JPH0624166A - 平版印刷版用支持体、その製造方法及び支持体を用いた感光性平版印刷版の製造方法 - Google Patents

平版印刷版用支持体、その製造方法及び支持体を用いた感光性平版印刷版の製造方法

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JPH0624166A
JPH0624166A JP20047492A JP20047492A JPH0624166A JP H0624166 A JPH0624166 A JP H0624166A JP 20047492 A JP20047492 A JP 20047492A JP 20047492 A JP20047492 A JP 20047492A JP H0624166 A JPH0624166 A JP H0624166A
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JP
Japan
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lithographic printing
printing plate
pits
acid
photosensitive
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Application number
JP20047492A
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English (en)
Inventor
Kazuhito Yamamoto
和仁 山本
Hiroyuki Suzuki
啓之 鈴木
Katsuyuki Ota
勝行 大田
Toshimi Aoyama
俊身 青山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 保水性及び感光層との密着性を改良した平版
印刷版用支持体及びその製造方法、並びにこの支持体を
用いて耐刷力を改良した感光性平版印刷版の製造方法を
提供する。 【構成】 0.3mm厚のアルミニウム板を10%NaOH水
溶液中に浸漬し、次いで25%H2SO4水溶液で中和し
た。更にこのアルミニウム板の表面をブラシ研磨し、20
%NaOH水溶液を用いて、Alの溶解量が10g/m2とな
るようにエッチングした。このようにして処理したアル
ミニウム板を陽極時電流密度40A/dm2、陽極時電気量300
クーロン/dm2の条件で交番波形によって電解粗面化を行
なった。電解粗面化に続いて10%NaOH水溶液を用い
てAlの溶解量が1.5g/m2となるようにアルカリエッチン
グし、10%H2SO4水溶液でデスマット処理した後、同
じく10%H2SO4水溶液中で陽極酸化処理を行って、2.
5g/m2 の酸化皮膜を設けた支持体を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は平版印刷版用支持体、そ
の製造方法、及びこれを用いた感光性平版印刷版の製造
方法に関し、更に詳しくは保水性の優れた表面を有し、
しかもアルミニウム支持体と感光層との密着性が良好で
耐刷性にも優れた平版印刷版用アルミニウム支持体、そ
の製造方法、及びこれを用いた感光性平版印刷版の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版用支持体として従来からアル
ミニウム板が広く使用されているが、支持体と感光層の
密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるた
め、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処
理がなされている。この砂目立て処理法の具体的手段と
しては、サンドブラスト、ボールグレイン、ワイヤーグ
レイン、ナイロンブラシと研磨剤/水スラリーによるブ
ラシグレイン、研磨剤/水スラリーを表面に高圧で吹き
付けるホーニンググレインなどによる機械的砂目立て方
法及び塩基又は酸或いはそれらの混合物からなるエッチ
ング剤で表面を粗面化処理する化学的砂目立て方法があ
る。また特開昭54-146234号公報及び特開昭48-28123号
公報に記載されている電気化学的砂目立て方法、例えば
特開昭53-123205号、特公昭57-16918号公報、特開昭62-
25117号公報に記載されている機械的砂目立て方法と電
気化学的砂目立て方法とを組み合わせた方法、特開昭56
-55261号公報に記載されている機械的砂目立て方法と鉱
酸のアルミニウム塩の飽和水溶液による化学的砂目立て
方法とを組み合わせた方法も知られている。
【0003】以上のような種々の粗面化処理方法のう
ち、粗面形状の制御が容易であり、しかも、微細な粗面
が得られる方法としては、電解粗面化処理が挙げられ
る。粗面化されたアルミニウム表面は、そのままでは軟
らかく、摩耗し易いので、陽極酸化処理して、酸化皮膜
を形成させ、その上に感光層が設けられる。このように
処理されたアルミニウム板の表面は硬く、そして耐摩耗
性に優れ、良好な親水性、保水性及び感光層との密着性
を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の電解粗面化処理
に関して、電解粗面化処理された表面は、スマットが付
着するために直ちに陽極酸化処理を行うと、陽極酸化皮
膜が黒くなり、外観的価値を著しく損なうばかりでな
く、その上に被覆された感光層の感度の低下、又は、バ
ラツキを生じ、また、現像後においても検版性の悪化を
もたらす。また、地汚れ等が発生しやすい。
【0005】特に特公昭57-16918号公報には、機械的
に研磨し、酸又は塩基で化学的にエッチングし、電
気化学的に粗面化する工程が記載されているが、この場
合には、電気化学的に粗面化した後に酸によってデスマ
ット処理を行っているものの、地汚れ等が発生する(こ
の件については、特公昭62-25117号の拒絶理由通知に対
する意見書に記載されている) 。また特公昭62-25117
号公報では、アルミニウム表面にプラトーを有する粗面
構造を有し、その上に該プラトーが残存し、かつピット
が均一に散在している砂目構造を有する支持体が記載さ
れており、その製造方法として機械的に研磨し、化
学的にエッチングし、塩酸、硝酸系の水溶液中で20A/
dm2 以上の陽極時電流密度のもとで200クーロン/dm2
超えない陽極時電気量で電解粗面化することが開示され
ている。しかしこの方法においてはプラトーを形成する
ため比表面積が小さくなり、保水性が悪く、湿し水を大
量に出さなければならず高品質の印刷物を得ることがで
きない。
【0006】一方、特開昭48-28123号公報には、塩酸電
解液中で電解粗面化処理した後エッチングする方法が開
示されている。アルカリエッチングの場合、スマットの
除去はもちろんのこと、エッチング速度が速いため、塩
酸中で電解粗面化処理した単一粗面構造の表面にこの処
理を行うと砂目構造が平滑化されすぎてしまう。このた
め感光層との密着性が低下して、耐刷力が低下してしま
う。上述の問題点から、優れた保水性と優れた耐刷力、
及び非画像部の汚れにくい性質を併せ持った感光性平版
印刷版を与えることが出来る支持体が待望されている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の問題を解
決するため、アルミニウム板の表面を機械的に粗面化し
て起伏、及びこの起伏上の全面に尖った凹凸を形成し、
次に0.5〜30g/m2 の範囲で化学的にエッチングして好ま
しくは尖った凹凸のみを消失させ、又は角のないなだら
かな形状とし、更に10〜60A/dm2 の陽極時電流密度、20
0〜600クーロン/dm2 の陽極時電気量で酸性水溶液中に
おいて交流電解粗面化を行って好ましくは形成されるピ
ットの平均開孔径0.2〜5μm且つ3×106〜9×108個/cm2
のピットを全面に渡って形成し、その後塩基によって0.
