JPH06269822A - 連続圧延機における板クラウン制御方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】連続圧延機における板クラウン制御において、
仕上げ連続圧延機入側の板クラウン変動を考慮したうえ
で、その影響を受けずに板クラウンを精度よく制御す
る。 【構成】粗圧延機と仕上げ連続圧延機との間で圧延材の
板クラウンを長手方向の複数箇所で測定し、当該圧延材
が仕上げ連続圧延機に到達する前に、各測定箇所につい
ての仕上げ連続圧延機の各スタンドにおける目標板クラ
ウンを算出し、この目標板クラウンを達成するために必
要な各スタンドの板クラウン制御設備の制御量を決定
し、仕上げ連続圧延機内における圧延材の前記各測定箇
所の移動に合わせて、板クラウン制御設備の制御量を前
記決定した制御量に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、連続圧延機における板
クラウンの制御方法に係り、さらに詳しくは板厚制御を
行う粗圧延機の下流にあって、板厚制御と板クラウン制
御が同時に行われる仕上げ連続圧延機において適確に板
クラウンを制御する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】連続圧延において、圧延材の板厚のみな
らず板クラウンを制御することは、鋼板の品質を維持す
る上で非常に重要なことである。これら板厚、板クラウ
ンの制御に際しては、仕上げ連続圧延機の各スタンドの
圧下開度、およびロークロールベンダ等の板クラウン制
御設備の制御量を適切に設定することが重要である。

【０００３】しかし、熱間圧延においては、圧延材のス
キッドマーク、連続圧延機の入側の板厚変動等の外乱に
より、圧延中に板厚、板クラウン、形状の変動が発生す
るという問題もある。

【０００４】これらの問題に対して、たとえば特開昭60
−106609号公報においては、仕上げ連続圧延機内におけ
る上流側スタンドの圧下力変動、ベンディング力変動を
フィードフォワード制御することにより下流側スタンド
の出側板クラウン変動が小さくなるように下流側スタン
ドのロールベンダを作動させる方法を開示している。

【０００５】一方、特公平２−61845 号公報では、ｉ番
目のスタンドの圧延荷重の予測値、同スタンド噛込時の
実測値および板厚変化による圧延荷重変化より圧延荷重
補正係数を求め、この圧延荷重補正係数よりｉ＋１番目
のスタンド以降のスタンドギャップを修正するととも
に、前記圧延荷重補正係数を用いてｉ＋１番目のスタン
ド以降の板クラウン変化量を求め、さらに板厚制御に基
づく板クラウン変化分を予測して、これらの和が零とな
るようロールベンダ圧力の設定値変更を行うワークロー
ルベンダの制御方法を開示している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】これらの従来技術に共
通する思想は、仕上げ連続圧延機内において、その上流
スタンドで発生した板クラウン変動に起因する下流スタ
ンドの板クラウン変動の減少を図るものである。

【０００７】しかし、これらの板クラウン制御方法で
は、仕上げ連続圧延機入側の板厚変動、温度変動に起因
する仕上げ連続圧延機出側の板クラウン変動を減少させ
ることができるものの、仕上げ連続圧延機入側の板クラ
ウン変動に起因する出側の板クラウン変動を減少させる
ことはできない。

【０００８】したがって本発明の課題は、仕上げ連続圧
延機における板クラウン制御において、仕上げ連続圧延
機入側の板クラウン変動の影響を受けずに仕上げ連続圧
延終了後の板クラウンを精度よく制御することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題は、板厚制御を
行う粗圧延機の下流にあって、板厚制御と板クラウン制
御が同時に行われる仕上げ連続圧延機の制御方法におい
て、粗圧延機と仕上げ連続圧延機との間で圧延材の板ク
ラウンを長手方向の複数箇所で測定し、当該圧延材が仕
上げ連続圧延機に到達する前に、各測定箇所についての
仕上げ連続圧延機の各スタンドにおける目標板クラウン
を算出し、この目標板クラウンを達成するために必要な
各スタンドの板クラウン制御設備の制御量を決定し、仕
上げ連続圧延機内における圧延材の前記各測定箇所の移
動に合わせて、板クラウン制御設備の制御量を前記決定
した制御量に設定することで解決できる。

