JPH06188620A - 平面形アレーアンテナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 平面形アレーアンテナのアンテナビームの方
向を電気回路を使用して変化させることにより、衛星を
自動追尾できるようにして、追尾に要する時間を省くと
共に、安定性と耐久性を向上させることを目的とする。 【構成】 複数のホーンアンテナ素子を備えた平面形ア
レーアンテナにおいて、前記各ホーンアンテナ素子の導
波管部２の中心に管軸方向に沿って設けたフェライト移
相器（フェライト棒５及び励磁コイル６）と、同フェラ
イト移相器と導波管部２の終端面３との間に設けた、同
導波管部２を伝播する電磁波のＴＥ１１モードの水平偏
波と垂直偏波に各々結合可能としたプローブ（７及び
８）と、前記両プローブから取り出した信号の位相を合
致させて合成する回路とからなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、平面形アレーアンテナ
に関し、特に移動体等に搭載して使用するのに適したも
のに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の車載用の衛星自動追尾アンテナに
おいては、アクチュエータ等を使用して機械的にアンテ
ナを回転させて、受信する衛星の方向に向けるようにし
て追尾していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが機械的に追尾
する方式では、追尾するのに時間がかかるのと、機械的
な回転機構を用いているため摩耗等が生じやすく、従っ
て、安定性と耐久性が劣るといった問題点があった。本
発明は、平面形アレーアンテナのアンテナビームの方向
を電気回路を使用して変化させることにより、衛星を自
動追尾できるようにして、追尾に要する時間を省くと共
に、安定性と耐久性を向上させることを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】図１に示すように、複数
のホーンアンテナ素子を備えた平面形アレーアンテナに
おいて、前記各ホーンアンテナ素子の導波管部２の中心
に管軸方向に沿って設けたフェライト移相器（フェライ
ト棒５及び励磁コイル６）と、同フェライト移相器と前
記導波管部２の終端面３との間に設けた、同導波管部２
を伝播する電磁波のＴＥ１１モードの水平偏波と垂直偏
波に各々結合可能としたプローブ（７及び８）と、前記
両プローブから取り出した信号の位相を合致させて合成
する回路とからなるものである。

【０００５】

【作用】本発明では、図１の如く、複数のホーンアンテ
ナ素子に設けたフェライト移相器（フェライト棒５及び
励磁コイル６）の励磁コイル６に流す電流を変化させ
て、アンテナビームの向きを変えて衛星を自動追尾でき
るようにし、導波管部２内に導入された円偏波の水平偏
波成分と垂直偏波成分に各々プローブ（７及び８）を結
合させ、前記両プローブから取り出した信号の位相を合
致させて合成して円偏波が受信できるようにしている。

【０００６】

【実施例】図１は、本発明の一実施例を示す、ホーンア
ンテナ素子の拡大図である。２は導波管部であり、例え
ば円形導波管でＴＥ１１モードの電磁波を伝播できる形
状のものを使用し、一端に電磁波を効率良く導入できる
ようにホーン形状に形成した開口部１を設け、中間に細
管部４を設け、他端に終端面３を設けている。フェライ
ト移相器は、フェライト棒５及び励磁コイル６で構成さ
れており、細管部４の内壁でフェライト棒５の長手方向
が導波管部２の管軸方向と平行になるようにして、導波
管部２の中心に固定し、励磁コイル６は細管部４の外側
に巻きつけて、引き出し線９に直流電流を流すことによ
り、フェライト棒５に直流磁界をかけることができるよ
うにしている。

【０００７】前記フェライト移相器と終端面３との間
に、相互に直角となる向きにしてプローブ７及び８を導
波管部２の外部から内部に挿入して、導波管部２を伝播
する電磁波のＴＥ１１モードの水平偏波と垂直偏波を結
合さすことができるようにしている。フェライト棒５の
直径は、ＴＥ１１モードの電磁波を伝播できるものを選
択して使用し、フェライト棒５並びにプローブ７及び８
の導波管部２の管軸方向に沿った配置は、開口部１に導
入された電磁波を効率良くプローブ７及び８に結合させ
ることができるように配置する。