1〜10g/m2の範囲で化学的にエッチングを行って前記ピ
ットを角のないなだらかな形状とし、最後に陽極酸化処
理して陽極酸化被膜を形成させた平版印刷版用支持体
と、この平版印刷版用支持体を用いた感光性平版印刷版
を提供するものである。
【0008】本発明に使用される平版印刷版用支持体で
あるアルミニウム又はその合金板(以下単に「アルミニ
ウム板」という) としては、JIS A-1050材、JIS A-1100
材、JIS A-3003材、JIS A-3103材、JIS A-5005材等が挙
げられる。これらのアルミニウム板は、機械的粗面化処
理されるに先だって、必要に応じて表面の圧延油を除去
するため、又は、清浄なアルミニウム面を表出させるた
めに、前処理が行われてもよい。このためには、トリク
ロロエチレン等の溶剤、界面活性剤、ケイ酸ソーダ類、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性水溶
液が広く用いられる。
【0009】上記前処理にひき続き機械的研磨を行な
う。アルミニウム板の表面を機械的に粗面化する方法と
しては、従来公知の種々の方法を使用することができ
る。例えば、サンド・ブラスト、ボールグレイン、ワイ
ヤーグレイン、ブラシグレインなどの方法が含まれ、こ
れらの内でも、特にブラシグレインが好ましい。ブラシ
グレイン方法の詳細については、特公昭51-46003号公報
(又は米国特許第3,891,516号明細書) 及び特公昭50-40
047号公報に記載されている。機械的な粗面化は、本発
明の方法により得られる平版印刷版用支持体の中心線平
均粗さRaが0.4〜1.0μmとなるように施されることが好
ましい。ここで、砂目の中心線平均粗さRaとはJIS B 0
601(1970)に示されているように粗さ曲線から、その中
心線の方向に測定長さlの部分を抜き取り、この抜き取
り部分の中心線をX軸、縦の方向をY軸とし、粗さ曲線
をy=f(x)で表わしたとき以下の(数1) 式で与え
られるRaの値をミクロン単位で表したものである。
【0010】
【数1】
【0011】上記のようなRaの範囲とする為の機械的
な粗面化の程度は、後に施される電気化学的な粗面化の
条件、及び必要に応じて施される付加的な処理が決定さ
れれば、当業者が容易に決定することができる。この機
械的粗面化によってアルミニウム板の表面には、比較的
周期の大きな起伏と、この起伏上全面に渡って微小な尖
った凹凸とが形成される。
【0012】上記によって機械的に粗面化されたアルミ
ニウム板の表面を、次は化学的にエッチングする。この
化学的エッチング処理は機械的粗面化されたアルミニウ
ム板の表面に食い込んだ研磨剤、アルミニウム屑などを
取り除き、また上記の微小な尖った凹凸を消失させるか
又は角のないなだらかな形状にする作用を有し、その後
に施される電気化学的な粗面化をより均一に、しかも効
果的に達成させることができる。かかる化学的エッチン
グ方法の詳細は、米国特許第3,834,998号明細書に記さ
れており、アルミニウムを溶解し得る酸又は塩基の水溶
液へ浸漬する方法である。上記の酸としては、例えば硫
酸、過硫酸、塩酸などが含まれ、上記の塩基としては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、第三燐酸ナトリウ
ム、第二燐酸ナトリウム、第三燐酸カリウム、第二燐酸
カリウム、アルミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなど
が含まれる。これらの内でも特に後者の塩基の水溶液を
使用する方がエッチング速度が速いので好ましい。
【0013】上記エッチングの量はO.5〜30g/m2 、好ま
しくは2〜20g/m2の範囲から適宜選択される。このエッ
チングの量が0.5g/m2 未満の場合には、次工程の電解エ
ッチングにおいて均一なピットを生成させることができ
ず、また30g/m2 を超える場合には機械的に粗面化した
比較的周期の大きな起伏を消欠してしまう。エッチング
剤として用いる上記の酸又は塩基の濃度は0.05〜40重量
%、液温は40〜100℃、処理時間は5〜300秒の範囲が好
ましい。上記化学的エッチングを、塩基の水溶液を用い
て行なった場合には、一般にアルミニウムの表面にスマ
ットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫
酸、クロム酸又はこれらの内の2以上の酸を含む混酸で
処理する、所謂デスマット処理を施すことが好ましい。
【0014】以上のように処理されたアルミニウム板
を、次に塩酸、硝酸等の酸性電解液中において、10〜60
A/dm2 の陽極時電流密度、200〜600クーロン/dm2 の陽
極時電気量で交流電解粗面化する。このとき使用する電
流は、特に正負の極性を交互に交換させて得られる波形
の交番波形電流であることが好ましい。本発明におい
て、電気化学的な粗面化の方法に使用される電解浴は、
塩酸又は硝酸であり、その濃度はいずれの場合も約0.1
重量%から約10重量%の範囲から選ばれることが適当で
ある。そして、これらの電解浴には、更に、腐蝕抑制剤
(又は安定化剤) を含有させておくことができる。例え
ば硝酸電解浴の場合には、硝酸亜鉛、硝酸アンモニウ
ム、硝酸ナトリウムなどの硝酸塩、モノアミン類、ジア
ミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、スルホサリチ
ル酸などが挙げられる。これらの腐蝕抑制剤の電解液へ
の添加量は約0.05重量%〜約3重量%の範囲から選ばれ
ることが好ましい。
【0015】また本発明で使用される交番波形電流とし
ては正弦波の単相及び三相交流の他、台形波、矩形波の
交流も使用することができ、このような電解粗面化方法
は米国特許第4,087,341号明細書に詳細に記載されてい
る。陽極時電気量Qcと陰極時電気量Qaとの比Qc/Q
a、陽極時電流密度及び陽極時電気量を調整することに
よって、0.2〜5μmのピットの平均開孔径、ピット数3×
106〜9×108個/cm2を全面に形成した砂目を作製するこ
