JPH06264508A - 鉄骨軸組の仕口部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大ばりと小ばりとの仕口部の構造を、柱と大
ばりとの仕口部の構造と統一することにより、仕口部の
製作及び接合方法を容易にして生産性の向上を図ること
を可能にした鉄骨軸組における仕口部構造を提供する。 【構成】 Ｈ形鋼からなる大ばり１のウェブ1aに、この
ウェブ1aに面タッチするように突設された左右接合片3
a,3a と、この左右接合片3a,3a 間に形成された溝形の
接合部3bとを備えてハット形に形成された梁接合金物３
を前記左右接合片3a,3a を前記大ばり１のウェブ1aにボ
ルト止めすることにより取り付け、前記大ばり１に接合
される小ばり２の端部に、前記梁接合金物３の接合部3b
に面タッチする溝形の接合部4aと、この接合部4aの上下
両端部に突設された上下垂直片4b,4b とを備えてハット
形に形成された梁接合金物４を取り付け、かつ、前記大
ばり１に取り付けられた梁接合金物３の接合部3bと、前
記小ばり２に取り付けられた梁接合金物４の接合部4bと
を面タッチさせる共に、複数本の接合ボルトによってボ
ルト止めする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、柱と梁とを矩形断面
の仕口金物を介して接合する、いわゆるジョイントボッ
クス形式の鉄骨軸組の仕口部構造に関する。

【０００２】

【従来の技術及び解決しようとする課題】一般に、柱と
梁とを矩形断面の柱・梁接合金物を介して接合する、い
わゆるジョイントボックス形式の鉄骨軸組の仕口部構造
においては、柱・梁接合金物が矩形状をした閉断面形に
構成され、中に手を差し入れることができないため、柱
・梁接合金物の側面部にタップねじ孔を形成し、この柱
・梁接合金物に接合される梁の端部に前記金物の側面部
に面タッチするようにエンドプレートを取り付け、この
エンドプレートに前記タップねじ孔に対応してボルト孔
を形成し、かつ、このエンドプレートを前記金物の側面
部に添え付けるとともに、前記ボルト孔よりタップねじ
孔にボルトを螺合することにより柱と梁とが接合されて
いる（図４参照）。

【０００３】また、大ばりと小ばりとの仕口部構造にお
いては、例えば、大ばりの側部にブラケットを突設し、
このブラケットを小ばりのウェブに添え付け、このブラ
ケットとウェブとをボルト・ナットでボルト止めするこ
とにより大ばりに小ばりが接合されている（図５参
照）。

【０００４】このように、ジョイントボックス形式の鉄
骨軸組においては、大ばりと小ばりとの仕口部の構造
は、柱と大ばりとの仕口部の構造と全く異なっている場
合が多い。このため、大ばりと小ばりとの仕口部は、柱
と大ばりとの仕口部とは全く別に、個々に製作する必要
があり、また、全く異なった方法で接合する必要があ
り、生産性がきわめて悪い等の課題があった。

【０００５】この発明は、以上の課題を解決するために
なされたもので、大ばりと小ばりとの仕口部の構造を柱
と大ばりとの仕口部の構造と可能な限り統一することに
より、仕口部の製作及び接合方法を容易にして生産性の
向上を図ることを可能にした鉄骨軸組における仕口部構
造を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明に係る鉄骨軸組
の仕口部構造は、Ｈ形鋼からなる大ばりのウェブに、こ
のウェブに面タッチするように突設された左右接合片
と、この左右接合片間に形成された溝形の接合部とを備
えてハット形に形成された梁接合金物を前記左右接合片
を前記大ばりのウェブにボルト止めすることにより取り
付け、前記大ばりに接合される小ばりの端部に、前記梁
接合金物の接合部に面タッチするように溝形に形成され
た接合部と、この接合部の上下両端部に突設された上下
垂直片とを備えてハット形に形成された梁接合金物を取
り付け、かつ、前記大ばりに取り付けられた梁接合金物
の接合部と、前記小ばりに取り付けられた梁接合金物の
接合部とを面タッチさせる共に、複数本の接合ボルトに
よってボルト止めすることにより構成されている。

【０００７】

【実施例】

実施例１．図１は、この発明に係る鉄骨軸組の仕口部構
造の一実施例を示し、図において、符号１はＨ形鋼から
なる大ばり、２は大ばり１と同様にＨ形鋼からなる小ば
り、３は大ばり１と小ばり２とを接合するための梁接合
金物、４は小ばり２を大ばり１の側部に梁接合金物３を
介して接合するために小ばり２の端部に溶接によって取
り付けられた梁接合金物、５は梁接合金物３を大ばり１
のウェブ1aにボルト止めするための接合ボルト、そし
て、符号６は梁接合金物３と梁接合金物４とをボルト止
めするための接合ボルトである。

