
せた上、これをシート状に成形した膨張黒鉛シートを使
用しているが、この基材１に使用した膨張黒鉛は、その
膨張倍率が４０倍以上で、黒鉛含有率が９０重量％以
上、基材１の密度は０．３ｇ／ｃｍ³以上に設定されて
いる。

【００１０】また、上記補強材２としては、綿，ラミー
などの天然繊維、ナイロン，レーヨン、アラミド，ＰＢ
Ｉ（ｐｏｌｙｂｅｎｚｉｍｉｄａｚｏｌｅ）などの有機
繊維、ガラス，セラミックなどの無機繊維、ステンレ
ス，インコネルなどの金属繊維の中から選ばれるが、こ
の例では、有機繊維として、たとえば４０番手のアラミ
ド繊維をニット編み、筒織りまたは袋編みなどして筒状
に構成している。

【００１１】ここで、上記基材１を補強材２で被覆する
ことにより、パッキン材料としての編み糸３が構成され
ることになる。

【００１２】このパッキン材料３において、基材１で使
用した膨張黒鉛は膨張倍率が４０倍以上のものを使用し
ているので、膨張が十分になされ、膨張黒鉛粒子相互間
に十分な物理的吸着力が作用し合うことになる。なお、
膨張倍率が４０倍以上であれば、任意値に設定すればよ
いが、２００倍程度の膨張倍率が最も好ましい。また、
黒鉛含有率が９０重量％以上であるから、灰分などの不
純物による悪影響、つまり膨張黒鉛粒子相互間の物理的
吸着力が大幅に低下してしまう点も改善され、さらに、
多くの不純物が酸化することによって基材が早期に腐食
してしまうことも抑制されて、パッキン材料の長期の耐
食性および封止性の向上が図れる。ここで、黒鉛含有率
が９０重量％以上、換言すれば、不純物が１０重量％未
満であれば、その設定値は任意であるが、各種の実験の
結果から、不純物としての灰分を５％、残留硫黄分を１
０００ｐｐｍ以下としておけば、十分である。また、膨
張黒鉛から形成した基材が０．３ｇ／ｃｍ³以上の密度
に設定されているから、上記膨張黒鉛粒子相互間の物理
的吸着力が十分になるとともに、使用状態での形崩れな
どのおそれもなくなる。

【００１３】上記のように構成されたパッキン材料３
は、そのまま単体で捻り加工したり、あるいは、図２に
示すように、パッキン材料３を、たとえば６本束ねてか
ら２０回／ｍ程度のひねり加工を施しながらロール成形
を行って、グランドパッキン５に構成することができ
る。また、上記パッキン材料３を、図３に示すように、
たとえば８本用いて８打角編してグランドパッキン６を
構成することもできる。このような角編の他に、格子編
などを採用することもできる。

【００１４】また、図４に示すように、複数本のパッキ
ン材料３を用いて編組した中芯７を、複数本のパッキン
材料３を用いて編組（例えば袋編み）した被覆編組体中
に設けるタイプのグランドパッキン９、あるいは中芯７
と被覆編組体とのいずれか一方にパッキン材料３を用
い、他方に他のパッキン材料を用いるタイプのグランド
パッキン、さらには図５に示すように、複数本を引き揃
えた中芯８と被覆編組体とのいずれか一方にパッキン材
料３を用い、他方に他のパッキン材料を用いるタイプの
グランドパッキン１０に構成することができる。この他
に、図６に示すように、複数本のパッキン材料３を用い
て編組した被覆編組体中に、膨張黒鉛粒子とゴムとを混
和した紐状成形体を中芯１１として設けるタイプのグラ
ンドパッキン１２に構成することも可能である。

【００１５】また、図７に示すように、上記編み糸で構
成された複数本のパッキン材料３を用いてひねり加工し
た中芯１４を、複数本のパッキン材料３を用いて編組
（例えば袋編み）した被覆編組体１３中に設けるタイプ
のグランドパッキン１５、あるいは中芯１４と被覆編組
体１３とのいずれか一方にパッキン材料３を用い、他方
に他のパッキン材料を用いるタイプのグランドパッキン
に構成してもよい。

【００１６】図８は本発明の他の実施例を示す斜視図で
ある。この例では、綿，ラミーなどの天然繊維、ナイロ
ン，レーヨン、アラミド，ＰＢＩなどの有機繊維、ガラ
ス，セラミックなどの無機繊維、ステンレス，インコネ
ルなどの金属繊維の中から、たとえば綿番手４０番のア
ラミド繊維でニット編み、筒織り、あるいは袋編みなど
により筒状の補強材１７を形成する一方、厚さ０．３８
ｍｍの膨張黒鉛シートを幅５ｍｍ程度、長さ２５ｍｍに
切断してなる短冊状片１８Ａを多数個用意し、これら短
冊状片１８Ａを基材１８としてランダムに集合させなが
ら図９に示すように、上記補強材１７内に充填すること
により、パッキン材料１９を形成したものである。この
場合も、上記膨張黒鉛の膨張倍率、黒鉛含有率および密
度が上記パッキン材料３の基材１と同様に設定されてい
る。そして、このパッキン材料１９も上記パッキン材料
３の場合と同様に、図２、図３、図４、図５、図６およ
び図７のようなタイプのグランドパッキンに適用するこ
とができる。