とができる。陽極時電気量は上記200〜600クーロン/dm2
であるが特に200〜400クーロン/cm2 が好ましい。陽極
時電気量が200クーロン/dm2 未満ではピットを全面に形
成することができず、保水性、耐刷性の低下を招く。ま
た600クーロン/dm2を超える場合には径の大きなピット
が不均一に発生すると共にピット数が3×106未満となり
保水性が悪くなる。一方陽極時電流密度は10〜60A/dm2
であるが特に20〜50A/dm2 が好ましい。この陽極時電流
密度が10A/dm2 未満の場合には処理時間が長くなって製
造上問題が発生したり、全面にピットを製造出来ないこ
とがある。また60A/dm2を超える場合にはピット径が不
均一となり、やはり保水性が悪くなって本発明の効果を
達成することができない。更にQc /Qa の比率は0.75
〜1.5であることが好ましい。
【0016】上記電解粗面化終了後、アルミニウム板を
再度塩基で化学エッチングする。このエッチングは前記
の塩基の水溶液へ浸漬する方法と同様であり、前記の水
酸化ナトリウム等の塩基が使用される。このエッチング
量は0.1〜10g/m2 の範囲である。エッチング量が0.1g/m
2 未満の場合には、電解研磨によって得られたピット間
突出部を溶解して、角のないなだらかな構造とすること
ができず、地汚れを発生しやすくなる。一方、10g/m2
を超える場合は電解研磨によって得られたピットが消失
してしまい、保水性等に問題が発生する。エッチング剤
として用いる上記塩基の濃度は0.05〜20重量%、温度は
40〜100℃、処理時間は1〜100秒の範囲が好ましい。こ
の塩基による化学エッチングの後、リン酸、硝酸、硫
酸、クロム酸等でデスマット処理することが好ましい。
【0017】以上のように処理したアルミニウム板を次
に陽極酸化処理する。この陽極酸化処理は周知の方法に
したがって行うことができる。例えば、硫酸、燐酸、シ
ュウ酸、クロム酸、アミドスルホン酸又はこれらの二種
以上の混合物、或いはこれらにAl3+イオンを含有する
水溶液或いは非水溶液などを電解液とし、主として直流
を用いて陽極酸化処理するが、交流又はこれらの電流の
組み合わせを使用することもできる。このときの電解質
濃度は1〜80重量%、温度は5〜70℃の範囲、電流密度は
0.5〜60A/dm2 の範囲、酸化皮膜重量は0.3〜6g/m2の範
囲が好ましい。
【0018】以上のように陽極酸化したアルミニウム板
は、更に米国特許第2,714,066号及び米国特許第3,181,4
61号の各明細書に記載されているようにアルカリ金属シ
リケート、例えば珪酸ナトリウムの水溶液に浸漬するな
どの方法により親水化処理することができる。また、特
開昭59-101651号公報に記載されているスルホン酸基を
有するモノマー単位を含む高分子化合物から成る下塗り
層や、特開昭60-149491号公報に記載されている、NH4
基、COOH基、SO3H基を有する化合物からなる下
塗り層なども用いることができる。
【0019】このようにして得られた平版印刷版用支持
体の上には、従来より知られている感光層を設けて、感
光性平版印刷版を得ることができ、これを製版処理して
得た平版印刷版は、優れた性能を有している。この感光
層中に用いられる感光性物質は、特に限定されるもので
なく、通常、感光性平版印刷版に用いられている、例え
ば下記のような各種のものを使用することができる。 1) 光架橋系感光性樹脂組成物 光架橋系感光性樹脂組成物中の感光成分は、分子中に不
飽和二重結合を有する感光性樹脂からなるもので、例え
ば米国特許第3,030,208号明細書、同第3,435,237号明細
書及び同第3,622,320号明細書等に記載されているよう
な、重合体主鎖又は側鎖中に感光基として下記(化1)
を含む感光性樹脂、例えばポリビニルシンナメート等が
挙げられる。
【0020】
【化1】
【0021】2) 光重合系感光性樹脂組成物 付加重合性不飽和化合物を含む光重合性組成物であっ
て、二重結合を有する単量体と高分子バインダーからな
り、このような組成物の代表的なものは、例えば米国特
許第2,760,863号明細書及び同第2,791,504号明細書に記
載されており、その具体的な例として、メタクリル酸メ
チルを含む組成物、メタクリル酸メチルポリメチルメタ
クリレートを含む組成物、メタクリル酸メチルポリメチ
ルメタクリレート及びポリエチレングリコールジメタク
リレートモノマーを含む組成物、メタクリル酸メチル、
アルキッド樹脂及びポリエチレングリコールジメタクリ
レートモノマーを含む組成物等の光重合性組成物が挙げ
られる。この光重合系感光性樹脂組成物には、この技術
分野で通常知られている光重合開始剤(例えばベンゾイ
ンメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾフェノ
ン等のベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、
アントラキノン誘導体、アクリドン誘導体等)が添加さ
れる。
【0022】3) ジアゾ化合物を含む感光性組成物 この感光性組成物中のジアゾ化合物は、例えば、好まし
くは芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド又はアセ
トアルデヒドとの縮合物で代表されるジアゾ樹脂であ
る。特に好ましくは、p−ジアゾジフェニルアミンとホ
ルムアルデヒド又はアセトアルデヒドとの縮合物の塩、
例えばヘキサフルオロリン酸塩、テトラフルオロホウ酸
塩、過塩素酸塩又は過ヨウ素酸塩と前記縮合物との反応
生成物であるジアゾ樹脂無機塩や、米国特許第3,300,30
9号明細書中に記載されているような、前記縮合物とス
ルホン酸塩との反応生成物であるジアゾ樹脂有機塩等が
挙げられる。さらにジアゾ樹脂は、好ましくは結合剤と
共に使用される。かかる結合剤としては種々の高分子化
合物を使用することができるが、好ましくは特開昭54-9
8613号公報に記載されているような芳香族性水酸基を有
する単量体、例えばN−(4−ヒドロキシフェニル) ア
クリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル) メタク
リルアミド、o−、m−、又は、p−ヒドロキシスチレ
ン、o−、m−、又は、p−ヒドロキシフェニルメタク
リレート等と他の単量体との共重合体、米国特許第4,12
3,276号明細書中に記載されているようなヒドロキシエ
チルアクリレート単位又はヒドロキシエチルメタクリレ
ート単位を主な繰り返し単位として含むポリマー、シェ
ラック、ロジン等の天然樹脂、ポリビニルアルコール、
米国特許第3,751,257号明細書中に記載されているよう
なポリアミド樹脂、米国特許第3,660,097号明細書中に
記載されているような線状ポリウレタン樹脂、ポリビニ
ルアルコールのフタレート化樹脂、ビスフェノールAと
エピクロルヒドリンから縮合されたエポキシ樹脂、酢酸
セルロース、セルロースアセテート、セルロースフタレ
ート等のセルロース誘導体が包含される。
【0023】4)o−キノンジアジド化合物を含む感光
性組成物 o−キノンジアジド化合物を含む感光性組成物において
は、このo−キノンジアジド化合物をアルカリ可溶性樹
脂と併用するのが好ましい。o−キノンジアジド化合物
としては、例えばo−ナフトキノンジアジドスルホン酸
と、フェノール類及びアルデヒド又はケトンの重縮合樹
脂とのエステル化合物が挙げられる。
【0024】前記フェノール類としては、例えば、フェ
ノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾ
ール、3,5−キシレノール、カルバクロール、チモー
ル等の一価フェノール、カテコール、レゾルシン、ヒド
ロキノン等の二価フェノール、ピロガロール、フロログ
ルシン等の三価フェノール等が挙げられる。前記アルデ
ヒドとしてはホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、ア
セトアルデヒド、クロトンアルデヒド、フルフラール等
が挙げられる。これらのうち好ましいものはホルムアル
デヒド及びベンズアルデヒドである。前記ケトンとして
はアセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。前記
重縮合樹脂の具体的な例としては、フェノール・ホルム
アルデヒド樹脂、m−クレゾール・ホルムアルデヒド樹
脂、m−、p−混合クレゾール・ホルムアルデヒド樹
脂、レゾルシン・ベンズアルデヒド樹脂、ピロガロール
・アセトン樹脂等が挙げられる。なお前記o−ナフトキ
ノンジアジドスルホン酸のフェノール類のOH基に対す
る縮合率(OH基1個に対する反応率)は、15〜80%が
好ましく、より好ましくは20〜45%である。
【0025】更に、本発明に用いられるo−キノンジア
ジド化合物としては、特開昭58-43451号公報に記載のあ
る以下の化合物も使用できる。即ち、例えば、1,2−
ベンゾキノンジアジドスルホン酸エステル、1,2−ナ
フトキノンジアジドスルホン酸エステル、1,2−ベン
ゾキノンジアジドスルホン酸アミド、1,2−ナフトキ
ノンジアジドスルホン酸アミドなどの公知の1,2−キ
ノンジアジド化合物、更に具体的にはジェイ・コーサー
(J.Kosar)著「ライト・センシティブシステムズ」(L
ight-Sensitive Systems)第339頁〜第352頁(1965
年)、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John.Wiley
&Sons)社(ニューヨーク)やダブリュ・エス・ディ・
フォレスト(W.S.De Forest)著「フォトレジスト」(P
hotoresist)第50巻、(1975年)、マックグローヒル
(McGraw-Hill)社(ニューヨーク)に記載されている
1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸フェニ
ルエステル、4,4′−ジ−(1,2−ベンゾキノンジ
アジド−4−スルホニロキシ)−ビフェニル、1,2−
ベンゾキノンジアジド−4−(N−エチル−N−β−ナ
フチル)−スルホンアミド、1,2−ナフトキノンジア
ジド−5−スルホン酸シクロヘキシルエステル、1−
(1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル)−
3,5−ジメチルピラゾール、1,2−ナフトキノンジ
アジド−5−スルホン酸−4′−ヒドロキシジフェニル
−4′−アゾ−β−ナフトール−エステル、N,N−ジ
−(1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル)
−アニリン、2′−(1,2−ナフトキノンジアジド−
5−スルホニルオキシ)−1−ヒドロキシ−アントラキ
ノン、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン−
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンエステル、1,2
−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸−2,3,4
−トリヒドロキシベンゾフェノンエステル、1,2−ナ
フトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド2モルと
4,4′−ジアミノベンゾフェノン1モルとの混合物、
1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリ
ド2モルと4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン
1モルとの縮合物、1,2−ナフトキノンジアジド−5
−スルホン酸クロリド1モルとプルプロガリン1モルと
の縮合物、1,2−ナフトキノンジアジド−5−(N−
ジヒドロアビエチル)−スルホンアミドなどの1,2−
キノンジアジド化合物を例示することができる。また、
