JPH06271939A - 高強度2相ステンレス鋼線材の製造方法 - Google Patents

高強度2相ステンレス鋼線材の製造方法

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JPH06271939A
JPH06271939A JP8667193A JP8667193A JPH06271939A JP H06271939 A JPH06271939 A JP H06271939A JP 8667193 A JP8667193 A JP 8667193A JP 8667193 A JP8667193 A JP 8667193A JP H06271939 A JPH06271939 A JP H06271939A
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duplex stainless
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cold working
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Terutaka Tsumura
輝隆 津村
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 “H2 S共存環境下でのSCCや選択腐食に
対する抵抗性能”に悪影響を及ぼす冷間加工の加工量を
極力低減できるオ−ステナイト・フェライト系2相ステ
ンレス鋼の強化手段を確立し、例えば分圧で1気圧程度
以下の微量H2 Sを含むCO2 −H2 S−Cl- 環境下の
深層油井,ガス井用の油井検層線等としても十分に満足
できる高耐食性高強度線材を提供する。 【構成】 Cuを含有するオ−ステナイト・フェライト系
2相ステンレス鋼を1000℃以上に加熱して熱間加工を行
った後、そのまま 800℃以上の温度から急冷し、次いで
300〜700℃で温間加工を施してから更に冷間加工
を施すか、更にこの冷間加工の後に450〜700℃で
時効処理することにより、あるいは前記温間加工と冷間
加工との間又は直接溶体化処理と温間加工との間で45
0〜700℃の時効処理を行うことによって、高強度線
材とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、炭酸ガス腐食環境や
応力腐食環境においても優れた耐食性を発揮すると共に
高い強度をも兼ね備え、例えば油井検層線等としても十
分に満足できるオ−ステナイト・フェライト系2相ステ
ンレス鋼線材の製造法に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】近年、油井や天然ガス井は深井
戸化する傾向が著しく、これに伴い、井戸の掘削時ある
いは石油や天然ガスの生産時に井戸中へ各種の測定器,
治具を吊り下げるための“油井検層線”に対して更なる
強度の向上が要求されるようになった。加えて、産出油
や産出ガス中に湿潤な炭酸ガス(CO2),硫化水素(H
2 S),塩素イオン(Cl- )等の腐食性物質を含む油井
やガス井にまで開発の目が向けられるようになってきた
ことから、その腐食対策についても重要性を一段と増し
てきている。
【0003】従来、油井検層線の腐食対策としては、井
戸中へ腐食抑制剤(インヒビタ−)を投入する方法が最
も一般的なものとして知られているが、この方法では十
分な成果が期待できないことが多く、また海上油井やガ
ス井等には有効に活用できないという問題点を有してい
た。
【0004】このような事情に鑑み、最近ではより高級
な耐食性材料を用いる傾向にあり、22Cr鋼や25Cr鋼のよ
うなCr量の高いオ−ステナイト・フェライト系の2相ス
テンレス鋼の採用が注目を集めている。
【0005】しかし、このオ−ステナイト・フェライト
系2相ステンレス鋼は、鋼材製造の際通常に施される溶
体化処理のままでは80kgf/mm2 程度の引張強さを得る
のが精々で、深井戸用油井検層線としての強度を満足し
得ないものであった。そこで、オ−ステナイト・フェラ
イト系2相ステンレス鋼を適用するに当っては、溶体化
処理の後で更に冷間加工を施し、これによって深井戸用
油井検層線に要求される高強度を具備させているのが現
状である。
【0006】しかるに、本発明者等によって行われたオ
−ステナイト・フェライト系2相ステンレス鋼に関する
詳細な実験・研究の結果、次の事実が明らかになった。
即ち、150〜250℃といった高温の湿潤CO2 環境
下で優れた耐食性を示すオ−ステナイト・フェライト系
2相ステンレス鋼も、その環境がH2 SやCl-で汚染さ
れていると耐食性は著しく劣化してくる。このCO2
2 S−Cl- を含む油井やガス井環境下における腐食の
