JPH06240414A - 耐食性に優れた高強度焼入れ鋼管 - Google Patents

耐食性に優れた高強度焼入れ鋼管

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JPH06240414A
JPH06240414A JP5004893A JP5004893A JPH06240414A JP H06240414 A JPH06240414 A JP H06240414A JP 5004893 A JP5004893 A JP 5004893A JP 5004893 A JP5004893 A JP 5004893A JP H06240414 A JPH06240414 A JP H06240414A
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steel pipe
steel
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strength
corrosion resistance
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JP5004893A
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Katsuyuki Iihara
勝之 飯原
Toshiro Yamada
利郎 山田
Yuichi Higo
裕一 肥後
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車のドア内部に装着されるインパクトバ
ー等の補強部品として要求される強度や靭性を満足し、
耐食性に優れた溶接鋼管を提供する。 【構成】 C:0.10〜0.25重量%,Si:0.
05〜1.50重量%,Cr:11〜14重量%,M
n:0.20〜1.50重量%を含み、P:0.040
重量%以下及びS:0.030重量%以下に規制した鋼
から作られた電縫鋼管であって、高周波焼入れ後の引張
り強さが130kgf/mm2 以上に調整されている。
使用する鋼は、必要に応じて更にAl:0.01〜0.
10重量%,Ni:1.00重量%以下,Mo:1.0
0重量%以下及びCa:0.001〜0.01重量%の
1種又は2種以上を含むことができる。 【効果】 長期間にわたって発錆が抑制され、外観を劣
化させることなく、補強材としての機能が維持される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の再度ドアに取
り付けられるインパクトバー等の補強部品として使用さ
れる高強度焼入れ鋼管を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、特に乗用車の安全対策に関する
要求が近年とみに強くなってきている。この安全対策の
一つとして、側面から衝突した際の衝撃を吸収するた
め、サイドドアにインパクトバー等の補強部品を装着す
ることが採用されるようになってきている。インパクト
バーとして、100kg級程度の高張力冷延鋼板をプレ
ス成形したものが従来から製造されている。しかし、自
動車車体の軽量化を図るため、引張り強さ130kg/
mm2 以上、好ましくは150kg/mm2 以上の高強
度鋼管をインパクトバーとして使用する割合が増加して
いる。このような高強度鋼管は、たとえば構造用炭素鋼
鋼管JIS STKM19種,20種等の鋼管を焼入れ
することによって製造している。焼入れ鋼管をインパク
トバーとして使用するとき、高強度化を狙った設計がで
きる。しかも、構造が単純で取付けも簡単になるため、
コストの低減が図られる。そのため、引張り強さ130
kgf/mm2 以上、好ましくは150kgf/mm2
以上の高強度鋼管をインパクトバーとして使用する割合
が増えている。
【0003】高強度焼入れ鋼管は、通常1m前後の製品
長さに切断され、鋼板を成形して製造されたブラケット
を両端に接合することにより、インパクトバー等の自動
車ドア補強材としている。このインパクトバーは、両端
に取り付けられたブラケットを介して自動車ドアの内板
と外板との間に組み込まれる。そして、インパクトバー
は、ドアに一体化された状態でカチオン電着塗装工程を
経て塗装される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】高強度焼入れ鋼管の内
外周には、通常、焼入れ時に生成した薄い酸化皮膜が付
着しており、カチオン電着塗装によって防錆効果の確保
に有効な塗膜が外周側表面に形成される。しかし、酸化
皮膜等の表面性状によっては、塗膜に欠陥がもち込まれ
ることもある。他方、鋼管内部への塗装液の侵入が不十
分であることから、管端近傍の内周側表面には塗膜が形
成されるものの、内周側表面のほとんど大部分に塗装を
施すことができない。ところで、内板等の構成部材に
は、自動車のドア内部に侵入した雨水等が存在する腐食
