JPH06227333A - バンパー装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は軽量で機械的強度が高く、構成が簡素
で製造が容易であるスティを備えたバンパー装置を提供
することを目的とする。 【構成】バンパー表皮１と、このバンパー表皮の後側に
位置してバンパー表皮を取り付ける補強体２と、この補
強体の後側に位置して補強体を取り付けるとともに自動
車の車体に設けられたサイドメンバーに取り付けられる
スティ３とを備え、このスティは、アルミニウムまたは
その合金からなり内部に補強部を有する押出し成形中空
形材で形成され、且つ前記スティは、その軸線が車体の
前後方向に対して直角となる向きに配置されていること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は自動車に装備されるバン
パー装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車に用いるバンパー装置は、バンパ
ー表皮と、このバンパー表皮の後側に位置してバンパー
表皮を取り付ける補強体と、この補強体の後側に位置し
て補強体を取り付けるとともに自動車の車体に設けられ
たサイドメンバーに取り付けられるスティとを備えてい
る。

【０００３】最近このバンパー装置では、押出し成形さ
れたアルミニウムまたはその合金からなる中空形材で製
作した補強体を使用し、この補強体の前面部に合成樹脂
で形成されたバンパー表皮を取付け、後面部に鋼板で形
成されたスティを取り付けたものがある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような従来のバン
パー装置において、補強体を車体に取り付けるスティ
は、鋼板をプレスで箱形に形成したものが用いられてい
る。

【０００５】しかし、このスティには次に述べる問題が
ある。

【０００６】スティは衝突時に補強体に加わる衝撃力を
吸収して自動車の車体を守る働きしているので、衝撃に
充分耐える強度を有することが必要である。

【０００７】ところが、鋼板を組み合せて構成されるス
ティは、衝撃に充分耐える強度を持たせるためには鋼板
の板厚を充分厚くしているので重量の軽減を図る上で限
界があり、この結果バンパー装置全体の重量を図る上で
も限界が生じている。

【０００８】逆にスティを構成する鋼板の板厚を薄くし
て軽量化を図ると、スティの機械的強度が低下して衝撃
エネルギーを充分吸収できなくなるという問題がある。

【０００９】さらに、従来のスティでは、バンパー装置
の補強体を取付ける部分を、鋼板を曲げ加工して形成す
る、あるいは鋼板を溶接により接合することにより形成
している。このため、補強体を取付ける部分を形成する
プレス加工または溶接作業が複雑で製造コストが高くな
るという問題がある。

【００１０】本発明は前記事情に基づいてなされたもの
で、軽量で機械的強度が高く、構成が簡素で製造が容易
であるスティを備えたバンパー装置を提供することを目
的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に第一の発明の自動車のバンパーは、バンパー表皮と、
このバンパー表皮の後側に位置して前記バンパー表皮を
取り付ける補強体と、この補強体の後側に位置して前記
補強体を取り付けるとともに自動車の車体に設けられた
サイドメンバーに取り付けられるスティとを備え、この
スティは、アルミニウムまたはその合金からなり内部に
補強部を有する押出し成形中空形材で形成され、且つ前
記スティは、その軸線が前記車体の前後方向に対して直
角となる向きに配置されていることを特徴とする。

【００１２】第二の発明の自動車のバンパーは、バンパ
ー表皮と、このバンパー表皮の後側に位置して前記バン
パー表皮を取り付ける補強体と、この補強体の後側に位
置して前記補強体を取り付けるとともに自動車の車体に
設けられたサイドメンバーに取り付けられるスティとを
備え、このスティは、アルミニウムまたはその合金から
なる押出し成形中空形材で形成され、軸方向長さが断面
の縦長さおよび横長さより長く、且つ前記スティは、そ
の軸線が前記車体の前後方向に沿う向きに配置されてい
ることを特徴とする。

【００１３】

【作用】発明者はバンパー装置に用いる補強体について
種々研究を重ねてきた。この過程で、発明者は構造およ
び製造の面で、アルミニウムまたはその合金を押出し成
形して得られた中空形材で補強体を形成することに着目
した。