特公昭37-1953号、同37-3627号、同37-13109号、同40-2
6126号、同40-3801号、同45-5604号、同45-27345号、同
51-13013号、特開昭48-96575号、同48-63802号、同48-6
3803号各公報に記載された1,2−キノンジアジド化合
物も挙げることができる。
【0026】上記o−キノンジアジド化合物のうち、
1,2−ベンゾキノンジアジドスルホニルクロリド又は
1,2−ナフトキノンジアジドスルホニルクロリドとピ
ロガロール・アセトンとの縮合樹脂及び上記キノン化合
物に2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンを反応
させて得られるo−キノンジアジドエステル化合物が特
に好ましい。またo−キノンジアジド化合物として上記
化合物を各々単独で用いてもよいし、2種以上組み合わ
せて用いてもよい。更にo−キノンジアジド化合物の感
光性組成物に占める割合は、5〜60重量%であるのが好
ましく、特に好ましくは10〜50重量%である。
【0027】本発明に係る感光性組成物中に用いられる
アルカリ可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂、フェノ
ール性水酸基を有するビニル系重合体、特開昭55-57841
号公報に記載されている多価フェノールとアルデヒド又
はケトンとの縮合樹脂等が挙げられる。上記ノボラック
樹脂としては、例えばフェノール・ホルムアルデヒド樹
脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、特開昭55-578
41号公報に記載されているようなフェノール・クレゾー
ル・ホルムアルデヒド共重合体樹脂、特開昭55-127553
号公報に記載されているようなp−置換フェノールとフ
ェノール或いはクレゾールとホルムアルデヒドとの共重
合体樹脂等が挙げられる。このノボラック樹脂の分子量
(ポリスチレン標準)は、好ましくは数平均分子量Mn
が3.00×102 〜7.50×103 、重量平均分子量Mwが1.00
×103 〜3.00×104 、より好ましくはMnが5.00×102
〜4.00×103 、Mwが3.00×103 〜2.00×104 である。
ノボラック樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上組み
合わせて用いてよい。またノボラック樹脂が本発明に係
る感光性組成物中に占める割合は一般に5〜95重量%で
ある。
【0028】また、本発明に用いられるフェノール性水
酸基を有するビニル系重合体としては、このフェノール
性水酸基を有する単位を分子構造中に有する重合体であ
り、下記一般式(化2)〜(化6)で表わされる少なく
とも1つの構造単位を含む重合体が好ましい。
【0029】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0030】〔式中、R1 及びR2 はそれぞれ水素原
子、アルキル基又はカルボキシル基を表し、好ましくは
水素原子である。R3 は水素原子、ハロゲン原子又はア
ルキル基を表し、好ましくは水素原子又はメチル基、エ
チル基等のアルキル基である。R4 は水素原子、アルキ
ル基、アリール基又はアラルキル基を表し、好ましくは
水素原子である。Aは窒素原子又は酸素原子と芳香族炭
素原子とを連結する、置換基を有していてもよいアルキ
レン基を表し、mは0〜10の整数を表し、Bは置換基を有
してもよいフェニレン基又は置換基を有してもよいナフ
チレン基を表す。〕
【0031】本発明に係る感光性組成物に用いられる重
合体としては共重合体型の構造を有するものが好まし
く、前記一般式(化2)〜(化6)でそれぞれ示される
構造単位と組み合わせて用いることができる。この単量
体単位としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブ
チレン、ブタジエン、イソプレン等のエチレン系不飽和
オレフィン類、例えばスチレン、α−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン
類、例えばアクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸
類、例えばイタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等
の不飽和脂肪族ジカルボン酸類、例えばアクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アク
リル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−
2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロア
クリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸のエステル
類、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル等
のニトリル類、例えばアクリルアミド等のアミド類、例
えばアクリルアニリド、p−クロロアクリルアニリド、
m−ニトロアクリルアニリド、m−メトキシアクリルア
ニリド等のアニリド類、例えば酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、ビニル安息香酸、酪酸ビニル等のビニルエス
テル類、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエ
ーテル、イソブチルビニルエーテル、β−クロロエチル
ビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、シアン化ビニリデン、例えば1−メチル
−1−メトキシエチレン、1,1−ジメトキシエチレ
ン、1,2−ジメトキシエチレン、1,1−ジメトキシ
カルボニルエチレン、1−メチル−1−ニトロエチレン