【００１０】

【作用】仕上げ連続圧延機において、圧延材の板厚およ
び板クラウンを制御するにあたって、各スタンドにおい
て圧延材の目標板厚、目標板クラウンに合わせて圧下開
度およびワークロールベンダ圧を初期設定する。

【００１１】しかるに、圧延終了後に圧延材を目標の板
厚および板クラウンとするよう、圧延中における、圧延
材の目標板厚および目標クラウンからの偏差を最終スタ
ンドの圧延で解消する必要がある。このための方法とし
ては、次の方法が考えられる。すなわち、第１の方法
は、最終スタンドより上流側における特定のスタンドに
おいて圧延材の板厚および板クラウンを測定し、この測
定値と目標板厚および目標クラウンとの誤差に基づい
て、前記特定スタンド以降のスタンドにおける圧下開度
およびワークロールベンダ圧を制御する方法である。

【００１２】しかし、この第１の制御方法のみでは、特
定スタンドの下流側スタンドでの板クラウンのみが修正
されるため、仕上げ連続圧延機入側の板クラウンが大き
く変動した場合、特定スタンドの上流側スタンドと下流
側スタンドとの間で板クラウン比率が非連続的となって
しまい、板の形状が崩れるため、精度良い板クラウン制
御ができない。

【００１３】一方、第２の方法としては、前述の各公報
記載の方法に従って、上流スタンドの荷重変動に基づい
て、下流スタンドのワークロールベンダ圧を修正する方
法も考えられるが、この場合においても、仕上げ連続圧
延機入側の板クラウンの変動が未知のため、下流スタン
ドで十分に板クラウンの変動を除去することはできな
い。

【００１４】これらの方法に対して、本発明では、粗圧
延機と仕上げ連続圧延機との間で圧延材の板クラウンを
長手方向の複数箇所で測定し、当該圧延材が仕上げ連続
圧延機に到達する前に、各測定箇所についての仕上げ連
続圧延機の各スタンドにおける目標板クラウンを算出
し、この目標板クラウンを達成するために必要な各スタ
ンドの板クラウン制御設備の制御量を決定し、仕上げ連
続圧延機内における圧延材の前記各測定箇所の移動に合
わせて、板クラウン制御設備の制御量を前記決定した制
御量に設定する。

【００１５】したがって、前記各測定箇所での圧延材の
形状を考慮して仕上げ連続圧延機の各スタンドの板クラ
ウンを制御できるとともに、仕上げ連続圧延機の入側の
板クラウン変動による出側板クラウン変動を減少させ
て、圧延材の全長にわたって精度のよい板クラウン制御
を行うことができる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
具体的に説明する。図１に示される仕上げ連続圧延機Ｍ
は、第１スタンド１，第２スタンド２，…第７スタンド
７からなる７つのスタンドで構成されており、鋼板８は
第１スタンド１〜第７スタンド７によって順次圧延され
る。スタンド１，…スタンド７は、それぞれ一対のワー
クロール１ａ，１ａ、…７ａ，７ａおよび一対のバック
アップロール１ｂ，１ｂ、…７ｂ，７ｂを備えている。

【００１７】ワークロール１ａ，１ａ、…７ａ，７ａの
圧下開度は、圧下装置（図示せず）によって調節される
一方で、ワークロール１ａ，１ａ、…７ａ，７ａのワー
クロールベンダ圧は、それぞれワークロールベンダ（図
示せず）によって調節されるようになっている。

【００１８】かくして、仕上げ連続圧延機Ｍのワークロ
ール１ａ，１ａ、…７ａ，７ａの圧下開度およびワーク
ロールベンダ圧を調節することによって鋼板８の板厚お
よび板クラウンを調節するようになっている。また、粗
圧延機９と仕上げ連続圧延機Ｍの間には、鋼板８の板厚
を測定する板厚測定器１０と、板クラウン測定器１１が
配置されている。

【００１９】以下に最終スタンド７の出側における鋼板
８の板クラウンＣＲを制御する方法を具体的に示す。鋼
板８の板クラウンＣＲは、鋼板８の中央部板厚ｈｃおよ
び端部板厚（両端部板厚の平均値）ｈｅを用いて下記の
式（１）にて表される。