【００１４】そこで、本願発明の発明者は、鋼板で形成
されたスティを用いたバンパー装置と、アルミニウムま
たはその合金を押出し成形して得られた中空形材で形成
されたスティを用いたバンパー装置とを、夫々自動車の
車体に装着して前方から衝撃力を加える試験を行った。
なお、各バンパー装置のバンパー表皮は合成樹脂で形成
し、補強体はアルミニウムまたはその合金を押出し成形
して得られた中空形材で形成した。

【００１５】後者のバンパー装置では、２種類のスティ
を用いた。その一つは、内部に補強部を有する押出し成
形中空形材で形成されたスティを、その軸線が車体の前
後方向に対して直角となる向きに配置したものである。
他の一つは、軸方向長さが断面の縦長さおよび横長さよ
り長いスティを、その軸線が前記車体の前後方向に沿う
向きに配置したものである。

【００１６】試験の結果、前者のバンパー装置に設けら
れた鋼板で形成されたスティは大きな凹みや変形が生じ
たが、後者のバンパーに設けられたアルミニウムまたは
その合金を押出し成形して得られた中空形材で形成され
た２種類のスティはいずれもほとんで凹みや変形が生じ
なかった。

【００１７】この結果、アルミニウムまたはその合金を
押出し成形して得られた中空形材で形成され、且つ内部
に補強部を有するものは外部からの力に対して大きい変
形抵抗を有することがわかった。そして、アルミニウム
またはその合金はからなる中空形材は軽量であるうえ
に、高強度を得るために内部に補強部を設けることによ
って断面形状が複雑になった場合にも押出し成形によっ
て容易に製造できるという利点がある。

【００１８】また、中空形材をその軸方向すなわち押出
し成形方向と、中空形材が圧縮変形する方向すなわち自
動車の車体の前後方向とを揃えて配置すると、中空形材
が座屈荷重に対して十分耐えることがわかった。この構
成は中空形材の内部に補強部を設けなくとも良く、この
ため中空形材の製造がより一層容易となる、これらのこ
とからバンパー装置における衝突に関しては、スティに
アルミニウムまたはその合金からなる押出し成形された
中空形材を使用することにより耐衝撃特性を向上させる
ことが可能であることがわかった。

【００１９】第一の発明では、スティは、アルミニウム
またはその合金からなり内部に補強部を有する押出し成
形中空形材で形成され、軸線が前記車体の前後方向に対
して直角となる向きに配置されているので、軽量で機械
的強度が高く、構成が簡素で製造が容易である。

【００２０】第二の発明では、スティは、アルミニウム
またはその合金からなる押出し成形中空形材で形成さ
れ、軸方向長さが断面の縦および横より長く、軸線が前
記車体の前後方向と平行に対して平行となる向きに配置
されているので、軽量で機械的強度が高く、さらに第一
の発明のスティに比較して一層構成が簡素で製造が容易
である。

【００２１】

【実施例】第一の発明の一実施例について図１および図
２を参照して説明する。

【００２２】図中１はバンパー表皮、２は補強体、３は
一対のスティである。

【００２３】バンパー表皮１は例えば樹脂で形成されて
おり、両端が湾曲されている。バンパー表皮１の内部に
は緩衝材（図示せず）が配置されている。補強体２は金
属、例えばアルミニウム合金からなる押出し成形中空形
材で形成されており、バンパー表皮１と同じ形状をなし
ている。補強体２はバンパー表皮１の後側に重ねて配置
されて図示しないボルトによりバンパー表皮１を取付け
ている。

【００２４】ステイ３は図２に示すようにアルミニウム
またはその合金からなる押出し成形法により成形された
中空形材で形成されている。ステイ３は補強体２の両端
部の後側において夫々配置され、且つその軸方向が自動
車の車体の前後方向に対して直角になるように配置され
ている。

【００２５】ステイ３は断面四辺形をなし、補強体２に
接する前側辺部３ａは補強体２の辺部に対応した形状を
なしている。ステイ３は内部に十字形の補強部４が形成
されている。ステイ３は前側辺部３ａと対向する後側辺
部３ｂには、自動車の車体に設けられるサイドメンバー
２１に取り付ける一対の取付け片部５が形成されてい
る。なお、各スティ３の前側辺部３ａには孔６が形成さ
れ、一対の取付け片部５には孔７が形成されている。