【００１７】図１０は本発明のさらに他の実施例を示す
斜視図であり、５ｍｍ幅以上の比較的広幅に形成された
膨張黒鉛シート２０を長手方向へ沿って山折りと谷折
り、つまりＳ字形に折り畳んで折り畳み層２１Ａ，２１
Ｂ，２１Ｃを有する紐状体を基材２１として構成し、こ
の基材２１の表面を、綿，ラミーなどの天然繊維、ナイ
ロン，レーヨン、アラミド，ＰＢＩなどの有機繊維、ガ
ラス，セラミックなどの無機繊維、ステンレス，インコ
ネルなどの金属繊維の中から、例えば０．１ｍｍφのイ
ンコネル線をニット編み、筒織り、あるいは袋編みした
編組体からなる補強材２２にて被覆することにより、パ
ッキン材料２３を構成したものである。ここで、上記基
材２１を構成する膨張黒鉛の膨張倍率、黒鉛含有率およ
び密度については、上記パッキン材料３の基材１と同様
に設定されている。

【００１８】なお、上記広幅の膨張黒鉛シート２０に折
り畳み層２１Ａ，２１Ｂ，２１Ｃを形成するものでは、
図１１に示すように、コルゲート加工もしくはエンボス
加工による波状成形（しわ付加工）２０Ａを施すような
基材２４としてもよく、このようにすれば、この基材２
４と補強材２２との結合力の強いパッキン材料２３を得
ることができる。

【００１９】また、図１０に用いた膨張黒鉛シート２０
を用いて、これを図１２に示すように、長手方向へ沿っ
て山折りの２度繰り返しによって折り畳むことで、折り
畳み層２１Ａ，２１Ｂ，２１Ｃを有する基材２５に構成
してもよく、また、上記膨張黒鉛シート２０を長手方向
へ沿って山折りの２度繰り返しによって折り畳んで折り
畳み層２１Ａ，２１Ｂ，２１Ｃを形成するとともに、図
１３に示すように、上記波状成形２０Ａを施して基材２
６としてもよい。

【００２０】また、上記膨張黒鉛から形成される基材
は、図１、図８，図９、図１０〜図１３で示した形状に
限らず、たとえば棒状などの種々の形状を選択できるも
のである。なお、棒状の基材を用いる例として、たとえ
ば図１４に示すように、膨張黒鉛の主体に短繊維、ゴ
ム、樹脂あるいは潤滑剤の少なくとも一種を混ぜたもの
を棒状に成形して基材２７を形成し、この基材２７の表
面を、綿，ラミーなどの天然繊維、ナイロン，レーヨ
ン、アラミド，ＰＢＩなどの有機繊維、ガラス，セラミ
ックなどの無機繊維、ステンレス，インコネルなどの金
属繊維の中から、例えばインコネル６００繊維などから
なる補強材２８で被覆してパッキン材料２９を形成する
こともできる。なお、この基材２７も、膨張黒鉛の膨張
倍率、黒鉛含有率、密度が上記パッキン材料３の基材１
と同様に設定されている。

【００２１】なお、図２、図３、図４、図５、図６、図
７に示すグランドパッキンにおいては、必要に応じて表
面にシリコン油、鱗片状黒鉛、あるいはゴム系接着剤等
の目詰材を含浸させるようにしてもよい。

【００２２】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、表面が
補強材で被覆される基材において、この基材に使用した
膨張黒鉛の膨張倍率が４０倍以上で、膨張黒鉛の黒鉛含
有率が９０重量％以上で、かつ基材の密度が０．３ｇ／
ｃｍ³以上にしたから、膨張黒鉛の高い膨張倍率と高い
黒鉛含有率及び高密度化による高い凝縮化によって、膨
張黒鉛粒子相互間の物理的吸着力が十分に確保され、編
組時あるいはひねり加工時に、被覆された基材が引張ら
れて直ぐに亀裂損傷を起こしてしまうような事態を有効
に防止することができる。しかも、基材に使用された膨
張黒鉛の高い黒鉛含有率によって、灰分などの不純物の
酸化が著しく抑制されて、長期に亘り耐食性および封止
性を確保することができる。また、パッキン材料のみな
らず、このパッキン材料を用いて形成したグランドパッ
キンの形崩れなども起こりにくくなり、取扱い性を向上
させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例によるパッキン材料を示す斜
視図である。

【図２】同実施例のパッキン材料を６本使用してひねり
加工したグランドパッキンを示す斜視図である。

【図３】同実施例のパッキン材料を８打角編したグラン
ドパッキンを示す斜視図である。

【図４】編組体を中芯としたグランドパッキンを示す斜
視図である。

【図５】編み糸の引き揃えて中芯としたグランドパッキ
ンを示す斜視図である。

【図６】膨張黒鉛粒子とゴムとからなる成形体を中芯と
したグランドパッキンを示す斜視図である。

【図７】図２に示すような編組体を中芯としたグランド
パッキンを示す斜視図である。

【図８】短冊状片を集合させて基材として使用したパッ
キン材料の製造状態を示す概略説明図である。

【図９】図８により製造されたパッキン材料を示す斜視
図である。

【図１０】膨張黒鉛シートを折り畳んで基材として構成
したパッキン材料を示す斜視図である。

【図１１】図１０のものの基材に波状成形を施したパッ
キン材料を示す斜視図である。

【図１２】膨張黒鉛シートの山折りを２回繰り返すこと
によって折り畳んで基材としたパッキン材料を示す斜視
図である。

【図１３】図１２のものの基材に波形成形を施したパッ
キン材料を示す斜視図である。

【図１４】棒状の基材を用いたパッキン材料を示す斜視
図である。

【符号の説明】

１，１８，２１，２４，２５，２６，２７基材２，２２，２８補強材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】膨張黒鉛から形成してなる基材と、この
基材の表面を被覆する補強材とを備え、上記基材は、膨
張倍率が４０倍以上の膨張黒鉛が使用されているととも
に、黒鉛含有率が９０重量％以上で、かつ密度が０．３
ｇ／ｃｍ³以上にされていることを特徴とするパッキン
材料。