【０００８】大ばり１のウェブ1aには接合ボルト５が貫
通可能な複数個のボルト孔7,7 が上下・左右に所定間隔
離して形成されている。

【０００９】梁接合金物３は大ばり１のウェブ1aに面タ
ッチするように突設された左右接合片3a,3a と、この左
右接合片3a,3a 間に形成れた接合部3bとからハット形に
形成されている。接合部3bは、接合ボルト６の締め付け
に際し、接合部3bの裏側に手を挿入できる間隙部Ｓを構
成するように小ばり２側に膨出する溝形状に形成されて
いる。

【００１０】左右接合片3a,3a には接合ボルト５が貫通
可能な複数個のボルト孔8,8 が形成され、また、接合部
3bには接合ボルト６が貫通可能な複数個のボルト孔9,9
が形成されている。なお、梁接合金物３は一枚のプレー
トを曲げ加工する等して簡単に形成されている。

【００１１】このように形成された梁接合金物３は大ば
り１のウェブ1aに添え付けられ、かつ、左右接合片3aの
ボルト孔８とウェブ1aのボルト孔1bに接合ボルト５を締
め付けることにより大ばり１のウェブ1aに取り付けられ
ている。

【００１２】梁接合金物４は上下垂直片4a,4a とこの上
下垂直片4a,4a 間に梁接合金物３の接合部3bに面タッチ
するように梁接合金物３側に膨出して溝形状に形成され
た接合部4bとを備えハット形に形成されている。接合部
4bには接合ボルト６が貫通可能な複数個のボルト孔10,1
0 が形成されている。

【００１３】このように形成された梁接合金物４は小ば
り２のウェブ2aの両側に添え付けられ、かつ、小ばり２
のウェブ2a及び上下フランジ2b,2b に溶接することによ
り取り付けられている。

【００１４】また、梁接合金物３の接合部3bと梁接合金
物４の接合部4bとが互いに添え付けられ、かつ、双方の
ボルト孔９と10に接合ボルト６が締め付けられ、係る構
成によって大ばり１の側部に小ばり２が接合されてい
る。

【００１５】この場合、梁接合金物４の接合部4bが小ば
り２側に膨出する溝形に形成され、接合部4bの裏側に手
を挿入できるので、接合ボルト６としてボルト・ナット
を使用することができ、大ばり１と小ばり２との接合が
簡単かつ確実に行うことができる。

【００１６】また、実施例２において説明する柱と大ば
りとの仕口部の構造と、梁接合金物を面タッチさせると
ともに、ボルト・ナットで接合するという点で共通する
ので、両者の仕口部の構造をほぼ統一できる。

【００１７】実施例２．図２及び図３は、柱と大ばりと
の仕口部の構造を示し、図において実施例１と同一部分
には同一符号を付し、その説明を省略する。

【００１８】符号11は角形鋼管からなる柱、12はこの上
下柱11と大ばり１とを接合するための柱・梁接合金物、
13は上下柱11を柱・梁接合金物12に接合するために上下
柱１１の端部に取り付けられた柱接合金物、１４は柱接
合金物13を柱・梁接合金物12に接合するための接合ボル
ト、そして、符号15は梁接合金物４を柱・梁接合金物12
に接合するための接合ボルトである。

【００１９】柱・梁接合金物12は上下方向に連続する十
字形断面形に形成されたリブ12a と、このリブ12a の上
下両端部に水平に取り付けられたエンドプレート12b
と、このエンドプレート12b の周囲に上下柱11とほぼ同
径の矩形断面の短柱を構成するように取り付けられたＬ
字形断面をなす複数個の側金具12c とから一体的に構成
されている（図３参照）。

【００２０】上下エンドプレート12b の各コーナ部には
接合ボルト14が貫通可能な複数個のボルト孔16が形成さ
れ、また、側金具12c には接合ボルト15が貫通可能な複
数個のボルト孔17が形成されている。

【００２１】なお、上下エンドプレート12b と側金具12
c との間には、接合ボルト14及び15の締め付けに際し、
エンドプレート12b 及び側金具12c の裏側に手を挿入で
きるよにう一定の空き12d が確保されている。また、リ
ブ12a 、上下エンドプレート12b 及び側金具12c は溶接
によって一体的に組み立てられている。

【００２２】そして、大ばり１の梁接合金物４の接合部
4bが柱・梁接合金物12の側金具12cに添え付けられ、か
つ、双方のボルト孔に接合ボルトを締めつけられ、係る
構成によって大ばり１が柱・梁接合金物12に接合されて
いる。