【００２６】スティ３は、その前側辺部３ａが補強体２
の後側辺部に当接され、ねじ８を孔６および補強体２の
後側辺部に形成された孔１０に通して補強体２を取付け
ている。

【００２７】このように構成されたバンパー装置は自動
車の車体に設けられた一対のサイドメンバー１１に取付
けられている。サイドメンバー２１は車体の前後方向に
設けられている。バンパー装置はサイドメンバー２１の
前側に配置され、各スティ３の一対の取付け片部５は対
向するサイドメンバー２１の前端に嵌合され、ねじ９を
孔７およびサイドメンバー２１に形成された孔１１に通
して各サイドメンバー２１に取付けられている。ここ
で、スティ３を形作る中空形材は中空部に補強部４を有
するので、外部からの力に対して大きい変形抵抗を有す
る。このため、スティ３はバンパー装置のスティ３とし
て自動車に加わる衝撃力に耐える充分な大きさの機械的
強度を有している。

【００２８】また、スティ３を形作る中空形材はアルミ
ニウムまたはその合金で形成されおり、且つこの中空形
材は鋼板をプレス成形して溶接接合して製作した従来の
スティに比較して軽量である。

【００２９】さらに、スティ３を形作る中空形材は押出
し成形により製造するので、従来の鋼板をプレス成形し
て溶接接合したスティに比較して製造が容易である。特
にスティ３に機械的強度をもたせるために複雑な形状の
補強部を形成するが、この構成でも容易に容易に製造で
きる。

【００３０】従って、本発明によれば軽量で機械的強度
が高く、構成が簡素で製造が容易であるスティを備えた
バンパー装置を得ることができる。

【００３１】第二の発明の一実施例について図３および
図４を参照して説明する。

【００３２】図３および図４において図１および図２と
同じ部分は同じ符号を付して示している。

【００３３】図中１２はスティで、図３および図４に示
すようにアルミニウムまたはその合金からなる押出し成
形中空形材で形成されている。ステイ３は補強体２の両
端部に後側において配置され、且つその軸方向が自動車
の車体の前後方向に対して平行になるように配置されて
いる。

【００３４】ステイ１２は断面四辺形をなし、軸方向長
さが断面の縦長さおよび横長さより長い寸法を有してい
る。ステイ１２は補強体２に接する前端部は補強体２を
跨いで上面および下面に接する取付け部１３が形成さ
れ、後端部にはサイドメンバー２１の外側に嵌合する取
付け部１４が形成されている。ステイ１２は取付け部１
３には孔１５が形成され、取付け部１４には孔１６が形
成されている。

【００３５】各スティ１２は、取付け部１３が補強体２
の後側辺部に嵌合され、ねじ１７を孔１５および補強体
２の後側辺部に形成された孔１９に通して補強体２に取
付けられている。

【００３６】このように構成されたバンパー装置は自動
車の車体に設けられた一対のサイドメンバー２１に取付
けられている。各スティ３の取付け部１４は対向するサ
イドメンバー２１の前端に嵌合され、ねじ１８を孔１６
およびサイドメンバー２１に形成された孔２０に通して
取付けられている。

【００３７】ここで、スティ１２を形作る中空形材は軸
方向長さが断面の長さおよび横長さより長い寸法で形成
されている。そして、スティ１２は中空形材の押出し成
形方向（軸方向）を、衝突により圧縮変形する方向に揃
えて配置しているので、自動車の車体にその前後方向に
沿って加わる衝撃荷重に対して充分耐えることができ
る。

【００３８】すなわち、スティ１２を形作る中空形材の
寸法を前記のように規定し、且つ配置向きを前記のよう
に設定することにより、スティ１２は内部に補強部をも
たない中空形材で形成しても座屈荷重に対して充分耐え
ることができる。

【００３９】また、スティ３を形作る中空形材はアルミ
ニウムまたはその合金で形成されおり、しかも内部に補
強部を持たないので、従来の鋼板をプレス成形して溶接
接合したスティに比較して軽量である。