主たるものは応力腐食割れ(以降“SCC”と略称す
る)であるが、この場合のSCCは通常のそれとは挙動
を全く異にするものであって、Cl- の存在もさることな
がら、それ以上にH2 Sの影響が極めて大きい。
【0007】そして、上記事実を踏まえて更に続けられ
た検討により、次のことが解明されたのである。イ ) 溶体化処理のままのオ−ステナイト・フェライト系
2相ステンレス鋼では、環境中のH2 S分圧が10気圧
を超えるとSCCを発生するようになる。ロ ) また、強冷間加工を施して強化したものでは、集合
組織の発達により1気圧程度のH2 Sが含まれていても
SCCを生じる。ハ ) そして、Cl- の存在はこのSCCの発生を助長する
こととなる。ニ ) その上、前述したCO2 −H2 S−Cl- 環境下にお
けるオ−ステナイト・フェライト系2相ステンレス鋼
は、例えSCCを発生しないまでもH2 Sの影響でフェ
ライト域が選択的に溶解されるという所謂“選択腐食”
を生じる場合があり、この選択腐食に対しても冷間加工
は少なからぬ悪影響を及ぼしている。
【0008】このように、オ−ステナイト・フェライト
系2相ステンレス鋼には、強度不足を補うために強冷間
加工を施すとH2 Sの存在する環境下での耐食性が著し
く劣化するという問題が認められたのである。
【0009】そこで、本発明が目的としたのは、“H2
S共存環境下でのSCCや選択腐食に対する抵抗性能”
に悪影響を及ぼす冷間加工の加工量を極力低減できるオ
−ステナイト・フェライト系2相ステンレス鋼の強化手
段を確立し、例えば分圧で1気圧程度以下の微量H2
を含むCO2 −H2 S−Cl- 環境下の深層油井,ガス井
用の油井検層線等としても十分に満足できる高耐食性高
強度線材を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく試行錯誤を繰り返しながら更に研究を重ねた
結果、以下のような新しい知見を得ることができた。 a) オ−ステナイト・フェライト系2相ステンレス鋼の
中でも特に“Cuを含有するもの”は、熱間加工の後その
ままの状態から直接的に急冷する処理(直接溶体化処
理)を行い、続いて温間加工を行うと、凍結された熱間
加工歪及び温間加工歪、更には温間加工時のCuの析出と
の重畳作用によって強度が大幅に向上する上、CO2
2 S−Cl- の油井,ガス井環境下での耐SCC性は良
好に維持されたままになる。そのため、更なる強化のた
めに冷間加工を施しても小さな加工量で大きな強度が得
られることになり、この冷間加工後の耐食性でも従来の
再加熱溶体化処理後に強冷間加工を施したものに比較し
て良好である。
【0011】b) 耐SCC性向上のためには材料中のC
含有量をできるだけ低くする(0.1重量%未満、 特に0.03
重量%以下にする)ことが好ましいが、鋼の強度確保成
分の1つであるC含有量の低いこのような材料であって
もその構成成分としてCuが含まれていると、前記直接溶
体化処理とその後の温間加工の組み合わせで十分に大き
な強化作用を発揮する。その上、直接溶体化処理を行っ
た後に、温間加工を施して時効処理するか、あるいは時
効処理して温間加工を施すという組み合わせ処理を施す
と、材料強化の作用は一層大きくなる。 c) また、直接溶体化処理温度が特に800℃以上のと
きには、耐SCC性は殊更に良好となる。
【0012】d) しかも、直接溶体化処理と、これに続
いて温間加工と冷間加工を施し、その後に時効処理を行
った場合には、更なるCuの析出によって材料強度は一段
と向上する。従って、この場合には所要強度を得るため
の冷間加工量はより小さくなるので、耐SCC性は従来
法によるものと比較して極めて良好となる。
【0013】e) 一方、直接溶体化処理とそれに続く温
間加工を施した後に時効処理を行っても、あるいは直接
溶体化処理とそれに続く温間加工との間で時効処理を行
った場合でも、凍結された熱間加工歪及び温間加工歪、
更には温間加工時と時効時に析出したCuの重畳作用で材
料強度は極めて大きく向上し、しかも耐SCC性が劣化
されることはない。従って、この場合にも、その後で更
なる強化のために施す冷間加工量を小さくすることがで
き、耐SCC性は従来法によるものと比較して極めて良
好となる。
【0014】本発明は上記知見に基づいてなされたもの
であって、「Cuを含有するオ−ステナイト・フェライト
系2相ステンレス鋼を1000℃以上に加熱して熱間加
工を行った後、 そのまま800℃以上の温度から急冷
(直接溶体化処理)し、 次いで300〜700℃で温間
加工を施してから更に冷間加工を施すか、 更にこの冷間
加工の後に450〜700℃で時効処理することによ
り、 あるいは前記温間加工と冷間加工との間又は直接溶
体化処理と温間加工との間で450〜700℃の時効処