【００２３】なお、この場合、大ばり１の端部に柱・梁
接合金物12の側金具12c に引っ掛けられるようなフック
18が突設され、このフック18を側金具12c に引っ掛けて
接合ボルト15の締付けを行うので、ボルトの締付けを容
易に行うことができる。

【００２４】柱接合金物13は上下方向に連続する十字形
断面形に形成されたリブ13a と、このリブ13a の上下両
端部に水平に取り付けられたエンドプレート13b,13b と
から形成され、先端側のエンドプレート13b の各コーナ
部に接合ボルト14が貫通可能な複数個のボルト孔19が形
成されている。なお、リブ13a 及び上下エンドプレート
13b,13b は、リブ12a 、上下エンドプレート12b 及び側
金具12c と同様に溶接によって一体的に組み立てられて
いる。

【００２５】そして、上下柱接合金物13のエンドプレー
ト13b が柱・梁接合金物12のエンドプレート12b にそれ
ぞれ添え付けられ、かつ、ボルト孔16と19に接合ボルト
14が締め付けられ、係る構成によって上下柱11が柱・梁
接合金物12に接合されている。

【００２６】なお、上下エンドプレート12b と側金具12
c との間には、接合ボルト14及び15の締め付けに際し、
エンドプレート12b 及び側金具12c の裏側に手を挿入で
きるよにう一定の空きＳが確保されているので、接合ボ
ルト14及び15としてタップねじではなくボルト・ナット
を使用することができ、したがって、上下柱11と柱・梁
接合金物12とを容易に、しかも簡単に接合できる。

【００２７】このような構成により大ばり１に小ばり２
を接合し、かつ、上下柱及びこの上下柱と大ばりとを接
合する構造とすれば、大ばり１と小ばり２との仕口部の
構造が、柱と大ばり１との仕口部の構造と、梁接合金物
４を面タッチさせ、ボルト止めする点及び接合ボルトと
してボルト・ナットを使用できる点で同じ構成になるの
で、両者の仕口部の構造及び接合方法をほぼ統一するこ
とにより、仕口部の設計、製作及び接合方法が同じにな
り、生産性を高めることが可能になる。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、この発明に係る鉄
骨軸組の仕口部構造によれば、大ばりと小ばりとの仕口
部の構造が柱と大ばりとの仕口部の構造と、エンドプレ
ートを面タッチさせ、接合ボルトでボルト止めするとい
う点及び接合ボルトとしてボルト・ナットを使用できる
点で共通するので、両者の仕口部の構造及び接合方法を
ほぼ統一することにより、仕口部の設計、製作及び接合
方法が容易になり、生産性が著しく高められるという効
果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る鉄骨軸組の仕口部構造の一実施
例を示し、大ばりと小ばりとの仕口部を示す分解斜視図
である。

【図２】ジョイントボックス形式の柱と大ばりとの仕口
部の構造を示す分解斜視図である。

【図３】柱・梁接合金物の斜視図である。

【図４】ジョイントボックス形式の柱と大ばりとの仕口
部構造の従来例の一例を示す分解斜視図である。

【図５】従来の大ばりと小ばりとの仕口部構造の一例を
示す斜視図である。

【符号の説明】

１…大ばり、２…小ばり、3,4 …梁接合金物、5,6 …接
合ボルト、7,8,9,10…ボルト孔、11…柱、12…柱・梁接
合金物、13…柱接合金物、14,15 …接合ボルト、16,17
…ボルト孔、18…フック、19…ボルト孔。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 柱と梁とを柱・梁接合金物を介して接合
   するジョイントボックス形式の鉄骨軸組の仕口部構造に
   おいて、Ｈ形鋼からなる大ばりのウェブに、このウェブ
   に面タッチするように突設された左右接合片と、この左
   右接合片間に形成された溝形の接合部とを備えてハット
   形に形成された梁接合金物を前記左右接合片を前記大ば
   りのウェブにボルト止めすることにより取り付け、前記
   大ばりに接合される小ばりの端部に、前記梁接合金物の
   接合部に面タッチするように溝形に形成された接合部
   と、この接合部の上下両端部に突設された上下垂直片と
   を備えてハット形に形成された梁接合金物を取り付け、
   かつ、前記大ばりに取り付けられた梁接合金物の接合部
   と、前記小ばりに取り付けられた梁接合金物の接合部と
   を面タッチさせる共に、複数本の接合ボルトによってボ
   ルト止めしてなることを特徴とする鉄骨軸組の仕口部構
   造。