【０００８】図２は図１の切断線Ａ−Ａからみた断面図
である。図１の開口部１を放送衛星の方向に向けて、導
波管部２に放送衛星の円偏波の電磁波を導入する。円偏
波は、相互に直交した水平偏波と垂直偏波との位相差が
９０度となっており、位相が進んでいる方の偏波をプロ
ーブ８に結合させ、位相が遅延している方の偏波をプロ
ーブ７に結合させ、各々のプローブで電気信号に変換
し、例えば、平面アンテナ１０に設けたマイクロストリ
ップ線路１１で各々の電気信号を伝送し、プローブ８か
ら合成回路Ｂ点迄の伝送路を長くして、前記両電気信号
の伝送路の長さの差が伝播する電気信号の波長λg の
（ｎ＋１／４）倍、但しｎは０か整数とし、前記両電気
信号の位相が合成回路Ｂ点で合致するようにして合成し
ている。前記円偏波と逆旋回の円偏波を受ける場合は、
プローブ７の電気信号の伝送路を長くして、前記と同様
に、伝送路の長さの差が伝播する電気信号の波長λg の
（ｎ＋１／４）倍、但しｎは０か整数とすれば良い。従
って、右旋円偏波も左旋円偏波も受信することが可能と
なる。なお、伝送路の長さの差により位相を遅延させる
代わりに、遅延回路を用いて位相を遅延させて、前記両
電気信号の位相が合成回路Ｂ点で合致するようにしても
良い。

【０００９】図３（Ａ）は本発明の一実施例を示す、平
面形アレーアンテナの外観図であり、（Ｂ）はアンテナ
ビームの説明図である。平面アンテナ１０には図１で説
明したホーンアンテナ素子１２が複数個並べて配置され
ており、各ホーンアンテナ素子１２から取り出した信号
は、マイクロストリップ線路１１で位相が合致するよう
にして合成し給電点１３に集めて、給電点１３から信号
が取り出せるようにしている。例えば、平面アンテナ１
０を送信側に使用し、各々のホーンアンテナ素子１２に
設けられたプローブ７及び８で、振幅が同一で相互に位
相が９０度ずれた直線偏波を励振し、各々のホーンアン
テナ素子１２に設けられたフェライト棒５にかける直流
磁界を変化させた場合、各フェライト棒５を通過して開
口部１から放射される円偏波の位相を各々変化させるこ
とができる。

【００１０】通常は、図３（Ｂ）に示すように平面アン
テナ１０の指向性は、平面アンテナ１０の中心部に対し
て垂直な向きに主ビームを有する形となるが、各ホーン
アンテナ素子１２から放射される円偏波の位相を相互に
ずらした場合は、主ビームの向きを空間の所定の方向に
向けることが可能となり、フェーズドアレーアンテナと
して使用することができる。従って、各ホーンアンテナ
素子１２の引き出し線９を各々直流電源と接続して、各
ホーンアンテナ素子１２のフェライト棒５にかける直流
磁界を変化させてずらすことにより、平面アンテナ１０
のアンテナの主ビームの方向を図３（Ｂ）に示すよう
に、平面アンテナ１０の垂直方向から傾斜させてビーム
走査を行うことができる。

【００１１】図４は、フェライト移相器の励磁コイル６
に流す電流を制御する制御手段を示す、電気回路ブロッ
ク図である。１４は制御回路であり、例えばマイコン等
を使用し、平面アンテナ１０に使用されているホーンア
ンテナ素子１２の数と同数の制御信号を出力し、各々を
Ｄ／Ａ変換器１５に入力して同Ｄ／Ａ変換器１５でアナ
ログ信号に変換して出力し増幅器１６に入力している。
増幅器１６としては、オペアンプ等を使用し、入力され
たアナログ信号に応じた直流電圧が出力されるように
し、増幅器１６の出力を各々ホーンアンテナ素子１２の
励磁コイル６に入力して、励磁コイル６に直流電流を流
して、フェライト棒５に直流磁界をかけるようにしてい
る。図３（Ａ）の給電点１３に出力される信号に基づ
き、検出器１７で受信信号のレベルを検出して制御回路
１４に入力し、制御回路１４に入力される受信信号のレ
ベルが最大となるように、制御回路１４から出力される
制御信号を変えていけば、衛星を自動追尾することが可
能となり、従来の機械式を使用したものより追尾に要す
る時間を短くし、機械的な可動部を用いていないため、
安定性と耐久性を備えたアンテナとすることができる。

【００１２】図５は、本発明のその他の実施例を示す、
ホーンアンテナ素子１２の拡大図であり、図中、図１で
示したものと同一のものは同一の記号で示してある。図
１の実施例との相違点は、導波管部２０に円偏波を直線
偏波に変換する変換器を設け、出力用として一本のプロ
ーブ２１を使用するようにして点である。図１の導波管
部２を管軸方向に延長した導波管部２０を使用し、フェ
ライト棒５と導波管部２０の終端面３との間に終端面３
に向かって順に、円偏波を直線偏波に変換する変換器
と、プローブ２１とを設けている。円偏波を直線偏波に
変換する変換器としては誘電体板２２を使用するように
しており、フェライト棒５を通り抜けた円偏波は、ＴＥ
１１モードの水平偏波成分と垂直偏波成分とを有する伝
播モードで導波管部２０の下部部分を伝播するようにな
り、誘電体板２２は、誘電体板２２と平行な向きに伝播
する偏波成分を、誘電体板２２と直交する向きに伝播す
る偏波成分に対して位相を遅らすことができ、誘電体板
２２を通り抜けた所で両方の偏波成分の位相が合致する
ように、誘電体板２２の導波管部２０の管軸方向に沿っ
た長さを調整すれば、円偏波を直線偏波に変換すること
ができる。円偏波を直線偏波に変換する変換器として、
本例では誘電体板２２を使用するようにしているが、一
般的に円偏波を直線偏波に変換する変換器として使用さ
れる他の構造物、例えば、金属板を使用した変換器等を
用いても良い。