理を行うことによって、 耐CO2 腐食性や耐SCC性等
の耐食性に優れると共に強度が十分に高いオ−ステナイ
ト・フェライト系2相ステンレス鋼線材を安定して得ら
れるようにした点」に大きな特徴を有している。
【0015】更に詳述すれば、本発明は、次に示すよう
な各技術的手段とそれによってもたらされる作用・効果
とを総合的・有機的に組み合わせることによって完成さ
れたものである。即ち、 1) オ−ステナイト・フェライト系2相ステンレス鋼の
中でも特にCuを含有するものを選定し、これを高温に加
熱して炭化物やシグマ相等を分解,固溶せしめた後、熱
間で加工を行い、その後急冷処理(直接溶体化処理)
し、更に粗大な炭化物やシグマ相等の析出を見ることの
ないように適正な温間加工を行えば、凍結された熱間加
工歪及び温間加工歪、更には温間加工時のCuの析出との
重畳作用で強度が大幅に向上する。
【0016】2) そして、このようにして得られる材料
は、更に一層大きな強度を付与するために冷間加工する
とき、その加工量は通常の再加熱溶体化処理材をベ−ス
としたものに比べて大幅な低減が可能であり、従って分
圧で1気圧程度以下の微量のH2 S含有環境下での耐食
性の劣化を防止することができる。
【0017】3) 更に、上記冷間加工に続いて時効処理
を行えば、凍結されていた熱間加工歪及び温間加工歪と
温間加工時に析出したCuの作用、更には冷間加工歪の作
用とが時効により析出するCuの作用と重畳し、極めて大
きく材料強度が上昇する。従って、この場合、所要強度
を得るための冷間での加工量は通常の再加熱溶体化処理
材をベ−スとしたものに比べて大幅に低減できることと
なり、耐食性の劣化は殆んど生じない。
【0018】4) なお、上記の時効処理を前記温間加工
と冷間加工の間に行うかあるいは前記直接溶体化処理と
温間加工の間に行ったとしても、最終の冷間加工の際、
凍結されていた熱間加工歪及び温間加工歪と温間加工時
や時効時のCuの析出による強度上昇に、冷間加工による
強化が重畳され、材料強度は極めて大きく上昇する。従
って、この場合にも、最終の冷間加工での加工量は、通
常の再加熱溶体化処理材をベ−スとしたものに比べて大
幅に低減できることとなり、耐食性の劣化は殆んど生じ
ない。
【0019】5) 更に、従来の溶体化処理は熱間加工後
に一旦常温まで大気中冷却したものを高温に再加熱して
急冷する工程をたどっていたが、本発明に係る直接溶体
化処理では、この溶体化温度への再加熱と該温度に保持
するための熱エネルギ−を節約できるという副次的効果
をもたらす。
【0020】なお、前記の直接溶体化処理と一見類似し
た鋼の加工熱処理手段として“直接焼入れ”や“オ−ス
フォ−ミング”等の処理が知られてはいる。しかしなが
ら、それらは上記直接溶体化処理と次の点において全く
異なっている。 (i) 直接焼入れ処理は、鋼を安定なオ−ステナイト域
で熱間加工した後、直ちに焼入れを行ってマルテンサイ
ト変態を起こさせる処理であり、その後焼戻をして使用
される場合が多いが、熱間加工後直ちに焼入れするため
再加熱焼入れする場合よりもオ−ステナイト粒が大き
く、従って焼きが入りやすくなって鋼の硬化能が著しく
上昇し、強度の向上がもたらされる。しかるに、本発明
の処理による強化はこの変態による強化を利用するもの
ではない。
【0021】(ii) オ−スフォ−ミングは、オ−ステナ
イト化した鋼を等温変態線図の入江の温度まで急冷して
得たオ−ステナイトのままの組織のものに、その温度で
適当な塑性変形を与えてから焼入れしてマルテンサイト
変態を起こさせ、しかる後に焼戻を行う処理であって、
一定温度での加工及び変態を生じさせるという点で、本
発明に係るオ−ステナイト・フェライト系2相ステンレ
ス鋼の強化処理とは根本的に異なっている。しかも、オ
−スフォ−ミングによって顕著な強化を起こすためには
ほぼ 0.1重量%以上のC量が必要であるが、本発明に係
る2相ステンレス鋼の強化処理の場合には、後述する実
施例での結果からも明らかであるが、 0.1重量%未満の
低C材でも大きな強化効果が得られる。
【0022】ところで、本発明法の適用対象となる“オ
−ステナイト・フェライト系2相ステンレス鋼”は、Cu
を含有するものであればその種類が格別に制限されるも
のではないが、Cu含有量は強度並びに耐食性を向上させ
るために 0.2重量%以上とするのが好ましく、一方、熱
間加工性の劣化を考慮すればその上限は 3.0重量%が適
当であると言える。
【0023】また、CO2 −H2 S−Cl- 環境下での優
れた耐SCC性を得るためには、Crを20重量%以上、Mo
を 1.5重量%以上、Niを6重量%以上、そしてNを 0.1
重量%以上含んだものであることが好ましく、逆にMn量
は 1.5重量%以下であることが望ましい。