【００２０】

【数１】

【００２１】本発明では、鋼板８が仕上げ連続圧延機Ｍ
に到達する以前に、鋼板８の長手方向に定周期毎あるい
は一定長毎に板厚測定器１０で板厚を測定するととも
に、板クラウン測定器１１で板クラウンＣＲを測定す
る。この測定値に基づいて、鋼板８の各測定点に対する
仕上げ連続圧延機Ｍのスタンド１〜７の各スタンドのワ
ークロールベンダ圧を算出し、鋼板８の移動に合わせて
ワークロールベンダ圧を順次設定する。

【００２２】以下、そのワークロールベンダ圧の算出方
法について説明する。鋼板８の長手方向の各サンプリン
グ点をＳ_i ( ｉ＝１，２，…ｎただしｎはサンプリング
点数）とし、サンプリング点Ｓ_i での板厚測定値をｈ
（ｉ，０）、板クラウン測定値をＣＲ（ｉ，０）とす
る。さらに、各サンプリング点Ｓ_i に対する仕上げ連続
圧延機Ｍのスタンド１〜７の各スタンド出側の目標板厚
をｈ (ｉ，１）〜ｈ (ｉ，７）、各スタンド出側の目標
板クラウンを、ＣＲ (ｉ，１）〜ＣＲ (ｉ，７）とす
る。

【００２３】まず、サンプリング点Ｓ_i に対する各スタ
ンド出側の目標板厚ｈ (ｉ，１）〜ｈ (ｉ，７）を、粗
圧延機出側で板厚測定器１０により測定された鋼板８の
板厚ｈ (ｉ，０）と、第７スタンド７出側の目標板厚ｈ
(ｉ，７）と、連続圧延機の馬力配分曲線とに基づいて
決定する。なお、馬力配分曲線とは、第１スタンド１の
入側板厚から、第７スタンド７出側で目標板厚を得るた
めに必要である総馬力（総仕事量）を求め、この総馬力
を、各スタンド毎の馬力（仕事量）に配分するために求
められた曲線である。

【００２４】次に、粗圧延機９出側で板クラウン測定器
１１により測定されたサンプリング点Ｓ_i における板ク
ラウンＣＲ (ｉ，０）と、前記のように求められた各ス
タンドの目標板厚ｈ (ｉ，１）〜ｈ (ｉ〜７）と、平坦
条件Ｚ１〜Ｚ７（スタンド入側における板クラウンと板
厚の比と、スタンド出側における板クラウンと板厚の比
との差についての規制値）とに基づいて、仕上げ連続圧
延機Ｍの入側の第１スタンド１〜下流側のスタンドへ順
に、スタンド毎に許容される目標板クラウンＣＲ (ｉ，
１）〜ＣＲ (ｉ，７）の範囲を下記（２）式により求め
る。

【００２５】

【数２】

【００２６】また、同様に、最終的な目標板クラウンＣ
Ｒ (ｉ，７）と、前記のように決定された各スタンドの
目標板厚ｈ (ｉ，１）〜ｈ (ｉ，７）と、平坦条件Ｚ１
〜Ｚ７とに基づいて、第７スタンドから上流スタンドへ
順に、スタンド毎に許容される目標板クラウンＣＲ
(ｉ，１）〜ＣＲ (ｉ，６）の範囲を下記（３）式によ
り求める。

【００２７】

【数３】

【００２８】そして、（２），（３）式に基づき、この
２式を同時に満足するような各スタンド出側の目標板ク
ラウンＣＲ (ｉ，１）〜ＣＲ (ｉ，７）を決定する。

【００２９】以上のように求めたスタンド１〜スタンド
７の各出側における目標板クラウンＣＲ（ｉ，１）〜
（ｉ，７）より各スタンドのワークロールベンダ圧を算
出する方法について、次に説明する。まず、各スタンド
の圧延荷重、ワークロールのたわみ、ワークロール摩耗
および基準のワークロールベンダ圧（最大最小の中間値
など）から、各スタンド出側での板クラウンＣＲＺ１〜
ＣＲＺ７を求める。

【００３０】次に、各サンプリング点Ｓ_i に対して必要
な、ワークロールベンダ圧の基準値からの変更量ΔＰＢ
（ｉ，１）〜ΔＰＢ（ｉ，７）を、以下の（４）式より
求める。なお（５）式は、（４）式におけるΔＣＲ
(ｉ，１）〜ΔＣＲ (ｉ，７）を示す式である。