【００１３】図６は、図５の切断線Ｃ−Ｃからみた断面
図であり、誘電体板２２で直線偏波に変換された電磁波
の電界の向きは、誘電体板２２に対して４５度の角度で
伝播するため、プローブ２１を導波管部２０の外部から
内部に、誘電体板２２に対して４５度の角度になるよう
に挿入すれば、直線偏波をプローブ２１に結合させるこ
とができ、従って円偏波を受信することができる。プロ
ーブ２１では直線偏波を電気信号に変換し、平面アンテ
ナ２３に設けられたマイクロストリップ線路２４で伝送
するようにし、各ホーンアンテナ素子１２からの信号
を、マイクロストリップ線路２４で位相がずれないよう
にして合成し給電点に集めて、給電点から信号が取り出
せるようにしている。前記円偏波と逆旋回の円偏波を受
信する場合は、プローブ２１を誘電体板２２の同一面に
対して反対側から４５度の角度になるようにして、点線
の向きで導波管部２０の外部から内部に挿入すれば、直
線偏波をプローブ２１に結合させることができ、従って
逆旋回の円偏波を受信することが可能となる。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
平面形アレーアンテナのアンテナビームの方向を電気回
路を使用して変化させることができ、移動体に搭載して
使用すれば、衛星を自動追尾できるようになり、従来の
機械式を使用したものより追尾に要する時間を短くし、
機械的な可動部を用いていないため、安定性と耐久性を
備えた円偏波受信用の平面形アレーアンテナを提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す、ホーンアンテナ素子
の拡大図である。

【図２】図１の切断線Ａ−Ａからみた断面図である。

【図３】（Ａ）は本発明の一実施例を示す、平面形アレ
ーアンテナの外観図であり、（Ｂ）はアンテナビームの
説明図である。

【図４】フェライト移相器の励磁コイルに流す電流を制
御する制御手段を示す、電気回路ブロック図である。

【図５】本発明のその他の実施例を示す、ホーンアンテ
ナ素子の拡大図である。

【図６】図５の切断線Ｃ−Ｃからみた断面図である。

【符号の説明】

１ 開口部 ２ 導波管部 ３ 終端面 ４ 細管部 ５ フェライト棒 ６ 励磁コイル ７ プローブ ８ プローブ ９ 引き出し線 １０ 平面形アレーアンテナ １１ マイクロストリップ線路 １２ ホーンアンテナ素子 １３ 給電点 １４ マイコン １５ Ｄ／Ａ変換器 １６ 増幅器 １７ 検出器 ２０ 導波管部 ２１ プローブ ２２ 誘電体板 ２３ 平面形アレーアンテナ ２４ マイクロストリップ線路

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のホーンアンテナ素子を備えた平面
   形アレーアンテナにおいて、前記各ホーンアンテナ素子
   の導波管部の中心に管軸方向に沿って設けたフェライト
   移相器と、同フェライト移相器と前記導波管部の終端面
   との間に設けた、同導波管部を伝播する電磁波のＴＥ１
   １モードの水平偏波と垂直偏波に各々結合可能としたプ
   ローブと、前記両プローブから取り出した信号の位相を
   合致させて合成する回路とからなることを特徴とする平
   面形アレーアンテナ。
2. 【請求項２】 複数のホーンアンテナ素子を備えた平面
   形アレーアンテナにおいて、前記各ホーンアンテナ素子
   の円形導波管部の中心に管軸方向に沿って設けたフェラ
   イト移相器と、同フェライト移相器と前記円形導波管部
   の終端面との間に順に設けた、円偏波を直線偏波に変換
   する変換器と、同変換器で変換された直線偏波に結合可
   能としたプローブとからなることを特徴とする平面形ア
   レーアンテナ。
3. 【請求項３】 前記各ホーンアンテナ素子に設けられた
   フェライト移相器が、前記円形導波管部の中心に配置し
   たフェライト棒と、同フェライト棒の周囲に配置し、同
   フェライト棒に直流磁界を加える励磁コイルとからな
   り、同励磁コイルの各々に流す電流を制御する制御手段
   を設け、同制御手段により前記励磁コイルに流す電流を
   各々変化させて、前記フェライト移相器の各々の位相を
   変えて、アンテナビームの向きを制御することを特徴と
   する請求項１又は２記載の平面形アレーアンテナ。