等のエチレン誘導体類、例えばN−ビニルピロール、N
−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビ
ニルピロリジン、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル
系単量体がある。これらのビニル系単量体は、不飽和二
重結合が開裂した構造で高分子化合物中に存在する。
【0032】上記単量体のうち、脂肪族モノカルボン酸
のエステル類、ニトリル類が本発明の目的に対して優れ
た性能を示し、好ましい。またこれらの単量体は、本発
明に用いられる重合体中にブロック又はランダムのいず
れかの状態で結合していてもよい。本発明に用いられる
前記ビニル系重合体の感光性組成物中に占める割合は一
般に0.5〜70重量%である。このビニル系重合体は、上
記重合体を単独で用いてもよいし、また2種以上組み合
わせて用いてもよい。また、他の高分子化合物等と組み
合わせて用いることもできる。
【0033】上記感光性組成物には、露光により可視画
像を形成させるプリントアウト材料を添加することがで
きる。このプリントアウト材料は露光により酸又は遊離
基を生成する化合物及び、これと相互に作用することに
よってその色調を変える有機染料より成るもので、露光
により酸又は遊離基を生成する化合物としては、例えば
特開昭50-36209号公報に記載のo−ナフトキノンジアジ
ド−4−スルホン酸ハロゲン化物、特開昭53-36223号公
報に記載のトリハロメチル−2−ピロンやトリハロメチ
ル−トリアジン、特開昭55-6244号公報に記載されてい
るo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロリド
と電子吸引性置換基を有するフェノール酸、又はアニリ
ン酸とのエステル化合物又はアミド化合物、特開昭55-7
7742号公報、特開昭59-148784号公報等に記載のハロメ
チルビニルオキサジアゾール化合物及びジアゾニウム塩
等が挙げられる。
【0034】また、前記の有機染料としては、ビクトリ
アピュアーブル−BOH(保土谷化学工業(株)製)、
パテントピューアーブル−(住友三国化学(株)製)、
オイルブルー#603(オリエント化学工業(株)
製)、スーダンブルーII(BASF製)、クリスタル
バイオレット、マラカイトグリーン、フクシン、メチル
バイオレット、エチルバイオレット、メチルオレンジ、
ブリリアントグリーン、コンゴーレッド、エオシン、ロ
ーダミン6G等を挙げることができる。また感光性組成
物には、上記の素材の他、必要に応じて可塑剤、界面活
性剤、有機酸、酸無水物などを添加することができる。
更に本発明に用いられる感光性組成物には、該感光性組
成物の感光性を向上するために例えば、p−tert−ブチ
ルフェノールホルムアルデヒド樹脂や、p−n−オクチ
ルフェノールホルムアルデヒド樹脂、或いはこれらの樹
脂がo−キノンジアジド化合物で部分的にエステル化さ
れている樹脂などを添加することもできる。
【0035】これらの各成分は溶媒に溶解させ、その溶
液を支持体表面に塗布乾燥させることにより感光性層を
設けて、本発明の感光性平版印刷版を製造することがで
きる。この溶媒としては、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルア
セテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エ
チレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエ
チレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメ
チルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエー
テル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレン
グリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル
アセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテ
ル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレング
リコールメチルエチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸プロ
ピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、
プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メ
チルシクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、アセチ
ルアセトン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これ
ら溶媒は、単独で、或いは2種以上混合して使用するこ
とができる。
【0036】本発明に用いられる感光性組成物を支持体
表面に塗布する方法としては、従来公知の方法、例え
ば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、エア
ーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布及びカーテン
塗布等が用いられる。塗布量は用途により異るが、例え
ば感光層が0.05〜5.0g/m3塗布される量が好ましい。
【0037】こうして得られた感光性平版印刷版の使用
に際しては、従来から常用されている方法を適用するこ
とができ、例えば線画像、網点画像などを有する透明原
画を感光層に密着して露光し、次いで露光ずみの版材料
を適当な現像液で現像して非画像部の感光層を除去する
ことによりレリーフ像が得られる。露光に好適な光源と
しては、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンラン
プ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯などが使用さ
れ、また製造に使用される現像液としては、アルカリ水
溶液が好ましく、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、第三リン酸ナ
トリウム、第二リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等
の水溶液のようなアルカリ水溶液が好ましい。このとき
のアルカリ水溶液の濃度は、感光性組成物及び塩基の種
類により異るが、概して0.1〜10重量%の範囲が適当で
あり、また酸アルカリ水溶液には必要に応じて界面活性
剤やアルコールのような有機溶媒を加えることもでき
る。
【0038】
【作用】本発明においては、アルミニウム板の表面を機
械的に粗面化して起伏、及びこの起伏上の全面に尖った
凹凸を形成し、次に化学的エッチングによってこの尖っ
た凹凸部分を消失又は角のないなだらかな形状にさせ、
更に電解粗面化によって微小なピットを起伏上の全面に
渡って形成し、その後塩基によって化学的エッチングを
行ってこのピットを角のないなだらかな形状とする。
【0039】
【実施例】以下に本発明の実施例を図に基づいて説明す
る。図1は本発明に基づく平版印刷版用支持体及びこの
支持体を用いた感光性平版印刷版の製造の一例を示す工
程図である。本図において、(a)はアルミニウム板1を
機械的粗面化したときの基板表面の状態を示すものであ
って、起伏2が形成されると共にこの起伏2上の全面に
微細な尖った凹凸3が形成されている。(b)は第1回目
の化学エッチングを行った様子を示すものであり、尖っ
た凹凸3は消失しているか、又は角のないなだらかな形
状となっている。(c)は電解粗面化後にピット4が形成
された様子を示したものであり、角の尖ったピット4が
全面にできている。最後の(d)は第2回目の塩基による
化学エッチングを行った様子を示したものであり、ピッ
ト4は角がなくなだらかなものとなっている。これに更
に耐摩耗性、耐食性を付与するために陽極酸化処理を行
うことによって本発明に基づく平版印刷版用支持体を得
ることができる。
【0040】また同図(e)はアルミニウム板1上に感光
層5を形成した本発明に基づく感光性平版印刷版を示す
物である。この感光性平版印刷版は、上記の陽極酸化処
理されたアルミニウム板1の表面を好ましくは珪酸ナト
リウム水溶液等に浸漬して親水化処理を行い、ここへ感
光性物質、染料、アルカリ可溶性樹脂、ポリマー及び溶
剤等からなる感光層形成材料を回転塗布等の方法で0.05
〜5.0g/m2程度塗布し、乾燥して感光層5を形成したも
のである。
【0041】本発明に基づく更に詳細な実施例を説明す
る。実施例1〜11及び比較例1〜6 0.3mm厚のアルミニウム板1(JIS A-1050材)を10%N
aOH水溶液中に50℃で20秒間浸漬して脱脂を行った後
水洗し、次いで25%H2SO4水溶液で30秒間中和して水
洗した。次いでナイロンブラシと400メッシュのパーミ
ントン水懸濁液を用いてこのアルミニウム板1の表面を
ブラシ研磨し、その後よく水洗した。更に70℃の20%N
aOH水溶液を用いて、Alの溶解量が下記(表1)〜
(表4)の量になるようにエッチングした。
【0042】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0043】その後水洗し、25%硝酸水溶液でデスマッ
トしてから水洗した。このようにして処理したアルミニ
ウム板1を(表1)〜(表4)に示した条件で交番波形
によって電解粗面化を行なった。このとき形成されたピ
ットを5000倍のSEM走査型電子顕微鏡で観測して、そ
れらの平均開孔径及び個数を調べた結果も同じく(表
1)〜(表4)に示した。更に電解粗面化に続いて70℃
の1%NaOH水溶液を用いてAlの溶解量が(表1)〜
(表4)に示したエッチング量でアルカリエッチング
し、10%H2SO4水溶液で50℃で2分間浸漬してデスマ
ット処理した後、同じく10%H2SO4水溶液中で陽極酸
化処理を行って、2.5g/m2 の酸化皮膜を設けた。このよ
うにして作製した支持体のうち、実施例のものはピット
4が角のないなだらかな形状であり、また起伏2上の全
面にほぼ均一に分布する良好なものであった。本実施例
及び比較例によって作製した支持体に、各例に対応し
て、実施例1〜11のものにはA−1〜A−11と、また
比較例1〜6のものにはB−1〜B−6と番号を付与し
た。
【0044】上記A−1〜A−11及びB−1〜B−6の
各支持体を用いてポジ型PS版及びネガ型PS版を作製
した。この支持体は先ずポジ型PS版について、下記組
成の感光液を各支持体に塗布し、乾燥重量が2.0g/m2
感光層を有するPS版を作製した。 感光液組成 ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとアセトンピロガロ ール樹脂とのエステル化物 2.6g クレゾールノボラック樹脂 7.0g ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸クロライド 0.06g オイルブルー 0.1g エチレングリコールモノメチルエーテル 100g 得られたPS版をポジフィルム下で減圧密着させ、3k
W超高圧水銀灯を用いて1mの距離から60秒間露光さ
せた。
【0045】次いで下記組成の現像液に液温25℃で、
20秒間浸漬して現像した。現像液組成 JIS 3号ケイ酸ナトリウム 25g KOH 15g 水 1kg これらを水洗後、アラビアゴムでゴム引きして印刷版と
した。このようにして得られた平版印刷版を新聞用オフ
セット印刷機リソピア(三菱重工(株)製)にセットし
て印刷を行った。版面の全面を水で拭いてアラビアゴム
を落とした後、版面を乾かし、インキローラーを落とし
全面に印刷インキを付着させた。その後水棒を落とし、
非画像部のインキが完全になくなって汚れのない印刷物
が得られるまでの枚数(損紙枚数)と、正常に印刷され