【0024】更に、オ−ステナイト・フェライト系2相
ステンレス鋼がWを含む場合には一層良好な耐SCC性
を発揮するが、Wの多量添加は熱間加工性を劣化させる
のでその上限は4重量%程度とすることが好ましい。そ
して、C量については、直接溶体化処理によって炭化物
等の分解,固溶を十分に行わせることで所望の耐SCC
性が得られるように 0.1重量%未満(好ましくは0.03重
量%以下)とするのが望ましい。Si含有量は、脱酸に十
分であって、しかも延性に害を及ぼすことがなく耐食性
も確保できるところの、1重量%以下の必要最小限の量
に抑えるのが望ましい。
【0025】続いて、本発明において鋼材の製造条件を
前記の如くに限定した理由を詳述する。まず、オ−ステ
ナイト・フェライト系2相ステンレス鋼を熱間加工する
ための加熱下限温度を1000℃としたのは、この温度
を下回る低温域での加熱では材料の変形抵抗が大きくな
って熱間加工が困難となるほか、炭化物やシグマ相の分
解,固溶が不十分となって熱間加工性が劣化し、加えて
直接溶体化処理を適用した場合には所望のミクロ組織が
得られずに耐SCC性の劣化を招くこととなるからであ
る。
【0026】なお、この加熱の上限温度は特定されるも
のではなく、材料加工時に高温での脆化を生じない温度
とすれば良い。即ち、グリ−ブル試験機を用いた高温引
張り試験での絞り値が50%以上となるような温度(例
えば1200〜1250℃)を選べば良い。
【0027】一方、熱間加工後の急冷開始温度、即ち直
接溶体化処理の下限温度を800℃としたのは、この温
度を下回る温度域にまで徐冷すると耐SCC性が劣化す
るので、これを防止するためである。
【0028】また、温間加工は300〜700℃の温度
域で行う。これは、300℃を下回る温度域での温間加
工では冷間加工した場合と同様に耐SCC性が劣化する
ためであり、一方、700℃を超える温度域での温間加
工では前段の熱間加工歪及び温間加工歪が解放されてし
まうことに加えて、温間加工時に析出するCuが粗大化し
て強化に有効でなくなるからである。
【0029】更に、時効処理は450〜700℃の温度
域で行う。これは、450℃を下回る温度での時効処理
ではCuの析出が十分でなく、一方、700℃を超える温
度での時効処理では、析出したCuが粗大化することに加
えて、熱間加工歪や温間加工歪、更には冷間加工歪が解
放されるために強化に有効でなくなるからである。しか
も、700℃を超える温度で長時間時効処理を行うと、
粗大な炭化物やシグマ相の析出が生じて耐SCC性も劣
化する。
【0030】ところで、本発明法における“温間加工後
あるいは時効処理後の冷間加工”での加工量は、従来の
再加熱溶体化処理したものに冷間加工を施して同一強度
レベルを得る場合に比べて著しく小さくすることができ
るので、耐食性の劣化を防止する上で極めて有効とな
る。
【0031】次いで、実施例によって本発明を比較例と
対比しながら説明する。
【実施例】
〔試験例1〕通常の方法によって表1に示される成分組
成のオ−ステナイト・フェライト系2相ステンレス鋼
(A〜Cの3種)を溶製した。
【0032】
【表1】
【0033】次に、これらの鋼片を1220℃に均熱し
た後、熱間線材圧延を行い、外径が5.5mm の線材とし
た。そして、これに引き続き、該線材に直接溶体化処理
又は通常の再加熱溶体化処理を施した。
【0034】続いて、直接溶体化処理したものについて
は温間加工と冷間加工、更には時効処理を行い、一方、
再加熱溶体化処理したものについては冷間加工を行っ
て、それぞれ引張強さを測定した。表2に、熱間圧延後
の各種処理の条件と共に、引張強さの測定結果を示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2に示される結果からは、本発明に係る
処理によってオ−ステナイト・フェライト系2相ステン
レス鋼の大きな強化がなされ、また小さな冷間加工量で
“通常の再加熱溶体化処理材に大きな冷間加工量を施し
たもの”に匹敵する高強度の線材を得られることが確認
できる。
【0037】〔試験例2〕前記表1のA鋼を1240℃
に均熱してから熱間線材圧延を行い、外径 8.0mmの線材
とした。そして、引き続き表3に示す条件にて直接溶体
化処理又は再加熱による溶体化処理を行った。次いで、
更に表3に示す条件の各処理を施し、得られた線材につ
いて引張強さを測定したが、その結果を表3に併せて示
す。
【0038】
【表3】
【0039】表3に示される結果からも、本発明に係る
処理によりオ−ステナイト・フェライト系2相ステンレ
ス鋼の大きな強化が安定してなされ、高強度の線材を容
易に得られることが明らかである。
【0040】〔試験例3〕前記表1中のC鋼を1250
℃に均熱してから熱間板圧延を行い、板厚が5〜12mm