【００４０】さらに、スティ３を形作る中空形材は押出
し成形により製造するので、従来の鋼板をプレス成形し
て溶接接合したスティに比較して製造が容易である。

【００４１】従って、本発明によれば軽量で機械的強度
が高く、構成が簡素で製造が容易であるスティを備えた
バンパー装置を得ることができる。

【００４２】次に具体例について説明する。

【００４３】第一の発明の具体例について説明する。

【００４４】図１および図２に示す断面形状の中空形材
を用意し、この中空形材を１００mmの長さに切断し、補
強体とサイドメンバーを取付けるための孔を明けてステ
ィを製作した。スティ重量は４２０ｇであった。

【００４５】このスティを補強体に取り付け、この補強
体に衝撃吸収材を取付けてバンパー装置を構成した。ス
ティを重量１７００Ｋｇの自動車の車体のサイドメンバ
ーに取付け、自動車を時速５マイルで走らせてバンパー
装置バリアー試験用の固定壁に衝突させた。

【００４６】バンパー装置の損傷状況を調べた結果、補
強体は若干損傷したが、スティの部分はほとんど変形が
生じず再度の使用が可能であった。

【００４７】第二の発明の具体例について説明する。

【００４８】図３および図４に示す形状であって、外枠
寸法１００mm×８０mm、肉厚３mmの押出し成形中空形材
を製作し、この中空形材を１５０mmの長さに切断して補
強体とサイドメンバーも取付けるための孔を明けてステ
ィを製作した。

【００４９】このスティを補強体に取り付け、この補強
体に衝撃吸収材を取付けてバンパー装置を構成した。ス
ティを重量１７００Ｋｇの自動車の車体のサイドメンバ
ーに取付け、時速５マイルでバリアー試験用の固定壁に
衝突させた。

【００５０】バンパー装置の損傷状況を調べた結果、補
強体は若干損傷したが、スティの部分は変形がほとんど
なく再度使用が可能であった。

【００５１】なお、第一の発明および第二の発明は前述
した実施例に限定されることなく、種々変形して実施す
ることができる。

【００５２】例えば第一の発明におけるスティを形作る
中空形材の断面の外形形状および内部の補強部の形状は
実施例のものに限定されない。

【００５３】第二の発明におけるスティを形作る中空形
材の断面は形状は実施例のものに限定されない。

【００５４】

【発明の効果】以上説明したように第一の発明のバンパ
ー装置は、アルミニウムまたはその合金からなり内部に
補強部を有する押出し成形中空形材からなるスティが、
その軸線が車体の前後方向に対して直角となる向きに配
置され、第二の発明のバンパー装置は、アルミニウムま
たはその合金からなる押出し成形中空形材で形成され、
軸方向長さが断面の縦長さおよび横長さより長いスティ
が、その軸線が車体の前後方向と平行に対して平行とな
る向きに配置されている。

【００５５】従って、第一の発明および第一の発明によ
れば軽量で機械的強度が高く、構成が簡素で製造が容易
であるスティを備えたバンパー装置を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】第一の発明のバンパー装置の一実施例を示す斜
視図。

【図２】同実施例のスティを拡大して示す断面図。

【図３】第二の発明のバンパー装置の一実施例を示す斜
視図。

【図４】同実施例のスティを拡大して示す断面図。

【符号の説明】

１…バンパー表皮、２…補強体、３…スティ、１２…ス
ティ、２１…サイドメンバー。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バンパー表皮と、このバンパー表皮の後
   側に位置して前記バンパー表皮を取り付ける補強体と、
   この補強体の後側に位置して前記補強体を取り付けると
   ともに自動車の車体に設けられたサイドメンバーに取り
   付けられるスティとを備え、このスティは、アルミニウ
   ムまたはその合金からなり内部に補強部を有する押出し
   成形中空形材で形成され、且つ前記スティは、その軸線
   が前記車体の前後方向に対して直角となる向きに配置さ
   れていることを特徴とするバンパー装置。
2. 【請求項２】 バンパー表皮と、このバンパー表皮の後
   側に位置して前記バンパー表皮を取り付ける補強体と、
   この補強体の後側に位置して前記補強体を取り付けると
   ともに自動車の車体に設けられたサイドメンバーに取り
   付けられるスティとを備え、このスティは、アルミニウ
   ムまたはその合金からなる押出し成形中空形材で形成さ
   れ、軸方向長さが断面の縦長さおよび横長さより長く、
   且つ前記スティは、その軸線が前記車体の前後方向に沿
   う向きに配置されていることを特徴とするバンパー装
   置。