雰囲気における防食効果を高めるため、Znめっき鋼板
等の表面処理鋼板の使用が進められている。インパクト
バーも、内板等の部材と同様に雨水や湿潤空気に曝され
る状態で使用される。そのため、長期間を経たとき、腐
食が発生し、腐食部分を起点にした破壊によって補強材
としての機能を十分に発揮できなくなる虞れがある。ま
た、腐食に伴って発生する錆がドア内部から滲み出すこ
と等の現象が生じると、外観が著しく損なわれる。
【0005】インパクトバーを構成する高強度焼入れ鋼
管に対しても、同様な防錆性が要求される。しかし、従
来から使用されているインパクトバーは、十分な防錆性
をもった焼入れ鋼管から作られていない。特に、鋼管内
部に侵入した雨水等に接触する内周側表面では、外周側
に比較してより厳しい腐食環境に曝されるにも拘らず、
鋼管内部に対する塗装が不十分なことと相俟つて腐食が
発生し易い。このようなことから、高強度焼入れ鋼管の
両端にブラケットを接合する際、鋼管の開口部を密閉す
る形状をもったブラケットを溶接する方法,開口部を樹
脂等で覆う方法等が検討されている。しかし、これらの
方法は、溶接加工の煩雑さや部品の増加等を招き、コス
トを上昇させる原因となる。そのため、工業的には、必
ずしも有効な方法といえない。
【0006】また、鋼管の素材である鋼板に対するめっ
きを施しても、焼入れ処理時に酸化等が生じ、めっき層
が無効になり易い。めっき層形成による防錆性を確保す
るためには、熱処理後の焼入れ鋼管に対して溶融亜鉛め
っき,電気めっき等を施すことが余儀なくされる。焼入
れ鋼管に対するめっきは、技術的には可能であるもの
の、鋼管1本ごとの処理が必要とする。そのため、処理
の煩雑さ,製造設備の改造或いは増設等が要求され、有
効な対策ではない。本発明は、このような問題を解消す
べく案出されたものであり、素材の選択及び焼入れ後強
度の特定により、鋼材自体としての耐食性が優れ、補強
部品として要求される機械的特性を十分に備えた焼入れ
鋼管を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の高強度焼入れ鋼
管は、その目的を達成するため、C:0.10〜0.2
5重量%,Si:0.05〜1.50重量%,Cr:1
1〜14重量%,Mn:0.20〜1.50重量%を含
み、P:0.040重量%以下及びS:0.030重量
%以下に規制した鋼から作られた電縫鋼管であって、高
周波焼入れ後の引張り強さが130kgf/mm2 以上
に調整されている。使用する鋼は、更にAl:0.01
〜0.10重量%,Ni:1.00重量%以下,Mo:
1.00重量%以下及びCa:0.001〜0.01重
量%の1種又は2種以上を含むことができる。電縫鋼管
としては、電縫溶接したままの丸管,電縫鋼管を角型に
成形した角管等を使用することができる。
【0008】
【作 用】本発明者等は、製造設備を改造或いは増設す
る必要がないことを前提として、高強度焼入れ鋼管とし
ての強度及び靭性を満足し、且つ鋼管表面の耐食性を向
上させるための素材選択及び焼入れ状態について調査・
研究した。その結果、特定された成分をもつマルテンサ
イト系ステンレス鋼を使用するとき、インパクトバー等
の補強部品としての用途に適した高強度焼入れ鋼管が得
られることを見い出した。すなわち、焼入れ前の加工
性,焼入れ鋼管の強度及び靭性レベルの向上,高周波焼
入れに対応した焼入れ性,耐食性等に関する総合的な観
点から、合金元素及びその含有量が特定され、高周波焼
入れした後の引張り強さが特定されたものである。得ら
れた高強度焼入れ鋼管は、補強部品として使用中に水又
は湿潤雰囲気に暴露されても、十分に優れた防錆作用を
呈する鋼管表面をもつ。
【0009】以下、本発明で使用する鋼に含まれる合金
元素及び含有量を説明する。 C: 焼入れした鋼管の強度は、基本的にはC含有量に
よって定まり、他の合金元素による効果は小さい。13
0kgf/mm2 以上の引張り強さに相当する硬さ約H
R C40を得るために、0.1重量%以上のCが必要で
ある。C含有量が0.10重量%未満では、インパクト
バー用高強度鋼管として要求される130kgf/mm
2 以上の引張り強さが得られない。しかし、0.25重
量%を超える多量のCを含有すると、焼入れ鋼管として
の強度は得られるものの、靭性の低下が著しくなる。そ
のため、衝撃荷重が負荷されたとき脆性的に破断し易
く、インパクトバーとして好ましくない性質を呈する。
更には、C含有量の増加に伴って、耐食性が低下する。
したがって、本発明においては、0.10〜0.25重
量%の範囲にC含有量を定めた。
【0010】Si: 鋼の脱酸剤として使用され、耐食
性の向上にも有効な合金元素である。この作用を得る上
から、0.05重量%以上のSi含有が必要とされる。
しかし、Siは、強力なフェライト生成元素であり、多
量に含まれると焼入れ時のオーステナイト化が困難にな
る。また、Si含有量の増加は、靭性を阻害する傾向を
示す。したがって、本発明においては、0.05〜1.