【００３１】

【数４】

【００３２】

【数５】

【００３３】（４）式により、各サンプリング点Ｓ_i に
おけるワークロールベンダ圧の算出値ＰＢ（ｉ，１）〜
ＰＢ（ｉ，７）は、以下に示す（６）式となる。

【００３４】

【数６】

【００３５】以上に説明した演算を行うブロックが、図
１における板クラウン・板厚測定部１２、目標板クラウ
ン演算部１３、ワークロールベンダ圧演算部１４、ワー
クロールベンダ圧設定部１５である。

【００３６】すなわち、板厚測定器１０および板クラウ
ン測定器１１は、仕上げ連続測定機Ｍに到達する以前に
一定周期あるいは一定長で測定された板厚および板クラ
ウンを板クラウン・板厚測定部１２に与え、目標板クラ
ウン演算部１３では、送られた測定値と前述の平坦条件
に基づいて各サンプリング点に対する各スタンドの目標
板クラウンを算出し、ワークロールベンダ圧演算部１４
へと出力する。ワークロールベンダ圧演算部１４では、
前記目標板クラウンを実現するために必要な各スタンド
のワークロールベンダ圧を、各サンプリング点に対して
算出し、ワークロールベンダ圧設定部１５へと出力す
る。

【００３７】そしてワークロールベンダ圧設定部１５で
は、鋼板８の移動に合わせて、ワークロールベンダ圧演
算部１４より出力された制御量にしたがってワークロー
ルベンダ圧を各スタンド毎に順次設定することで、鋼板
８の板厚および板クラウンを適切に制御しながら鋼板８
を圧延する。

【００３８】次に、本発明による板クラウン制御方法
を、従来の制御方法と比較することによりその効果を明
らかにする。たとえば、仕上連続圧延機入側の板クラウ
ンが図２に示す例において、当該板のトップ部分とあ
る距離位置のサンプリング点について、各仕上スタン
ド出側での板クラウンについて、従来の仕上入側板クラ
ウン変動を考慮しない場合と、本発明に従って仕上入側
板クラウン変動に合わせて、各スタンド出側の板クラウ
ンを制御した場合とについての測定結果を、図３に示
す。

【００３９】この図３に示す結果によれば、当初、各サ
ンプリング点の仕上入側板クラウン偏差として100 〜20
0 μm あったのに対して、従来例においては、最終的に
目標板クラウンに対して10〜20μm の偏差を避け得ない
のに対して、本発明によれば、目標板クラウンに制御で
きることが判った。

【００４０】

【発明の効果】以上の説明から明らかな如く、本発明に
よれば、仕上げ連続圧延機における板クラウン制御にお
いて、仕上げ連続圧延機入側の板クラウン変動を考慮し
たうえで、その影響を受けずに板クラウンを精度よく制
御することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る連続圧延機の設備概要およびその
制御ブロック図である。

【図２】サンプリング点の説明図である。

【図３】従来例と本発明例における各スタンドにおける
板クラウンを比較したグラフである。

【符号の説明】

Ｍ…仕上げ連続圧延機、１〜７…スタンド、１ａ〜７ａ
…ワークロール、８…鋼板、１２…板クラウン・板厚測
定部、１３…目標板クラウン演算部、１４…ワークロー
ルベンダ圧演算部、１５…ワークロールベンダ圧設定
部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】板厚制御を行う粗圧延機の下流にあって、
   板厚制御と板クラウン制御が同時に行われる仕上げ連続
   圧延機の制御方法において、 粗圧延機と仕上げ連続圧延機との間で圧延材の板クラウ
   ンを長手方向の複数箇所で測定し、 当該圧延材が仕上げ連続圧延機に到達する前に、各測定
   箇所についての仕上げ連続圧延機の各スタンドにおける
   目標板クラウンを算出し、この目標板クラウンを達成す
   るために必要な各スタンドの板クラウン制御設備の制御
   量を決定し、仕上げ連続圧延機内における圧延材の前記
   各測定箇所の移動に合わせて、板クラウン制御設備の制
   御量を前記決定した制御量に設定することを特徴とする
   連続圧延機における板クラウン制御方法。