の板材とした。そして、引き続き表4に示す条件にて直
接溶体化処理又は再加熱による溶体化処理を行った。次
いで、更に表4に示す条件の各処理を行い、得られた板
材から圧延方向と直角に“厚さ2mm×幅10mm×長さ7
5mm”の試験片を採取して耐食性試験を実施した。
【0041】
【表4】
【0042】なお、耐食性試験は、図1に示すように試
験片1 を4つの支持点2,2,…で支持する4点支持ビ−ム
治具3 を用い、前記試験片1 にT型ネジ4 で引張強さの
65%に相当する応力を負荷した状態で“H2 S分圧を
種々に変えたH2 S−3気圧CO2 −3%NaCl(液温2
00℃)”中に100時間浸漬し、SCC及び/又はフ
ェライト域の選択腐食の有無を調査する方法によった。
【0043】この耐食性試験結果を、引張強さと共に表
4にまとめて示す。表4に示される結果からも、本発明
法に従った処理を施したものは大きな強度を有してお
り、しかも800℃を下回る低温域から直接溶体化処理
したものに比べ耐食性が優れ、また同一強度レベルの従
来の“再加熱溶体化処理+強冷間加工処理材”に比べて
も耐食性が良好なことを確認できる。
【0044】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、湿潤なCO2 ,H2 S,Cl- 等の腐食性物質を含む
深層油井,ガス井用の油井検層線等としても十分に満足
できる優れた耐食性と高強度を備えたオ−ステナイト・
フェライト系2相ステンレス鋼線材を安定製造すること
が可能となるなど、産業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】4点曲げ腐食試験の説明図である。
【符号の説明】
1 試験片 2 支持点 3 4点支持ビ−ム治具 4 T型ネジ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cuを含有するオ−ステナイト・フェライ
    ト系2相ステンレス鋼を1000℃以上に加熱して熱間
    加工を行った後、そのまま800℃以上の温度から急冷
    し、次いで300〜700℃で温間加工を施してから更
    に冷間加工を施すことを特徴とする、高強度2相ステン
    レス鋼線材の製造方法。
  2. 【請求項2】 Cuを含有するオ−ステナイト・フェライ
    ト系2相ステンレス鋼を1000℃以上に加熱して熱間
    加工を行った後、そのまま800℃以上の温度から急冷
    し、次いで300〜700℃で温間加工を施してから更
    に冷間加工を施し、その後450〜700℃で時効処理
    することを特徴とする、高強度2相ステンレス鋼線材の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 Cuを含有するオ−ステナイト・フェライ
    ト系2相ステンレス鋼を1000℃以上に加熱して熱間
    加工を行った後、そのまま800℃以上の温度から急冷
    し、次いで300〜700℃で温間加工を施してから4
    50〜700℃で時効処理し、その後に冷間加工を施す
    ことを特徴とする、高強度2相ステンレス鋼線材の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 Cuを含有するオ−ステナイト・フェライ
    ト系2相ステンレス鋼を1000℃以上に加熱して熱間
    加工を行った後、そのまま800℃以上の温度から急冷
    し、次いで450〜700℃で時効処理を施してから3
    00〜700℃で温間加工を施し、更に冷間加工を施す
    ことを特徴とする、高強度2相ステンレス鋼線材の製造
    方法。
JP8667193A 1993-03-22 1993-03-22 高強度2相ステンレス鋼線材の製造方法 Pending JPH06271939A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0762187A1 (en) * 1995-08-21 1997-03-12 Canon Kabushiki Kaisha Flash device
JP2020186442A (ja) * 2019-05-14 2020-11-19 日本製鉄株式会社 2相ステンレス鋼及び2相ステンレス鋼の製造方法

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EP0762187A1 (en) * 1995-08-21 1997-03-12 Canon Kabushiki Kaisha Flash device
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