JPH06234379A - 推進力を確保したゴムクロ−ラ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はゴムクロ−ラに関するものであり、
特に言えば、湿田等においても推進力を確保・向上した
ゴムクロ−ラにかかるものである。 【構成】 無端状ゴム弾性体中に一定間隔をもって多数
の芯金を埋設し、かつこの芯金を外囲いした抗張体列Ａ
を埋設し、無端状ゴム弾性体の外周面にゴムラグを形成
したゴムクロ−ラであって、前記芯金を外れた無端状ゴ
ム弾性体の幅方向端に、芯金を外囲いした抗張体列Ａよ
りも外周面側に位置して抗張体列Ｂを埋設したことを特
徴とするゴムクロ−ラの構造。 【効果】 本発明は、ゴムクロ−ラの耳部の特定位置に
抗張体列Ｂを配列するものであって、このため、ゴムク
ロ−ラがスプロケットとアイドラ−間に巻き掛けされた
際には、耳部が確実に変形し、このためゴムラグの間に
詰まっていた泥等は確実に落下するもので、ここにゴム
クロ−ラの推進力を確保することとなったものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はゴムクロ−ラに関するも
のであり、特に言えば、湿田等においても推進力を確保
・向上したゴムクロ−ラにかかるものである。

【０００２】

【従来の技術】ゴムクロ−ラは農機具の走行部として広
く用いられているが、湿田等に用いた場合にはゴムクロ
−ラの外周側に形成されたラグ間に泥が詰まり、これが
落下せずに地面より持ち上がり回転するため、ゴムクロ
−ラが再び接地した場合にも本来の推進力が大幅に低下
することがある。

【０００３】即ち、ラグとラグとの間に泥や小石等が詰
まったまま持ち上がり、更にこれがそのまま接地するこ
ととなる。これはゴムクロ−ラの外周面にゴムラグが形
成されていないのと同じあって、ゴムクロ−ラは回転し
ていても推進力が低下してしまい、機体を走行させるこ
とができなくなってしまう。

【０００４】このため、ゴムクロ−ラの幅方向の端部
（耳部）が曲がるように工夫し、ラグ間に詰まった泥等
を落下させることが提案されている。これは、ゴムクロ
−ラは一般には多数の芯金を埋設し、これを外囲いした
抗張体列Ａ（スチ−ルコ−ド列Ａ）が同様に埋設されて
おり、芯金の先端を外れたいわゆるゴムクロ−ラの耳部
が曲がるようにしたものである。しかるに、この種のゴ
ムクロ−ラにあっても、耳部を十分に曲げることは難し
く、又、ゴムの屈曲部の耐久性が悪く、ゴムクロ−ラの
寿命がそれだけ短いと言う欠点があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、ゴムクロ−
ラの耳部の屈曲運動を効果的にするためのゴムクロ−ラ
の構造であって、ゴムクロ−ラの耳部に抗張体（スチ−
ルコ−ド列Ｂ）を埋設し、しかもこの埋設位置を特定し
たものであって、耳部の屈曲運動を確実にしたものであ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は以上の目的を達
成するためになされたものであって、その要旨は、無端
状ゴム弾性体中に一定間隔をもって多数の芯金を埋設
し、かつこの芯金を外囲いした抗張体列Ａを埋設し、無
端状ゴム弾性体の外周面にゴムラグを形成したゴムクロ
−ラであって、前記芯金を外れた無端状ゴム弾性体の幅
方向端に、芯金を外囲いした抗張体列Ａよりも外周面側
に位置した抗張体列Ｂを埋設したことを特徴とするゴム
クロ−ラの構造にかかるものである。ここで言う抗張体
列は、通常はスチ−ルコ−ドが用いられる。

【０００７】

【作用】ゴムクロ−ラは、一般にはその長手方向に横に
並べられて多数の芯金が埋設され、これの外側に抗張体
としてのスチ−ルコ−ド列が同様に埋設されていて、外
周面にゴムラグが形成されているものである。そして、
ゴムクロ−ラは、図６に示すように機体の前後に備えら
れたスプロケット１及びアイドラ−２間に巻き掛けさ
れ、常に張力が掛けられた状態で走行に供されるもので
ある。しかるに、ゴムクロ−ラ３に張力が掛けられる
と、芯金４の外側に配置されたスチ−ルコ−ド列Ａが張
力を負担し、これが張力の基準面となり、芯金４の存在
によりスチ−ルコ−ド列Ａには均一の力が加わるのであ
る。一方、ゴムクロ−ラ３の幅方向端即ち耳部５は、図
７に示すように内周側に曲がってしまうのが一般的であ
る。

【０００８】本発明はこのゴムクロ−ラ３の耳部５の内
周側への曲がりを効果的に制御しようとするものであっ
て、図１に示すようにゴムクロ−ラ３の耳部５におい
て、スチ−ルコ−ド列Ａよりも外周側にスチ−ルコ−ド
列Ｂを配置埋設するものである。従って、このゴムクロ
−ラ３がスプロケット１とアイドラ−２との間に巻き掛
けされ、これに張力が掛かると、耳部５のスチ−ルコ−
ド列Ｂはこの内側にこれを拘束するものがないため、後
述する図２に示すようにスチ−ルコ−ド列Ａに準じた位
置にまで変位することとなる。このように、ゴムクロ−
ラ３の耳部５は内周側に半強制的に曲げられこれが繰り
返されることとなる。