50重量%の範囲にSi含有量を設定した。
【0011】Mn: 鋼材の焼入れ性を高め、強靭化を
図る上で有効な合金元素である。しかし、1.50重量
%を超える多量のMnを含有する鋼では、Mn系の非金
属介在物が増加し、しかも縞状組織が発達し易くなる。
その結果、靭性の低下が見られる。したがって、本発明
においては、0.20〜1.50重量%の範囲にMn含
有量を設定した。 P: 焼入れ鋼管の靭性を劣化させる有害元素であるこ
とから、0.040重量%のP含有量の上限を規定し
た。 S: MnS等の非金属介在物の生成を促進させ、靭性
や耐食性の劣化,溶接部の健全性の低下等の欠陥を発生
させる。そこで、本発明においては、S含有量の上限を
0.030重量%に規定した。
【0012】Cr: 鋼材の焼入れ性を高め、耐食性を
向上させる上で有効な合金元素である。この作用を得る
ためには、11重量%以上のCrを含有させることが必
要である。焼入れ性及び耐食性は、Cr含有量が増加す
るに従って良好になる。しかし、14重量%を超える多
量のCrを含有させると、焼入れ後の組織がフェライト
+マルテンサイトになり、強度の低下が著しくなる。ま
た、耐食性向上に寄与する作用も、14重量%を超える
Cr含有量では増量に見合った向上がみられない。更に
は、Cr含有量の増大に伴って、鋼材コストも上昇す
る。したがって、本発明においては、11〜14重量%
の範囲にCr含有量を設定した。 本発明で使用する鋼は、更に選択成分としてNi,M
o,Al,Ca等の1種又は2種以上を含むことができ
る。Ni,Mo,Al,Ca等の作用は、次の通りであ
る。
【0013】Ni: 鋼の耐食性を向上させ、靭性の劣
化を抑えながら高強度化を図る上で有効な合金元素であ
る。しかし、多量のNiを含有させることは、増量に見
合った性質改善が得られないばかりか、鋼材コストを上
昇させる原因ともなる。そこで、Niを含有させる場合
には、その上限を1.00重量%とする。 Mo: 鋼材に強靭性を付与する上で有効な合金元素で
あり、耐食性の改善にも働く。しかし、Moは、フェラ
イト生成元素であり、焼入れ時のオーステナイト化を妨
げる。また、高価な合金元素であり、1.00重量%を
超えて含有させても増量に見合った効果が得られず、経
済的に不利になる。したがって、Moを添加する場合に
は、その含有量の1.00重量%以下に設定する。
【0014】Al: 溶鋼の脱酸剤として使用される元
素である。しかし、0.10重量%を超える多量のAl
を含有させると、鋼の清浄度が損なわれると共に、表面
傷が発生し易くなる。また、強力なフェライト生成元素
であることから、焼入れ時のオーステナイト化を困難に
する。したがって、合金元素としてAlを含有させる場
合、0.01〜0.10重量%の範囲にAl含有量を設
定する。 Ca: S系の非金属介在物の形態を制御して無害化す
ると共に、焼入れ前の加工性及び焼入れ後の靭性を高め
る上で有効な合金元素である。この作用は、0.001
重量%以上のCaを含有させるとき顕著になる。しか
し、0.01重量%を超えて多量のCaを含有させる
と、鋼中の非金属介在物の量が増大し、表面傷が発生し
易くなる。そこで、Caを添加する場合には、その含有
量を0.001〜0.01重量%の範囲に設定する。
【0015】以上の成分系をもつ鋼は、種々の方法によ
って鋼管に製造される。たとえば、均質な製品特性を得
るために、継ぎ目のないシームレスパイプを製造するこ
とも可能である。しかし、製造コストを考慮すると、高
周波誘導加熱で鋼板を突合せ溶接して電縫鋼管を製造す
る方法がインパクトバー等の補強部品の製造に最も適し
ている。電縫鋼管の製造に際し、十分な成形加工性を得
るために素材鋼板として焼鈍材を使用することが有利で
ある。しかし、熱間圧延条件の調整によって特性を作り
込み、熱間圧延したままの板材を素材として使用するこ
とも可能である。電縫鋼管は、電縫溶接部が焼入れ効果
を受けて硬質になっている。そのため、造管後の鋼管全
体の焼鈍,電縫溶接部のみを高周波加熱等で加熱するシ
ームアニール等によって、成形加工性を確保することも
有効な手段である。
【0016】鋼管形状としては、造管したままの円形断
面をもつものが鋼管素材のコスト面や熱処理の容易性等
から有利である。しかし、矩形断面をもつ角型鋼管とし
て使用することもできる。矩形断面としては、必ずしも
正方形である必要はなく、断面の縦横長さが異なる扁平