ている状態で水棒を上げ、水を与えないことでインキが
非画像部に付き始め、印刷物が汚れるまでの枚数(汚れ
出し枚数)を調べた。この結果を(表1)〜(表4)に
示したが、実施例の平板印刷板は損紙枚数が少なく、一
方汚れ出し枚数は多い優秀な印刷板であった。
【0046】また湿し水最適目盛、耐刷力についても調
べた。この結果を下記(表5)〜(表8)に示す。各サ
ンプルの湿し水は、最適目盛の数字の小さい方が水を少
なくすることことができるため優れている。また耐刷力
は印刷可能部数を表すものであり、数字が大きい程よ
い。
【0047】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0048】次にネガ型PS版については、ポジ型の場
合と同様の前記各支持体を2.5%珪酸ソーダ水溶液に80
℃で1分間浸漬し、水洗、乾燥した。このようにして得
られた各支持体に下記組成の感光液を塗布し、乾燥膜厚
2.0g/m2のネガ型PS版を作成した。 感光液組成 N−(4−ヒドロキシフェニル)メタアクリルアミド/2−ヒドロキシメタク リレート/アクリロニトリル/メチルメタクリレート/メタクリル酸(=10:20 :25:35:10モル比)の共重合体 5.0g 4−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドとの縮合物の六弗化燐酸塩 0.5g ビクトリアブル−BOH(保土谷化学工業(株)製) 0.1g 2−メトキシエタノール 100g このようにして得られたネガ型PS版をネガフィルム下
で減圧密着させ、3kW超高圧水銀灯を用いて距離1m
で4秒間露光させた。
【0049】次いで下記の組成の現像液で現像処理し、
更にゴム引きして平版印刷版を得た。現像液組成 ベンジルアルコール 450g トリエタノールアミン 150g モノエタノールアミン 10g イソプロピルナフタレンスルホン酸ソーダ 150g 亜硫酸ナトリウム 30g 水 8420g このようにして得られた平版印刷版をポジ型PS板の場
合と同じく新聞用オフセット印刷機リソピア(三菱重工
(株)製)にセットして印刷を行った。この結果を下記
(表9)〜(表12)に示す。
【0050】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【0051】上記の結果から明らかなように、本発明に
基づく支持体を用いた場合、保水性が良好であり、優れ
た耐刷力と非画像部の汚れ難さを併わせ持った平版印刷
刷が得られることが分かる。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、平
版印刷版用アルミニウム支持体の表面に起伏が形成さ
れ、更にこの起伏の上全面に角のないなだらかな微小ピ
ットが形成されているため、感光層との密着性がよくな
り、その結果耐刷力が改善される。また前記のように微
小なピットが支持体全面に形成されることによって支持
体の比表面積が大きくなるため、この支持体を用いて作
製された平版印刷版は保水性がよく、従って湿し水も少
なくて済む。更に上記の微小ピットは角のないなだらか
な形状であるため、感光層表面に凹凸の影響を与えず、
地汚れが生ずる心配がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく平版印刷版用支持体及びこの支
持体を用いた感光性平版印刷版の製造の一例を示す工程
【符号の説明】
1…アルミニウム板、2…起伏、3…尖った凹凸、4…
ピット、5…感光層。
フロントページの続き (72)発明者 青山 俊身 神奈川県川崎市中原区中丸子150番地 東 京応化工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平版印刷版用支持体であるアルミニウム
    板の表面が粗面化によって起伏を有し、更にこの起伏上
    にピットの平均開孔径0.2乃至5μm且つ3×106乃至9×10
    8個/cm2の、角の無いなだらかなピットを全面に渡って有
    することを特徴とする平版印刷版用支持体。
  2. 【請求項2】 アルミニウム板の表面を、機械的に粗面
    化する工程と、次に0.5乃至30g/m2 の範囲で化学的にエ
    ッチングする工程と、更に10乃至60A/dm2 の陽極時電流
    密度、200乃至600クーロン/dm2 の陽極時電気量で酸性
    水溶液中において交流電解粗面化を行う工程と、その後
    塩基によって0.1乃至10g/m2の範囲で化学的にエッチン
    グを行う工程と、最後に陽極酸化処理して陽極酸化被膜
    を形成させる工程とを含有することを特徴とする平版印
    刷版用支持体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記機械的に粗面化した際に、形成され
    る起伏上の全面に更に形成される尖った凹凸を、その後
    の化学的にエッチングする工程によって消失又は角のな
    いなだらかな形状にさせる請求項2に記載の平版印刷版
    用支持体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記電解粗面化によって、平均開孔径0.
    2乃至5μm且つ3×106乃至9×108個/cm2以上のピットを
    全面に渡って形成する請求項2又は3に記載の平版印刷
    版用支持体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記電解粗面化後の塩基による化学的エ
    ッチングによって、前記ピットを角のないなだらかな形
    状にする請求項4に記載の平版印刷版用支持体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載の平版印刷版用支持体上
    に、更に感光層を設ける工程を加えた感光性平版印刷版
    の製造方法。
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