【０００９】本発明のゴムクロ−ラ３にあっては、ゴム
クロ−ラ３の耳部５を内周側に曲げたり元に戻ったりす
る変形が常に繰り返されることとなる。従って、耳部５
の外周側に形成されたゴムラグ６、６間に詰まった泥
は、この変形が繰り返されることによりラグ６、６間よ
り落下し易くなるものである。そして、ゴムクロ−ラ３
が再度接地する際には、少なくとも耳部５に形成された
ゴムラグ６、６間の泥Ｅは落下しており、このため、ゴ
ムクロ−ラ３へ推進力が確実に伝わることとなるのであ
る。尚、図中、７は転輪、８はロ−ラ−を示す。

【００１０】

【実施例】以下、本発明のゴムクロ−ラの構造を実施例
に基づいて更に詳細に説明する。図１は本発明のゴムク
ロ−ラの第１実施例を示す断面図であって、図２はスプ
ロケット１に巻き掛けした際の概念断面図を示すもので
ある。このゴムクロ−ラ３は、前記したように芯金４を
外囲いするスチ−ルコ−ド列Ａに対して、ゴムクロ−ラ
３の耳部５におけるスチ−ルコ−ド列Ｂを、耳部端にな
るにつれて外周側に位置するように傾斜配置したもので
ある。

【００１１】しかるに、このゴムクロ−ラ３がスプロケ
ット１とアイドラ−２間に巻き掛けされた場合には、図
２に示したように、芯金４から外れた耳部５のスチ−ル
コ−ド列Ｂは内周側に変位し、スチ−ルコ−ド列Ａとほ
ぼ同じ水平位置にまで変形するものであって、耳部５の
この変形は常に繰り返され、ゴムラグ６、６間に詰まっ
た泥はこのため落下し易くなるものである。

【００１２】図３は本発明のゴムクロ−ラ３の第２実施
例であり、耳部５におけるスチ−ルコ−ド列Ｂは、芯金
４を外囲いするスチ−ルコ−ド列Ａに対して段差ｄをも
ってゴム中に埋設されている例である。

【００１３】図４は本発明のゴムクロ−ラ３の第３実施
例であり、耳部５におけるスチ−ルコ−ド列Ｂは、芯金
４を外囲いするスチ−ルコ−ド列Ａに対して徐々に外側
に傾斜配置し、次いで水平方向に配置された例である。

【００１４】図５は本発明のゴムクロ−ラ３の第４実施
例であり、耳部５におけるスチ−ルコ−ド列Ｂは、芯金
４を外囲いするスチ−ルコ−ド列Ａに対してこの端部よ
り外周側に山形に配置されたものである。

【００１５】以上に示す実施例において、第１実施例は
スプロケットやアイドラ−に巻き付く際にその変形がス
ム−ズであり、従って、ゴムクロ−ラに無理な変形等が
加わる程度が少なく、ゴムクロ−ラの耐久性が向上する
こととなる。又、第２実施例にあっては、剪断変形は加
わるが、泥落とし効果が大きく、その製造は比較的容易
である。更に、実施例３のゴムクロ−ラにあっては、実
施例１と実施例３との中間の効能を示すものである。更
に又、実施例４のゴムクロ−ラは、実施例１のゴムクロ
−ラにおける端部集中応力を減じたものであって、ゴム
クロ−ラの耐久性が更に高くなるという特徴がある。

【００１６】

【発明の効果】本発明は以上詳述したようにゴムクロ−
ラの耳部の特定位置に抗張体列Ｂを配列するものであっ
て、このため、ゴムクロ−ラがスプロケットとアイドラ
−間に巻き掛けされた際には、耳部が確実に変形し、こ
のためゴムラグの間に詰まっていた泥等は確実に落下す
るもので、ここにゴムクロ−ラの推進力を確保すること
となったものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明のゴムクロ−ラの第１実施例の
幅方向断面図である。

【図２】図２は、図１に示すゴムクロ−ラのスプロケッ
トに巻き掛けされた際の断面図である。

【図３】図３は、本発明のゴムクロ−ラの第２実施例の
幅方向断面図である。

【図４】図４は、本発明のゴムクロ−ラの第３実施例の
幅方向断面図である。

【図５】図５は、本発明のゴムクロ−ラの第４実施例の
幅方向断面図である。

【図６】図６は、ゴムクロ−ラの全体図を示す側面概念
図である。

【図７】図７は、従来のゴムクロ−ラのスプロケットに
巻き掛けされた際の断面図である。

【符号の説明】

Ａ‥‥外側に配置されたスチ−ルコ−ド列、 Ｂ‥‥耳部のスチ−ルコ−ド列、 ｄ‥‥スチ−ルコ−ド列Ａとスチ−ルコ−ド列Ｂとの段
差、 １‥‥スプロケット、 ２‥‥アイドラ−、 ３‥‥ゴムクロ−ラ、 ４‥‥芯金、 ５‥‥クロ−ラの幅方向端（耳部）、 ６‥‥ゴムラグ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 無端状ゴム弾性体中に一定間隔をもって
   多数の芯金を埋設し、かつこの芯金を外囲いした抗張体
   列Ａを埋設し、無端状ゴム弾性体の外周面にゴムラグを
   形成したゴムクロ−ラであって、前記芯金を外れた無端
   状ゴム弾性体の幅方向端に、芯金を外囲いした抗張体列
   Ａよりも外周面側に位置して抗張体列Ｂを埋設したこと
   を特徴とするゴムクロ−ラの構造。