角形であっても良い。角型鋼管は、インパクトバー等の
補強部品として装着した状態で曲げ荷重が負荷されたと
き、変形初期に大きな変形抵抗を示す。しかも、ドアの
外板と内板との間の間隙に装着する場合の設計が容易に
なる。溶接鋼管からインパクトバー等の補強部品を製造
する方法としては、所定長さの補強部品に溶接鋼管を切
り出した後で焼入れを施す方法,数mの長さをもつ長尺
溶接鋼管を焼入れした後で製品長さの短尺鋼管に切断す
る方法がある。
【0017】溶接鋼管の焼入れも、種々の方法を採用す
ることが可能であるが、焼入れ組織の均質性,焼入れ後
の形状安定性等を考慮して本発明では高周波焼入れを採
用している。焼入れ加熱条件は、鋼管の径,肉厚等によ
って変わるが、一般的には加熱速度250〜350℃/
秒及び保持時間6〜10秒の範囲で選定される。また、
冷却速度は、空冷の場合では5〜10℃/秒となるが、
本発明に従った成分・組成をもつ鋼においてはマルテン
サイト組織を得るために十分な速度である。短尺鋼管を
高周波焼入れするとき、鋼管両端部を保持する治具,高
周波コイル及び水冷管等を備えた高周波焼入れ設備を使
用し、保持軸又は高周波加熱コイルを鋼管の長手方向に
沿って相対的に移動させながら、加熱及び冷却を行う通
常の焼入れ方法を採用することができる。このとき、保
持治具に回転機構を負荷し、鋼管を回転させながら相対
的に移動させると、周方向の均一性が向上する。高周波
加熱された溶接鋼管は、高周波加熱コイルの出側に配置
した冷却水配管のノズルから噴射される冷媒で急速冷却
される。冷媒としては、水又は油が用いられるが、空冷
によっても焼入れ可能である。
【0018】長尺鋼管を高周波焼入れするときも、短尺
鋼管と同様に鋼管両端部を保持する治具を使用すること
ができる。或いは、ローラコンベア及びピンチローラを
使用して長尺鋼管を連続的に搬送しながら、ローラコン
ベアの間に設置した高周波加熱コイル及び冷却管により
焼入れすることも可能である。焼入れ後の鋼管強度は、
130kgf/mm2 以上の引張り強さをもつことが必
要である。従来の高張力冷延鋼板の成形品を焼入れ鋼管
に置換する場合、130kgf/mm2 未満の引張り強
さでは必要な肉厚が大きくなり、インパクトバーの軽量
化につながらない。また、コストメリットも低下する。
【0019】焼入れ組織は、引張り強さが130kgf
/mm2 以上であれば、基本的には必ずしもマルテンサ
イト組織である必要はない。しかし、高周波焼入れで
は、冷却速度の厳格な制御は困難である。そのため、た
とえばベーナイト等が混在する組織をもった鋼材に高周
波焼入れすると、冷却速度の如何に応じて機械的性質が
大きく変動し易くなる。この点で、機械的性質を安定さ
せるために、強度が冷却速度に依存しないマルテンサイ
トを主体とした焼入れ組織にすることが有効である。本
発明にあっては、比較的小さな冷却速度でも十分な焼入
れ組織が得られるように、使用する鋼材の合金成分を調
整している。本発明に従った成分・組成をもつ鋼におい
て、焼入れ後の引張り強さが130kgf/mm2 未満
となった場合、不完全焼入れになっているものと考えら
れる。この状態では、焼入れ組織が不均一になって靭性
が低下し、インパクトバーとしての要求特性を満足でき
なくなる。この点で、130kgf/mm2 以上の引張
り強さをもつように熱処理を施す必要がある。焼入れさ
れた鋼管は、適当な温度に焼き戻すとき靭性が向上し、
インパクトバー等の補強部品としてより好ましい特性を
付与することができる。
【0020】
【実施例】表1に示した成分・組成をもつ鋼を転炉で溶
製し、スラブに連続鋳造した。得られたスラブを通常の
熱延ラインで熱間圧延し、板厚2.3mmの熱延板を製
造した。熱延板を酸洗した後、一部については更に焼鈍
を施し、所定の幅にスリットした。次いで、造管機によ
って外径25.4mmの電縫鋼管を製造し、電縫溶接部
にシームアニールを施した。
【表1】
【0021】電縫鋼管を700mmの長さに切断し、高
周波誘導加熱によって900〜1000℃まで昇温速度
300℃/秒で加熱し、8秒保持後、冷却速度8℃/秒
で空冷する焼入れを施した。高周波焼入れに際しては、
上下のチャック部分で鋼管両端部を保持し、回転を与え
ながら高周波加熱コイルの間を通過させた。焼入れされ
た鋼管に250℃に60分間加熱する焼戻しを施した
後、引張り試験及び衝撃曲げ試験によって機械的性質を
調査した。衝撃曲げ試験では、焼入れ鋼管を500mm
の間隔で2点支持し、その上に先端部が半径50mmの
円弧状先端部をもつ質量100kgの重錘を2mの高さ
から落下させ、鋼管の変形・破壊状態を観察した。
【0022】また、同じ焼入れ鋼管について、焼入れ鋼
管の外周側表面にシールペイントを塗布した後で24時
間の塩水噴霧試験を行った。試験後に鋼管を切断し、内
周側表面における発錆状況を観察した。なお、一部の鋼
管については、外周側表面にシールペイントを施すこと
なく塩水噴霧試験に供した。強度試験及び耐食性試験の
結果を、表2にまとめて示す。
【表2】
【0023】本発明で規定した範囲を外れる成分・組成
をもつ鋼Aでは、130kgf/mm2 以上の引張り強
さが得られておらず、また塩水噴霧後に内周側表面全域
にわたる発錆が観察された。同じく鋼Hでは、靭性が不
足しているため、衝撃荷重が負荷されたときに脆性的な
破断を生じた。引張り強さが130kgf/mm2 を超
える鋼B及びCでは、靭性が良好であるものの、内周側
表面のほぼ全域に赤錆が発生していた。鋼Fも、引張り
強さ及び靭性では要求特性を満足するものの、内周側表
面及び外周側表面のほぼ全域に赤錆が発生していた。
【0024】これに対し、本発明で規定した成分・組成
に関する要件を満足し且つ高周波焼入れ後の引張り強さ
が130kgf/mm2 以上の鋼では、D,E及びGの
何れにおいてもドア補強部品として十分に要求特性を満
足する機械的強度をもち、しかも優れた耐食性のため内
周側表面及び外周側表面における赤錆発生は皆無であっ
た。この対比から明らかなように、本発明に従った高強
度焼入れ鋼管は、インパクトバー等の自動車用補強部品
として優れた機械的性質を呈し、耐食性にも優れてい
る。そのため、腐食を起点とした材質劣化をきたすこと
なく、長期間にわたって所与の機能を発揮する。
【0025】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、使用する電縫鋼管の成分・組成を特定すると共に、
高周波焼入れ後の引張り強さが130kgf/mm2
なるように調整することによって、インパクトバー等と
して要求される強度及び靭性をもち、内外表面の耐食性
も優れた自動車用補強部品が得られる。また、赤錆の流
出等、発錆に起因した外観の劣化もない。そのため、室
内環境に悪影響を与えることなく、長期間にわたって運
転手や同乗車の安全を図る軽量部品として使用される。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.10〜0.25重量%,Si:
    0.05〜1.50重量%,Cr:11〜14重量%,
    Mn:0.20〜1.50重量%を含み、P:0.04
    0重量%以下及びS:0.030重量%以下に規制した
    鋼から作られた電縫鋼管であって、高周波焼入れ後の引
    張り強さが130kgf/mm2 以上に調整されている
    耐食性に優れた高強度焼入れ鋼管。
  2. 【請求項2】 C:0.10〜0.25重量%,Si:
    0.05〜1.50重量%,Cr:11〜14重量%,
    Mn:0.20〜1.50重量%を含み、更にAl:
    0.01〜0.10重量%,Ni:1.00重量%以
    下,Mo:1.00重量%以下及びCa:0.001〜
    0.01重量%の1種又は2種以上を含み、P:0.0
    40重量%以下及びS:0.030重量%以下に規制し
    た鋼から作られた電縫鋼管であって、高周波焼入れ後の
    引張り強さが130kgf/mm2以上に調整されてい
    る耐食性に優れた高強度焼入れ鋼管。
JP5004893A 1993-02-16 1993-02-16 耐食性に優れた高強度焼入れ鋼管 Withdrawn JPH06240414A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US4831456A (en) * 1986-12-08 1989-05-16 Olympus Optical Co., Ltd. Imaging apparatus using a solid-state imaging element having a substrate
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